(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064450
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】位置検出方法及び位置検出プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 59/02 20060101AFI20230501BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
B65G61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174744
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】521303327
【氏名又は名称】株式会社ステルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】武田 仁志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 眞樹
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA04
3F030AB04
3F030BA02
(57)【要約】
【課題】ワーク搬送装置の構成が簡単でも適切にワークの位置検出を行うことができる位置検出方法及び位置検出プログラムを提供すること。
【解決手段】パレット上に載置されたワークの位置を検出し、ワークをデパレタイズするワーク搬送装置は、距離を測定するレーザセンサを備える。そして、ワーク搬送装置の制御装置は、位置検出処理において、パレット上に載置されたワークの上空において、レーザセンサを水平移動させながらレーザセンサからワークまでの距離を測定するステップS11と、ステップS11における測定結果に基づいてレーザセンサからの測定距離が閾値以上変化した場合には、ワーク端であるとして検出するステップS13と、ステップS13において検出されたワーク端に基づいて、各ワークの位置座標を演算するステップS20と、を実施する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に載置されたワークの位置を検出し、前記ワークをデパレタイズするワーク搬送装置が実施する位置検出方法において、
前記ワーク搬送装置は、距離を測定する測距センサを備え、
前記パレット上に載置された前記ワークの上方において、前記測距センサを水平移動させながら前記測距センサから前記ワークまでの距離を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにおける測定結果に基づいて前記測距センサからの測定距離が閾値以上変化した場合には、ワーク端であるとして検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記ワーク端に基づいて、前記各ワークの位置座標を演算する演算ステップと、を備える位置検出方法。
【請求項2】
前記検出ステップにおいて検出された前記ワーク端を、平面座標上にプロットし、当該ワーク端と重複しないように当該ワーク端に沿って各ワークを当該平面座標上に仮想的に配置して、位置決めを行う配置ステップを備え、
前記演算ステップでは、前記配置ステップで位置決めされた前記各ワークの配置に基づいて、各ワークの位置座標を演算する請求項1に記載の位置検出方法。
【請求項3】
前記配置ステップでは、全ての前記ワークを配置できた場合には、前記配置ステップを終了し、前記演算ステップを実行する一方、全ての前記ワークを配置できなかった場合には、前記検出ステップに戻り、前記閾値を小さくして改めて前記ワーク端を検出しなおし、新たに検出された前記ワーク端に基づいて再び前記配置ステップを実行する請求項2に記載の位置検出方法。
【請求項4】
前記ワークの形状及び配置方法に係る情報を取得する情報取得ステップを備え、
前記配置ステップでは、前記情報取得ステップにて取得された前記ワークの形状に基づいて、前記平面座標上における前記ワークの縦横寸法を決定するとともに、前記情報取得ステップにて取得された配置方法に基づいて、前記平面座標上における前記ワークの縦横方向を決定する請求項2又は3に記載の位置検出方法。
【請求項5】
前記情報取得ステップにて取得された前記配置方法に対称性があるとき、前記配置ステップにおいて、検出されたワーク端に基づいてあるワークを配置できた場合、当該ワークの対称位置に、前記ワークを対称的に配置する請求項4に記載の位置検出方法。
【請求項6】
前記配置ステップでは、検出された前記ワーク端の並びに基づいて、前記パレット上に載置された前記ワークの集合体である積荷の外縁に対応する外縁ラインと、前記ワーク間の隙間に対応する隙間ラインを推定し、それらの各ラインの交点を特定し、当該交点のいずれかが、各ワークの角部に対応すると推定して、前記ワークを配置する請求項2~5のうちいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項7】
前記配置ステップでは、検出された前記ワーク端の並びに基づいて、前記パレット上に載置された前記ワークの集合体である積荷の外縁に対応する外縁ラインを推定し、最初に、当該外縁ラインに沿って前記ワークを配置したのち、他のワークを順次配置する請求項2~6のうちいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項8】
前記測定ステップでは、前記測距センサの移動軌跡が平面視で格子状になるように、前記測距センサを第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に水平移動させる請求項1~7のうちいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項9】
前記ワーク搬送装置は、
前記ワークを把持するチャック部と、
前記チャック部を移動させる移動部と、を備え、
前記測距センサは、前記チャック部に取り付けられ、
前記測定ステップでは、前記移動部を制御して前記パレット上に積載されたワークの上方において前記チャック部を移動させることにより、前記測距センサを水平移動させる請求項1~7のうちいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項10】
前記測定ステップでは、前記チャック部を移動させて距離を測定する間、時刻ごとの前記チャック部の位置座標を記憶するとともに、時刻ごとの前記測距センサの測定結果を記憶して、時刻に基づいて位置座標と測定結果を対応付ける請求項9に記載の位置検出方法。
【請求項11】
パレット上に載置されたワークの位置を検出し、前記ワークをデパレタイズするワーク搬送装置が実施する位置検出プログラムにおいて、
前記ワーク搬送装置は、距離を測定する測距センサを備え、
前記パレット上に載置された前記ワークの上方において、前記測距センサを水平移動させながら前記測距センサから前記ワークまでの距離を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにおける測定結果に基づいて前記測距センサからの測定距離が閾値以上変化した場合には、ワーク端であるとして検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記ワーク端に基づいて、前記各ワークの位置座標を演算する演算ステップと、を備える位置検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの位置を検出するための位置検出方法及び位置検出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの輸送のためにパレットからワークを積み下ろすデパレタイズを実施するワーク搬送装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載されているワーク搬送装置は、まず、カメラにてパレットに積載されたワークを撮像し、ワークの撮像画像をパターンマッチング等の画像処理を行うことにより、ワークの重心座標データを算出する。そして、ワーク搬送装置は、算出されたワークの重心座標データに基づいて物品をデパレタイズする。これにより、特許文献1に記載されているワーク搬送装置は、ワークがパレット上のどの位置に配置されているか不明でも、自動でデパレタイズを実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像処理を行う場合、画像処理の負荷が重く、また、画像処理のためのプログラムが複雑化しやすい。特に、ディープラーニング系AIを利用するとその傾向が強くなる。また、カメラについても、ある程度以上の解像度が要求される。したがって、特許文献1に示すようなカメラを利用したワークの位置検出を行う場合、ワーク搬送装置に使用されるマイコンやカメラ等の要求性能が高くなりやすく、高価となりやすいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ワーク搬送装置の構成が簡単でも適切にワークの位置検出を行うことができる位置検出方法及び位置検出プログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する位置検出方法は、パレット上に載置されたワークの位置を検出し、前記ワークをデパレタイズするワーク搬送装置が実施する位置検出方法であって、前記ワーク搬送装置は、距離を測定する測距センサを備え、前記パレット上に載置された前記ワークの上方において、前記測距センサを水平移動させながら前記測距センサから前記ワークまでの距離を測定する測定ステップと、前記測定ステップにおける測定結果に基づいて前記測距センサからの測定距離が閾値以上変化した場合には、ワーク端であるとして検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出された前記ワーク端に基づいて、前記各ワークの位置座標を演算する演算ステップと、を備える。
【0007】
これにより、測距センサという比較的簡易な構成でありながら、ワークの位置を特定することができる。また、測距センサからワークまでの距離に基づいて、ワーク端を検出するため、画像処理に比較して負荷を少なくすることができる。
【0008】
上記課題を解決する位置検出プログラムは、パレット上に載置されたワークの位置を検出し、前記ワークをデパレタイズするワーク搬送装置が実施する位置検出プログラムであって、前記ワーク搬送装置は、距離を測定する測距センサを備え、前記パレット上に載置された前記ワークの上方において、前記測距センサを水平移動させながら前記測距センサから前記ワークまでの距離を測定する測定ステップと、前記測定ステップにおける測定結果に基づいて前記測距センサからの測定距離が閾値以上変化した場合には、ワーク端であるとして検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出された前記ワーク端に基づいて、前記各ワークの位置座標を演算する演算ステップと、を備える。
【0009】
これにより、測距センサという比較的簡易な構成でありながら、ワークの位置を特定することができる。また、測距センサからワークまでの距離に基づいて、ワーク端を検出するため、画像処理に比較して負荷を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】(a)は、チャックの斜視図、(b)はチャックの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる「ワーク搬送装置」を具体化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。また、各実施形態及び変形例の説明において、明示している構成の組み合わせだけでなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、各実施形態及び変形例を組み合わせることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、ワーク搬送装置としてデパレタイズ装置10は、予め決められた位置に設置された可搬式のパレットP上に整列させて積載されたワークWを、所定の排出場所に順次搬送する装置、すなわち、デパレタイズする装置である。ワークWは、直方体の箱、例えばダンボール箱であり、ローラコンベヤ1等を介して外部の搬送設備(ベルトコンベヤなど)に排出される。以下、詳しく説明する。
【0013】
図1に示すように、デパレタイズ装置10は、ワークWを把持するチャック部としてのチャック装置20(以下、単にチャック20と示す)と、チャック20を移動させる移動部としての搬送機構30と、搬送機構30が固定される直方体の枠体70と、を備える。また、デパレタイズ装置10は、チャック20及び搬送機構30の動作を制御する演算処理装置としての制御装置100と、各種情報を入出力可能な情報端末としてのコントローラ(図示略)と、を備える。
【0014】
本実施形態において、枠体70の長手方向をX軸方向とし、短手方向(X軸に直交する方向)をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に垂直となる方向をZ軸方向と示す。なお、デパレタイズ装置10は、通常、平面に設置されるため、Z軸方向が上下方向に相当する。また、X軸方向及びY軸方向が、水平方向に相当する。
【0015】
搬送機構30は、枠体70に固定され、Z軸方向に沿って伸びるように形成されている柱部50と、柱部50に固定され、Y軸方向に沿って伸びるように形成されているアーム部60と、を有する。
【0016】
枠体70には、X軸ガイドレール51がX軸方向に沿って設けられており、柱部50は、X軸ガイドレール51に対して、X軸方向に沿って移動可能に固定されている。柱部50は、枠体70の底部に配置されるX軸サーボモータ(図示略)の出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、柱部50は、X軸サーボモータの駆動力に基づき、X軸ガイドレール51に沿ってX軸方向に往復移動するように構成されている。
【0017】
柱部50には、Z軸ガイドレール61がZ軸方向に沿って設けられており、アーム部60は、Z軸ガイドレール61に対して、Z軸方向に沿って移動可能に固定されている。アーム部60は、柱部50に設けられているZ軸サーボモータの出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、アーム部60は、Z軸サーボモータの駆動力に基づき、Z軸ガイドレール61に沿ってZ軸方向に往復移動するように構成されている。
【0018】
アーム部60には、Y軸ガイドレール21がY軸方向に沿って設けられており、チャック20は、Y軸ガイドレール21に対して、Y軸方向に沿って移動可能に固定されている。チャック20は、アーム部60に設けられているY軸サーボモータの出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、チャック20は、Y軸サーボモータの駆動力に基づき、Y軸ガイドレール21に沿ってY軸方向に往復移動するように構成されている。
【0019】
以上に説明したように、搬送機構30は、チャック20を水平方向において直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)、及び上下方向(Z軸方向)に直動可能に構成されている。
【0020】
図1に示すように、チャック20は、旋回部としての回転機構23を介してアーム部60に固定されている。回転機構23は、内蔵する旋回サーボモータ(図示略)の駆動力に基づき、回転機構23を中心としてZ軸周り(
図1において矢印Rの方向)にチャック20を旋回可能に構成されている。
【0021】
図2に示すように、チャック20は、回転機構23に取り付けられる長方形状の基部24を有する。基部24は、ワークWの上面に対向する対向面25を、その下部に備えている。基部24は、その対向面25がZ軸に対して垂直となるように回転機構23に対して固定されている。この対向面25には、ワークWを吸着する第1吸着パッド26が設けられている。本実施形態では、第1吸着パッド26が複数設けられている。各第1吸着パッド26は、図示しないエア配管を介してエジェクタが接続されている。エジェクタの動作によって第1吸着パッド26の内部は、負圧となり、これによりワークWの上面を吸着させることが可能となっている。
【0022】
また、基部24の対向面25の外縁側には、支持片41が設けられている。本実施形態において、支持片41は、基部24の短手方向端部に取り付けられている。支持片41は、基部24(対向面25)を中心として、短手方向において片側にのみに配置されている。
【0023】
この支持片41は、ワークWの側面を支持するように、略四角板状に形成されており、基部24に対して先端が下方となるように、つまり、ぶら下がるように取り付けられている。その際、支持片41の面が対向面25の側(つまり、ワークWの側面の側)に向くように支持片41が取り付けられている。すなわち、支持片41がZ軸方向(対向面25の垂直方向)に沿うように、その先端が下方に位置するとき、支持片41の側面の垂直方向が、短手方向に向くように、支持片41が配置されている。このとき、支持片41の対向面25の側の側面を内側側面41aと示し、反対側の側面を、外側側面41bと示す。
【0024】
支持片41の内側側面41aには、ワークWの側面を吸着する側面用吸着パッドとしての第2吸着パッド44が設けられている。本実施形態では、第2吸着パッド44が複数設けられている。各第2吸着パッド44は、第1吸着パッド26と同様に、図示しないエア配管を介してエジェクタが接続されており、エジェクタによって第2吸着パッド44の内部を負圧にすることにより、ワークWの側面を吸着させることが可能となっている。
【0025】
制御装置100は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置である。制御装置100は、前述した各種サーボモータを駆動させるための駆動回路を備えており、駆動回路を介して各種サーボモータの動作を制御可能に構成されている。また、制御装置100は、エジェクタを作動させて、第1吸着パッド26及び第2吸着パッド44によるワークWの吸着動作を制御可能に構成されている。
【0026】
この制御装置100は、各種センサ、各種サーボモータ及びコントローラ等と接続されており、各種情報を取得可能に構成されている。また、制御装置100は、各種機能を備え、取得した各種情報に基づき、各種機能を実行する。これらの機能は、制御装置100が備える記憶装置(記憶用メモリ)に記憶されたプログラムが実行されることで、各種機能が実現される。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
【0027】
各種機能の中には、例えば、パレットPに積載されているワークWを1つずつ搬送するデパレタイズ機能が存在する。デパレタイズ機能について簡単に説明すると、パレットPに積載されている各ワークWの位置を検出し、位置を検出したワークWをチャック20により把持し、パレットPから所定の排出場所に搬送する機能である。この機能により、ワークWは、例えば、
図3に示すように、パレットP上に、上下方向(Z軸方向)に複数段に亘って積み重ねられた状態から、人手を介すことなく、所定の位置に移送される。なお、
図3では、ワークWが、パレットP上において、上下複数段となるように、ピンホール積みされている。また、本実施形態において、
図3に示すようにパレットP上に積み上げられたワークWの集合体を、積荷Crgと示す場合がある。
【0028】
ところで、デパレタイズを行う際に、カメラなどによって撮影された撮影画像を画像処理してパレットPに積載されているワークWの位置を検出すると、処理負担が大きいため、高性能な処理装置が必要となる。また、撮影画像においても、ある程度の解像度も必要となるため、カメラも高性能であることが望ましい。このように高性能化すると、装置の価格も高くなり、普及が難しくなるという問題がある。そこで、本実施形態では、簡素な構成のデパレタイズ装置10であっても、ワークWの位置を正確に検出することができるように工夫した。以下、詳しく説明する。
【0029】
図2に示すように、チャック20には、距離を測定するための測距センサとしてのレーザセンサ80が取り付けられている。レーザセンサ80の取り付け位置は任意に変更してもよい。レーザセンサ80は、
図4に示すように、レーザ光を照射する発光部81と、ワークW等から反射したレーザ光を受光する受光部82を備える。発光部81と受光部82は、所定距離空けて並べて配置されており、発光部81から照射されたレーザ光がワークWなどの対象物に反射し、受光部82に受光するまでの時間や受光位置に基づいて対象物までの距離を測定するものである。
図4(b)は、
図4(a)の状態に比較して、対象物がレーザセンサ80から離れた状態を模式的に示すものである。レーザセンサ80は、レーザ光がZ軸方向において真下に照射されるようにチャック20に取り付けられている。レーザセンサ80は、制御装置100に接続されており、レーザセンサ80から対象物までの距離を入力可能に構成されている。
【0030】
次にワークWの位置を検出するための位置検出方法について詳しく説明する。制御装置100は、その記憶装置に記憶された位置検出プログラムを実施することにより、以下に示す
図5に示す位置検出処理を実施することとなる。制御装置100は、デパレタイズを実施する前、ワークWの位置を検出するために、
図5に示す位置検出処理を実施する。この位置検出処理は、積荷Crgの段ごとに実行される。
【0031】
制御装置100は、まず、ワークWの形状及びワークWの配置方法に関するワーク情報を制御装置100の記憶装置から取得する(ステップS10)。ステップS10が情報取得ステップに相当する。ワーク情報は、予め記憶されているものとするが、入力装置を利用してステップS10の実行時に入力可能に構成してもよい。ワークWの形状とは、例えば、ワークWのX軸方向の寸法、及びY軸方向の寸法である。なお、Z軸方向の寸法が含まれていてもよく、立方体又は直方体のいずれであるかの情報が含まれていてもよい。ワークWの配置方法とは、ワークWの積み方や、積荷CrgのワークWの数などである。ワークWの段数、1段あたりのワークWの個数が含まれていてもよい。ワークWの積み方とは、パレットパターンのことであり、例えば、ブロック済み(平積み)、レンガ積み、ピンホール積み、窓積み、スプリット積み等のことである。
【0032】
次に、制御装置100は、パレットPに載置されたワークWの上方(Z軸方向上方)において、チャック20を水平移動させることによりレーザセンサ80を水平移動させ、その間、レーザセンサ80からワークWなどの対象物までの距離を測定する(ステップS11)。このステップS11が測定ステップに相当する。
【0033】
ステップS11におけるチャック20(及びレーザセンサ80)の移動態様について説明する。パレットPの上方を万遍なく移動させて測定することが望ましいが、時間がかかるので、ステップS11では、チャック20及びレーザセンサ80の移動軌跡が平面視で格子状になるように、チャック20及びレーザセンサ80を第1方向及び第1方向と直交する第2方向に水平移動させて、少なくとも格子状のライン上においてZ軸方向における距離を測定させている。
【0034】
詳しく説明する。
図6は、積荷CrgをZ軸方向上空から見たときの図である。まず、
図6の破線に示すように、制御装置100は、起点P0から、パレットPの範囲内でX軸方向にジグザグ移動させるように、レーザセンサ80とともにチャック20を移動させる。すなわち、起点P0からX軸方向(
図6において左側)に所定間隔移動させた後、パレットPを横断するようにY軸方向の一方側(
図6において上側)にチャック20を直線的に移動させる。その後、X軸方向(
図6において左側)に所定間隔移動させた後、パレットPを横断するようにY軸方向の反対側(
図6において下側)にチャック20を直線的に移動させる。以降、この往復移動を繰り返し、X軸方向においてパレットPを横断し、終点P1に至るまで繰り返す。
【0035】
なお、起点P0及び終点P1は、パレットPの範囲内であれば、任意に設定してもよいが、できるだけパレットPの角部に近い地点に設定されることが望ましく、起点P0及び終点P1は、対角線上にあることが望ましい。また、X軸方向に所定間隔移動させる際、その移動間隔は、任意に設定してよいが、ワークWの形状や配置方法がわかっている場合には、それに応じた間隔(例えば、ワークWの配列数や寸法等に応じた間隔)が設定されていることが望ましい。また、
図6に示すように、X軸方向への移動間隔を異ならせてもよい。
【0036】
終点P1に至るまでX軸方向にジグザグ移動させた後、
図6の一点鎖線に示すように、制御装置100は、パレットPの角部に設定された終点P1を新たな起点P1とし、当該起点P1から、パレットPの範囲内でY軸方向にジグザグ移動させるように、レーザセンサ80とともにチャック20を移動させる。すなわち、起点P1からY軸方向(
図6において下側)に所定間隔移動させた後、パレットPを横断するようにX軸方向の一方側(
図6において右側)にチャック20を直線的に移動させる。その後、Y軸方向(
図6において下側)に所定間隔移動させた後、パレットPを横断するようにX軸方向の反対側(
図6において左側)にチャック20を直線的に移動させる。以降、この往復移動を繰り返し、Y軸方向においてパレットPを横断し、終点P0に至るまで繰り返す。
【0037】
ところで、制御装置100は、レーザセンサ80とともにチャック20を移動させる場合、レーザセンサ80の進行方向に対して発光部81と受光部82の配置方向が直交する方向となるように、回転機構23によりチャック20を回転させる。つまり、発光部81及び受光部82が横並びした状態で、移動するように、チャック20を回転させる。
【0038】
例えば、
図6の破線に示すようにX軸方向にジグザグ移動させる際、レーザセンサ80は、Y軸方向の上側又は下側に向かって進行しつつ、Z軸方向における距離を測定する。このため、発光部81と受光部82の配置方向が、レーザセンサ80の進行方向(Y軸方向)に対して直交するように、つまり、X軸方向と平行となるように、制御装置100は、X軸方向にジグザグ移動させる前に回転機構23によりチャック20を回転させておく。その時の様子を、
図6においてレーザセンサ80Aにより示す。なお、
図6では、配置方向を認識しやすいように、レーザセンサ80を模式的に図示している。
【0039】
そして、
図6の一点鎖線に示すようにY軸方向にジグザグ移動させる際も同様に、発光部81と受光部82の配置方向が、レーザセンサ80の進行方向(X軸方向)に対して直交するように、制御装置100は、回転機構23により事前にチャック20を回転させておく。その時の様子を、
図6においてレーザセンサ80Bにより示す。
【0040】
なお、X軸方向にジグザグ移動させる際、パレットPの端部において、X軸方向に所定距離移動させる場合があるが、その間の測定結果は利用されることはないので、X軸方向に所定距離移動させる際に、配置方向が、レーザセンサ80の進行方向に対して直交するように、チャック20を回転させなくてもよい。Y軸方向にジグザグ移動させる際も同様である。
【0041】
また、チャック20の上下方向(Z軸方向)は、ワークWの段数に応じて調整された位置に配置された後、少なくとも測定が完了するまで同じ位置に保たれる。ワークWの段数が何段目であるかは、予め設定されていてもよいし、予めワークWまでの距離を測定し、測定距離から段数を設定してもよい。
【0042】
そして、ステップS11において、この移動中、制御装置100は、レーザセンサ80から対象物(例えばワークW)までのZ軸方向における距離を逐次測定する。具体的には、制御装置100は、ステップS11におけるチャック20の移動中、時刻(時間)ごとのチャック20の位置座標を記憶するとともに、時刻ごとのレーザセンサ80から対象物までの測定距離を測定する。なお、時刻は、起点P0からの経過時間であってもよい。
図7に、時刻ごとのレーザセンサ80から対象物までの測定距離を示す。なお、
図7では、上側ほど、レーザセンサ80までの距離が近いことを示している。
【0043】
次に、制御装置100は、位置座標と測定距離を対応付ける(ステップS12)。具体的には、ステップS11で記憶された時刻ごとのチャック20の位置座標と、時刻ごとの測定結果とを時刻に基づいて対応付けする。つまり、各位置座標における測定距離を特定可能にする。
【0044】
次に、制御装置100は、測定結果を走査して、測定距離が閾値Th以上大きく変化した位置座標をワーク端Wa,Wbとして検出する(ステップS13)。ステップS13が検出ステップに相当する。ワーク端Wa,Wbとは、Z軸方向から見たとき、ワークWの外縁に対応する部分である。ステップS13では、平面視におけるワークWの外縁を特定するために、平面視におけるワークWの外縁とレーザセンサ80の移動軌跡との交点を特定し、ワーク端Wa,Wbとして検出する。平面視におけるワークWの外縁とレーザセンサ80の移動軌跡との交点とは、レーザセンサ80の検出値が閾値以上変化したタイミングにおける位置座標に相当する。ワーク端Wa,Wbの検出方法について
図7を参照して詳しく説明する。
図7において、測定距離が所定の閾値Th以上、大きく変化した時刻T1,T2・・・は、ワークWの外縁から外れた時刻、つまり、積荷Crgの外縁や隙間等を検出した時刻であると考えられる。そこで、ステップS13において、制御装置100は、測定距離が所定の閾値Th以上、大きく変化した時刻T1,T2・・・を特定する。そして、制御装置100は、各時刻に対応する位置座標を特定し、この位置座標をワーク端Wa,Wbとして判定する。例えば、時刻T1に対応するチャック20(及びレーザセンサ80)の位置座標(X1,Y1)を特定し、この位置座標をワーク端Wa1の位置座標とする。なお、閾値Thは記憶されているものを使用するが、閾値Thは、測定結果によっては初期値から更新される場合もある(後述)。
【0045】
次に、制御装置100は、
図8に示すように、ステップS13において検出されたワーク端Wa,Wbの位置座標をXY座標上にプロットする(ステップS14)。
図8において二重丸で示すワーク端Waは、
図6に示すようにレーザセンサ80の進行方向がY軸方向である場合(破線で示す)に取得した測定結果に基づき特定されたものである。
図8において丸で示すワーク端Wbは、
図6に示すようにレーザセンサ80の進行方向がX軸方向である場合(一点鎖線で示す)に取得した測定結果に基づき特定されたものである。
【0046】
次に、制御装置100は、
図9に示すように、複数のワーク端WaがX軸方向に並ぶライン(Y軸ラインLyと示す)を特定する(ステップS15)。その際、Y軸方向に所定範囲内であるならば、同じラインに含まれると判定し、検出誤差をある程度許容する。同様に、ステップS15において、制御装置100は、
図9に示すように、複数のワーク端WbがY軸方向に並ぶライン(X軸ラインLxと示す)を特定する。ここで、X軸ラインLx、Y軸ラインLyは、その少なくとも一部が、ワークW間の隙間(溝)又は積荷Crgの外縁に沿った直線であると考えられる。
【0047】
次に、制御装置100は、
図10に示すように、X軸ラインLxと、Y軸ラインLyの交点K1~K64と特定する(ステップS16)。当該交点K1~K64のうち、いずれかは、各ワークWの角に対応すると考えられる。
【0048】
また、制御装置100は、
図11においてハッチングで示すように、ワークWの配置領域外を設定する(ステップS17)。具体的には、積荷Crgの外縁を示すワーク端Wa,Wbよりも外側の領域を、ワークWの配置領域外E10として設定する。例えば、
図11に示すように、ワーク端Waのうち、最も上側に配置されたワーク端Wa5,Wa6,Wa16,Wa17,Wa26よりも上側の領域、及びワーク端Waのうち、最も下側に配置されたワーク端Wa1,Wa10,Wa11,Wa21,Wa22よりも下側の領域は、ワークWの配置領域外E10として設定する。同様に、ワーク端Wbのうち、最も右側に配置されたワーク端Wb5,Wb6,Wb16,Wb17,Wb26よりも右側の領域、及びワーク端Wbのうち、最も左側に配置されたワーク端Wb1,Wb10,Wb11,Wb21,Wb22よりも左側の領域は、ワークWの配置領域外E10として設定する。
【0049】
また、制御装置100は、ピンホール積みのように、配置方法において大きな空間が発生すると判断できる場合、当該空間をワークWの配置領域外として設定してもよい。詳しくは、
図11に示すように、中心領域を、ワークWの配置領域外E11と設定してもよい。
【0050】
次に、制御装置100は、XY座標上において、ワーク端Wa,Wbと干渉しない(重複しない)ようにワーク端Wa,Wbに沿ってワークWを仮想的に配置していく(ステップS18)。ここで、ステップS18における配置方法について説明する。制御装置100は、ステップS10で取得したワーク情報に基づいてワークWの形状や、縦横寸法、縦横方向を特定する。そして、制御装置100は、ワークWを配置する際、ワークWの角が、ステップS14で特定された各交点K1~K64のいずれかに対応するものとして、それらを目安として、ワークWを仮想的に配置していく。
【0051】
例えば、制御装置100は、ステップS16において特定した交点K1~K64のうち、外側のライン同士が交わる4つの交点K1,K8,K57,K64を積荷Crgの角に相当する点と判定する。外側のラインとは、積荷Crgの外縁に相当するもので、例えば、Y軸方向に平行なX軸ラインLxであれば、X軸方向の値が最大値(左側)となるもの、及びX軸方向の値が最小値(右側)となるものである。同様に、X軸方向に平行なY軸ラインLyであれば、Y軸方向の値が最大値(上側)となるもの、及びY軸方向の値が最小値(下側)となるものである。
【0052】
そして、制御装置100は、そのうちいずれかの交点(本実施形態では起点P0に近い交点K1)を、積荷Crgの角部分に配置されるワークW1の角に対応するものとして、ワークW1を仮想的に配置する。すなわち、最初に、制御装置100は、積荷Crgの角のうち、いずれかの角にワークW1を配置する(
図12参照)。その際、ワーク情報に基づいてワークW1の上面の縦横寸法(短手方向及び長手方向の各寸法)を設定し、検出されているワーク端Wa,Wbに重複しないようにワーク端Wa,Wbに沿って配置する。加えて、ワーク情報に基づいてワークW1の上面の縦横方向(短手方向及び長手方向)を設定して配置する。また、ワークW1の配置領域外E10,E11にワークWを配置しないように考慮する。その際、交点K1~K64のいずれかが、ワークW1の角部の近傍(つまり、所定の誤差範囲内)に位置するように配置することが望ましい。また、いずれかのX軸ラインLx,Y軸ラインLyに沿って、ワークW1を配置することが望ましい。
【0053】
次に、制御装置100は、積荷Crgの角に配置されたワークW1を基準として、その角(交点K1)を通るX軸ラインLx1に沿って、ワークW2,W3,W4を順番に1列目のワークWとして配置する。その際、ワーク情報に基づいて、前述同様、配置する各ワークWの縦横寸法や縦横方向を決定する。また、前述同様、各ワークWを配置する際、検出されているワーク端Wa,Wbに重複しないようにワークWa,Wbに沿って配置する。その際、交点K1~K64のいずれかが、各ワークWの角部の近傍に位置するように配置することが望ましい。加えて、すでに配置されているワークWに干渉しないように、かつワークWの配置領域外E10,E11にワークWを配置しないように考慮する。また、X軸ラインLx,Y軸ラインLyのうちいずれかのラインに、各ワークWの外縁が沿うように配置することが望ましい。なお、
図12において、配置順序が符号の番号により示されている。
【0054】
X軸ラインLx1に近い外側1列目のワークW1~W4が配置された後、Y軸方向に1列ずらして同様にしてワークWを順次配置していく。つまり、積荷Crgの角に配置されたワークW1を基準として、その角を通るY軸ラインLy1に沿って、ワーク端Wa,Wbと干渉しないように、2列目最初のワークW5を配置する。その後、ワーク端Wa,Wbと干渉しないように、かつ、1列目に配置したワークW2,W3,W4を基準にしてそれらに隣接するように、2列目のワークW6,W7,W8を順次配置する。配置する際に考慮すべき事項は、ワークW1~W4と同様である。以降、同様の処理を、3列目、4列目のワークWを配置し終わるまで、つまり、すべてのワークWを配置し終わるまで繰り返し実行する。
【0055】
なお、ステップS18において、検出されているワーク端Wa,Wbや、すでに配置されているワークWに干渉してしまう場合、あるいは、ワークWの配置領域外E10,E11に一部がはみ出してしまう場合、エラーとして次の処理に移行する。同様に、ワーク端Wa,Wbが適切に検出されていないなど、配置する際の基準がなく、ワークWを適切に配置できない場合もエラーとして次の処理に移行する。本実施形態において、ステップS14~S18が配置ステップに相当する。
【0056】
次に、制御装置100は、ステップS18において、ワークWをすべて配置できたか否かを判定する(ステップS19)。すなわち、ステップS18においてエラーなく配置できた場合には、肯定判定し、エラーが発生した場合には、否定判定する。
【0057】
ステップS19の判定結果が肯定の場合、制御装置100は、ステップS18における配置に基づいて、ワークWの中心位置座標等、各ワークWの位置座標を特定する(ステップS20)。ステップS20が演算ステップに相当する。そして、制御装置100は、各ワークWの位置座標に基づいて、チャック20を移動させ、ワークWを把持させ、排出場所に搬送することにより、デパレタイズを実施する(ステップS21)。その際、載置されているワークWのうち、外側から順番に、より望ましくは、角から順番にピックアップすることが望ましい。
【0058】
一方、ステップS19の判定結果が否定の場合、制御装置100は、ステップS19において否定判定された回数が所定回数以上であるか否かを判定する(ステップS22)。所定回数は、任意の数でよく、例えば、10回である。この判定結果が肯定の場合、制御装置100は、ワークWの位置検出を正常に行えないとして、エラー通知を行い(ステップS23)、処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS22の判定結果が否定の場合、制御装置100は、ステップS13における閾値Thを所定値だけ小さくするように更新し(ステップS24)、ステップS13に移行する。すなわち、前回よりも距離の変化が小さいものであっても、ワーク端Wa,Wbとして判定されるようにして、再びステップS13以降の処理を実施する。なお、どれだけ閾値Thを小さくするか(つまり所定値)は、予め記憶されている。
【0060】
上記第1実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0061】
制御装置100は、パレットPに載置されたワークWの上方において、チャック20を水平移動させることにより、レーザセンサ80を水平移動させる。そして、この移動中、制御装置100は、レーザセンサ80から対象物までの距離を逐次測定し、測定結果に基づいてワーク端Wa,Wbを検出する。ワーク端Wa,Wbの検出後、制御装置100は、検出結果に基づいてチャック20を移動させてワークWを把持させ、デパレタイズを実施する。これにより、レーザセンサ80という比較的簡易な構成を用いながら、ワークWの位置を特定することができる。また、レーザセンサ80からワークWまでの距離に基づいて、ワーク端Wa,Wbを判定するため、画像処理に比較して負荷を少なくすることができる。
【0062】
制御装置100は、レーザセンサ80の移動軌跡が平面視で格子状になるように、レーザセンサ80を第1方向(X軸方向)及び第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に水平移動させて距離を測定する。これにより、積荷Crgの上方を万遍なく移動させる場合に比較して、レーザセンサ80の移動距離が少なくても、積荷Crgの外縁やワークW間の隙間をおおよそ検出し、ワーク端Wa,Wbを検出することができる。これにより、処理負担を少なくすることができる。また、測定時間を短縮することができる。
【0063】
レーザセンサ80は、チャック20に取り付けられている。制御装置100は、搬送機構30を制御することによりパレットP上に積載されたワークWの上方においてチャック20を水平移動させる。それによって、レーザセンサ80を水平移動させる。これにより、レーザセンサ80を移動させるための特別な機構を設けなくても、チャック20にレーザセンサ80を取り付けることにより、チャック20の搬送機構30を流用することができる。
【0064】
レーザセンサ80は、受光部82へのレーザ光が遮られると距離を測定できなくなる。このため、レーザセンサ80を水平移動させて、Z軸方向における距離を測定する際、
図13(a)に示すように、発光部81及び受光部82の配置方向とレーザセンサ80の進行方向とを一致させると、
図13(b)に示すように、ワークW間の隙間を測定する場合など、ワークWに遮られて距離を正確に測定することができなくなる可能性が高い。そこで、制御装置100は、レーザセンサ80によって距離を測定する際、
図6に示すように、発光部81及び受光部82の配置方向に対して直交する方向にレーザセンサ80を移動させた。これにより、ワークWによってレーザ光が遮られることを防止して、正確に測定することができる。
【0065】
制御装置100は、距離を測定する際において、レーザセンサ80の進行方向を変更する場合、レーザセンサ80の進行方向に対してレーザセンサ80の配置方向が直交するように、レーザセンサ80を旋回させている。これにより、進行方向を変更する場合であっても、ワークWによってレーザ光が遮られることを防止することができる。また、チャック20の回転機構23を流用して、レーザセンサ80を旋回させている。このため、レーザセンサ80専用の旋回部を設ける必要がない。
【0066】
制御装置100は、ステップS15で検出されたワーク端Wa,Wbに基づいて、XY座標上で、各ワークWを仮想的に配置して、位置決めを行う。そして、これにより、ワーク端Wa,Wbの情報量(検出数)が少なくても、位置決めされたワークWに基づいて、デパレタイズを実施することができる。したがって、ワーク端Wa,Wbの検出数が少なくてもよくなり、ステップS11において、レーザセンサ80の移動距離を短くすることができる。
【0067】
制御装置100は、ワークWの縦横寸法及びワークWの配置方法等に係るワーク情報を取得し、ワーク情報に基づいて、ワークWの縦横寸法や、配置数、配置パターン等を推定し、ワーク端Wa,Wbと干渉しないように、各ワークWを仮想的に配置して、位置決めを行う。これにより、ワーク端Wa,Wbの情報量が少なくても、ワーク情報によって、足らない情報を補完して、ワークWの位置を適切に特定することができる。したがって、ワーク端Wa,Wbの検出数が少なくてもよくなり、ステップS11において、レーザセンサ80の移動距離を短くすることができる。
【0068】
ステップS13において、ワーク端Wa,Wbを検出する際の閾値Thを小さくしすぎると、ワークWの表面のノイズを拾って、ワーク端Wa,Wbを誤検出する可能性がある。その一方で、閾値Thを大きくしすぎると、ワークW同士が密接し、隙間がわずかである場合には、当該隙間を検出しにくくなり、ワーク端Wa,Wbが検出しにくくなる。そこで、上記実施形態では、ワークWを適切に配置できなかった場合(ステップS19の判定結果が否定の場合)、制御装置100は、閾値Thを徐々に小さくすることとした(ステップS24参照)。これにより、ノイズを抑制しつつ、ワークW間の隙間がわずかである場合であっても、ワーク端Wa,Wbを検出することができ、その結果、ワークWの位置決めを適切に行うことができる。
【0069】
制御装置100は、ステップS15において、レーザセンサ80の進行方向がY方向であるときに検出された複数のワーク端Waから、X軸方向に並ぶワーク端Waを特定し、それらからY軸ラインLyを特定する。同様に、制御装置100は、ステップS15において、レーザセンサ80の進行方向がX方向であるときに検出された複数のワーク端Wbから、Y軸方向に並ぶワーク端Wbを特定し、それらからX軸ラインLxを特定する。ステップS16において、制御装置100は、こうして特定したX軸ラインLxとY軸ラインLyとから交点K1~K64を特定する。そして、ステップS18において、制御装置100は、当該交点K1~K64のうちいずれかを目安として、各ワークの角部を対応させ、ワークWを仮想的に配置して、ワークWの位置決めを行う。
【0070】
すなわち、測定ミスなどにより、ワーク端Wa,Wbの検出数が少ない場合であっても、検出されたワーク端Wa,Wbの並びの規則性から、積荷Crgの外縁に対応する外縁ラインやワークW間の隙間に対応する隙間ラインに相当するX軸ラインLxやY軸ラインLyを推定可能である。そして、これらのラインの交点K1~K64は、ワークWの角部に対応する可能性が高い。そして、ワークWの角部を特定できた場合、ワークWを配置することは比較的容易である。そこで、ステップS18では、検出されたワーク端Wa,Wbの並びに基づいて、X軸ラインLxやY軸ラインLyを特定し、それらの各ラインの交点K1~K64を特定し、当該交点K1~K64のいずれかが各ワークWの角部に対応すると推定して、ワークWを配置している。これにより、ワーク端Wa,Wbの検出数が少なくても、足らない情報を補完して、ワークWの配置を推定することができる。したがって、ワーク端Wa,Wbの検出数が少なくてもよくなり、ステップS11において、レーザセンサ80の移動距離を短くすることができる。
【0071】
レーザセンサ80による距離測定中、時刻ごとのチャック20の位置座標を記憶するとともに、時刻ごとのレーザセンサ80の測定結果を記憶し、後程、時刻に基づいて位置座標と測定結果を対応付けるようにしている。これにより、チャック20にレーザセンサ80を外付けすることができ、簡素な構成でワークWの位置を検出することができる。
【0072】
制御装置100は、検出されたワーク端Wa,Wbのうち最も外側に位置するワーク端Wa,Wbが最も信頼度が高いものとして、最も外側に位置するワーク端Wa,Wbを最初の基準として採用し、そこからワークを順次配置していく。つまり、積荷Crgのうち最も外側に位置するワーク端Wa,Wbは、通常、最も検出しやすく、誤検出している可能性が低い。このため、最も外側に位置するワーク端Wa,Wbを最初の基準としてワークWを配置して、そこから順次配置していくこととした。これにより、正確にワークWを配置することができる可能性を高くすることができる。
【0073】
制御装置100は、積荷Crgの外縁に対応するワーク端Wa5,Wa6,Wa16,Wa17,Wa26,Wa1,Wa10,Wa11,Wa21,Wa22,Wb5,Wb6,Wb16,Wb17,Wb26,Wb1,Wb10,Wb11,Wb21,Wb22に基づいて、ワークWの配置領域外E10として設定した。そして、ステップS18において、当該ワークWの配置領域外E10にワークWを配置しないようにした。これにより、ワークWの位置決め精度を向上させることができる。
【0074】
(変形例)
以下、上記各実施形態の構成の一部を変更した変形例について記載する。
【0075】
・上記実施形態において、ワークWの配置に対称性があるとワーク情報に基づいて判定できた場合において、あるワークWを配置できたとき、当該ワークWの対称位置に、ワークWを対称となるように配置してもよい。
【0076】
例えば、
図3に示すピンホール積みの場合、Z軸方向から見たとき、点対称に配置されている。この場合、
図12に示すように、積荷Crgの角部にワークW1を配置できた場合、ワークW1の対称となる位置に、ワークW16をワークW1と対称となるように配置してもよい。これにより、ワーク端Wa,Wbの検出量が少なくても、配置パターンの対称性に基づいて、足らない情報を補完して、ワークWの位置を特定することができる。
【0077】
・上記実施形態において、支持片41に第2吸着パッド44を設けなくてもよい。つまり、ワークWの上面を吸着する第1吸着パッド26だけでもよい。その際、支持片41を設けなくてもよい。
【0078】
・上記実施形態において、レーザセンサ80の進行方向を変更する際に、チャック20を旋回させなくてもよい。
【0079】
・上記実施形態において、支持片41の内側側面41aに、第2吸着パッド44の代わりに内側側面41aから突出する凸部を設けてもよい。また、ゴムや、バネ、スポンジ等のクッション材を設けてもよい。
【0080】
・上記実施形態において、支持片41は、平板状に構成する必要はなく、例えば、爪状に形成し、側面を複数の爪によって支持するようにしてもよい。
・上記実施形態において、吸着パッド26,44の構成は任意に変更してもよい。例えば、ワークWの接触部分にスポンジ材を利用した吸着パッド26,44を採用してもよい。
【0081】
・上記実施形態のステップS13において、測定距離が所定の閾値Th以上大きく変化したタイミングにおける位置座標を、ワーク端Wa,Wbとして検出した。この別例として、ワークWの上面までの距離Z1を特定し、測定距離が、当該距離Z1から所定の閾値Th以上大きくなったタイミングにおける位置座標、若しくは、測定距離が、距離Z1よりも所定の閾値Th以上離れた距離から距離Z1に達したタイミングにおける位置座標を、ワーク端Wa,Wbとしてもよい。測定距離が、距離Z1から所定の閾値Th以上大きくなったタイミングとは、例えば、
図7において、ワーク端Wa5,Wa10,Wa12等を検出するタイミングのことを指す。また、測定距離が、距離Z1よりも所定の閾値Th以上離れた距離から距離Z1に達したタイミングとは、例えば、
図7において、ワーク端Wa1,Wa6,Wa13等を検出するタイミングのことを指す。
【0082】
・上記実施形態のステップS11において、レーザセンサ80を格子状に移動させたが、ワーク端Wa,Wbを検出できるのであれば、移動態様を任意に変更してもよい。例えば、X軸方向又はY軸方向に対して、斜め方向に移動させてもよい。
【0083】
・上記実施形態のステップS18において、仮想的にワークWを配置する際の配置順序は、任意に変更してもよい。ただし、積荷Crgの外縁から順番にワークWを配置すると、比較的正確に配置することができることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0084】
10…デパレタイズ装置、20…チャック、23…回転機構、30…搬送機構、80…レーザセンサ、81…発光部、82…受光部、100…制御装置、Crg…積荷、P…パレット、W…ワーク、Wa,Wb…ワーク端。