(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064420
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】非常時電源供給装置および電力分配装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
H02J9/06 160
H02J9/06 110
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174695
(22)【出願日】2021-10-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】514068015
【氏名又は名称】株式会社加藤電気エレクト
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(74)【代理人】
【識別番号】240000235
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人柴田・中川法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩輔
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015GA15
5G015HA12
5G015JA05
5G015JA25
(57)【要約】
【課題】 非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方を供給可能とし、単相交流電力の供給における電圧を安定化させる非常時電源供給装置およびそのための電力分配装置を提供する。
【解決手段】 電力分配装置5は、単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路53と、単相交流電力を第1の負荷3に対して供給するための第1の電力線54と、単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線55と、インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷4に対して供給するための第3の電力線56と、単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備える。非常時電源供給装置は、電力分配装置に非常用発電機を接続する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方の電力提供を可能とする非常時電源供給装置であって、
単相交流発電機と、該単相交流発電機による電力を複数の負荷に対して個別に供給可能とする電力分配装置とを備え、
前記電力分配装置は、
単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段と
を備えることを特徴とする非常時電源供給装置。
【請求項2】
前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものである請求項1に記載の非常時電源供給装置。
【請求項3】
前記異種電源同時投入・遮断レバーは、常用電源との接続状態から他方への切り替えを制限する制限手段を備え、
前記制限手段は、前記異種電源同時投入・遮断レバーの切り替え時に移動させるべき可動領域に向かって付勢されつつ突出するストッパ部材と、該ストッパ部材に対して付勢に抗して後退させる第1の電磁アクチュエータと、該ストッパ部材の後退を制限する第2の電磁アクチュエータとを備え、
前記第1および第2の電磁アクチュエータは、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力によって作動するものである
請求項2に記載の非常時電源供給装置。
【請求項4】
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられ、第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該コネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられ、第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該コネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものである
請求項1~3のいずれかに記載の非常時電源供給装置。
【請求項5】
前記第1および第2のコネクタは、常用電源による電力供給を遮断し、非常用電源からの電力を負荷に供給するように接続されるものであり、前記第1および第2のコネクタには、非常用電源から電力供給を開始する起動インターロック回路が接続され、該起動インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動するものである請求項4に記載の非常時電源供給装置。
【請求項6】
前記第1および第2のコネクタには、常用電源から電力供給を停止する停止インターロック回路が接続されており、該停止インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動する電磁開閉器によって操作されるものである請求項4に記載の非常時電源供給装置。
【請求項7】
非常時電源供給装置に使用され、単相交流発電機に接続されることにより、該単相交流発電機によって発電される単相交流電力を分配する電力分配装置であって、
前記単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段と
を備えることを特徴とする電力分配装置。
【請求項8】
前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものである請求項7に記載の電力分配装置。
【請求項9】
前記異種電源同時投入・遮断レバーは、常用電源との接続状態から他方への切り替えを制限する制限手段を備え、
前記制限手段は、前記異種電源同時投入・遮断レバーの切り替え時に移動させるべき可動領域に向かって付勢されつつ突出するストッパ部材と、該ストッパ部材に対して付勢に抗して後退させる第1の電磁アクチュエータと、該ストッパ部材の後退を制限する第2の電磁アクチュエータとを備え、
前記第1および第2の電磁アクチュエータは、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力によって作動するものである
請求項8に記載の電力分配装置。
【請求項10】
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられて第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該コネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられて第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該コネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものである
請求項7~9のいずれかに記載の電力分配装置。
【請求項11】
前記第1および第2のコネクタは、常用電源による電力供給を遮断し、非常用電源からの電力を負荷に供給するように接続されるものであり、前記第1および第2のコネクタには、非常用電源から電力供給を開始する起動インターロック回路が接続され、該起動インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動するものである請求項10に記載の電力分配装置。
【請求項12】
前記第1および第2のコネクタには、常用電源から電力供給を停止する停止インターロック回路が接続されており、該停止インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動する電磁開閉器によって操作されるものである請求項10に記載の電力分配装置。
【請求項13】
前記電力分配装置を構成する各要素は、いずれも単一の筐体内に内蔵されたものであり、全体が移動可能に構成されている請求項7~12のいずれかに記載の電力分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電によって常用電源が供給されない非常において、非常用発電機により発電される電力を所望の負荷に対して供給するための非常時電源供給装置と、その非常時電源供給装置に使用される電力分配装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、常用電源の供給が停止(停電)したときには、非常用電源として発電機(いわゆる自家発電機)を稼働させ、当該発電機により発電された電力によって各種の負荷(電化製品等)を使用するものであった。その際、常用電源と非常時電源との切り替えが必要となるため、これまで、切り替えのための装置が開発されてきた(特許文献1および2参照)。
【0003】
ところで、一般的な自家発電装置は、専ら家庭内で単相100Vを対象とする負荷(一般家電製品等)を使用するためのものであることから、単相交流発電機が使用されていた。特に一般家庭においては単相100V交流発電機が主流である。これに対し、業務用で使用される発電装置は、特に動力用として使用する必要がある場合には、三相200V交流発電機が使用されていた。そして、業務用に用いる場合であっても、使用する負荷には三相交流電力を必要とする場合(モータ等の大型電気製品)のほか、これと同時に単相交流電力を必要とする負荷(制御装置やOA機器等の小型電気製品)にも電源を供給しなければならなかった。このような場合には、三相交流電力線の三相配電線のうちの単相分を分岐して単相交流電力として取り出して使用するものとしていた(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-142102号公報
【特許文献2】特開2015-180117号公報
【特許文献3】特開平10-257696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
停電による常用電源の供給が停止されるような非常時において、負荷に対して非常用電源から電力を供給しようとする場合、その負荷が単相交流電力によって利用できるものと、三相交流電力によって利用できるものとの双方が存在する場合には、三相交流発電機によって三相交流電力を供給し、その単相分を分岐することが簡易であり一般的であった。
【0006】
しかしながら、三相交流発電機によって発電される三相交流電力は、その電圧が不安定となりやすく、対象となる負荷に単相分を分岐した単相交流電力を供給するとき、その電圧の不安定さから作動に支障を来すことがあった。例えば、非常用の発電機によって、コンプレッサやポンプ等を作動させるためのモータと、当該モータを制御する制御装置とに対して、同時に電源を供給する場合、モータには三相交流電力を、制御装置には単相交流電力を、それぞれ供給することがあるところ、制御装置が正常に作動しないことによってモータの制御が不安定になることが問題となっていた。
【0007】
また、単相交流発電機は比較的安価であるのに対し、三相交流発電機は高価なものが多く、停電時には必須であるとしても、その非常時に備えて高価な三相交流発電機を準備することに躊躇せざるを得ないものとなっていた。また、利用者によっては、特に一部地域のみで発生した停電に際しては、当該非常用電源の利用場所を変更することがあり、その変更先において、専ら単相交流電力を使用する場合には、電圧の安定した電源利用が切望されていた。
【0008】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方を供給可能とし、単相交流電力の供給における電圧を安定化させる非常時電源供給装置およびそのための電力分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、非常時電源供給装置に係る本発明は、非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方の電力提供を可能とする非常時電源供給装置であって、単相交流発電機と、該単相交流発電機による電力を複数の負荷に対して個別に供給可能とする電力分配装置とを備え、前記電力分配装置は、単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、単相交流発電機によって発電される単相交流電力をそれぞれの負荷に対して供給することができる。すなわち、上記電力分配装置を使用することにより、非常用電源の供給を受けるべき負荷が、単相交流電力によって利用できるものと、三相交流電力によって利用できるものとの双方が混在する場合であっても、その双方に対してそれぞれ電力を分配しつつ供給することができる。この場合において、単相交流電力は、単相交流発電機によって発電される電力を直接供給することができることから、その供給電力の電圧を安定させた状態で供給し得ることとなる。他方、三相交流電力は、インバータ回路によって単相交流電力から三相交流電力へ変換された後に供給可能となるから、三相交流電力によって利用可能な負荷についても同時に使用することができることとなる。
【0011】
ここで、単相交流発電機によって発電される単相交流電力を単相3線式によって供給することにより、単相100V電力または単相200V電力を選択的に使用することが可能となる。また、インバータ回路によって変換する三相交流電力においても同様に100Vまたは200Vを選択しつつ、変化した三相交流電力を三相3線式により提供することができる。なお、インバータ回路は、AD/DCコンバータと、スイッチング回路によるDC/ACインバータによって単相交流電力を三相交流電力に変換するものである。
【0012】
上記構成の発明において、前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものとすることができる。
【0013】
上記構成の場合には、第1および第2の切り替えスイッチにより、電力供給源を常用電源から非常用電源へ切り替えることができることから、これを同時に操作することにより、インバータ回路への単相交流電力の供給と、インバータ回路から出力される三相交流電力を対象とする負荷(第2の負荷)に対する供給を同時に行うことができる。また、単相交流電力の供給を受ける負荷(第1の負荷)に対する電力供給も同時に行うことができることから、双方の負荷を同期させて作動する場合の稼働状態を安定させることができる。
【0014】
上記構成の場合においては、前記異種電源同時投入・遮断レバーは、常用電源との接続状態から他方への切り替えを制限する制限手段を備えるものとし、当該制限手段は、前記異種電源同時投入・遮断レバーの切り替え時に移動させるべき可動領域に向かって付勢されつつ突出するストッパ部材と、該ストッパ部材に対して付勢に抗して後退させる第1の電磁アクチュエータと、該ストッパ部材の後退を制限する第2の電磁アクチュエータとを備え、前記第1および第2の電磁アクチュエータは、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力によって作動するものとすることができる。
【0015】
このような構成の場合には、第1および第2の電磁アクチュエータは、単相交流発電機によって発電される電力によって作動するものであるから、非常用電源が供給される状態となっている場合にのみ作動するものである。また、第1の電磁アクチュエータは、異種電源同時投入・遮断レバーに対して直接的な操作を制限するものであり、第2の電磁アクチュエータは、第1の電磁アクチュエータの作動を制限するものであることから、第2の電磁アクチュエータが作動していない(許容状態でない)場合に、第1の電磁アクチュエータを人為的に操作できないものとしている。その結果、これらの電磁アクチュエータが、単相交流発電機により発電された電力が供給される状態において、異種電源同時投入・遮断レバーを操作することが可能となることから、不用意な電源の切り替え操作を防止できる。
【0016】
また、上記各構成のいずれかの発明において、前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられ、第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該コネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられ、第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該コネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであるものとすることができる。
【0017】
上記構成によれば、第1および第2のコネクタの接続により、上記電力分配装置の着脱を可能とすることができる。このような着脱式の電力分配装置とする場合には、常時電力分配装置を接続する必要がなく、使用時にコネクタ接続によって使用することが可能となる。
【0018】
そして、このような構成の発明において、前記第1および第2のコネクタは、常用電源による電力供給を遮断し、非常用電源からの電力を負荷に供給するように接続されるものであり、前記第1および第2のコネクタには、非常用電源から電力供給を開始する起動インターロック回路が接続され、該起動インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動するものとすることができる。
【0019】
上記構成によれば、第1および第2のコネクタが正常に接続された状態において、常用電源が遮断され、非常用電源からの電力が正常に負荷に対して供給される状態となる場合において、非常用電源(単相交流発電機)からの電力が供給されることにより、起動インターロック回路を作動させ、負荷に対する非常用電源の供給を可能にすることとなる。従って、非常用電源と常用電源との双方が同時に供給されることを防ぐことができる。
【0020】
また、同様に、前記第1および第2のコネクタには、常用電源から電力供給を停止する停止インターロック回路が接続されており、該停止インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動する電磁開閉器によって操作されるものとしてもよい。
【0021】
このような構成の場合には、停電時に際して、負荷と常用電源とが接続されている電力線に対し、コネクタ接続により上記電力分配装置を接続し、かつ非常用電源が既に供給されている状況下において、仮に常用電源が復旧したとしても、当該常用電源の負荷への供給が遮断された状態を維持させることができる。
【0022】
他方、電力分配装置に係る本発明は、上記非常時電源供給装置に使用され、単相交流発電機による単相交流電力を分配することができ、この電力分配により上述のような非常時電源供給装置を正常に作動させることができるものとなる。
【0023】
なお、前記電力分配装置を構成する各要素は、いずれも単一の筐体内に内蔵されたものであり、全体が移動可能に構成される構成とすることにより、当該電力分配装置を全体として移動し、所望の場所で設置することができることとなる。
【発明の効果】
【0024】
非常時電源供給装置に係る本発明によれば、単相交流電力および三相交流電力の双方を供給が可能である。また、単相交流発電機による発電を非常用電源とすることから、単相交流電力の供給においては、電源から直接供給を受けることとなり、供給される電圧が安定することとなる。
【0025】
また、電力分配装置に係る本発明によれば、上記のような電圧の安定した単相交流電力の供給と、変換された三相交流電力の供給とを同時に可能とするものとなる。特に、モータ等の大型電気製品と、その制御装置等の小型電気製品とを、同時に非常用電源によって使用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】常用電源による二種類の電力を供給する場合を例示する回路図である。
【
図4】常用電源供給時における電力供給の状態を示す説明図である。
【
図5】非常用電源供給時における電力供給の状態を示す説明図である。
【
図6】異種電源同時投入・遮断レバーの制御手段の構成を示す説明図である。
【
図7】異種電源同時投入・遮断レバーの制御手段の使用状態を示す説明図である。
【
図9】コネクタにおける接続の状態を例示する説明図である。
【
図11】変形例における常用電源供給時の状態を示す説明図である。
【
図12】変形例における非常用電源供給時を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<通常時の電源供給の流れ>
本発明の非常時電源供給装置は、停電等による常用電源の供給が停止した場合のように、非常時における発電機の電源を分配して使用するためのものであるところ、まず、常用電源の供給時(通常時)における単相電力と三相電力の電力供給について説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る非常時電源供給装置を使用していない状態を示している。なお、この図は、動力三相200Vを使用する動力ポンプ(電動ポンプ)と、その制御盤(動力単相200Vを使用する動力制御盤)の双方に電力供給し、制御盤による制御信号によって動力ポンプを制御する場合を例示している。この図に示されるように、常用電源は、既設の分電盤1を介して屋内配線に接続され、所定電圧(図は三相3線式による動力200Vを例示)の電力供給がなされている。この供給電源は、動力盤2によって分岐され、動力制御盤(業務用の動力制御盤その他動力単相200V対象負荷(第1の負荷))3と、動力ポンプ(その他動力三相200V対象負荷(第2の負荷))4に対し、それぞれ異なる種類の電力を供給することができるものとなっている。
【0029】
この種の常用電源の供給においては、動力盤2に、主幹用ブレーカ21を設置したうえで、電源分岐端子台22を使用して動力三相電力と動力単相電力に分岐させている。動力単相電力に分岐させたものは、そのまま動力制御盤(第1の負荷)3に供給するものとし、動力三相電力に分岐させたもの(供給電力そのもの)については、第2の主幹用ブレーカ23を介して動力ポンプ(第2の負荷)4に供給するものである。動力制御盤3に対する電力供給は、電源分岐端子台22から動力制御盤3に至る単相交流電力線20aを経由し、動力ポンプ4に対する電力供給は、当該電源分岐端子台22から動力ポンプ4に至る三相交流電力線20bを経由するものである。
【0030】
なお、図による例示は、動力制御盤3によって動力ポンプ4を制御する場合を示しており、そのため、動力ポンプ4の制御のための電磁開閉器24が動力盤2に設けられた構成としている。そして、動力制御盤3によって処理された制御指令(運転指令)が電磁開閉器24に入力されるものである。
【0031】
上記例示のように、動力ポンプ4を運転するために、同時に動力制御盤3に対する電力供給が必要となる場合、一方に対する電力供給のみでは正常運転ができず、特に、制御盤3に安定した電圧の単相交流電力が供給されない場合には、動力制御盤3が正常に作動しないことから、結果的に動力ポンプ4の運転も不安定なものとなるものである。また、制御盤3に使用される制御装置は、精密機器の一種であるため、不安定な電圧電力の供給により、精密機器に不具合を招来させることがあり得るものである。
【0032】
本発明は、上記のように二種類の異なる電力(特に三相交流電力および単相交流電力)を供給すべき電気製品(電子機器を含む)に対し、非常時において発電機による発電される電源から、当該電力を安定的に供給するものである。そこで、そのための電力分配装置および非常時電源供給装置の実施形態について、以下に説明する。
【0033】
<電力分配装置および非常時電源供給装置>
図2および
図3は、常用電源を使用する電力供給経路に対して非常用電源供給が可能となる電力分配装置および非常時電源供給装置を示す図である。この図のように、基本的には電力分配装置5に非常用発電機6を接続することにより非常時電源供給装置となるものである。なお、
図2は、常用電源による電力供給部分を含めた状態を示し、
図3は、電力分配装置5のみを示したものである。
【0034】
そこで、まず、これらの図に示すように、電力分配装置5は、常用電源から第1および第2の負荷(制御盤およびポンプ)3,4に電力供給される電力線20a,20bの途中に設け枯れた固定側接続コネクタ7a,8aに接続可能な接続側接続コネクタ7b,8bを設け、このコネクタ7(7aおよび7b、以下同じ),8(8aおよび8b、以下同じ)を介して非常用電源を供給するものである。
【0035】
電力分配装置5には、二つの開閉器51,52(第1の切り替えスイッチ51および第2の切り替えスイッチ52)が設けられ、当該コネクタ7,8に対する電力供給源を切り替えることができるように構成されている。この開閉器(切り替えスイッチ)51,52は、同種のものを同時に操作するものであり、スイッチ操作により、一方に接続するときは常用電源の供給を、他方に接続するときは非常用電源の供給を、それぞれ選択できるものである。
【0036】
また、電力分配装置5には、インバータ(インバータ回路)53が設けられ、このインバータ53は、単相3線式交流電力の入力を受け、三相3線式交流電力に変換するものであり、具体的には、AD/DCコンバータと、スイッチング回路によるDC/ACインバータによって変換させるものである。
【0037】
この電力分配装置5に供給される電力は、非常用発電機6によって発電される単相3線式交流電力である。具体的には、非常用発電機6によって発電される単相100/200V交流電力であり、これを一方の開閉器(第1の切り替えスイッチ)51に送電し、この単相100/200V交流電力から非接地側電線2本を結線することにより単相200V交流電力を送電することができるものとしている。この非接地側電線2本の結線は開閉器(第1の切り替えスイッチ)51によって行うことができることから、非常用発電機6から供給された電力を開閉器(第1の切り替えスイッチ)51へ送電するための電力線54は、この開閉器(第1の切り替えスイッチ)51で切り替えられ、単相200V交流電力を送電する電力線(54)との双方により、コネクタ7を介して第1の負荷(制御盤)3への供給に供される。この意味で、これらの電力線54,(54)が第1の電力線として機能する。
【0038】
また、上記の一方の開閉器(第1の切り替えスイッチ)51の電源入力端子には、インバータ53に電力供給するための電力線(第2の電力線)55が結線されており、単相100/200V交流電力(3線式)が、そのままインバータ53に供給させるものとなっている。従って、この電力線(第2の電力線)55については切り替えが不要となっている。また、インバータ53から出力される三相200V交流電力は、他方の開閉器(第2の切り替えスイッチ)52に供給されるものであり、そのための電力線56が他方の開閉器(第2の切り替えスイッチ)52の接点に接続されている。これにより、非常用発電機6による発電が開始すれば、インバータ53によって変換された三相200V交流電力を他方の開閉器(第2の切り替えスイッチ)52に供給できるようにしている。
【0039】
この他方の開閉器(第2の切り替えスイッチ)52は、第2の負荷(ポンプ)4に対し、上記変換後の三相200V交流電力の供給を開始するための接点を有するものであり、当該接点は開閉器(第2の切り替えスイッチ)52のスイッチ操作によって接続可能であり、この接続により、コネクタ8を介して三相200V交流電力を第2の負荷(ポンプ)4へ供給し得るものとしている。上記のような構成により、電力線56,(56)が第3の電力線として機能する。
【0040】
上記のように、非常用発電機6によって発電される単相交流電力は、一方の開閉器(第1の切り替えスイッチ)51によって、対象となる負荷3に対しコネクタ7を介して供給されるものであり、そのたの第1の電力線(54)と、インバータ53に供給される第2の電力線55に分電可能となっている。この意味において、当該開閉器(第1の切り替えスイッチ)51およびコネクタ7によって分電手段が構成されるものである。なお、後述のように、開閉器(第1の切り替えスイッチ)51の切り替えを行わないか、またはコネクタ7を差し替えない場合には、いずれか一方によって分電手段が構成される形態もあり得る。
【0041】
また、インバータ53によって変換された三相交流電力は、他方の開閉器(第2の切り替えスイッチ)52によって、対象となる負荷4に対してコネクタ8を介して供給され、そのための第3の電力線(56)への配電を可能としており、この意味において、当該開閉器(第2の切り替えスイッチ)52およびコネクタ8が配電手段を構成するものである。この配電手段についても、後述のように、開閉器(第2の切り替えスイッチ)52の切り替えを行わないか、またはコネクタ8を差し替えない場合には、いずれか一方によって構成される形態となり得る。
【0042】
なお、上述の非常用発電機6から一方の開閉器(第1の切り替えスイッチ)51への電力供給には、漏電防止のためのブレーカ57を設置しており、また、二つの開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作レバーは、共通する単一の異種電源同時投入・遮断レバー58によって一体的に構成されている。両操作レバーを一体的に構成する異種電源同時投入・遮断レバー58を操作することにより、第1の負荷(制御盤)3への供給(コネクタ7を経由)と、第2の負荷(ポンプ)4への供給(コネクタ8を経由)とを、同時に操作できるものとしている。
【0043】
このような構成により、開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作により、供給電源を常用電源とするか、非常用電源とするかを選択することができるものである。このとき、非常用電源を選択している場合には、常用電源が供給されないためにインターロック機能を設ける必要がある。なお、インターロックについては後述する。
【0044】
本実施形態では、固定側の接続コネクタ7a,8aに接続するコネクタを変更可能としている。すなわち、常用電源の供給を受ける場合には、コネクタにおいて短絡させて、電力線を接続させるように構成している。
【0045】
すなわち、
図4に示すように、常用電源による電力供給を受ける場合には、固定側のコネクタ7a,8aには、短絡コネクタ7c,8cを装着し、入力線と出力線を短絡させ、入力側から出力側を直結するのである。この電力線の直結により、供給電力は、他へ流れず、また他から入力されず、常用電源による電力のみを供給させることができるのである。
【0046】
他方、非常用電源の供給を受ける場合には、
図5に示すように、電力分配装置5に接続されている接続側のコネクタ7b,8bを固定側のコネクタ7a,8aに装着することにより、常用電源側の回路を遮断し、非常用電源側(電力分配装置側)の回路を使用させることができるのである。
【0047】
この場合の開閉器(切り替えスイッチ)51,52は、異種電源同時投入・遮断レバー58によって、同時に接続側コネクタ7b,8bに接続されることとなる。これにより、コネクタ7,8を介して非常用電源から第1および第2の負荷3,4に至る電力線が接続される状態となるから、非常用発電機6によって発電される電力をこれらの負荷3,4に供給し得ることとなる。
【0048】
なお、このとき、開閉器(切り替えスイッチ)51,52は、異種電源同時投入・遮断レバー58の操作によってコネクタ7,8との動力線を接続させているが、そもそもコネクタ7,8の変更(7c,8cに替えて7b,8bを装着)によって、供給経路を変更する場合には、開閉器(切り替えスイッチ)51,52の切り替え操作を不要としてよい。すなわち、切り替えることなく当初より結線させた構成としてもよいものである。ただし、この場合には、常用電源の復帰に伴う電源供給を回避するため、結線後(コネクタ装着後)に非常用発電機6の運転を開始するような操作上の注意を要することとなる。また、コネクタの接続が未了であり、または誤接続であるような場合には、感電や漏電の可能性もあるため、開閉器(切り替えスイッチ)51,52を操作可能としつつ、感電等を防止するための装置を設けることが好ましい。そのための装置として異種電源同時投入・遮断レバー58の操作を制限する制限手段があり得る。
【0049】
<異種電源同時投入・遮断レバーの制限手段>
そこで、異種電源同時投入・遮断レバー58の操作を制限する制限手段について説明する。
図6は、制限手段の構成を示す図である。
図6(a)に示されるように、制限手段9は、第1の電磁アクチュエータ9aと、第2の電磁アクチュエータ9bとで構成するものとしている。第1の電磁アクチュエータ9aは、電磁的に進退移動可能なロッド91に圧縮バネ92が装着されたものであり、ロッド91に対し、異種電源同時投入・遮断レバー58に向かって突出方向に付勢するものである。従って、この電磁アクチュエータ9aが作動する場合には、当該圧縮バネ92の付勢に抗して後退可能であるが、電磁アクチュエータ9aが作動しない状態においては、当該圧縮バネ92によって突出状態が維持されるものである。この進退可能なロッド91によってストッパが形成されるものである。すなわち、ロッド91が突出した状態において、当該ロッド91の先端部分は、異種電源同時投入・遮断レバー58の端部よりも内側に配置されるものであり、異種電源同時投入・遮断レバー58を移動させようとするとき、このロッド91の先端部分が当該移動を阻害するように設けられているのである。
【0050】
また、第2の電磁アクチュエータ9bは、第1の電磁アクチュエータ9aの後方に配置され、進退移動する第1の電磁アクチュエータ9aのロッド91の後端の移動を制限するものである。第2の電磁アクチュエータ9bも進退可能な移動子94を有するものであり、この移動子94の先端が第1の電磁アクチュエータ9aのロッド91の後端93の可動域内に出没可能に設けられている。移動子94の先端がロッド91の後端93の可動域内に出現するときは、当該ロッド91の後端93が移動子94によって制限され、結果的に、ロッド91を後退させることができない状態となる。これに対し、移動子94の先端がロッド91の後端93の可動域外へ没するときは、当該ロッド91が自在に進退できる状態となる。そのため、第1の電磁アクチュエータ9aを作動させる(ロッド91を後退させる)ためには、第2の電磁アクチュエータ9bを作動させ、移動子94を後退させて先端をロッド91の後端93の可動域外へ移動させなければならないように構成されている。
【0051】
このように第1および第2の電磁アクチュエータ9a,9bの二段階によって異種電源同時投入・遮断レバー58の操作を制限させているのは、第1の電磁アクチュエータ9aのロッド91を人為的に(強制的に)後退させて異種電源同時投入・遮断レバー58を操作できないようにするためである。すなわち、利用者が、異種電源同時投入・遮断レバー58を操作しようとするとき、ロッド91がストッパとして当該レバー58の移動を制限している状態において、当該利用者が当該ロッド91の存在を邪魔なものとして強制的に移動させることがないように、ロッド91の後退を防止しているのである。
【0052】
上記のような二段階の制限手段9は、作動時に2段階で作動することとなる。すなわち、
図6(b)に示すように、第2の電磁アクチュエータ9bが先行して作動し、移動子94を後退させたうえで、第1の電磁アクチュエータ9aを作動させるものである。両者9a,9bは連動させており、第2の電磁アクチュエータ9bの移動子94が後退するとき、第1の電磁アクチュエータ9aが作動するものとしている。また、第1の電磁アクチュエータ9aのロッド91が突出したとき、第2の電磁アクチュエータ9bは作動子94を前進するものとしている。
【0053】
さらに、第1の電磁アクチュエータ9aは、作動状態の維持時間(ロッド91を後退させるための駆動時間)が、異種電源同時投入・遮断レバー58を操作するために必要な時間(例えば、数秒~数十秒)の範囲内となるように、タイマ等によって調整可能とされており、作動状態が解除(駆動状態の終了)により、ロッド91は圧縮バネ92の付勢によって突出方向へ誘導されることとなっている。そのため、異種電源同時投入・遮断レバー58は、当該時間を経過した後には移動できないようになっており、また、一旦移動させた当該レバー58を復帰させた(戻した)後に、再移動できないようにしている。このとき、当該レバー58の復帰(復元)を可能にするため、移動した状態における異種電源同時投入・遮断レバー58は、図示(
図6(b))のように、第1の電磁アクチュエータ9aのロッド91の先端の軸線上に位置するものとしており、当該ロッド91が圧縮バネ92の付勢により突出する際に、ロッド91の先端が異種電源同時投入・遮断レバー58の端面に当接した状態で停止できるようにしている。なお、異種電源同時投入・遮断レバー58の復帰(復元)操作を許容しない場合は、当該ロッド91が異種電源同時投入・遮断レバー58の反対側に突出させるようにしてもよい。
【0054】
ところで、本実施形態では、上述のように本実施形態はコネクタ7,8にインターロック機能を備え、供給電源の同時供給を防止するものであるが、異種電源同時投入・遮断レバー58の制限手段9をコネクタ7,8のインターロックと連動させることにより、コネクタ7,8の接続未了または誤接続による不測の事態を防止できる。
【0055】
例えば、
図7に示すように、接続側の二つの接続コネクタ7b,8bに形成されるインターロックに第2の電磁アクチュエータ9bを含める構成とし、インターロックによる非常用電源の供給開始が許容される状態において、第2の電磁アクチュエータ9bが作動可能となるように構成することができる。このように、第2の電磁アクチュエータ9bの作動条件をインターロックによって制御することにより、コネクタ7,8の接続が未了等となっている状況において、非常用電源が供給されることを防止し、接続未了等による当該コネクタ7,8を原因とする感電や漏電を未然に防ぐことができるものとなる。
【0056】
<使用の態様>
電力分配装置(非常用発電機を含む場合は非常時電源供給装置)に係る本実施形態の構成は上記のとおりであるから、本実施形態を使用する場合は、基本的にはコネクタ7,8の差し替えおよび非常用発電機6の始動によって行われることとなる。
【0057】
そこで、
図8に示すように、常用電力の供給を受けるための既設分電盤1と、これに接続される動力盤2は、供給すべき場所に設置されるものであるから、これを固定側として設けられるものである。これに対し、非常用発電機6およびその供給電力を分配するための電力分配装置5は、上記動力盤2に接続されることによって使用可能なものであるので、接続側として設置されるものである。なお、対象負荷に対する所望電力(単相交流電力または三相交流電力)は、動力盤2の内部において分岐され、または固定側のコネクタ7a,8aを介して供給されることから、これらのための電力線は動力盤2から各対象負荷に接続されるものとして構成している。
【0058】
そして、上述したとおり、常用電源による電力を供給する場合は、短絡コネクタ7c,8cが、固定側の接続コネクタ7a,8aに装着されており、この状態が通常時における使用形態となる。このような通常時の使用形態においては、常用電源は常に対象負荷に対して供給可能な状態であるから、特段の操作を要することなく継続的な対象負荷の使用が可能である。
【0059】
他方、常用電源の停電時(非常時)には、固定側のコネクタ7a,8aに接続されている短絡コネクタ7c,8cを抜き取り、電力分配装置5に設けられている接続側の接続コネクタ7b,8bを装着するのである。このコネクタ7,8の差し替えにより、固定側の接続コネクタ7a,8aまで接続されている常用電源側の電力線は、当該接続コネクタ7a,8aにおいて切断され、対象負荷への電力供給も遮断されることとなる。これと同時に、動力盤2との間で、非常用発電機6から供給される電力のための電力線が、接続コネクタ7a,8aを介して接続され、それぞれ供給可能な状態となるのである。この状態が非常時における使用形態である。
【0060】
なお、このように、非常時における使用形態として、非常時においてのみ電力分配装置5を動力盤2に接続し、非常用発電機6によって発電される電力から所望電力を供給する場合、当該電力分配装置5および非常用発電機6を可搬式(ポータブル)とすることができる。このような可搬式とする場合には、例えば、常用電源が特定地域においてのみ供給停止(停電)となっている場合に、当該地域へ電力分配装置5および非常用発電機6を持ち込んで、非常用電源を供給することも可能となる。また、例えば、農家等において施設内で作物栽培を行う場合のように、複数施設において、短時間に特定の装置を稼働させる必要があるときには、一時的な電源供給として、施設ごとに電力分配装置5および非常用発電機6を順次搬入し、施設ごとに所望の装置を稼働させるように使用することも可能となる。
【0061】
<コネクタ構造>
ところで、本実施形態では、動力盤2に設けられる固定側の接続コネクタ7a,8aに対して、接続側の接続コネクタ7b,8bまたは短絡コネクタ7c,8cを装着することにより供給電源を切り替えるものとした。そこで、このようなコネクタの構成を例示して説明することとする。なお、
図9は、二種類のコネクタの接点を示すものであり、
図9(a)は単相交流電力のためのコネクタを示し、
図9(b)は三相交流電力のためのコネクタを示している。
【0062】
図9(a)に示すように、単相交流電力の供給切り替えのためのコネクタは、固定側の接続コネクタ7aに対し、二種類の接続コネクタ7b,7cを交換可能に接続されるものである。この固定側の接続コネクタ7aは、後述のインターロック回路との接続に使用する二つの端子の間(I-I端子間)が短絡された状態としている。このような固定側の接続コネクタに対し、常用電源供給時に装着される短絡コネクタ7cは、上記固定側の接続コネクタ7aを介して導通する2本の電線(非接地側電線)について、受電側と送電側の双方の端子の間(R-U端子間およびT-W端子間)を短絡させるように構成している。このような構成により、短絡コネクタ7cを固定側の接続コネクタ7aに装着することで、2本の電線(非接地側電線)を直結し、コネクタ7a,7bまで送られる常用電力を、そのまま対象負荷へ送電させることができる。
【0063】
これに対し、非常用電源供給時に装着される接続側の接続コネクタ7bは、電力分配装置に接続される2本の電力線が2つの端子(供給側端子(例えば、U端子およびW端子))に接続され、対象負荷に対する供給側電力線のみが接続されるものである。なお、固定側の接続コネクタ7aにおいて短絡させた端子(I-I端子)に接続される接続側の接続コネクタの端子(2つのI端子)は、後述のインターロック回路を形成する配線が接続されている。また、常用電力を開閉器(切り替えスイッチ)51まで供給させる場合には、電力の受電側の端子(上記の例ではR端子およびT端子)が開閉器(切り替えスイッチ)51に接続されるように結線することができる。
【0064】
他方、三相交流電力の供給切り替えのためのコネクタについても、
図9(b)に示すように、固定側の接続コネクタ8aに対し、二種類の接続コネクタ8b,8cを交換可能に接続されるものである。固定側8aは、単相交流電力の供給の場合と同様にインターロック回線との接続に使用される二つの端子の間(I-I端子間)のみを短絡させた構成としている。そして、これに装着可能な短絡コネクタ8cは、三相3線式交流電力の供給であるため、3本の電線について短絡させるように、3組の端子の間(例えば、R-U端子間、S-V端子間、T-W端子間)をそれぞれ短絡させるものとしている。上記構成により、短絡コネクタ8cを固定側の接続コネクタ8aに装着することにより、3本の電線を直結させることとなり、三相3線式交流電力による常用電力を、対象負荷へ送電させることができる。
【0065】
これに対し、非常用電源供給時に装着される接続側の接続コネクタ8bは、電力分配装置に接続される3本の電線が3つの端子(例えば、U端子、V端子およびW端子)に接続され、対象負荷に対する供給側電力線が接続されるものとしている。なお、固定側の接続コネクタ8aにおいて短絡させた端子(I-I端子)には、単相交流電力の供給の場合と同様に、接続側の接続コネクタ8bにおいて後述のインターロック回路を形成する配線が接続されるものとしている。なお、固定側の接続コネクタ7aにおいて短絡させた端子(I-I端子)に接続される接続側の接続コネクタの端子(2つのI端子)は、後述のインターロック回路を形成する配線が接続されている。また、単相交流電力の場合と同様に、常用電力を開閉器(切り替えスイッチ)52まで供給させる場合には、電力の受電側の端子(上記の例ではR端子、S端子およびT端子)が開閉器(切り替えスイッチ)52に接続されるように結線することができる。
【0066】
ここで、インターロックについて説明する。本実施形態で使用するインターロックは、非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の供給を開始する際に作動させる起動インターロックである。そのためのインターロック回路は、各電力線のそれぞれにリレーが設けられ、こられ二つのリレーは、前記固定側の接続コネクタ7a,8aの短絡端子(I-I端子)に、接続側の接続コネクタ7b,8bの各端子(2つのI端子)を接続することにより、全体として閉回路となるように構成されている。リレーを作動させるための電源は、単相交流電力を使用してもよく、別途バッテリを接続してもよい。
【0067】
上記のように、各電力線に接続されている二つのリレーは、固定側の接続コネクタ7a,8aの短絡端子(I-I端子)と、接続側の接続コネクタ7b,8bの接続端子(2つのI端子)とが接続するときに、閉回路となるため、単相交流電力用のコネクタ7a,7bと、三相交流電力用のコネクタ8a,8bとが、接続されなければ、インターロックは機能せず、非常用電源は対象負荷に対して電力供給できないものとしているのである。
【0068】
このように、二種類のコネクタ(接続側の接続コネクタ7b,8bと短縮コネクタ7c,8c)を使い分けることにより、常用電源が停電状態から供給状態へ復帰した際の電力混入を防止することができるものである。なお、本実施形態では、開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作により、常用電源と非常用電源との供給電源を切り替えることができる構成となっているが、この開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作を行うまでもなく、非常時電源が供給される状態における常用電源の供給を遮断させることができるものである。そして、インターロック回路と開閉器(切り替えスイッチ)51,52の二段階において供給電源を制限するように構成してもよいものである。
【0069】
<小括>
本実施形態は上記のような構成であるから、常用電源が停止した状態(非常時)において、コネクタを差し替えることにより、非常用発電機6によって発電される単相交流電力と三相交流電力とを、それぞれの所望の負荷3,4に供給することができるものである。そして、非常用発電機6によって発電される電力は、単相交流電力であり、三相交流電力は、単相交流電力をインバータ53によって変換させたものであるから、単相交流電力によって使用できる負荷3に対して、安定した電圧による電力供給を可能とする。これにより動力制御盤のような精密機器を使用する場合においても、当該機器を安定的に作動させることができるものとなる。
【0070】
<変形例>
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。
図10は、変形例を示すものである。この
図10に示されるように、基本的な構成は同じであるが、接続側の接続コネクタ7b,8bに、インターロック回路71,81が設けられている。また、非常用発電機6から供給される非常用電力によって作動する電磁開閉器59が設けられ、この電磁開閉器59によって、インターロック回路71,81を作動させるものとしたのである。このインターロック回路71,81のうち、第1のインターロック回路71は、単相交流電力の供給に対しては、非常用電力が供給されている状態での常用電力の供給を遮断する停止インターロックとして機能し、第2のインターロック回路81を作動させるための起動インターロックとして機能する。また、第2のインターロック回路81は、三相交流電力の供給に対して、非常用電力が供給されている状態での常用電力の供給を遮断する停止インターロックとして機能させるものである。
【0071】
具体的には、非常用発電機6が始動し、電力分配装置5に電力供給がなされると、電磁開閉器59が作動し、第1のインターロック回路を構成する二種類のリレーを作動させ、常用電源からの単相交流電力の供給を遮断し、同時に第2のインターロック回路81を構成する一つのリレーを作動させるのである。また、第2のインターロック回路81のリレーが騒動することにより、常用電源からの三相交流電力の供給を遮断することができるのである。
【0072】
このようなインターロック回路71,81の設置により、開閉器51,52の操作を誤った場合(常用電源に接続した場合)において、常用電源が停電状態から復帰したとしても、負荷3,4に対する常用電力の供給(電力の混入)を防止させることができるものとなる。
【0073】
また、この変形例の場合には、コネクタ7,8は差し替えを行わないことから、コネクタ7,8は常時接続された状態として電力分配装置5が接続されることを想定している。そのため、非常用電源への切り替えは、専ら開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作によることとなる。その意味においては、開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作の誤りによる不具合を防止するために必要となる。
【0074】
上記の構成において、開閉器(切り替えスイッチ)51,52の操作によって常用電源と非常超電源とを切り替えることから、常用電源による電力供給がなされている場合は、
図11に示すように、コネクタ7,8を介して常用電力が開閉器(切り替えスイッチ)51,52に接続された状態となり、この開閉器(切り替えスイッチ)51,52を異種電源同時投入・遮断レバー58の操作によって、再度コネクタ7,8を介して負荷3,4に電力供給することとなる。
【0075】
他方、非常用発電機6から電力供給を受ける場合には、
図12に示すように、開閉器(切り替えスイッチ)51,52を異種電源同時投入・遮断レバー58によって操作し、動力線を非常用電源に接続させることにより、常用電源側の電力線は切断され、非常用電源から供給させる電力が負荷3,4に供給されることとなる。
【0076】
なお、変形例は、電力分配装置5がコネクタ7,8を介して常時接続された状態を想定しているが、非常用発電機6は、可搬式とすることができる。そこで、常用電源の停電において、停電した特定地域や特定施設においてのみ非常用電源を供給する場合には、この非常用発電機6を移動させればよいものとなる。コネクタの差し替えを敬遠するユーザに対しては、非常用発電機6の接続のみであるから、配線状態の確認については好適なものとなり得る。
【0077】
<まとめ>
本発明の実施形態および変形例は上記のとおりであるが、本発明がこれらの実施形態等に限定される趣旨ではなく、本実施形態の構成要素を変更し、または他の構成要素を追加するものとしてよい。例えば、上記実施形態においては、電力分配装置5において供給電源を切り替えるための装置として開閉器51,52を使用したが、単相交流電力の電力線と三相交流電力の電力線の切り替えを同時に行うことができるものであれば、開閉器51,52に限定されるものではない。
【0078】
また、実施形態におけるインターロックの構成を用いる場合、開閉器51,52を設けず、または開閉器51,52の操作を行わないものとし、当該部分における結線を固定化させるものとしてもよい。この場合、結線状態を確実なものとするために開閉器51,52を用いるものとしてもよいが、直結させた状態であってもよい。
【0079】
さらに、実施形態によるコネクタ7,8は、固定側の接続コネクタ7a,8aに対して接続側を二種類のコネクタ7b,7c,8b,8cを交換する構成としているが、適正に装着できるように(装着ミスを避けるために)、コネクタ先端に色彩を施して、区別できるようにしてもよい。その他にも、例えば、単相交流電力用に供される固定側の接続コネクタを雄型とし、三相交流電力用に供される固定側の接続コネクタ8aを雌型とすることにより、これに装着させるべきコネクタ7b,7c,8b,8cは、一方(7b,7c)が雌型、他方(8b,8c)が雄型となるため、装着ミスを防止できることとなる。なお、短絡コネクタ7c,8cは、電力分配装置5に接続されない構成でるから、接続側の接続コネクタ7b,8bとの区別は容易に判別し得るものである。
【0080】
また、単相交流電力を使用する負荷として動力制御盤3を例示し、三相交流電力を使用する負荷として動力ポンプ4を例示したが、これら以外の負荷を接続する場合もあり得る。そして、本実施形態を使用する場合には、単相および三相の二種類の交流電力を必ず使用しなければならないものではなく、必要に応じて、単相交流電流のみの電力供給を受け、または三相交流電力のみの電力供給を受けるべき場合であっても使用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 既設分電盤
2 動力盤
3 動力制御盤(第1の負荷)
4 動力ポンプ(第2の負荷)
5 電力分配装置
6 非常用発電機(単相交流発電機)
7a,8a 固定側の接続コネクタ
7b,8b 接続側の接続コネクタ
7c,8c 短絡コネクタ
9 異種電源同時投入・遮断レバーの制御手段
9a 第1の電磁アクチュエータ
9b 第2の電磁アクチュエータ
21,23 主幹用ブレーカ
22 電源分岐端子台
24 電磁開閉器
51 開閉器(第1の切り替えスイッチ)
52 開閉器(第2の切り替えスイッチ)
53 インバータ(インバータ回路)
54,(54) 電力線(第1)
55 電力線(第2)
56,(56) 電力線(第3)
57 漏電ブレーカ
58 異種電源同時投入・遮断レバー
59 電磁開閉器
71,81 インターロック回路
91 第1の電磁アクチュエータのロッド(ストッパ)
92 圧縮バネ
93 ロッドの後端
94 移動子
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方の電力提供を可能とする非常時電源供給装置であって、
単相交流発電機と、該単相交流発電機による電力を複数の負荷に対して個別に供給可能とする電力分配装置とを備え、
前記電力分配装置は、
単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備え、
前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものであることを特徴とする非常時電源供給装置。
【請求項2】
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられ、第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該第1のコネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられ、第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該第2のコネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものである
請求項1に記載の非常時電源供給装置。
【請求項3】
非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方の電力提供を可能とする非常時電源供給装置であって、
単相交流発電機と、該単相交流発電機による電力を複数の負荷に対して個別に供給可能とする電力分配装置とを備え、
前記電力分配装置は、
単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備え、
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられ、第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該第1のコネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられ、第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該第2のコネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記第1および第2のコネクタは、常用電源による電力供給を遮断し、非常用電源からの電力を負荷に供給するように接続されるものであり、前記第1および第2のコネクタには、非常用電源から電力供給を開始する起動インターロック回路が接続され、該起動インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動するものであることを特徴とする非常時電源供給装置。
【請求項4】
非常用電源から単相交流電力および三相交流電力の双方の電力提供を可能とする非常時電源供給装置であって、
単相交流発電機と、該単相交流発電機による電力を複数の負荷に対して個別に供給可能とする電力分配装置とを備え、
前記電力分配装置は、
単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備え、
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられ、第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該第1のコネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられ、第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該第2のコネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記第1および第2のコネクタには、常用電源から電力供給を停止する停止インターロック回路が接続されており、該停止インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動する電磁開閉器によって操作されるものであることを特徴とする非常時電源供給装置。
【請求項5】
前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものである請求項3または4に記載の非常時電源供給装置。
【請求項6】
前記異種電源同時投入・遮断レバーは、常用電源との接続状態から他方への切り替えを制限する制限手段を備え、
前記制限手段は、前記異種電源同時投入・遮断レバーの切り替え時に移動させるべき可動領域に向かって付勢されつつ突出するストッパ部材と、該ストッパ部材に対して付勢に抗して後退させる第1の電磁アクチュエータと、該ストッパ部材の後退を制限する第2の電磁アクチュエータとを備え、
前記第1および第2の電磁アクチュエータは、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力によって作動するものである
請求項1、2または5に記載の非常時電源供給装置。
【請求項7】
非常時電源供給装置に使用され、単相交流発電機に接続されることにより、該単相交流発電機によって発電される単相交流電力を分配する電力分配装置であって、
前記単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備え、
前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものであることを特徴とする電力分配装置。
【請求項8】
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられて第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該第1のコネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられて第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該第2のコネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものである
請求項7に記載の電力分配装置。
【請求項9】
非常時電源供給装置に使用され、単相交流発電機に接続されることにより、該単相交流発電機によって発電される単相交流電力を分配する電力分配装置であって、
前記単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備え、
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられて第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該第1のコネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられて第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該第2のコネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記第1および第2のコネクタは、常用電源による電力供給を遮断し、非常用電源からの電力を負荷に供給するように接続されるものであり、前記第1および第2のコネクタには、非常用電源から電力供給を開始する起動インターロック回路が接続され、該起動インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動するものであることを特徴とする電力分配装置。
【請求項10】
非常時電源供給装置に使用され、単相交流発電機に接続されることにより、該単相交流発電機によって発電される単相交流電力を分配する電力分配装置であって、
前記単相交流電力を三相交流電力に変換するインバータ回路と、
前記単相交流電力を第1の負荷に対して供給するための第1の電力線と、
前記単相交流電力を前記インバータ回路に供給するための第2の電力線と、
前記インバータ回路によって変換される三相交流電力を第2の負荷に対して供給するための第3の電力線と、
前記単相交流電力を前記第1および第2の電力線に分電可能とする分電手段と、
前記インバータ回路によって変換された三相交流電力を前記第3の電力線に配電可能とする配電手段とを備え、
前記分電手段は、前記第1の電力線に設けられて第1の負荷の接続を可能とする第1のコネクタを備え、該第1のコネクタは、第1の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記配電手段は、前記第3の電力線に設けられて第2の負荷の接続を可能とする第2のコネクタを備え、該第2のコネクタは、第2の負荷に対して常用電源を供給する電力線との間に介在されるものであり、
前記第1および第2のコネクタには、常用電源から電力供給を停止する停止インターロック回路が接続されており、該停止インターロック回路は、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力の供給によって作動する電磁開閉器によって操作されるものであることを特徴とする電力分配装置。
【請求項11】
前記分電手段は、常用電源から非常用電源への切り替えを可能とする第1の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記配電手段は、常用電源から前記インバータ回路によって変換される三相交流電力の供給に切り替え可能とする第2の切り替えスイッチを備えるものであり、
前記第1および第2の切り替えスイッチの操作レバーは、該操作レバーに懸架されつつ固定される異種電源同時投入・遮断レバーによって一体化され、同時に操作されるものである請求項9または10に記載の電力分配装置。
【請求項12】
前記異種電源同時投入・遮断レバーは、常用電源との接続状態から他方への切り替えを制限する制限手段を備え、
前記制限手段は、前記異種電源同時投入・遮断レバーの切り替え時に移動させるべき可動領域に向かって付勢されつつ突出するストッパ部材と、該ストッパ部材に対して付勢に抗して後退させる第1の電磁アクチュエータと、該ストッパ部材の後退を制限する第2の電磁アクチュエータとを備え、
前記第1および第2の電磁アクチュエータは、前記単相交流発電機によって発電される単相交流電力によって作動するものである
請求項7、8または11に記載の電力分配装置。
【請求項13】
前記電力分配装置を構成する各要素は、いずれも単一の筐体内に内蔵されたものであり、全体が移動可能に構成されている請求項7~12のいずれかに記載の電力分配装置。