(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006453
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】印刷機の制御装置および印刷機の運転方法並びに印刷機、印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41F 33/00 20060101AFI20230111BHJP
B41F 7/02 20060101ALI20230111BHJP
B41F 13/56 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B41F33/00 200
B41F7/02 454
B41F13/56 454
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109054
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道法 崇光
(72)【発明者】
【氏名】年藤 孝英
(72)【発明者】
【氏名】水野 彰彦
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
【Fターム(参考)】
2C034AA16
2C034AA44
2C250EA13
2C250EA17
2C250EA18
(57)【要約】
【課題】印刷機の制御装置および印刷機の運転方法並びに印刷機、印刷システムにおいて、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図る。
【解決手段】印刷予約信号が入力したとき、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、予め設定された印刷機起動条件が成立すると、印刷を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷予約信号が入力したとき、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、予め設定された印刷機起動条件が成立すると、印刷を開始する、
印刷機の制御装置。
【請求項2】
前記印刷機起動条件として、予め設定された印刷機起動時刻に到達すると印刷を開始する、
請求項1に記載の印刷機の制御装置。
【請求項3】
前記印刷機起動条件として、自動印刷許可信号が入力した後、前記印刷機起動時刻に到達すると印刷を開始する、
請求項2に記載の印刷機の制御装置。
【請求項4】
前記自動印刷許可信号は、作業者が操作装置を操作することで出力される、
請求項3に記載の印刷機の制御装置。
【請求項5】
前記印刷機準備完了信号と前記印刷機関連設備準備完了信号が入力した後、印刷機および印刷機関連設備に異常がないとき、前記自動印刷許可信号の入力を要求する、
請求項3または請求項4に記載の印刷機の制御装置。
【請求項6】
前記印刷機起動条件として、前記印刷機起動時刻に到達する前に印刷機起動信号が入力すると印刷を開始する、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置。
【請求項7】
印刷機関連設備は、印刷資材を印刷機に供給する資材供給設備と、前記印刷機により印刷された印刷物を発送する発送設備とを有し、前記印刷機関連設備準備完了信号は、前記資材供給設備の準備が完了したときに出力される資材供給設備準備完了信号と、前記発送設備の準備が完了したときに出力される発送設備準備完了信号とを有する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置。
【請求項8】
前記印刷機準備完了信号が入力すると、前記印刷機起動条件が成立するまで印刷機が起動待機状態に維持される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置。
【請求項9】
前記印刷機準備完了信号と前記印刷機関連設備準備完了信号の少なくともいずれか一方が、前記印刷機起動時刻までに入力されないと、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更する印刷スケジュール変更信号を出力する、
請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置。
【請求項10】
前記印刷機起動条件が成立すると、自動印刷中であることを報知する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置。
【請求項11】
印刷予約信号を入力するステップと、
前記印刷予約信号が入力し、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、且つ、予め設定された印刷機起動条件が成立すると印刷を開始するステップと、
を有する印刷機の運転方法。
【請求項12】
ウェブを供給する給紙装置と、
前記ウェブに印刷を行う印刷装置と、
印刷済の前記ウェブを縦裁断して重ねると共に搬送経路および経路長を変更するウェブパス装置と、
縦裁断して重ねられた前記ウェブを縦折りした後に横断裁して折帖を形成する折機と、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置と、
を備える印刷機。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の印刷機の制御装置と、
請求項12に記載の印刷機と、
印刷資材を前記印刷機に供給する資材供給設備と、
前記印刷機により印刷された印刷物を発送する発送設備と、
を備える印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷機による印刷を自動で開始する印刷機の制御装置、印刷機の運転方法、印刷機の制御装置を備える印刷機、印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、新聞用オフセット輪転印刷機は、給紙装置と印刷装置とウェブパス装置と折機とを備える。新聞用オフセット輪転印刷機により印刷を実施する場合、印刷物の仕様や印刷部数などに応じて事前に印刷スケジュールが作成される。作業者は、印刷スケジュールに基づいて、印刷前に印刷機の準備作業や印刷機に関連する各種設備の準備を実施し、準備作業が完了すると印刷を開始する。
【0003】
印刷機の操作において、各種の作業を自動化する技術として、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新聞用オフセット輪転印刷機により印刷を実施する場合、事前に印刷機の準備作業や印刷機関連設備の準備作業を行う必要がある。作業者は、印刷機および印刷機関連設備の準備作業が完了すると、印刷開始スイッチを操作することで印刷機を起動し、印刷を開始する。近年、印刷現場は、様々な自動化が進んでいるが、特に、最近では、新聞用オフセット輪転印刷機の運転操作の省力化や自動化も求められている。ところが、作業者は、印刷機の準備作業が完了しても、印刷開始スイッチを操作することができない。すなわち、作業者は、印刷機だけではなく、印刷(生産)に関連する設備の各種の準備作業が完了したかを確認する必要があり、印刷作業の自動化の妨げになっている。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図る印刷機の制御装置および印刷機の運転方法並びに印刷機、印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の印刷機の制御装置は、印刷予約信号が入力したとき、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、予め設定された印刷機起動条件が成立すると、印刷を開始する。
【0008】
本開示の印刷機の運転方法は、印刷予約信号を入力するステップと、前記印刷予約信号が入力し、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、且つ、予め設定された印刷機起動条件が成立すると印刷を開始するステップと、を有する。
【0009】
本開示の印刷機は、ウェブを供給する給紙装置と、前記ウェブに印刷を行う印刷装置と、印刷済の前記ウェブを縦裁断して重ねると共に搬送経路および経路長を変更するウェブパス装置と、縦裁断して重ねられた前記ウェブを縦折りした後に横断裁して折帖を形成する折機と、前記印刷機の制御装置と、を備える。
【0010】
本開示の印刷システムは、前記印刷機の制御装置と、前記印刷機と、印刷資材を前記印刷機に供給する資材供給設備と、前記印刷機により印刷された印刷物を発送する発送設備と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の印刷機の制御装置および印刷機並びに印刷機の運転方法によれば、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態の印刷システムの制御ブロックを表す概略構成図である。
【
図2】
図2は、自動運転制御を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、自動運転制御の変形例を表すフローチャートである。
【
図4】
図4は、自動運転制御を表すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。
【
図6】
図6は、印刷資材供給設備である紙庫設備を表す概略構成図である。
【
図7】
図7は、新聞の発送設備を表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0014】
[新聞用オフセット輪転印刷機]
図5は、新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機は、印刷装置の版胴のサイズが4頁幅×1頁周長に設定された4×1輪転印刷機であるが、版胴のサイズが4頁幅×2頁周長に設定された4×2輪転印刷機であってもよい。
【0015】
図5に示すように、本実施形態の印刷機は、新聞用オフセット輪転印刷機Pである。新聞用オフセット輪転印刷機(以下、印刷機と称する。)Pは、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとを備える。
【0016】
給紙装置Rは、複数(本実施形態では、5台)の給紙ユニットR1~R5を有する。インフィード装置Iは、複数(本実施形態では、5台)のインフィードユニットI1~I5を有する。印刷装置Uは、複数(本実施形態では、5台)の印刷ユニットU1~U5を有する。ウェブパス装置Dは、1台のウェブパスユニットD1を有する。折機Fは、1台の折ユニットF1を有する。
【0017】
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1~R5は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブ(印刷媒体)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アームを有する。保持アームを回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1~I5は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1~U5に送り込むウェブWの張力を調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWの張力を適正値に安定して維持する。なお、給紙装置Rからインフィード装置IまでのウェブWの張力は、給紙ユニットR1~R5に設けられたブレーキ装置により行われる。
【0018】
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1~U5は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1~U5は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11~U52とすることができる。印刷ユニットU11~U52は、ほぼ同様の構成をなし、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有する。
【0019】
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1~U5に対して設けられる。ウェブパスユニットD1は、ウェブWを縦方向(ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWにおける天地長手方向の絵柄位置を調整するコンペンセータなどを有する。印刷ユニットU1~U5で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより絵柄位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
【0020】
折機Fにて、折ユニットF1は、ウェブパスユニットD1から複数のウェブWが重ねられて導入されたウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。
【0021】
<資材供給設備>
図6は、印刷資材供給設備である紙庫設備を表す概略構成図である。
【0022】
資材供給設備は、各種の印刷資材を印刷機Pに供給するものである。資材供給設備は、紙庫設備、インキ供給設備、刷版供給設備などがある。ここでは、紙庫設備について説明する。
【0023】
図6に示すように、紙庫設備50は、クレーン51と、ストレージテーブル52と、コンベア53と、読み取り装置54と、紙庫55と、移載装置56と、給紙搬送装置57と、紙庫制御装置58とを備える。紙庫設備50は、外部から搬入トラック59により搬送された巻取紙(ウェブ)RWを紙庫55に搬入して格納すると共に、印刷に必要な巻取紙RWを紙庫55から搬出して印刷機Pに供給するものである。
【0024】
クレーン51は、搬入トラック59の停止位置とストレージテーブル52との間に配置される。クレーン51は、搬入トラック59により搬送された多数の巻取紙RWを荷台から吊り上げ、ストレージテーブル52に荷降ろす。ストレージテーブル52は、クレーン51により荷降ろされた巻取紙RWをストッパにより受け止め、1本ずつ搬送ラインへ送り出す。コンベア53は、例えば、円弧形状をなす凹部が設けられたスラットコンベアまたはローラコンベアにより構成される搬送ラインを有する。コンベア53は、ストレージテーブル52が受け止めた巻取紙RWを紙庫55まで搬送する。読み取り装置54は、例えば、バーコードリーダであり、巻取紙RWに記載されているバーコードを読み取ることで、巻取紙RWの製造情報を読み込む。バーコードは、例えば、製紙会社、製紙工場、抄造機、抄造月日、ロット番号、紙種(品種、連数、巻幅等)などが番号化されたものである。
【0025】
紙庫55は、多段式の棚に多数の巻取紙RWを格納する。紙庫55は、スタッカクレーンを有し、スタッカクレーンにより紙庫55に対する巻取紙RWの入出庫を行う。移載装置56は、スタッカクレーンにより紙庫55から出庫された巻取紙RWを給紙搬送装置57に移載する。給紙搬送装置57は、例えば、自動搬送台車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を有し、移載装置56により紙庫55から出庫された巻取紙RWを受け取り、印刷機Pの給紙装置Rに供給する。紙庫制御装置58は、クレーン51、コンベア53、読み取り装置54、紙庫55、移載装置56、給紙搬送装置57を制御する。
【0026】
巻取紙RWは、搬入トラック59により搬送される。搬入トラック59に積まれた巻取紙RWは、クレーンによりストレージテーブル52に荷降ろされ、コンベア53により紙庫55における所定のラックに搬送されて格納される。このとき、読み取り装置54は、巻取紙RWの製造情報を読み込み、紙庫制御装置58に出力する。
【0027】
紙庫55に格納されている巻取紙RWを印刷機Pで使用するとき、必要となる巻取紙RWが印刷機Pに供給される。紙庫55に格納されている巻取紙RWは、スタッカクレーンにより移載装置56に搬送され、移載装置56が巻取紙RWを給紙搬送装置57に移載する。給紙搬送装置57は、紙庫55から出庫された巻取紙RWを印刷機Pの給紙装置Rに供給する。
【0028】
一方、印刷機Pは、印刷制御装置PC(プレスコントロール)により制御される。紙庫制御装置58は、読み取り装置54から入力した巻取紙RWの製造情報を後述する自動印刷管理装置22を介して印刷制御装置PCに出力する。印刷制御装置PCは、印刷に使用する巻取紙RWの製造情報に応じて設定された各種の印刷設定値に基づいて印刷機Pを制御可能である。印刷制御装置PCと紙庫制御装置58とは、情報を共有可能である。
【0029】
<発送設備>
図7は、新聞の発送設備を表す概略図である。
【0030】
図7に示すように、発送設備60は、裁荷装置61と、キャリア装置62と、カウンタスタッカ63と、配送コンベア64と、発送制御装置65とを備える。
【0031】
裁荷装置61は、印刷機Pに隣接して配置される。印刷機Pにより印刷された印刷物(新聞)Nは、排紙コンベア66により裁荷装置61に搬送される。裁荷装置61は、排紙コンベア66により搬送された印刷物Nをキャリア装置62に供給する。裁荷装置61は、搬送切替装置67が配置される。搬送切替装置67は、印刷物Nの搬送先を発送ライン61aと排出ライン61bとの間で切り替える。発送ライン61aは、良紙である印刷物Nをキャリア装置62に供給する。排出ライン61bは、不良紙である印刷物Nを外部に排出する。
【0032】
キャリア装置62は、グリッパ装置が印刷物の端部を把持して搬送し、カウンタスタッカ63に受け渡す。カウンタスタッカ63は、計数センサ68を有する。カウンタスタッカ63は、キャリア装置62により搬送された印刷物Nの1バッチを計数センサ68により計数し、縦列に集積する。カウンタスタッカ63は、縦列に集積された印刷物Nを1バッチごとに180度回転して積み上げ、1スタックとして搬出する。配送コンベア64は、宛名を指定され、梱包された1スタックの印刷物Nを発送トラック69まで搬送する。
【0033】
発送制御装置65は、裁荷装置61、キャリア装置62、カウンタスタッカ63、配送コンベア64を制御する。印刷制御装置PCは、印刷物Nの情報を発送制御装置65に出力する。発送制御装置65は、後述する自動印刷管理装置22を介して入力する印刷制御装置PCからの印刷物Nの情報に基づいて裁荷装置61、キャリア装置62、カウンタスタッカ63、配送コンベア64を制御可能である。印刷制御装置PCと発送制御装置65とは、情報を共有可能である。
【0034】
<印刷システム>
図1は、本実施形態の印刷システムの制御ブロックを表す概略構成図である。
【0035】
図1に示すように、印刷システム20は、スケジュール生成部21と、紙庫設備(資材供給設備)50と、発送設備60と、自動印刷管理装置(印刷機の制御装置)22と、操作装置23と、記憶部24と、表示装置25と、印刷制御装置PCと、印刷機Pとを備える。
【0036】
印刷システム20は、印刷制御装置PCが印刷機Pを制御することで、印刷を行う。また、印刷システム20は、自動印刷管理装置22が印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御することで、自動運転を行う。
【0037】
ここで、印刷機Pの自動運転とは、予約運転と自動印刷の実施である。すなわち、自動運転とは、予め設定された印刷機起動条件が成立したときに、自動的に印刷機Pが起動して印刷作業を実行するものである。印刷機起動条件とは、自動印刷起動時刻に到達したこと、自動印刷許可信号が入力したこと、印刷機起動信号が入力したことである。自動印刷管理装置22は、例えば、自動印刷許可信号が入力し、且つ、自動印刷起動時刻に到達したり、印刷機起動信号が入力したりしたときに、印刷を開始する。
【0038】
スケジュール生成部21は、予定印刷部数と予定印刷終了時刻に基づいて印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを生成する。予定印刷部数とは、その日に印刷する印刷物の部数であり、複数種類の印刷物を印刷する場合、印刷物ごとの部数である。予定印刷終了時刻とは、1種類または複数種類の印刷物の印刷が終了する時刻であり、印刷物を発送する時刻に応じて設定される場合もある。印刷機起動時刻とは、印刷機Pを起動する時間であり、印刷機Pの起動後に、検紙処理や印刷速度の調整などを行い、通常印刷速度まで上昇させて印刷を行う。また、スケジュール生成部21は、印刷機起動前の報知時刻、すなわち印刷機Pが起動することを表示装置25に表示して報知する時刻を設定する。報知する時刻は印刷機が起動する時刻よりも前に設定される。
【0039】
紙庫設備50は、
図6に示すように、外部から搬送された巻取紙RWを紙庫55に搬入して格納すると共に、印刷に必要な巻取紙RWを紙庫55から搬出して印刷機Pに供給する。発送設備60は、
図7に示すように、印刷機Pにより印刷された印刷物Nを計数し、1スタックとして発送トラック69により発送する。
【0040】
自動印刷管理装置22は、スケジュール生成部21と紙庫設備(資材供給設備)50と発送設備60と印刷制御装置PCとに接続される。なお、自動印刷管理装置22は、紙庫設備50以外の資材供給設備(インキ供給設備や刷版供給設備など)にも接続される。自動印刷管理装置22は、スケジュール生成部21が生成した印刷スケジュールが入力される。また、自動印刷管理装置22は、スケジュール生成部21に対して印刷スケジュールを変更する印刷スケジュール変更信号を出力する。
【0041】
自動印刷管理装置22は、紙庫設備50などの資材供給設備から印刷機関連設備準備完了信号としての紙庫設備準備完了信号(資材供給設備準備完了信号)が入力される。また、自動印刷管理装置22は、発送設備60から印刷機関連設備準備完了信号としての発送設備準備完了信号が入力される。印刷機関連設備としては、巻取紙(印刷資材)RWを印刷機Pに供給する紙庫設備(資材供給設備)50と、印刷機Pにより印刷された印刷物Nを発送する発送設備60とを有する。紙庫設備50の紙庫制御装置58(
図6参照)は、印刷スケジュールに応じた紙庫準備作業が完了すると、自動印刷管理装置22に紙庫設備準備完了信号を出力する。発送設備60の発送制御装置65(
図7参照)は、印刷スケジュールに応じた発送準備作業が完了すると、自動印刷管理装置22に発送設備準備完了信号を出力する。なお、紙庫設備準備完了信号および発送設備準備完了信号は、紙庫設備50や発送設備60が自動印刷管理装置22に自動的に送るものであっても、作業者が手動スイッチを操作して送るものであってもよい。また、紙庫設備準備完了信号および発送設備準備完了信号は、紙庫設備50準備作業や発送設備60の準備作業が早く完了すれば、前日であるとか、いつ送られてもよい。
【0042】
ここで、紙庫準備作業とは、印刷物に応じた、紙種の設定、巻幅・出庫本数の設定、中残紙の使用設定、紙継ぎ用巻取仕立て、給紙装置Rへの巻取紙RWの供給などである。また、発送準備作業とは、印刷物に応じたキャリア装置62の設定、カウンタスタッカ使用台数・小束機/大束機の設定、印刷物の頁数に応じたバッチ数・スタック数の設定、宛名紙・結束バンド・包装ビニールシートの準備、発送コンベアと積み込みトラックの待機などである。
【0043】
自動印刷管理装置22は、印刷制御装置PCから印刷機準備完了信号が入力される。印刷機Pの印刷制御装置PCは、印刷スケジュールに応じた印刷準備作業が完了すると、自動印刷管理装置22に印刷機準備完了信号を出力する。ここで、印刷機準備作業とは、使用印刷ユニットの変更など運転パターンの選択処理、巻取紙の変更作業、紙通し作業、版装着作業、版交換作業、インキ巻処理、各種プリセット値の入力処理などである。なお、印刷機準備完了信号は、印刷制御装置PCが自動印刷管理装置22に自動的に送るものであっても、作業者が手動スイッチを操作して送るものであってもよい。
【0044】
操作装置23は、自動印刷管理装置22に接続される。操作装置23は、作業者が操作可能であり、作業者が操作装置23を操作することで、自動印刷管理装置22に各種のデータや操作信号などを入力可能である。作業者が操作装置23を操作することで、自動印刷管理装置22に対して印刷予約信号を出力可能である。印刷予約信号とは、印刷機Pが印刷スケジュールに基づいて印刷を行う自動印刷を予約するための信号である。自動印刷管理装置22は、印刷予約信号が入力すると、自動運転モードが開始される。自動運転モードでは、印刷制御装置PCは、自動印刷管理装置22が送った印刷スケジュールに基づいて印刷機Pを制御する。
【0045】
自動印刷管理装置22は、印刷予約信号が入力したとき、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号(資材供給設備準備完了信号としての紙庫設備準備完了信号および発送設備準備完了信号)が入力すると、予め設定された印刷機起動時刻に到達したとき、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷を開始する。
【0046】
自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号が入力すると、印刷機起動時刻に到達するまで、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを起動待機状態に維持する。起動待機状態とは、自動印刷管理装置22に印刷機準備完了信号の入力が完了し、印刷機Pが印刷機起動条件の成立による印刷開始を待っている状態である。
【0047】
また、作業者が操作装置23を操作することで、自動印刷管理装置22に対して自動印刷許可信号を出力可能である。ここで、操作装置23を操作して自動印刷管理装置22に対して自動印刷許可信号を出力する作業者は、管理責任者であることが好ましい。自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力すると、例えば、表示装置25に印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力したことを表示させると共に、自動印刷許可信号の入力を要求する表示を行う。また、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力すると、例えば、スピーカから印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力したことをアナウンスさせると共に、自動印刷許可信号の入力を要求するアナウンスを行うようにしてもよい。管理責任者は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力したことを確認し、自動印刷許可信号の入力の要求に対して、例えば、周囲の安全確認を行った後、操作装置23により自動印刷管理装置22に自動印刷許可信号を出力する。
【0048】
自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、自動印刷許可信号が入力した後、印刷機起動時刻に到達すると、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷を開始する。なお、自動印刷許可信号の入力は、印刷機起動時刻に到達した後であってもよい。すなわち、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、印刷機起動時刻に到達した後、自動印刷許可信号が入力すると、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷を開始する。
【0049】
また、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号が入力したが、印刷機関連設備準備完了信号が入力していないとき、印刷機起動時刻までに印刷機関連設備の準備作業が完了する予定であるかを確認する。ここで、印刷機起動時刻までに印刷機関連設備の準備作業が完了する予定である場合、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更しない。一方、印刷機起動時刻までに印刷機関連設備の準備作業が完了しない場合、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更する印刷スケジュール変更信号をスケジュール生成部21に出力する。スケジュール生成部21は、現在の時刻に応じて、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更し、変更した印刷スケジュールを自動印刷管理装置22に出力する。自動印刷管理装置22は、変更された新しい印刷スケジュールに基づいて印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷を開始する。
【0050】
なお、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力した状態で、印刷機起動時刻に到達する前に、作業者が操作装置23を操作することで、印刷機起動信号が入力すると、印刷機起動時刻を待たずに印刷を開始する。
【0051】
記憶部24は、自動印刷管理装置22に接続される。記憶部24は、スケジュール生成部21が生成した印刷スケジュールを記憶する。表示装置25は、自動印刷管理装置22に接続される。表示装置25、例えば、ディスプレイやスピーカや警告灯などである。表示装置25は、自動印刷管理装置22による制御内容や作業者への通知を表示可能である。具体的に、自動印刷管理装置22は、印刷機起動時刻に印刷を開始したとき、表示装置25に自動印刷中であることを表示する。この場合、自動印刷管理装置22は、図示しないスピーカから自動印刷中であることをアナウンスさせてもよい。
【0052】
印刷制御装置PCは、印刷機Pを制御するものであり、印刷機Pは、巻取紙RWから繰り出されたウェブWに印刷を行い、重ねて裁断することで印刷物(新聞)Nを印刷する。
【0053】
<自動運転制御>
まず、自動運転制御の予約処理および自動印刷処理について具体的に説明する。
図2は、自動運転制御を表すフローチャートである。
【0054】
図1および
図2に示すように、ステップS11にて、作業者は、操作装置23を用いて予め設定された印刷情報を自動印刷管理装置22に入力する。ここで、印刷情報とは、スケジュール生成部21が印刷スケジュールを生成するための情報を含むデータである。すなわち、印刷情報は、その日に印刷する印刷物の予定印刷部数、予定印刷終了時刻、印刷物の仕様などである。
【0055】
ステップS12にて、スケジュール生成部21は、入力された印刷物の予定印刷部数、予定印刷終了時刻、印刷物の仕様などを含むデータに基づいて印刷スケジュールを生成する。印刷スケジュールは、少なくとも、印刷機起動時刻を含む。スケジュール生成部21は、生成した印刷スケジュールを記憶部24に記憶させる。
【0056】
ステップS13にて、作業者は、操作装置23を操作することで、自動印刷管理装置22に対して印刷予約信号を出力する。印刷予約信号とは、印刷機Pによる自動印刷を予約するための信号であり、作業者は、スケジュール生成部21が生成した印刷スケジュールまたは記憶部24に記憶された印刷スケジュールに基づいて印刷機Pが自動印刷を実施することを予約する。このとき、自動印刷管理装置22は、印刷機Pを自動印刷する自動運転モードを開始する。すなわち、自動印刷管理装置22は、印刷スケジュールに設定された印刷機起動時刻になると、印刷機Pを起動して印刷を開始する。
【0057】
ステップS14にて、印刷機Pの自動運転モードが開始されたことを表示装置25により表示して報知する。ステップS15にて、印刷スケジュールに設定された印刷機準備作業開始時刻になると、印刷機準備作業を行う。この場合、自動印刷管理装置22は、印刷機準備作業開始時刻になったことを表示装置25により通知することが好ましい。印刷機準備作業は、印刷制御装置PCが印刷機Pを制御して行う運転パターンの選択処理、インキ巻処理、ローラ洗浄処理、各種プリセット値の入力処理と、作業者が行う紙通し作業、版装着(版交換)作業である。なお、印刷機関連設備準備作業は、必要に応じて、いつ行ってもよいが、印刷機起動時刻前に完了させる。印刷機関連設備準備作業は、印刷資材供給設備としての紙庫設備50による巻取紙RWの供給作業、発送設備60による発送準備作業である。
【0058】
ステップS16にて、自動印刷管理装置22は、印刷制御装置PCから印刷機準備完了信号が入力したか否かを判定する。ここで、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号が入力していないと判定(No)すると、ステップS15の処理の完了を待つ。
【0059】
一方、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号が入力したと判定(Yes)すると、ステップ17にて、印刷機Pを起動待機状態に維持する。ステップS18にて、印刷機関連設備準備作業が完了したか、すなわち、紙庫設備50からの紙庫設備準備完了信号と、発送設備60からの発送設備準備完了信号が入力したか否かを判定する。ここで、自動印刷管理装置22は、紙庫設備準備完了信号と発送設備準備完了信号が入力したと判定(Yes)すると、ステップS19にて、自動印刷許可信号を要求することを表示装置25により表示して報知する。そして、ステップS20にて、自動印刷管理装置22は、自動印刷許可信号が入力したか否かを判定する。
【0060】
一方、ステップS18にて、自動印刷管理装置22は、印刷機準備完了信号が入力したが、印刷機関連設備準備完了信号が入力していないと判定(No)すると、ステップS21にて、印刷機Pの起動時刻前に、印刷機関連設備準備作業が完了予定であるかを判定する。ここで、自動印刷管理装置22は、印刷機Pの起動時刻前に、印刷機関連設備準備作業が完了予定であると判定(Yes)すると、ステップS19に移行する。
【0061】
一方、自動印刷管理装置22は、印刷機Pの起動時刻前に、印刷機関連設備準備作業が完了できないと判定(No)すると、印刷機Pを印刷スケジュール通りに制御することができない。そのため、ステップS22にて、自動印刷管理装置22は、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更する印刷スケジュール変更信号をスケジュール生成部21に出力する。スケジュール生成部21は、現在の時刻に応じて、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更し、変更した印刷スケジュールを自動印刷管理装置22に出力する。自動印刷管理装置22は、変更された新しい印刷スケジュールに基づいて印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御する。そして、ステップS18に戻る。
【0062】
ステップS19にて、自動印刷管理装置22は、例えば、表示装置25に「自動印刷許可信号の入力をお願いします。」などの表示を出し、自動印刷許可信号の入力を要求する。ステップS20にて、自動印刷管理装置22は、自動印刷許可信号が入力したか否かを判定する。管理責任者は、例えば、印刷機Pの周囲の安全確認を行った後、操作装置23を操作して自動印刷管理装置22に自動印刷許可信号を出力する。
【0063】
このとき、自動印刷管理装置22は、自動印刷許可信号が入力していないと判定(No)すると、待機状態になる。一方、自動印刷管理装置22は、自動印刷許可信号が入力したと判定(Yes)し、その後、スケジュール生成部21で予め設定した報知時刻に到達すると、ステップS23にて、印刷機Pが起動することを表示装置25に表示して報知する。なお、この場合、自動印刷許可信号が入力した時刻が報知時刻を経過していたら、自動印刷許可信号が入力してすぐに印刷機Pが起動することを報知してもよい。ステップS24にて、自動印刷管理装置22は、現在の時刻が印刷機起動時刻に到達したか否かを判定する。ここで、自動印刷管理装置22は、印刷機起動時刻に到達していないと判定(No)すると、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを起動待機状態に維持する。
【0064】
自動印刷管理装置22は、印刷機起動時刻に到達したと判定(Yes)すると、ステップS25にて、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを起動して印刷を開始する。ステップS26にて、自動印刷管理装置22は、印刷機Pの自動印刷が開始したことを表示装置25に表示して報知する。ステップS27にて、自動印刷管理装置22は、表示装置25に、例えば、印刷機Pの手動印刷作業中は、白ランプを点灯させ、印刷機Pの自動印刷作業中は、黄ランプを点灯させる。
【0065】
ステップS28にて、自動印刷管理装置22は、印刷スケジュールに基づいた印刷が全て終了したか否かを判定する。自動印刷管理装置22は、印刷スケジュールに基づいた印刷がまだ終了していないと判定(No)すると、印刷機Pの自動印刷作業を継続する。一方、自動印刷管理装置22は、印刷スケジュールに基づいた印刷が全て終了したと判定(Yes)すると、ステップS29にて、自動印刷管理装置22は、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを停止して印刷を終了する。なお、自動印刷管理装置22は、部数管理システムと連携し、部数管理システムが有する情報に基づいて印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを停止して印刷を終了してもよい。
【0066】
自動運転制御の予約処理および自動印刷処理の変形例について具体的に説明する。
図3は、自動運転制御の変形例を表すフローチャートである。
【0067】
図1および
図3に示すように、ステップS11~ステップS29の処理は、
図4の処理と同様であり、新たにステップS31~ステップS33の処理が付加された。
【0068】
ステップS18にて、自動印刷管理装置22は、紙庫設備準備完了信号と発送設備準備完了信号が入力したと判定(Yes)すると、ステップS31にて、自動印刷管理装置22は、印刷機Pと印刷機関連設備である紙庫設備50および発送設備60に異常があるか否かを判定する。この判定は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60が実施し、判定結果が自動印刷管理装置22に入力される。
【0069】
自動印刷管理装置22は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60に異常がないと判定(Yes)すると、ステップS19に移行し、自動印刷許可信号を要求することを表示装置25により表示して報知する。一方、自動印刷管理装置22は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60のいずれかに異常があると判定(No)すると、ステップS32にて、異常は、印刷機起動時刻までに解消予定であるか否かを判定する。この判定は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60が実施し、判定結果が自動印刷管理装置22に入力される。
【0070】
自動印刷管理装置22は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60の異常は、印刷機起動時刻までに解消予定であると判定(Yes)すると、ステップS19に移行する。一方、自動印刷管理装置22は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60の異常は、印刷機起動時刻までに解消予定ではないと判定(No)すると、ステップS33に移行する。自動印刷管理装置22は、印刷機Pの起動時刻前に、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60の異常が解消予定でないと、印刷機Pを印刷スケジュール通りに制御することができない。そのため、ステップS33にて、自動印刷管理装置22は、スケジュール生成部21により印刷スケジュールを変更し、ステップS31に戻る。
【0071】
次に、自動運転制御の予約処理および自動印刷処理の時間的な流れについて説明する。
図4は、自動運転制御を表すタイムチャートである。
【0072】
図1および
図3に示すように、時刻t1にて、作業者は、操作装置23を用いて印刷情報を自動印刷管理装置22に入力する。時刻t2にて、スケジュール生成部21は、入力された印刷情報に基づいて印刷スケジュールの生成を開始する。時刻t3にて、スケジュール生成部21は、印刷スケジュールの生成を終了し、印刷スケジュールを自動印刷管理装置22に出力する。時刻t4にて、作業者は、操作装置23を用いて自動印刷管理装置22に印刷予約信号を出力する。すると、自動印刷管理装置22は、印刷機Pを自動運転する自動運転モードを開始し、表示装置25により自動運転モードが開始されたことを報知する。
【0073】
時刻t5にて、印刷機準備完了信号が入力し、印刷機Pが起動待機状態となる。このとき、自動印刷管理装置22は、表示装置25により印刷機Pが自動運転中(起動待機状態)であることを報知する。時刻t6にて、印刷機関連設備準備完了信号が入力し、自動印刷管理装置22は、印刷機Pと紙庫設備50と発送設備60の異常確認処理を開始する。
【0074】
そして、時刻t7にて、自動印刷管理装置22は、表示装置25により自動印刷許可信号の入力を要求する。時刻t8にて、作業者は、操作装置23を用いて自動印刷管理装置22に自動印刷許可信号出力する。時刻t9にて、自動印刷管理装置22は、表示装置25により印刷機Pが自動印刷を開始する状態になったこと、すなわち、間もなく印刷機Pが起動することを報知する。その後、時刻t10にて、印刷機起動時刻になると、自動印刷管理装置22は、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを起動して印刷を開始する。このとき、自動印刷管理装置22は、表示装置25により印刷機Pの自動運転が開始したことを周囲に知らせる報知を行う。その後、印刷スケジュールに基づいた印刷が全て終了すると、時刻t11にて、自動印刷管理装置22は、印刷制御装置PCを介して印刷機Pを制御し、印刷機Pを停止して印刷を終了する。
【0075】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷予約信号が入力したとき、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、予め設定された印刷機起動条件が成立すると、印刷を開始する。
【0076】
第1の態様に係る印刷機の制御装置によれば、印刷予約信号の入力により印刷機Pによる自動印刷が予約されたとき、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力され、印刷機起動条件が成立すると、印刷を開始する。そのため、印刷の自動化や作業者に対する支援機能を充実させることにより省力化および省人化を図ることができる。そして、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図ることができる。
【0077】
第2の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機起動条件として、予め設定された印刷機起動時刻に到達すると印刷を開始する。これにより、自動印刷を予約した印刷機起動時刻に印刷を開始することができる。
【0078】
第3の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機起動条件として、自動印刷許可信号が入力した後、印刷機起動時刻に到達すると印刷を開始する、これにより、自動印刷許可信号が入力しないと、印刷機起動時刻に到達しても自動印刷が開始されないため、自動印刷の開始に際して、作業者の意向を反映することができる。
【0079】
なお、印刷機起動条件として、印刷機起動時刻に到達した後、自動印刷許可信号が入力すると印刷を開始するように構成してもよい。
【0080】
第4の態様に係る印刷機の制御装置は、自動印刷許可信号は、作業者が操作装置23を操作することで出力される。これにより、自動印刷許可信号が入力しないと自動印刷が開始されず、作業者が操作装置23を操作して自動印刷許可信号を出力することで、印刷機Pの起動に際して、作業者の意向を反映することができる。
【0081】
第5の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力した後、印刷機Pおよび印刷機関連設備としての紙庫設備50および発送設備60に異常がないとき、自動印刷許可信号の入力を要求する。これにより、自動印刷にかかわる一連の生産工程を円滑に進めることができる。
【0082】
第6の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機起動条件として、印刷機起動時刻に到達する前に印刷機起動信号が入力すると印刷を開始する。これにより、印刷機起動時刻を待たずに自動印刷を開始することができる。
【0083】
第7の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機関連設備は、印刷資材を印刷機Pに供給する印刷機関連設備としての紙庫設備50と、印刷機Pにより印刷された印刷物Nを発送する発送設備60とを有し、印刷機関連設備準備完了信号は、紙庫設備50の準備が完了したときに出力される紙庫設備準備完了信号(資材供給設備準備信号)と、発送設備60の準備が完了したときに出力される発送設備準備完了信号とを有する。これにより、印刷前に、印刷機Pに対する巻取紙RWの供給準備と、印刷機Pが印刷した印刷物Nの発送準備を確認することで、印刷機Pによる印刷を作業者が行う場合と同等なレベルで、適切に自動印刷を開始することができる。
【0084】
第8の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機準備完了信号が入力すると、印刷機起動条件が成立するまで印刷機Pが起動待機状態に維持される。これにより、印刷機Pの起動待機状態で、例えば、責任者から許可を待って印刷機Pを起動することとなり、印刷機Pの起動に際して責任者の意向を反映することができる。
【0085】
第9の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号の少なくともいずれか一方が、前記印刷機起動時刻までに入力されないと、印刷機起動時刻を含む印刷スケジュールを変更する印刷スケジュール変更信号を出力する。これにより、自動印刷処理を継続することができる。
【0086】
第10の態様に係る印刷機の制御装置は、印刷機起動条件が成立すると、自動印刷中であることを報知する。これにより、印刷機Pの自動印刷中の安全性を確保することができる。
【0087】
第11の態様に係る印刷機の運転方法は、印刷予約信号を入力するステップと、印刷予約信号が入力し、印刷機準備完了信号と印刷機関連設備準備完了信号が入力し、且つ、予め設定された印刷機起動条件が成立すると印刷を開始するステップとを有する。これにより、印刷の自動化や作業者に対する支援機能を充実させることにより省力化および省人化を図ることができる。そして、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図ることができる。
【0088】
第12の態様に係る印刷機は、ウェブWを供給する給紙装置Rと、ウェブWに印刷を行う印刷装置Uと、印刷済のウェブWを縦裁断して重ねると共に搬送経路および経路長を変更するウェブパス装置Dと、縦裁断して重ねられたウェブWを縦折りした後に横断裁して折帖を形成する折機Fと、自動印刷管理装置(印刷機の制御装置)とを備える。これにより、印刷の自動化や作業者に対する支援機能を充実させることにより省力化および省人化を図ることができる。そして、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図ることができる。
【0089】
第13の態様に係る印刷システムは、自動印刷管理装置(印刷機の制御装置)22と、印刷制御装置PCを有する印刷機Pと、印刷機関連設備としての紙庫設備50と、印刷機Pにより印刷された印刷物を発送する発送設備60とを備える。これにより、印刷の自動化や作業者に対する支援機能を充実させることにより省力化および省人化を図ることができる。そして、印刷機の自動運転を可能とすることで印刷作業の作業性の向上を図ることができる。
【0090】
なお、上述した実施形態では、スケジュール生成部21が予定印刷部数と予定印刷終了時刻に基づいて印刷スケジュールを設定し、自動印刷管理装置が印刷制御部PCを介して印刷スケジュールに基づいて印刷機Pを制御するように構成したが、印刷スケジュールは、別途生成して記憶部24に記憶されたものを使用してもよい。
【0091】
また、上述した実施形態では、印刷機の制御装置を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、別の印刷機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
20 印刷システム
21 スケジュール生成部
22 自動印刷管理装置(印刷機の制御装置)
23 操作装置
24 記憶部
25 表示装置
50 紙庫設備
51 クレーン
52 ストレージテーブル
53 コンベア
54 読み取り装置
55 紙庫
56 移載装置
57 給紙搬送装置
58 紙庫制御装置
59 搬入トラック
60 発送設備
61 裁荷装置
62 キャリア装置
63 カウンタスタッカ
64 配送コンベア
65 発送制御装置
66 排紙コンベア
67 搬送切替装置
68 計数センサ
69 発送トラック
P 新聞用オフセット輪転印刷機(印刷機)
PC 印刷制御装置
R 給紙装置
R1~R5 給紙ユニット
I インフィード装置
I1~I5 インフィードユニット
U 印刷装置
U1~U5,U11~U52 印刷ユニット
D ウェブパス装置
D1 ウェブパスユニット
F 折機
F1 折ユニット
RW 巻取紙
W ウェブ
N 印刷物