(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064574
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】自動ドア装置、自動ドア装置の制御方法、及び自動ドア装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/611 20150101AFI20230501BHJP
【FI】
E05F15/611
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174922
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052AA02
2E052BA04
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA02
2E052EB01
2E052EC02
2E052GB15
2E052GD07
(57)【要約】
【課題】ドアの安定した開閉動作が行われる自動ドア装置、自動ドア装置の制御方法、及び自動ドア装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】自動ドア装置10は、開口に設けられた開き戸の第1ドア及び第2ドアと、第1ドア及び第2ドアを駆動する第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40と、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する制御部21と、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40の回転方向に関する回転情報を取得する回転情報取得部22と、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40が減速制御された後に第1ドア及び第2ドアの駆動方向と逆方向に第1ドア及び第2ドアが動くバタつきが発生したか否かを回転情報に基づいて判断する判断部24と、バタつきが発生したと判断部24が判断したとき、バタつきが発生しないように制御部21の制御パラメータを変更する変更部25と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口に設けられた開き戸又は折戸のドアと、
前記ドアを駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の回転に関する回転情報を取得する回転情報取得部と、
前記駆動部が減速制御された後に前記ドアの駆動方向と逆方向に前記ドアが動くバタつきが発生したか否かを前記回転情報に基づいて判断する判断部と、
前記バタつきが発生したと前記判断部が判断したとき、前記バタつきが発生しないように前記制御部の前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更部と、を備える
自動ドア装置。
【請求項2】
前記回転情報取得部が取得した前記回転情報から前記ドアの移動速度を算出する速度算出部を備え、
前記判断部は、前記速度算出部が算出した前記ドアの全開位置又は全閉位置の付近で前記ドアの移動速度が閾値以上のときは前記全開位置又は前記全閉位置にて前記ドアがストッパーに衝突して跳ねるノークッションが発生したと判断し、
前記変更部は、前記ノークッションが発生したと前記判断部が判断したとき、前記ノークッションが発生しないように前記制御パラメータを変更する
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記バタつきが発生したと前記判断部が判断したとき、前記ドアを減速制御するときの減速度を前記制御パラメータよりも下方に変更すること、前記ドアの減速制御の開始を前記制御パラメータよりも早くすること、前記ドアの駆動速度を前記制御パラメータよりも下方に変更することの少なくとも一つを行う
請求項1又は2に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記ノークッションが発生したと前記判断部が判断したとき、前記ドアを減速制御するときの減速度を前記制御パラメータよりも上方に変更すること、前記ドアの減速制御の開始を前記制御パラメータよりも早くすること、前記ドアの駆動速度を前記制御パラメータより下方に変更することの少なくとも一つを行う
請求項2に記載の自動ドア装置。
【請求項5】
前記制御部が前記駆動部を制御するときの制御パラメータと前記制御パラメータのときの前記判断部の判断結果とを記憶する記憶部を備え、
前記変更部は、前記記憶部に記憶した前記制御パラメータと前記判断結果とに基づいて前記制御パラメータを変更する
請求項1~4のいずれか一項に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶した前記制御パラメータと前記判断結果とに基づいて前記制御パラメータの更なる変更が可能か否かを判断する変更判断部と、
前記変更判断部が前記制御パラメータの更なる変更ができないと判断したときに報知する報知部と、を備える
請求項5に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動する駆動部の回転に関する回転情報を取得する回転情報取得ステップと、
前記駆動部が減速制御された後に前記ドアの駆動方向と逆方向に前記ドアが動くバタつきが発生したか否かを前記回転情報に基づいて判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて前記バタつきが発生したと判断したとき、前記バタつきが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、を含む
自動ドア装置の制御方法。
【請求項8】
開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動する駆動部の回転に関する回転情報を取得する回転情報取得ステップと、
前記駆動部が減速制御された後に前記ドアの駆動方向と逆方向に前記ドアが動くバタつきが発生したか否かを前記回転情報に基づいて判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて前記バタつきが発生したと判断したとき、前記バタつきが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、をコンピュータが実行する
自動ドア装置の制御プログラム。
【請求項9】
開口に設けられた開き戸又は折戸のドアと、
前記ドアを駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記制御部が前記ドアを開閉制御しているときに前記ドアに発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する程度情報取得部と、
前記程度情報取得部が取得した前記程度情報に基づいて前記揺れが発生しないように前記制御部の前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更部と、を備える
自動ドア装置。
【請求項10】
前記程度情報取得部は、前記揺れが発生したときの前記ドアの動作フェーズ情報を取得し、
前記変更部は、前記程度情報取得部が取得した前記動作フェーズ情報に応じて前記制御パラメータを変更する
請求項9に記載の自動ドア装置。
【請求項11】
前記変更部は、前記揺れの程度に基づいて前記制御パラメータの変更が必要と判断したとき、前記ドアを減速制御するときの減速度を前記制御パラメータよりも下方に変更すること、前記ドアの減速制御の開始を前記制御パラメータよりも早くすること、前記ドアの駆動速度を前記制御パラメータよりも下方に変更することの少なくとも一つを行う
請求項9又は10に記載の自動ドア装置。
【請求項12】
開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動部が駆動しているときに前記ドアに発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する程度情報取得ステップと、
前記程度情報取得ステップにおいて取得した前記程度情報に基づいて前記揺れが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、を含む
自動ドア装置の制御方法。
【請求項13】
開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動部が駆動しているときに前記ドアに発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する程度情報取得ステップと、
前記程度情報取得ステップにおいて取得した前記程度情報に基づいて前記揺れが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、をコンピュータが実行する
自動ドア装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、自動ドア装置の制御方法、及び自動ドア装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の自動ドア装置は、建物の開口に設けられる開き戸である。開き戸のドアは、回転軸を中心に回転される。開き戸は、ドアの回転によって建物の開口を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、開き戸のドアの慣性モーメントが、引戸のドアの慣性モーメントに比べて大きいため、開き戸のドアは、引戸のドアに比べて減速時にバタつきやすい。結果として、開き戸の施工では、建物の開口に自動ドア装置を設置した後に、ドアがバタつかないようにドアの調整を強いている。しかも、自動ドア装置の状態は変化するため、調整済みのドアが変化によってバタつく都度、ドアがバタつかないように調整することは、自動ドアの実情にそぐわない。このため、ドアの安定した開閉動作が行われることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する自動ドア装置は、開口に設けられた開き戸又は折戸のドアと、前記ドアを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記駆動部の回転に関する回転情報を取得する回転情報取得部と、前記駆動部が減速制御された後に前記ドアの駆動方向と逆方向に前記ドアが動くバタつきが発生したか否かを前記回転情報に基づいて判断する判断部と、前記バタつきが発生したと前記判断部が判断したとき、前記バタつきが発生しないように前記制御部の前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、ドアのバタつきが発生したか否かを判断して、ドアのバタつきが発生したと判断部が判断したとき、ドアのバタつきが発生しないように制御部の制御パラメータを変更部が変更する。このため、ドアのバタつきの発生を抑制することができる。よって、ドアの安定した開閉動作が行われる。
【0007】
上記自動ドア装置について、前記回転情報取得部が取得した前記回転情報から前記ドアの移動速度を算出する速度算出部を備え、前記判断部は、前記速度算出部が算出した前記ドアの全開位置又は全閉位置の付近で前記ドアの移動速度が閾値以上のときは前記全開位置又は前記全閉位置にて前記ドアがストッパーに衝突して跳ねるノークッションが発生したと判断し、前記変更部は、前記ノークッションが発生したと前記判断部が判断したとき、前記ノークッションが発生しないように前記制御パラメータを変更することが好ましい。
【0008】
上記自動ドア装置について、前記変更部は、前記バタつきが発生したと前記判断部が判断したとき、前記ドアを減速制御するときの減速度を前記制御パラメータよりも下方に変更すること、前記ドアの減速制御の開始を前記制御パラメータよりも早くすること、前記ドアの駆動速度を前記制御パラメータよりも下方に変更することの少なくとも一つを行うことが好ましい。
【0009】
上記自動ドア装置について、前記変更部は、前記ノークッションが発生したと前記判断部が判断したとき、前記ドアを減速制御するときの減速度を前記制御パラメータよりも上方に変更すること、前記ドアの減速制御の開始を前記制御パラメータよりも早くすること、前記ドアの駆動速度を前記制御パラメータより下方に変更することの少なくとも一つを行うことが好ましい。
【0010】
上記自動ドア装置について、前記制御部が前記駆動部を制御するときの制御パラメータと前記制御パラメータのときの前記判断部の判断結果とを記憶する記憶部を備え、前記変更部は、前記記憶部に記憶した前記制御パラメータと前記判断結果とに基づいて前記駆動部を制御する制御パラメータを変更することが好ましい。
【0011】
上記自動ドア装置について、前記記憶部に記憶した前記制御パラメータと前記判断結果とに基づいて前記制御パラメータの更なる変更が可能か否かを判断する変更判断部と、前記変更判断部が前記制御パラメータの更なる変更ができないと判断したときに報知する報知部と、を備えることが好ましい。
【0012】
上記課題を解決する自動ドア装置の制御方法は、開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動する駆動部の回転に関する回転情報を取得する回転情報取得ステップと、前記駆動部が減速制御された後に前記ドアの駆動方向と逆方向に前記ドアが動くバタつきが発生したか否かを前記回転情報に基づいて判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて前記バタつきが発生したと判断したとき、前記バタつきが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、を含む。
【0013】
上記方法によれば、ドアのバタつきが発生したか否かを判断して、ドアのバタつきが発生したと判断したとき、ドアのバタつきが発生しないように駆動部を制御する制御パラメータを変更する。このため、ドアのバタつきの発生を抑制することができる。よって、ドアの安定した開閉動作が行われる。
【0014】
上記課題を解決する自動ドア装置の制御プログラムは、開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動する駆動部の回転に関する回転情報を取得する回転方向情報取得ステップと、前記駆動部が減速制御された後に前記ドアの駆動方向と逆方向に前記ドアが動くバタつきが発生したか否かを前記回転方向情報に基づいて判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて前記バタつきが発生したと判断したとき、前記バタつきが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、をコンピュータが実行する。
【0015】
上記プログラムによれば、ドアのバタつきが発生したか否かを判断して、バタつきが発生したと判断したとき、ドアのバタつきが発生しないように駆動部を制御する制御パラメータを変更する。このため、ドアのバタつきの発生を抑制することができる。よって、ドアの安定した開閉動作が行われる。
【0016】
上記課題を解決する自動ドア装置は、開口に設けられた開き戸又は折戸のドアと、前記ドアを開閉制御する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記制御部が前記ドアを駆動しているときに前記ドアに発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する程度情報取得部と、前記程度情報取得部が取得した前記程度情報に基づいて前記制御部の前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更部と、を備える。
【0017】
上記構成によれば、ドアの揺れの程度に基づいて制御部の制御パラメータを変更部が変更する。このため、ドアの揺れを抑制することができる。よって、ドアの安定した開閉動作が行われる。
【0018】
上記自動ドア装置について、前記程度情報取得部は、前記揺れが発生したときの前記ドアの動作フェーズ情報を取得し、前記変更部は、前記程度情報取得部が取得した前記動作フェーズ情報に応じて前記制御パラメータを変更することが好ましい。
【0019】
上記自動ドア装置について、前記変更部は、前記揺れの程度に基づいて前記制御パラメータの変更が必要と判断したとき、前記ドアを減速制御するときの減速度を前記制御パラメータよりも下方に変更すること、前記ドアの減速制御の開始を前記制御パラメータよりも早くすること、前記ドアの駆動速度を前記制御パラメータよりも下方に変更することの少なくとも一つを行うことが好ましい。
【0020】
上記課題を解決する自動ドア装置の制御方法は、開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動部が駆動しているときに前記ドアに発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する程度情報取得ステップと、前記程度情報取得ステップにおいて取得した前記程度情報に基づいて前記揺れが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、を含む。
【0021】
上記方法によれば、ドアの揺れの程度に基づいて制御部の制御パラメータを変更する。このため、ドアの揺れを抑制することができる。よって、ドアの安定した開閉動作が行われる。
【0022】
上記課題を解決する自動ドア装置の制御プログラムは、開口に設けられた開き戸又は折戸のドアを駆動部が駆動しているときに前記ドアに発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する程度情報取得ステップと、前記程度情報取得ステップにおいて取得した前記程度情報に基づいて前記揺れが発生しないように前記駆動部を制御する制御パラメータを変更する変更ステップと、をコンピュータが実行する。
【0023】
上記プログラムによれば、ドアの揺れの程度に基づいて制御部の制御パラメータを変更する。このため、ドアの揺れを抑制することができる。よって、ドアの安定した開閉動作が行われる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ドアの安定した開閉動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】自動ドア装置の第1実施形態の概略構成を示す正面図。
【
図2】同実施形態の自動ドア装置の概略構成を示す平面図。
【
図3】同実施形態の自動ドア装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図4】同実施形態の自動ドア装置の開閉動作時の時間と速度との関係を示す図。
【
図5】同実施形態の自動ドア装置の動作を示すフローチャート。
【
図6】自動ドア装置の第2実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【
図7】同実施形態の自動ドア装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図5を参照して、自動ドア装置の第1実施形態について説明する。自動ドア装置は、両開き戸である。
【0027】
(自動ドア装置10)
図1及び
図2に示すように、建物の開口1には、自動ドア装置10が設置されている。自動ドア装置10は、2枚の第1ドア11及び第2ドア12を備えている。第1ドア11は、図中左側に位置する。第1ドア11は、戸尻11B寄りに位置する回転軸PLを中心に回転する。第1ドア11は、ドアが奥に開く側から見て、左側に回転軸PLがある左勝手である。第2ドア12は、図中右側に位置する。第2ドア12は、戸尻12B寄りに位置する回転軸PRを中心に回転する。第2ドア12は、ドアが奥に開く側から見て、右側に回転軸PRがある右勝手である。開口1の第1ドア11及び第2ドア12の上部には、無目13が設けられている。開口1の上部である無目13の下面には、ドアが手前へ開くことを規制する戸当たり14が設けられている。無目13には、自動ドア装置10のドアエンジン及びドアコントローラが設置されている。なお、戸当たり14がストッパーに相当する。
【0028】
図3に示すように、自動ドア装置10は、自動ドア装置10を制御するドアコントローラ20を備えている。ドアコントローラ20は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。ドアコントローラ20すなわちプロセッサにより実行される処理には、自動ドア装置10の制御方法が含まれる。自動ドア装置10の制御方法は、後述する回転情報取得ステップと判断ステップと変更ステップとを含む。なお、ドアコントローラ20は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムには自動ドア装置10の制御プログラムが含まれる。自動ドア装置10の制御プログラムは、回転情報取得ステップと判断ステップと変更ステップとをコンピュータに実行させる。
【0029】
自動ドア装置10は、第1ドア11を駆動する第1ドアエンジン30と、第2ドア12を駆動する第2ドアエンジン40とを備えている。第1ドアエンジン30は、第1モータ31と、第1伝達機構32とを備えている。第1モータ31は、ドアコントローラ20に駆動制御される。第1伝達機構32は、第1モータ31の駆動力を第1ドア11に伝達する。第1モータ31には、回転を検出する第1エンコーダ31Aが設けられている。第1エンコーダ31Aは、回転の有無及び回転方向を含む検出結果をドアコントローラ20に出力する。第2ドアエンジン40は、第2モータ41と、第2伝達機構42とを備えている。第2モータ41は、ドアコントローラ20に駆動制御される。第2伝達機構42は、第2モータ41の駆動力を第2ドア12に伝達する。第2モータ41には、回転を検出する第2エンコーダ41Aが設けられている。第2エンコーダ41Aは、回転の有無及び回転方向を含む検出結果をドアコントローラ20に出力する。なお、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40が駆動部に相当する。
【0030】
自動ドア装置10は、起動センサ15と、報知部28と、通信部29とを備えている。ドアコントローラ20は、起動センサ15と、報知部28と、通信部29と電気的に接続されている。起動センサ15は、自動ドア装置10の所定範囲において人や物を検知するセンサであって、人や物を検知するとドアコントローラ20に出力する。ドアコントローラ20は、起動センサ15が検知すると、第1ドア11及び第2ドア12を開動作させる。報知部28は、光で報知するLEDや音声で報知するスピーカー等である。通信部29は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって通信端末50と通信を行い、情報を通信端末50からドアコントローラ20に入力したり、情報をドアコントローラ20から通信端末50に出力したりする。
【0031】
(通信端末50)
通信端末50は、スマートフォンやタブレット端末等であって、自動ドア装置10の設定を行うときに専用アプリを起動して作業者が操作する。通信端末50は、通信部29を介してドアコントローラ20から駆動状態等の情報を取得する。作業者は、通信端末50によって自動ドア装置10の駆動状態を確認することができる。
【0032】
(ドアコントローラ20)
ドアコントローラ20は、制御部21と、回転情報取得部22と、速度算出部23と、判断部24と、変更部25と、記憶部26と、変更判断部27と、を備えている。制御部21は、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。詳しくは、制御部21は、第1モータ31及び第2モータ41を駆動制御することで第1ドア11及び第2ドア12を開閉させる。制御部21は、減速制御してから第1ドア11及び第2ドア12を停止する。なお、第1モータ31及び第2モータ41がブレーキ付きモータである場合には、ブレーキの制動力を大きくすることで減速度を大きくする。
【0033】
図4に示すように、制御部21は、第1ドア11及び第2ドア12を規定速度V0まで加速させて、規定速度V0になると等速で移動させて、停止前に減速制御してクッション速度VCになると等速で移動させた後、更に減速して停止させる。規定速度V0になる時刻を第1時刻T1とする。規定速度V0から減速を開始する時刻を第2時刻T2とする。クッション速度VCになる時刻を第3時刻T3とする。クッション速度VCから減速を開始する時刻を第4時刻T4とする。停止する時刻を第5時刻T5とする。クッション速度VCは、ドアの加速度を減少させるために等速移動させるときの速度である。
【0034】
図3に示すように、回転情報取得部22は、減速制御してからの第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40の回転に関する回転情報を取得する。回転情報取得部22は、第1エンコーダ31A及び第2エンコーダ41Aから回転の有無及び回転方向を含む検出結果を取得する。速度算出部23は、回転情報から第1ドア11及び第2ドア12の移動速度を算出する。判断部24は、回転情報に基づいてバタつきが発生したか否かを判断する。バタつきとは、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40が減速制御された後に第1ドア11及び第2ドア12の駆動方向と逆方向に第1ドア11及び第2ドア12が動くことである。判断部24は、第1ドア11及び第2ドア12の全開位置又は全閉位置付近で第1ドア11及び第2ドア12の移動速度が閾値以上のときはノークッションが発生したと判断する。ノークッションとは、第1ドア11及び第2ドア12が十分に減速しないまま全開位置又は全閉位置にて戸当たり14に衝突することである。記憶部26は、判断部24の結果に基づいて制御部21が第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する制御パラメータが記憶されている。
【0035】
そして、制御部21は、判断部24の結果に基づいてバタつきが発生しないように第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。すなわち、変更部25は、バタつきが発生したと判断部24が判断したときは、以下の少なくとも一つを行う。なお、変更部25は、(A)(B)(C)の順で制御パラメータを変更する。
【0036】
(A)減速制御時の減速度を制御パラメータよりも下方に変更する。
(B)減速制御の開始を制御パラメータよりも所定時間早くする。
(C)ドアの駆動速度を制御パラメータよりも所定速度下方に変更する。
【0037】
また、制御部21は、判断部24の結果に基づいてノークッションが発生しないように第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。すなわち、変更部25は、ノークッションが発生したと判断部24が判断したときは、以下の少なくとも一つを行う。なお、変更部25は、(D)(B)(C)の順で制御パラメータを変更する。
【0038】
(D)減速制御時の減速度を制御パラメータよりも上方に変更する。
(B)減速制御の開始を制御パラメータよりも所定時間早くする。
(C)ドアの駆動速度を制御パラメータよりも所定速度下方に変更する。
【0039】
また、記憶部26は、制御部21が第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御するときの制御パラメータと制御パラメータのときの判断部24の判断結果とを記憶する。変更部25は、記憶部26に記憶した制御パラメータと判断結果とに基づいて第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する制御パラメータを変更してもよい。
【0040】
変更判断部27は、記憶部26に記憶した制御パラメータと判断結果とに基づいて制御パラメータの更なる変更が可能か否かを判断する。報知部28は、変更判断部27が制御パラメータの更なる変更ができないと判断したときに報知する。
【0041】
(駆動制御)
次に、
図5を参照して、上記のように構成された自動ドア装置10の駆動制御について説明する。
【0042】
図5に示すように、自動ドア装置10は、開閉動作を行う(ステップS11)。すなわち、制御部21は、予め設定された制御パラメータで第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。
【0043】
続いて、自動ドア装置10は、開閉動作時にバタつきがあるか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、回転情報取得部22は、開閉動作時に制御部21が減速制御してからの第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40の回転に関する回転情報を取得する。そして、判断部24は、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40が減速制御された後に第1ドア11及び第2ドア12の駆動方向と逆方向に第1ドア11及び第2ドア12が動くバタつきが発生したか否かを回転情報に基づいて判断する。なお、ステップS12が回転情報取得ステップ及び判断ステップに相当する。
【0044】
そして、判断部24は、開閉動作時にバタつきがないと判断した場合には(ステップS12:NO)、開閉動作時にノークッションがあるか否かを判断する(ステップS21)。すなわち、速度算出部23は、回転情報から第1ドア11及び第2ドア12の移動速度を算出する。そして、判断部24は、第1ドア11及び第2ドア12の全開位置又は全閉位置付近で第1ドア11及び第2ドア12の移動速度が閾値以上であるか否かによってノークッションが発生したか否かを判断する。
【0045】
そして、判断部24が開閉動作時にノークッションがないと判断した場合には(ステップS21:NO)、バタつきもノークッションもないので、変更部25は制御パラメータを変更することなく、ステップS20に移行する。
【0046】
一方、判断部24が開閉動作時にノークッションがあると判断した場合には(ステップS21:YES)、変更部25は、制御部21の減速度を既定のパラメータよりも上方に変更する(ステップS22)。すなわち、変更部25は、
図4の第2時刻T2からの減速制御において時間に対する速度の傾き(減速度)を既定のパラメータよりも大きくする。この場合、停止直前に減速度を緩やかにする。なお、ステップS22が変更ステップに相当する。
【0047】
続いて、自動ドア装置10は、開閉動作を行う(ステップS23)。すなわち、制御部21は、ステップS22において変更された制御パラメータで第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。
【0048】
続いて、判断部24は、開閉動作時にノークッションがあるか否かを判断する(ステップS24)。速度算出部23は、回転情報から第1ドア11及び第2ドア12の移動速度を算出する。そして、判断部24は、第1ドア11及び第2ドア12の全開位置又は全閉位置付近で第1ドア11及び第2ドア12の移動速度が閾値以上であるか否かによってノークッションが発生したか否かを判断する。そして、判断部24が開閉動作時にノークッションがあると判断した場合には(ステップS24:YES)、ステップS22に移行して、変更部25が更に減速度を既定のパラメータよりも上方に変更する。
【0049】
一方、判断部24は、開閉動作時にノークッションがないと判断した場合には(ステップS24:NO)、続いて開閉動作時にバタつきがあるか否かを判断する(ステップS25)。回転情報取得部22は、開閉動作時に制御部21が減速制御してからの第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40の回転に関する回転情報を取得する。そして、判断部24は、回転情報に基づいて制御部21が駆動した方向と逆方向に第1ドア11及び第2ドア12が動くバタつきが発生したか否かを判断する。なお、ステップS25が回転情報取得ステップ及び判断ステップに相当する。そして、判断部24が開閉動作時にバタつきがないと判断した場合には(ステップS25:NO)、ステップS22において変更された制御パラメータを制御部21の制御パラメータに設定して、ステップS20に移行する。
【0050】
一方、判断部24は、開閉動作時にバタつきがあると判断した場合には(ステップS25:YES)、ステップS17に移行する。すなわち、減速制御時の減速度を上げることでノークッションが発生しないようにできたが、バタつきが発生したため、バタつきが発生しないように更に制御パラメータを変更する。
【0051】
一方、ステップS11の開閉動作時に、判断部24がバタつきがあると判断した場合には(ステップS12:YES)、変更部25は、制御部21の減速度を既定のパラメータよりも下げる(ステップS13)。すなわち、変更部25は、
図4の第2時刻T2からの減速制御において時間に対する速度の傾き(減速度)を小さくする。なお、ステップS13が変更ステップに相当する。
【0052】
続いて、自動ドア装置10は、開閉動作を行う(ステップS14)。すなわち、制御部21は、ステップS13において変更された制御パラメータで第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。
【0053】
続いて、判断部24は、開閉動作時にバタつきがあるか否かを判断する(ステップS15)。回転情報取得部22は、開閉動作時に制御部21が減速制御してからの第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40の回転に関する回転情報を取得する。そして、判断部24は、回転情報に基づいて制御部21が駆動した駆動方向と逆方向に第1ドア11及び第2ドア12が動くバタつきが発生したか否かを判断する。なお、ステップS15が回転情報取得ステップ及び判断ステップに相当する。そして、判断部24が開閉動作時にバタつきがあると判断した場合には(ステップS15:YES)、ステップS13に移行して、変更部25が更に減速度を既定のパラメータよりも下方に変更する。
【0054】
一方、判断部24は、開閉動作時にバタつきがないと判断した場合には(ステップS15:NO)、続いて開閉動作時にノークッションがあるか否かを判断する(ステップS16)。そして、判断部24が開閉動作時にノークッションがないと判断した場合には(ステップS16:NO)、ステップS13において変更された制御パラメータを制御部21の制御パラメータに設定して、ステップS20に移行する。
【0055】
一方、判断部24が開閉動作時にノークッションがあると判断した場合には(ステップS16:YES)、変更部25は、制御部21の減速制御の開始を既定のパラメータよりも早める(ステップS17)。すなわち、変更部25は、
図4に示す減速制御の開始を所定時間早くして、第2時刻T2から時刻T2Aに変更する。この場合、減速制御時の時間に対する速度の傾き(減速度)は変更せず、停止直前に減速度を緩やかにする。なお、ステップS17が変更ステップに相当する。
【0056】
続いて、判断部24は、減速開始位置が規定値以上であるか否かを判断する(ステップS18)。すなわち、減速開始位置が規定値以上となると移動速度を下げる必要があるため、この必要があるか否かを判断部24が判断する。そして、減速開始位置が規定値未満であると判断部24が判断した場合には(ステップS18:NO)、変更部25は、ステップS17において変更された制御パラメータを制御部21の制御パラメータに設定して、ステップS20に移行する。
【0057】
一方、減速開始位置が規定値以上であると判断部24が判断した場合には(ステップS18:YES)、変更部25は、制御部21の移動速度を既定のパラメータよりも下方に変更する(ステップS19)。すなわち、変更部25は、
図4に示す第1ドア11及び第2ドア12の移動速度を所定速度下げて、規定速度V0から移動速度V1に変更する。この場合、減速制御時の時間に対する速度の傾き(減速度)は第5時刻T5で停止するように緩やかにする。なお、ステップS19が変更ステップに相当する。
【0058】
続いて、制御部21は、設定された制御パラメータによって、第1ドア11及び第2ドア12の開閉動作を行う(ステップS20)。上記各ステップにおける開閉動作は、全閉位置から全開位置まで又は全開位置から全閉位置までの一動作であって、一動作毎に制御パラメータを変更して、バタつき及びノークッションが発生するか否かを判断する。
【0059】
また、変更判断部27は、開閉動作後に、記憶部26に記憶した制御パラメータと判断結果とに基づいて制御パラメータの更なる変更が可能か否かを判断する。例えば、制御パラメータを変更しても記憶部26に記憶されているバタつき及びノークッションが発生したと判断したときの制御パラメータと一致すると、変更判断部27は更なる変更ができないと判断する。そして、変更判断部27が制御パラメータの更なる変更ができないと判断したときに、報知部28は、外部に報知する。通信部29を介して通信端末50に出力してもよい。
【0060】
一連のステップは施工時や保守時の自動ドア装置10が通常運用されていないときに行ってもよく、自動ドア装置10が通常運用されているときに一部のステップを抜粋して行ってもよい。例えば、起動センサ15が人を検知して第1ドア11及び第2ドア12を開動作させているときにバタつきが発生したと判断部24が判断した場合には、第1ドア11及び第2ドア12が全閉状態になったときに制御パラメータのいずれか一つだけ変更し、再度起動センサ15が人を検知するまで待機する。再度起動センサ15が人を検知して第1ドア11及び第2ドア12を開動作させたときに、バタつき又はノークッションが発生したか否かを判断部24が判断し、いずれかが発生したと判断部24が判断したときには再度いずれか一つの制御パラメータを変更する。これを繰り返すことでバタつき及びノークッションの発生を抑制することができる。
【0061】
上記によれば、施工時や保守時に限らず、経年劣化・部品交換・温度・湿度・風圧等によって状態が変化したとしても、制御部21が開閉動作時にバタつき及びノークッションの発生を判断して、制御パラメータを変更する。このため、自動ドア装置10自らがバタつき及びノークッションの発生を抑制することができる。よって、自動ドア装置10は、常に安定した開閉動作を行うことができる。
【0062】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1ドア11及び第2ドア12のバタつきが発生したか否かを判断して、バタつきが発生したと判断部24が判断したとき、第1ドア11及び第2ドア12のバタつきが発生しないように制御部21の制御パラメータを変更部25が変更する。このため、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12のバタつきの発生を抑制することができる。よって、第1ドア11及び第2ドア12の安定した開閉動作が行われる。
【0063】
(1-2)第1ドア11及び第2ドア12のノークッションが発生したか否かを判断して、ノークッションが発生したと判断部24が判断したとき、第1ドア11及び第2ドア12のノークッションが発生しないように制御部21の制御パラメータを変更部25が変更する。このため、第1ドア11及び第2ドア12のノークッションの発生を抑制することができる。よって、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12の安定した開閉動作が行われる。
【0064】
(1-3)第1ドア11及び第2ドア12のバタつきが発生しないように制御部21の制御パラメータの減速制御時の減速度、減速制御の開始位置、駆動速度の少なくとも一つを変更する。このため、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12のバタつきの発生を抑制することができる。
【0065】
(1-4)第1ドア11及び第2ドア12のノークッションが発生しないように制御部21の制御パラメータの減速制御時の減速度、減速制御の開始位置、駆動速度の少なくとも一つを変更する。このため、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12のノークッションの発生を抑制することができる。
【0066】
(1-5)制御部21が記憶部26に記憶した制御パラメータと判断結果とに基づいて制御部21の第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する制御パラメータを変更する。このため、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12の開閉動作を更に安定して行うことができる。
【0067】
(1-6)変更判断部27が変更することができないと判断したときに報知部28が機器の劣化等により制御によるバタつきやノークッションの抑制が限界になったことを知らせる。このため、自動ドア装置10の機器交換を促すことができる。
【0068】
(第2実施形態)
以下、
図6及び
図7を参照して、自動ドア装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の自動ドア装置は、ドアを開閉制御しているときにドアに発生した揺れを抑制する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
図6に示すように、自動ドア装置110は、自動ドア装置110を制御するドアコントローラ60を備えている。ドアコントローラ60は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。ドアコントローラ60すなわちプロセッサにより実行される処理には、自動ドア装置110の制御方法が含まれる。自動ドア装置110の制御方法は、後述する程度情報取得ステップと変更ステップとを含む。なお、ドアコントローラ60は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムには自動ドア装置110の制御プログラムが含まれる。自動ドア装置110の制御プログラムは、程度情報取得ステップと変更ステップとをコンピュータに実行させる。
【0070】
自動ドア装置110は、第1ドア11を駆動する第1ドアエンジン30と、第2ドア12を駆動する第2ドアエンジン40とを備えている。第1ドアエンジン30は、第1モータ31と、第1伝達機構32とを備えている。第1モータ31は、ドアコントローラ60に駆動制御される。第1伝達機構32は、第1モータ31の駆動力を第1ドア11に伝達する。第1モータ31には、回転を検出する第1エンコーダ31Aが設けられている。第1エンコーダ31Aは、回転の有無及び回転方向を含む検出結果をドアコントローラ60に出力する。第2ドアエンジン40は、第2モータ41と、第2伝達機構42とを備えている。第2モータ41は、ドアコントローラ60に駆動制御される。第2伝達機構42は、第2モータ41の駆動力を第2ドア12に伝達する。第2モータ41には、回転を検出する第2エンコーダ41Aが設けられている。第2エンコーダ41Aは、回転の有無及び回転方向を含む検出結果をドアコントローラ60に出力する。なお、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40が駆動部に相当する。
【0071】
自動ドア装置110は、起動センサ15と、報知部28と、通信部29とを備えている。ドアコントローラ60は、起動センサ15と、報知部28と、通信部29と電気的に接続されている。起動センサ15は、自動ドア装置10の所定範囲において人や物を検知するセンサであって、人や物を検知するとドアコントローラ60に出力する。ドアコントローラ60は、起動センサ15が検知すると、第1ドア11及び第2ドア12を開動作させる。報知部28は、光で報知するLEDや音声で報知するスピーカー等である。通信部29は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって通信端末50と通信を行い、情報を通信端末50からドアコントローラ60に入力したり、情報をドアコントローラ60から通信端末50に出力したりする。
【0072】
(通信端末50)
通信端末50は、スマートフォンやタブレット端末等であって、自動ドア装置110の設定を行うときに専用アプリを起動して作業者が操作する。通信端末50は、通信部29を介してドアコントローラ60から駆動状態等の情報を取得する。作業者は、通信端末50によって自動ドア装置110の駆動状態を確認することができる。作業者は、制御部61が第1ドア11及び第2ドア12を開閉制御しているときに第1ドア11及び第2ドア12に発生した揺れの有無及び程度を通信端末50に入力する。通信端末50は、揺れの有無及び程度を、通信部29を介してドアコントローラ60に送信する。
【0073】
(ドアコントローラ60)
ドアコントローラ60は、制御部61と、程度情報取得部62と、判断部63と、変更部64と、記憶部65と、を備えている。制御部61は、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。詳しくは、制御部61は、第1モータ31及び第2モータ41を駆動制御することで第1ドア11及び第2ドア12を開閉させる。制御部61は、減速制御してから第1ドア11及び第2ドア12を停止する。制御部61は、第1実施形態と同様に
図4に示した駆動制御を行う。なお、第1モータ31及び第2モータ41がブレーキ付きモータである場合には、ブレーキの制動力を大きくすることで減速度を大きくする。
【0074】
程度情報取得部62は、制御部61が第1ドア11及び第2ドア12を開閉制御しているときに第1ドア11及び第2ドア12に発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する。程度情報取得部62は、通信部29を介して通信端末50から揺れの程度を示す程度情報を取得する。揺れは、第1エンコーダ31A及び第2エンコーダ41Aから回転として出力されないものを想定している。判断部63は、程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要か否かを判断する。判断部63は、揺れがある場合に制御パラメータの変更が必要であると判断する。変更部64は、程度情報取得部62が取得した程度情報に基づいて揺れが発生しないように制御部61の第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する制御パラメータを変更する。記憶部65には、制御部21が第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する制御パラメータが記憶されている。
【0075】
そして、制御部61は、変更部64の変更内容に従って第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。すなわち、変更部64は、揺れが発生したと判断部63が判断したときは、以下の少なくとも一つを行う。なお、変更部64は、(E)(F)(G)の順で制御パラメータを変更する。
【0076】
(E)減速制御時の減速度を制御パラメータよりも下方に変更する。
(F)減速制御の開始を制御パラメータよりも早くする。
(G)ドアの駆動速度を制御パラメータよりも下方に変更する。
【0077】
(E)(F)(G)の変更量は、取得した程度情報に基づいて、第1ドア11及び第2ドア12の揺れの程度が大きいほど大きくし、第1ドア11及び第2ドア12の揺れの程度が小さいほど小さくする。
【0078】
また、程度情報取得部62は、揺れが発生したときの第1ドア11及び第2ドア12の動作フェーズ情報を取得してもよい。そして、変更部64は、程度情報取得部62が取得した動作フェーズ情報に応じて制御パラメータを変更する。なお、動作フェーズとは、
図4に示すように、第1ドア11及び第2ドア12の開閉制御において、停止している第1ドア11及び第2ドア12を規定速度まで加速する加速領域(時刻0~第1時刻T1)と、規定速度を維持する等速領域(第1時刻T1~第2時刻T2)と、規定速度からクッション速度まで減速する減速領域(第2時刻T2~第3時刻T3)と、クッション速度を維持するクッション領域(第3時刻T3~第4時刻T4)と、クッション速度から減速して第1ドア11及び第2ドア12が停止するまで停止領域(第4時刻T4~第5時刻T5)の各フェーズをいう。制御パラメータは動作フェーズ毎に設けられるので、このようにすれば、揺れが発生した動作フェーズによって適した制御パラメータを変更することができ、第1ドア11及び第2ドア12の揺れを更に抑制することができる。
【0079】
(駆動制御)
次に、
図7を参照して、上記のように構成された自動ドア装置110の駆動制御について説明する。
【0080】
図7に示すように、自動ドア装置110は、開閉動作を行う(ステップS31)。すなわち、制御部61は、予め設定された制御パラメータで第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。
【0081】
作業者は、開動作時の第1ドア11及び第2ドア12に揺れが発生しているか否か及び揺れが発生している場合には揺れの程度を観察する。そして、作業者は、通信端末50に揺れの程度を入力する。通信端末50は、揺れの程度を、通信部29を介してドアコントローラ60に送信する。
【0082】
自動ドア装置110は、程度情報を取得する(ステップS32)。すなわち、程度情報取得部62は、制御部61が第1ドア11及び第2ドア12を開閉制御しているときに第1ドア11及び第2ドア12に発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する。程度情報取得部62は、通信部29を介して通信端末50から揺れの程度を示す程度情報を取得する。なお、ステップS32が程度情報取得ステップに相当する。
【0083】
続いて、自動ドア装置110は、制御パラメータの変更が必要か否かを判断する(ステップS33)。すなわち、判断部63は、程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要か否かを判断する。そして、判断部63は、程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要でないと判断した場合には(ステップS33:NO)、処理を終了する。
【0084】
一方、判断部63が程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要であると判断した場合には(ステップS33:YES)、変更部64は、制御部21の減速度を既定のパラメータよりも下方に変更する(ステップS34)。すなわち、変更部64は、
図4の第2時刻T2からの減速制御において時間に対する速度の傾き(減速度)を第1ドア11及び第2ドア12の揺れの程度に基づいて小さくする。なお、ステップS34が変更ステップに相当する。
【0085】
続いて、自動ドア装置110は、開閉動作を行う(ステップS35)。すなわち、制御部61は、ステップS34において変更した制御パラメータを制御部61の制御パラメータに設定して第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御する。
【0086】
自動ドア装置110は、程度情報を取得する(ステップS36)。すなわち、程度情報取得部62は、制御部61が第1ドア11及び第2ドア12を開閉制御しているときに第1ドア11及び第2ドア12に発生した揺れの程度を示す程度情報を外部から取得する。程度情報取得部62は、通信部29を介して通信端末50から揺れの程度を示す程度情報を取得する。なお、ステップS36が程度情報取得ステップに相当する。
【0087】
続いて、自動ドア装置110は、制御パラメータの変更が必要か否かを判断する(ステップS37)。すなわち、判断部63は、程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要か否かを判断する。そして、判断部63は、程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要でないと判断した場合には(ステップS37:NO)、処理を終了する。
【0088】
一方、判断部63が程度情報に基づいて制御パラメータの変更が必要であると判断した場合には(ステップS37:YES)、判断部63は、制御部61の減速制御の開始を既定のパラメータよりも早める(ステップS38)。すなわち、変更部64は、
図4に示す減速制御の開始を第1ドア11及び第2ドア12の揺れの程度に基づいて早くする。この場合、減速制御時の時間に対する速度の傾き(減速度)は変更せず、停止直前に減速度を緩やかにする。なお、ステップS38が変更ステップに相当する。
【0089】
続いて、判断部63は、減速開始位置が規定値以上であるか否かを判断する(ステップS39)。すなわち、減速開始位置が規定値以上となると移動速度を下げる必要があるため、この必要があるか否かを判断部63が判断する。そして、減速開始位置が規定値未満であると判断部63が判断した場合には(ステップS39:NO)、変更部64は、ステップS38において変更した制御パラメータを制御部61の制御パラメータに設定して、ステップS40に移行する。
【0090】
一方、減速開始位置が規定値以上であると判断部63が判断した場合には(ステップS39:YES)、変更部64は、制御部61の移動速度を規定のパラメータよりも下方に変更する(ステップS40)。すなわち、変更部64は、
図4に示す第1ドア11及び第2ドア12の移動速度を第1ドア11及び第2ドア12の揺れの程度に基づいて下げる。この場合、減速制御時の時間に対する速度の傾き(減速度)は第5時刻T5で停止するように緩やかにする。なお、ステップS40が変更ステップに相当する。
【0091】
上記各ステップにおける開閉動作は、全閉位置から全開位置まで又は全開位置から全閉位置までの一動作であって、一動作毎に制御パラメータを変更して、第1ドア11及び第2ドア12に揺れが発生するか否かを判断する。
【0092】
上記によれば、第1エンコーダ31A及び第2エンコーダ41Aから回転として出力されない揺れが発生したとしても、揺れの程度情報を取得して制御パラメータを変更する。このため、自動ドア装置10自らが揺れの発生を抑制することができる。よって、自動ドア装置10は、常に安定した開閉動作を行うことができる。
【0093】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、以下の効果を奏する。
(2-1)第1ドア11及び第2ドア12の揺れの程度に基づいて制御部61の制御パラメータを変更部64が変更する。このため、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12の揺れを抑制することができる。よって、第1ドア11及び第2ドア12の安定した開閉動作が行われる。
【0094】
(2-2)第1ドア11及び第2ドア12の揺れが発生しないように制御部61の制御パラメータの減速制御時の減速度、減速制御の開始位置、駆動速度の少なくとも一つを変更する。このため、自動ドア装置10自らが第1ドア11及び第2ドア12の揺れの発生を抑制することができる。
【0095】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0096】
・上記第1実施形態では、第1ドア11及び第2ドア12の移動に関する回転情報を第1エンコーダ31A及び第2エンコーダ41Aから取得した。これに加えて、第1モータ31及び第2モータ41の電圧や電流から第1ドア11及び第2ドア12の回転情報を取得してもよい。第1モータ31及び第2モータ41は、ブレーキが強くなると電圧が高くなる。このようにすれば、バタつきやノークッションの発生の判断精度を高めることができる。
【0097】
・上記第1実施形態において、第1ドア11及び第2ドア12の移動に関する回転情報を第1ドア11及び第2ドア12を撮影する画像センサ等のセンサによって第1ドア11及び第2ドア12の回転情報を取得してもよい。
【0098】
・上記第1実施形態では、記憶部26に記憶した制御パラメータと判断結果とに基づいて制御パラメータの更なる変更が可能か否かを判断する変更判断部27を備えた。しかしながら、変更判断部27を省略してもよい。
【0099】
・上記第1実施形態では、制御部21がドアを開閉制御するときの制御パラメータと記憶部26に記憶した制御パラメータのときの判断部24の判断結果とに基づいて制御パラメータを変更部25が変更した。しかしながら、制御部21が判断結果に対して制御パラメータを算出して、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を制御してもよい。
【0100】
・上記第1実施形態では、ノークッションが発生したと判断したときに(D)(B)(C)の順で制御パラメータを1つずつ変更したが、1回の開閉動作で(D)(B)(C)のうち(A)を含む2つ以上の制御パラメータを変更してもよい。また、他の制御パラメータをノークッションが発生しないように変更してもよい。
【0101】
・上記第1実施形態では、バタつきが発生したと判断したときに(A)(B)(C)の順で制御パラメータを1つずつ変更したが、1回の開閉動作で(A)(B)(C)のうち(A)を含む2つ以上の制御パラメータを変更してもよい。また、他の制御パラメータをバタつきが発生しないように変更してもよい。
【0102】
・上記第1実施形態では、(A)(B)(C)(D)の制御パラメータを変更した。しかしながら、第1モータ31及び第2モータ41のフィードバック制御のPIDを変更してもよい。
【0103】
・上記第1実施形態のバタつきの発生の判断を行うステップS12,S15,S25及びノークッションの発生の判断を行うステップS16,S21,S24において、1回の開閉動作ではなく、複数回の開閉動作の平均によってバタつきの発生の判断及びノークッションの発生の判断を行ってもよい。
【0104】
・上記各実施形態では、自動ドア装置10,110のドアを開き戸としたが、自動ドア装置のドアを折戸にしてもよい。折戸においてもドアのバタつきやノークッションや揺れの発生を抑制する必要があるため、上記各実施形態のように、制御パラメータを変更する。
【0105】
・上記第1実施形態では、ドアのバタつきの発生とノークッションの発生とを判断したが、ドアのバタつきの発生のみ判断してもよい。
・上記第2実施形態では、ドアコントローラ60は、作業者が通信端末50に入力したドアの揺れの程度情報を取得した。しかしながら、ドアの揺れの程度を検出する検出装置を設けて、ドアコントローラ60は検出装置からドアの揺れの程度情報を取得してもよい。検出装置は、ドアを撮影した画像から検出する画像センサや、ドアの振動から検出する振動センサ等を用いてもよい。
【0106】
・上記第2実施形態では、判断部63が制御パラメータの変更が必要か否かを判断した。しかしながら、判断部63の構成を省略して、変更部64がドアの揺れの程度に応じて制御部61の制御パラメータを変更してもよい。
【0107】
・上記各実施形態では、2枚の第1ドア11及び第2ドア12を備える自動ドア装置10としたが、1枚のドアを備える自動ドア装置としてもよい。
・上記各実施形態では、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を無目13に設置した。しかしながら、第1ドアエンジン30及び第2ドアエンジン40を無目13ではなく、床2に埋め込んで設置してもよい。
【0108】
・上記各実施形態では、ドアコントローラ20が通信端末50と無線で通信可能とした。しかしながら、ドアコントローラ20が通信端末50と有線で通信可能としてもよい。また、通信端末50の構成を省略してもよい。
【0109】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0110】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0111】
PL…左回転軸
PR…右回転軸
1…開口
2…床
10…自動ドア装置
11…第1ドア
11A…戸先
11B…戸尻
12…第2ドア
12A…戸先
12B…戸尻
13…無目
14…戸当たり
15…起動センサ
20…ドアコントローラ
21…制御部
22…回転情報取得部
23…速度算出部
24…判断部
25…変更部
26…記憶部
27…変更判断部
28…報知部
29…通信部
30…第1ドアエンジン
31…第1モータ
31A…第1エンコーダ
32…第1伝達機構
40…第2ドアエンジン
41…第2モータ
41A…第2エンコーダ
42…第2伝達機構
50…通信端末
60…ドアコントローラ
61…制御部
62…程度情報取得部
63…判断部
64…変更部
65…記憶部
110…自動ドア装置