(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064433
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】飲料容器保持装置
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174716
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(71)【出願人】
【識別番号】000143798
【氏名又は名称】株式会社キョーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴也
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 真崇
(72)【発明者】
【氏名】戸田 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和彦
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LA02
3B088LB07
(57)【要約】
【課題】飲料容器の広範囲における均一な加熱を実現することができ、かつ、面状発熱体が占有する局所的な範囲での過剰な昇温を抑えることを可能とした飲料容器保持装置を提供する。
【解決手段】飲料容器を加熱する飲料容器保持装置10は、ホルダー11の内側に飲料容器を保持する樹脂製のホルダー11と、ホルダー11の外側に位置し、ホルダー11よりも熱伝導率が高いシート状の伝熱体12と、伝熱体12の外側に位置し、伝熱体12よりも小さい面状発熱体13と、面状発熱体13の外側において面状発熱体13を覆う断熱体14とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を加熱する飲料容器保持装置であって、
ホルダーの内側に前記飲料容器を保持する樹脂製の前記ホルダーと、
前記ホルダーの外側に位置し、前記ホルダーよりも熱伝導率が高いシート状の伝熱体と、
前記伝熱体の外側に位置し、前記伝熱体よりも小さい面状発熱体と、
前記面状発熱体の外側において前記面状発熱体を覆う断熱体と、を備える
飲料容器保持装置。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記飲料容器を囲む円筒状の周壁を備え、
前記周壁の外側面は、前記伝熱体と接している
請求項1に記載の飲料容器保持装置。
【請求項3】
前記伝熱体は、複数の伝熱シートを備える
請求項2に記載の飲料容器保持装置。
【請求項4】
前記周壁は、円錐台筒面状を有し、
各伝熱シートは、六角形状を有し、前記周壁の外側面の周方向に1つの辺を並べるように前記外側面に貼り付けられている
請求項3に記載の飲料容器保持装置。
【請求項5】
前記伝熱体は、前記周壁の外側面に当該外側面の周方向に沿って巻かれた帯状を有する1枚の伝熱シートを備え、
前記伝熱シートは、前記周方向に延びる一辺から前記周方向と交差する方向に延び、かつ、前記周方向に沿って間隔を空けて並ぶ複数のスリットを備える
請求項2に記載の飲料容器保持装置。
【請求項6】
前記ホルダーは、前記飲料容器を支持する底壁を備え、
前記底壁の底面は、前記伝熱体と接している
請求項1から5のいずれか一項に記載の飲料容器保持装置。
【請求項7】
前記面状発熱体に電流を供給する回路基板をさらに備え、
前記面状発熱体は、
面状に引き回された抵抗加熱線と、
前記抵抗加熱線に接続される一端部と、前記回路基板に接続される他端部である外部接続端子と、を備える面状配線と、
を備え、
前記回路基板は、前記面状配線の前記外部接続端子が嵌入する嵌合孔を備え、
前記外部接続端子は、前記嵌合孔に嵌入された状態で半田付けされている
請求項1から6のいずれか一項に記載の飲料容器保持装置。
【請求項8】
前記回路基板を収容し、かつ、前記回路基板に電流の供給と遮断とを切り替えさせる操作スイッチをさらに備え、
前記ホルダーが、前記操作スイッチを搭載している
請求項7に記載の飲料容器保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器のホルダーにおける一例は、飲料容器を保持することが可能なホルダー本体を備えている。ホルダー本体は、内側ケースと、内側ケースの外側に位置する外側ケースとを備えている。内側ケースは金属製であり、外側ケースはウレタン樹脂製である。内側ケースには、ペルティエ素子が当接している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したホルダーでは、ホルダー本体の内側面を伝熱体として機能する内側ケースが有し、かつ、伝熱体の一部をヒーターとして機能するペルティエ素子によって加熱する。そのため、飲料容器が所定の温度まで加熱されているときには、利用者の手が触れ得るホルダー本体の内側面において、ヒーターと接する部位のみが過度に昇温されているおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための飲料容器保持装置は、飲料容器を加熱するように構成されている。飲料容器保持装置は、ホルダーの内側に前記飲料容器を保持する樹脂製の前記ホルダーと、前記ホルダーの外側に位置し、前記ホルダーよりも熱伝導率が高いシート状の伝熱体と、前記伝熱体の外側に位置し、前記伝熱体よりも小さい面状発熱体と、前記面状発熱体の外側において前記面状発熱体を覆う断熱体と、を備える。
【0006】
上記飲料容器保持装置によれば、面状発熱体の熱が面状発熱体よりも大きい伝熱体と樹脂製のホルダーとを通じて飲料容器に伝わる。この際、伝熱体が面状発熱体の熱を拡散し、また、樹脂製のホルダが伝熱体の熱を拡散するため、面状発熱体の熱は、伝熱体とホルダーとの拡散を経て、広い範囲にわたり飲料容器に伝わる。また、樹脂製のホルダーは、飲料容器の熱を伝熱体に直接伝えることを抑え、かつ、飲料容器の熱を樹脂製のホルダーのなかで拡散させる。こうした樹脂製のホルダーによる熱拡散は、伝熱体における温度分布の不均一化を抑えて、上述した面状発熱体の熱の拡散を好適に進める。結果として、断熱体の断熱と面状発熱体の熱の拡散とが相まって、飲料容器の広範囲で均一な加熱を実現でき、かつ、面状発熱体が占有する局所的な範囲での過剰な昇温が抑えられる。
【0007】
上記飲料容器保持装置において、前記ホルダーは、前記飲料容器を囲む円筒状の周壁を備え、前記周壁の外側面は、前記伝熱体と接していてもよい。この飲料容器保持装置によれば、飲料容器を囲むように加熱が行われるため、飲料容器の全体にわたり好適に加熱できる。
【0008】
上記飲料容器保持装置において、前記伝熱体は、複数の伝熱シートを備えてもよい。この飲料容器保持装置によれば、伝熱体が1枚の伝熱シートのみを備える場合に比べて、各伝熱シートの面積が小さいから、伝熱シートの取扱いが容易である。
【0009】
上記飲料容器保持装置において、前記周壁は、円錐台筒面状を有し、各伝熱シートは、六角形状を有し、前記外側面の周方向に1つの辺を並べるように前記外側面に貼り付けられていてもよい。
【0010】
上記飲料容器保持装置によれば、円錐台筒面状の周壁において各伝熱シートの高さ位置を揃えて周壁を囲むように伝熱体を配置することができる。これにより、ホルダーが円錐台筒面状を有する場合であっても、飲料容器における所望範囲を好適に加熱することができる。
【0011】
上記飲料容器保持装置において、前記伝熱体は、前記周壁の外側面に当該外側面の周方向に沿って巻かれた帯状を有する1枚の伝熱シートを備え、前記伝熱シートは、前記周方向に延びる一辺から前記周方向と交差する方向に延び、かつ、前記周方向に沿って間隔を空けて並ぶ複数のスリットを備えてもよい。
【0012】
上記飲料容器保持装置によれば、伝熱シートが備えるスリットは、例えば、周壁が軸方向に延びる円錐台筒面状を有する場合、周方向におけるスリットの幅を軸方向に沿って徐々に広げることによって、1枚の伝熱シートによる周壁の貼り付けを可能にする。また、例えば、ホルダーが底壁を備える場合、伝熱シートのなかでスリットを備える部分を底壁に向けて周壁からはみ出させ、かつ、底壁の底面にはみ出した部位を貼り付けるように、はみ出した部分の折り曲げを可能にする。このように、スリットを備えた伝熱シートであれば、伝熱シートが、ホルダの構造に倣って貼り付けられやすい。
【0013】
上記飲料容器保持装置において、前記ホルダーは、前記飲料容器を支持する底壁を備え、前記底壁の底面は、前記伝熱体と接していてもよい。この飲料容器保持装置によれば、飲料容器の自重によって飲料容器が熱源となる底壁に接し続けるため、飲料容器を好適に加熱することができる。
【0014】
上記飲料容器保持装置において、前記面状発熱体に電流を供給する回路基板をさらに備え、前記面状発熱体は、面状に引き回された抵抗加熱線と、前記抵抗加熱線に接続される一端部と、前記回路基板に接続される他端部である外部接続端子と、を備える面状配線と、を備え、前記回路基板は、前記面状配線の前記外部接続端子が嵌入する嵌合孔を備え、前記外部接続端子は、前記嵌合孔に嵌入された状態で半田付けされていてもよい。この飲料容器保持装置によれば、面状発熱体と回路基板との間に他の部材が不要である分、飲料容器保持装置の製造に係る費用を削減することが可能である。
【0015】
上記飲料容器保持装置において、前記回路基板を収容し、かつ、前記回路基板に電流の供給と遮断とを切り替えさせる操作スイッチをさらに備え、前記ホルダーが、前記操作スイッチを搭載していてもよい。この飲料容器保持装置によれば、ホルダーが操作スイッチを搭載するから、飲料容器保持装置の取付対象に対して、操作スイッチを搭載するための構造を飲料容器保持装置とは別に準備する必要がない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飲料容器の広範囲における均一な加熱を実現することができ、かつ、面状発熱体が占有する局所的な範囲での過剰な昇温が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の飲料容器保持装置が組み立てられる前の状態を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1が示す飲料容器保持装置が組み立てられた後の状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1が示す飲料容器保持装置の構造を示す断面図である。
【
図4】
図3が示す領域Aを拡大して示す断面図である。
【
図5】
図1が示す飲料容器保持装置が備える操作スイッチの構造を面状発熱体の一部とともに示す側面図である。
【
図6】
図5が示す操作スイッチの構造を面状発熱体の一部とともに示す断面図である。
【
図7】
図1が示す飲料容器保持装置が備える伝熱シートにおける変更例の構造を示す平面図である。
【
図8】
図7が示す伝熱シートおよびホルダーの構造を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態の飲料容器保持装置が備える伝熱体の構造を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態の飲料容器保持装置が備える伝熱体の構造を示す斜視図である。
【
図11】第3実施形態の飲料容器保持装置が備える断熱体の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1から
図6を参照して、飲料容器保持装置の第1実施形態を説明する。
図1は、飲料容器保持装置が組み立てられる前の状態を示している。
【0019】
図1が示す飲料容器保持装置(以下、保持装置とも称する)10は、飲料容器を加熱するように構成されている。飲料容器は、例えば、金属製の飲料缶でもよいし、紙製の飲料カップでもよいし、樹脂製の飲料ボトルでもよい。保持装置10は、ホルダー11と、伝熱体12と、面状発熱体13と、断熱体14とを備えている。ホルダー11は、ホルダー11の内側に飲料容器を保持する。ホルダー11は、樹脂製である。
【0020】
伝熱体12は、ホルダー11の外側に位置する。伝熱体12は、シート状を有する。伝熱体12の熱伝導率は、ホルダー11の熱伝導率よりも高い。面状発熱体13は、伝熱体12の外側に位置している。面状発熱体13は、伝熱体12よりも小さい。すなわち、面状発熱体13は、伝熱体12の少なくとも一部を覆っている。断熱体14は、面状発熱体13の外側において面状発熱体13を覆っている。
【0021】
本開示の保持装置10によれば、面状発熱体13の熱が面状発熱体13よりも大きい伝熱体12と樹脂製のホルダー11とを通じて飲料容器に伝わる。この際に、伝熱体12が面状発熱体13の熱を拡散し、また、樹脂製のホルダー11が伝熱体12の熱を拡散するため、面状発熱体13の熱は、伝熱体12とホルダー11との拡散を経て、広い範囲にわたり飲料容器に伝わる。また、樹脂製のホルダー11は、飲料容器の熱を伝熱体12に直接伝えることを抑え、かつ、飲料容器の熱を樹脂製のホルダーのなかで拡散させる。こうした樹脂製のホルダー11による熱拡散は、伝熱体12における温度分布の不均一化を抑え、これによって上述した面状発熱体13の熱の拡散を好適に進める。結果として、断熱体14の断熱と面状発熱体13の熱の拡散とが相まって、飲料容器の広範囲における均一な加熱を実現でき、かつ、面状発熱体13が占有する局所的な範囲での過剰な昇温が抑えられる。
【0022】
ホルダー11は、樹脂成形品である。ホルダー11を形成するための樹脂は、各種の合成樹脂であってよい。ホルダー11は、筒状部11Aとフランジ部11Bとを備えている。筒状部11Aは、筒状部11Aの軸方向における2つの端部のうち、一方の端部を塞ぐ底壁を備えている。筒状部11Aは、筒状部11Aの内側面によって収容空間11ASを画定している。収容空間11ASは、各種の飲料容器を収容することが可能な大きさを有している。上述したように、飲料容器は、例えば飲料缶、飲料カップ、および、飲料ボトルなどであってよい。なお、ホルダー11は、特定の飲料容器のみを収容することが可能な形状に成形されていてもよい。本実施形態では、筒状部11Aは円筒状を有しているが、筒状部11Aは円錐台筒状を有してもよいし、角筒状を有してもよい。
【0023】
フランジ部11Bは、筒状部11Aにおける2つの端部のうち、開口した端部から筒状部11Aの径方向における外側に向けて張り出している。フランジ部11Bは、厚さ方向に沿ってフランジ部11Bを貫通する貫通孔11BHを有している。フランジ部11Bは、保持部11B1および係止部11B2を備えている。フランジ部11Bは、1つの保持部11B1と、後述するクリップ16と同数の係止部11B2とを備えている。
【0024】
フランジ部11Bは、フランジ部11Bにおいて対向する一対の面を有している。一対の面の一方は上面であり、他方は下面である。保持部11B1は、フランジ部11Bの下面から下方に向けて突き出ている。下面と対向する視点から見て、保持部11B1は、貫通孔11BHを囲むような形状を有している。各係止部11B2は、保持部11B1と同様に、フランジ部11Bの下面から下方に向けて突き出ている。
【0025】
伝熱体12は、複数の伝熱シート12Aを備えている。各伝熱シート12Aは、各種の金属から形成されてよい。伝熱シート12Aは、例えばアルミニウムから形成される。本実施形態の伝熱体12は、3枚の伝熱シート12Aを備えている。各伝熱シート12Aは、長方形状を有している。伝熱シート12Aは、筒状部11Aの外表面に沿って湾曲した形状を有している。上述したように、筒状部11Aは円筒状を有するから、筒状部11Aの軸方向に直交する断面において、各伝熱シート12Aは、曲率中心が筒状部11A内に位置するような円弧状を有している。
【0026】
筒状部11Aの軸方向において、伝熱シート12Aの幅は、筒状部11Aの幅よりも小さい。伝熱体12は、筒状部11Aの下側半分の略全体を覆うことが可能な大きさ、すなわち形状および面積を有している。なお、筒状部11Aの下側半分は、筒状部11Aの軸方向において、保持部11B1および係止部11B2よりも下方に位置する部分である。
【0027】
面状発熱体13は、筒状部11Aの外形に倣って成形される以前において、帯状を有している。保持装置10に搭載される際には、面状発熱体13は、環状部13Aと屈曲部13Bとを備えている。環状部13Aは、筒状部11Aの外形に応じた円環状を有している。環状部13Aは、筒状部11Aとの間に伝熱シート12Aを挟むことが可能な形状を有している。
【0028】
屈曲部13Bは、環状部13Aにおける一方の端部に繋がっている。屈曲部13Bは、1つ以上の屈曲部を備えている。屈曲部13Bは、後述する操作スイッチ15に接続することが可能であり、かつ、操作スイッチ15をフランジ部11Bに搭載することが可能な形状に成形されている。
【0029】
面状発熱体13は、抵抗加熱線13Cと面状配線(
図6参照)とを備えている。抵抗加熱線13Cは、環状部13Aにおいて面状に引き回されている。面状配線は、抵抗加熱線13Cと後述する回路基板(
図6参照)とに接続され、これによって、抵抗加熱線13Cに電流を供給する。そのため、面状発熱体13は、環状部13Aの全体において面状に発熱することが可能である。一方で、屈曲部13Bには、面状配線のみが位置している。面状発熱体13は、絶縁性を有した被覆部13Dを備えている。被覆部13Dは、抵抗加熱線13Cと面状配線とを覆っている。
【0030】
筒状部11Aの軸方向において、面状発熱体13が有する幅、すなわち環状部13Aが有する幅は、伝熱体12、すなわち伝熱シート12Aが有する幅よりも小さい。そのため、面状発熱体13、すなわち環状部13Aの大きさ、言い換えれば形状および面積は、伝熱体12の大きさよりも小さい。これにより、環状部13Aは、保持装置10が組み立てられた際に、伝熱体12内に位置している。
【0031】
操作スイッチ15は、面状発熱体13に電流を供給するための機構である。操作スイッチ15は、操作ボタン15A、ケース15B、パッキン15C、および、固定部材15Dを備えている。操作ボタン15Aは、面状発熱体13における通電の開始と通電の停止とを制御することが可能に構成されている。ケース15Bは、後述する回路基板を収容している。回路基板は、操作ボタン15Aおよび面状発熱体13に接続されている。パッキン15Cは、操作スイッチ15がホルダー11に搭載される際に、操作ボタン15Aとフランジ部11Bとの間に位置し、これによって、フランジ部11Bから操作スイッチ15に向けて液体が透過することが抑えられる。固定部材15Dは、ケース15Bをフランジ部11Bに固定する。
【0032】
断熱体14は、樹脂製である。断熱体14は、筒状部11Aの外側面に沿う筒状を有している。断熱体14では、筒状部11Aの軸方向において、一対の端部が開口している。筒状部11Aの軸方向において、断熱体14の幅は、伝熱シート12Aの幅、および、環状部13Aの幅よりも大きい。断熱体14は、筒状部11Aの下側半分を覆うことが可能な大きさ、すなわち形状および面積を有している。
【0033】
本実施形態において、断熱体14は、断熱体14の周方向における端部を一対有している。断熱体14は、断熱体14の周方向において、一方の端部を他方の端部から離すことが可能な弾性を有している。断熱体14は、例えば発泡性のゴムまたは樹脂から形成されてよい。そのため、断熱体14と筒状部11Aとの間に、伝熱体12と面状発熱体13とを挟んだ状態で、断熱体14を筒状部11Aに組み付けることが容易である。
【0034】
保持装置10は、複数のクリップ16を備えている。クリップ16は、樹脂成形品である。本実施形態では、保持装置10は4つのクリップ16を備えているが、保持装置10は、3つ以下のクリップ16を備えてもよいし、5つ以上のクリップ16を備えてもよい。各クリップ16は、互いに異なる係止部11B2に係止される。クリップ16は、筒状部11Aの軸方向に沿って延びる形状を有している。クリップ16は、保持装置10の取付対象に対して保持装置10を固定することを可能にする。保持装置10の取付対象は、例えば車両である。
【0035】
図2は、保持装置10が組み立てられた状態を示している。
図2が示すように、保持装置10が組み立てられた状態において、断熱体14は、筒状部11Aとの間に伝熱シート12Aおよび環状部13Aを挟むように、筒状部11Aの下側半分を覆っている。係止部11B2に係止されたクリップ16、および、保持部11B1に保持されたケース15Bは、筒状部11Aの径方向において、断熱体14よりも外側に位置し、かつ、筒状部11Aの軸方向において、断熱体14よりも上方に位置している。面状発熱体13の屈曲部13Bは、断熱体14から露出している。
【0036】
操作スイッチ15は、フランジ部11Bの上面と対向する視点から見て、操作ボタン15Aの頂面が貫通孔11BHから露出するように、保持部11B1によって保持されている。これにより、ホルダー11が操作スイッチ15を搭載している。このように、ホルダー11が操作スイッチ15を搭載するから、保持装置10の取付対象に対して、操作スイッチ15を搭載するための構造を保持装置10とは別に準備する必要がない。また、保持装置10の使用者は、フランジ部11Bの貫通孔11BH内において、操作ボタン15Aを押下することが可能である。
【0037】
図3は、保持装置10の断面構造を示している。
図3が示すように、また、上述したように、ホルダー11は筒状部11Aを備えている。筒状部11Aは、周壁11A1と底壁11A2とを備えている。周壁11A1は、飲料容器を囲む円筒状を有している。底壁11A2は、ホルダー11内の飲料容器を支持する。断熱体14は、円筒状を有し、かつ、周壁11A1の下側半分を覆っている。
【0038】
図4は、
図3が示す領域Aに含まれる構造を拡大して示している。
図4が示すように、周壁11A1の外側面は、伝熱体12が備える伝熱シート12Aと接している。これにより、飲料容器を囲むように保持装置10による飲料容器の加熱が行われるため、飲料容器の全体にわたり好適に加熱することができる。
【0039】
伝熱シート12Aの外側面は、面状発熱体13の環状部13Aと接している。これにより、伝熱シート12Aと環状部13Aとの間に隙間が位置する場合に比べて、面状発熱体13が発した熱を、より高い効率で伝熱体12に伝えることが可能である。
【0040】
断熱体14の内側面は、伝熱シート12Aの外側面、および、環状部13Aの外側面に沿った変形が可能な程度の剛性を有することが好ましい。上述したように、例えば、断熱体14は、発泡性のゴムまたは樹脂から形成されることによって、断熱体14の内側面が、伝熱シート12Aの外側面、および、環状部13Aの外側面に沿った変形が可能な程度の剛性を有することが可能である。これにより、断熱体14と伝熱シート12Aとの間に隙間が形成されないから、伝熱体12に伝わった熱が外部に放出されることがより抑えられる。
【0041】
図5および
図6を参照して、操作スイッチ15の構造をより詳しく説明する。
図5は、操作スイッチ15を側面視した構造を示している。
図6は、上下方向に沿う操作スイッチ15の断面構造を示している。
【0042】
図5が示すように、また、上述したように、操作スイッチ15は、操作ボタン15Aとケース15Bとを備えている。面状発熱体13が備える屈曲部13Bのうち、環状部13Aに接続する端部とは反対側の端部は、ケース15B内に位置している。
【0043】
図6が示すように、操作スイッチ15のケース15Bは、回路基板15Eを収容している。ケース15Bは、上側ケース15B1と下側ケース15B2とを備えている。上側ケース15B1には、操作ボタン15Aが位置している。回路基板15Eは、下側ケース15B2の上部に位置し、かつ、上側ケース15B1によって覆われている。操作スイッチ15は、回路基板15Eに電流の供給と遮断とを切り替えさせる。操作スイッチ15は、操作ボタン15Aが押下されることによって、回路基板15Eに電流の供給と遮断とを切り替えさせるように構成されている。
【0044】
回路基板15Eは、面状発熱体13に電流を供給する。上述したように、面状発熱体13は、抵抗加熱線13C(
図1参照)と、面状配線13Eとを備えている。面状配線13Eは、抵抗加熱線13Cに接続される一端部と、回路基板15Eに接続される他端部である外部接続端子13E1と、を備えている。なお、面状配線13Eのうち、外部接続端子13E1は、被覆部13Dから露出している。
【0045】
回路基板15Eは、面状配線13Eの外部接続端子13E1が嵌入する嵌合孔15EHを備えている。嵌合孔15EHは、回路基板15Eの厚さ方向において、回路基板15Eを貫通している。回路基板15Eは、2つの嵌合孔15EHを備えている。外部接続端子13E1は、嵌合孔15EHに嵌入された状態で半田付けされている。すなわち、回路基板15Eのうち、嵌合孔15EHの周りには、半田15E1が位置している。半田15E1は、外部接続端子13E1のうち、嵌合孔15EHに嵌入された部分と、嵌合孔15EHとを覆っている。
【0046】
こうした構造によれば、面状発熱体13と回路基板15Eとの間に他の部材が不要である分、保持装置10の製造に係る費用を削減することが可能である。なお、他の部材は、例えばコードおよびコネクタなどである。
【0047】
以上説明したように、飲料容器保持装置の第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1‐1)飲料容器の広範囲における均一な加熱を実現でき、かつ、面状発熱体13が占有する局所的な範囲での過剰な昇温が抑えられる。
【0048】
(1‐2)飲料容器を囲むように保持装置10による飲料容器の加熱が行われるため、飲料容器の全体にわたり好適に加熱することができる。
【0049】
(1‐3)面状発熱体13と回路基板15Eとの間に他の部材が不要である分、保持装置10の製造に係る費用を削減することが可能である。
【0050】
(1‐4)ホルダー11が操作スイッチ15を搭載するから、保持装置10の取付対象に対して、操作スイッチ15を搭載するための構造を保持装置10とは別に準備する必要がない。
【0051】
(1‐5)伝熱体12が1枚の伝熱シートを備える場合に比べて、各伝熱シート12Aの面積が小さいから、伝熱シート12Aの取扱いが容易である。
【0052】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[操作スイッチ]
・操作スイッチ15は、ホルダー11に搭載されなくてもよい。この場合には、操作スイッチ15は、例えば保持装置10の取付対象の一部であって、ホルダー11から離れた位置に搭載されてもよい。
【0053】
[面状発熱体]
・面状発熱体13が備える外部接続端子13E1が回路基板15Eに半田付けされなくてもよい。この場合には、面状発熱体13の外部接続端子13E1と回路基板15Eとの間に、例えば、回路基板15Eに外部接続端子13E1を接続するための配線が位置してよい。
【0054】
[伝熱体]
・伝熱体12は、
図7および
図8を参照して以下に説明する伝熱シートを備えてもよい。
【0055】
図7が示すように、各伝熱シート22Aは、六角形状を有している。伝熱シート22Aは、長方形において長手方向に沿って並ぶ2つの角部が切り落とされた六角形状を有している。長手方向において、伝熱シート22Aは、一対の端部22A1を有している。
【0056】
図8が示すように、周壁21A1は、円錐台筒面状を有している。伝熱体12が有する伝熱シート22Aは、周壁21A1の外側面に貼り付けられる。各伝熱シート22Aは、外側面の周方向に1つの辺を並べるように外側面に貼り付けられている。各伝熱シート22Aの端部22A1は、隣り合う伝熱シート22Aの端部に重なっている。
【0057】
上述した伝熱体12によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1‐6)円錐台筒面状の周壁21A1において各伝熱シート22Aの高さ位置を揃えて周壁21A1を囲むように伝熱体を配置することができる。これにより、ホルダー11が円錐台筒面状を有する場合であっても、飲料容器における所望範囲を好適に加熱することができる。
【0058】
なお、六角形状を有した伝熱シート22Aは、長方形状を有する伝熱シート22Aに対して以下の利点を有する。すなわち、円錐台筒面状を有した周壁21A1の外表面に沿って長方形状を有した伝熱シートを巻き付ける場合には、周壁21A1の軸方向において、伝熱シートの長手方向における端部が、伝熱シートの長手方向における中央部よりも上方に位置する。そのため、長手方向の中央部において伝熱シートの幅を太くした場合には、長手方向の端部が、周壁21A1の軸方向において伝熱シートが覆うべき被覆領域を超える場合がある。それゆれに、伝熱シートの形状を長方形状に維持する場合には、伝熱シートの幅を細くし、これによって、長手方向における端部が、被覆領域を超えることを回避する必要がある。
【0059】
この点、六角形状を有した伝熱シート22Aによれば、長手方向の端部における角部が切り落とされているから、長手方向における端部が、被覆領域を超えるような伝熱シート22Aの幅を拡張することが可能である。言い換えれば、長方形状を有した伝熱シートに比べて、伝熱シート22Aの幅を太くしたとしても、長手方向における端部が被覆領域を超えることが抑えられる。結果として、伝熱体12が面状発熱体13の熱を伝える範囲を拡張することが可能である。
【0060】
・伝熱体12は、2つ以下の伝熱シート12Aのみを備えてもよいし、4つ以上の伝熱シート12Aを備えてもよい。なお、伝熱体12が2つ以上の伝熱シート12Aを備える場合には、筒状部11Aの軸方向において、2つ以上の伝熱シート12Aが並ぶように、伝熱シート12Aが保持装置10に搭載されてもよい。
【0061】
・伝熱体12は、ホルダー11の外側のうち、周壁11A1の外側には位置しない一方で、底壁11A2の外側に位置してもよい。この場合には、面状発熱体13および断熱体14も、底壁11A2の外側のみに位置してもよい。この場合であっても、上述した(1‐1)に準じた効果を得ることはできる。
【0062】
[第2実施形態]
図9を参照して、飲料容器保持装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、上述した第1実施形態に比べて、伝熱体が備える伝熱シートの形状が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、飲料保持装置のうち、伝熱体以外についての詳しい説明を省略する。
【0063】
図9は、伝熱体の斜視構造を示している。
図9が示すように、伝熱体は、1枚の伝熱シート32を備えている。伝熱シー32トは、周壁11A1の外側面に当該外側面の周方向に沿って巻かれた帯状を有している。伝熱シート32は、複数のスリット32Sを備えている。各スリット32Sは、外側面の周方向に沿って延びる一辺から、外側面の周方向と交差する方向に延びている。複数のスリット32Sは、外側面の周方向に沿って間隔を空けて並んでいる。
【0064】
図9が示す例では、伝熱シート32は、第1実施形態の伝熱シート12Aと同様に、周壁11A1の下側半分を覆う大きさを有している。伝熱シート32は、周壁11A1の軸方向において対向する一対の辺を備えている。一対の辺のうち、一方の辺が上辺であり、他方の辺が下辺である。各スリット32Sは、下辺から上辺に向けて、かつ、周壁11A1の軸方向に沿って延びている。複数のスリット32Sは、周方向において等間隔で並んでいる。
【0065】
そのため、伝熱シート32が周壁11A1の外側面に沿って巻き付けられた場合に、巻き付け前に比べて、周壁11A1の周方向におけるスリット32Sの幅が変わることが可能である。また、伝熱シート32が周壁11A1の外側面に沿って巻き付けられた場合に、隣り合うスリット32Sによって挟まれる部分が変形したりすることが可能である。これにより、スリット32Sを備えた伝熱シート32であれば、伝熱シート32が、ホルダー11の構造に倣って貼り付けられやすい。
【0066】
各スリット32Sにおいて、下辺に位置する端部が基端であり、下辺と上辺との間に位置する端部が先端である。伝熱シート32は、各スリット32Sの先端に連なる貫通孔32Hを有している。貫通孔32Hは、伝熱シート32の厚さ方向に沿って伝熱シート32を貫通している。伝熱シート32の外側面と対向する視点から見て、貫通孔32Hの外形は、円形状を有している。
【0067】
このように、伝熱シート32がスリット32Sの先端に連なる貫通孔32Hを有する。そのため、伝熱シート32のうち、隣り合うスリット32Sに挟まれる部分が、周壁11A1の周方向において変位したり、周壁11A1の径方向に沿って折り曲げられたりした場合に、スリット32Sの先端において伝熱シート32が破れることが抑えられる。
【0068】
以上説明したように、飲料容器保持装置の第2実施形態によれば、上述した(1‐1)から(1‐4)の効果に加えて、以下に記載の効果を得ることができる。
(2‐1)伝熱シート32が、ホルダー11の構造に倣って貼り付けられやすい。
【0069】
なお、第2実施形態は以下のように変更して実施することができる。
[伝熱シート]
・伝熱シート32は、貫通孔32Hを有しなくてもよい。この場合であっても、伝熱シート32が複数のスリット32Sを備えることによって、上述した(2‐1)に準じた効果を得ることはできる。
【0070】
・各スリット32Sが延びる方向は、周壁11A1の軸方向に限らず、下辺から上辺に向かう方向であって、かつ、軸方向に交差する方向であってもよい。この場合であっても、上述した(2‐1)に準じた効果を得ることはできる。
【0071】
・スリット32Sは、伝熱シート32の上辺から下辺に向けて延びてもよい。すなわち、スリット32Sの基端が上辺に位置し、かつ、先端が上辺と下辺との間に位置してもよい。この場合には、以下の効果を得ることができる。
【0072】
(2‐2)周壁11A1が軸方向に延びる円錐台筒面状を有する場合、例えば、周壁11A1の周方向におけるスリット32Sの幅が、伝熱シート32の下辺から上辺に向かう方向に沿って徐々に広がることが可能である。これにより、1枚の伝熱シート32を、周壁11A1の外側面に倣って貼り付けることが容易である。
【0073】
・伝熱シート32の幅は、周壁11A1の下側半分における幅よりも大きくてもよい。この場合には、スリット32Sの先端が、底壁11A2よりも上方に位置することが好ましい。これにより、以下の効果を得ることができる。
【0074】
(2‐3)伝熱シート32のなかでスリット32Sを備える部分を底壁11A2に向けて周壁11A1からはみ出させ、かつ、底壁11A2の底面にはみ出した部位を底面に貼り付けるように、はみ出した部分の折り曲げが可能である。こうした伝熱シート32によれば、面状発熱体13が発した熱を底壁11A2に沿って伝えることも可能である。
【0075】
なお、周壁11A1が軸方向に延びる円錐台筒面状を有し、かつ、スリット32Sが等間隔で配置される場合には、伝熱シート32のうち、周壁11A1の下方を覆う部分、および、底壁11A2を覆う部分において、伝熱シート32の一部が他の部分に重なる。しかも、こうした重なりは、伝熱シート32のうち底壁11A2を覆う部分において大きくなり、これによって、単位面積当たりにおける伝熱シート32の体積が大きくなる。それゆえに、面状発熱体13が周壁11A1のみに位置していても、面状発熱体13が発した熱が、底壁11A2にも伝わりやすい。結果として、ホルダー11の全体が温まりやすい。
【0076】
[他の変更例]
・第2実施形態の飲料保持装置は、上述した第1実施形態の変更例のうち、操作スイッチ15に関わる変更例、および、面状発熱体13に関わる変更例と組み合わせて実施されてもよい。
【0077】
[第3実施形態]
図10および
図11を参照して、飲料容器保持装置の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、上述した第1実施形態に比べて、伝熱体が備える伝熱シートの形状、および、断熱体の構造が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、飲料保持装置のうち、伝熱体および断熱体以外についての詳しい説明を省略する。
【0078】
図10は、伝熱体の斜視構造を示している。
図10が示すように、伝熱体42は、周壁シート42Aと底壁シート42Bとを備えている。周壁シート42Aは、周壁11A1の外側面に沿う円筒状を有している。周壁シート42Aは、帯状を有した1枚のシートであり、かつ、周壁11A1の外側面に沿うように成形されている。
【0079】
底壁シート42Bは、底壁部42B1と側壁部42B2とを備えている。底壁部42B1は、底壁11A2に沿う円状を有している。側壁部42B2は、底壁部42B1の縁から立ち上がる円環状を有している。側壁部42B2は、複数のスリット42BSを備えている。各スリット42BSは、底壁部42B1の縁に先端を有し、かつ、周壁11A1の軸方向に沿って側壁部42B2を貫通している。複数のスリット42BSは、周壁11A1の周方向において等間隔で並んでいる。
【0080】
底壁部42B1の縁には、複数の貫通孔42BHが位置している。各貫通孔42BHは、底壁部42B1の厚さ方向に沿って、底壁部42B1を貫通している。複数の貫通孔42BHは、周壁11A1の周方向に沿って等間隔で並んでいる。各貫通孔42BHは、互いに異なるスリット42BSに連なっている。これにより、側壁部42B2が折り曲げられた際に、スリット42BSの先端において底壁シート42Bが破れることが抑えられる。
【0081】
伝熱体42が保持装置10に組み付けられた状態において、底壁シート42Bの側壁部42B2は、周壁シート42Aの下端を覆っている。これにより、面状発熱体13の発した熱は、周壁シート42Aを介して底壁シート42Bに伝わる。また、伝熱体42が保持装置10に組み付けられた状態において、底壁シート42Bの底壁部42B1は、底壁11A2の底面に接している。これにより、飲料容器の自重によって飲料容器が熱源となる底壁11A2に接し続けるため、飲料容器を好適に加熱することができる。
【0082】
図11は、断熱体の斜視構造を示している。
図11が示すように、断熱体44は、周壁部44Aと底壁部44Bとを備えている。周壁部44Aは、周壁11A1の外側面に沿う円筒状を有している。底壁部44Bは、底壁11A2に沿う円板状を有している。断熱体44が保持装置10に組み付けられた状態において、周壁部44Aは周壁シート42Aの外側面を覆い、かつ、底壁部44Bは底壁シート42Bの底面を覆っている。
【0083】
以上説明したように、飲料容器保持装置の第3実施形態によれば、上述した(1‐1)から(1‐4)の効果に加えて、以下に記載の効果を得ることができる。
(3‐1)飲料容器の自重によって飲料容器が熱源に接し続けるため、飲料容器を好適に加熱することができる。
【0084】
なお、第3実施形態は以下のように変更して実施することができる。
[伝熱シート]
・底壁シート42Bは、貫通孔42BHを有しなくてもよい。この場合であっても、伝熱体42が底壁シート42Bを備えることによって、上述した(3‐1)に準じた効果を得ることはできる。
【0085】
・底壁シート42Bは、スリット42BSを有しなくてもよい。この場合であっても、例えば、底壁部42B1から側壁部42B2を立ち上げる際に、底壁部42B1と側壁部42B2との境界においてひだを形成することによって、底壁部42B1と側壁部42B2とを備える底壁シート42Bを形成することは可能である。また、この場合であっても、伝熱体42が底壁シート42Bを備えることによって、上述した(3‐1)に準じた効果を得ることはできる。
【0086】
[面状発熱体]
・周壁シート42Aの外側に加えて、底壁シート42Bの外側にも面状発熱体が位置してもよい。この場合には、保持装置10に保持された飲料容器がさらに加熱されやすくなる。
【0087】
・面状発熱体は、底壁シート42Bの外側には位置する一方で、周壁シート42Aの外側には位置しなくてもよい。この場合であっても、面状発熱体が発した熱は、底壁シート42Bを通じて周壁シート42Aにも伝わるから、飲料容器の全体が加熱されやすい。
【0088】
[他の変更例]
・第3実施形態の飲料保持装置は、上述した第1実施形態の変更例のうち、操作スイッチ15に関わる変更例、および、面状発熱体13に関わる変更例と組み合わせて実施されてもよい。また、第3実施形態の飲料保持装置が備える断熱体44は、第1実施形態の飲料保持装置に組み合わせられてもよい。
【0089】
・第3実施形態の飲料保持装置は、上述した第2実施形態の飲料保持装置と組み合わせて実施されてもよい。すなわち、第2実施形態の飲料保持装置において、伝熱体は、上述した伝熱シート32に加えて、第3実施形態の伝熱体42が備える底壁シート42Bをさらに備えてもよい。また、第2実施形態の飲料保持装置は、第3実施形態の飲料保持装置が備える断熱体44を備えてもよい。
【0090】
[普遍的課題]
本開示の飲料容器保持装置は、飲料容器保持装置が車両に適用された場合に、車室内の快適性を高めるという普遍的な課題の解決に貢献する。特に、飲料保持装置は、飲料容器保持装置の利便性を高めるという課題の解決に貢献する。
【符号の説明】
【0091】
10…飲料容器保持装置
11…ホルダー
12…伝熱体
12A…伝熱シート
13…面状発熱体
14…断熱体
15…操作スイッチ
15E…回路基板