(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006444
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230111BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20230111BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F13/08 B
F24F13/20 205
F24F13/08 Z
F24F13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109042
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝治
【テーマコード(参考)】
3L058
3L081
【Fターム(参考)】
3L058BH01
3L058BK02
3L058BK04
3L058BK05
3L058BK07
3L058BK08
3L081AA01
3L081AB01
(57)【要約】
【課題】 デザイン的な制限を低減する。
【解決手段】
気流案内面11とこの気流案内面11に形成された開口部12を有する集気部10と、開口部12から気体を吸い込んで外部へ強制排気する送風機50とを備え、気流案内面11に対し間隔を空けて沿う位置に電装品を配置し、レンジフードを構成した。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流案内面とこの気流案内面に形成された開口部を有する集気部と、前記開口部から気体を吸い込んで外部へ強制排気する送風機とを備え、
前記気流案内面に対し間隔を空けて沿う位置に電装品を配置したことを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記気流案内面に電装品装着部を固定し、この電装品装置部に前記電装品を装着したことを特徴とする請求項1記載のレンジフード。
【請求項3】
前記電装品装着部が、前記開口部へ向かう気体の流れを調整する気流調整部であることを特徴とする請求項2記載のレンジフード。
【請求項4】
前記気流調整部とは別に、前記気流案内面との間に隙間を置いて配置され、気流案内面との間に吸込み口を形成する整流板を、移動可能に具備したことを特徴とする請求項3記載のレンジフード。
【請求項5】
前記気流調整部と前記整流板は、表面が面一になるように並設されていることを特徴とする請求項4記載のレンジフード。
【請求項6】
前記気流調整部と前記整流板は、線または面で接していることを特徴とする請求項4又は5記載のレンジフード。
【請求項7】
前記気流調整部と前記整流板の間に、気体を吸い込み可能な隙間を設けたことを特徴とする請求項4又は5記載のレンジフード。
【請求項8】
前記整流板は、前記気流調整部よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項4~7何れか1項記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、下側を開口し上側を底面とした凹状のフードカバーと、前記底面に対し下方に間隔を空けて沿う整流板と、前記底面に形成された連絡口から気体を吸い込んで外部へ強制排気する送風機とを備えたレンジフードがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、凹状の上記フードカバーの周囲に、操作スイッチや、照明等の電装品を設けている。
このため、凹状の上記フードカバー周囲の枠状部分を、電装品を装着できるように大きくしたり、形状を工夫したりする必要があり、デザイン的な制限を受ける場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
気流案内面とこの気流案内面に形成された開口部を有する集気部と、前記開口部から気体を吸い込んで外部へ強制排気する送風機とを備え、前記気流案内面に対し間隔を空けて沿う位置に電装品を配置したことを特徴とするレンジフード。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、デザイン的な制限を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係るレンジフードの一例を示す斜視図である。
【
図2】同レンジフードを斜め下方側から視た要部斜視図である。
【
図3】同レンジフードについて整流板を開放した状態を示す斜視図である。
【
図4】同レンジフードについて整流板を正面視した図である。
【
図7】整流板を表面に沿う斜め上方から視た図である。
【
図8】同レンジフードの要部側面図であり、気流方向を二点鎖線で例示している。
【
図9】同レンジフードの要部側面図であり、光の照射方向を二点鎖線で例示している。
【
図10】本発明に係るレンジフードの他例を示す要部側面図であり、光の照射方向を二点鎖線で例示している。
【
図11】本発明に係るレンジフードの他例を示す要部側面図であり、光の照射方向を二点鎖線で例示している。
【
図12】本発明に係るレンジフードの他例を示す要部側面図であり、気流方向を二点鎖線で例示している。
【
図13】本発明に係るレンジフードの他例を示す要部側面図であり、気流方向を二点鎖線で例示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、気流案内面とこの気流案内面に形成された開口部を有する集気部と、前記開口部から気体を吸い込んで外部へ強制排気する送風機とを備え、前記気流案内面に対し間隔を空けて沿う位置に電装品を配置した(
図9,
図10,
図11等参照)。
この構成によれば、吸込み性能を損ねることなく、気流案内面に沿う位置に電装品を設けることができる。このため、気流案内面の周囲側に電装品設置スペースを多く確保しなくても済み、ひいては、当該レンジフードを設計する際におけるデザイン的な制限を低減することができる。
【0009】
第二の特徴は、前記気流案内面に電装品装着部を固定し、この電装品装置部に前記電装品を装着した(
図9,
図10,
図11等参照)。
この構成によれば、電装品装着部により外観上の体裁を向上することができる。
【0010】
第三の特徴は、前記電装品装着部が、前記開口部へ向かう気体の流れを調整する気流調整部である(
図9参照)。
この構成によれば、電装品装着部により気体の流れを調整することができる。
【0011】
第四の特徴は、前記気流調整部とは別に、前記気流案内面との間に隙間を置いて配置され、気流案内面との間に吸込み口を形成する整流板を、移動可能に具備した(
図1及び
図3等参照)。
この構成によれば、整流板により気流を整えることができる。
【0012】
第五の特徴として、前記気流調整部と前記整流板は、表面が面一になるように並設されている(
図9,
図10,
図11等参照)。
この構成によれば、気流調整部及び整流板の表面に沿う気体の流れを整えることができ、ひいては、気体調整部及び整流板と気流案内面の間に気体を効率的に吸い込ませることができる。
【0013】
第六の特徴として、前記気流調整部と前記整流板は、線または面で接している(
図9,
図10,
図11,
図12等参照)。
この構成によれば、気流調整部と整流板の接続部分について、外観上の体裁を向上することができる。
【0014】
第七の特徴として、前記気流調整部と前記整流板の間に、気体を吸い込み可能な隙間を設けた(
図13参照)。
この構成によれば、気流調整部と前記整流板の隙間から気体を吸い込むことができる。
【0015】
第八の特徴として、前記整流板は、前記気流調整部よりも大きく形成されている(
図1及び
図2等参照)。
この構成によれば、清掃性を向上することができる。
【0016】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
レンジフード1は、気流案内面11に沿って流れる気体を該気流案内面11に形成された開口部12へ導く集気部10と、開口部12へ向かう気体の流れを調整する気流調整部20と、気流調整部20とは別に気流案内面11との間に隙間を置いて配置され気流案内面11との間に吸込み口10aを形成する整流板30と、開口部12から排気口40b1へわたる気体流路を覆う筐体40と、前記気体流路中に設けられ開口部12から吸い込んだ気体を排気口40b1から外部へ強制排気する送風機50とを備える。
【0017】
集気部10は、斜め下方を開口するとともに底部11aを有する略凹状の気流案内面11を備え、この気流案内面11の中央側に開口部12を形成している。この集気部10は、フード部と呼称される場合もある。
【0018】
気流案内面11は、傾斜する平坦面状の底部11aと、この底部11aの上端側で前方へ曲げられた上片部11bと、底部11aの下端側で下方へ曲げられた下片部11cとから一体に構成される。
下片部11cには、後述する排油板37を挿入するための排油板導入口11c1が横長矩形状に開口し貫通している。
【0019】
この気流案内面11は、左右側と上側の吸込み口10aから流れ込む気体を、底部11a中央寄りの開口部12へ導く。
【0020】
開口部12は、底部11aの中央寄りに設けられた円形の貫通孔であり、気流案内面11に沿って該気流案内面11の中央側へ導かれる気体を吸い込む。
この開口部12の内縁は、筐体40内へ向かって曲がっている。
【0021】
筐体40内において、開口部12の内縁に近接する位置には、円盤状のフィルタを回転させて油分を捕集する油捕集装置70(
図3参照)が設けられる。この油捕集装置70は、他の構造のものに置換したり、省いたりすることが可能である。
【0022】
気流調整部20は、左右方向へ長尺な中空箱状の部材であり、底部11aの上寄り部分に対し間隔を空けて略平行に位置する。この気流調整部20は、長手方向の一端側と他端側が、略支柱状のブラケット21を介して底部11aに固定されている。
【0023】
気流調整部20の上端辺と底部11aとの隙間、気流調整部20及び整流板30の左端辺と底部11aとの隙間、同気流調整部20及び整流板30の右端辺と底部11aとの隙間は、それぞれ、外部の気体を吸い込むための吸込み口10aとして機能する。
【0024】
気流調整部20は、吸込み口10aに吸い込まれる気体を加速するように、底部11aとの間の距離が適宜に調整されている。
【0025】
気流調整部20の裏面は、左右方向の中央側に、底部11aとの間を狭めた凸部20aを有し、この凸部20aの左右両側に、底部11aとの間を拡げるように凹んだ凹み部20b,20bを有する。すなわち、気流調整部20の裏面は、凸部20aと両側の凹み部20b,20bを有する略凸状に形成される(
図5参照)。
【0026】
また、気流調整部20の上端部には、内側へ傾いた傾斜面20cが形成される。この傾斜面20cは、底部11aとの間に吸い込まれて加速する気体の流れに乱れが生じるのを抑制する。
【0027】
また、気流調整部20は、第1照明部61や操作部62等の電装品を装着するための電装品装着部として機能する(
図9参照)。
【0028】
また、気流調整部20及び後述する整流板30は、第1照明部61から発せられる光が当該レンジフード1の下方へ直接照射されるのを遮る遮光部材として機能する。
【0029】
第1照明部61は、気流調整部20の横幅方向へわたる長尺状の発光体であり、例えば、複数のLEDにより構成される。
【0030】
この第1照明部61は、遮光部材としての気流調整部20と気流案内面11との間に光を発するように、気流調整部20内の裏面側に装着されている。
詳細に説明すれば、この第1照明部61は、気流調整部20の内部にブラケット等を介して固定され、その照射方向を、上側の吸込み口10a側へ傾斜させている。この第1照明部61の光は、気流調整部20の裏面から発せられて、気流案内面11を照らす(
図9参照)。
【0031】
気流調整部20には、第1照明部61の照射方向側に位置するように、透光性の第1透光カバー63が設けられる。
第1透光カバー63は、透明、色付き透明、半透明等の透光性の板状部材から、気流調整部20の横幅方向へわたる長尺状に形成され、気流調整部20の裏面に対し略面一になるように固定される(
図5参照)。
この第1透光カバー63の材質は、ガラスや、耐熱性且つ難燃性の合成樹脂材料等とすればよい。
【0032】
第1透光カバー63によれば、第1照明部61に油分や水分、異物等が付着するのを防ぐことができ、ひいては第1照明部61の故障発生を低減することができる。
【0033】
操作部62は、第1照明部61をオンオフしたり照度調整したりする電子回路62aや複数の操作スイッチ62b等により構成される。
電子回路62aは、気流調整部20に内在される。
操作スイッチ62bは、使用者等が下方側から操作可能なように、使用者等の指が接することで静電的にON,OFFする静電容量タイプのスイッチである。この操作スイッチ62bの他例としては、気流調整部20の表面側に露出し押圧操作されるようにした圧力感応タイプのスイッチでもよい。
【0034】
第1照明部61が間接照明であるのに対し、レンジフード1には、当該レンジフード1の下方を直接照らす第2照明部65も設けられる。
第2照明部65は、気流案内面11の上部(図示例によれば、上片部11b)の裏側において、筐体40内にブラケット等を介して装着される(
図2参照)。
この第2照明部65の照射方向側には、上片部11bと略面一になるように第2透光カバー66が設けられる
【0035】
第2照明部65及び第2透光カバー66は、気流案内面11の横幅方向に沿って長尺状に設けられる。
これら第2照明部65及び第2透光カバー66を構成する材料や部品等は、上述した第1照明部61及び第1透光カバー63と同様にすればよい。
【0036】
また、整流板30は、気流案内面11の底部11aに対し間隔を置いて沿うようにして、気流調整部20よりも下方側に位置し、気流調整部20と表面が面一になるように並設される(
図1参照)。
この整流板30は、平面視略矩形板状の部材であり、底部11aに沿う傾斜方向において、気流調整部20よりも長く形成される。そして、整流板30の底部11aに沿う方向の表面積は、気流調整部20の同方向の表面積よりも大きい。
【0037】
気流調整部20の斜め下方の端面は、対向する整流板30の端面に対し面で接している。このようにすることで、レンジフード1では、気流調整部20と整流板30の間に、吸込み口となるような隙間が形成されないようにするとともに、気流調整部20とび整流板30の接続部分の美観を良好にしている。
なお、他例としては、気流調整部20と整流板30を線で接するようにしてもよい。
【0038】
この整流板30の裏面には、気流案内面11側(詳細には底部11a側)へ立ち上がって気流案内面11との間隔を狭めた風速調整用凸部31が設けられる。
整流板30は、気流案内面11に沿う水平方向の回転軸34aを支点に回動するように構成され、風速調整用凸部31は、回転軸34aよりも遠心方向側に配置される。
【0039】
風速調整用凸部31は、整流板30の周縁側に対しその中央側の部分を気流案内面11側へ凸状に突出させており、その突端面を、気流案内面11に沿う平坦面状に形成している。
この風速調整用凸部31の突出高さは、図示例によれば、気流調整部20の凸部20aの突出高さと略同一である。
【0040】
この風速調整用凸部31の周縁側には、突端面へ向かって内側へ傾斜する傾斜面31aが設けられる。この傾斜面31aは、図示例によれば、風速調整用凸部31の側面を、風速調整用凸部31の突端へ向かって内側へ傾斜する平坦面状に形成してなる。この傾斜面31aは、側方から吸込み口10a内へ向かう気流に乱れが生じるのを抑制する。
【0041】
また、風速調整用凸部31は、開口部12に対向する方向から視た場合に開口部12の少なくとも一部と、開口部12周囲の気流案内面11(詳細には底部11a)の少なくとも一部を含むように設けられる。別表現すれば、風速調整用凸部31は、開口部12の少なくとも一部、及び開口部12周囲の気流案内面11の少なくとも一部に対し、開口部12に対向する方向から視た場合に重なるように設けられる。
特に、本実施の形態の好ましい一例によれば、この風速調整用凸部31は、開口部12に対向する方向から視た場合に、開口部12を全て含むように配置される(
図4参照)。
この配置によれば、開口部12に吸い込まれる気体を、開口部12の全周においてムラなく効率的に加速することができる。
【0042】
整流板30裏面の周縁側の少なくとも一部には、気流案内面11側へ、風速調整用凸部31の突端面よりも低く立ち上がった角側低面部32が設けられる(
図3参照)。なお、他例としては、角側低面部32を立ち上げていない構成とすることも可能である。
この角側低面部32は、図示例によれば、整流板30における上側(異なる表現をすれば、回転軸34aを中心とした遠心方向側)の二つの角側にそれぞれ設けられる。各角側低面部32は、風速調整用凸部31の突端よりも低い平坦面状に形成される。
【0043】
二か所の角側低面部32,32には、それぞれ、整流板30を手動で回転移動するための移動操作部35が設けられる。
図示例の移動操作部35は、角側低面部32から立ち上がったブラケット35aと、このブラケット35aに対し回転自在に挿通されたネジ状部材35bとを具備する。
ネジ状部材35bは、ネジ部を内側(風速調整用凸部31側)へ向けてブラケット35aに挿通される。前記ネジ部は、底部11aに突設された被螺合部材36(
図3参照)に螺合する。
【0044】
なお、移動操作部35の他例としては、押しボタン操作やその他の操作により移動操作部35を気流案内面11に係止したり外したりする態様や、押しボタン操作やその他の操作により移動操作部35を気流案内面11に着脱する態様等、図示例以外の構造を適用することが可能である。
【0045】
また、整流板30は、周縁部を複数の辺部より構成しており、これら複数の辺部のうちの少なくとも一辺に、気流案内面11側へ立ち上がっていない辺側低面部33が設けられる(
図3参照)。
辺側低面部33は、図示例によれば、辺側低面部33の周縁部の全周にわたって連続している。この辺側低面部33は、風速調整用凸部31の突端よりも低く、且つ角側低面部32よりも低い平坦面状に形成される。なお、他例としては、辺側低面部33を角側低面部32と面一にした態様や、辺側低面部33を風速調整用凸部31の突端よりも低く且つ角側低面部32よりも高くした態様等とすることも可能である。
【0046】
これら辺側低面部33のうち、整流板30の下側の辺に対応する辺側低面部33には、その左右両側に、それぞれ、ヒンジ34が取付けられる(
図6参照)。このヒンジ34は、回転軸34aを支点にして回動する一片部を辺側低面部33に止着するとともに、その他片部を気流案内面11に止着している。
【0047】
図示例によれば、整流板30裏面における左右の辺側低面部33,33から風速調整用凸部31にわたる形状は、気流調整部20裏面における両側の凹み部20b,20bから凸部20aにわたる形状と略同じである(
図5及び
図6参照)。
【0048】
また、整流板30の下端辺には、排油板37が接続されている。
排油板37は、整流板30の下端辺から、気流案内面11下側の排油板導入口11c1内へ向かう湾曲状に形成される。
整流板30の裏側に付着する油分や水分等は、排油板37を伝って気流案内面11裏側へ浸入し、筐体40下端側に設けられた凹状の油溜め部41に貯溜される。
【0049】
また、筐体40は、気流案内面11の裏側に位置する吸込み室40aと、この吸込み室40aの上方に連通する送風機室40bとを内部に形成しており、開口部12から吸い込まれる気体を、これら吸込み室40a及び送風機室40bに通過させて上端側の排気口40b1から排出する。
【0050】
吸込み室40aは、図示例によれば横向き三角柱状に形成され、前後左右の面と上面が複数のパネルにより覆われている。これらパネルのうち、前面に露出するパネルの表面が、気流案内面11を構成する。また、上面のパネル40a1には、図示しない開口部が設けられ、この開口部に連通するように、送風機室40bを構成するパネルが接続される。
【0051】
吸込み室40aには、上述した油捕集装置70が設けられる。開口部12に吸い込まれて油捕集装置70を通過した気体は、送風機室40bへ導かれる。
【0052】
送風機室40bは、前後左右の面と上面がパネルにより覆われている。これらパネルの上端側には、筒状の排気口40b1が、送風機室40b内に連通するように接続されている。
【0053】
この送風機室40bには、送風機50が設けられる。
送風機50は、図示例によればシロッコファンであり、前方から吸い込んだ気体を上方の排気口40b1へ排出する。
なお、この送風機50の他例としては、プロペラファン等、上記以外の送風機を用いることが可能である。
【0054】
次に、上記構成のレンジフード1について、特徴的な作用効果を詳細に説明する。
レンジフード1は、電源が供給され送風機50が回転すると、吸込み口10aから、開口部12を経て排気口40b1へ向かう気流を形成する。
詳細に説明すれば、左右及び上側の吸込み口10aから気体(例えば、空気や煙等)は、気流調整部20及び整流板30と気流案内面11の間を通って、開口部12へ導かれる。
この際、気体は、整流板30の風速調整用凸部31、及び気流調整部20の凸部20aによって狭められた隙間を通過することで急加速する。このため、レンジフード1周囲の気体は、吸込み口10aへ吸い込まれ開口部12へ効率よく導かれる。
そして、開口部12内へ浸入した気体は、筐体40内の吸込み室40a及び送風機室40bを通過して排気口40b1から強制排気される。
【0055】
なお、図示例によれば、整流板30の風速調整用凸部31の突出高さと、気流調整部20の凸部20aの突出高さを略同じにしているが、気流調整部20を凸部20aの高さが異なるものに交換して、上側の吸込み口10aから吸い込まれる気体の速度を調整することが可能である。
【0056】
また、上記実施態様によれば、長期間の使用により汚れが付着した場合に、使用者等は、ネジ状部材35bを緩め、角側低面部32や辺側低面部33等の凹み部分に手指を掛けて、整流板30を開放するように回転移動し、整流板30裏側や気流案内面11を容易に清掃することができる。
【0057】
また、操作スイッチ62bを操作して、第1照明部61を点灯すれば、第1照明部61から発せられる光の一部は、第1透光カバー63を通過して、気流案内面11へ向かう。さらに、この光は、気流案内面11で反射して、吸込み口10aの外側へ向かう(
図9参照)。
なお、第1照明部61から発せられて直接下方へ向かおうとする光は、遮光部材としての気流調整部20及び整流板30により遮られる。
【0058】
よって、第1照明部61が発光した際に明るすぎない適度な明るさを得ることができ、ひいては、当該レンジフード1の外観上の美観を向上することができる。しかも、気流調整部20及び整流板30が遮光部材として機能するため、使用者等が第1照明部61を直接視てしまい眩しく感じるようなことを防ぐことができる。
【0059】
また、当該レンジフード1の下方のコンロ等をより明るくした場合には、第2照明部65を点灯すればよい。
【0060】
また、上記構成のレンジフード1によれば、気流調整部20を電装品装着部として用いたため、集気部10の周囲の枠状部分等に、電装品を装着するためのスペースを多く確保しなくても済む。
したがって、当該レンジフード1を設計する際におけるデザイン的な制限を低減することができる。
【0061】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係る他の実施態様について説明する。なお、以下に示す実施態様は、上記構成のレンジフード1を一部変更したものであるため、主にその変更部分に詳述し、重複する詳細説明を省略する。
【0062】
図10に示すレンジフード2は、第1照明部61及び操作部62等の電装品と第1透光カバー63を、気流調整部20には設けずに、整流板30に設けるようにしている。
【0063】
このレンジフード2において、整流板30は、その内部に、ブラケット等を介して第1照明部61を固定し、この第1照明部61の照射方向側に、風速調整用凸部31の突端面と面一になるように第1透光カバー63を固定している。第1照明部61は、その放射方向を、上側の吸込み口10a側へ傾斜させて、気流案内面11を照らすように固定される。
さらに、整流板30は、その内部に、電子回路62a及び操作スイッチ62b等からなる操作部62を固定するとともに、操作スイッチ62bを表面側に露出している。
【0064】
よって、
図10に示すレンジフード2によれば、上記レンジフード1と同様に、間接照明である第1照明部61の発光によりレンジフード2の外観上の美観を向上することができる上、使用者等が第1照明部61を直接視てしまい眩しく感じるようなことを防ぐことができる。
また、集気部10の周囲の枠状部分等に、電装品を装着するためのスペースを多く確保しなくても済み、ひいては、当該レンジフード1を設計する際におけるデザイン的な制限を低減することができる。
【0065】
<第三の実施態様>
図11に示すレンジフード3は、第1照明部61及び操作部62等の電装品と第1透光カバー63を、気流調整部20及び整流板30には設けずに、気流案内面11に装着している。
【0066】
レンジフード3の気流案内面11は、底部11aの裏側にブラケット等を介して第1照明部61を固定し、この第1照明部61の照射方向側に、底部11a表面と面一になるように第1透光カバー63を固定している。第1照明部61は、その照射方向を、上側の吸込み口10a側へ傾斜するようにして、気流調整部20の内面へ向けている。
【0067】
したがって、第1照明部61の光は、気流案内面11から発せられて、遮光部材としての気流調整部20の裏面を照らす。そして、気流調整部20の裏面で反射した光の一部は、吸込み口10aから外部へ漏れる。
【0068】
また、気流案内面11は、気流調整部20よりも上側に位置する面の裏側に、電子回路62a及び操作スイッチ62b等からなる操作部62を固定するとともに、操作スイッチ62bを表面側に露出している。
なお、操作部62は、上記レンジフード1と同様に、上片部11bに設けることも可能である。
【0069】
よって、
図11に示すレンジフード3によれば、上記レンジフード1と同様に、第1透光カバー63を間接照明として機能させることができる上、電装品装着によるデザイン的な制限を低減することができる。
【0070】
<第四の実施態様>
図12に示すレンジフード4は、気流調整部20を整流板30に対し傾斜させたものである。この気流調整部20は、ブラケット21によって気流案内面11に固定される。
詳細に説明すれば、気流調整部20は、その上端側が、整流板30の表面に対し前方へ傾いている。そして、気流調整部20の下端辺は、整流板30の上端辺に対し線状に接している。
したがって、気流調整部20と底部11aの間隔は、上側の吸込み口10aから開口部12へ向かって徐々に狭くなっている。
【0071】
よって、
図12に示すレンジフード4によれば、上記レンジフード1と同様に、左右側方と上側の吸込み口10aから吸い込まれる気体を、加速して、開口部12へ効率よく導くことができる。
特に、このレンジフード4では、上側の吸込み口10aによる吸込み能力が左右側方の吸込み口10a,10aの吸込み能力よりも大きくなるため、煙等が天井側に比較的多く溜まるような状況においても、この煙等を、上側の吸込み口10aにより効率よく吸込むことができる。
【0072】
<第五の実施態様>
図13に示すレンジフード5は、気流調整部20と整流板30の間に、気体を吸い込み可能な隙間sを設けたものである。
すなわち、気流調整部20は、整流板30から離れた状態で、ブラケット21によって気流案内面11に固定されている。
【0073】
図13に示すレンジフード5によれば、左右側方と上方の吸込み口10aに加えて、隙間sからも気体を吸い込むため、特に、集気部10内の上部側の吸込み能力を向上することができる。したがって、上記レンジフード4と同様に、煙等が天井側に比較的多く溜まるような状況において有用である。
【0074】
なお、上記変形例では、図示を省略したが、上記レンジフード1と同様にして、レンジフード2(
図10参照)には第2照明部65等を設けることが可能である。また、レンジフード4,5(
図12及び
図13参照)には、第1照明部61及び第2照明部65等を設けることが可能である。
【0075】
<その他の変形例>
上記実施態様の集気部10によれば、気流案内面11を凹状に形成しその底部11aに開口部12を設けたが、集気部10の他例としては、気流案内面11を全体にわたる平坦面状に形成しその平坦状の面に開口部12を設けた態様とすることも可能である。
【0076】
また、上記実施態様の集気部10によれば、開口部12を有する面(図示例によれば底部11a)を斜め下方へ向けたが、集気部10の他例としては、開口部12を有する面を真下へ向けた態様や、開口部12を有する面を真横へ向けた態様とすることも可能である。
【0077】
また、上記実施態様の風速調整用凸部31は、開口部12に対向する方向から視た場合に開口部12の全部と、開口部12周囲の気流案内面11の一部を含むように形成したが(
図4参照)、この風速調整用凸部31の他例としては、開口部12に対向する方向から視た場合に、開口部12の一部と、開口部12周囲の気流案内面11の一部を含むように形成することが可能である。
【0078】
また、上記実施態様の整流板30は、特に好ましい態様として、上側の二つ角部にそれぞれ角側低面部32を設け、四つの辺部の全部にそれぞれ辺側低面部33を設けたが、この整流板30の他例としては、一方の角部のみに角側低面部32を設けた態様や、角部ではない周縁側の一部分に、気流案内面11側へ立ち上がっていない部分を設けた態様、一部の辺部のみに、気流案内面11側へ立ち上がっていない部分を設けた態様等とすることが可能である。
【0079】
また、上記実施態様では、整流板30を一端側の回転軸34aを支点にして回転移動するようにしたが、他例としては、整流板30をスライド可能に具備した態様や、整流板30を着脱可能に具備した態様とすることが可能である。
【0080】
また、上記実施態様では、気流調整部20及び整流板30を第1照明部61の光の一部を遮る遮光部材として用いたが、他例としては、気流調整部20及び整流板30とは別の部材として、気流案内面11に対し間隔を空けて沿う遮光部材を設け、この遮光部材と気流案内面11の間に光を発するように第1照明部61を設けるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施態様によれば、遮光部材(図示例によれば、気流調整部20及び整流板30)と気流案内面11の間で光を発するように第1照明部61を設けたが、他例としては、前記遮光部材と気流案内面11の間の外側から、前記遮光部材と気流案内面11の間へ向かって光を発するように、第1照明部61を設けることも可能である。
【0082】
また、上記実施態様では、気流調整部20又は整流板30を電装品装着のための電装品装着部として用いたが、他例としては、気流案内面11に対し、気流調整部20及び整流板30以外の部材である電装品装着部を固定し、この電装品装着部に電装品を装着した態様とすることも可能である。
【0083】
また、上記実施態様では、第1照明部61や操作部62等の電装品を、気流調整部20、整流板30、気流案内面11の何れかに設けたが、図示例以外の他例としては、前記電装品を、気流調整部20、整流板30、気流案内面11のうちの複数の部位に設けることも可能である。
【0084】
また、上記実施態様では、気流調整部20と整流板30の二つの部材を用いて、気流を調整するようにしたが、他例としては、これら気流調整部20及び整流板30を一体化した単一の部材や、三以上の部材によって気流を調整する態様とすることが可能である。この場合も、前記単一の部材や、前記三以上の部材は、それぞれ、上記電装品装着部や、上記遮光部材として用いることが可能である。
【0085】
また、上記実施態様では、電装品を、第1照明部61や、電子回路62a、操作スイッチ62b等としたが、この電装品の他例としては、センサーやモータ、その他の電気関係部品等とすることが可能である。
【0086】
また、上記構成のレンジフード3では、操作部62と第1照明部61の双方を気流案内面11に装着したが、他例としては、第1照明部61を気流案内面11に装着するとともに操作部62を気流調整部20に装着した態様や、これとは逆に、操作部62を気流案内面11に装着するとともに第1照明部61を気流調整部20に装着した態様等とすることも可能である。
【0087】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
1,2,3,4,5:レンジフード
10:集気部
10a:吸込み口
11:気流案内面
12:開口部
20:気流調整部(電装品装着部、遮光部材)
30:整流板(電装品装着部、遮光部材)
31:風速調整用凸部
32:角側低面部
33:辺側低面部
34a:回転軸
35:移動操作部
40:筐体
40b1:排気口
50:送風機
61:第1照明部
62:操作部
62a:電子回路
62b:操作スイッチ
63:第1透光カバー
65:第2照明部
s:隙間