(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064320
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】自動車用吸音体及び自動車用フロアサイレンサー
(51)【国際特許分類】
B60R 13/08 20060101AFI20230501BHJP
B29C 70/12 20060101ALI20230501BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20230501BHJP
G10K 11/165 20060101ALI20230501BHJP
G10K 11/168 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B60R13/08
B29C70/12
B29C70/42
G10K11/165
G10K11/168
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174530
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】509069892
【氏名又は名称】株式会社HOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100117503
【弁理士】
【氏名又は名称】間瀬 ▲けい▼一郎
(72)【発明者】
【氏名】柳原 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 博
(72)【発明者】
【氏名】上田 康介
【テーマコード(参考)】
3D023
4F205
5D061
【Fターム(参考)】
3D023BA03
3D023BB12
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5D061AA06
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5D061AA25
(57)【要約】
【課題】本発明は、ガラス繊維層を含む複数層からなる積層状複合部品を活用し、騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得る自動車用吸音体及び自動車用フロアサイレンサーを提供する。
【解決手段】各混合部材は、ガラス繊維層を含む積層状複合原材を立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、立体形状の粉砕原材を混合本体とし、かつ、当該混合本体のうちガラス繊維層に対する対応部位から上記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維を混合ガラス繊維部として形成してなる。バインダー内にて撹拌混合してなる各混合部材及びバインダーからなる攪拌混合体内において、各混合部材のうちの互いに対向し合う各混合本体の間に形成してなる少なくとも1つの迷路状経路には、各混合部材の混合ガラス繊維部が位置している。攪拌混合体は自動車用吸音体の形状である所定の層形状に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の層形状に形成してなる自動車用吸音体であって、
複数の混合部材及びバインダーを備えており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、多孔質層、熱硬化性樹脂層及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層を積層してなる積層状複合原材を少なくとも立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、前記立体形状の粉砕原材を混合本体とし、かつ、当該混合本体のうち前記ガラス繊維層に対する対応部位から前記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維を混合ガラス繊維部として形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合本体及び前記混合ガラス繊維部は、前記バインダー内にて分散状に撹拌混合されて、当該バインダーと共に攪拌混合体を形成してなり、
当該攪拌混合体は、前記複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う複数の混合本体の間に迷路状経路を少なくとも1つ形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合ガラス繊維部は、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置しており、
前記攪拌混合体は、前記所定の層形状に形成されてなる自動車用吸音体。
【請求項2】
所定の層形状に形成してなる自動車用吸音体であって、
複数の混合部材及びバインダーを備えており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、一側多孔質層、複数のガラス繊維を有する一側ガラス繊維層、発泡ウレタン層、複数のガラス繊維を有する他側ガラス繊維層及び他側多孔質層を順次積層してなる積層状複合原材を少なくとも立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、前記立体形状の粉砕原材を混合本体とし、かつ、当該混合本体のうち前記一側ガラス繊維層及び前記他側ガラス繊維層の少なくとも一方のガラス繊維層に対する対応部位から前記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維を混合ガラス繊維部として形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合本体及び前記混合ガラス繊維部は、前記バインダー内にて分散状に撹拌混合されて、前記バインダーと共に攪拌混合体を形成してなり、
当該攪拌混合体は、前記複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う複数の混合本体の間に迷路状経路を少なくとも1つ形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合ガラス繊維部は、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置しており、
前記攪拌混合体は、前記所定の層形状に形成されてなる自動車用吸音体。
【請求項3】
前記複数の混合部材は、それぞれ、多孔質層、熱硬化性樹脂層及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層を積層した積層状複合原材をその厚さ方向にかつ立体形状に間隔をおいて切断してなる複数の立体部材のいずれか1つの立体部材を前記混合本体とし、前記いずれか1つの立体部材のうちの前記ガラス繊維層に対する対応部位から前記切断に伴い延出する複数のガラス繊維を前記混合ガラス繊維部として有することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用吸音体。
【請求項4】
前記複数の混合部材及び前記バインダーに加えて、綿状繊維部材を備えており、
前記撹拌混合体は、前記複数の混合部材及び前記綿状繊維部材を前記バインダー内にて分散状に撹拌混合してなり、
前記綿状繊維部材は、前記複数の混合部材の各々の前記混合ガラス繊維部とともに、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置しており、
前記複数の混合部材をAとし、前記綿状繊維部材をBとしたとき、混合比A/Bは、前記少なくとも1つの迷路状経路並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内の前記綿状繊維部材及び前記複数の混合部材の各々の前記混合ガラス繊維部と相俟って、所定の周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように設定されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の自動車用吸音体。
【請求項5】
前記所定の周波数帯域は、前記混合比A/Bの増大或いは減少に応じて、低周波数帯域側或いは高周波数帯域側へ移動することを特徴とする請求項4に記載の自動車用吸音体。
【請求項6】
前記積層状複合原材は、自動車に搭載済みの廃棄用積層状複合部品或いは品質不良のために廃棄対象となる自動車用積層状複合部品からなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の自動車用吸音体。
【請求項7】
前記複数の混合部材の各々を第1混合部材として、
前記複数の粉砕原材のうちの前記線形状を有する複数の粉砕原材を複数の第2混合部材として備えており、
前記撹拌混合体は、前記複数の第1混合部材及び前記複数の第2混合部材を前記バインダー内にて分散状に撹拌混合して形成されており、
前記複数の第2混合部材は、前記複数の第1混合部材の各々の前記混合ガラス繊維部と共に、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の自動車用吸音体。
【請求項8】
前記積層状複合原材の前記多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、前記多孔質層に対する対応部位を有しており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体の前記多孔質層に対する前記対応部位から前記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合多孔質繊維部は、前記複数の混合部材の各々の前記ガラス繊維部とともに、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の自動車用吸音体。
【請求項9】
前記積層状複合原材の前記多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
前記複数の第1混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、前記多孔質層に対する対応部位を有しており、
前記複数の第1混合部材は、それぞれ、その混合本体の前記多孔質層に対する前記対応部位から前記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
前記複数の第1混合部材の各々の前記混合多孔質繊維部は、前記複数の第1混合部材の各々の前記混合ガラス繊維部及び前記複数の第2混合部材とともに、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする請求項7に記載の自動車用吸音体。
【請求項10】
前記複数の混合部材の各々の前記混合本体は、大きい程、低中周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように通気度を低くし、また、小さい程、高周波数帯域の周波数を有する騒音を低減するように通気度を高くするように設定されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の自動車用吸音体。
【請求項11】
電動機及びエンジンの少なくとも一方を原動機として備える自動車の車室の床壁に沿い所定の層形状に形成されて前記車室内側から搭載してなるフロアサイレンサーであって、
複数の混合部材及びバインダーを備えており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、多孔質層、熱硬化性樹脂層及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層を積層してなる積層状複合原材を少なくとも立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、前記立体形状の粉砕原材を混合本体とし、かつ、当該混合本体のうち前記ガラス繊維層に対する対応部位から前記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維を混合ガラス繊維部として形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合本体及び前記混合ガラス繊維部は、前記バインダー内にて分散状に撹拌混合されて当該バインダーとともに攪拌混合体を形成してなり、
当該攪拌混合体は、前記複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う各複数の混合本体の間に迷路状経路を少なくとも1つ形成してなり、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合ガラス繊維部にて、前記少なく1つの迷路状経路内に位置しており、
前記撹拌混合体は、前記所定の層形状に形成されてなる自動車用フロアサイレンサー。
【請求項12】
前記複数の混合部材及び前記バインダーに加えて、綿状繊維部材を備えており、
前記攪拌混合体は、前記複数の混合部材及び前記綿状繊維部材を前記バインダーと分散状に撹拌混合してなり、
前記複数の混合部材をAとし、前記綿状繊維部材をBとしたとき、混合比A/Bは、所定の周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように設定してなることを特徴とする請求項11に記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項13】
前記所定の周波数帯域は、前記混合比A/Bの増大或いは減少に応じて、低周波数帯域側或いは高周波数帯域側へ移動することを特徴とする請求項12に記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項14】
前記積層状複合原材は、自動車に搭載済み或いは品質不良のために廃棄用となる積層状複合部品からなることを特徴とする請求項11~13のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項15】
前記複数の混合部材の各々を第1混合部材として、
前記複数の粉砕原材のうちの前記線形状を有する複数の粉砕原材を複数の第2混合部材として備えており、
前記撹拌混合体は、前記複数の第1混合部材及び前記複数の第2混合部材を前記バインダー内にて分散状に撹拌混合して形成されており、
前記複数の第2混合部材は、前記複数の第1混合部材の各々の前記複数の混合ガラス繊維部と共に、前記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする請求項10~14のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項16】
前記積層状複合原材の前記多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、前記多孔質層に対する対応部位を有しており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体の前記多孔質層に対する前記対応部位から前記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合多孔質繊維部は、前記複数の混合部材の各々の前記ガラス繊維部とともに、前記迷路状経路内に位置してなることを特徴とする請求項11~15のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサー。
イレンサー。
【請求項17】
前記積層状複合原材の前記多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、前記多孔質層に対する対応部位を有しており、
前記複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体の前記多孔質層に対する前記対応部位から前記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
前記複数の混合部材の各々の前記混合多孔質繊維部は、前記複数の混合部材の各々の前記ガラス繊維部及び前記複数の混合部材とともに、前記迷路状経路内に位置してなることを特徴とする請求項15に記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項18】
前記複数の混合部材の各々の前記混合本体は、大きい程、低中周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように通気度を低くし、また、小さい程、高周波数帯域の周波数を有する騒音を低減するように通気度を高くするように設定されていることを特徴とする請求項11~17のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項19】
前記電動機及び前記エンジンの少なくとも一方のうちの前記エンジンを前記原動機として備えて、
前記複数の混合部材の各混合本体は、その大きさにて、低中周波数領域の周波数を有する騒音を低減するように設定されていることを特徴とする請求項11~18のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサー。
【請求項20】
前記電動機及び前記エンジンの少なくとも一方のうちの前記電動機を前記原動機とし、かつ、前記床壁の下面に沿い配設されて前記電動機に電力を供給するバッテリ群を有するバッテリセットを備えて、
前記複数の混合部材の各混合本体は、その大きさにて、低中周波数領域及び高周波数領域の周波数を有する騒音を低減するように設定されていることを特徴とする請求項11~18のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に入射する騒音を吸音するに適した自動車用吸音体及び自動車用フロアサイレンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様な自動車が開発されており、これら自動車の生産台数は増大傾向にある。これに伴い、自動車の事故等に起因する修理台数や自動車の廃車台数も増大傾向にある。このような増大傾向にあわせて、自動車に搭載の種々の部品が廃棄部品として処理される傾向にある。これでは、自動車の台数が増大している今日、廃棄部品化による経済的損失が過大となる。このため、当該経済的損失の有効な軽減対策が要請されている。
【0003】
このような要請に対しては、廃棄部品のリサイクル化が考えられる。これによれば、廃棄部品の再資源化でもって、廃棄部品が有効に再利用され得るのは勿論のこと、廃棄部品化に起因する経済損失が有効に軽減され得る。
【0004】
例えば、自動車の屋根に搭載してなる部品(以下、屋根部品という)は、廃棄部品として処理されると、自動車の生産台数が多い今日、経済的損失が非常に大きい。従って、廃棄部品となる屋根部品のリサイクル化が要請されている。
【0005】
その一方で、自動車の停車時や走行時に、騒音が当該自動車の車室内に伝搬する。例えば、エンジンを原動機とする自動車では、エンジンが低周波数帯域から高周波数帯域に亘る広い周波数帯域内の周波数を有する騒音を発生する。
【0006】
また、電動機を原動機とする電気自動車では、複数の車載バッテリやインバータが高周波数帯域内の周波数を有する騒音を発生する。
【0007】
さらには、原動機の種類には関係なく、自動車の走行中には、低周波数から中周波数に亘る低中周波数帯域の騒音が、ロードやタイヤ等から発生する。
【0008】
これら騒音が自動車の車室内に伝搬すると、当該騒音は乗員に対し不快感を与える。このため、当該騒音に対する軽減対策が、近年、強く要請されている。
【0009】
このようなことから、例えば、上述のように廃棄部材となる屋根部品を騒音軽減用部品、換言すれば、吸音部品として再生利用することができれば、廃棄部材となる屋根部品は、騒音の軽減対策とともに、上述した経済的損失の軽減対策に大いに貢献し得る。
【0010】
これに対しては、例えば、下記特許文献1にて開示されたチップウレタンの製造方法により製造されるチップウレタンを、吸音部品として利用することも考えられる。
【0011】
当該チップウレタンの製造方法においては、チップ材が、ウレタン等からなる廃棄部品を粉砕機により粉砕することにより形成される。ついで、ウレタン系バインダーがミキサーによりチップ材に混合される。然る後、このように混合された混合物が、プレス成形型により成形されて、上述したチップウレタンとして製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述のチップウレタンの製造方法において、廃棄部品が、単層のウレタン層である場合には、当該ウレタン層は、騒音に対して良好な吸音性能を発揮し得ない。
【0014】
従って、当該単層のウレタン層を粉砕してなる複数のチップ材が、バインダーと混合されて積層されることにより、上述のチップウレタンとして形成されても、当該チップウレタンは、単層のウレタン層と同様に、騒音に対し良好な吸音性能を発揮し得ないことには変わりはない。このようなことは、廃棄部品が、例えば、ウレタン層と不織布層との層状複合部品であっても、同様である。
【0015】
そこで、本発明は、このようなことに対処するため、ガラス繊維層を含む複数層からなる積層状複合部品を活用し、騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得る自動車用吸音体及び自動車用フロアサイレンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題の解決にあたり、本発明者等が、ガラス繊維層を含む積層状複合部品を活用することで、低中周波数帯域を含めた広い周波数帯域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得る吸音体を創造するに到った経緯について説明する。
【0017】
従来技術にて説明したように、廃棄部品が、単層のウレタン層からなる廃棄用単層部品或いはウレタン層及び不織布層からなる積層状複合部品を用いて、上述のようにチップウレタンを形成しても、当該チップウレタンは、騒音に対し良好な吸音性能を発揮することはできない。
【0018】
これに対し、ウレタンや不織布以外の吸音に適すると一般に認識されている種々の材料を種々の単層部品或いは積層状複合部品として採用してみた。そして、当該各単層部品或いは各積層状複合部品を、上述のようにチップ化してバインダーとの混合のもとに積層し、チップウレタンのような積層体を形成することを繰り返してみた。
【0019】
このような過程において、屋根部品を上述した積層状複合部品として採用し、当該屋根部品を上述と同様にチップ化してバインダーとの混合のもとに分散状に積層して固め、チップウレタンのような積層体を形成してみた。
【0020】
当該積層体の吸音性能について調べてみたところ、この積層体は、少なくとも低中周波数帯域の周波数を有する騒音に対し、優れた吸音性能を発揮し得ることが分かった。
【0021】
このように当該積層体が、低中周波数帯域の周波数を有する騒音に対して、優れた吸音性能を発揮し得る原因について追究してみたところ、当該原因は、屋根部品である積層状複合部品が含むガラス繊維層に主として起因することが分かった。
【0022】
この点について、さらに詳細に検討してみた。上述の屋根部品をチップ化するにあたり、当該屋根部品を粉砕してみると、当該屋根部品は、立体形状の大きな粉砕本体を有する複数の粉砕部材及び線形状或いは細片形状を有する複数の小さな粉砕部材として、分散状に形成されている。ここで、複数のガラス繊維部が、屋根部品の粉砕の際に、粉砕本体から延出するように形成されている。このことは、複数の粉砕部材が、それぞれ、立体形状の大きな粉砕本体及び当該粉砕本体から延出する複数のガラス繊維部でもって構成されていることを意味する。
【0023】
このように分散状に形成された各粉砕部材のうち、大きな立体形状の粉砕本体を有する各粉砕部材を、バインダーと分散状に攪拌混合して、チップウレタンのような積層体を形成してみた。このように形成された積層体においては、経路が、チップウレタン内にて、互いに対向し合う各粉砕本体の間を迷路状に通るように形成されており、当該経路内には、複数のガラス繊維部が分散状に位置している。
【0024】
このように形成してなる当該積層体の吸音性能を調べるにあたり、広い周波数帯域に亘る周波数を有する騒音を当該積層体に入射してみたところ、当該積層体は、上記騒音のうち低中周波数帯域の周波数を有する騒音に対し、優れた吸音性能を発揮することが分かった。
【0025】
この点について詳細に検討したところ、騒音が複数のガラス繊維部を介し上記経路をその迷路状の形状に沿って通る際に、当該騒音は、その振動エネルギーを消費することにより、積層体に対し優れた吸音性能をもたらすことが分かった。
【0026】
また、大きな粉砕部材の立体形状の大きさを調整すれば、積層体は、低中周波数帯域の周波数を有する騒音や高周波数帯域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得ることも分かった。
【0027】
また、屋根部品以外の自動車の部品であっても、当該部品がガラス繊維層を含む複層部材であれば、当該部品は、屋根部品と同様にチップ化してバインダーとの混合撹拌のもとに積層し、チップウレタンのような積層体を形成しても、当該積層体は、上述と同様に、騒音に対して優れた吸音性能を発揮し得ることが分かった。
【0028】
そこで、本発明者等は、自動車の部品のうち、ガラス繊維層を含む積層状複合部品を活用して、広い周波数帯域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得る吸音体を形成し得るという着想に至った。
【0029】
本発明は、上記課題の解決にあたり、上述のような着想に基づき、以下のようになされたものである。
【0030】
本発明に係る自動車用吸音体は、請求項1の記載によれば、所定の層形状に形成してなるものである。
【0031】
当該自動車用吸音体において、
複数の混合部材は、それぞれ、多孔質層(110、150)、熱硬化性樹脂層(130)及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層(120、140)を積層してなる積層状複合原材(100)を少なくとも立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、上記立体形状の粉砕原材を混合本体(Pa)とし、かつ、当該混合本体のうちガラス繊維層に対する対応部位から上記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維を混合ガラス繊維部として形成してなり、
複数の混合部材の各々の上記混合本体及び上記混合ガラス繊維部は、バインダー内にて分散状に撹拌混合されて、当該バインダーと共に攪拌混合体を形成してなり、
当該攪拌混合体は、複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う複数の混合本体の間に迷路状経路を少なくとも1つ形成してなり、
複数の混合部材の各々の上記混合ガラス繊維部は、上記少なくとも1つの迷路状経路内に位置しており、
上記攪拌混合体は、上記所定の層形状に形成されてなるものである。
【0032】
このように形成してなる自動車用吸音体は、バインダー内にて複数の混合部材を分散させることにより形成されている。従って、当該自動車用吸音体によれば、複数の混合部材が、バインダー内において、分散状態にある各混合本体から複数のガラス繊維部を延出させている。また、少なくとも1つの迷路状経路が複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う複数の混合本体の間に形成されており、当該少なくとも1つの迷路状経路内には、複数の混合部材の各々の複数の混合ガラス繊維部が位置している。
【0033】
しかして、騒音が所定の層形状からなる自動車用吸音体内にその両対向面の一方の対向面から入射すると、当該騒音は、当該自動車用吸音体の内部を他方の面に向けて進む。
【0034】
ここで、上述のごとく、複数の混合部材の各々の複数の混合ガラス繊維部が、少なくとも1つの迷路状経路内に位置している。このため、騒音が上述のように自動車用吸音体に入射すると、当該騒音は、主として、少なくとも1つの迷路状経路を通り進む。
【0035】
このとき、騒音は、迷路状経路の迷路形状に沿い進む。また、混合ガラス繊維部の各ガラス繊維は、ガラス材料としての弾性及び剛性を有する。このため、騒音が迷路状経路内において混合ガラス繊維部の各ガラス繊維に衝突しながら迷路状経路の迷路形状に沿い進むこととなる。
【0036】
これに伴い、当該騒音は、各ガラス繊維の弾性及び剛性のもとに、当該各ガラス繊維を振動させることで振動エネルギーを消耗しながら進むとともに、少なくとも1つの迷路状経路の迷路形状に沿い振動エネルギーを消耗しながら進む。
【0037】
これにより、騒音は、混合ガラス繊維部との衝突及び少なくとも1つの迷路状経路の迷路形状に基づき非常に良好に低減される。このことは、自動車用吸音体は、上述した構成のもとに、優れた吸音性能を発揮し得ることを意味する。
【0038】
また、本発明に係る自動車用吸音体は、請求項2の記載によれば、所定の層形状に形成してなるものである。
【0039】
当該自動車用吸音体において、
複数の混合部材及びバインダーを備えており、
複数の混合部材は、それぞれ、一側多孔質層、複数のガラス繊維を有する一側ガラス繊維層、発泡ウレタン層、複数のガラス繊維を有する他側ガラス繊維層及び他側多孔質層を順次積層してなる積層状複合原材を少なくとも立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、上記立体形状の粉砕原材を混合本体とし、かつ、当該混合本体のうち一側ガラス繊維層及び他側ガラス繊維層の少なくとも一方のガラス繊維層に対する対応部位から上記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維を混合ガラス繊維部として形成してなり、
複数の混合部材の各々の混合本体及び上記混合ガラス繊維部は、バインダー内にて分散状に撹拌混合されて、バインダーと共に攪拌混合体を形成してなり、
当該攪拌混合体は、バインダー内にて、複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う複数の混合本体の間に迷路状経路を少なくとも1つ形成してなり、
複数の混合部材の各々の上記混合ガラス繊維部は、上記少なくとも1つの迷路状経路内に位置しており、
攪拌混合体は、上記所定の層形状に形成されてなるものである。
【0040】
このように、積層状複合原材が、一側多孔質層、複数のガラス繊維を有する一側ガラス繊維層、発泡ウレタン層、複数のガラス繊維を有する他側ガラス繊維層及び他側多孔質層を順次積層してなるものであっても、請求項1に記載の発明の作用効果と同様の作用効果がより一層具体的に達成され得る。
【0041】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1または2に記載の自動車用吸音体において、
複数の混合部材は、それぞれ、多孔質層、熱硬化性樹脂層及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層を積層した積層状複合原材をその厚さ方向にかつ立体形状に間隔をおいて切断してなる複数の立体部材のいずれか1つの立体部材を上記混合本体とし、上記いずれか1つの立体部材のうちのガラス繊維層に対する対応部位から上記切断に伴い延出する複数のガラス繊維を上記混合ガラス繊維部として有することを特徴とする。
【0042】
これによれば、複数の混合部材の各混合本体は、上述のように構成してなる積層状複合原材をその厚さ方向にかつ立体形状に間隔をおいて切断してなる複数の立体部材のいずれか1つの立体部材により形成し、かつ、各混合ガラス繊維部が、上述したいずれか1つの立体部材のうちのガラス繊維層に対する対応部位から上記切断に伴い延出する複数のガラス繊維により形成されていても、請求項1または2に記載の発明と同様の作用効果が達成され得る。
【0043】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1~3のいずれか1つに記載の自動車用吸音体において、
複数の混合部材及びバインダーに加えて、綿状繊維部材を備えており、
上記撹拌混合体は、複数の混合部材及び綿状繊維部材をバインダー内にて分散状に撹拌混合してなり、
綿状繊維部材は、複数の混合部材の各々の上記混合ガラス繊維部とともに、上記少なくとも1つの迷路状経路内に位置しており、
複数の混合部材をAとし、綿状繊維部材をBとしたとき、混合比A/Bは、上記少なくとも1つの迷路状経路並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内の綿状繊維部材及び複数の混合部材の各々の上記混合ガラス繊維部と相俟って、所定の周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように設定してなることを特徴とする。
【0044】
これによれば、自動車用吸音体は、複数の混合部材及びバインダーに加えて、綿状繊維部材を混合比に応じた綿状繊維部材をも備えている。ここで、自動車用吸音体における混合部材の数は、混合比に応じた綿状繊維部材の体積分だけ減少している。また、綿状繊維部材は、複数の混合部材に比べて、かなり軽量である。
【0045】
このため、当該自動車用吸音体に用いられる複数の混合部材の全重量は、混合比に応じた綿状繊維部材に起因して減少する。
【0046】
また、複数の混合部材Aの綿状繊維部材Bに対する混合比A/Bは、上述のごとく、少なくとも1つの迷路状経路並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内の綿状繊維部材及び複数の混合部材の各々の混合ガラス繊維部と相俟って、所定の周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように設定されている。
【0047】
これに伴い、騒音が自動車用吸音体にその一側面から入射したとき、当該騒音のうち所定周波数帯域内の周波数を有する騒音は、上記混合比のもと、少なくとも1つの迷路状経路の迷路形状に沿う移動並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内における綿状繊維部材及び各混合ガラス繊維部との衝突による振動エネルギーの消耗に伴い非常に良好に低減され得る。これにより、請求項1~3のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。このように、自動車用吸音体は、上述した構成のもとに、より一層優れた吸音性能を発揮し得る。
【0048】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項4に記載の自動車用吸音体において、
上記所定の周波数帯域は、上記混合比A/Bの増大或いは減少に応じて、低周波数帯域側或いは高周波数帯域側へ移動することを特徴とする。
【0049】
このような構成によれば、所定の周波数帯域は、混合比A/Bの減少に応じて、高周波数帯域側へ移動するので、主として高周波数帯域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮する自動車用吸音体の提供が可能となる。
【0050】
また、所定の周波数帯域は、混合比A/Bの増大に応じて、低周波数帯域側へ移動するので、主として低中周波数帯域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮する自動車用吸音体の提供が可能となる。
【0051】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1~5のいずれか1つに記載の自動車用吸音体において、
積層状複合原材は、自動車に搭載済みの廃棄用積層状複合部品或いは品質不良のために廃棄対象となる自動車用積層状複合部品からなることを特徴とする。
【0052】
これによれば、自動車に搭載済みの廃棄用積層状複合部品或いは品質不良のために廃棄対象となる自動車用積層状複合部品が、無駄になることなく、リサイクル部品として、自動車用吸音体の製造のための有効利用につながる。これにより、請求項1~5のいずれか1つに記載の発明の作用効果にあわせて、大きな経済効果がもたらされ得る。
【0053】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項1~6のいずれか1つに記載の自動車用吸音体において、
複数の混合部材の各々を第1混合部材として、
複数の粉砕原材のうちの上記線形状を有する複数の粉砕原材を複数の第2混合部材として備えており、
上記撹拌混合体は、複数の第1混合部材及び複数の第2混合部材をバインダー内にて分散状に撹拌混合して形成されており、
複数の第2混合部材は、複数の第1混合部材の各々の上記混合ガラス繊維部と共に、上記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする。
【0054】
このような構成によれば、複数の第2混合部材は、複数の第1混合部材の各々の混合ガラス繊維部と共に、少なくとも1つの迷路状経路内に位置している。従って、騒音が自動車用吸音体にその一側面から入射したとき、当該騒音は、少なくとも1つの迷路状経路の迷路形状に沿う移動並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内における複数の第2混合部材及び各混合ガラス繊維部との衝突による振動エネルギーの消耗に伴い非常に良好に低減され得る。その結果、請求項1~6のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0055】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項1~3のいずれか1つに記載の自動車用吸音体において、
積層状複合原材の前記多孔質層は、多孔質繊維を有しており、
複数の第1混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、多孔質層に対する対応部位を有しており、
複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体の多孔質層に対する上記対応部位から上記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
複数の混合部材の各々の上記混合多孔質繊維部は、複数の混合部材の各々の上記ガラス繊維部とともに、迷路状経路内に位置していることを特徴とする。
【0056】
このような構成によれば、複数の混合部材の各々の混合多孔質繊維部は、複数の混合部材の各々の混合ガラス繊維部とともに、少なくとも1つの迷路状経路内に位置している。
【0057】
従って、騒音が自動車用吸音体にその一側面から入射したとき、当該騒音は、少なくとも1つの迷路状経路の迷路形状に沿う移動並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内における各混合ガラス繊維部及び各混合多孔質繊維部との衝突による振動エネルギーの消耗に伴い非常に良好に低減され得る。その結果、請求項1~3のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0058】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項7に記載の自動車用吸音体において、
積層状複合原材の多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
複数の第1混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、多孔質層に対する対応部位を有しており、
複数の第1混合部材は、それぞれ、その混合本体の多孔質層に対する上記対応部位から上記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
複数の第1混合部材の各々の上記混合多孔質繊維部は、複数の第1混合部材の各々の上記混合ガラス繊維部及び複数の第2混合部材とともに、上記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする。
【0059】
このような構成によれば、複数の第1混合部材の各々の混合多孔質繊維部は、複数の第1混合部材の各々の混合ガラス繊維部及び複数の第2混合部材とともに、迷路状経路内に位置している。
【0060】
従って、騒音が自動車用吸音体にその一側面から入射したとき、当該騒音は、少なくとも1つの迷路状経路の迷路形状に沿う移動並びに当該少なくとも1つの迷路状経路内における各混合ガラス繊維部、各混合多孔質繊維部及び各第2混合部材との衝突による振動エネルギーの消耗に伴い非常に良好に低減され得る。その結果、請求項1~3のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0061】
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項1~9のいずれか1つに記載の自動車用吸音体において、
複数の混合部材の各々の上記混合本体は、大きい程、低中周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように通気度を低くし、また、小さい程、高周波数帯域の周波数を有する騒音を低減するように通気度を高くするように設定されていることを特徴とする。
【0062】
これによれば、各混合本体は、大きい程、その通気度にて、低中周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように低くなっている。また、各混合本体は、小さい程、その通気度にて、高周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように高くなっている。従って、各混合本体の大きさの変更による通気度の調整でもって、低中周波数帯域内や高周波数帯域内の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得る自動車用吸音体の提供が可能となる。
【0063】
また、本発明に係る自動車用フロアサイレンサーは、請求項11の記載によれば、
電動機(50)及びエンジン(E)の少なくとも一方を原動機として備える自動車の車室(10)の床壁に沿い車室内側から搭載されるものである。
【0064】
当該フロアサイレンサーにおいて、
複数の混合部材及びバインダーを備えており、
複数の混合部材は、それぞれ、多孔質層、熱硬化性樹脂層及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層を積層してなる積層状複合原材を少なくとも立体形状及び線形状を含む各種形状に粉砕してなる複数の粉砕原材のうち、上記立体形状の粉砕原材を混合本体とし、当該混合本体及び当該混合本体のうちガラス繊維層に対する対応部位から上記粉砕に伴い延出してなる複数のガラス繊維からなる混合ガラス繊維部の双方によって形成されており、
複数の混合部材の各々の上記混合本体及び上記混合ガラス繊維部は、バインダー内にて分散状に撹拌混合されて当該バインダーとともに攪拌混合体を形成してなり、
当該攪拌混合体は、複数の混合部材の各混合本体のうちの互いに対向し合う各複数の混合本体の間に迷路状経路であってその内部に上記混合ガラス繊維部を位置してなる迷路状経路を少なくとも1つ形成してなり、
当該混合体は、上記所定の層形状に形成されてなるものである。
【0065】
これによれば、請求項1に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0066】
また、本発明は、請求項12の記載によれば、請求項11に記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
複数の混合部材及びバインダーに加えて、綿状繊維部材を備えており、
上記攪拌混合体は、複数の混合部材及び綿状繊維部材をバインダーと分散状に撹拌混合してなり、
複数の混合部材をAとし、綿状繊維部材をBとしたとき、混合比A/Bは、所定の周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように設定してなることを特徴とする。
【0067】
これによれば、請求項11に記載の発明と同様の作用効果を達成しつつ、請求項4に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0068】
また、本発明は、請求項13の記載によれば、請求項12に記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
上記所定の周波数帯域は、上記混合比A/Bの増大或いは減少に応じて、低周波数帯域側或いは高周波数帯域側へ移動することを特徴とする。
【0069】
これによれば、請求項12に記載の発明と同様の作用効果を達成しつつ、請求項5に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0070】
また、本発明は、請求項14の記載によれば、請求項11~13のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
積層状複合原材は、自動車に搭載済み或いは品質不良のために廃棄用となる積層状複合部品からなることを特徴とする。
【0071】
これによれば、請求項11~13のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果を達成しつつ、請求項6に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0072】
また、本発明は、請求項15の記載によれば、請求項10~14のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
複数の混合部材の各々を第1混合部材として、
複数の粉砕原材のうちの上記線形状を有する複数の粉砕原材を複数の第2混合部材として備えており、
上記撹拌混合体は、複数の第1混合部材及び複数の第2混合部材をバインダー内にて分散状に撹拌混合して形成されており、
複数の第2混合部材は、複数の第1混合部材の各々の上記複数の混合ガラス繊維部と共に、上記少なくとも1つの迷路状経路内に位置していることを特徴とする。
【0073】
このような構成によれば、請求項10~14のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果を達成しつつ、請求項7に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0074】
また、本発明は、請求項16の記載によれば、請求項11~15のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
積層状複合原材の多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、多孔質層に対する対応部位を有しており、
複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体の多孔質層に対する上記対応部位から上記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
複数の混合部材の各々の上記混合多孔質繊維部は、複数の混合部材の各々の上記ガラス繊維部とともに、迷路状経路内に位置していることを特徴とする。
【0075】
これによれば、請求項11~15のいずれか1つに記載の発明と同様に作用効果を達成しつつ、請求項8に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0076】
また、本発明は、請求項17の記載によれば、請求項15に記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
積層状複合原材の多孔質層は、複数の多孔質繊維を有しており、
複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体にて、多孔質層に対する対応部位を有しており、
複数の混合部材は、それぞれ、その混合本体の多孔質層に対する上記対応部位から上記粉砕に伴い複数の多孔質繊維からなる混合多孔質繊維部を延出するように形成してなり、
複数の混合部材の各々の上記混合多孔質繊維部は、複数の混合部材の各々の上記ガラス繊維部及び複数の混合部材とともに、迷路状経路内に位置してなることを特徴とする。
【0077】
これによれば、請求項15に記載の発明と同様に作用効果を達成しつつ、請求項9に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0078】
また、本発明は、請求項18の記載によれば、請求項11~17のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
複数の混合部材の各々の上記混合本体は、大きい程、低中周波数帯域内の周波数を有する騒音を低減するように通気度を低くし、また、小さい程、高周波数帯域の周波数を有する騒音を低減するように通気度を高くするように設定されていることを特徴とする。
【0079】
これによれば、請求項11~17のいずれか1つに記載の発明と同様に作用効果を達成しつつ、請求項10に記載の発明の作用効果を達成し得る電気自動車、ガソリン自動車或いはハイブリッド型自動車等の自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0080】
また、本発明は、請求項19の記載によれば、請求項11~18のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
電動機及びエンジンの少なくとも一方のうちのエンジンを原動機として備えて、
複数の混合部材の各混合本体は、その大きさにて、低中周波数領域の周波数を有する騒音を低減するように設定されていることを特徴とする。
【0081】
これによれば、請求項11~18のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果を達成しつつ、エンジンから生ずる騒音のうち、低中周波数帯域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を発揮し得る自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0082】
また、本発明は、請求項20の記載によれば、請求項11~18のいずれか1つに記載の自動車用フロアサイレンサーにおいて、
電動機及びエンジンの少なくとも一方のうちの電動機を原動機とし、かつ、床壁の下面に沿い配設されて電動機に電力を供給するバッテリ群を有するバッテリセットを備えて、
複数の混合部材の各混合本体は、その大きさにて、低中周波数領域及び高周波数領域の周波数を有する騒音を低減するように設定されていることを特徴とする。
【0083】
これによれば、請求項11~18のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果を達成しつつ、低中周波数領域及び高周波数領域の周波数を有する騒音、換言すれば、ロードから生ずる低中周波数領域の周波数を有する騒音及びバッテリ群から生ずる高周波数領域の周波数を有する騒音に対し優れた吸音性能を有する自動車用フロアサイレンサーの提供が可能となる。
【0084】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】本発明に係る自動車用フロアサイレンサーの第1実施形態を適用した自動車の模式的部分破断概略側面図である。
【
図2】
図1のフロアサイレンサーの拡大側面図である。
【
図3】
図2のフロアサイレンサーの部分破断拡大断面図である。
【
図4】上記第1実施形態における廃棄部材の部分破断拡大側面図である。
【
図5】(a)は、第1混合部材の側面図を示し、(b)は、各第2混合部材を例示的に示す図である。
【
図6】フロアサイレンサーの内部におけるノイズの通過経路を説明するための部分破断拡大断面図である。
【
図7】上記第1実施形態におけるロードノイズの周波数特性を示すグラフである。
【
図8】上記第1実施形態におけるエンジンノイズの周波数特性を示すグラフである。
【
図9】上記第1実施形態における実施試料及び比較試料の各吸音率の周波数特性を示すグラフである。
【
図10】本発明に係る自動車用フロアサイレンサーの第2実施形態を適用した自動車の模式的部分破断概略側面図である。
【
図11】上記第2実施形態における実施試料及び比較試料の各吸音率の周波数特性を示すグラフである。
【
図12】本発明に係る自動車用フロアサイレンサーの第3実施形態の要部を示す部分破断拡大断面図である。
【
図13】本発明に係る自動車用フロアサイレンサーの第4実施形態の要部である廃棄部材をその格子状破断線と共に示す部分破断平面図である。
【
図14】
図13の廃棄部材をその厚さ方向切断線とともに示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明を自動車に適用してなる第1実施形態を示している。当該自動車は、ガソリンを燃料とする自動車(以下、ガソリン自動車という)の1種である。当該ガソリン自動車は、エンジンEを搭載してなるもので、当該エンジンEは、ガソリン自動車のエンジンルームER(
図1参照)内に搭載されている。
【0087】
当該ガソリン自動車は、車室10を備えており、当該車室10は、ダッシュパネルDPを介しエンジンルームERに後続して位置するように、当該ガソリン自動車に形成されている。
【0088】
当該ガソリン自動車は、車室10内にて、左右両側の前側座席20a(
図1では、左側前側座席20aのみを示す)及び左右両側の後側座席20b(
図1では、左側後側座席20bのみを示す)を配設してなるものである。なお、
図1において、符号Hは、ステアリングハンドルを示し、符号FPは、当該ガソリン自動車のフロアパネルを示し、また、符号FSは、フロアシートを示す。
【0089】
また、当該ガソリン自動車は、左右両側前輪FW及び左右両側後輪RWを備えている。左右両側前輪FWは、前輪軸30aの左右両側端部に支持されており、左右両側後輪RWは、後輪軸30bの左右両側端部に支持されている。
【0090】
当該ガソリン自動車は、
図1に示すごとく、本発明に係るフロアサイレンサーSを備えている。本第1実施形態では、当該フロアサイレンサーSは、低中周波数帯域の周波数を有する騒音を良好に吸音するためのサイレンサーとして、フロアパネルFPとフロアシートFSとの間にて、フロアパネルFPにその上面側から沿うように搭載されている。なお、本第1実施形態において、騒音はノイズともいう。
【0091】
当該フロアサイレンサーSは、
図1及び
図2のいずれかにて示すごとく、前側サイレンサー部Sa、後側サイレンサー部Sb及びこれら前後両側サイレンサー部Sa、Sbの間に位置する中側サイレンサー部Scを備えている。
【0092】
前側サイレンサー部Saは、
図1にて示すごとく、フロアパネルFPの前側部位FPa上に沿うように搭載されており、当該前側サイレンサー部Saは、その前端部Sdにて、ダッシュパネルDPの下端部に沿うように延在している。
【0093】
一方、後側サイレンサー部Sbは、フロアパネルFPの後側部位FPb上に沿うように搭載されている。また、中側サイレンサー部Scは、フロアパネルFPの中側凸部FPc(
図1参照)上に沿うように略逆U字状に形成されており、当該中側サイレンサー部Scは、前後両側サイレンサー部Sa、Sbの間にてこれら前後両側サイレンサー部Sa、Sbと一体的に形成されている。
【0094】
ここで、フロアサイレンサーSの構成について詳細に説明する。当該フロアサイレンサーSは、後述するように、複数の混合部材P、複数の混合部材Q及び熱硬化性樹脂製バインダーU(接着剤)でもって構成されている(
図3参照)。なお、複数の混合部材P或いは複数の混合部材Qは、廃棄部品100(
図4参照)でもって後述のように形成されている。また、バインダーUの形成材料である熱硬化性樹脂としては、ウレタンが採用されている。なお、以下、本第1実施形態において、混合部材Pは、第1混合部材Pともいい、混合部材Qは、第2混合部材Qともいう。
【0095】
廃棄部品100は、フロアサイレンサーSを製造するための積層状複合原材して用いられる自動車の屋根部品である。本第1実施形態において、当該廃棄部品100としては、例えば、修理対象或いは廃車対象となる自動車に搭載済みの屋根部品、または新たに製造された屋根部品であっても品質不良の対象となる屋根部品が挙げられる。
【0096】
当該廃棄部品100は、
図4にて示すごとく、表皮層110、ガラス繊維層120、発泡ウレタン層130、ガラス繊維層140及び裏皮層150を積層して構成されている。
【0097】
当該廃棄部品100において、表皮層110は、複数の繊維を織ったり編んだりせずに絡ませて形成してなる不織布でもって層状に形成されている。ガラス繊維層120は、複数のガラス繊維を接着剤と混合して当該複数のガラス繊維を相互に絡ませるとともに上記接着剤の硬化のもとに層状に形成されている。なお、本第1実施形態において、当該ガラス繊維層120は、以下、表皮層側ガラス繊維層120という。
【0098】
当該表皮層側ガラス繊維層120は、表皮層110と発泡ウレタン層130との間に積層されている。これにより、当該表皮層側ガラス繊維層120は、その絡み合った複数のガラス繊維の弾性及び剛性でもって、表皮層110及び発泡ウレタン層130の各強度を補強する役割を果たす。
【0099】
発泡ウレタン層130は、発泡ウレタンでもって層状に形成されている。ガラス繊維層140は、表皮層側ガラス繊維層120と同様に、複数のガラス繊維を接着剤と混合して当該複数のガラス繊維を相互に絡ませるとともに当該接着剤の硬化のもとに層状に形成されている。なお、本第1実施形態において、当該ガラス繊維層140は、以下、裏皮層側ガラス繊維層140という。
【0100】
当該裏皮層側ガラス繊維層140は、発泡ウレタン層130と裏皮層150との間に積層されており、当該裏皮層側ガラス繊維層140は、その絡み合った複数のガラス繊維の弾性及び剛性の少なくとも一方でもって、発泡ウレタン層130及び裏皮層150の各強度を補強する役割を果たす。裏皮層150は、不織布でもって、層状に形成されている。なお、裏皮層150の厚さは、表皮層110の厚さよりも薄く設定されている。
【0101】
上述した複数の第1混合部材Pは、それぞれ、
図5(a)にて例示するごとく、混合本体Pa及び複数の混合繊維部111、151、121、141でもって構成されている。ここで、複数の混合繊維部111、151(複数の不織布繊維部111、151)は、それぞれ、混合本体Paのうちの表皮層110及び裏皮層150に対応する各部位から例えば髭状に延出する複数の繊維(不織布繊維)により形成されている。また、複数の混合繊維部121、141(複数のガラス繊維部121、141)は、混合本体Paのうちの表皮層側ガラス繊維層120及び裏皮層側ガラス繊維層140に対応する各部位から例えば髭状に延出する複数の繊維(ガラス繊維)により形成されている。
【0102】
また、複数の第2混合部材Qは、それぞれ、
図5(b)にて例示するごとく、短線(例えば、短繊維)や細片等でもって構成されている。
【0103】
このように構成してなる複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Qは、次のようにして形成されている。ただし、第1混合部材P及び第2混合部材Qは、それぞれ、フロアサイレンサーSの製造に必要な数だけ形成される。これに伴い、廃棄部品100は、フロアサイレンサーSの製造に必要な数だけ準備される。
【0104】
このように準備された廃棄部品100は、まず、破砕機(図示しない)により破砕されて、複数の破砕原材(図示しない)として形成される。当該複数の破砕原材は、それぞれ、例えば、5mm~100mmの範囲以内の大きさを有する。
【0105】
ついで、当該複数の破砕原材は、粉砕機(図示しない)により粉砕されて、複数の粉砕原材(図示しない)として形成される。当該複数の粉砕原材は、それぞれ、例えば、2mm~50mmの範囲以内の大きさを有する。
【0106】
ここで、複数の粉砕原材の各々の形状は、粉砕機による粉砕としての性格上、例えば、立体形状、短線形状、細片形状のように、一定形状にはならず、ばらばらの形状となる。また、各粉砕原材の大きさも、同様に、一定にはならず、ばらばらの大きさとなる。立体形状或いは細片形状の粉砕原材の大きさは、例えば、当該粉砕原材の外形の両対向部位間の長さのうちの最大長さでもって特定する。また、線形状の粉砕原材の大きさは、例えば、短繊維であれば、当該短繊維の長さでもって特定する。
【0107】
要するに、粉砕原材の形状によって異なるものの、当該粉砕原材の大きさは、当該粉砕原材の外形のうちの最大寸法部位でもって特定する。なお、各粉砕原材のうち、立体形状を有する粉砕原材は、上述した第1混合部材Pを形成するとともに、例えば、短線形状或いは細片形状を有する粉砕原材は、上述した第2混合部材Qを形成する。
【0108】
ここで、第1混合部材Pが、上述のごとく、混合本体Pa及び複数の混合繊維部111、151、121、141でもって構成されている根拠について説明する。
【0109】
上述のように廃棄部材100を破砕後粉砕する過程において、廃棄部材100のうちの表皮層110及び裏皮層150の各形成材料は不織布であることから、混合本体Paが上述のように破砕部材の粉砕により形成されるとき、当該混合本体Paのうちの表皮層110及び裏皮層150の各形成材料である不織布を形成する複数の繊維が、少なくともその一部の繊維にて、混合本体Paごとには切断されることなく、複数の混合繊維部111、151として混合本体Paから、例えば、髭状に延出する。
【0110】
また、上述のように廃棄部材100を破砕後粉砕する過程において、廃棄部材100のうちの表皮層側ガラス繊維層120及び裏皮層側ガラス繊維層140の各形成材料は、複数のガラス繊維であることから、上述のように混合本体Paが破砕部材の粉砕により形成されるとき、当該混合本体Paのうちの表皮層側ガラス繊維層120及び裏皮層側ガラス繊維層140の各形成材料である複数のガラス繊維が、その少なくとも1部の繊維にて、混合本体ごとに切断されることなく、複数の混合繊維部121、141として混合本体Paから、例えば、髭状に延出する。
【0111】
以上説明したことから分かるように、混合部材Paは、混合本体Pa及び複数の混合繊維部111、151、121、141でもって構成されている。
【0112】
ここで、フロアサイレンサーSの製造にあたり、当該フロアサイレンサーSを構成する複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Qは、次のように特定されている。
【0113】
フロアサイレンサーSが、上述のごとく、低中周波数帯域の周波数を有する騒音を良好に吸音するサイレンサーとしての役割を果たすために、後述のようにウレタンU内に分散状に積層される第1混合部材Pの大きさ及び数及び第2混合部材Qの大きさ及び数は、フロアサイレンサーSが低中周波数帯域の周波数を有する騒音を良好に吸音し得るように、設定されている。
【0114】
また、フロアサイレンサーS内においては、後述のように、複数の第1混合部材Pが、ウレタンU内にて、当該フロアサイレンサーSの下面から上面にかけて分散状に積層されている。これに伴い、複数の経路Kが、当該フロアサイレンサーSの下面から上面にかけて、ウレタンU内にて、互いに対向し合う複数の混合本体Paの間に沿い形成されている(
図6参照)。ここで、複数の第2混合部材Qは、
図6にて例示するごとく、ウレタンU内において、複数の第1混合部材Pの各複数の混合繊維部111、151、121,141と共に、上述した各経路K内に分散して位置する。なお、上述した複数の経路Kを、以下、それぞれ、迷路状経路Kという。
【0115】
ノイズが、上述のような構成を有するフロアサイレンサーSにその下面側から入射した場合、当該ノイズは、複数の第1混合部材Pの各混合本体Pa及び各迷路状経路Kの双方に入射する。
【0116】
ここで、複数の第1混合部材Pの各混合本体Paは立体形状の固体であるものの通気性を有するから、ノイズは各混合本体Pa内を通る。
【0117】
また、当該複数の第1混合部材Pの各複数の混合繊維部111、151、121,141は、各迷路状経路K内にて分散状に位置する。一方、複数の第2混合部材Qは、上述のごとく、それぞれ、短線形状或いは細片形状を有し、複数の第1混合部材Pの各複数の混合繊維部111、151、121,141と共に、各迷路状経路K内にて分散状に位置する。従って、ノイズは、立体形状の固体である混合本体Paよりも、上述のように複数の混合繊維部111、151、121,141及び第2混合部材Qを分散させてなる各迷路状経路Kの方が通り易い。
【0118】
以上のことから、ノイズは、主として、各迷路状経路Kを、各混合繊維部111、151、121,141及び各混合部材Qを介して通る。
【0119】
このようにノイズが各迷路状経路Kを通る過程においては、各迷路状経路Kは、その迷路形状に沿いノイズを進ませることで、当該ノイズの振動エネルギーを消耗させる役割を果たす。
【0120】
しかも、上述のように各迷路状経路Kを進むノイズは、各混合繊維部111、151、121,141及び各混合部材Qと衝突しながら進む。これに伴い、各混合繊維部111、151、121、141の各複数の繊維及び各混合部材Qは、ノイズとの衝突に伴い振動して当該ノイズの振動エネルギーを消耗させる役割を果たす。
【0121】
換言すれば、各迷路状経路Kは、各混合繊維部111、151、121、141の各複数の繊維及び各混合部材Qと相俟って、ノイズの振動エネルギーを消耗させることにより、当該ノイズを低減させる役割を果たす。
【0122】
以上のようなフロアサイレンサーSにおけるノイズの伝搬構成を前提として、本第1実施形態では、フロアサイレンサーSが低中周波数帯域の周波数を有するノイズを良好に吸音するためには、複数の第1混合部材Pの各混合本体Paは、それぞれ、複数の粉砕原材のうち、例えば、立体形状を有しかつ15mm以上の大きさを有する粉砕原材により形成されているものとした。また、複数の第2混合部材Qは、上述のように形成された複数の粉砕原材のうち、例えば、線形状或いは細片形状を有し、かつ5mm以下の大きさを有する各粉砕原材により形成されているものとした。
【0123】
なお、各混合本体Paの大きさ及び各第2混合部材Qの大きさは、それぞれ、15mm以上及び5mm以下としたが、これに限ることなく、各混合本体Paの大きさ及び各第2混合部材Qの大きさは、それぞれ、上述のようなフロアサイレンサーSに対するノイズの伝搬構成を満たすような大きさであればよい。
【0124】
ここで、フロアサイレンサーSの製造方法について説明すると、当該フロアサイレンサ―Sは、上述のように形成してなる複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Q、並びにウレタンUでもって、次のようにして製造される。
【0125】
複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Qは、液体状態にあるウレタンUと共に、混合機(図示しない)に投入される。このように投入された複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Qは、ウレタンU内にて、当該混合機により撹拌混合され、当該ウレタンUの硬化に伴い、撹拌混合体として形成される。なお、当該撹拌混合体は、複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材QをウレタンU内にて分散状に積層してなる形状を有するように形成される。
【0126】
上述のように形成してなる撹拌混合体は、プレス型(図示しない)の上型と下型との間に投入される。ついで、このように投入された撹拌混合体は、蒸気を蒸気発生器(図示しない)によりプレス型の上型と下型の間に吹き付けながら、上型を下型に向けて降下させることで、フロアサイレンサーSの立体形状に対応する所定の層形状に押圧成形される。当該フロアサイレンサーSの厚さは、例えば、25mmである。なお、当該フロアサイレンサーSの厚さは、特に、25mmに限ることなく、各種自動車において搭載されるフロアサイレンサーの通常の厚さであればよい。
【0127】
このようにして、フロアサイレンサーS(
図2参照)が製造される。当該フロアサイレンサーSの構成は、
図3にて示すごとく、ウレタンU内にて、複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Qを分散状に積層してなる積層構成となっている。
【0128】
このような積層構成によれば、上述した各迷路状経路Kが、ウレタンU内において、互いに対向し合う各混合本体Paの間にて、
図6にて例示する通り、フロアサイレンサーSの下面側から上面側にかけて形成される。
【0129】
また、互いに対向し合う各混合本体Paから延出する各不織布繊維部111、151及び各ガラス繊維部121、141、並びに互いに対向し合う各混合本体Paの間に位置する各第2混合部材Qは、それぞれ、各迷路状経路K内に分散状に位置する。
【0130】
以上のようにして、フロアサイレンサーSは、低中周波数帯域の周波数を有するノイズを良好に吸音し得る機能を発揮し得るサイレンサーとして製造される。
【0131】
以上のように構成してなる本第1実施形態においては、フロアサイレンサーSが、その構成にて、上述したごとく、低中周波数帯域の周波数を有するノイズに対し優れた吸音性能を発揮するように、以下のように形成されている。
(1)フロアサイレンサーSは、
図3にて示すように、複数の混合部材P及び複数の混合部材Qを、ウレタンU内にて、分散状に積層してなる積層構成を有するように形成されている。
(2)混合本体Paの形状及び大きさ並びに第2混合部材Qの形状及び大きさは、上述のごとく、フロアサイレンサーSの優れた吸音性能を確保し得るように設定されている。
(3)フロアサイレンサーSにおいては、複数の迷路状経路Kが、ウレタンU内にて、互いに対向し合う複数の混合本体Paの間に形成されている。また、各第1混合部材Pの複数の混合繊維部111、141、121、141及び各第2混合部材Qが、各迷路状経路K内にて、分散して位置する。
【0132】
このようなフロアサイレンサーSの構成のもと、当該ガソリン自動車が、例えば、前進走行状態におかれると、当該ガソリン自動車は、エンジンEの起動のもと、左右両側前輪FW及び左右両側後輪RWの路面L(
図1参照)に沿う回転に伴い、前方への走行を開始する。このように走行を開始した当該ガソリン自動車は、その左右両側前輪FW及び左右両側後輪RWのロードLに沿う回転のもとに前進走行する。
【0133】
このような前進走行状態において、ロードノイズが路面Lから左右両側前輪FW、左右両側後輪RWを介し発生すると、当該ロードノイズは、主として、フロアパネルFPを介しフロアサイレンサーSの前側サイレンサー部Saの前端部Sd以外の部位、後側サイレンサー部Sb及び中側サイレンサー部Scを通り車室10内に向けて進む。ここで、当該ロードノイズは、その一部にて、左右両側後輪RW及びダッシュパネルDPの下端部を介し前側サイレンサー部Saの前端部Sdを通り車室10内に向けて進む。
【0134】
なお、上述のように進むロードノイズは、上述したごとく、低中周波数領域の周波数を有する。当該ロードノイズは、その音圧レベルにおいて、
図7のグラフにて示すような周波数特性を有する。当該グラフによれば、低中周波数帯域(100Hz~1000Hz)内の周波数を有するノイズ(ロードノイズ)の音圧レベルが高いことが分かる。
【0135】
然るに、フロアサイレンサーSは、上述のような構成でもって、ロードノイズに対し、優れた吸音性能を発揮する。従って、低中周波数帯域の周波数を有するロードノイズは、フロアサイレンサーSの前側サイレンサー部Sa、後側サイレンサー部Sc及び中側サイレンサー部Scでもって、良好に軽減され得る。
【0136】
換言すれば、左右両側前輪FWからフロアサイレンサーSの前端部Sdを介し車室10内に進むロードノイズ及びフロアパネルFP及びフロアサイレンサーSの前端部Sd以外の部位を通り車室10内に進むロードノイズは、フロアサイレンサーSにより良好に吸音され得る。その結果、当該ガソリン自動車が前進走行中にあっても、車室10内の乗員は、ロードノイズに基づく不快感を伴うことなく、快適な乗車感覚を確保し得る。
【0137】
なお、エンジンEが発生する騒音(以下、エンジンノイズという)は、ダッシュパネルDPに沿い装着されるダッシュサイレンサーDS(
図1参照)により吸音されるが、当該エンジンノイズは、その音圧レベルにおいて、
図8のグラフにて示すような周波数特性を有する。当該グラフによれば、広い周波数帯域(250Hz~4000Hz)に亘り、音圧レベルが高いことが分かる。
【0138】
ちなみに、本第1実施形態におけるフロアサイレンサーSの吸音性能を残響室法吸音率試験により測定することとした。この測定にあたり、フロアサイレンサーSと同様の構成を有する試料(以下、実施試料1という)を準備した。また、当該実施試料1との比較のために、単層吸音材からなる試料(以下、比較試料2という)を準備した。なお、当該単層吸音材は、25mmの厚さを有する単層の不織布層でもって構成されている。
【0139】
実施試料1の吸音性能を上記吸音率試験により測定した。この測定結果は、
図9にて示すグラフ1として得られた。当該グラフ1は、実施試料1の吸音率を周波数との関係で示すグラフである。当該グラフ1は、周波数800Hzにおいて吸音率のピーク値(
図9にて符号1a参照)を有する。
【0140】
また、比較試料2の吸音性能を上記吸音率試験により測定した。この測定結果は、
図9にて示すグラフ2として得られた。当該グラフ2は、比較試料2の吸音率を周波数との関係で示すグラフである。
【0141】
両グラフ1、2を対比してみると、グラフ1の吸音率は、低中周波数帯域、即ち、周波数800Hzを含む周波数領域(400Hz~1000Hz)において、比較グラフ2の吸音率よりも高いことが分かる。このことは、実施試料1は、低中周波数帯域の周波数において、比較試料2に比べて、高い吸音率を有することを意味する。
【0142】
従って、実施試料1は、比較試料2との比較において、上述したロードノイズに対し良好な吸音性能を発揮し得ることが分かる。このことは、フロアサイレンサーSは、比較試料1に比べて、優れた吸音性能を有することを意味する。
【0143】
ここで、第1混合部材Pの混合本体Paの大きさをパラメータとして、フロアサイレンサーSの吸音率とノイズの周波数との関係について調べたところ、吸音率のピーク値は、混合本体Paの大きさが大きい程、低中周波数帯域側へ移動し、また、混合本体Paの大きさが小さいほど、高周波数帯域側へ移動することが分かった。
従って、ロードノイズを主として吸音する場合には、低中周波数領域側へ吸音率のピーク値を、例えば、
図9のグラフ1のように、移動させるように、混合本体Paの大きさを大きくすればよいことが分かった。
【0144】
また、上述のように第1混合部材Pの混合本体Paの大きさをパラメータとして、フロアサイレンサーSの吸音率とノイズの周波数との関係について調べるのにあわせて、混合本体Paの大きさ、通気度及びノイズの周波数との関係をも、調べた。その結果、混合本体Paの大きさが大きい程、当該混合本体Paの通気度は、低くなることも分かった。これによれば、フロアサイレンサーSは、低中周波数帯域内の周波数を有するノイズを良好に吸音可能となる。
(第2実施形態)
図10は、本発明を自動車に適用してなる第2実施形態を示している。当該自動車は、電気自動車の1種である。当該電気自動車は、上記第1実施形態にて述べたガソリン自動車と同様に車室10を備えている。また、当該電気自動車は、上述のガソリン自動車と同様に、車室10内にて、左右両側の前側座席20a(
図10では、左側前側座席20aのみを示す)及び左右両側の後側座席20b(
図10では、左側後側座席20bのみを示す)を配設してなるものである。
【0145】
また、当該電気自動車では、上述したガソリン自動者と同様に、左右両側前輪FW(
図10では、左側前輪のみを示す)及び左右両側後輪RW(
図10では、左側後輪のみを示す)が前後輪軸30a、30bによりそれぞれ支持されているとともに、上記第1実施形態にて述べたフロアパネルFP及びフロアシートFSが、本第2実施形態においても、同様に、車室10のフロアパネル及びフロアシートとして配設されている。
【0146】
さらに、当該電気自動車は、
図1にて示すごとく、バッテリセット40を備えており、当該バッテリセット40は、フロアパネルFPにその下面側から取り付けられている。ここで、当該バッテリセット40は、ケーシング41及び当該ケーシング41内に収容した複数のバッテリからなるバッテリ群(図示しない)を有している。ケーシング41は、その上壁にて、フロアパネルFPの下面に装着されている。本第2実施形態において、フロアパネルFPは、車室10の床壁に対応することから、ケーシング41は、車室10の床壁(フロアパネルFP)に沿うように、扁平四角形状に形成されている。
【0147】
上述のバッテリ群は、その各バッテリにて、ケーシング41内に配列されており、当該バッテリ群は、インバータIN(
図10参照)を介し、電動機50に対し当該電動機50を駆動可能に接続されている。なお、電動機50は、前輪軸30aの軸方向中央部の直上にて、当該電気自動車の車体の一部に支持されている。また、インバータINは、当該電気自動車の車体のうち電動機50の近傍部位に配設されており、当該インバータINは、電動機50と上記バッテリ群との間に接続されて、上記バッテリ群の出力を調整して電動機50に供給する。
【0148】
また、当該電気自動車は、その駆動系統として、上述した電動機50に加え、トランスファ機構60、前側デファレンシャル機構70及び後側デファレンシャル機構80を備えている。
【0149】
トランスファ機構60は、電動機50の回転に伴う動力を、前側デファレンシャル機構70及び後側デファレンシャル機構80に分配して伝達する役割を果たす。なお、当該トランスファ機構60は、電動機50の後側にて上記車体の他の一部に支持されている。
【0150】
前側デファレンシャル機構70は、前輪軸30aの軸方向中央部に組み付けられており、当該前側デファレンシャル機構70は、トランスファ機構60からの分配動力に基づき前輪軸30aを介し左右両側前輪FRに差動的に動力を伝達する。
【0151】
後側デファレンシャル機構80は、後輪軸30bの軸方向中央部に組み付けられている。当該後側デファレンシャル機構80は、プロペラ軸90を介しトランスファ機構70に連結されており、当該後側デファレンシャル機構80は、トランスファ機構70からの分配動力を、プロペラ軸90を介し伝達される。これに伴い、当該後側デファレンシャル機構80は、プロペラ軸90からの伝達分配動力を、後輪軸30bを介し左右両側後輪RWに差動的に伝達する。
【0152】
当該電気自動車は、
図10に示すごとく、本発明に係るフロアサイレンサーS1を備えている。当該フロアサイレンサーS1は、フロアパネルFPとフロアシートFSとの間に介装されており、当該フロアサイレンサーS1は、フロアパネルFPを介しバッテリセット40に対向するように、当該フロアパネルFP上に搭載されている。
【0153】
当該フロアサイレンサーS1は、
図10にて示すごとく、上記第1実施形態にて述べた前側サイレンサー部Sa、後側サイレンサー部Sb及びこれら前後両側サイレンサー部Sa、Sbの間に位置する中側サイレンサー部Scに対応する前側サイレンサー部Se、後側サイレンサー部Sf及び中側サイレンサー部Sgを備えている。
【0154】
前側サイレンサー部Seは、上記第1実施形態にて述べた前側サイレンサー部Saと同様に、
図10にて示すごとく、フロアパネルFPの前側部位FPa上に沿うように搭載されており、当該前側サイレンサー部Seは、その前端部Shにて、ダッシュパネルDPの下端部に沿い延在している。
【0155】
一方、後側サイレンサー部Sfは、上記第1実施形態にて述べた後側サイレンサー部Sbと同様に、フロアパネルFPの後側部位FPb上に沿うように搭載されている。また、中側サイレンサー部Sgは、上記第1実施形態にて述べた後側サイレンサー部Scと同様に、フロアパネルFPの中側凸部FPc(
図10参照)上に沿うように略逆U字形状に形成されており、当該中側サイレンサー部Sgは、前後両側サイレンサー部Se、Sfの間にてこれら前後両側サイレンサー部Se、Sfと一体的に形成されている。
【0156】
ここで、フロアサイレンサーS1の構成について詳細に説明する。当該フロアサイレンサーS1は、上記第1実施形態にて述べたフロアサイレンサーSと同様に、複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材QをウレタンUと混合攪拌してなる撹拌混合体を、フロアサイレンサーS1と同様の立体形状となるように、上記プレス型により押圧成形することで形成されている。ただし、本第2実施形態では、低中周波数帯域及び高周波数帯域の周波数を有するノイズの吸音のため、複数の第1混合部材Pの各混合本体Paの大きさは、上記第1実施形態にいう混合本体Paの大きさよりも小さい範囲の大きさをも含むように、例えば、10mm~20mmの範囲の大きさに設定されている。
【0157】
本第2実施形態においては、各混合本体Paの大きさは10mm~20mmの範囲の大きさとしたが、これに限ることなく、各混合本体Paの大きさは、低中周波数帯域の周波数を有するノイズに加えて、高周波数帯域の周波数を有するノイズをも良好に吸音し得る大きさの範囲であればよい。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0158】
以上のように構成してなる本第2実施形態においては、フロアサイレンサーS1が、その構成にて、上述したごとく、低中周波数帯域の周波数を有するノイズに加えて、高周波数帯域の周波数を有するノイズに対しても、優れた吸音性能を発揮するように、以下のように形成されている。
(1)フロアサイレンサーS1は、
図3の例示と同様に、複数の第1混合部材P及び複数の第2混合部材Qを、ウレタンU内にて、分散状に積層してなる積層構成を有するように形成されている。
(2)低中周波数帯域及び高周波数帯域に亘る周波数を有するノイズの吸音のため、複数の混合部材Pの各混合本体Paの大きさは、上述のごとく、上記第1実施形態にいう混合本体Paの大きさよりも小さくなる範囲の大きさをも含むように設定されている。また、複数の第2混合部材Qは、それぞれ、上記第1実施形態と同様の短線形状或いは細片形状及び大きさを有する。また、第1混合部材Pの数及び第2混合部材Qの数は、本第2実施形態にいう混合本体Paの大きさ、上記第1実施形態にいう混合本体Paの大きさ、並びに上述した第2混合部材Qの形状及び大きさと相俟って、低中周波数帯域及び高周波数帯域に亘る周波数を有するノイズに対し、フロアサイレンサーS1の優れた吸音性能を確保し得るように設定されている。
(3)フロアサイレンサーS1内の上記積層構成においては、複数の迷路状経路Kが、上記第1実施形態と同様に形成されている。また、各第1混合部材Pの複数の混合繊維部111,141、121、141及び各第2混合部材Qは、上記第1実施形態と同様に、各迷路状経路K内に分散状に位置する。
【0159】
このような構成を前提として、当該電気自動車の発進にあたり、バッテリセット40内の上記バッテリ群が、電力を、上記インバータを介し電動機50に供給すると、当該電動機50が始動する。これに伴い、当該電動機50からの動力が、トランスファ機構60により前後両側デファレンシャル機構70、80に対し分配される。
【0160】
すると、前側デファレンシャル機構70が、トランスファ機構60からの分配動力を、前輪軸30aを介し左右両側前輪FWに伝達するとともに、後側デファレンシャル機構80が、トランスファ機構60からの分配動力を、プロペラ軸90を介し受けて後輪軸30bを介し左右両側後輪RWに伝達する。
【0161】
これに伴い、当該電気自動車は、左右両側前輪FW及び左右両側後輪RWの路面L(
図10参照)に沿う回転により、例えば、前方への走行を開始する。このように走行を開始した当該電気自動車は、その左右両側前輪FW及び左右両側後輪RWのロードLに沿う回転のもとに前進走行する。
【0162】
このような前進走行状態において、ロードノイズが路面Lから左右両側前輪FWや左右両側後輪RWを介し発生すると、当該ロードノイズは、上記第1実施形態にて述べたフロアサイレンサーに代えて、フロアサイレンサーS1を介し車室10内に向けて進む。また、バッテリセット40内の上記バッテリ群や上記インバータが、その各ノイズを、電動機50への電力の供給に伴い、バッテリノイズとして発生すると、当該バッテリノイズは、フロアパネルFPを介しフロアサイレンサーS1を通り車室10内に向けて進む。
【0163】
上述のように進むロードノイズは、低中周波数領域の周波数を有し、一方、上述のように進むバッテリノイズは、上述したごとく、高周波数領域の周波数を有する。
【0164】
然るに、フロアサイレンサーS1は、上述した構成を有することから、当該フロアサイレンサーS1は、低中周波数領域の周波数を有するノイズに加え、高周波数帯域の周波数を有するノイズに対しても、優れた吸音性能を有する。
【0165】
従って、低中周波数帯域の周波数を有するロードノイズ及び高周波数帯域の周波数を有するバッテリノイズは、フロアサイレンサーS1により良好に吸音され得る。これにより、フロアサイレンサーS1に入射する低中周波数帯域の周波数を有するロードノイズ及び高周波数帯域の周波数を有するバッテリノイズは大幅に低減され得る。その結果、当該電気自動車が前進走行中にあっても、車室10内の乗員は、低中周波数帯域の周波数を有するロードノイズ及び高周波数帯域の周波数を有するバッテリノイズの双方のノイズに対する不快感を伴うことなく、快適な乗車感覚を確保し得る。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0166】
ちなみに、本第2実施形態におけるフロアサイレンサーS1の吸音性能を、上記第1実施形態と同様に、残響室法吸音率試験により測定してみた。この測定にあたり、フロアサイレンサーS1と同様の構成を有する試料(以下、実施試料3という)を準備した。また、当該実施試料3との比較のために、単層吸音材からなる試料(以下、比較試料4という)を準備した。なお、当該単層吸音材は、25mmの厚さを有する単層の不織布層でもって構成されている。
【0167】
実施試料3の吸音性能を上記吸音率試験により測定した。この測定結果は、
図11にて示すグラフ3として得られた。当該グラフ3は、実施試料3の吸音率を周波数との関係で示すグラフである。当該グラフ3は、周波数1000Hz近辺において吸音率のピーク値(
図11にて符号3a参照)を有する。当該グラフ3によれば、ピーク値が、上記第1実施形態にて述べたグラフ1(
図9参照)に比べて、高周波数帯域側へ移動していることが分る。
【0168】
また、比較試料4の吸音性能を上記吸音率試験により測定した。この測定結果は、
図11にて示すグラフ4として得られた。当該グラフ4は、比較試料4の吸音率を周波数との関係で示すグラフである。
【0169】
両グラフ3、4を対比してみると、グラフ3においてピーク値3aの周波数を含む周波数帯域(630Hz~1600Hz)の範囲において、実施試料3の吸音率が、比較試料3の吸音率よりも高いことが分る。換言すれば、実施試料3の吸音率は、低中周波数帯域の周波数に加え、高周波数帯域の周波数においても、比較試料4の吸音率よりも高いことが分かる。
【0170】
従って、実施試料3は、比較試料4との比較において、上述した低中周波数帯域の周波数のロードノイズ及び高周波数帯域の周波数のバッテリノイズに対し優れた吸音性能を発揮し得ることが分かる。このことは、フロアサイレンサーS1は、比較試料4に比べて、優れた吸音性能を有することを意味する。
(第3実施形態)
図12は、本発明に係るフロアサイレンサーの第3実施形態の要部を示している。
当該第3実施形態にいうフロアサイレンサー(以下、フロアサイレンサーS2という)は、
図12にて示すごとく、上記第1実施形態にて述べた複数の混合部材Pに加えて、繊維部材Rを備えている。なお、複数の混合部材Qは、本第3実施形態では採用されていない。
【0171】
本第3実施形態において、繊維部材Rは、フロアサイレンサーS2の吸音性能を上記第1実施形態にいうフロアサイレンサーSと同様に、低中周波数帯域の周波数を有するノイズに対し優れた吸音性能を確保しつつ、当該フロアサイレンサーS2の軽量化を図ることを目的として、採用されている。これに伴い、本第3実施形態においては、繊維部材Rは、例えば、綿状のフェルトの繊維でもって形成されている。
【0172】
このような構成を前提として、フロアサイレンサーS2の製造にあたっては、複数の混合部材P及び繊維部材Rが、上記第1実施形態にて述べた液状のウレタンUとともに、上記第1実施形態にて述べた混合機内に投入されて、当該混合機により撹拌混合された後、ウレタンUの硬化に伴い、複数の混合部材Pが、繊維部材Rと共に、ウレタンU内にて分散状に積層される。このようにしてフロアサイレンサーS2が製造される。
【0173】
ここで、上述したフロアサイレンサーS2の製造にあたり、フロアサイレンサーS2の吸音性能を上記第1実施形態にいうフロアサイレンサーS1の吸音性能と同様の吸音性能とし、かつ、フロアサイレンサーS2の軽量化をも確保するため、混合部材Pと繊維部材Rとの混合比は、例えば、70%:30%となるように設定されている。
【0174】
本第3実施形態においては、混合部材Pと繊維部材Rとの混合比は、上述のごとく、70%:30%と設定してある。しかし、当該混合比は、混合部材Pの混合本体Paの形状、電気自動車に許容されるノイズ及び振動の各目標値(NV目標値)及び電気自動車の軽量化の要請に伴うフロアサイレンサーS2の軽量化のための目標質量に応じて変化する。従って、当該混合比は、上述のように、70%:30%と限定することなく、混合部材Pの混合本体Paの形状、電気自動車に対するNV目標値及びフロアサイレンサーS2の軽量化のための目標質量に応じて設定してもよい。
【0175】
上述のような混合比によれば、混合部材Pの数は、上記第1実施形態における混合部材Pの数よりもかなり少なくなる。しかも、繊維部材Rが綿状のフェルトの繊維からなることから、立体形状の混合本体Paを有する混合部材Pに比べてかなり軽量である。このことは、フロアサイレンサーS2は、上記第1実施形態にいうフロアサイレンサーSに比べて、かなり軽量であることを意味する。
【0176】
また、本第3実施形態にいうフロアサイレンサーS2においては、複数の混合部材Pが、上述したごとく、繊維部材Rと共に、ウレタンU内にて分散状に積層されている。従って、当該フロアサイレンサーS2においては、複数の迷路状経路Kが、
図12にて例示するごとく、上記第1実施形態と同様に、互いに対向し合う複数の混合部材Pの混合本体Paの間を通り形成されている。これに伴い、各混合部材Pの複数の混合繊維部が、各迷路状経路K内にて分散状に位置する。
また、繊維部材Rが、互いに対向する各混合部材Pの混合本体Pa間において綿状の繊維の集まりとなって分散状に位置する。これに伴い、繊維部材Rである綿状のフェルト繊維は、各混合部材Pの複数の混合繊維部とともに、各迷路状経路K内にて分散状に位置する。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0177】
以上のように構成してなる本第3実施形態においては、フロアサイレンサーS2においても、各迷路状経路Kを通るノイズは、上記第1実施形態と同様に、当該各迷路状経路Kの迷路形状に沿い移動するとともに、繊維部材Rの綿状繊維及び各混合部材Pの複数の混合繊維部と衝突する。これにより、当該ノイズは、その振動エネルギーの消耗により低減され得る。
【0178】
しかも、本第3実施形態においては、混合部材Pと繊維部材Rとの混合比は、上述のように、例えば、70%:30%となっている。従って、フロアサイレンサーS2は軽量である。
【0179】
従って、フロアサイレンサーS2は、低中周波数帯域の周波数を有するノイズに対し優れた吸音性能を発揮し、かつ、軽量なサイレンサーとして形成され得る。
【0180】
これによれば、当該フロアサイレンサーS2は、上記第1実施形態と同様に、上述した低中周波数帯域の周波数を有するロードノイズを良好に吸音し得る。その結果、当該ガソリン自動車が、例えば、前進走行中にあっても、車室10内の乗員は、上述したロードノイズに対する不快感を伴うことなく、快適な乗車感覚を確保し得る。
【0181】
また、フロアサイレンサーS2は、上述のごとく、軽量なサイレンサーとして形成されている。従って、当該フロアサイレンサーS2は、その搭載対象であるガソリン自動車の軽量化に役立つ。
【0182】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、フロアサイレンサーS2は、上記第1実施形態にいうフロアサイレンサーSと同様に低中周波数帯域の周波数を有するノイズに対し優れた吸音性能を発揮することで乗員に対し快適な乗車感覚をもたらし、かつ、当該ガソリン自動車の搭載部品に対する軽量化の要請にも十分応え得るフロアサイレンサーとして提供され得る。
【0183】
ちなみに、フロアサイレンサーS2において混合部材Pと繊維部材Rとの混合比のみを変更してなる試料を複数準備して、当該混合比の変更が試料としての吸音特性にどのような影響を与えるかについて調べてみたところ、混合部材Pに対する繊維部材Rの混合比が増大する程、吸音率の周波数特性における吸音率のピーク値は、高周波数帯域側へ移動することが分った。
【0184】
また、上記第2実施形態にて述べたフロアサイレンサーS1の軽量化について検討してみたところ、混合部材Pと繊維部材Rとの混合比を50%:50%にすれば、フロアサイレンサーS1と同様に低中周波数帯域及び高周波数帯域の周波数を有するノイズに対し優れた吸音性能を確保し、かつ本第3実施形態にいうフロアサイレンサーS2と同様に軽量化を確保し得るフロアサイレンサーを提供し得ることが分った。
【0185】
よって、上記第2実施形態にいうフロアサイレンサーS1が、上記第3実施形態にいうフロアサイレンサーS2と同様に複数の混合部材P、繊維部材R及びウレタンUでもって形成され、かつ、当該混合部材Pと繊維部材Rとの混合比が、50%:50%と設定してなるフロアサイレンサーであれば、当該フロアサイレンサーにおける混合部材Pの数は、上記第2実施形態にいうフロアサイレンサーS1における混合部材Pの数に比べてかなり少ない。
【0186】
従って、上述のように複数の混合部材P、繊維部材R及びウレタンUでもって、上記混合比50%:50%のもとに形成してなるフロアサイレンサーは、上記第2実施形態にいうフロアサイレンサーS1と同様に低中周波数帯域及び高周波数帯域の周波数を有するノイズに対し優れた吸音性能を発揮し得るとともに、上記第2実施形態にいうフロアサイレンサーS1に比べて、かなり軽量なフロアサイレンサーを提供することができる。
(第4実施形態)
図13は、本発明に係るフロアサイレンサーの第4実施形態の要部を示している。当該第4実施形態にいうフロアサイレンサーは、上記第1実施形態にいうフロアサイレンサーSを構成する複数の第1混合部材P、複数の第2混合部材Q及びウレタンUにおいて、複数の第1混合部材Pが、複数の切断部材でもって構成されている。これにより、本第4実施形態にいうフロアサイレンサーは、複数の切断部材からなる複数の第1混合部材P並びに上記第1実施形態にいう第2混合部材Q及びウレタンUにより構成されている。
【0187】
本第4実施形態において、複数の第1混合部材Pである複数の切断部材は、次のようにして形成されている。上記第1実施形態にて述べた廃棄部品100は、上述したごとく、表皮層110、表皮層側ガラス繊維層120、発泡ウレタン層130、裏皮層側ガラス繊維層140及び裏皮層150でもって構成されている。
【0188】
このように構成してなる廃棄部品100は、切断機(図示しない)により、
図13及び
図14にて示すごとく、格子状(
図13参照)にかつ各矢印y(
図14参照)の方向に沿い切断されている。これにより、複数の切断部材である複数の第1混合部材Pは、それぞれ、同一の直方体形状の切断本体と、当該切断本体から延出する複数の繊維部とにより形成されている。
【0189】
ここで、上記切断本体は、上記第1実施形態にいう混合本体Paを構成する。従って、本第4実施形態においても、上記切断本体は、混合本体Paという。当該切断本体である混合本体Paは、上記第1実施形態にいう各混合本体Paと同様の大きさを有する。
【0190】
また、本第4実施形態にいう複数の繊維部は、上記第1実施形態にいう複数の混合繊維部に対応することから、本第4実施形態においても、複数の混合繊維部という。
【0191】
また、廃棄部品100において、両不織布層110、150を形成する各不織布は不織布繊維の集まりであるため、上述のように、廃棄部品100を格子状に切断する際、不織布層110、150の複数の不織布繊維は、切断されにくい。このため、本第4実施形態にいう複数の混合繊維部は、それぞれ、上述したごとく、切断本体である混合本体Pの各切断面から、例えば、複数の髭状繊維として延出するように形成されている。
【0192】
また、各ガラス繊維層120、140を形成する複数のガラス繊維は、不織布層110、150に比べてかなり高い剛性及び弾性を有する。このため、上述のように、廃棄部品100を格子状に切断する際、各ガラス繊維層120、140の各ガラス繊維の集まりは、より一層切断されにくく、
図7(a)の場合と同様に、切断部材である混合部材Pの各混合本体Pa(切断本体Pa)から髭のように延出形成されている。
【0193】
本第4実施形態において、複数の第2混合部材Qは、上記第1実施形態にて述べた複数の第2混合部材Qであってもよい。また、本第4実施形態にいう複数の第2混合部材Qは、他の廃棄部品100を、上記破砕機により破砕した後、上記粉砕機により粉砕することで形成される複数の混合部材であってもよい。なお、その他の構成は、上記第1、第2或いは第3の実施形態と同様である。
【0194】
以上のように構成してなる本第4実施形態によれば、第1混合部材Pにおいて、上述した切断部材が混合本体Paとして形成され、上記切断部材から延出する複数の繊維が混合繊維部として形成されていても、上記第1、第2或いは第3の実施形態にて述べた作用効果と同様に作用効果を達成し得る。
【0195】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べたガソリン自動車及び第2実施形態にて述べた電気自動車に限ることなく、電動機及びエンジンの双方を原動機として搭載してなるハイブリッド型自動車についても、本発明を適用して実施してもよい。
【0196】
この場合、ロードノイズ及びバッテリノイズの双方に対し優れた吸音性能を発揮し得るフロアサイレンサーSをハイブリッド型自動車の車室の床壁に沿い配設すればよい。
(2)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にいうウレタンUは、これに限ることなく、熱硬化性樹脂からなるバインダーであってもよい。
(3)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にいう廃棄部材は、上記第1実施形態にて述べた構成に限ることなく、多孔質層、熱硬化性樹脂層及び複数のガラス繊維を有するガラス繊維層を積層してなる積層状複合部材であってもよい。
(4)本発明の実施にあたり、フロアサイレンサーは、
図1或いは
図10に示すフロアサイレンサーに限ることなく、当該フロアサイレンサーの前側サイレンサー部或いは後側サイレンサー部をフロアサイレンサーとしてもよい。
(5)本発明の実施にあたり、上記各実施形態におけるフロアサイレンサーに限ることなく、自動車用の各種の自動者用吸音体或いは各種の自動車用フロアサイレンサーとして本発明を適用して実施してもよい。
【符号の説明】
【0197】
10…車室、40…バッテリセット、50…電動機、100…廃棄部品、
110…表皮層、111、121、141、151…混合繊維部、
120、140…ガラス繊維層、130…発泡ウレタン層、150…裏皮層、
DP…ダッシュパネル、E…エンジン、ER…エンジンルーム、
FP…フロアパネル、FS…フロアシート、K…迷路状経路、P…混合部材、
Pa…混合本体、R…繊維部材、S、S1、S2…フロアサイレンサー、
Sa…前側サイレンサー部、Sb…後側サイレンサー部、Q…混合部材、
U…バインダー。