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  • 特開-折畳み梯子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064378
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】折畳み梯子
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/383 20060101AFI20230501BHJP
   A47C 21/08 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
E06C1/383 B
A47C21/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174630
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】521468084
【氏名又は名称】有限会社後藤屋
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】後藤 史樹
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA04
2E044AA07
2E044BA15
2E044CB03
2E044DA01
2E044DC08
(57)【要約】
【課題】棒状に折畳み可能な梯子を手摺りや防護柵として転用可能にする。
【解決手段】この発明の折畳み梯子は、上下の一端側の側面の切欠状の段部を介して幅広のヘッド部と該段部より他方の端部に向って延びる幅狭の長杆部からなる上下左右逆向きの一対のフレーム間を踏桟となる複数本の横木で平行リンク状に連結し、長杆部同士を重ね合わせて一本の棒状に折畳み可能な折畳み梯子であって、上記段部におけるヘッド部の長杆部端面との突合せ部に側面側に開口し、ホゾ差しによって前後左右方向に位置決め固定をするホゾ穴状の凹部を形成してなる手摺り又は防護柵として転用可能である。
また、凹部の周壁が一方のフレームのヘッド部の段部に形成された平面視でU溝状又は角溝状の凹部の内面と、該凹部に対向する長杆部の端面とで構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の一端側の側面の切欠状の段部を介して幅広のヘッド部と該段部より他方の端部に向って延びる幅狭の長杆部からなる上下左右逆向きの一対のフレーム間を踏桟となる複数本の横木で平行リンク状に連結し、長杆部同士を重ね合わせて一本の棒状に折畳み可能な折畳み梯子であって、上記段部におけるヘッド部の長杆部端面との突合せ部に側面側に開口し、ホゾ差しによって前後左右方向に位置決め固定をするホゾ穴状の凹部を形成してなる手摺り又は防護柵として転用可能な折畳み梯子。
【請求項2】
凹部の周壁が一方のフレームのヘッド部の段部に形成された平面視でU溝状又は角溝状の凹部の内面と、該凹部に対向する長杆部の端面とで構成される請求項1に記載の折畳み梯子。
【請求項3】
高位置に設置されたベッドの側縁に沿って、折畳み状態の梯子を横方向に受止める受け部材に上向きに突設されたホゾに対し、凹部を下向きに嵌合して梯子を位置決め支持し、ベッドの防護柵として兼用可能な機構とした請求項1又は2に記載の折畳み梯子。
【請求項4】
梯子を横方向に支持する姿勢において、受け部材のホゾの基端側に形成される受け面を、折畳まれた一方のフレームのヘッド部の周面と他方のフレームの長杆部の端部周面とを同時に当接させて受け止める機構とした請求項3に記載の折畳み梯子。
【請求項5】
凹部にホゾを差込嵌合することにより、上側に重なるフレームが下側のフレームに対して平行移動して展開されるのを規制し、一対のフレームの折畳み姿勢を保持する機構とした請求項3又は4に記載の折畳み梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は例えばキャンピングカー用のベッド,多段ベッドの二段目以上のベッドその他の高位置に設置されたベッドに昇降するためのベッド用折畳み梯子に適し、特に折畳み状態でベッドからの人や物の落下を防止するための防護柵や手摺りとして転用可能で、さらにそれ以外の一般的用途に利用できる折畳み梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来二段ベッド昇降用の梯子でベッドからの人や物の落下防止用梯子としては特許文献1のものが公知であり、左右の親柱(フレーム)を平行リンク状に折畳み可能な梯子としては特許文献2の他、古くから公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2631176号公報
【特許文献2】実開昭49-115228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すベッド用の梯子は片側のフレームの上端をL字形に且つ後方向きに屈曲させて、その屈曲端をベッドフレームの側面に回動可能に軸支し、上下に向けた姿勢を梯子として使用し、水平方向に回動させてセットした状態で落下防止用の防護柵(サークル)として使用するものである。
【0005】
しかしこの例の梯子は左右のフレームの長さが異なる他、一方が折り曲げられて突出したベッド専用品であるため、他の用途の梯子として転用することが困難である他、電気配線が施されたり、不使用時の梯子の収納場所を必要としないことから、ベッドフレームに固定的に取付けられているものと解される。
【0006】
また防護柵として固定支持するために、予め梯子取付用の防護サークル2cや着脱用のスリーブ5を必要とする等、コスト的にも高価になる欠点がある。
【0007】
他方、特許文献2の棒状に折畳み可能な携帯型の梯子は、折畳みにより保管スペースは少なくて済むものの、仮に特許文献1のように改良して使用しても同文献の発明の持つ課題を残すことになる他、折畳み姿勢と展開姿勢のいずれを防護柵として利用する場合も、両姿勢に自由に変形するため防護としての安定性に欠けるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の梯子は第1に、上下の一端側の側面の切欠状の段部を介して幅広のヘッド部と該段部より他方の端部に向って延びる幅狭の長杆部からなる上下左右逆向きの一対のフレーム間を踏桟となる複数本の横木で平行リンク状に連結し、長杆部同士を重ね合わせて一本の棒状に折畳み可能な折畳み梯子であって、上記段部におけるヘッド部の長杆部端面との突合せ部に側面側に開口し、ホゾ差しによって前後左右方向に位置決め固定をするホゾ穴状の凹部を形成してなる手摺り又は防護柵として転用可能なことを特徴としている。
【0009】
第2に、凹部の周壁が一方のフレームのヘッド部の段部に形成された平面視でU溝状又は角溝状の凹部の内面と、該凹部に対向する長杆部の端面とで構成されることを特徴としている。
【0010】
第3に、高位置に設置されたベッドの側縁に沿って、折畳み状態の梯子を横方向に受止める受け部材に上向きに突設されたホゾに対し、凹部を下向きに嵌合して梯子を位置決め支持し、ベッドの防護柵として兼用可能な機構としたことを特徴としている。
【0011】
第4に、梯子を横方向に支持する姿勢において、受け部材のホゾの基端側に形成される受け面を、折畳まれた一方のフレームのヘッド部の周面と他方のフレームの長杆部の端部周面とを同時に当接させて受け止める機構としたことを特徴としている。
【0012】
第5に、凹部にホゾを差込嵌合することにより、上側に重なるフレームが下側のフレームに対して平行移動して展開されるのを規制し、一対のフレームの折畳み姿勢を保持する機構としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成される本発明の高位置ベッド用折畳み梯子は、開いた状態ではベッド昇降用梯子又はそれ以外の用途に汎用できるほか、折畳み状態での保管はベッドの落下防止柵としてベッド側縁に取付けることが可能なため、特別な保管スペースを必要とせず、且つ防護柵としては折畳み姿勢を安定的に保持した状態で位置決め固定ができる。
【0014】
特にキャンピングカーのベッド用として利用する場合は、車内の収納スペースを必要とせず、例えば車内の棚や屋根上の荷物の上げ降し用や凹凸地面での渡り橋(道板)代りや荷物台等にも転用できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の梯子の折畳み状態及び展開状態を示す一部断面全体正面図である。
図2図1の拡大II-II断面図である。
図3】折畳み状態でベッドの防護柵として利用する状態及び展開して通常の昇降用梯子として利用する状態(仮想線)を示す正面図である。
図4】(A)は折畳み状態の、(B)は展開状態のフレーム端部の拡大図である。
図5】ベッド側に取付けられる防護柵の受け部材の一例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図5はこの発明の1実施形態を示し、図1図2は左右一対のフレーム(親柱)1,1を一本の棒状に左右重ね合わせた折畳み姿勢の梯子Lの一部断面正面図で、仮想線は平行リンク状に展開した展開姿勢を示している。
【0017】
フレーム1は材質を特に限定するものではないが、この例では木製で同一構造の回転対称形であり、フレーム1,1間は踏桟を構成する同一寸法、形状の複数本(4本)の横木2の両端においてピン3で軸支されて回動可能に連結されている。図1に示すように上記横木2を畳み込まれた上下方向の姿勢から90°時計方向回動(揺動)させて起立させることにより梯子として利用できる。
【0018】
各フレーム1は、左右方向に長方形断面の棒状(角柱状)部材の一端側に幅広のヘッド部1aと、該ヘッド部1aを残して途中に約1/2幅の直角な段部Sを形成し、この段部Sから約1/2幅の断面で他方の端部に向って延びる幅狭の長杆部1bとで、全体として正面視フック状に形成されている。両フレーム1は上下左右逆向きに且つ互いの長杆部1bが他方の段部S内に納まるように重ね合わされて折畳み姿勢となる。この時段部Sの端面と長杆部1bの端面間には、折畳み開閉時に互いの端面やコーナー部が干渉し合わないように所定間隔の平行な隙間Gが形成されている。
【0019】
また各フレーム1の長杆部1b同士の重ね合わせ面には、図1図2に示すように、横木2の端部を挿入軸支し且つ折畳み時に隣接する横木2の端部同士が傾斜状態で重なり合う倒伏姿勢で、該横木2を互いに1/2幅ずつ収納する、底面が鋸歯状で多段形状の収納溝Mが形成されている。さらに各フレーム1の段部Sのヘッド部1a側には、梯子Lの上下端の横木2の一端を直角に起立させ又は折畳み収納可能に挿入して軸支する側面視で上下方向の角溝からなるホゾ穴状の凹部4が形成されている。
【0020】
既述のように左右のフレーム1は横木2を90°回動させることにより、平行リンク状に折畳み展開可能であるが、上記凹部4が横方向に直角に形成されているため、横木2が90°回動展開された位置で規制されることにより梯子形状を維持する(図1図4参照)。この展開状態で左右のフレーム1は左右の長さが長方形状に揃えられ、下端が水平な床面に接地されて梯子として利用される。また左右のフレーム1が重ね合わされると一本の棒状に折畳まれ、横方向にするとその底面側には上記凹部4がホゾ穴状に開口する。
【0021】
図2は、例えばキャンピングカー内部の側壁等からなる前後端側のベッド取付部6にベッド7を構成するベッドフレーム8が横設支持され、上記梯子が使用可能に掛けられた状態(仮想線で示す)と、折畳まれた梯子Lがベッドフレーム8に対して横方向(水平方向)に平行に支持された落下防護柵を形成した状態を示している。
【0022】
この例では折畳まれた梯子Lの段部S及び凹部4位置に対応して上下方向の柱状の受け部材9,11が下向きに着脱可能に取付けられている。図示する例では受け部材9,11はY字状に二股状に枝分れした自然のままの木材が使用され、この二股の間で梯子Lを水平に受け止めている。但し、この受け部材9,11は必ずしも自然形状の二股材を用いる必要はなく、角柱状の材料を加工したものの他、パイプ材で形成しても良い。
【0023】
そしてホゾ穴状の凹部4側の受け部材9の二股の一方は、該凹部4に下側から挿脱可能に嵌合するホゾ12が仕口(木口)加工により突設され、その下端部側には段部Sにおける一方のフレーム1のヘッド部1aと他方のフレーム1の長杆部1bの下面を共に受け止める平面からなる水平な受け面13が形成され、梯子Lを受け止めた状態で折畳み状態が定位置で固定的に保持される機構となっている。ちなみにホゾ12に対応する凹部4の側面形状は角溝状であるが、この例では隙間Gの片面である他方の長杆部1bの端面と共にホゾ穴を形成している。尚、上記凹部4とホゾ12は互に嵌合し合う角型形状の木内差し構造であるが、凹凸の断面形状は円形その他の断面にすることもできる。
【0024】
上記のように構成されるので、梯子Lは梯子として利用する時は、図2の仮想線で示すようにベッド7に立て掛けて使用するが、ベッド使用時や梯子不使用時は、梯子の収納を兼ねてベッド7の側端に保持しておくことができ、梯子の収納のスペースを必要としない利点がある他、梯子をキャンピングカーの車内や車外で使用する際は自由に当該使用場所に携帯移動して、梯子以外の用途(例えば物置台や山間谷部の道板等)にも使用できる。
【0025】
尚、本発明の折畳み梯子は、キャンピングカーのベッド用として多用途利用や収納スペースの点で特に多くの利点があるが、これに限らず家庭用の多段ベッド,船舶その他の業務用ベッドの他、業務用や家庭内用等の一般的用途の梯子としても幅広く利用ができるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 フレーム
1a ヘッド部
1b 長杆部
2 横木
3 ピン
4 凹部
6 ベッド収納部
7 ベッド
8 ベッドフレーム
9,11 受け部材
12 ホゾ
13 受け面
L 梯子
S 段部
G 隙間
M 収納溝
図1
図2
図3
図4
図5