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特開2023-64352復旧意思決定支援装置、および復旧意思決定支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064352
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】復旧意思決定支援装置、および復旧意思決定支援方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20230501BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230501BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230501BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230501BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 180
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
H02J13/00 311R
H02J3/38 110
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174586
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 将士
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲嗣
(72)【発明者】
【氏名】友部 修
(72)【発明者】
【氏名】河村 勉
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AC10
5G064BA02
5G064CB14
5G064DA03
5G066AA03
5G066AA08
5G066HA11
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】配電系統の停電復旧時に単独運転を計画し、単独運転計画を考慮した復旧作業計画を立案することで、可能な限り早期に可能な限り多くの需要家を停電復旧することができる復旧意思決定支援装置、および復旧意思決定支援方法を提供する。
【解決手段】電力系統の事故により切り離された電力系統区間を再度電力系統に接続するための復旧意思決定支援装置であって、切り離された電力系統区間について、隣接する開閉器で区分される開閉器区間を定義し、少なくとも内部に分散電源を有する,または電源車を配備する開閉器区間を単独運転区間として単独運転計画を立案する単独運転計画部と、前記電力系統のうち、内部に事故や被害設備が存在する開閉器区間を単独運転区間として単独運転計画を立案する単独運転計画部と、単独運転計画部が作成した単独運転計画のうち、開閉器区間の内部に事故や被害設備が存在する単独運転区間について、その復旧作業計画を立案する復旧作業計画部を備えることを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の事故により切り離された電力系統区間を再度前記電力系統に接続するための復旧意思決定支援装置であって、
前記切り離された電力系統区間について、隣接する開閉器で区分される開閉器区間を定義し、少なくとも内部に分散電源を有する,または電源車を配備する開閉器区間を単独運転区間として単独運転計画を立案する単独運転計画部と、
前記電力系統のうち、内部に事故や被害設備が存在する開閉器区間について、その復旧作業計画を立案する復旧作業計画部を備えることを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記単独運転計画部は、事故や被害設備の復旧作業後に単独運転可能な開閉器区間を提示する単独運転計画を立案し、
前記復旧作業計画部は、前記単独運転計画に基づき停電被害を最小化するような事故や被害設備の復旧作業計画と、各開閉器区間の復旧タイムステップおよびその復電手段と、を立案することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記単独運転計画部は、即時に単独運転可能な開閉器区間を示す第1の単独運転計画と、復旧作業後に単独運転可能な開閉器区間を示す第2の単独運転計画を立案することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記復旧作業計画部は、前記単独運転計画に基づき停電被害を最小化するような事故や被害設備の復旧作業計画を立案することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項5】
請求項2に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記復旧作業計画部は、前記単独運転計画に基づき各開閉器区間の復旧タイムステップとその復電手段を立案することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項6】
請求項4に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記復旧作業計画部は、停電被害を最小化するため最適化計算により復旧作業計画を立案することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記単独運転計画部が立案した単独運転計画と、前記復旧作業計画部が作成した復旧作業計画を画面に出力する画面出力部を有することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記画面出力部は、前記単独運転計画部が立案した即時に単独運転可能な開閉器区間を示す第1の単独運転計画と、復旧作業後に単独運転可能な開閉器区間を示す第2の単独運転計画を画面出力することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項9】
請求項7に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記画面出力部は、前記復旧作業計画部が立案した復旧作業計画と、各開閉器区間の復旧タイムステップとその復電手段を画面に出力することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項10】
請求項9に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記画面出力部は、前記復旧作業計画部が立案した復旧作業計画を画面に出力することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項11】
請求項9に記載の復旧意思決定支援装置であって、
前記画面出力部は、前記復旧作業計画部が立案した各開閉器区間の復旧タイムステップとその復電手段を画面に出力することを特徴とする復旧意思決定支援装置。
【請求項12】
計算機を用いて実現され、電力系統の事故により切り離された電力系統区間を再度前記電力系統に接続するための復旧意思決定支援方法であって、
前記切り離された電力系統区間について、隣接する開閉器で区分される開閉器区間を定義し、少なくとも内部に分散電源を有する,または電源車を配備する開閉器区間を単独運転区間として単独運転計画を立案し、
前記電力系統のうち、内部に事故や被害設備が存在する開閉器区間について、その復旧作業計画を立案することを特徴とする復旧意思決定支援方法。
【請求項13】
請求項12に記載の復旧意思決定支援方法であって、
前記単独運転計画は、即時に単独運転可能な開閉器区間を示す第1の単独運転計画と、復旧作業後に単独運転可能な開閉器区間を示す第2の単独運転計画を含み、前記第2の単独運転計画に基づいて復旧作業における手順及びリソースを含む復旧作業計画を立案することを特徴とする復旧意思決定支援方法。
【請求項14】
請求項12に記載の復旧意思決定支援方法であって、
前記単独運転計画に応じ、単独運転、および電力系統または単独運転区間との連系により停電復旧可能な開閉器区間の負荷容量、および前記開閉器区間が停電復旧するのに必要な所要時間を考慮し、前記負荷容量と前記所要時間との積の全開閉器区間に対する総和を最小化する復旧計画を作成することを特徴とする復旧意思決定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統運用者などが運用する電力系統に関して、単独運転計画を考慮して復旧作業計画を立案し、復旧意思決定を支援する復旧意思決定支援装置および復旧意思決定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギー電源などの分散電源の電力系統への導入が進められている。その一方で、台風や洪水といった大規模災害が増加傾向にあり、これに伴う基幹系統事故や配電系統での多重事故による大規模停電や復旧長期化の事例が顕在化している。電力インフラは、これらの電力供給支障への対応が求められている。今後は、電力系統に連系する分散電源を最大限に活用しつつ、広範囲、早期の停電復旧と、その後の安定した電力供給を実現するために、新たな電力系統運用が必要である。
【0003】
特に、電力インフラの中でも、配電系統においては、太陽光発電をはじめとする分散電源の導入が顕著に進められ、有事における単独運転の検討がなされている。一方、事故や設備損傷等の復旧作業においては、単独運転による復電の影響を考慮せずに計画を立案し、効率的な復旧作業ができないことが課題となることが予想される。このため、有事の際、配電系統での単独運転を考慮し、停電から復旧する需要家を可能な限り早く最大限に拡大したいニーズが存在する。
【0004】
本技術分野の背景技術として、特許文献1に記載の発明がある。この文献の要約書には、「地域情報記憶部120が地域データ10を記憶し、電力流通設備情報記憶部130が電力流通設備データ20を記憶し、指令者模擬部141、巡視者模擬部142および復旧者模擬部143が地域情報記憶部120および電力流通設備情報記憶部130を参照して指令者、巡視者および復旧者それぞれが行う作業を模擬する。また、復旧者模擬部143は、復旧者の被災箇所への移動や指令者からの指示待ちを模擬する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-2783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、可能な限り早く復旧できるように復旧作業班に復旧対象設備を割り当て、復旧作業計画を立案することができる。しかしながら、各設備復旧により復電する負荷の容量が考慮されておらず、より多くの需要家を効率的に停電復旧することができない。また、単独運転を計画しておらず、健全停電地域の需要家を単独運転により停電復旧する計画が立案できないほか、単独運転によって停電復旧予定の地域を判別できず、効率的な復旧計画を策定できない。
【0007】
そこで、本発明は、配電系統の停電復旧時に単独運転を計画し、単独運転計画を考慮した復旧作業計画を立案することで、可能な限り早期に可能な限り多くの需要家を停電復旧することができる復旧意思決定支援装置、および復旧意思決定支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のことから本発明においては、「電力系統の事故により切り離された電力系統区間を再度前記電力系統に接続するための復旧意思決定支援装置であって、切り離された電力系統区間について、隣接する開閉器で区分される開閉器区間を定義し、少なくとも内部に分散電源を有する,または電源車を配備する開閉器区間を単独運転区間として単独運転計画を立案する単独運転計画部と、前記電力系統のうち、内部に事故や被害設備が存在する開閉器区間について、その復旧作業計画を立案する復旧作業計画部を備えることを特徴とする復旧意思決定支援装置」としたものである。
【0009】
また本発明においては、「計算機を用いて実現され、電力系統の事故により切り離された電力系統区間を再度電力系統に接続するための復旧意思決定支援方法であって、切り離された電力系統区間について、隣接する開閉器で区分される開閉器区間を定義し、少なくとも内部に分散電源を有する,または電源車を配備する開閉器区間を単独運転区間として単独運転計画を立案し、前記電力系統のうち、内部に事故や被害設備が存在する開閉器区間について、その復旧作業計画を立案することを特徴とする復旧意思決定支援方法」としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力系統での停電エリアを可能な限り早く広く復旧する計画を策定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る復旧意思決定支援装置を示すブロック図。
図2】本発明が適用可能な配電系統Lの構成例を示す図。
図3】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうち系統情報D1の一例を示す図。
図4】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうち設備被害情報D2の一例を示す図。
図5】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうち停電情報D3の一例を示す図。
図6】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうち重要負荷情報D4の一例を示す図。
図7】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうち地図情報D5の一例を示す図。
図8】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうちリソース情報D6の一例を示す図。
図9】大容量記憶部DBに保有する各種情報のうち作業所要時間情報D8の一例を示す図。
図10】単独運転計画部7の処理を示すフローチャート。
図11図10の処理ステップS71における行列作成の結果を示す図。
図12】復旧作業計画部9の処理を示すフローチャート。
図13】画面出力部の処理を示すフローチャート。
図14】画面出力部が出力する画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図を参照して詳細に説明する。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例に係る復旧意思決定支援装置を示すブロック図である。復旧意思決定支援装置12は、演算部CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory:図示せず)と不揮発性の大容量記憶部DBを有するコンピュータで構成される。なお、本発明は、単一の装置に限られず、複数のサーバ等が連携した復旧意思決定支援システムとして実装されてもよい。
【0014】
コンピュータを用いて実現される復旧意思決定支援装置12は、その演算部CPUにおける処理内容を処理機能で表すと単独運転計画部7と、復旧計画部9と、画面出力部10の機能を備えており、さらに表示装置11、入力装置13を含んで構成されている。
【0015】
復旧意思決定支援装置12は更に、不揮発性の大容量記憶部DBに、系統情報D1と、設備被害情報D2と、停電情報D3と、重要負荷情報D4と、地図情報D5と、リソース情報D6と、作業所要時間情報D8と、復旧意思決定支援プログラムPrを格納している。
【0016】
これらの情報の具体内容を説明するにあたり、本発明が適用可能な配電系統Lの構成例について図2を用いて説明する。配電系統Lは、複数の需要家Ld(Ld1-Ld14)と、複数の分散電源G(G1-G3)と、変電所と、遮断器や開閉器などのスイッチSW(SW1-SW4)とを含んで構成されている。各需要家は、黒丸のノードとそれに隣接する“Ld1”や“Ld2”などの記号で示されている。
【0017】
この構成により、各需要家Ldは外部電源Gからの電力供給をうけることができる。例えば通常運転が実行されている状態では、遮断器や開閉器などのスイッチSW(SW1-SW4)が閉じられており、スイッチSW3を介して外部電源Gに接続されることで、複数の需要家Ldに電力供給が行われる。
【0018】
然るに配電系統L内の事故により図示の区間が外部電源Gから切り離された時には、事故除去後にスイッチSW(SW1-SW4)が再度閉じられることで、復旧を行うことになるが、本発明においては、事故から復旧に至るまでの復旧待ちの期間における系統運用をどのようにすべきかを想定している。例えば地震などによる大規模停電が発生した場合に、順次復旧期間を拡大していくが、復旧に至るまでの期間は、数日から十数日に至る場合も想定され、本発明は特に長期間停電となる場合に特に有用である。
【0019】
係る復旧待ちの状態に置いては、スイッチSWがすべて解放されているが、この配電系統例によれば、適宜の区間で単独運転区間を形成することができる。例えばスイッチSW3とスイッチSW1で区分された区間L1は、この間に需要家Ld1-Ld3と変電所と分散電源G3を含むことから、単独運転区間を形成することができる。同様に、スイッチSW1とスイッチSW2とスイッチSW4で区分された区間L2は、需要家Ld4-Ld7と変電所と分散電源G1を含むことから、単独運転区間を形成することができる。さらにスイッチSW2で区分された区間L3は需要家Ld9-Ld14と変電所と分散電源G2を含むことから、単独運転区間を形成することができる。但し、スイッチSW4で区分された区間L4は、需要家Ldを含むが、スイッチSW4が解放されたときには分散電源Gには接続されていないことになり、単独運転区間を形成することができない。なお、上記の説明では、隣接するスイッチ間での最小の区間について、単独運転区間となりうることをのべているが、適宜拡大された区間を単独運転区間として定義するものであってもよい。また上記において分散電源Gとは、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー電源、コジェネレーション機器,あるいは蓄電設備などである。
【0020】
ただし、ここで述べた単独運転区間とは、分散電源Gを利用した運転の可能性を述べたにとどまり、実運転とするにはさらに他の要件の確認を必要とする。本発明では、これらの確認事項をも踏まえた処理について以下説明を行う。
【0021】
図1の復旧意思決定支援装置12内の不揮発性の大容量記憶部DBに保有する各種情報について、図2の配電系統Lの例を参照して述べると以下のようである。まず、系統情報D1の一例を図3に例示している。
【0022】
系統情報D1は、この復旧意思決定支援装置12が管理する図2の例の配電系統Lにおける各開閉器(スイッチSW)の情報として個々の開閉器Swの番号D11、隣接する開閉器Swの番号D12、さらに各開閉器区間内の負荷容量D13、需要家番号D14、分散電源番号(分散電源は、変電所と分散電源とを含む概念である。)D15、分散電源容量D16、電圧源有無(開閉器区間に単独運転系統を立ち上げるために必要な電圧源が存在するか否かを示す情報)D17を示す情報である。なお、図3の1行目の情報群により区間L2が定義され、2行目の情報群により区間L1が定義されている。
【0023】
図3に示した系統情報D1と、復旧意思決定支援装置12が管理する図2の配電系統Lとは紐づけられている。系統情報D1は、例えば開閉器などのスイッチSW、分散電源G、配電用変電所などの位置を示し、例えば開閉器番号D11、D12、分散電源番号D15、配電用変電所を特定する番号、ノードに対応する需要家番号D14の情報などを含んで構成される。復旧意思決定支援装置12が管理する配電系統Lは、系統情報D1と紐づく限り、如何なる構成でもよく、図2に示す構成に限定されない。また、復旧意思決定支援装置12が管理する配電系統Lの各要素は、地図情報D4に示す道路や住宅等の地図上の位置情報と紐づけられている。
【0024】
設備被害情報D2は図4に例示したように、配電系統Lにおける事故や設備被害の箇所や種類を特定する情報であり、ここでは設備被害番号D21、開閉器番号D22、設備被害種別D23を記憶する。設備被害番号D21には、図2に示す配電系統L内の事故や設備被害を特定する通し番号の情報が格納される。開閉器番号欄D22には、設備被害番号D21に対応する事故や設備被害が発生している開閉器区間を構成する開閉器番号の情報が格納される。ここで、開閉器番号D22は系統情報D1の開閉器番号D11、D12と対応する。設備被害種欄D23には、設備被害番号D21に対応する事故や設備被害の種類の情報が格納される。事故や設備被害の種類とは、例えば、電柱折損や高圧線損傷などである。設備被害情報D2は、設備故障箇所欄を保持してもよく、その場合、設備故障の詳細な位置を、例えば配電系統Lと紐づいた座標情報などとして格納する。
【0025】
なお図4の1行目は、図2の配電系統のスイッチSW1とスイッチSW2の間で、電柱折損が生じたことを表している。2行目は、図2の配電系統のスイッチSW2とスイッチSW4の間で、高圧線損傷が生じたことを表している。
【0026】
停電情報D3は図5に例示したように、配電系統Lにおける各開閉器区間の通電、または停電状態を示す情報であり、例えば開閉器番号D31と停電フラグD32を含んでいる。開閉器番号欄D31には、図2に示す配電系統Lの各開閉器区間を構成する開閉器D11、D12を特定する通し番号の情報が格納される。ここで、開閉器番号D31は系統情報D1の開閉器番号D11、D12と対応する。停電フラグ欄D32には、各開閉器区間で停電が発生しているかどうかを示す情報が格納される。例えば、停電が発生していれば1、発生していなければ0を格納する。
【0027】
重要負荷情報D4は図6に例示したように、病院や避難所などの各重要負荷の需要家番号D41、およびその重要負荷の負荷容量D42、重要度D43を示す情報である。需要家番号欄D41には、図2に示す配電系統L内の病院や避難所等の重要負荷を特定する通し番号の情報が格納される。ここで、重要負荷の需要家番号は系統情報D1の需要家番号に対応する。負荷容量欄D42には、重要負荷の負荷容量の情報が格納される。重要度欄D43には、任意に設定された重要負荷の重要度の情報が格納される。ここでは、例えば、数字の大きいほど重要と評価する1~5の数字を格納する。重要度は後記する単独運転計画部7、および復旧作業計画部9での処理で扱える形態であればこの限りではない。また、重要度は単独運転計画部7、および復旧作業計画部9での処理で必ずしも扱う必要はないが、詳細は各処理部での実施例にて後記する。
【0028】
地図情報D5は図7に例示したように、配電系統Lと対応する地域の地図であり、道路網や通行不可能な道路箇所、住宅、などを示す情報である。通行不可能な道路情報は、通行不可能な道路の区間を示す情報である。
【0029】
リソース情報D6は図8に例示したように、配電系統Lにて活用可能な作業員や作業車等のリソース種D61、リソース量D62、およびリソース位置に関する情報である。
【0030】
リソース種欄D61には、作業員、および高圧発電機車(以下、電源車)や穴掘建柱車のような復旧作業に必要な車両、あるいはドローンなどの情報が格納される。作業員はスキルなどによって予め作業班に分けられていてもよく、その場合は例えば、高圧線修復作業班、電柱折損対応班、などの作業班をリソース種として格納してもよい。ここで、電源車は、例えば電源車(1200kVA)、電源車(1500kVA)、のように容量の情報を保持し、容量の異なる電源車は異なるリソース種として格納する。リソース数欄D62には、各リソースの数が格納される。
【0031】
作業所要時間情報D8は図9に例示したように、設備被害種D81ごとの復旧作業所要時間D82を示す情報である。設備被害種欄D81には、事故や設備被害の種類の情報が格納される。事故や設備被害の種類とは、例えば、電柱折損や高圧線損傷などである。復旧作業所要時間欄D82には、設備被害種に対応する事故や設備被害を復旧作業員が復旧するまでの所要時間の情報が格納される。ここで、所要時間は復旧作業員が現場に到着してから復旧作業を終えるまでの時間であり、移動時間を含まない。所要時間は、ユーザーが任意に設定でき、例えば、過去の復旧作業における平均作業所要時間などを格納することができる。
【0032】
図1に戻り、演算部CPUで実行される各種の処理機能について説明する。まず単独運転計画部7は、系統情報D1と、設備被害情報D2と、停電情報D3と、地図情報D4と、重要負荷情報D5と、リソース情報D6とに基づいて単独運転計画を作成する機能部であり、その処理について図10で説明する。
【0033】
図10は、単独運転計画部7の処理を示すフローチャートである。図10のフローの最初の処理ステップS71では、入力情報から開閉器区間の行列を作成する。なお、以下の説明ではスイッチSWが開閉器である事例で説明する。この処理は具体的には例えば以下のように処理される。なお、図10の処理ステップS71における行列作成の結果が、図11に例示されている。
【0034】
処理を開始すると、単独運転計画部7は、系統情報D1から、自身が管理する配電系統L内の開閉器の開閉器番号をすべて抽出し、開閉器区間の行列の1列目C1とする。そのあと、単独運転計画部7は、1列目の開閉器番号に対応する開閉器に隣接する全ての開閉器の開閉器番号を系統情報D1から抽出し、開閉器区間の行列の2列目C2とし、開閉器区間をすべて特定する。そのあと、単独運転計画部7は、各開閉器区間に、例えばエリア1(例えば区間L1)、エリア2(例えば区間L2)のようなエリア番号を付与し、開閉器区間の行列の3列目C3とする。これらの処理により、各開閉器区間の構成に必要な開閉器の開閉器番号と、隣接する開閉器区間すなわち同一の開閉器によってそれぞれ区切られる開閉器区間は、エリア番号によって一元的に識別可能となる。そのあと、単独運転計画部7は、各開閉器区間の負荷容量を系統情報D1から抽出し、開閉器区間の行列の4列目C4とする。そのあと、単独運転計画部7は、各開閉器区間の分散電源容量を系統情報D1から抽出し、開閉器区間の行列の5列目C5とする。そのあと、単独運転計画部7は、各開閉器区間の電圧源有無を系統情報D1から抽出し、開閉器区間の行列の6列目C6とする。そのあと、単独運転計画部7は、設備被害情報D2から事故や設備被害のある開閉器区間を特定し、事故や設備被害のある開閉器区間を1、ない開閉器区間を0として、開閉器区間の行列の7列目C7に格納する。設備被害情報D2に、事故や設備被害の詳細な位置情報が保持されている場合は、事故や設備被害のある開閉器区間に、配電系統Lに紐づく事故や設備被害の座標情報などを格納してもよい。
【0035】
そのあと、単独運転計画部7は、停電情報D3から各開閉器区間の停電または通電状態を抽出し、開閉器区間の行列の8列目C8とする。そのあと、単独運転計画部7は、重要負荷情報D4から各重要負荷の負荷容量と重要度を抽出してその積を計算し、各開閉器区間内に存在する重要負荷に対して総和をとり、開閉器区間の行列の9列目とする。重要度はユーザーが任意に扱うか否かを事前に決定でき、扱わない場合はこの処理を実行せず、開閉器区間の行列の9列目C9はすべて0とする。そのあと、単独運転計画部7は、地図情報D5の道路網、通行不可能な道路情報を用い、電源車や作業員などが営業所から各開閉器区間を構成する最も近い開閉器位置まで移動するのに必要な最短時間を移動所要時間として計算し、開閉器区間の行列の10列目C10とする。
【0036】
図10のフローの最初の処理ステップS71における上記の一連の処理により、開閉器区間の行列が作成される。なお、開閉器区間の行列の10列目において、ここで、移動所要時間は、営業所から開閉器区間を構成する開閉器までの最短経路の長さを、例えば30km/hなどの平均移動速度で除することにより計算する。また、営業所から開閉器区間を構成する開閉器までの最短経路が通行不可能な道路区間を含む場合、通行不可能な道路区間を通行する間の平均移動速度は、例えば15km/hなどと減速することにより、迂回した際の所要時間を考慮する。30km/h、15km/hなどの平均移動速度は予め設定できるものとし、この限りではない。
【0037】
図11の行列作成結果によれば、単独運転区間となりうるエリアごとに、この区間での各種状態や復旧時の問題が総括的に整理され、まとめられている。
【0038】
次に図10の処理ステップS72では、最適化計算により単独運転計画1(即時に単独運転可能な開閉器区間に対する単独運転計画)を立案する。なお図2の配電系統Lの場合に、即時に単独運転可能な開閉器区間とは、区間L1、L3のみであり、区間L2は事故状態が継続していることから無条件に単独運転とすることはできない。このため、単独運転計画部7は、以下の目的関数と制約を持つ最適化計算をし、単独運転計画を立案し、単独運転計画1として保存する。これにより、即時に単独運転可能な開閉器区間を判別できる。
【0039】
ここで最適化計算を行う上での目的関数は、停電状態の開閉器区間の負荷容量と、開閉器区間ごとの停電継続時間との積を、全開閉器区間に対して総和を取り計算し、これを最小化する問題として定式化する。これにより、停電被害を最小化するように単独運転計画を立案することができる。各開閉器区間の負荷容量は、開閉器区間の行列の4列目C4と9列目C9の和を取り計算する。これにより、重要負荷を考慮する場合は、その重要度に応じて優先的に復電する単独運転計画を立案することができる。停電状態の継続時間は、例えば、太陽光発電や系統用蓄電池などの分散電源により単独運転をする開閉器区間は、計画立案後即時復電するものとみなして0時間とし、電源車により単独運転をする開閉器区間は、電源車の移動所要時間とし、単独運転により復電しない開閉器区間は、72時間などとする。ここで、分散電源により単独運転をする開閉器区間の停電時間は、単独運転の継続可能時間などを考慮して予め設定できるものとし、0時間に限定されない。また、単独運転により復電しない開閉器区間の停電時間に関しても、本計画により復電を試みる期間の最大値として予め設定できるものとし、72時間に限定されない。
【0040】
また最適化計算を行う上での制約は、主に以下の3つにより構成される。1つ目は、事故や設備故障のある開閉器区間では単独運転しないことである。これにより、事故や設備故障があるにもかかわらず単独運転を実施することによる再停電や感電被害などを防止することができる。開閉器区間内の事故や設備故障の有無は、開閉器区間の行列の7列目C7より抽出して判断する。
【0041】
2つ目は、電圧源のない開閉器区間は電圧源のある開閉器区間と連系しない限り単独運転しないことである。これにより、単独運転を予定する系統内に電圧源がなく、復電できない事態を防止することができる。各開閉器区間内の電圧源の有無は、開閉器区間の行列の6列目C6から抽出して判断する。また、開閉器区間の連系については、隣接する開閉器区間が互いに単独運転する際、必ず連系して運転するものと想定する。隣接する開閉器区間は、開閉器区間の行列の2列目C2より識別して判断する。
【0042】
3つ目は、連系して単独運転する開閉器区間内の負荷容量の総和が、同開閉器区間内の分散電源容量の総和以下であることである。ここで、同開閉器区間の内1つ以上の区間に電源車を配備する場合は、同開閉器区間内の分散電源容量の総和と、同電源車の容量の総和との和を、同開閉器区間内の負荷容量の総和と比較する。これにより、単独運転エリア内の需給マッチングを考慮し、再停電を防止することができる。各開閉器区間内の負荷容量、分散電源容量は、それぞれ開閉器区間の行列の4列目C4、5列目C5から抽出する。電源車の容量は、配備する電源車の種類に応じた容量の情報を、リソース情報D6から抽出する。
【0043】
なお最適化計算を行う上で、入力の変更が必要となる場合には図10の処理ステップS73において、開閉器区間の行列の7列目C7をすべて0に書き換える。これにより、事故や設備故障がすべて除去された復旧作業後の系統状態を想定する。
【0044】
また最適化計算を行う上で、制約の追加が必要となる場合には図10の処理ステップS74において、単独運転計画1において単独運転する開閉器区間と、各容量の電源車を配備する開閉器区間とを、それぞれ単独運転する開閉器区間、電源車を配備する開閉器区間として計画に固定する。これにより、単独運転計画1により単独運転を実施後、復電しない開閉器区間に対し、事故や設備故障の復旧作業後に系統再連系、または単独運転による復電を選択する際、停電被害を最小化するよう復電手段を選択できる。
【0045】
そのあと図10の処理ステップS75では、、単独運転計画立案部7は、以下に示す入力の変更と制約の追加を実施し、再度最適化計算をし、復旧作業後の単独運転計画を立案し、単独運転計画2(事故や被害設備の復旧作業後に単独運転可能な開閉器区間に対する単独運転計画)として保存する。これにより、後記する復旧作業計画部8において、事故や被害設備の復旧作業後の復電手段として、系統再連系以外に単独運転を考慮でき、停電被害を最小限に抑制した効率的な復旧作業計画を立案することができる。なお図2の配電系統Lの場合に、事故や被害設備の復旧作業後に単独運転可能な開閉器区間とは、区間L2及び需要家Ld8であり、これにより、全ての区間について、単独運転計画が策定されたことになる。
【0046】
復旧作業計画部9は、系統情報D1と、設備被害情報D2と、停電情報D3と、地図情報D4と、重要負荷情報D5と、リソース情報D6と、単独運転計画部7から受け取る単独運転計画と、作業所要時間情報D8とに基づいて復旧作業計画を作成する機能部であり、その処理について図12で説明する。
【0047】
図12は、復旧作業計画部9の処理を示すフローチャートである。図12のフローの最初の処理ステップS91では、復旧作業計画部9は、単独運転計画部7から単独運転計画2と開閉器区間の(図11に例示する)行列と、を抽出する。
【0048】
そのあと処理ステップS92では、復旧作業計画部9は、以下の目的関数と制約を持つ最適化計算をし、復旧作業計画として保存する。
【0049】
ここで最適化計算を行う上での目的関数は、各開閉器区間の状態を、復電なら0、停電なら1と表すバイナリ変数を、すべての開閉器区間で、またタイムステップごとに総和を取り計算し、これを最小化する問題として定式化する。タイムステップは、例えば1分など、ユーザーが任意に設定できる。
【0050】
また最適化計算を行う上での制約は、主に以下の6つにより構成される。1つ目は、同じ作業員、または作業班は1つのタイムステップに1つ以下の作業、または移動のみ実施できることである。
【0051】
2つ目は、同じ作業員、または作業班が1つの設備被害箇所に滞在するタイムステップ数は、その設備被害の作業所要時間に対応するタイムステップ数以上であることである。各設備被害箇所の設備被害の種類は、設備被害情報D2の設備被害種D23から抽出し、対応する作業所要時間は作業所要時間情報D8から抽出する。
【0052】
3つ目は、同じ作業員、または作業班が2つの設備被害箇所を移動するタイムステップ数は、その2箇所間の移動所要時間に対応するタイムステップ数以上であることである。ここで、2箇所間の移動所要時間は、2箇所間の最短経路の長さを地図情報D5から抽出し、それを例えば30km/hなどの平均移動速度で除することにより計算する。また、最短経路が通行不可能な道路区間を含む場合、通行不可能な道路区間を通行する間の平均移動速度は、例えば15km/hなどと減速することにより、迂回した際の所要時間を考慮する。30km/h、15km/hなどの平均移動速度は予め設定できるものとし、この限りではない。
【0053】
4つ目は、事故点が1つ以上ある開閉器区間は復電しないことである。5つ目は、各タイムステップにおいて、事故点がすべて除去された開閉器区間のうち、開閉器区間の行列の8列目C8において通電状態の開閉器区間、および通電状態の隣接開閉器区間をたどると開閉器区間の行列の8列目C8において通電状態の開閉器区間のいずれかに至る開閉器区間、と隣接している開閉器区間は復電状態とすることである(制約Aとする)。
【0054】
6つ目は、事故点のない開閉器区間のうち、単独運転計画2において単独運転が予定されている開閉器区間は復電状態とすることである(制約Bとする)。
【0055】
なお、5つ目の制約を実行するにあたり、処理ステップS93では、あるタイムステップにおいて初めて制約Aを満たしたことにより復電した開閉器区間は、開閉器区間の行列の10列目C10にそのタイムステップを、11列目に「系統再連系による復電」といった復電手段を格納する。
【0056】
また6つ目の制約を実行するにあたり、処理ステップS94では、あるタイムステップにおいて初めて制約Bを満たしたことにより復電した開閉器区間は、開閉器区間の行列の10列目C10にそのタイムステップを、11列目C11に「単独運転による復電」といった復電手段を格納する。この際、開閉器区間の行列の10列目C10に制約Aを初めて満たしたタイムステップが格納されている場合、各制約を初めて満たしたタイムステップを比較し、小さい方のタイムステップを格納する。開閉器区間の行列の11列目には、10列目C10に格納したタイムステップにおいて初めて満たした制約に対応する復電手段を格納する。
【0057】
画面出力部10は、表示装置11に表示する内容を選択して表示させる機能部であり、図13でその処理を説明する。図13は、画面出力部10の処理の一例を示すフローチャートである。なお表示装置11は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネルなどを備えて構成され、運用者が選択した表示内容などを表示する。
【0058】
図13における、画面出力部10の処理では、処理ステップS11において、画面表示する項目の選択入力を受け付け、処理ステップS12において、選択された項目の表示を行う。
【0059】
次に、、図14の画面110の構成例を説明する。画面は、画面分割された小領域である複数のペイン111、112、113により構成されている。表示装置11に表示される画面110には、画面出力部10にて選択した表示内容が表示される。
【0060】
表示内容選択ペイン111は、画面出力部10で選択処理する表示内容を、運用者が操作して選択するための表示である。これにより、他のペインには、表示内容選択ペイン111で選択された表示内容が表示される。選択可能な要因は、単独運転計画、電力供給エリア、開閉器状態、事故点情報、地図、復旧作業計画、復旧タイムステップと復電手段などが準備される。これらの項目が選択されると、図13の画面出力部10の処理ステップS11において、画面表示する項目の選択入力が受け付け処理されたことになる。その後、図13の画面出力部10の処理ステップS12において、選択内容に応じた表示画面が地図ペイン112と計画情報ペイン113に表示される。
【0061】
地図ペイン112には、単独運転計画と、これに位置関係が対応した道路や住宅等の地図とが重畳表示される。単独運転計画は、各系統が識別できるように色付けされた系統図であり、系統図上には、例えば系統中の開閉器状態を示すために開状態と閉状態の開閉器を色分けして表示し、また例えば事故点の位置を、バツ印などの記号で表示する。地図上には、例えば単独運転で電力供給するエリアが色付けして表示される。
【0062】
計画情報ペイン113には、表示内容選択ペイン111で選択した要因の具体的な内容が表示される。図14の例では、復旧作業計画と、各開閉器区間の復旧タイムステップと復電手段とを選択した時の情報が詳細に表示された例を示している。なお復旧作業計画は、各作業員または作業班が各時間帯に実施する作業や移動を示す図である。
【0063】
画面出力部10は、例えばボタンやプルダウンなどを、後述する表示装置11上の表示内容選択ペイン111(図13参照)に表示するのがよい。表示装置11に表示されたボタンやプルダウンなどを運用者が単数、または複数押下したり、選択したりすることにより、画面出力部10は、運用者に選択された表示内容を表示装置11に表示された別ペインに出力する。
【0064】
この際、選択できる表示内容は、例えば、単独運転計画部7が作成した単独運転計画1および2それぞれによる電力供給エリア、開閉器状態、事故点情報、道路や住宅等の地図、復旧作業計画部9が作成した復旧作業計画、各開閉器区間の復旧タイムステップと復旧手段などである。
【0065】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0066】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
【0067】
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0068】
7:単独運転計画部
9:復旧作業計画部
10:画面出力部
11:表示装置
12:復旧意思決定支援装置
13:入力装置
DB:大容量記憶部
D1:系統情報
D11:開閉器番号欄
D12:隣接開閉器番号欄
D13:負荷容量欄
D14:需要家番号欄
D15:分散電源番号欄
D16:分散電源容量欄
D17:電圧源有無情報欄
D2:設備被害情報
D21:設備被害番号欄
D22:開閉器番号欄
D23:設備被害種欄
D3:停電情報
D31:開閉器番号欄
D32:停電フラグ欄
D4:重要負荷情報
D41:需要家番号欄
D42:負荷容量欄
D43:重要度欄
D5:地図情報
D6:リソース情報
D61:リソース種欄
D62:リソース数欄
D7:単独運転計画部
D8:作業所要時間情報
D81:設備被害種欄
D82:復旧作業所要時間欄
L:配電系統
110:画面
111:表示内容選択ペイン
112:地図ペイン
113:計画情報ペイン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14