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特開2023-64482情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064482
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20230501BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230501BHJP
   G01C 7/04 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
G01S17/89
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
G01C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174798
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】野口 良司
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA01
2F112CA05
2F112CA12
2F112DA09
2F112DA15
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA28
2F112EA05
2F112FA19
2F112FA33
2F112FA35
2F112GA01
5J084AA05
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA48
5J084BB14
5J084BB21
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA65
(57)【要約】
【課題】計測データにおいて、地面に関するデータと障害物に関するデータとを好適に分類する。
【解決手段】ライダ100の制御部7は、情報処理装置として機能し、取得手段として機能する点群情報生成ブロック72と、障害物点検出手段、地面点検出手段、及び補正手段として機能する点群情報処理ブロック73とを有する。点群情報生成ブロック72は、光を出射する計測装置が生成する計測データを取得する。点群情報処理ブロック73は、障害物の被計測点を表す障害物点を、計測データに基づき検出し、地面の被計測点を表す地面点を、計測データに基づき検出する。そして、点群情報処理ブロック73は、計測装置の光の照射範囲に関する情報と地面点とに基づき、障害物点の一部を地面点に補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する計測装置が生成する計測データを取得する取得手段と、
障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出する障害物点検出手段と、
地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出する地面点検出手段と、
前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する補正手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記障害物点の各々と当該障害物点の各々の周囲に存在する前記地面点との高さの差に基づき、前記障害物点の各々の前記地面点への補正の要否判定を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記障害物点の各々と当該障害物点の各々の周囲に存在する前記地面点との水平面上での距離の差に基づき、前記障害物点の各々の前記地面点への補正の要否判定を行う、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記要否判定において用いる前記差に対する閾値を、前記障害物点の各々の計測距離に基づき決定する、請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記地面点に補正された前記障害物点である補正地面点の一部を、前記障害物点に補正する、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記取得手段が取得した第1計測データの前記補正地面点と、前記第1計測データの前に取得された第2計測データにおける前記障害物点と前記地面点とに関する分類情報とに基づき、前記補正地面点の一部を、前記障害物点に補正する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、前記障害物点のクラスタの大きさに基づき、前記障害物点のクラスタごとに前記地面点への補正の要否判定を行う、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記照射範囲に関する情報は、前記光の広がり角に応じたビーム幅である、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が実行する制御方法であって、
光を出射する計測装置が生成する計測データを取得し、
障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出し、
地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出し、
前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する、
制御方法。
【請求項10】
光を出射する計測装置が生成する計測データを取得し、
障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出し、
地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出し、
前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを格納した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測したデータを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、計測対象物に光を照射して該計測対象物からの反射光を検出し、該計測対象物に光を照射するタイミングと、該計測対象物からの反射光を検出するタイミングとの時間差により計測対象物までの距離を算出する測距装置が知られている。また、特許文献1には、投光パターンの検出状態により、投光パターンを投光するための点灯パターンを変更し、前方車両との距離や傾きを検出する前方車両認識装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-082750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ライダなどのレーザ光を利用した測距装置では、レーザ光が広がりを有するため、路面ペイントとそれ以外の箇所とにまたいでレーザ光が照射された場合に、計測結果に誤差が生じてしまい、障害物を誤検出してしまうことがあった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本開示は、計測データにおいて、地面に関するデータと障害物に関するデータとを好適に分類することが可能な情報処理装置、制御方法、プログラム及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、
光を出射する計測装置が生成する計測データを取得する取得手段と、
障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出する障害物点検出手段と、
地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出する地面点検出手段と、
前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する補正手段と、
を有する情報処理装置である。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、
情報処理装置が実行する制御方法であって、
光を出射する計測装置が生成する計測データを取得し、
障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出し、
地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出し、
前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する、
制御方法である。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、
光を出射する計測装置が生成する計測データを取得し、
障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出し、
地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出し、
前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係るライダの概略構成を示す。
図2】実施例に係るフローチャートの一例である。
図3】ライダが出射したレーザ光が照射される道路の断面図を示す。
図4】フットプリントサイズに応じた高さ方向及び奥行方向の計測ずれを概略的に表した道路の断面図である。
図5】(A)フットプリントサイズが異なる2種類のライダの高さ方向の計測ずれと奥行距離との関係を表すグラフである。(B)フットプリントサイズが異なる2種類のライダの奥行方向の計測ずれと奥行距離との関係を表すグラフである。
図6】第1補正処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図7】(A)ステップS11において対象とする障害物点とその周囲点を表した図である。(B)ステップS12において対象とする注目点とその周囲点を表した図である。(C)ステップS13において対象とする注目点とその周囲点を表した図である。
図8】第2補正処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図9】第3補正処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図10】変形例に係るライダシステムの構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態では、情報処理装置は、光を出射する計測装置が生成する計測データを取得する取得手段と、障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出する障害物点検出手段と、地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出する地面点検出手段と、前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する補正手段と、を備える。この態様では、情報処理装置は、計測装置が出射する光の照射範囲に関する情報と検出された地面点とに基づいて、誤って検出された障害物点の一部を適切に地面点に補正することができる。ここで、「地面点に補正」とは、被計測点の分類を地面点に変更することを指す。
【0011】
上記情報処理装置の一態様では、前記補正手段は、前記障害物点の各々と当該障害物点の各々の周囲に存在する前記地面点との高さの差に基づき、前記障害物点の各々の前記地面点への補正の要否判定を行う。この態様により、情報処理装置は、地面点に補正すべき障害物点を的確に判定することができる。
【0012】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記補正手段は、前記障害物点の各々と当該障害物点の各々の周囲に存在する前記地面点との水平面上での距離の差に基づき、前記障害物点の各々の前記地面点への補正の要否判定を行う。この態様によっても、情報処理装置は、地面点に補正すべき障害物点を的確に判定することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記補正手段は、前記要否判定において用いる前記差に対する閾値を、前記照射範囲に関する情報と、前記障害物点の各々の計測距離とに基づき決定する。一般に、光の照射範囲の大きさは、計測距離に応じて変化する。従って、この態様により、情報処理装置は、上述の閾値を適切に設定することができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記補正手段は、前記地面点に補正された前記障害物点である補正地面点の一部を、前記障害物点に補正する。この態様により、情報処理装置は、誤って地面点に補正した障害物点を再び障害物点として分類することができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記補正手段は、前記取得手段が取得した第1計測データの前記補正地面点と、前記第1計測データの前に取得された第2計測データにおける前記障害物点と前記地面点とに関する分類情報とに基づき、前記補正地面点の一部を、前記障害物点に補正する。この態様により、情報処理装置は、誤って地面点に補正した障害物点を的確に特定し、再び障害物点として分類することができる。
【0016】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記補正手段は、前記障害物点のクラスタの大きさに基づき、前記障害物点のクラスタごとに前記地面点への補正の要否判定を行う。この態様により、情報処理装置は、想定される障害物の大きさに満たない障害物点のクラスタを地面点に補正することができる。好適な例では、前記照射範囲に関する情報は、前記光の広がり角に応じたビーム幅である。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置が実行する制御方法であって、光を出射する計測装置が生成する計測データを取得し、障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出し、地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出し、前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、誤って検出された障害物点の一部を適切に地面点に補正することができる。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態では、プログラムは、光を出射する計測装置が生成する計測データを取得し、障害物の被計測点を表す障害物点を、前記計測データに基づき検出し、地面の被計測点を表す地面点を、前記計測データに基づき検出し、前記光の照射範囲に関する情報と前記地面点とに基づき、前記障害物点の一部を地面点に補正する処理をコンピュータに実行させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、誤って検出された障害物点の一部を適切に地面点に補正することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0020】
(1)装置構成
図1は、本実施例に係るライダ100の概略構成を示す。ライダ100は、例えば、自動運転などの運転支援を行う車両に搭載される。ライダ100は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対してレーザ光を照射し、当該レーザ光が物体に反射されて戻った光(「反射光」とも呼ぶ。)を受光することで、ライダ100から物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の3次元位置を示す点群情報を生成する。ライダ100は、道路面などの地面を測定範囲に含むように設置されている。なお、ライダ100は、車両に搭載される態様に限らず、所定の場所において固定されていてもよい。
【0021】
図1に示すように、ライダ100は、主に、送信部1と、受信部2と、ビームスプリッタ3と、スキャナ5と、ピエゾセンサ6と、制御部7と、メモリ8と、を有する。
【0022】
送信部1は、パルス状のレーザ光をビームスプリッタ3に向けて出射する光源である。送信部1は、例えば、赤外線レーザ発光素子を含む。送信部1は、制御部7から供給される駆動信号「Sg1」に基づき駆動する。
【0023】
受信部2は、例えばアバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode)であり、受光した光量に対応する検出信号「Sg2」を生成し、生成した検出信号Sg2を制御部7へ供給する。
【0024】
ビームスプリッタ3は、送信部1から出射されるパルス状のレーザ光を透過する。また、ビームスプリッタ3は、スキャナ5によって反射された反射光を、受信部2に向けて反射する。
【0025】
スキャナ5は、例えば静電駆動方式のミラー(MEMSミラー)であり、制御部7から供給される駆動信号「Sg3」に基づき、傾き(即ち光走査の角度)が所定の範囲内で変化する。そして、スキャナ5は、ビームスプリッタ3を透過したレーザ光をライダ100の外部へ向けて反射すると共に、ライダ100の外部から入射する反射光をビームスプリッタ3へ向けて反射する。また、ライダ100の計測範囲内においてレーザ光が照射されることにより計測された点又はその計測データを「被計測点」とも呼ぶ。
【0026】
また、スキャナ5には、ピエゾセンサ6が設けられている。ピエゾセンサ6は、スキャナ5のミラー部を支持するトーションバーの応力により生じる歪みを検出する。ピエゾセンサ6は、生成した検出信号「Sg4」を、制御部7へ供給する。検出信号Sg4は、スキャナ5の向きの検出に用いられる。
【0027】
メモリ8は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。メモリ8は、制御部7が所定の処理を実行するために必要なプログラムを記憶する。また、メモリ8は、制御部7により参照される各種パラメータを記憶する。また、メモリ8には、制御部7により生成された最新の所定フレーム数分の点群情報が記憶される。
【0028】
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などの各種プロセッサを含む。制御部7は、メモリ8に記憶されたプログラムを実行することで、所定の処理を実行する。制御部7は、プログラムを実行するコンピュータの一例である。なお、制御部7は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組合せ等により実現されてもよい。また、制御部7は、FPGA(field-programmable gate array)又はマイクロコントローラ等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路であってもよく、ASSP(Application Specific Standard Produce)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。
【0029】
制御部7は、機能的には、送信駆動ブロック70と、スキャナ駆動ブロック71と、点群情報生成ブロック72と、点群情報処理ブロック73と、を有する。
【0030】
送信駆動ブロック70は、送信部1を駆動する駆動信号Sg1を出力する。駆動信号Sg1は、送信部1に含まれるレーザ発光素子の発光時間と、当該レーザ発光素子の発光強度を制御するための情報を含む。送信駆動ブロック70は、駆動信号Sg1に基づき、送信部1に含まれるレーザ発光素子の発光強度を制御する。
【0031】
スキャナ駆動ブロック71は、スキャナ5を駆動するための駆動信号Sg3を出力する。この駆動信号Sg3は、スキャナ5の共振周波数に対応する水平駆動信号と、垂直走査するための垂直駆動信号と、を含む。また、スキャナ駆動ブロック71は、ピエゾセンサ6から出力される検出信号Sg4を監視することで、スキャナ5の走査角度(すなわちレーザ光の出射方向)を検出する。
【0032】
点群情報生成ブロック72は、受信部2から供給される検出信号Sg2に基づき、ライダ100を基準点として、レーザ光が照射された物体までの距離と方向とを被計測点毎に示した点群情報を生成する。この場合、点群情報生成ブロック72は、レーザ光を出射してから受信部2が反射光を検出するまでの時間を、光の飛行時間(Time of Flight)として算出する。そして、点群情報生成ブロック72は、算出した飛行時間に応じた距離と、受信部2が受信した反射光に対応するレーザ光の出射方向とを被計測点毎に示す点群情報を生成し、生成した点群情報を点群情報処理ブロック73に供給する。以後では、全被計測点に対する1回分の走査により得られる点群情報を、1フレーム分の点群情報とする。ここで、点群情報は、被計測点を画素とし、各被計測点の計測距離を画素値とする画像とみなすことができる。この場合、各被計測点は、縦方向の並びにおいて仰俯角におけるレーザ光の出射方向が異なり、横方向の並びにおいて水平角におけるレーザ光の出射方向が異なる。そして、各被計測点に対し、対応する出射方向及び計測距離の組に基づき、3次元座標系での座標値が求められる。以後では、上述の3次元座標系を「基準座標系」とも呼ぶ。基準座標系は、水平面(即ち地面と平行な面)をX-Y軸とし、水平面に垂直な高さ方向をZ軸とする3次元座標系であるものとする。なお、基準座標系の原点は、例えば、ライダ100の位置に設定される。点群情報生成ブロック72は、「取得手段」の一例である。
【0033】
なお、点群情報生成ブロック72は、点群情報において物体を誤検知することで生成されたデータ(「ノイズデータ」又は「誤警報データ」とも呼ぶ。)を除去した点群情報を生成してもよい。以後では、実在する物体を検知することで生成されたデータに対応する被計測点を「有効点」とも呼ぶ。この場合、点群情報には、有効点であるか否かを被計測点毎に示すフラグ情報がさらに含まれる。
【0034】
点群情報処理ブロック73は、点群情報生成ブロック72から供給される点群情報が表す被計測点の分類を行い、分類結果を表す分類情報を点群情報に付加する。具体的には、点群情報処理ブロック73は、地面(白線などの路面ペイントも含む)を表す被計測点(「地面点」とも呼ぶ。)と、道路上又は道路周辺の障害物(前方車両や地物を含む)を表す被計測点(「障害物点」とも呼ぶ。)と、を夫々検出し、その検出結果に基づき各被計測点の分類を表す分類情報を生成する。この場合、後述するように、点群情報処理ブロック73は、レーザ光のビーム幅(所謂フットプリントサイズ)に起因して障害物点であると誤って判定(分類)された被計測点(「誤障害物判定点」とも呼ぶ。)を的確に特定し、誤障害物判定点の分類を地面点に補正する。また、点群情報処理ブロック73は、フレーム毎の点群情報を、フレーム毎の処理時刻を示す時刻情報と関連付けてメモリ8に記憶する。点群情報処理ブロック73の処理の詳細については後述する。点群情報処理ブロック73は、「障害物点検出手段」、「地面点検出手段」及び「補正手段」の一例である。
【0035】
なお、分類情報が付加された点群情報は、例えば、車両の自動運転などの運転支援を制御する装置(「運転支援装置」とも呼ぶ。)に出力されてもよい。この場合、例えば、点群情報に基づき、障害物点を少なくとも避けるような車両の制御が行われる。運転支援装置は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)であってもよく、車両と電気的に接続したカーナビゲーション機器などの車載装置であってもよい。
【0036】
(2)処理概要
図2は、誤障害物判定点の補正に関する処理の手順を示すフローチャートの一例である。点群情報処理ブロック73は、図2に示す処理を、1フレーム分の点群情報を生成する周期ごとに繰り返し実行する。
【0037】
まず、点群情報生成ブロック72は、検出信号Sg2に基づき、点群情報を生成する(ステップS01)。この場合、点群情報生成ブロック72は、ライダ100の走査対象範囲における1回分の走査により生成された検出信号Sg2に基づき、現処理時刻に対応するフレーム(「現フレーム」とも呼ぶ。)の点群情報を生成する。
【0038】
次に、点群情報処理ブロック73は、ステップS01で生成された点群情報からノイズデータを除去する処理であるノイズ除去処理を実行する(ステップS02)。この場合、点群情報処理ブロック73は、任意のノイズ除去処理を実行してもよい。例えば、点群情報処理ブロック73は、受信部2が受信した反射光の強度が所定の閾値未満となる被計測点のデータを、ノイズデータとみなし、ノイズデータ以外のデータを表す被計測点を有効点とみなす。
【0039】
次に、点群情報処理ブロック73は、ノイズ除去処理後の点群情報の各有効点を分類する処理を実行する(ステップS03)。この場合、点群情報処理ブロック73は、ノイズ除去処理後の点群情報が表す有効点に基づき地面を表す平面を推定し、当該平面より所定の閾値以上高い位置に存在する有効点を障害物点と判定し、それ以外の有効点を地面点と判定する。この場合、例えば、点群情報処理ブロック73は、有効点の点群データを用い、基準座標系での平面方程式を最小二乗法により求めることで、地面を表す平面を推定する。
【0040】
次に、点群情報処理ブロック73は、ステップS03で判定された地面点に基づいて、地面高さを推定する処理(「地面高さ推定処理」とも呼ぶ。)を行う(ステップS04)。この場合、例えば、点群情報処理ブロック73は、地面点から算出される平面方程式に基づき、地面高さを推定する。
【0041】
そして、点群情報処理ブロック73は、誤障害物判定点補正処理を実行する(ステップS05)。この場合、点群情報処理ブロック73は、後述する第1補正処理~第3補正処理を順に実行することで、誤障害物判定点を検出し、検出した誤障害物判定点の分類を地面点に補正する。
【0042】
(3)誤障害物判定点の補正
次に、図2のステップS05で実行される誤障害物判定点補正処理に関する事項について詳細に説明する。
【0043】
(3-1)誤障害物判定点の発生
まず、フットプリントサイズに起因して誤障害物判定点が発生することについて具体的に説明する。図3は、ライダ100が出射したレーザ光が照射される道路の断面図を示す。この例では、ライダ100は、レーザ光B1~B3を含むレーザ光を出射しており、レーザ光B1及びレーザ光B2の一部が白線90に照射されている。ここで、ライダ100が出射するレーザ光は、被計測点までの距離に応じてフットプリントサイズが拡大している。そして、レーザ光の出射方向と、反射光の受光強度がピークとなる飛行時間とに基づき、被計測点の基準座標系での位置が特定される。
【0044】
ここで、白線などの路面ペイントが存在しない方向に出射されたレーザ光B3の場合、レーザ光B3の出射方向と、レーザ光B3の反射光の飛行時間とに基づき、ライダ100は、道路面上の点P3を表すデータを生成する。なお、ライダ100が認識するレーザ光B3の出射方向は、レーザ光B3の中心軸の延伸方向となる。
【0045】
一方、白線90に一部が照射されるレーザ光B1の場合、白線90は他の道路面と比較して反射率が高いことから、白線90の表面点P11で反射された反射光の受光強度が最も高くなる。従って、この場合、ライダ100は、レーザ光B1の中心軸の延長線上であって、表面点P11と同一の計測距離となる空中の点P1を表すデータを生成する。同様に、一部が白線90に照射されるレーザ光B2の場合、白線90は他の道路面と比較して反射率が高いことから、白線90の表面点P21で反射された反射光の受光強度が最も高くなる。従って、この場合、ライダ100は、レーザ光B2の中心軸の延長線上であって、表面点P21と同一の計測距離となる地中の点P2を表すデータを生成する。そして、点P1は、他の地面の被計測点より高い位置として認識されるため、障害物点であると判定されてしまう可能性がある。
【0046】
このように、反射率が異なる路面エリアの境界付近では、反射率が相対的に高い点で反射された光の強度が高くなることに起因して、本来計測されるべき位置から高さ方向及び奥行方向(水平方向)にずれた(即ち、空中又は地中の位置を表す)誤障害物判定点のデータが生成されてしまう可能性がある。そして、高さ方向及び奥行方向での計測ずれの度合いは、レーザ光のフットプリントサイズ(即ち、レーザ光の照射範囲の大きさ)に応じて異なる。
【0047】
図4は、フットプリントサイズに応じた高さ方向及び奥行方向の計測ずれを概略的に表した道路の断面図である。また、図5(A)は、フットプリントサイズが異なる2種類のライダ(ライダA、ライダB)の高さ方向の計測ずれと各ライダから被計測点までの奥行距離(即ち水平面上での計測距離)との関係を表すグラフであり、図5(B)は、ライダA及びライダBの奥行方向の計測ずれと各ライダから被計測点までの奥行距離との関係を表すグラフである。ライダAは、垂直(仰俯角)方向に0.8度及び水平方向に0.4度の広がり角を有するレーザ光を出射する短距離計測用のライダであり、ライダBは、垂直(仰俯角)方向に0.4度及び水平方向に0.2度の広がり角を有するレーザ光を出射する中距離計測用のライダである。上述の広がり角は、フットプリントサイズのパラメータに相当し、広がり角が大きいライダAの方が、ライダBよりも、同一計測距離でのフットプリントサイズが大きくなる。また、ライダA及びライダBの設置高は、ともに1.5mであるとする。
【0048】
図4に示すレーザ光B4は、上述の広がり角に応じたフットプリントサイズを有しており、フットプリントサイズに応じて、高さ方向の計測ずれの最大値(最大高さずれ)及び奥行方向の計測ずれの最大値(最大奥行ずれ)が定まる。ここで、点P4は、ビーム光B4により計測されるべき理想的な被計測点を表す。また、点P4aは、白線等の存在に起因して手前側に最大限ずれた被計測点を表す。点P4bは、白線等の存在に起因して奥側に最大限ずれた被計測点を表す。そして、最大高さずれは、点P4aと点P4bの高さの差に相当し、最大奥行ずれは、点P4aと点P4bの奥行距離に相当する。
【0049】
そして、図5(A)及び図5(B)に示すように、フットプリントサイズが大きいライダAの方が、ライダBよりも、奥行距離の増加に応じた高さずれ及び奥行ずれの上昇度合いが大きくなる。このように、フットプリントサイズが大きいほど高さずれ及び奥行ずれが大きくなる。以上を勘案し、点群情報処理ブロック73は、第1補正処理~第3補正処理を含む誤障害物判定点補正処理に用いる種々の閾値を、フットプリントサイズに基づき設定する。これにより、誤障害物判定点を的確に検出することができる。ここで、計測距離が長いほど、かつ、ライダの種類に依存するレーザ光の広がり角が大きいほど、フットプリントサイズが大きくなる。よって、点群情報処理ブロック73は、後述するように、上述の閾値を、計測距離に応じた値となるように、ライダの種類ごとに異なる算出式により決定する。フットプリントサイズは、「光の照射範囲に関する情報」の一例である。
【0050】
(3-2)第1補正処理の詳細
次に、誤障害物判定点補正処理の一部である第1補正処理について説明する。第1補正処理は、白線などの路面ペイントでの反射に起因して障害物点に分類された被計測点の分類を、フットプリントサイズに応じた高さずれ及び奥行ずれを考慮し、地面点に補正する処理である。
【0051】
図6は、点群情報処理ブロック73が実行する第1補正処理の手順を示すフローチャートの一例である。
【0052】
まず、点群情報処理ブロック73は、障害物点のうち、当該障害物点の周囲の地面点との高さ差が第1閾値以下となる点を、地面点に補正すべき障害物点(即ち誤障害物判定点)の候補(「補正地面点候補」とも呼ぶ。)として抽出する(ステップS11)。第1閾値は、フットプリントサイズに応じた値(具体的にはフットプリントサイズが大きいほど大きい値)となるように設定される。なお、フットプリントサイズは、上述したように、出射するレーザ光の広がり角及び計測距離に応じて定まるため、点群情報処理ブロック73は、例えば、レーザ光の広がり角に基づき定まる係数と計測距離を表す変数とを有する所定の式又はルックアップテーブルを用いて第1閾値を決定する。この場合、上述の式等は、ライダ100が出射するレーザ光の広がり角(即ちライダ100の種類)を考慮して予め定められ、メモリ8等に記憶されている。
【0053】
次に、点群情報処理ブロック73は、周囲の地面点と奥行距離差が第2閾値より大きい補正地面点候補を、誤障害物判定点とみなし、地面点に設定する(ステップS12)。地面点に補正された障害物点を「補正地面点」とも呼ぶ。ここで、第2閾値は、フットプリントサイズに応じた値(具体的にはフットプリントサイズが大きいほど大きい値)になるように設定される。点群情報処理ブロック73は、例えば、レーザ光の広がり角に基づき定まる係数と計測距離を表す変数とを有する所定の式又はルックアップテーブルを用いて第2閾値を決定する。この場合、上述の式等は、ライダ100が出射するレーザ光の広がり角を考慮して予め定められ、メモリ8等に記憶されている。
【0054】
次に、点群情報処理ブロック73は、ステップS12で設定した補正地面点の周囲点のうち、当該補正地面点との高さ差が第3閾値以下となる障害物点を、補正地面点に設定する(ステップS13)。第3閾値は、フットプリントサイズに応じた値に設定され、例えば第1閾値と同一値に設定されてもよい。
【0055】
次に、ステップS11の具体例について説明する。図7(A)は、ステップS11において対象とする障害物点とその周囲点を表した図である。ここでは、2次元平面上でのライダ100の走査範囲を表しており、一例として、隣り合う水平方向の走査点列が交互に走査点の半分の間隔だけ水平方向にずれて配置されているものとする。
【0056】
点群情報処理ブロック73は、1フレーム分の点群データに含まれる障害物点を順に注目すべき注目点として選択し、選択した注目点について、周囲の地面点との高さ差が第1閾値以下であるか否か判定する。図7(A)において、点群情報処理ブロック73は、注目点Piに隣接する周囲点Pi1~Pi8を認識する。そして、点群情報処理ブロック73は、周囲点Pi1~Pi8のうち、地面点又は補正地面点候補であって、注目点Piとの高さ差が第1閾値以下となる点が存在する場合、注目点Piを補正地面点候補に設定する。なお、この場合、点群情報処理ブロック73は、注目点Piと各周囲点との距離差をさらに考慮して注目点Piが補正地面点候補であるか否かの判定を行ってもよい。この場合、点群情報処理ブロック73は、注目点Piとの距離差が所定距離以下であり、かつ、注目点Piとの高さ差が第1閾値以下となる、地面点又は補正地面点候補が存在する場合に、注目点Piを補正地面点候補に設定する。ステップS11では、フットプリントサイズに起因して生じ得る誤差の範囲内の高さに存在する障害物点を、補正地面点候補に設定することができる。
【0057】
次に、ステップS12の具体例について説明する。図7(B)は、ステップS12において対象とする注目点とその周囲点を表した図である。点群情報処理ブロック73は、ステップS11で判定した補正地面点候補の各々を順に注目点Piとして設定し、注目点Piの真上及びその左右に存在する点Pi7、Pi10、Pi11と、注目点Piの真下及びその左右に存在する点Pi5、Pi9、Pi12とを探索点として認識する。なお、ここでは、一例として、仰俯角の方向でのフットプリントサイズに起因して発生した誤障害物判定点を特定するため、注目点Piの真上及び真下及びその周囲点を探索点に定めている。
【0058】
そして、点群情報処理ブロック73は、地面点であり、かつ、注目点PiとのXY距離差(即ち奥行距離差)が第2閾値より大きい探索点が存在する場合、注目点Piを補正地面点に設定する。一般に、フットプリントサイズに起因して高さずれが生じた誤障害物判定点については、フットプリントサイズに応じた奥行ずれも生じている。従って、点群情報処理ブロック73は、ステップS12において、フットプリントサイズに応じた奥行ずれが生じている補正地面点候補を誤障害物判定点とみなし、補正地面点に設定する。
【0059】
次に、ステップS13の具体例について説明する。図7(C)は、ステップS13において対象とする注目点とその周囲点を表した図である。点群情報処理ブロック73は、ステップS12で判定した補正地面点の各々を順に注目点Piとして設定し、注目点Piの周囲点Pi1~Pi8、Pi13、Pi14を特定する。そして、点群情報処理ブロック73は、これらの周囲点のうち、当該補正地面点との高さ差が第3閾値以下となる障害物点を、補正地面点に設定する。一般に、白線等に起因して生じる誤障害物判定点は、ある程度固まって存在することが考えられる。従って、点群情報処理ブロック73は、ステップS13において、固まって存在する誤障害物判定点を補正地面点に設定することができる。
【0060】
(3-3)第2補正処理の詳細
第2補正処理は、第1補正処理では補正地面点に補正できなかった誤障害物判定点を、障害物点が形成するクラスタの大きさに基づいて検出し、補正地面点に補正する処理である。図8は、点群情報処理ブロック73が実行する第2補正処理の手順を示すフローチャートの一例である。
【0061】
まず、点群情報処理ブロック73は、障害物点のクラスタリングを行う(ステップS21)。この場合、点群情報処理ブロック73は、障害物点ごとに計測された距離に基づき、障害物点を要素数1個以上のクラスタに分ける。この場合、点群情報処理ブロック73は、任意のクラスタリング処理に基づき、障害物点のクラスタを決定してもよい。
【0062】
次に、点群情報処理ブロック73は、要素数が所定個数以下となる障害物点のクラスタを、補正地面点に設定する(ステップS22)。
【0063】
一般的に、道路周辺に存在する障害物は、ある程度の大きさを有しており、要素数が少ない障害物点のクラスタは、実際には障害物を表すものではない可能性が高い。以上を勘案し、点群情報処理ブロック73は、要素数が所定個数以下となる障害物点のクラスタを、補正地面点に設定する。上述の所定個数は、道路上又は道路周辺に一般的に存在する障害物の大きさ及びライダ100の性能等を勘案して予め定められる。これにより、点群情報処理ブロック73は、障害物のサイズに満たない誤障害物判定点のまとまりを補正地面点として適切に設定することができる。
【0064】
(3-4)第3補正処理の詳細
第3補正処理は、第1補正処理及び第2補正処理によって誤って補正地面点であると判定された点を障害物点として再設定する処理である。図9は、点群情報処理ブロック73が実行する第3補正処理の手順を示すフローチャートの一例である。
【0065】
まず、点群情報処理ブロック73は、補正地面点のうち、障害物点の上下に位置する補正地面点を障害物点に補正する(ステップS31)。この場合、「障害物点の上下に位置する補正地面点」とは、例えば水平方向の走査位置の差が所定個数(例えば3個)以内の補正地面点を指す。
【0066】
そして、点群情報処理ブロック73は、縦方向(即ち出射する仰俯角が異なる方向)に所定個(例えば3個)以上連続する補正地面点のクラスタを、障害物点に補正する(ステップS32)。
【0067】
次に、点群情報処理ブロック73は、過去情報に基づき、補正地面点を障害物点に補正する(ステップS33)。この場合、点群情報処理ブロック73は、過去情報として、直前のフレーム周期において生成された点群情報の分類情報を利用する。具体的には、点群情報処理ブロック73は、各補正地面点について、過去情報の同一走査位置(即ち出射方向が同一となる位置)の点及びその周囲点(これらを「過去関連点」とも呼ぶ。)を特定する。この場合の周囲点は、例えば、図7(A)において同一走査位置の点を注目点Piとするとその周辺の点Pi1~Pi8である。そして、過去関連点のいずれかが計測距離が対象の補正地面点と所定距離差以内となる障害物点である場合、点群情報処理ブロック73は、対象の補正地面点を障害物点に補正する。点群情報処理ブロック73は、ステップS33の処理を行うことで、高さが低い障害物に対応する被計測点を、誤って補正地面点に一時的に分類した場合であっても、これらを障害物点であると適切に再分類することができる。現在のフレーム周期において生成された点群情報は「第1計測データ」の一例であり、直前のフレーム周期において生成された点群情報は「第2計測データ」の一例である。
【0068】
次に、点群情報処理ブロック73は、現フレームの分類情報を含む点群情報を、過去情報としてメモリ8等に記憶する(ステップS34)。分類情報は、例えば、各被計測点が障害物点(補正された障害物点を含む)か地面点(補正地面点を含む)のいずれに分類されるかを表す情報である。なお、分類情報は、例えば、補正されたか否かで異なる分類となるように、より詳細な各被計測点の分類結果を示すものであってもよい。
【0069】
(4)変形例
ライダ100の構成は、図1に示す構成に限定されない。例えば、制御部7の点群情報処理ブロック73及び点群情報処理ブロック73に相当する機能を、ライダ100とは別の装置が有してもよい。
【0070】
図10は、変形例に係るライダシステムの構成図である。ライダシステムは、ライダ100Xと、情報処理装置200とを有する。この場合、ライダ100Xは、点群情報生成ブロック72が生成する点群情報を情報処理装置200へ供給する。
【0071】
情報処理装置200は、制御部7Aと、メモリ8とを有する。メモリ8には、制御部7Aが処理を実行するために必要な情報が記憶されている。制御部7Aは、機能的には、点群情報取得ブロック72Aと、点群情報処理ブロック73とを有する。点群情報取得ブロック72Aは、ライダ100Xの点群情報生成ブロック72が生成する点群情報を受信し、受信した点群情報を点群情報処理ブロック73に供給する。点群情報処理ブロック73は、点群情報取得ブロック72Aから供給される点群情報に対し、上述した実施例の点群情報処理ブロック73と同一の処理を実行する。
【0072】
なお、情報処理装置200は、運転支援装置により実現されてもよい。また、処理に必要なパラメータの情報は、情報処理装置200が参照可能なメモリを有する他の装置により記憶されてもよい。本変形例の構成によれば、情報処理装置200は、ライダ100Xが生成する点群情報の各被計測点の正確な分類情報を生成することができる。
【0073】
以上説明したように、実施例に係るライダ100の制御部7は、本発明における情報処理装置として機能し、取得手段として機能する点群情報生成ブロック72と、障害物点検出手段、地面点検出手段、及び補正手段として機能する点群情報処理ブロック73とを有する。点群情報生成ブロック72は、光を出射する計測装置が生成する計測データを取得する。点群情報処理ブロック73は、障害物の被計測点を表す障害物点を、計測データに基づき検出し、地面の被計測点を表す地面点を、計測データに基づき検出する。そして、点群情報処理ブロック73は、計測装置の光の照射範囲に関する情報と地面点とに基づき、障害物点の一部を地面点に補正する。これにより、ライダ100は、光の照射範囲に起因して地面点にも関わらず障害物点として検出されたものを地面点に好適に補正することができる。
【0074】
なお、上述した実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるコントローラ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0075】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0076】
1 送信部
2 受信部
3 ビームスプリッタ
5 スキャナ
6 ピエゾセンサ
7、7A 制御部
8 メモリ
100、100X ライダ
200 情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10