(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064386
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】ストレッチャー
(51)【国際特許分類】
A61G 1/017 20060101AFI20230501BHJP
A61G 5/12 20060101ALI20230501BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A61G1/017
A61G5/12 701
A61G5/12 702
A61G5/12 706
A61G5/10 703
A61G5/10 718
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174643
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 隆寛
(57)【要約】
【課題】臥位状態での低床化の実現が可能なストレッチャーを提供する。
【解決手段】本発明に係るストレッチャー1は、座部10と、可倒式の背もたれ12と、走行輪38とを備え、着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能なストレッチャーであって、座部10が取付けられる台座20と、走行輪38が取付けられる下部フレーム18と、一端30aが台座20に回動可能に連結されると共に他端30bが下部フレーム18に回動可能に連結されて台座20を昇降可能に支持する左右一対の平行リンク30A、30Bと、をさらに備え、左右の平行リンク30A、30Bの間において、可動域内の任意位置で静止可能に構成されて背もたれ12の傾倒角度を調整する伸縮機構40と、台座20を昇降させる電動アクチュエーター42と、が平面視で相互に重ならない位置に配設されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、可倒式の背もたれと、走行輪とを備え、着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能なストレッチャーであって、
前記座部が取付けられる台座と、前記走行輪が取付けられる下部フレームと、一端が前記台座に回動可能に連結されると共に他端が前記下部フレームに回動可能に連結されて前記台座を昇降可能に支持する左右一対の平行リンクと、をさらに備え、
左右の前記平行リンクの間において、可動域内の任意位置で静止可能に構成されて前記背もたれの傾倒角度を調整する伸縮機構と、前記台座を昇降させる電動アクチュエーターと、が平面視で相互に重ならない位置に配設されていること
を特徴とするストレッチャー。
【請求項2】
前記台座に回動可能に連結されて前記背もたれが取付けられる背もたれ支持部と、前記背もたれ支持部と鈍角をなすように前記背もたれ支持部の下端部から延設されて前記伸縮機構の一端が回動可能に連結される伸縮機構支持部と、をさらに備え、
前記背もたれ支持部は、左右方向の中心位置に配設されており、
前記伸縮機構および前記伸縮機構支持部は、左右方向の中心位置から左右のいずれか一方へ偏位して配設されており、
一端が前記背もたれ支持部に連結され、他端が前記伸縮機構支持部に連結された補強部材が設けられていること
を特徴とする請求項1記載のストレッチャー。
【請求項3】
前記走行輪のロックおよび解除を行うロック部材と、前記ロック部材の作動を行う作動ペダルと、をさらに備え、
前記作動ペダルは、平面視において臥位状態の背もたれの左右両端部よりも外方となる位置に配設されていること
を特徴とする請求項1または請求項2記載のストレッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療・介護等に用いられるストレッチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
医療・介護を主たる用途として着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能なストレッチャーが開発されている(特許文献1:特開2020-039773号公報参照)。このストレッチャーは、電動アクチュエーターによって、座部等が固定される台座の昇降が可能な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に例示される従来のストレッチャーにおいては、臥位状態のまま、台座を低位置まで下げた状態(以下、「低床化」と称する場合がある)として使用されるケースは無い(ほぼ無い)のが実情であった。しかしながら、昨今、特に医療の分野において、診療や処置に用いられる装置・方法の多様化に起因して、電動アクチュエーターにより座部等が固定される台座の昇降が可能なストレッチャーにおいて、臥位状態での低床化実現のニーズが生じている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能で、且つ、電動アクチュエーターにより座部等が固定される台座の昇降が可能なストレッチャーであって、臥位状態での低床化すなわち台座の低位置配置の実現が可能なストレッチャーを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係るストレッチャーは、座部と、可倒式の背もたれと、走行輪とを備え、着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能なストレッチャーであって、前記座部が取付けられる台座と、前記走行輪が取付けられる下部フレームと、一端が前記台座に回動可能に連結されると共に他端が前記下部フレームに回動可能に連結されて前記台座を昇降可能に支持する左右一対の平行リンクと、をさらに備え、左右の前記平行リンクの間において、可動域内の任意位置で静止可能に構成されて前記背もたれの傾倒角度を調整する伸縮機構と、前記台座を昇降させる電動アクチュエーターと、が平面視で相互に重ならない位置に配設されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、電動アクチュエーターを用いて、座部等が固定される台座の昇降が可能なストレッチャーにおいて、臥位状態での低床化すなわち台座の低位置配置の実現が可能となる。
【0009】
また、前記台座に回動可能に連結されて前記背もたれが取付けられる背もたれ支持部と、前記背もたれ支持部と鈍角をなすように前記背もたれ支持部の下端部から延設されて前記伸縮機構の一端が回動可能に連結される伸縮機構支持部と、をさらに備え、前記背もたれ支持部は、左右方向の中心位置に配設されており、前記伸縮機構および前記伸縮機構支持部は、左右方向の中心位置から左右のいずれか一方へ偏位して配設されており、一端が前記背もたれ支持部に連結され、他端が前記伸縮機構支持部に連結された補強部材が設けられていることが好ましい。これによれば、臥位状態での低床化(台座の低位置配置)を実現する本ストレッチャーにおいて、伸縮機構による背もたれの傾倒角度の調整が可能となり、且つ、背もたれを倒して臥位とした際に、伸縮機構支持部が背もたれ支持部から折損することの防止が可能となる。
【0010】
また、前記走行輪のロックおよび解除を行うロック部材と、前記ロック部材の作動を行う作動ペダルと、をさらに備え、前記作動ペダルは、平面視において臥位状態の背もたれの左右両端部よりも外方となる位置に配設されていることが好ましい。これによれば、臥位状態での低床化(台座の低位置配置)を実現する本ストレッチャーにおいて、臥位状態且つ低床状態での使用中に、走行輪のロックおよび解除を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能で、且つ、電動アクチュエーターにより座部等が固定される台座の昇降が可能なストレッチャーであって、臥位状態での低床化すなわち台座の低位置配置の実現が可能なストレッチャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るストレッチャー(椅子形態)の例を示す斜視図である。
【
図2】
図1のストレッチャー(椅子形態)の例を示す斜視図である。
【
図3】
図1のストレッチャー(ベッド形態)の例を示す斜視図である。
【
図4】
図1のストレッチャー(椅子形態)の動作を説明する説明図である。
【
図5】
図1のストレッチャー(ベッド形態)の動作を説明する説明図である。
【
図6】
図1のストレッチャーの伸縮機構および電動アクチュエーターの例を示す平面図である。
【
図7】
図1のストレッチャー(ベッド形態)の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るストレッチャー1(椅子形態)の例を示す前方側斜視図(概略図)であり、
図2は、その後方側斜視図(概略図)である。また、
図3は、ストレッチャー1(ベッド形態)の例を示す前方側斜視図(概略図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印によりストレッチャー1の前後、左右、および上下方向を示している。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
ストレッチャー1は、例えば病院や介護施設等において、診療、処置、検査、搬送等に用いられる機材である。本実施形態においては、以下の構成を備えることによって、ストレッチャー1を椅子形態(
図1、2参照)とベッド形態(
図3参照)とで変化させることができるため、着座者となる患者や被介護者を座位および臥位の状態とすることができる。さらに、着座者がいずれの状態にある場合においても、当該ストレッチャー1を移動させることができるようになっている。
【0015】
先ず、本実施形態に係るストレッチャー1は、着座者の身体を支持(および保護)するための機構として、座部10、背もたれ12、ヘッドレスト14、フットレスト16、肘掛け36を備えており、移動するための機構として、前後四輪の走行輪38を備えている。さらに、走行輪38が取付けられる下部フレーム18と、座部10が取付けられる台座20と、台座20が取付けられる上部フレーム28とを備えている。なお、座部10、背もたれ12、ヘッドレスト14、フットレスト16は、いずれも、内部に設けられる金属材料等を用いた支持部、その周囲に設けられる樹脂材料等を用いたクッション部、および、外表面に設けられる樹脂材料等を用いた表面部を有する公知の構成を備えている。また、走行輪38は四輪に限定されず、前輪と後輪とは、同一形状であっても、異なる形状であってもよい。また、一般的な車輪の他に、キャスター、自在走行輪等であってもよい。なお、肘掛け36は、金属材料、樹脂材料等を用いて形成され、台座20に対して回動可能に連結されているが、これを備えない構成としてもよい。
【0016】
また、背もたれ12が取付けられる背もたれ支持部22、ヘッドレスト14が取付けられるヘッドレスト支持部24、および、フットレスト16が取付けられるフットレスト支持部26を備えている。一例として、背もたれ支持部22およびフットレスト支持部26は、いずれも台座20に対して所定角度範囲内で回動可能(任意位置で静止可能)に連結されている。一方、ヘッドレスト支持部24は、背もたれ支持部22に対して所定角度範囲内で回動可能(任意位置で静止可能)に連結されている。これにより、可倒式すなわち座面(着座者の身体に接触する面を一律に「座面」と称する)が起立状態と傾倒状態(傾斜した状態および水平に倒した状態を含む総称として用いる)とで変化可能な背もたれ12、ヘッドレスト14、フットレスト16を実現することができる(可倒範囲すなわち座面の角度範囲は仕様に応じて設定される)。なお、各座面は、単純な平面ではなく、着座者の身体に沿うように複数の曲面が組み合わされて構成されている。ただし、上記の構成に限定されるものではなく、ヘッドレスト14に関して、これを備えない構成もしくは背もたれ12と一体化した構成としてもよく、フットレスト16に関して、これを備えない構成もしくは座部10と一体化した構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0017】
この構成によれば、背もたれ支持部22を台座20に対して回動させることにより、背もたれ12を傾倒させることができる。このとき、背もたれ12は、座面が水平(角度5°程度以下の傾斜状態も含むものとする)位置となるまで傾倒可能であり、水平位置に傾倒した状態で、背もたれ12の座面が、座部10の座面に対して、着座者に負担の無い状態の連続面となるように構成されている。また、フットレスト支持部26を台座20に対して回動させることにより、フットレスト16を傾倒させることができる。このとき、フットレスト16は、座面が水平(角度5°程度以下の傾斜状態も含むものとする)位置となるまで傾倒可能であり、水平位置に傾倒した状態で、フットレスト16の座面が、座部10の座面に対して、着座者に負担の無い状態の連続面となるように構成されている。ここで、座部10は、座面が水平(角度5°程度以下の傾斜状態も含むものとする)となるように固定配置されている。また、ヘッドレスト支持部24を背もたれ支持部22に対して回動させることにより、ヘッドレスト14を傾倒させることができる。このとき、ヘッドレスト14の座面が、背もたれ12の座面に対して、角度-5°~+30°程度の範囲で傾倒可能となるように構成されている。
【0018】
このように、座部10に対して、背もたれ12およびフットレスト16を、起立状態と傾倒状態(水平状態を含む)とで変化させることができる。すなわち、ストレッチャー1は、座部10の座面に対して背もたれ12およびフットレスト16の座面が直角に近くなるほど椅子形態の要素が大きくなり、座部10の座面に対して背もたれ12およびフットレスト16の座面が水平に近くなるほどベッド形態の要素が大きくなる。これにより、着座者を座位および臥位の状態とすることができる。ただし、ヘッドレスト14の座面は、着座者に負担の無い状態となるように、背もたれ12に対して適宜、座面の角度設定を行うことが好適である。なお、各座面は、単純な平面ではなく、着座者の身体に沿うように複数の曲面が組み合わされて構成されているため、ベッド形態において各座面が水平となる状態は、完全な水平平面を意味するものではない。
【0019】
次に、ストレッチャー1は、台座20を昇降させる平行リンク30を備えている。この平行リンク30は、一端30aが上部フレーム28に回動可能に連結されており、他端30bが下部フレーム18によって回動可能に支持されている。具体的に、下部フレーム18において、左右一対のサイドフレーム18A、18B同士を連結するセンターフレーム18Cに設けられたリンク支持部18Dに対して他端30bが回動可能に連結されている。なお、台座20、下部フレーム18、上部フレーム28、平行リンク30は、いずれも、金属材料(一般鋼材等)からなるパイプ材等を用いた主要部、および、その端部等に必要に応じて設けられる軸、軸受等を有する公知の構成を備えている。
【0020】
本実施形態に係る平行リンク30は、左右一対となる構成を備えており、具体的に、左側平行リンク30Aおよび右側平行リンク30Bを備えている。ここで、左側平行リンク30Aは、上下に平行に配置される2本のロッドすなわち左側上部ロッド32Aおよび左側下部ロッド34Aを備えている。同様に、右側平行リンク30Bは、上下に平行に配置される2本のロッドすなわち右側上部ロッド32Bおよび右側下部ロッド34Bを備えている。したがって、本実施形態においては、各ロッド32A、34A、32B、34Bの各一端(軸、軸受等を含む)が平行リンク30の一端30aを構成し、各他端(軸、軸受等を含む)が平行リンク30の他端30bを構成する。
【0021】
上記の平行リンク30によれば、左右一対の構成(具体的には、左側平行リンク30Aおよび右側平行リンク30B)により安定した状態で台座20を昇降させることができ、台座20によって支持される座部10および背もたれ12等の座面の高さを所定の範囲内で変化させることができる。ここで、ストレッチャー1(椅子形態)において、座部10等が固定される台座20を上昇させた状態を
図4(a)に、下降させた状態を
図4(b)に示す。また、ストレッチャー1(ベッド形態)において、座部10等が固定される台座20を上昇させた状態を
図5(a)に、下降させた状態を
図5(b)に示す。
【0022】
なお、特許文献1に例示されるような従来のストレッチャーにおいても、電動アクチュエーター42による台座20の昇降が可能であった。しかし、電動アクチュエーター42が設けられる構造上の制約によって、臥位状態での低床化、例えば座部10および傾倒させた背もたれ12の座面を地上高450mm程度の低位置まで降下させる構成は実現できなかった。
【0023】
これに対して、本実施形態に係るストレッチャー1では、
図6に示すように(構成を分かり易くするため、座部10、背もたれ12、フットレスト16等は不図示)、左右の平行リンクの間すなわち左側平行リンク30Aと右側平行リンク30Bとの間の位置において、可動域内の任意位置で静止可能に構成されて背もたれ12の傾倒角度を調整する伸縮機構40と、台座20を昇降させる電動アクチュエーター42とが設けられている。このとき、伸縮機構40と、電動アクチュエーター42とが平面視で相互に重ならない位置に配置されている。一例として、伸縮機構40が左右方向の中心位置から左右の一方側(ここでは、左側)へ偏位して配置されており、且つ、電動アクチュエーター42が左右方向の中心位置から左右の他方側(ここでは、右側)へ偏位して配置されている。なお、背もたれ12の傾倒・起立動作およびロック動作を行うハンドル部54は背もたれ支持部22に取付けられている。
【0024】
ここで、伸縮機構40の例として、可動域内の任意位置で静止可能なロック機構を有するガスシリンダが用いられるが、これに限定されるものではなく、油圧シリンダ、電動シリンダ等が用いられる構成としてもよい(不図示)。また、電動アクチュエーター42の例として、電気モータ駆動のボールネジと螺合されるスライダとを有する直動機構が設けられるが、これに限定されるものではなく、電気モータ駆動のピニオンギアと噛合されるラックとを有する直動機構等が用いられる構成としてもよい(不図示)。なお、当該電動アクチュエーター42の電気モータを駆動する公知の電源回路部80、電装品84等と、オン・オフを行う足踏みスイッチ74(なお、手動スイッチでもよく、両者の併用でもよい)とが併せて設けられている。
【0025】
上記の構成によれば、電動アクチュエーター42を用いて、座部10等が固定される台座20の昇降が可能なストレッチャー1において、臥位状態(すなわち、ベッド形態にした状態)での低床化すなわち台座20の低位置配置(例えば、座部10の座面が地上高450mm程度となる低位置)の実現が可能となる。このように、従来よりも低位置で着座者を臥位状態とすることができ、且つ、その状態での移動および台座20の昇降を行うことができるため、特に医療分野において多様化する診療・処置方法に適したストレッチャー1を提供することができる。
【0026】
しかしながら、低床化の実現を可能とする上記構成において、新たな問題が明らかとなった。具体的に、左右方向の中心位置に配設される背もたれ支持部22と、左右方向の中心位置から左右の一方側へ偏位して配置される伸縮機構支持部44との接続を如何に行うかが問題となった。
【0027】
この点について、本実施形態においては、伸縮機構40の一端が回動可能に連結される伸縮機構支持部44を備えている。当該伸縮機構支持部44は、背もたれ支持部22と鈍角をなすように、且つ、左右方向の中心位置から左右のいずれか一方へ偏位する配置となるように、背もたれ支持部22から下方に延設されている。さらに、一端が背もたれ支持部22に連結され、他端が伸縮機構支持部44に連結された補強部材46が設けられている。一例として、補強部材46は、背面視でU字状もしくはV字状の棒状部材を用いて、背もたれ支持部22および伸縮機構支持部44にそれぞれ連結(溶接)されて構成されている。これにより、背もたれ支持部22と伸縮機構支持部44とを接続することが可能となり、且つ、伸縮機構支持部44における鈍角の角度および左右方向への偏位量に関わらず、補強部材46を背もたれ支持部22および伸縮機構支持部44に連結(溶接)して、当該接続部位を補強することが可能となる。
【0028】
上記の構成によれば、臥位状態での低床化(台座20の低位置配置)を実現する本ストレッチャー1において、伸縮機構40による背もたれ12の傾倒角度の調整が可能となり、且つ、背もたれ12を倒して臥位とした際(すなわち、背もたれ12を水平もしくは水平に近い状態まで傾倒してベッド形態とした際)に、伸縮機構支持部44が背もたれ支持部22から折損することの防止が可能となる。
【0029】
また、本実施形態に係るストレッチャー1は、走行輪38のロックおよび解除を行うロック部材50、および、ロック部材50の作動を行う作動ペダル52(左右2箇所)を備えている。一例として、ロック部材50は、リンク機構58を介して、いずれかの作動ペダル52が操作された際に4つの走行輪38が同時にロック・解除されるように構成されている。
【0030】
ここで、作動ペダル52は、
図7に示すように、平面視において臥位状態の背もたれ12の左右両端部よりも外方となる位置に配設されている。これにより、臥位状態での低床化(台座20の低位置配置)を実現する本ストレッチャー1において、臥位状態且つ低床状態での使用中に、走行輪38のロックおよび解除を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【0031】
以上、説明した通り、本発明によれば、着座者が座位および臥位のいずれの状態でも移動が可能で、且つ、電動アクチュエーターにより座部等が固定される台座の昇降が可能となる。さらに、臥位状態での低床化すなわち台座の低位置配置の実現が可能となる。したがって、多様化するニーズに幅広く対応可能なストレッチャーを提供することができる。
【0032】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 ストレッチャー
10 座部
12 背もたれ
14 ヘッドレスト
16 フットレスト
18 下部フレーム
20 台座
28 上部フレーム
30 平行リンク
38 走行輪
40 伸縮機構
42 電動アクチュエーター
44 伸縮機構支持部
46 補強部材
52 作動ペダル