(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006448
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】安全作業台および作業台設置方法
(51)【国際特許分類】
E04G 1/15 20060101AFI20230111BHJP
B62D 33/023 20060101ALI20230111BHJP
E06C 5/24 20060101ALI20230111BHJP
E04G 3/20 20060101ALI20230111BHJP
E04G 3/24 20060101ALI20230111BHJP
E04G 5/02 20060101ALI20230111BHJP
E04G 5/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
E04G1/15
B62D33/023 Q
E06C5/24
E04G3/20 A
E04G3/24 302Z
E04G5/02 Z
E04G5/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109048
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 裕希
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA11
2E044BB09
2E044BC11
2E044CA07
2E044CB03
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成で安全に作業を行えるようにすること。
【解決手段】 実施形態の安全作業台は、トラックのアオリに引っ掛けることが可能なアオリ引っ掛け部を有する作業台であって当該作業台を前記アオリの側面から支持する作業台支持具および当該作業台を地面から支持する作業台支持脚をそれぞれ折り畳んだ状態で当該作業台の裏側に収納することが可能な作業台と、前記作業台と地面とを繋ぐ梯子と、前記作業台の周縁を囲うように取り付けられる柵とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックのアオリに引っ掛けることが可能なアオリ引っ掛け部を有する作業台であって当該作業台を前記アオリの側面から支持する作業台支持具および当該作業台を地面から支持する作業台支持脚をそれぞれ折り畳んだ状態で当該作業台の裏側に収納することが可能な作業台と、
前記作業台と地面とを繋ぐ梯子と、
前記作業台の周縁を囲うように取り付けられる柵と
を具備する、安全作業台。
【請求項2】
前記アオリ引っ掛け部は、
前記アオリの上面に回転面が当接する第1のローラを有するアオリ上面ローラ機構を備え、前記第1のローラが回転することで前記アオリ引っ掛け部が前記作業台と共に前記アオリの長手方向の任意に位置に移動できるように構成されている、
請求項1に記載の安全作業台。
【請求項3】
前記アオリ引っ掛け部は、
前記アオリの内側側面に回転面が当接する第2のローラを有するアオリ内側側面ローラ機構をさらに備え、
前記第1のローラおよび前記第2のローラが回転することで前記アオリ引っ掛け部が前記作業台と共に前記アオリの長手方向の任意に位置に移動できるように構成されている、
請求項2に記載の安全作業台。
【請求項4】
前記作業台支持具は、
一端が下方に引き出し可能で他端が前記作業台支持具に固定される複数のアームと、
前記複数のアームのそれぞれの一端が下方へ引き出される範囲を制限する複数のアームストッパと、
前記複数のアームのそれぞれの一端が複数のアーム固定具によりそれぞれ固定され、かつ、前記アオリの外側側面に回転面が当接するローラを有する複数のアオリ外側側面ローラ機構が取り付けられた、ローラ固定棒と
を含む、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項5】
前記作業台支持脚は、
当該作業台支持脚の伸縮を可能とする機構を有し、当該作業台支持脚の長さを任意の長さに設定した状態で前記作業台を支持することができるように構成されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項6】
前記梯子は、
当該梯子の伸縮を可能とする機構を有し、当該梯子の長さを任意の長さに設定できるように構成されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項7】
前記作業台は、
前記梯子の一部がはめ込まれる梯子はめ込み部を備え、
前記梯子はめ込み部は、前記梯子の一部がはめ込まれたときに当該梯子の一部が抜けないように当該梯子の一部を前記作業台に固定させる機構を有する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項8】
前記作業台は、
前記柵の一部がはめ込まれる柵はめ込み部を備え、
前記柵はめ込み部は、前記柵の一部がはめ込まれたときに当該柵の一部が抜けないように当該柵の一部を前記作業台に固定させる機構を有する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項9】
前記柵を構成する複数の部材を結合して固定させる柵固定具をさらに具備する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項10】
前記柵を構成する複数の部材のうち離間する2つの部材の間に着脱可能に繋がれるチェーンをさらに具備する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の安全作業台。
【請求項11】
トラックのアオリに引っ掛けることが可能なアオリ引っ掛け部を有する作業台であって当該作業台を前記アオリの側面から支持する作業台支持具および当該作業台を地面から支持する作業台支持脚をそれぞれ折り畳んだ状態で当該作業台の裏側に収納した作業台を、前記トラックの所定の載置場所から取り出すことと、
前記アオリに前記アオリ引っ掛け部を引っ掛けることにより前記作業台を前記アオリに取り付けることと、
前記作業台支持具が前記作業台を前記アオリの側面から支持するように前記作業台支持具を展開することと、
前記作業台支持脚が前記作業台を地面から支持するように前記作業台支持脚を展開することと、
前記作業台と地面とを繋ぐ梯子を取り付けることと、
前記作業台の周縁を囲う柵を取り付けることと
を含む、作業台設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、安全作業台および作業台設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上貨物運送業においては、荷役作業に関連する各種の事故のうち、墜落・転落が最も多い(厚生労働省による「労働災害原因要素の分析」(平成27年 陸上貨物運送業、港湾荷役業、林業)の第4表(陸上貨物運送事業における死傷者数の分析)より)。
【0003】
事故が起こりうる作業環境の例として、トラックの荷台いっぱいに大量に積まれた積荷の荷降ろしを行ったり、防雨シートを取り外したりする場合に、作業者がトラックのアオリに乗って作業を行うことがあり得る。また、クレーンを用いて重量物の荷降ろしを行う場合に、トラックの荷台に脚立を設置し、玉掛け実施後に脚立をトラックから降ろし、荷の積み降ろしを行うようなこともある。
【0004】
このような作業は、安全面に欠けるばかりか、作業効率が悪い。荷台で脚立を使用する場合は、脚立設置用の場所を避けて荷積みを行う必要があるため、荷積みのために荷台を全面使用することができず、トラックが1台で済むはずが更にもう1台必要となることがある。
【0005】
作業効率を向上させる技術の例としては、例えばトラックのアオリに締付固定される機構を備え、荷役作業を容易にする階段もしくはステップを備えたもの等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、階段やステップを設けるなどして荷役作業を行い易いものとすることができるものの、荷役作業を安全に行える十分な作業スペースを確保することは考慮されておらず、例えば作業者が高所で重量物の玉掛け等の作業を行うような場合に、墜落・転落を確実に防げるとは言い難い。また、従来の技術では、十分な作業スペースを確保しようとすると、装置全体が大掛かりなものとなり、持ち運びや組立て・設置が容易ではなくなる。
【0008】
発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で安全に作業を行える安全作業台および作業台設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の安全作業台は、トラックのアオリに引っ掛けることが可能なアオリ引っ掛け部を有する作業台であって当該作業台を前記アオリの側面から支持する作業台支持具および当該作業台を地面から支持する作業台支持脚をそれぞれ折り畳んだ状態で当該作業台の裏側に収納することが可能な作業台と、前記作業台と地面とを繋ぐ梯子と、前記作業台の周縁を囲うように取り付けられる柵とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る安全作業台の構成の一例を示す図。
【
図2A】
図1に示される安全作業台が取り付けられるアオリを備えたトラックの一例を示す図。
【
図2B】
図1に示される安全作業台が
図2Aに示されるトラックのアオリ21に取り付けられた状態の一例を示す図。
【
図2C】
図1に示される安全作業台が
図2Aに示されるトラックのアオリ21に取り付けられた状態において当該安全作業台が備えている複数のローラ機構のローラの回転面がアオリ21の上面、内側面、外側面に接する様子を拡大して示す図。
【
図4A】作業台支持具8および作業台支持脚9が折り畳まれた作業台4の構造の例を示す図。
【
図4B】作業台支持具8および作業台支持脚9が折り畳まれた作業台4を裏返した状態の構造の例を示す図。
【
図5】
図1に示される安全作業台を設置する手順の一例を示す概念図。
【
図6】安全作業台を設置する手順の一例を示すフローチャート。
【
図7】安全作業台を解体する手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0012】
<構成>
図1は、実施形態に係る安全作業台の構成の一例を示す図である。また、
図2Aは、
図1に示される安全作業台が取り付けられるアオリを備えたトラックの一例を示す図である。また、
図2Bは、
図1に示される安全作業台が
図2Aに示されるトラックのアオリ21に取り付けられた状態の一例を示す図である。また、
図2Cは、
図1に示される安全作業台が
図2Aに示されるトラックのアオリ21に取り付けられた状態において当該安全作業台が備えている複数のローラ機構のローラの回転面がアオリ21の上面、内側面、外側面に接する様子を拡大して示す図である。
【0013】
図1及び2Bに示される安全作業台は、墜落・転落防止柵1(以降、「柵1」)、柵固定具2、チェーン3、作業台4、複数のアオリ上面ローラ機構5(
図1の例では6つのアオリ上面ローラ機構5)、複数のアオリ内側側面ローラ機構6(
図1の例では6つのアオリ内側側面ローラ機構)、アオリ引っ掛け部7、作業台支持具8、複数の作業台支持脚9(
図1の例では2つの作業台支持脚9)、梯子10などを含む。これらの部材のうち、アオリ引っ掛け部7は、作業台4の一部として構成され、
図2Aに示されるトラック20のアオリ21に引っ掛けられる形で取り付けられる。なお、各部材の材料には、例えば持ち運びが容易となるようにアルミニウム等の軽量の金属が使用される。
【0014】
柵1は、作業台4からの作業者の墜落・転落を防止するために作業台4の周縁を囲うように取り付けられるものであり、複数の支柱などの部材を組み合わせて構成される。
【0015】
柵1を作業台4に設置する際には、柵1を構成する個々の支柱の底部が柵はめ込み部1aにはめ込まれる。柵はめ込み部1aの構造の一例を
図3に示す。
図3の例では、作業台4の周縁を囲う縁部4aが設けられ、その縁部4aに接するように柵はめ込み部1aが配置されている。この柵はめ込み部1aに、柵1の支柱の底部がはめ込まれ、柵はめ込み部1a、柵1の支柱の底部、および縁部4aにそれぞれ予め開口された孔にロックピン1bが通されて固定される。但し、
図3に示されるものは一例であって、柵はめ込み部1aの構造はこの例に限定されるものではない。また、縁部4aは、ロックピン1bの固定を安定させるために寄与するが、必ずしも必要とされるものではなく、無くても問題はない。
【0016】
柵固定具2は、柵1を構成する複数の部材を結合して固定させるものであり、メタルジョイント等により実現される。当該柵固定具2の使用により、柵1が固定されてぐらつきが抑えられ、安全性が高められる。
【0017】
チェーン3は、柵1を構成する複数の部材のうち離間する2つの部材の間(梯子10から作業台4への入り口近傍)に着脱可能に繋がれるものである。
【0018】
作業台4は、
図2Aに示されるトラック20のアオリ21に引っ掛けることが可能なアオリ引っ掛け部7を有するものであり、当該作業台4をアオリ21の側面から支持するための作業台支持具8および当該作業台4を地上から支持するための2つの作業台支持脚9を備えている。
【0019】
この作業台4は、アオリ引っ掛け部7をアオリ21に引っ掛けるだけで、アオリ21への取り付けを済ませることができる。作業台4に作業者が乗ったときには、その荷重が作業台支持具8および2つの作業台支持脚9に分散されるようになっており、これらによって作業台4が支持される。なお、アオリ引っ掛け部7、作業台支持具8、および作業台支持脚9は、予め作業台4に備えられたものであり、基本的には使用時も不使用時も作業台4からは取り外されないものである。
【0020】
この作業台4は、
図1に示す状態から、作業台支持具8および作業台支持脚9をそれぞれ折り畳んで当該作業台4の裏側に収納したり、これらを当該作業台4の裏側から引き出して
図1に示す状態となるように展開したりすることができる。作業台支持具8および作業台支持脚9が折り畳まれた状態の作業台4の構造の例を
図4Aに示す。また、当該作業台4を裏返した状態の構造の例を
図4Bに示す。
【0021】
作業台4は、
図4Aに示されるように、複数の柵はめ込み部1aおよび梯子はめ込み部10bを有する。柵はめ込み部1aは、柵1の支柱の底部がはめ込まれたときに当該支柱の底部が抜けないように当該支柱の底部を作業台4に固定させる機構(例えば錠をかけるロック機構)を有する。また、梯子はめ込み部10bは、梯子10の一部である梯子引っ掛け部10aがはめ込まれたときに当該梯子引っ掛け部10aが抜けないように当該梯子引っ掛け部10aを作業台4に固定させる機構(例えば錠をかけるロック機構)を有する。これらの機構には、
図3に示した構造を採用してもよいし、それ以外の構造を採用してもよい。
【0022】
また、作業台4は、
図4Bに示されるように、作業台支持具8を構成する複数のアーム8a、アームストッパ8b(
図4B中では不図示)、アーム固定具8c、アオリ外側側面ローラ機構8d、およびローラ固定棒8eを折り畳んで収納することができるように構成されている。なお、アーム8a、アームストッパ8b、アーム固定具8c、アオリ外側側面ローラ機構8d、およびローラ固定棒8eの詳細については、後で説明する。さらに作業台4は、作業台支持脚9を折り畳んで収納することもできるように構成されている。また、この作業台4には、作業台支持脚9を開くときの開度を制限する支持脚固定具11も設けられている。
【0023】
図4A及び
図4Bのように作業台支持具8および作業台支持脚9が折り畳まれた作業台4は、平らでコンパクトな構造を有し、軽量化も図られているため、1~2人で簡単に持ち運びができ、保管においても小さな収納スペースがあれば足りる。当該作業台4は、例えば、
図2Aに示されるトラック20の荷台前方の載置場所Aや荷台下部の載置場所Bに載置することができ、他の荷物と一緒に混在してもスペースをさほど取らずに済む。
【0024】
載置場所Aに作業台4を載置した場合、作業台4を取り出す際には、トラック20の両脇にあるアオリ21のいずれかを外すことにより、比較的容易に作業台4を取り出すことができる。なお、
図2Aでは、トラック20の両脇にある2つのアオリ21のうち、片方のアオリ21の図示が省略されている。載置場所Bに作業台4を載置した場合は、アオリ21を外すことなく、作業台4を取り出すことができる。いずれの場合も、作業台4を車内に置かずに済む。
【0025】
なお、
図4A及び
図4Bのように作業台支持具8および作業台支持脚9が折り畳まれた作業台4は、上述した柵1、柵固定具2、チェーン3、および梯子10と共に、1つのケースに入れ、当該ケースを載置場所Aもしくは載置場所Bに載置するようにしてもよい。あるいは、柵1、柵固定具2、チェーン3、および梯子10については、別のケースに入れて載置場所Aもしくは載置場所B、あるいは別の場所に載置するようにしてもよい。
【0026】
図2Bに示されるように組み立てられて柵1やチェーン3が設置された作業台4は、作業を行うのに十分な広さの作業スペースが確保されており、高さも十分あるため、荷役に関わる各種の作業を行いやすく、高所での玉掛けなどの作業も安全に行うことができる。また、作業台4の周囲には柵1やチェーン3が設けられるため、作業者は柵1やチェーン3に体の一部が当たることにより危険を察知しやすく、墜落や転落を防止することができる。また、作業台4の周囲には柵1があるため、墜落制止用器具を用いて作業を行うにあたっては、作業者が装着する安全帯に繋がれたロープの先のフックを柵1に掛けることができ、より確実に墜落や転落を防止することができる。
【0027】
アオリ上面ローラ機構5は、
図2Cに示されるように、アオリ引っ掛け部7の内側上面に予め取り付けられたものであり、アオリ21の上面に回転面が当接するローラ5a、このローラ5aの回転軸を支持するローラ支持具5b、及びこのローラ支持具5bをアオリ引っ掛け部7の内側上面に固定するローラ固定具5cを含み、ローラ5aがアオリ21の上面で回転することでアオリ引っ掛け部7および作業台4のアオリ21の長手方向への移動や位置調整を可能にする。
【0028】
アオリ内側側面ローラ機構6は、
図2Cに示されるように、アオリ引っ掛け部7の内側側面に予め取り付けられたものであり、アオリ21の内側側面に回転面が当接するローラ6a、このローラ6aの回転軸を支持するローラ支持具6b、及びこのローラ支持具6bをアオリ引っ掛け部7の内側側面に固定するローラ固定具6cを含み、ローラ6aが回転することでアオリ引っ掛け部7および作業台4のアオリ21長手方向への移動や位置調整を可能にする。
【0029】
アオリ引っ掛け部7は、内側上面に、アオリ上面ローラ機構5を備えると共に、内側側面に、アオリ内側側面ローラ機構6を備え、これら2種類のローラ機構の各ローラが回転することで、作業台4と共にアオリ21の長手方向の任意に位置に移動できるよう構成されている。
【0030】
作業台支持具8は、作業台4をアオリ21の側面から支持して作業台4を水平にするものであり、折り畳まれることで作業台4の裏側に収納することができるものである。
【0031】
この作業台支持具8は、一端が下方に引き出し可能で他端が作業台支持具8に固定される複数のアーム8a(
図2Bの例では3つのアーム8a)と、複数のアーム8aのそれぞれの一端が下方へ引き出される範囲(アーム8aの開度)を制限する複数のアームストッパ8b(
図2Bの例では3つのアームストッパ8b)と、複数のアーム8aのそれぞれの一端が複数のアーム固定具8c(
図2Bの例では3つのアーム固定具8c)によりそれぞれ固定され、かつ、アオリ21の外側側面に回転面が当接するローラを有する複数のアオリ外側側面ローラ機構8d(
図2Bの例では6つのアオリ外側側面ローラ機構8d)が取り付けられた、1つのローラ固定棒8eと、を含む。アオリ外側側面ローラ機構8dは、上述したアオリ上面ローラ機構5やアオリ内側側面ローラ機構6と同様の構造を有する。すなわち、アオリ外側側面ローラ機構8dは、
図2Cに示されるように、ローラ固定棒8eの側面に予め取り付けられたものであり、アオリ21の外側側面に回転面が当接するローラ8f、このローラ8fの回転軸を支持するローラ支持具8g、及びこのローラ支持具8gをローラ固定棒8eの側面に固定するローラ固定具8hを含む。
【0032】
このように構成された作業台支持具8は、作業台4の裏側に畳まれて収納されている状態において、ローラ固定棒8eを引き下げるだけで、複数のアオリ外側側面ローラ機構8dの各ローラ8fを
図2B及び2Cに示されるようにアオリ21の側面に当接させることができ、短時間で作業台支持具8を展開させることができるようになっている。なお、個々のアーム8aには、当該アーム8aの伸縮を可能にする機構(例えばテレスコピック構造の機構)が備えられていてもよく、当該アーム8aの長さを任意の長さに設定した状態で作業台4を支持する構造となっていてもよい。
【0033】
2つの作業台支持脚9は、作業台4を地面から支持し、作業者が乗ったときの作業台4からの荷重に耐え得るものであり、折り畳まれることで作業台4の裏側に収納することができるものである。
【0034】
この作業台支持脚9は、当該作業台支持脚9の伸縮を可能とする機構(例えばテレスコピック構造の機構)を有し、当該作業台支持脚9の長さを任意の長さに設定した状態で作業台支持具8を支持することができるように構成されている。そのため、トラック20の種類によってアオリ21の地面からの高さが変わっても、作業台支持脚9の長さが適切な長さとなるよう調整することができ、地面から作業台4を確実に支持することができる。
【0035】
また、2つの作業台支持脚9が作業台4を支持するので、仮に作業台支持具8が不具合により作業台4を支持しなくなっても、2つの作業台支持脚9により作業台4を支持した状態を維持することができ、作業台4の上で作業者が玉掛けなどの作業中であっても、作業者は転倒したりすることなく安全に作業を続けることができる。
【0036】
梯子10は、地面と作業台4とを繋ぐものであり、作業者が地上と作業台4との間を行き来することを可能にする。
【0037】
この梯子10は、当該梯子10の伸縮を可能とする機構(例えばテレスコピック構造の機構)を有し、当該梯子10の長さを任意の長さに設定できるように構成されている。そのため、トラック20の種類によってアオリ21の地面からの高さが変わっても、梯子10の長さが適切な長さとなるよう調整することができる。
【0038】
また、梯子10は、当該梯子10を作業台4に固定させるための梯子引っ掛け部10aを有する。この梯子引っ掛け部10aは、作業台4の梯子はめ込み部10bにはめ込まれることで、梯子10を作業台4に固定させる。そのため、梯子10は作業台4から外れることがなく、作業者は安全に梯子10を上り下りすることができる。
【0039】
上述したアオリ21の上面および両側の側面には、アオリ上面ローラ機構5、アオリ内側側面ローラ機構6、およびアオリ外側側面ローラ機構8dにそれぞれ備えられたローラが当接する。そのため、作業者が作業台4に載る前に、作業台4の位置(アオリ21の長手方向の位置)を自由に調整することができる。
【0040】
また、作業台4に作業者が乗った状態では、その荷重により、アオリ上面ローラ機構5、アオリ内側側面ローラ機構6、およびアオリ外側側面ローラ機構8dにそれぞれ備えられるローラとアオリ21との接触面に摩擦抵抗が生じると共に、作業台支持脚9と地面との接触面に摩擦抵抗が生じるため、アオリ21の長手方向へのアオリ引っ掛け部7および作業台4の横移動は阻止される。
【0041】
但し、より一層の安全を図るために、アオリ上面ローラ機構5、アオリ内側側面ローラ機構6、およびアオリ外側側面ローラ機構8dは、個々のローラの回転の動きを阻止(ロック)したりその解除を行ったりするためのローラ止め(ストッパ)をさらに備えていてもよい。ローラ止めを使用することにより、例えば地面が傾斜している状況においても、アオリ引っ掛け部7および作業台4の横すべりが阻止されるため、作業者は安心して作業を行うことができる。
【0042】
<安全作業台を設置する手順>
次に、
図2A及び5を参照しつつ
図6を参照して、安全作業台を設置する手順について説明する。
【0043】
図5は、
図1に示される安全作業台を設置する手順の一例を示す概念図であり、
図6は、安全作業台を設置する手順の一例を示すフローチャートである。
【0044】
最初に、
図2A中のT1に示されるように、トラック20の荷台の所定の位置に載置されているケース等が取り出され、その中から作業台4や、柵1、柵固定具2、チェーン3、および梯子10が取り出される(
図6中のステップS11)。
【0045】
次に、
図5中のT2に示されるように、作業台4がアオリ引っ掛け部7を介してアオリ21に取り付けられる(
図6中のステップS12)。
【0046】
この場合、作業台4に備えられるアオリ引っ掛け部7を、
図2B及び2Cに示されるように、アオリ21に引っ掛けるだけで、簡単に作業台4をアオリ21に取り付けることができる。
【0047】
次に、
図5中のT3に示されるように、作業台4の裏側に折り畳まれている作業台支持具8が展開される(
図6中のステップS13)。
【0048】
具体的には、作業台支持具8のローラ固定棒8eを引き下げることにより、折り畳まれていたアーム8aおよびアームストッパ8bが伸び、アオリ外側側面ローラ機構8dのローラがアオリ21の側面に当接する。これにより、作業台支持具8がアオリ21の側面から作業台4を支持できるようになる。また、作業台4の位置を調整する必要がある場合は、作業台4をアオリ21の長手方向へ押せば、アオリ上面ローラ機構5、アオリ内側側面ローラ機構6、およびアオリ外側側面ローラ機構8dのそれぞれのアオリ21に当接している各ローラが回転し、アオリ引っ掛け部7と共に作業台4がアオリ21の長手方向に動くので、簡単に作業台4の位置調整を行える。
【0049】
次に、
図5中のT4に示されるように、作業台4の裏側に折り畳まれている作業台支持脚9が展開される(
図6中のステップS14)。
【0050】
具体的には、作業台支持脚9はテレスコピック構造等の機構により縮められた状態にあるので、作業台支持脚9の端部を下へ引き出してから、作業台支持脚9を伸ばし、作業台支持脚9が地面から作業台4を確実に支持できるように長さを設定する。
【0051】
次に、
図5中のT5に示されるように、梯子10が作業台4に取り付けられる(
図6中のステップS15)。
【0052】
具体的には、梯子10の梯子引っ掛け部10aを作業台4の梯子はめ込み部10bにはめ込んでロック機構などにより固定する。また、梯子10は、テレスコピック構造等の機構により縮められているので、梯子10を作業台4に掛けた後、梯子10の底部が地面に着くように長さを設定する。
【0053】
次に、
図5中のT6に示されるように、柵1が作業台4に取り付けられる(
図6中のステップS16)。
【0054】
具体的には、柵1を構成する個々の支柱の底部を作業台4の柵はめ込み部1aにはめ込み、当該支柱が抜けないようにロック機構等により固定する。また、柵固定具2により、柵1を構成する複数の部材を結合して固定させる。また、着脱可能なチェーン3を、柵1を構成する複数の部材のうち離間する2つの部材の間(梯子10から作業台4への入り口近傍)に設ける。
【0055】
<安全作業台を解体する手順>
次に、
図7を参照して、安全作業台を解体する手順について説明する。
【0056】
図7は、安全作業台を解体する手順の一例を示すフローチャートである。
【0057】
最初に、柵1が作業台4から取り外される(
図7中のステップS21)。
【0058】
この場合、柵固定具2とチェーン3とが柵1に取り付けられた状態のまま、柵1を取り外すようにしてもよいし、あるいは、先にチェーン3を外してから、柵固定具2の取り付けられた柵1を取り外すようにしてもよい。柵固定具2の取り外しは、柵1を作業台4から取り外す前に行ってもよいし、柵1を作業台4から取り外した後に行ってもよい。また、柵1を作業台4から取り外す前は、柵1を構成する個々の支柱の底部が柵はめ込み部1aにはめ込まれており、ロック機構等で固定されているので、その固定された状態を解除してから当該支柱を引き抜く。
【0059】
次に、梯子10が作業台4から取り外される(
図7中のステップS22)。
【0060】
梯子10を作業台4から取り外す前は、梯子10の梯子引っ掛け部10aが梯子はめ込み部10bにはめ込まれており、ロック機構などにより固定されているので、その固定された状態を解除してから当該梯子10を取り外す。また、作業台4に掛けられた状態にある梯子10は、テレスコピック構造等の機構により伸ばされているので、梯子10を取り外した後、もしくは梯子10を取り外す前に、長さが短くなるように縮める。
【0061】
次に、作業台支持脚9が縮められた状態で折り畳まれて作業台4の裏側に収納される(
図7中のステップS23)。
【0062】
作業台4を支持している状態にある作業台支持脚9は、テレスコピック構造等の機構により伸ばされているので、作業台4の裏側に収納する際には、長さが短くなるよう縮めてから作業台4側に折り畳むようにする。
【0063】
次に、作業台支持具8が折り畳まれて作業台4の裏側に収納される(
図7中のステップS24)。
【0064】
アーム8aがテレスコピック構造等の機構により伸ばされている場合は、アーム8aの長さが短くなるように縮める。その上で、ローラ固定棒8eを作業台4側に上げる。これにより、アームストッパ8bが折り畳まれ、作業台支持具8全体が作業台4の裏側に収められる。
【0065】
次に、作業台4がアオリ21から取り外される(
図7中のステップS25)。
【0066】
この場合、アオリ引っ掛け部7をアオリ21の上の方に持ち上げるだけで、簡単に作業台4をアオリ21から取り外すことができる。
【0067】
アオリ21から取り外された作業台4や、既に取り外された柵1、柵固定具2、チェーン3、および梯子10は、ケースなどに収納された上で、例えば
図2Aに示されるトラック20の荷台の所定の位置に載置される(
図7中のステップS26)。
【0068】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、設置されたときの作業台4は、作業を行うのに十分な広さの作業スペースが確保されており、高さも十分あるため、荷役に関わる各種の作業を行いやすく、高所での玉掛けなどの作業も安全に行うことができる。また、作業台4の周囲には柵1やチェーン3が設けられるため、作業者は柵1やチェーン3に体の一部が当たることにより危険を察知しやすく、墜落や転落を防止することができる。また、作業台4の周囲には柵1があるため、墜落制止用器具を用いて作業を行うにあたっては、作業者が装着する安全帯に繋がれたロープの先のフックを柵1に掛けることができ、より確実に墜落や転落を防止することができる。
【0069】
また、実施形態によれば、作業台4は、アオリ引っ掛け部7をアオリ21に引っ掛けるだけで、アオリ21への取り付けを済ませることができる。さらに、アオリ引っ掛け部7をアオリ21の上の方に持ち上げるだけで、簡単に作業台4をアオリ21から取り外すことができる。
【0070】
また、実施形態によれば、アオリ21の上面および両側の側面には、アオリ上面ローラ機構5、アオリ内側側面ローラ機構6、およびアオリ外側側面ローラ機構8dにそれぞれ備えられたローラが当接するため、作業者が作業台4に載る前に、作業台4の位置(アオリ21の長手方向の位置)を自由に調整することができる。
【0071】
また、実施形態によれば、作業台支持具8は、作業台4の裏側に畳まれて収納されている状態において、ローラ固定棒8eを引き下げるだけで、複数のアオリ外側側面ローラ機構8dの各ローラをアオリ21の側面に当接させることができ、短時間で作業台支持具8を展開させることができる。
【0072】
また、実施形態によれば、作業台支持脚9は、当該作業台支持脚9の伸縮を可能とする機構を有し、当該作業台支持脚9の長さを任意の長さに設定した状態で作業台支持具8を支持することができるように構成されているため、トラック20の種類によってアオリ21の地面からの高さが変わっても、作業台支持脚9の長さが適切な長さとなるよう調整することができ、地面から作業台4を確実に支持することができる。また、2つの作業台支持脚9が作業台4を支持するので、仮に作業台支持具8が不具合により作業台4を支持しなくなっても、2つの作業台支持脚9により作業台4を支持した状態を維持することができ、作業台4の上で作業者が玉掛けなどの作業中であっても、作業者は転倒したりすることなく安全に作業を続けることができる。
【0073】
また、実施形態によれば、梯子10は、当該梯子10の伸縮を可能とする機構を有し、当該梯子10の長さを任意の長さに設定できるように構成されているため、トラック20の種類によってアオリ21の地面からの高さが変わっても、梯子10の長さが適切な長さとなるよう調整することができる。
【0074】
また、実施形態によれば、作業台4は、作業台支持具8および作業台支持脚9をそれぞれ折り畳んで当該作業台4の裏側に収納したり、これらを当該作業台4の裏側から引き出して展開したりすることができるので、持ち運びや設置が容易となる。
【0075】
また、実施形態によれば、作業台支持具8および作業台支持脚9が折り畳まれた作業台4は、平らでコンパクトな構造を有し、軽量化も図られているため、1~2人で簡単に持ち運びができ、保管においても小さな収納スペースがあれば足りる。このような作業台4は、トラック20の荷台前方の載置場所Aや荷台下部の載置場所Bに載置することができ、他の荷物と一緒に混在してもスペースをさほど取らずに済む。
【0076】
以上詳述したように、実施形態によれば、簡易な構成で安全に作業を行える。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…墜落・転落防止柵、1a…柵はめ込み部、1b…ロックピン、2…柵固定具、3…チェーン、4…作業台、4a…縁部、5…アオリ上面ローラ機構、5a…ローラ、5b…ローラ支持具、5c…ローラ固定具、6…アオリ内側側面ローラ機構、6a…ローラ、6b…ローラ支持具、6c…ローラ固定具、7…アオリ引っ掛け部、8…作業台支持具、8a…アーム、8b…アームストッパ、8c…アーム固定具、8d…アオリ外側側面ローラ機構、8e…ローラ固定棒、8f…ローラ、8g…ローラ支持具、8h…ローラ固定具、9…作業台支持脚、10…梯子、10a…梯子引っ掛け部、10b…梯子はめ込み部、11…支持脚固定具、20…トラック、21…アオリ。