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特開2023-64607酸素センサユニット及び給湯制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064607
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】酸素センサユニット及び給湯制御システム
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/00 20060101AFI20230501BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20230501BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20230501BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
F23N5/00 J
F02D45/00 368F
G01N27/409 100
G01N27/26 361B
G01N27/26 371E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174970
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】松波 功浩
【テーマコード(参考)】
2G004
3G384
3K003
【Fターム(参考)】
2G004BC09
2G004BM01
3G384BA09
3G384DA04
3G384EA01
3G384FA40Z
3K003EA02
3K003FA04
3K003FB03
3K003GA03
(57)【要約】
【課題】様々な状況下にて補正値の設定精度の向上と補正値の設定に係る待ち時間の短縮とを実現できる酸素センサユニット及び給湯制御システムを提供する。
【解決手段】ガス給湯器に搭載されたセンサユニット40は、燃焼ガスの酸素濃度を検出するA/Fセンサ50と、酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正係数を用いて補正するセンサ基板60とを有している。センサ基板60のCPU61は、補正係数設定の準備条件が成立した場合にセンサ素子51を加熱し、センサ素子51の温度を所定温度に維持するように温度調整を行う。準備条件成立後は、排気管内が大気状態となっている状況下にてA/Fセンサ50から検出値を繰り返し取得し、検出値の変化が収束しているかを判定する。収束していると判定した場合には、検出値と大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて補正値を算出し、当該補正値を上記参照対象として設定する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス給湯器に適用される酸素センサユニットであって、
前記ガス給湯器の排気管を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサと、
前記酸素センサが接続され、当該酸素センサから取得した前記酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正値を用いて補正し、補正した前記検出値を前記ガス給湯器の給湯制御装置へ出力するセンサ用制御部と、
前記酸素センサのセンサ素子を加熱するヒータと
を備え、
前記センサ用制御部は、
前記補正値を設定するための準備条件の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、前記検出値の変化が収束しているかを判定する収束判定部と、
前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部と
を有している酸素センサユニット。
【請求項2】
前記収束判定部は、前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が前記大気状態となっている状況下にて前記検出値を繰り返し取得し、新たに取得した前記検出値を含む複数の前記検出値から移動平均を算出し、新たに算出した前記移動平均とそれよりも前の前記移動平均とを含む複数の前記移動平均を対比し、前記検出値の変化が収束しているかをその対比結果に基づいて判定し、
前記補正値設定部は、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束したと判定された場合に、前記酸素センサから取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す前記濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値を前記参照対象として設定する請求項1に記載の酸素センサユニット。
【請求項3】
前記収束判定部は、新たに算出した前記移動平均とそれよりも前に算出した前記移動平均との差が閾値よりも大きくなっている場合には前記検出値の変化が収束していないと判定し、今回算出した前記移動平均とそれよりも前に算出した前記移動平均との差が前記閾値よりも小さくなっている場合には前記検出値の変化が収束していると判定する請求項2に記載の酸素センサユニット。
【請求項4】
前記収束判定部は、算出した複数の前記移動平均からそれら移動平均の標準偏差を都度算出し、新たに算出した前記標準偏差とその前に算出した所定数の前記標準偏差との少なくとも何れかが閾値よりも大きくなっている場合には前記検出値の変化が収束していないと判定し、新たに算出した前記標準偏差とその前に算出した前記所定数の前記標準偏差との何れもが前記閾値よりも小さくなっている場合には前記検出値の変化が収束していると判定する請求項2に記載の酸素センサユニット。
【請求項5】
前記収束判定部は、それまでに取得した前記検出値の最大値を判定上限として設定し、現時点から遡って所定時間内に取得した複数の検出値が何れも前記判定上限よりも小さい場合に前記検出値が収束していると判定し、
前記補正値設定部は、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す前記濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値を前記参照対象として設定する請求項1に記載の酸素センサユニット。
【請求項6】
前記収束判定部は、前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が前記大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記酸素濃度の検出値を繰り返し取得し、取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す前記濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、前記補正値を算出してから所定の待機時間が経過した後に新たに取得した前記検出値を当該補正値を用いて補正し、その補正の結果が前記濃度基準値に基づいて定められた基準範囲内である場合に前記検出値の変化が収束していると判定する請求項1に記載の酸素センサユニット。
【請求項7】
前記補正値設定部は、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記収束判定部による今回の判定に際して取得された前記検出値の少なくとも一部を用いて前記補正値を算出する請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の酸素センサユニット。
【請求項8】
ガス給湯器の排気管を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサと、
前記酸素センサにより検出された前記酸素濃度の検出値を、参照対象として設定された補正値を用いて補正する補正部と、
前記補正部により補正された前記検出値に基づいて前記ガス給湯器の燃焼を制御する給湯制御装置と
を備えている給湯制御システムであって、
前記酸素センサのセンサ素子を加熱するヒータと、
前記補正値を設定するための準備条件の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、前記検出値の変化が収束しているかを判定する収束判定部と、
前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部と
を備えている給湯制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素センサユニット、酸素センサユニットを有する給湯制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯設備には、ガス給湯器から排出された燃焼ガスの酸素濃度をA/Fセンサ等の酸素センサによって検出しその検出結果(検出値)に基づいてガスの供給量等を調節することにより、燃焼の適正化が図られているものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-98818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸素センサについては、同じ酸素濃度の気体を計測しても個体差や経年劣化によって検出値に差が生じる。酸素濃度が一定(20.94%)である大気状態にて検出値を取得し、当該検出値と酸素濃度の基準値とに基づいて算出した補正値(補正係数)により検出値を随時補正することで、燃焼の更なる適正化が期待できる。
【0005】
ここで、上述した酸素センサについては、検出機能を正しく発揮させる上でセンサ素子の温度を所定温度(例えばジルコニアの場合には750°C)となるように昇温させる(活性化させる)必要がある。故に、上述した補正値を適正に算出→設定するには、大気状態となっている状況下にてセンサ素子を所定温度まで昇温させる必要がある。
【0006】
センサ素子の昇温にはセンサ素子に併設されたヒータが用いられることが多い。ヒータからの熱の伝わりについては当該ヒータからの距離によって差が生じるため、センサ素子の推定温度や測定温度が所定温度となってもセンサ素子全体で温度が均一となるまでにある程度の時間を要する。このような事情から、センサ周辺の実際の酸素濃度が一定であるにも関わらず、所定温度に到達した後(所定温度に維持中)も酸素濃度の検出値が徐々に上昇するといった事象が発生し得る。仮にこのような上昇過程にて上記補正値が設定された場合には、燃焼の適正化を図る機能が上手く発揮されなくなると懸念される。
【0007】
例えばヒータによる昇温を開始してから十分な時間が経過した後に補正値を設定する構成とすれば、上述した上昇過程にて補正値が設定されることを回避し得る。但し、昇温を開始してから上昇過程を経て温度均一となるまでの時間については、酸素センサの個体差や劣化具合い、酸素センサや周辺の温度、ヒータの個体差や劣化具合い等の様々な要因によって差が生じる。つまり、各種事情を考慮して待ち時間を規定しようとすれば、当該待ち時間が過度に長くなる。これは、以下の理由から好ましくない。すなわち、補正値の設定は大気状態の維持が前提となるため湯沸かしと並行して行うことは困難であり、湯沸かしと補正値の設定とには優先順が生じる。仮に湯沸かしを優先した場合には、補正値の設定機会が減ったり先送りとなったりすることで燃焼の更なる適正化の妨げとなり得る。他方で、補正値の設定を優先した場合には、湯沸かしの開始が遅れることとなり、ユーザの満足度が低下し得る。なお、一部の事情のみを考慮して待ち時間を規定した場合には、状況によっては待ち時間が不足し、結果として燃焼の更なる適正化が困難になると想定される。
【0008】
このように、酸素濃度の検出値を補正することにより燃焼の適正化を図る上で、補正値の設定に係る構成には未だ改善の余地がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、酸素濃度の検出値を補正することにより燃焼の適正化を図る上で、様々な状況下にて補正値の設定精度の向上と補正値の設定に係る待ち時間の短縮とを実現できる酸素センサユニット及び給湯制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0011】
手段1.ガス給湯器に適用される酸素センサユニットであって、
前記ガス給湯器の排気管を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサと、
前記酸素センサが接続され、当該酸素センサから取得した前記酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正値を用いて補正し、補正した前記検出値を前記ガス給湯器の給湯制御装置へ出力するセンサ用制御部と、
前記酸素センサのセンサ素子を加熱するヒータと
を備え、
前記センサ用制御部は、
前記補正値を設定するための準備条件の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、前記検出値の変化が収束しているかを判定する収束判定部と、
前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部と
を有している。
【0012】
本特徴に示す構成では、準備条件が成立してセンサ素子が加熱され且つ排気管内が大気状態(酸素濃度=20.97%の状態)となっている状況下にて酸素センサから酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、検出値の変化が収束したと判定した場合、例えば変化量が所定時間に亘って閾値(定常時の誤差を想定した閾値)よりも小さくなった場合に補正値が設定される。このような構成によれば、検出値の上昇過程にて補正値設定となることを回避できる。そして、所定温度に達して温度が均一となり検出値が安定したタイミング(適正なタイミング)で補正値を設定することにより、当該補正値の確からしさを向上させることができる。所定温度に到達してから温度が均一となるまでの時間については、センサ素子の個体差や劣化具合い等の要因によって様々となり得る。この点、本特徴に示す構成によれば、適正なタイミングの見極めに際してそれらの要因の影響を加味した制御が不要であり、様々な状況にて各々の適正なタイミングを見極めることができる。これは、補正値の設定に係る構成が複雑になることを抑制する上で好ましい。以上詳述したように、補正値を適正なタイミングで設定可能な構成によれば、補正機能による燃焼の更なる適正化に寄与できる。
【0013】
補正値の設定については大気状態の維持が要件となるため、補正値の設定に係る準備を湯沸しと並行して行うことは困難であり、湯沸しと補正値の設定とには優先順が生じる。このような事情から、補正値の設定の係る時間が長くなることは、補正値の設定機会(例えば更新機会)の確保や湯沸しの開始遅れの抑制を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、検出値の変化が収束したと判定した場合に補正値が設定される。このような構成とすることで、センサ素子の温度が均一になってから補正値が設定されるまでの待ち時間の短縮に寄与できる。このようにして補正値設定までの待ち時間に配慮することは、湯沸し機能と補正値の設定(更新)機能との共存を図る上で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態における給湯設備の概略図。
図2】A/Fセンサ及びその周辺を示す図1の部分拡大図。
図3】センサユニットの電気的構成を示すブロック図。
図4】センサ基板のCPUにて実行される補正係数設定モード用処理を示すフローチャート。
図5】補正係数設定処理を示すフローチャート。
図6】センサ素子の推定温度の推移と酸素濃度の検出値の推移とを例示したタイミングチャート。
図7】補正係数の設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図8】比較対象となる2つの移動平均の関係を示す概略図。
図9】移動平均の差分の推移と補正係数の設定タイミングとの関係を示す概略図。
図10】第2の実施形態における設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図11】第3の実施形態における設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図12】第4の実施形態における設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図13】第5の実施形態における設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図14】酸素濃度の検出値の推移と補正係数設定の流れとを示すタイミングチャート。
図15】補正係数の設定に係る構成の変形例を示す概略図。
図16】第6の実施形態における設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図17】第7の実施形態における設定タイミング判定用処理を示すフローチャート。
図18】第2判定用処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は住宅等の建物に設置された給湯設備として具現化している。
【0016】
図1に示すように、給湯設備10は、貯湯式のガス給湯器11と、当該ガス給湯器11の給湯制御を行う給湯制御装置12とを有してなる。ガス給湯器11には、湯を蓄える貯湯タンク21が設けられている。貯湯タンク21には当該貯湯タンク21の内部を上下に仕切る仕切りが設けられており、この仕切りよりも下側が燃焼室24、上側が貯湯室25となっている。貯湯室25の下部には給水管22が接続されており、この給水管22を通じて水道から水が供給される。貯湯室25の上部には風呂等の蛇口と当該貯湯室25とを繋ぐ給湯管23が接続されており、この給湯管23を通じて湯が供給される。
【0017】
燃焼室24には吸気管31が接続されており、この吸気管31には送風機32が配設されている。送風機32は給湯制御装置12による駆動制御の対象となっており、当該給湯制御装置12からの駆動信号に基づいて動作する。送風機32が動作することで外部の空気(大気)が吸気管31を通じて燃焼室24に供給される。吸気管31の途中位置にはガス供給管33のノズルが接続されている。ガス供給管33には制御弁が設けられており、この制御弁が給湯制御装置12によって駆動制御されることで吸気管31へのガスの供給量が調整される構成となっている。
【0018】
燃焼室24には、吸気管31を通じて燃焼室24に供給されたガスと空気との混合気体である燃焼用空気を燃焼させるバーナ34と点火プラグ35とが設けられている。燃焼室24にて生成された燃焼ガスは、燃焼室24に接続された排気管39(排気通路)を通じて燃焼室24から排出される。排気管39は、貯湯室25内を通過するようにして配設されており、当該貯湯室25内に蓄えらえた水と接している。燃焼ガスが排気管39を通じて排出される過程で、当該排気管39を介して燃焼ガスと水との間で熱交換が行われる。この熱交換によって貯湯タンク21内の水が温められ、湯が生成される。
【0019】
排気管39は貯湯タンク21から上方に突出しており、この突出部分に排気管39の出口が形成されている。排気管39(詳しくは出口付近)には、排気管39を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出するA/Fセンサ50(「酸素センサ」に相当)が配設されている。A/Fセンサ50は当該A/Fセンサ50用の制御基板であるセンサ基板60(「センサ制御部」に相当)とともにセンサユニット40を構築している。なお、センサ基板60は、排気管39から離れた位置、すなわちガス給湯器11の排熱の影響範囲外となる位置に配置されている。
【0020】
センサ基板60は上記給湯制御装置12に接続されており、給湯制御装置12ではセンサユニット40(センサ基板60)から入力される酸素濃度の検出値に基づいてガスの噴射量等を制御する。具体的には、空燃比が予め設定された値(理論空燃比)となるようにしてフィードバック制御を行う。これにより、ガス給湯器11の燃焼効率の向上が図られている。
【0021】
ここで、図2図1の部分拡大図)を参照して、A/Fセンサ50の構造について説明する。A/Fセンサ50は、ジルコニアからなるセンサ素子51と当該センサ素子51を収容するハウジング53とを有してなり、ハウジング53が排気管39の内部に突出するようにして当該排気管39に固定されている。ハウジング53には複数の貫通孔が形成されており、それら貫通孔を通じてハウジング53内に流入した燃焼ガスがセンサ素子51へ案内される構成となっている。
【0022】
A/Fセンサ50の検出性能を正しく発揮させる上ではセンサ素子51を適正な温度(基準温度:本実施形態において750°C)とする必要がある。つまり、A/Fセンサ50の検出結果の確からしさを向上させて燃焼の適正化を図るには、センサ素子51を上記基準温度まで昇温させて、当該基準温度に維持する必要がある。このような事情に配慮して、A/Fセンサ50にはセンサ素子51を昇温させるための電気式のヒータとしてヒータ抵抗52(例えばセラミックヒータ)が設けられている。なお、本実施形態ではこの基準温度が「所定温度」に相当する。
【0023】
ヒータ抵抗52はセンサ素子51に埋設されており、ヒータ抵抗52の熱がセンサ素子51に伝わることで当該センサ素子51が加熱される。ヒータ抵抗52については、上記センサ基板60(図1参照)に接続されており、当該センサ基板60(後述するCPU)により、電力が供給される通電状態(ヒータON)と電力が供給されない非通電状態(ヒータOFF)とに切替可能となっている。
【0024】
次に、図3を参照して、センサユニット40の電気的構成について説明する。
【0025】
センサユニット40には、燃焼ガスの酸素濃度を検出する検出回路SCと、ヒータ抵抗52の温度制御を行う加熱回路HCとが設けられている。それら検出回路SC及び加熱回路HCは何れもA/Fセンサ50とセンサ基板60とに跨るように形成されており、センサ基板60には検出回路SCからの情報に基づいて加熱回路HCを制御する制御部としてのCPU61が設けられている。
【0026】
検出回路SCは、A/Fセンサ50のセンサ素子51と、センサ素子51からの信号をセンサ基板60に実装されたASIC62を介してCPU61に伝達する信号伝達経路である素子ラインSLとで構成されている。本実施形態に示すセンサ素子51には、燃焼ガスの酸素濃度に応じた起電力が生じる。ASIC62は、センサ素子51を流れる電流の電流値及び電圧値を各々取得し、取得した電流値及び電圧値をCPU61へ出力する。
【0027】
CPU61では、A/Fセンサ50による酸素濃度の検出値を特定する。具体的には、CPU61に付属のメモリには、ASIC62にて取得される電圧値と酸素濃度との相関関係を示すテーブルが記憶されており、このテーブルとASIC62にて取得された電圧値(V)とに基づいて酸素濃度の検出値(%)を特定する。なお、本実施形態に示すセンサユニット40においては、酸素濃度が低い場合には電圧値が小(検出値が小)、酸素濃度が高い場合には電圧値が大(検出値が大)となる。
【0028】
CPU61は、酸素濃度の検出値を給湯制御装置12に送信する。給湯制御装置12では、当該検出値に基づいてガス給湯器11の燃焼制御(フィードバック制御)を行う。本実施形態では、給湯制御装置12及びセンサユニット40によって「給湯制御システム」が構築されている。なお、取得した電圧値を「検出値」として給湯制御装置12に送信する構成とすることも可能である。
【0029】
また、CPU61では、ASIC62から取得した電流値及び電圧値を用いてセンサ素子51の抵抗値を算出(推定)する。センサ素子51の抵抗値については、センサ素子51の温度と相関がある。具体的には、センサ素子51の温度が低くなることでセンサ素子51の抵抗が大きくなり、センサ素子51の温度が高くなることでセンサ素子51の抵抗が小さくなる。CPU61は算出した抵抗値に基づいてヒータ抵抗52の通電制御(通電状態/非通電状態の切り替え)を行う。
【0030】
加熱回路HCは、A/Fセンサ50のヒータ抵抗52と、センサ基板60に設けられた電力供給部65からヒータ抵抗52に電力を供給する電力供給経路であるヒータラインHLとを含む。ヒータラインHLにおいて、ヒータ抵抗52とグランド69との間にはN型のMOSFET66が配設されている。MOSFET66のドレイン側にヒータ抵抗52が接続され、ソース側にプルダウン抵抗67を介してグランド69が接続されている。MOSFET66のゲートにはCPU61が接続されており、CPU61は算出したセンサ素子51の抵抗値に基づいてゲートをON/OFFする。これにより、ヒータ抵抗52が通電状態/非通電状態に切り替わる。
【0031】
ここで、CPU61によるヒータ抵抗52(センサ素子51)の温度制御処理について説明する。温度制御処理は、CPU61において定期処理の一環として実行される処理であり、CPU61にて当該温度制御処理を実行する機能が「加熱制御部」に相当する。
【0032】
温度調整処理においては先ず、センサ素子51を流れる電流の電流値及び電圧値を素子ラインSLから、詳しくはASIC62から取得し、それら電流値及び電圧値に基づいてセンサ素子51の抵抗値を算出する。本実施形態においては、センサ素子51の温度が上述した基準温度(750°C)である場合の当該センサ素子51の抵抗値(例えば38Ω)がCPU61に付属のメモリに基準抵抗値として記憶されており、算出した現在の抵抗値が基準抵抗値よりも大きいか否かを判定する。
【0033】
現在の抵抗値が基準抵抗値よりも大きい場合には、センサ素子51の温度が基準温度に達していないと想定されるため、ヒータ抵抗52を通電状態(ヒータON)とした後、本温度調整処理を終了する。現在の抵抗値が基準抵抗値以下となっている場合には、センサ素子51の温度が基準温度に達していると想定されるため、ヒータ抵抗52を非通電状態(ヒータOFF)とした後、本温度調整処理を終了する。
【0034】
つまり、センサ素子51の温度が基準温度に達していない場合にはヒータ抵抗52を通電状態とすることでセンサ素子51を加熱し、センサ素子51の温度が基準温度を超えている場合にはヒータ抵抗52を非通電状態とすることでセンサ素子51の温度を下げる。センサ素子51の温度が基準温度に達した後は、当該センサ素子51を基準温度に維持するために短い期間でヒータ抵抗52の通電状態(ON)/非通電状態(OFF)の切り替えを行う。これにより、センサ素子51の温度が基準温度に保たれることとなる。
【0035】
A/Fセンサ50については、同じ酸素濃度の気体を計測しても個体差や経年劣化によって酸素濃度の検出値に違いが生じ得る。つまり、酸素濃度が一定(基準酸素濃度:20.94%)である大気状態にて検出値を取得したとしても、検出値が必ず基準酸素濃度となるとは限らず、個体差や経年劣化によって誤差が生じる可能性がある。このような誤差は、空燃比の調整によって燃焼の適正化を図る上で妨げになると懸念される。なお、この基準酸素濃度が「濃度基準値」に相当する。
【0036】
本実施形態に示す給湯制御システムにおいては、排気管39内が大気状態となっている状況下にて取得した検出値と基準酸素濃度とを照らし合わせて補正係数を決定し、給湯時には取得した検出値を当該補正係数を用いて補正し、補正した検出値を給湯制御装置12に送信することで、上述した誤差の影響を抑えていることを特徴の1つとしている。具体的には、CPU61における制御モードとして、湯沸し中に酸素濃度の検出値を定期的に取得し、取得した検出値を補正係数を用いて補正してから給湯制御装置12に送信する通常モードと、補正係数を設定(更新)する補正係数設定モードとが設けられており、この補正係数設定モードにて補正係数が随時設定(更新)される構成となっている。以下、図4のフローチャートを参照して、CPU61にて定期処理の一環として実行される補正係数設定モード用処理について説明する。
【0037】
補正係数設定モード用処理においては先ず、ステップS101にて補正係数設定モードとなっているかを判定する。具体的には、CPU61に付属のメモリに補正係数設定モードフラグがセットされているかを判定する。補正係数設定モードとなっていない場合にはステップS102に進む。
【0038】
湯沸しが終了してから上記排気管39内の空気が自然換気によって入れ替わって大気状態となるまでにはある程度の時間を要する。言い換えれば、湯沸し終了後は少なくとも当該時間が経過するまで燃焼ガスが排気管39に残ることとなる。本実施形態では、このような事情に配慮した制限時間が規定されており、湯沸し終了から当該制限時間が経過するまでは補正係数設定モードへの切り替えが不可となるように構成されている。制限時間中である場合にはステップS102にて否定判定をしてそのまま本設定モード用処理を終了する。制限時間中でない場合にはステップS102にて肯定判定をしてステップS103に進む。
【0039】
ステップS103では、補正係数の設定準備を開始する条件(準備条件)が成立しているかを判定する。本実施形態では、(1)ユーザ等により補正係数の設定操作が行われた場合(例えば給湯制御装置12にて補正係数設定用のボタンが操作された場合)、(2)予定された日時となった場合に、上記準備条件が成立する。ステップS103にて否定判定をした場合には、そのまま本設定モード用処理を終了する。ステップS103にて肯定判定をした場合には、補正係数の設定準備処理を実行した後、本設定モード用処理を終了する。この準備処理においては先ず、ステップS104にてヒータ抵抗52を通電状態とすることで基準温度を目標としたセンサ素子51の加熱を開始する。続くステップS105では、メモリに補正係数設定モードフラグをセットする。これにより、CPU61の制御モードが通常モードから補正係数設定モードに切り替わる。
【0040】
なお、制限時間中に設定操作が行われた場合には当該操作は無効となる。また、本実施形態では1ヶ月毎に補正係数の設定が行われるように上記日時が規定されているが、制限時間中に予定の日時となった場合には、当該予定はキャンセルされる。
【0041】
ステップS101の説明に戻り、現在の制御モードが補正係数設定モードとなっている場合には、当該ステップS101にて肯定判定をしてステップS106に進む。ステップS106では、湯沸しが開始されたか否かを判定する。本実施形態では、補正係数の設定よりも湯沸しを優先することにより給湯の遅れを抑制している。ステップS106にて否定判定をした場合には、ステップS107に進む。ステップS107では、補正係数を設定する適正なタイミングとなっているかを判定すべく補正係数の設定タイミング判定用処理を実行する。詳細については後述するが、検出値の変化の収束を確認した場合には、当該判定用処理にてメモリに補正係数設定タイミングフラグがセットされる。
【0042】
続くステップS108では、補正係数設定タイミングフラグがセットされているかを判定する。補正係数設定タイミングフラグがセットされていない場合にはそのまま本設定モード用処理を終了し、補正係数設定タイミングフラグがセットされている場合には、ステップS109にて補正係数設定処理を実行した後、本補正係数設定モード用処理を終了する。ここで、図5のフローチャートを参照して、補正係数設定処理について説明する。
【0043】
補正係数設定処理においては先ず、ステップS201にて、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得するタイミングとなったかを判定する。具体的には、補正係数設定タイミングフラグがセットされてから最初にステップS201の判定を実行する場合には、当該ステップS201にて肯定判定をし、2回目以降である場合には先にステップS201にて肯定判定をしてからインターバル時間が経過した場合にステップS201にて肯定判定をし、インターバル時間が経過していない場合にステップS201にて否定判定をする。ステップS201にて否定判定をした場合にはそのまま本設定処理を終了する。ステップS201にて肯定判定をした場合にはステップS202に進み、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得してメモリに記憶する。
【0044】
続くステップS203では、取得した検出値の数(個数)が第1規定数(例えば10)に達したかを判定する。第1規定数に達していない場合には、ステップS203にて否定判定をして、そのまま本設定処理を終了する。第1規定数に達している場合には、ステップS203にて肯定判定をして、ステップS204に進む。
【0045】
ステップS204では、ステップS201~S203にて収集した第1規定数の検出値からそれら検出値の平均値を算出し、上記基準酸素濃度を当該平均値で除して補正係数を算出する。そして、算出した補正係数を参照対象として設定する。具体的には、算出した補正係数をメモリの参照対象記憶領域に保存する。以降は、A/Fセンサ50から取得した検出値が今回設定した補正係数(参照対象記憶領域に保存した補正係数)を用いて適宜補正されることとなる。
【0046】
続くステップS205では、ヒータ抵抗52を非通電状態として、センサ素子51の加熱を終了する。そして、ステップS206にてメモリにセットされている補正係数設定モードフラグ及び補正係数設定タイミングフラグを消去し、ステップS207にてメモリに記憶されている補正係数設定用の各種データ(収集した検出値)を消去した後、本設定用処理を終了する。
【0047】
図4のステップS106の説明に戻り、補正係数設定モード中に湯沸し開始となった場合には、ステップS106にて肯定判定をしてステップS110に進む。ステップS110では、メモリにセットされている補正係数設定モードフラグ及び補正係数設定タイミングフラグを消去する。その後は、ステップS111にてメモリに記憶されている補正係数設定用の各種データ(収集した検出値)を消去して、本設定用処理を終了する。なお、ヒータ抵抗52によるセンサ素子51の温度調整については通常モードに引き継がれることとなる。
【0048】
上述したようにA/Fセンサ50の検出機能を正しく発揮させる上ではセンサ素子51の温度を基準温度となるように昇温させて活性化させる必要がある。故に、補正係数を適正に設定する場合には、大気状態となっている状況下にてセンサ素子51を基準温度まで昇温させる必要がある。ヒータ抵抗52からの熱の伝わりについては当該ヒータ抵抗52からの距離によって差が生じる。このため、センサ素子51の推定温度が所定温度となっても実際にセンサ素子51全体で温度が均一(所定温度)となるまでにある程度の時間を要する。このような事情から、図6に例示しているように、実際の酸素濃度が一定であるにも関わらず、推定温度が基準温度に達したt1のタイミングの後(基準温度に維持中)も酸素濃度の検出値が徐々に上昇するといった事象が発生し得る。より詳しくは、加熱を開始したt0のタイミングからt1のタイミングまでと比べた場合に酸素濃度の検出値の上昇率は小さくなるものの、t1のタイミングからある程度の時間が経過したt2のタイミングとなるまで検出値が緩やかに上昇を続ける。仮にこのような上昇過程にて補正係数が設定された場合には、燃焼の適正化を図る機能が上手く発揮されなくなると懸念される。
【0049】
例えばヒータによる昇温を開始してから十分な時間が経過した後に補正係数を設定する構成とすれば、上述した上昇過程にて補正係数が設定されることを回避し得る。但し、昇温を開始してから上昇過程を経て温度均一となるまでの時間については、A/Fセンサ50(特にセンサ素子51)の個体差や劣化具合い、A/Fセンサ50や周辺の温度、加熱回路HC(特にヒータ抵抗52)の個体差や劣化具合い等の様々な要因によって差が生じる。つまり、各種事情を考慮して1の待ち時間を規定しようとすれば、当該待ち時間が過度に長くなる。補正係数の設定は大気状態の維持が前提となるため湯沸しと並行して行うことは困難であり、湯沸かしを優先した場合には、補正値の設定機会が減ったり先送りとなったりすることで燃焼の更なる適正化の妨げとなり得る。なお、一部の事情のみを考慮して待ち時間を規定した場合には、状況によっては待ち時間が不足し、結果として燃焼の更なる適正化が困難になると想定され、状況に応じて待ち時間を変化させようとした場合には、状況を把握するためのセンサ等の検出手段が必要となり、給湯制御システムが過度に複雑になると懸念される。
【0050】
本実施形態では、A/Fセンサ50による酸素濃度の検出値を用いて検出値の変化が収束するタイミング、具体的にはセンサ素子51の温度が均一となったタイミングを見極めることで、補正係数の確からしさを向上させつつ、補正係数の設定に係る時間が過度に長くなることを抑制する工夫がさなれていることを特徴の1つとしている。以下、図7を参照して、当該工夫に係る構成、具体的にはステップS107の補正係数の設定タイミング判定用処理について説明する。
【0051】
補正係数の設定タイミング判定用処理においては先ず、ステップS301にて、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得するタイミングとなったかを判定する。ステップS301にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。ステップS301にて肯定判定をした場合にはステップS302に進み、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得してメモリに記憶する。具体的には、ステップS301では、(1)補正係数設定モードに切り替わってから最初にステップS301の処理を実行する場合、(2)前回の検出値の取得からインターバル時間が経過している場合に肯定判定をする。このインターバル時間についてはステップS201にて説明したインターバル時間と同じ長さとしてもよいし、ステップS201にて説明したインターバル時間よりも長い時間としてもよいし、短い時間としてもよい。例えば、長い時間とすることは、メモリの記憶容量の圧迫を抑制する上で好ましい。
【0052】
ステップS302にて検出値を保存した後は、ステップS303に進み、補正係数設定モードとなってから現在に至るまでに取得した検出値の数(個数)が第2規定数(例えば30)以上となっているかを判定する。第2規定数以上となっていない場合には、ステップS303にて否定判定をして、そのまま本設定タイミング判定用処理を終了する。第2規定数以上となっている場合には、ステップS303にて肯定判定をしてステップS304に進む。なお、第2規定数については任意であり、例えば第1規定数と同数としてもよいし、第1規定数よりも少なくしてもよい。
【0053】
ステップS304では、今回の検出値を含む直近N回分(例えば30回分)の検出値からそれら検出値の平均値である移動平均Aを算出し、算出した移動平均Aをメモリに保存する。その後は、ステップS305に進み、補正係数設定モードとなってから現在に至るまでに算出した移動平均Aの数(個数)が第3規定数(例えば50)以上となっているかを判定する。第3規定数以上となっていない場合にはそのまま本判定用処理を終了する。算出した移動平均Aの数が第3規定数以上となっている場合にはステップS306に進む。ステップS306では、比較する2つの移動平均Aをピックアップする。以下、図8を参照して、ピックアップする移動平均Aについて補足説明する。図8では、新たに算出した移動平均Aを「移動平均An」、過去に算出した移動平均Aを「移動平均Am」として区別している。なお、図8においては説明の便宜上、検出値の取得のインターバル時間(周期)を実際よりも拡大して記載している。
【0054】
補正係数設定モードへ切り替わった後のtnのタイミングでは、新たに取得した検出値を含む直近N回分の検出値の移動平均Anが算出されている。このtnのタイミングにおけるピックアップの対象は、移動平均Anと、tnのタイミングよりも前のtmのタイミングにて算出された移動平均Amとなる。移動平均Amは、tmのタイミングにて取得した検出値とその前に取得した直近N回分の検出値の平均値であり、移動平均Anの算出に用いられた検出値と、移動平均Amの算出に用いられた検出値とは非重複となる。より詳しくは、移動平均Amに係る最後の検出値を取得してから、移動平均An用に係る最初の検出値を取得するまでの時間については、移動平均Amに係る検出値を集める時間や移動平均Aに係る検出値を集める時間と比べて長くなっている。
【0055】
tnのタイミングから上記インターバルが経過したtn+1のタイミングでは、新たに取得した検出値を含む直近N回分の検出値の移動平均An+1が算出されている。このtn+1のタイミングにおけるピックアップの対象は、移動平均An+1と、tn+1のタイミングよりも前、具体的にはtmのタイミングから上記インターバル時間が経過したtm+1のタイミングにて算出された移動平均Am+1となる。tn+1のタイミングから上記インターバルが経過したtn+2のタイミングでは、新たに取得した検出値を含む直近N回分の検出値の移動平均An+2が算出されている。このtn+2のタイミングにおけるピックアップの対象は、移動平均An+2と、tn+2のタイミングよりも前、具体的にはtm+1のタイミングから上記インターバル時間が経過したtm+2のタイミングにて算出された移動平均Am+2となる。
【0056】
図7の説明に戻り、ステップS306にて移動平均Aをピックアップした後は、ステップS307に進む。ステップS307では、ピックアップした2つの移動平均Aの差分の絶対値である差分Dを算出し、算出した差分Dをメモリに保存する。例えば、tnのタイミングで算出される差分Dである差分Dnは、(差分Dn)=|(移動平均An)-(移動平均Am)|となる。
【0057】
その後は、ステップS308に進み、算出した差分Dの数(個数)が第4規定数(例えば10)を上回っているかを判定する。ステップS308にて否定判定をした場合には、そのまま本判定用処理を終了する。ステップS308にて肯定判定をした場合には、ステップS309に進む。ステップS309では、直近H回分(例えば10回分)の差分Dの最大値を特定し、続くステップS310では当該最大値が予め規定されている閾値よりも低くなっているかを判定する。この閾値については、大気状態且つセンサ素子51の温度=基準温度である状況下にてA/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を繰り返し取得した場合に、当該A/Fセンサ50の仕様から想定される検出値の変動幅(上下幅)に基づいて規定されている。
【0058】
ステップS310にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。一方、ステップS310にて肯定判定をした場合には、ステップS310に進み、メモリに上記補正係数設定タイミングフラグをセットして、本判定用処理を終了する。つまり、直近H回分の差分Dが何れも閾値を下回っている場合に、検出値の変化が収束しているとして補正係数の設定を許可する。言い換えれば、検出値の変化が収束した場合に、補正係数の設定に適正なタイミングであると判定する。なお、「収束」については、センサ素子51の温度が均一となって長期的な上昇(緩やかな上昇傾向)が終わった状態を示す。
【0059】
以上詳述した第1の実施形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
【0060】
補正係数設定モードにおいてはセンサ素子51が加熱され且つ排気管39内が大気状態となっている状況下にてA/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、検出値の変化が収束したと判定した場合に補正係数が設定される。このような構成によれば、センサ素子51の推定温度=基準温度となってから当該センサ素子51の温度が均一となるまでの期間、すなわち酸素濃度の検出値が微増となる上昇過程にて補正係数が設定されることを回避できる。そして、センサ素子51の温度が均一となって検出値が安定しているタイミング(適正なタイミング)にて補正係数を設定することにより、当該補正係数の確からしさを向上させることができる。
【0061】
センサ素子51の温度を基準温度まで引き上げて且つ基準温度で均一とするまでの時間は、センサ素子51の個体差や劣化具合い、センサ素子51やその周辺の温度、加熱回路HC(特にヒータ抵抗52)の個体差や劣化具合いによって左右される。この点、本実施形態に示した構成によれば、適正なタイミングの見極めに際してそれらの要因の影響を加味した制御が不要であり、様々な状況にて各々の適正なタイミングを見極めることができる。これは、補正係数の設定に係る構成が複雑になることを抑制する上で好ましい。
【0062】
以上詳述したように、補正係数を適正なタイミングで設定可能な構成によれば、補正機能による燃焼の更なる適正化に寄与できる。
【0063】
補正係数の設定については大気状態の維持が要件となる。このため、補正係数の設定に係る準備と湯沸しとを並行して行うことは困難であり、湯沸しと補正係数の設定とには優先順が生じる。本実施形態では湯沸しを優先しているが、このような構成においては、補正係数の設定機会(例えば更新機会)が減ったり当該機会が先送りとなったりすることで燃焼の更なる適正化の妨げとなることが懸念される。この点、本実施形態に示した構成によれば、検出値の変化が収束したと判定した場合に補正係数が設定される。このような構成とすることで、センサ素子51の温度が均一になってから補正係数が設定されるまでの待ち時間を極力短くすることができる。例えば上述した各種条件を加味して適正なタイミングとなるまでの時間を事前に一義的に定めておく構成と比較して、待ち時間が無駄に長くなることを抑制できる。このようにして補正係数設定までの待ち時間に配慮することは、湯沸し機能と上述した補正機能との共存を図る上で好ましい。
【0064】
図6に示した例では、実際の酸素濃度は一定となっており且つt2のタイミングにて酸素濃度の検出値の変化が収束している。但し、実際の酸素濃度が一定となっている場合であっても、A/Fセンサ50による酸素濃度の検出値についてはある程度の幅で上下し得る。つまり、実際の酸素濃度が一定となっている状況下にて検出値を取得した場合には、取得のタイミングによって検出値がばらつくこととなる。このため、異なるタイミングで取得した2つの検出値を比較しただけでは、収束前の状況下にて取得した2つの検出値の差がたまたま小さくなって収束していると誤判定したり、収束している状況下にて取得した2つの検出値の差がたまたま大きくなって未だ収束していないと誤判定したりする可能性が生じる。なお、検出値については検出回路SCに生じる起電力に相関があるが、この検出回路SCにノイズ等が生じることで、実際の酸素濃度が一定であるにもかかわらず、検出値が大きく変化する可能性もある。
【0065】
本実施形態では、複数の検出値から移動平均Aを算出し、前後の移動平均Aの差分Dを参照して検出値の変化が収束しているかを判定することにより、検出値のばらつきやノイズ等の影響による誤判定を抑制し、判定結果の確からしさを向上させている。ここで、図9には、補正係数設定モードとなった後の差分Dの変化を例示している。このように、差分Dについてもある程度のばらつきが生じる。この点、本実施形態では、前後の移動平均Aの差分DがH回連続して閾値を下回った場合に、検出値の変化が収束していると判定する構成としたことにより、補正係数の設定に適正なタイミングの見極める場合の確からしさを一層向上させることが可能である。
【0066】
また、図8に示したように、比較対象とする2つの移動平均Aについては、各移動平均Aの算出に用いる検出値が非重複となるように構成した。具体的には、1の(先の)移動平均Aの算出時に参照する検出値と、他の(後の)移動平均Aの算出時に参照とする検出値との間に両移動平均Aにて非参照となる検出値が介在するようにしてブランクを設けた。このような構成とすれば、時間的に離れた検出値から各移動平均Aを算出することができるため、長期的な視点から変化の傾向を把握しやすくなる。
【0067】
<変形例1>
上記第1の実施形態では、比較対象となる2つの移動平均Aについて、先の移動平均Aの算出時に参照する検出値と後の移動平均Aの算出時に参照する検出値とが重複しないように分ける構成としたが、先の移動平均Aの算出時に参照する検出値と後の移動平均Aの算出時に参照する検出値とが一部重複する構成とすることも可能である。瞬間的に発生したノイズの影響が検出値に及ぶ場合であっても、当該ノイズが重複部分にて発生することで、前後の移動平均Aの両方に当該ノイズが反映されることとなる。つまり、ノイズの影響を受けた2つの移動平均Aの差分Dを算出した場合には、当該差分Dからノイズの影響が除去又は軽減できる。
【0068】
また、比較対象となる各移動平均Aの算出時に参照する検出値の数(収集時間)よりも、比較対象となる両移動平均Aの間でそれら移動平均Aの算出時に非参照となる検出値の数(ブランクとなる時間)の方が多い(長い)構成に代えて、比較対象となる各移動平均Aの算出時に参照する検出値の数(収集時間)よりも、比較対象となる両移動平均Aの間でそれら移動平均Aの算出時に非参照となる検出値の数(ブランクとなる時間)の方が少ない(短い)構成としたり、各検出値の数(各時間)を揃える構成としたりすることも可能である。
【0069】
<変形例2>
A/Fセンサ50による酸素濃度の検出値については、補正係数の設定準備を開始してから上昇過程を経て安定することとなる。このような挙動に鑑みれば、今回の移動平均Aから過去の移動平均Aを引いて差分(絶対値ではない)を算出し、その差分が+側である場合の閾値と、-側である場合の閾値(第2閾値)とを分けることも可能である。この場合、上記挙動を考慮して、例えば-側の閾値の絶対値よりも+側の閾値の絶対値の方が大きくなるようにしてもよい。
【0070】
<変形例3>
上記第1の実施形態では、今回の移動平均Aと過去の移動平均Aとの差分Dが閾値を下回った場合(詳しくはH回連続して下回った場合)に、補正係数の設定に適正なタイミングであると判定する構成としたが、これを変更し、補正係数の設定準備を開始してからそれまでに記憶された全検出値の平均値を随時算出し、今回の平均値と過去の平均値との差分を算出し、その差分が閾値を下回った場合(例えばH回連続して下回った場合)に、補正係数の設定に適正なタイミングであると判定する構成としてもよい。
【0071】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、検出値の変化が収束しているか否かを移動平均Aの差分Dから判定する構成とした。本実施形態では、検出値の変化が収束しているか否かの判定に移動平均Aを用いている点では第1の実施形態と同様であるものの、当該判定に係る具体的な構成(補正係数の設定タイミング判定用処理(ステップS107))が第1の実施形態と異なっている。以下、図10を参照して、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理について説明する。なお、第1の実施形態と共通の構成については説明を適宜省略する。
【0072】
本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理では、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得するタイミングとなったかを判定する(ステップS401)。当該タイミングではない場合にはそのまま本判定用処理を終了する。酸素濃度の検出値を取得するタイミングである場合にはA/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得してメモリに記憶し(ステップS402)、補正係数設定モードとなってから現在に至るまでに取得した検出値の数(個数)が第2規定数以上となっているかを判定する(ステップS403)。第2規定数以上となっていない場合にはそのまま本判定用処理を終了する。第2規定数以上となっている場合には、今回の検出値を含む直近N回分の検出値の平均値である移動平均Aを算出し、算出した移動平均Aをメモリに保存する(ステップS404)。なお、ステップS401~S404の各処理については上記ステップS301~S304の各処理と同様である。
【0073】
ステップS404にて移動平均Aを保存した後は、補正係数設定モードとなってから現在に至るまでに算出した移動平均Aの数(個数)が第5規定数以上となっているかを判定する(ステップS405)。第5規定数以上となっていない場合にはそのまま本判定用処理を終了する。第5規定数以上となっている場合には、今回の移動平均Aを含む直近M回分(例えば3回分)の移動平均Aからそれら移動平均Aの標準偏差SDを算出し、算出した標準偏差SDをメモリに保存する(ステップS406)。
【0074】
その後は、補正係数設定モードとなってから現在に至るまでに算出した標準偏差SDの数(個数)が第6規定数以上となっているかを判定する(ステップS407)。第6規定数以上となっていない場合には本判定用処理を終了する。第6規定数以上となっている場合には、今回の標準偏差SDを含む直近H回分の標準偏差SDの最大値を特定し(ステップS408)、当該最大値が予め規定されている閾値よりも小さくなっているかを判定する(ステップS409)。この閾値については、上記第1の実施形態に示した閾値と同様に、大気状態且つセンサ素子51の温度=基準温度である状況下にてA/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を繰り返し取得した場合に、当該A/Fセンサ50の仕様から想定される検出値の変動幅(上下幅)に基づいて規定されている。
【0075】
最大値が閾値以上となっている場合にはそのまま本判定用処理を終了し、最大値が閾値を下回っている場合にはメモリに補正係数設定タイミングフラグをセット(ステップS410)して本判定用処理を終了する。つまり、直近H回分の標準偏差SDが何れも閾値を下回っている場合に、検出値の変化が収束しているとして補正係数の設定を許可する。
【0076】
以上詳述したように、直近M個分の移動平均Aから算出した標準偏差SDに基づいて収束のタイミングを見極める構成とすれば、その確からしさを好適に向上させることができる。
【0077】
<第3の実施形態>
上記第1及び第2の実施形態では、検出値の変化が収束しているかの判定に検出値の移動平均Aを用いる構成とした。本実施形態では、当該判定に係る具体的な構成(補正係数の設定タイミング判定用処理(ステップS107))が第1の実施形態等と異なっている。以下、図11を参照して、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理について説明する。なお、第1の実施形態等と共通の構成については説明を適宜省略する。
【0078】
本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理では、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得するタイミングとなったかを判定する(ステップS501)。当該タイミングではない場合にはそのまま本判定用処理を終了する。酸素濃度の検出値を取得するタイミングである場合にはA/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得してメモリに記憶する(ステップS502)。なお、ステップS501~S502の各処理については上記ステップS301~S302の各処理と同様である。
【0079】
ステップS502にて検出値を保存した後は、メモリに設けられた検出回数カウンタiの値を「1」加算する(ステップS503)。検出回数カウンタiは、補正係数設定モードとなってから検出値を取得→保存した回数を記憶するためのカウンタであり、当該補正係数設定モードが終了する際に「0」クリアされる。
【0080】
次に、今回の検出値が判定上限UL以下となっているかを判定する(ステップS504)。判定上限ULは検出値の変化の収束を判定するための閾値であり、それまでに取得した検出値に応じて変更される。具体的には、今回の検出値が判定上限ULを上回っている場合には、今回の検出値を新たな判定上限ULとして設定する(ステップS505)。そして、メモリに設けられた連続判定用カウンタTMに現在の検出回数カウンタiと同じ値をセットして(ステップS505)、本判定用処理を終了する。連続判定用カウンタTMは、判定上限ULを超えなかった連続回数を把握するためのカウンタであり、当該補正係数設定モードが終了する際に「0」クリアされる。
【0081】
今回の検出値が判定上限UL以下となっている場合には、連続して判定上限UL以下となった回数が基準回数(例えば100回)以上となっているかを判定する(ステップS506)。具体的には、検出回数カウンタiの値から連続判定用カウンタTMの値を引いた値が基準回数以上となっているかを判定する。基準回数以上となっていない場合にはそのまま本判定用処理を終了する。基準回数以上となっている場合には、メモリに補正係数設定タイミングフラグをセットして、本判定用処理を終了する。
【0082】
以上詳述したように、それまでに取得した検出値の最大値を判定上限ULとして設定する構成とすれば、安定前は検出値の最大値が徐々に増加することで判定上限ULの更新が繰り返される一方、安定時は検出値の最大値については基本的に判定上限ULよりも小さくなり、判定上限ULの更新が実質的に止まると想定される。判定上限ULの更新が止まった状態が続いた場合に検出値の変化が収束していると判定することで、補正係数の設定を適正なタイミングで行うことが可能となる。
【0083】
特に、判定上限ULについては、時間の経過によってセンサ素子51の温度が上昇し、検出値(最大値)がそれまでの判定上限ULを超えることで自動的に更新される。このような構成とすることで、検出値の収束を見極めるための情報の量を圧縮し、簡易な構成によって収束の見極めが可能となる。
【0084】
<変形例1>
上記第3の実施形態においては、検出値の上限を判定上限ULによって規定したが、これに加えて検出値の下限を判定下限として規定し、検出値がそれら判定上限UL及び判定下限の間に連続して収まっている場合に検出値の変化が収束していると判定する構成としてもよい。検出値の許容範囲を絞ることで、検出値が一時的に下振れする状況が続いた場合に検出値の変化が収束したと誤判定することを抑制できる。
【0085】
なお、センサ素子51の加熱を開始することで検出値が大きく変化し、この変化についてはセンサ素子51の温度が基準温度となることで緩やかとなる。そこで、判定下限=基準温度に到達してから取得した検出値の最小値とすることで、上記抑制効果を一層好適に発揮させることができる。
【0086】
<第4の実施形態>
本実施形態では、補正係数の設定に適正なタイミングを判定するための構成、具体的にはCPU61にて実行される補正係数の設定タイミング判定用処理(ステップS107)が上記第1~第3の実施形態と異なっている。以下、図12を参照して、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理について説明する。なお、第1の実施形態等と共通の構成については説明を適宜省略する。
【0087】
本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理では先ず、ステップS601にて、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得するタイミングとなったかを判定する。本判定用処理では上述した補正係数設定処理とは別に定期的に補正係数を算出する構成となっており、当該判定用処理にて前回補正係数を算出してから所定の待機時間(例えば3sec)が経過したかを判定する。そして、当該所定の待機時間が経過した最初のタイミングである場合にはステップS601にて肯定判定をし、2回目以降は前回の検出値の取得からインターバル時間(例えば0.1sec)が経過している場合に肯定判定をする。そして、ステップS601においては取得した検出値の数(個数)が指定数(例えば20)となった後は、次に所定の待機時間が経過するまで否定判定を繰り返す。ステップS601にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。ステップS601にて肯定判定をした場合には、ステップS602に進み、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得してメモリに記憶する。
【0088】
ステップS602にて検出値を保存した後は、ステップS603にて補正係数の算出タイミングであるかを判定する。具体的には、取得した検出値の数が上記指定数となったタイミングであるかを判定する。ステップS603にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。ステップS603にて肯定判定をした場合にはステップS604に進み、取得した指定数の検出値の平均値を算出し、上記基準酸素濃度を当該平均値で除して補正係数を算出する。補正係数を算出した後は、その元となった検出値を消去する。
【0089】
続くステップS605では、ステップS604にて算出した補正係数が適正範囲内となっているかを判定する。適正範囲については、A/Fセンサ50の個体差や劣化により発生し得る誤差を考慮して予め定められた範囲であり、CPU61に付属のメモリに事前に記憶されている。ステップS605にて否定判定をした場合には、算出した補正係数を消去して本判定用処理を終了する。ステップS605にて肯定判定をした場合には、算出した補正係数を消去してステップS606に進む。ステップS606にてメモリに補正係数設定タイミングフラグをセットして本判定用処理を終了する。
【0090】
センサ素子51の昇温を開始した直後はA/Fセンサ50による酸素濃度の検出値が急上昇する。この過程で算出した補正係数については、適正範囲から大きく乖離するものの、補正係数の算出が繰り返されることで同補正係数が徐々に適正範囲に近づくこととなる。そして、センサ素子51の温度が均一となって検出値の変化が収束することにより、補正係数が適正範囲に更に近づく。そして、補正係数が適正範囲内となった場合に、補正係数設定処理によって補正係数が算出→設定されることとなる。
【0091】
以上詳述した構成によれば、補正係数の設定に適正なタイミングの見極めを簡易に実現できる。
【0092】
<変形例1>
本判定用処理における指定数については、補正係数設定処理にて補正係数を算出する場合に用いる検出値の数(例えば30)よりも少なくしたが、これに限定されるものではない。指定数を、補正係数設定処理にて補正係数を算出する場合に用いる検出値の数よりも多くしてもよいし、同数としてもよい。また、取得する検出値の数を同数とする場合には、検出値の取得~平均値の算出を実行するためのプログラムを補正係数設定処理と共用とするとよい。
【0093】
<第5の実施形態>
本実施形態では、補正係数の設定に適正なタイミングを判定するための構成、具体的にはCPU61にて実行される補正係数の設定タイミング判定用処理(ステップS107)が上記第4の実施形態と異なっている。以下、図13を参照して、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理について説明する。なお、第4の実施形態等と共通の構成については説明を適宜省略する。
【0094】
本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理では先ず、ステップS701にて、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得するタイミングとなったかを判定する。ステップS701にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。ステップS701にて肯定判定をした場合には、ステップS702に進み、A/Fセンサ50から酸素濃度の検出値を取得してメモリに記憶する。ここで、ステップS701~ステップS702の処理について補足説明する。
【0095】
本判定用処理では上述した補正係数設定処理とは別に定期的に補正係数を算出する構成となっており、(1)当該判定用処理にて前回補正係数を算出してから第1の待機時間(例えば3sec)が経過したタイミングである場合、(2)第1の待機時間の経過後であって前回の検出値の取得からインターバル時間(例えば0.1sec)が経過している場合であって取得した検出値の数が指定数(例えば20)に達していない場合、(3)取得した検出値の数が指定数となり後述する補正係数の算出から更に第2の待機時間(例えば0.5sec)が経過した場合に、ステップS701にて肯定判定をして検出値を取得する。(1)~(3)の何れにも該当しない場合には検出値を取得することなく本判定用処理を終了する。
【0096】
ステップS702にて検出値を保存した後は、ステップS703にて補正係数の算出タイミングであるかを判定する。具体的には、取得した検出値の数が上記指定数となったタイミングであるかを判定する。ステップS703にて肯定判定をした場合にはステップS704に進み、取得した指定数の検出値の平均値を算出し、上記基準酸素濃度を当該平均値で除して補正係数を算出する。そして、当該補正係数を仮設定し、補正係数を算出する元となった検出値を消去する。なお、仮設定された補正係数については本判定用処理内でのみ使用され、給湯制御装置12に送信する検出値の補正には使用されない。
【0097】
続くステップS705では、CPU61に付属のメモリに補正係数を算出→仮設定したことを示すフラグとして算出フラグをセットする。
【0098】
ステップS703の説明に戻り、補正係数の算出タイミングでない場合には当該ステップS703にて否定判定をしてステップS706に進む。ステップS706では、メモリに上記算出フラグがセットされているかを判定する。算出フラグがセットされていない場合には、そのまま本判定用処理を終了する。算出フラグがセットされている場合には、ステップS707に進む。ステップS707では、仮設定している補正係数が適正であるかを確認するタイミング、具体的には補正係数を算出してから上記第2の待機時間が経過したタイミングであるかを判定する。ステップS707にて否定判定をした場合には、そのまま本判定用処理を終了する。ステップS707にて肯定判定をした場合には、ステップS708に進み、第2の待機時間の経過時に新たに取得した検出値を仮設定している補正係数を用いて補正する。
【0099】
続くステップS709では、ステップS708の補正結果(補正後の検出値)が適正範囲内であるかを判定する。この適正範囲については、基準酸素濃度にA/Fセンサ50の個体差や劣化により発生し得る誤差を考慮して定められた範囲であり、CPU61に付属のメモリに事前に記憶されている。ステップS709にて肯定判定をした場合には、仮設定している補正係数を消去してステップS710に進む。ステップS710では、メモリに補正係数設定タイミングフラグをセットする。ステップS710の処理を実行した後、又はステップS709にて否定判定をした場合には、ステップS711に進み、上記算出フラグを消去して本判定用処理を終了する。
【0100】
昇温によってセンサ素子51の推定温度=基準温度となった後も当該センサ素子51の温度が均一となるまで酸素濃度の検出値が徐々に上昇することとなる。この上昇過程にて、仮設定された補正係数を用いて検出値を補正した場合、当該補正係数を仮設定したタイミングでは補正後の検出値が基準酸素濃度と一致する。すなわち、基本的には補正後の検出値が適正範囲内となる。これに対して、検出値を取得するタイミングが補正係数の仮設定のタイミングから離れるほど補正後の検出値が基準酸素濃度から乖離する度合いが大きくなる。つまり、検出値の変化が収束していない場合には、補正後の検出値が適正範囲から外れることとなる。その後は、検出値の変化が収束することで仮設定された補正係数を用いて検出値を補正した場合に補正値が適正範囲内となる。このような構成とすることにより、補正係数を設定する適正なタイミングを好適に見極めることができる。
【0101】
<変形例1>
上記第5の実施形態では、補正係数を仮設定してから第2の待機時間が経過したタイミングで検出値を補正し適正範囲内かの確認を行う構成とした。これを以下のように変更してもよい。すなわち、図14に示すように、補正係数の仮設定後も定期的に検出値の取得を繰り返し、各検出値に仮設定された補正係数を適用して適正範囲内となっているかを確認する構成とし、補正後の検出値が連続して適正範囲内となった回数が所定の回数となった場合に検出値の変化が収束したと判定する構成としてもよい。なお、適正範囲内である確認を繰り返している途中で適正範囲外となった場合には、それまで連続して適正範囲内となった回数が多いほど、次の補正係数の仮設定のタイミング(準備の開始タイミング)が早くなるように第1の待機時間を短縮してもよい。
【0102】
<変形例2>
仮設定された補正係数が適正でない場合に、その判定までに収集済みのデータ(検出値)に基づいて新たに補正係数を仮設定する構成としてもよい。例えば、図15に示すように、補正係数設定モードとなった後の最初の補正係数の仮設定タイミングであるt0のタイミングではそれまでに収集した検出値に基づいて補正係数X0を仮設定する。その後も検出値の収集を継続し、その後のt1のタイミングでは、t0のタイミングからt1のタイミングまでの期間に収集した検出値の平均値に仮設定中の補正係数X0を適用する。その結果(補正後の検出値)が適正範囲内ではない場合にはt1のタイミングで取得した検出値又は上記平均値に基づいて新たな補正係数X1を仮設定する。その後のt2のタイミングでは、t1のタイミングからt2のタイミングまでの期間に収集した検出値の平均値に仮設定中の補正係数X1を適用する。その結果(補正後の検出値)が適正範囲内ではない場合にはt2のタイミングで取得した検出値又は上記平均値に基づいて新たな補正係数X2を仮設定する。以降は、補正後の検出値が適正範囲内となるまで補正係数の仮設定と適正範囲内かの確認とを繰り返す。このような構成とすれば、検出値の変動やノイズの影響による誤判定を抑制し、補正係数の設定に適正なタイミングを好適に見極めることができる。
【0103】
<第6の実施形態>
上記第4及び第5の実施形態では、算出した補正係数を用いて補正係数の設定に適正なタイミングを判定する構成とした。本実施形態では、補正係数の設定に適正なタイミングを判定する場合の判定精度を向上させる工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図16を参照して、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理を、第4の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第4の実施形態等と共通の構成については説明を適宜省略する。
【0104】
本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理におけるステップS801~S805の各処理については、第4の実施形態におけるステップS601~S605と同様である。
【0105】
ステップS805にて肯定判定をした場合、すなわち算出した補正係数が適正範囲内である場合には、ステップS806に進み、適正範囲内となった連続回数を把握するためのカウンタである連続成功回数カウンタCCを「1」加算して、本判定用処理を終了する。つまり、本実施形態では、補正係数が適正範囲となっている場合であっても、直ちに補正係数の設定に適正なタイミングであるとはならない。
【0106】
ステップS805にて否定判定をした場合、すなわち補正係数が適正範囲外である場合には、ステップS807に進む。ステップS807では、メモリにワーニングフラグをセットし、続くステップS808では連続成功回数カウンタCCを「0」クリアして、本判定用処理を終了する。ワーニングフラグは、補正係数が適正判定内であるか否かを特定するためのフラグである。
【0107】
ステップS803の説明に戻り、補正係数の算出タイミングではない場合には、ステップS809に進む。ステップS809では、後述する変換率の確認タイミングとなったを判定する。具体的には、ステップS804にて補正係数を算出してから予め設定された待機時間が経過した際にステップS809に肯定判定をし、それ以外の場合にはステップS809にて否定判定をする。ステップS809にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。ステップS809にて肯定判定をした場合には、ステップS810に進み、メモリにワーニングフラグがセットされているかを判定する。ワーニングフラグがセットされている場合には、ステップS811にて当該ワーニングフラグを消去して本判定用処理を終了する。ステップS810にて肯定判定をした場合には、ステップS812に進み、ステップS804にて算出した補正係数を用いて今回の検出値を補正し、補正後の検出値をメモリに記憶する。その後は、ステップS813に進み、補正後の検出値を補正前の検出値で除して今回の変換率を算出し、算出した変換率をメモリに保存する。
【0108】
続くステップS814では、連続成功回数カウンタCCの値が規定値(例えば2)よりも大きくなっているかを判定する。すなわち、算出した補正係数が適正範囲内となった連続回数が規定値よりも多くなっているかを判定する。ステップS814にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了する。ステップS814にて肯定判定をした場合には、ステップS815に進み、今回の補正係数による変換率と前回の補正係数による変換率との差(絶対値)を算出する。そして、ステップS816では、算出した変換率の差が基準値よりも小さくなっているかを判定する。ステップS816にて否定判定をした場合にはそのまま本判定用処理を終了し、ステップS816にて肯定判定をした場合には、ステップS817にて、メモリに補正係数設定タイミングフラグをセットして本判定用処理を終了する。このような構成とすることにより、補正係数を設定する適正なタイミングを好適に見極めることができる。
【0109】
なお、本実施形態では、変換率を比較することで補正係数を設定する適正なタイミングの見極めの精度を向上させる構成を第4の実施形態に適用した場合について例示したが、この変換率に係る構成を第5の実施形態に適用することも可能である。
【0110】
<第7の実施形態>
上記第4~第6の実施形態では、算出した補正係数を用いて補正係数の設定に適正なタイミングを判定する構成とした。本実施形態では、補正係数の設定に適正なタイミングを判定する場合の判定精度を向上させる工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図17図18を参照して、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理を、第4の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第4の実施形態等と共通の構成については説明を適宜省略する。
【0111】
図17に示すように、本実施形態における補正係数の設定タイミング判定用処理においては先ず、ステップS901にて実行回数カウンタDCの値が「0」又は変換率が初期値(具体的には「0」)となっているかを判定する。実行回数カウンタDCは、補正係数設定処理により補正係数が設定された回数を把握するためのカウンタであり、初期値として「0」がセットされ補正係数が設定される度に「1」ずつ加算される。また、本実施形態では、本判定用処理にて仮設定された補正係数により検出値を補正した場合の変換率が記憶される構成となっており、ステップS901では記憶されている過去(直前)の変換率が0であるかを判定する。
【0112】
ステップS901にて否定判定をした場合には、ステップS902に進み、実行回数カウンタDCの値を、補正係数や後述する基準変換率の有効期間に対応した回数Lによって除した数が整数となっているかを判定する。ステップS901及びステップS902の何れかにて肯定判定をした場合には、ステップS903にて第1判定用処理を実行した後、本判定用処理を終了する。ステップS901及びステップS902の両方にて否定判定をした場合には、ステップS904にて第2判定用処理を実行した後、本判定用処理を終了する。つまり、補正係数の初回設定時や上記有効期間経過時は第1判定用処理が実行され、それ以外は第2判定用処理が実行される。
【0113】
第1判定用処理については、基本的には第4~第6の実施形態に示した補正係数の設定タイミング判定用処理と同様であるものの、同処理の中でその後の基準となる基準変換率を設定する。具体的には、算出した補正係数を用いて検出値を補正した場合の変換率を算出し、当該変換率を基準変換率として保存する。以降の第2判定用処理においては、この基準変換率と都度の変換率とを比較して検出値の変化の収束を見極める。以下、図18を参照して第2判定用処理について補足説明する。なお、第2判定処理におけるステップS1001~S1004の各処理については、第4の実施形態におけるステップS601~S604と同様であるため説明を省略する。
【0114】
ステップS1004にて補正係数を算出した後は、ステップS100にてメモリに算出フラグをセットして、本第2判定用処理を終了する。ステップS1003の説明に戻り、当該ステップS1003にて否定判定をした場合、すなわち補正係数の算出タイミングではないと判定した場合には、ステップS1006に進む。ステップS1006では、変換率の確認タイミングとなったを判定する。具体的には、ステップS1004にて補正係数を算出してから予め設定された待機時間が経過した際にステップS1006に肯定判定をし、それ以外の場合にはステップS1006にて否定判定をする。ステップS1006にて否定判定をした場合にはそのまま本第2判定用処理を終了する。ステップS1006にて肯定判定をした場合には、ステップS1007に進み、メモリに算出フラグがセットされているかを判定する。算出フラグがセットされていない場合には、そのまま本第2判定用処理を終了する。算出フラグがセットされている場合には、ステップS1008に進み、ステップS1004にて算出した補正係数を用いて今回の検出値を補正し、補正後の検出値をメモリに記憶する。その後は、ステップS1009に進み、補正後の検出値を補正前の検出値で除して今回の変換率を算出し、算出した変換率をメモリに保存する。
【0115】
続くステップS1010では、今回の補正係数による変換率と現在の基準変換率との差(絶対値)を算出し、その差が基準値よりも小さくなっているかを判定する。ステップS1010にて否定判定をした場合にはそのまま本第2判定用処理を終了し、ステップS1010にて肯定判定をした場合にはステップS1011にて実行回数カウンタDCの値を「1」加算し、ステップS1012にて算出フラグを消去し、ステップS1013にてメモリに補正係数設定タイミングフラグをセットして本判定用処理を終了する。
【0116】
現在の基準変換率と今回の変換率とを対比する構成とすれば補正係数を設定する適正なタイミングを簡易に見極めることができる。ここで、センサユニット40の劣化によって基準変換率自体が実際の変換率から徐々にずれる可能性がある。そこで、基準変換率についても随時更新することにより、上記判定の確からしさが低下することを抑制できる。
【0117】
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。また、上記各実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。実施形態の組み合わせからなる新たな構成に対して以下の各構成を個別に適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。
【0118】
・上記各実施形態では、センサユニット40にて酸素濃度の検出値を補正し、補正した検出値を給湯制御装置12に出力する構成としたが、これに限定されるものではない。取得した酸素濃度の検出値をそのまま(補正することなく)給湯制御装置12に出力し、給湯制御装置12にて当該検出値を補正する構成としてもよい。すなわち、検出値等のデータの保存、補正係数の設定に適正なタイミングの判定、補正係数の設定等の各種機能を給湯制御装置12が担う構成とすることも可能である。また、これらの機能をセンサユニット40と給湯制御装置12とで分担する構成とすることも可能である。なお、例えば図4に示した補正係数設定モード用処理に相当する制御を給湯制御装置12が担う構成とし、給湯制御装置12では、湯沸しの制御、センサ素子51の加熱の要否判定、補正時期の判定等の主たる制御を実行する上で、センサ素子51の加熱や酸素濃度の検出等をセンサユニット40に指示し、センサユニット40のCPU61では給湯制御装置12からの指示に応じてセンサ素子51の加熱や酸素濃度の検出を実行する構成とするとよい。
【0119】
・上記各実施形態では、センサ素子51の加熱を開始した時点で補正係数の設定に適正なタイミングを判定するためのデータ(検出値)の取得を開始する構成としたが、これに限定されるものではない。酸素濃度の検出値についてはセンサ素子51が所定温度(750°C)となった後に安定する点に鑑みれば、センサ素子51の推定温度=基準温度となった時点で補正係数の設定に適正なタイミングを判定するためのデータ(検出値)の取得を開始する構成としてもよし、センサ素子51の推定温度=規定温度(基準温度よりも低い温度)となった時点で補正係数の設定に適正なタイミングを判定するためのデータ(検出値)の取得を開始する構成としてもよい。これらの構成とする場合には、補正係数の設定に適正なタイミングの判定についてはセンサ素子51の推定温度=基準温度となった時点又はその後に開始する構成とするとよい。
【0120】
・上記各実施形態では、補正係数の設定に適正なタイミングとなった後に補正係数算出用に検出値を新たに取得し、それら新たに取得した検出値から補正係数を算出する構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、補正係数の設定に適正なタイミングとなった場合には、取得済みの直近の検出値(例えば複数の検出値)から補正係数を算出する構成としてもよい。また、取得済みの直近の検出値(例えば複数の検出値)と新たに取得した検出値とから補正係数を算出する構成としてもよい。
【0121】
・上記各実施形態では、検出回路SCからの情報に基づいてセンサ素子51の温度を推定する構成としたが、温度計を用いてヒータ抵抗52やセンサ素子51の温度を計測する構成を否定するものではない。また、加熱回路HCからの情報に基づいてセンサ素子51の温度を推定する構成としてもよい。
【0122】
・上記各実施形態では、センサ素子51にヒータ抵抗52を埋設する構成とした。ヒータ抵抗52をセンサ素子51の外部から当該センサ素子51に当接させる構成であってもセンサ素子51の温度が均一となるまでにはある程度の時間を要することとなる。つまり、推定750°Cとなった後も温度が均一となるまでに検出値が変化(増加)し得る。故に、このようなセンサ構造についても上記実施形態に示した適正なタイミングを見極めるための構成を適用することで実用上好ましい構成を実現できる。
【0123】
・上記各実施形態に示したように、A/Fセンサ50に係る補正係数の設定については、ガス給湯器11の排気管39内が大気状態となっている状況下にて実行される。排気管39内を空気については徐々に外気と入れ替わるため、湯沸し終了からある程度の時間を経過した場合に排気管39内が大気状態となるがこれにはある程度の時間を要する。例えば、パージによって外気を供給し排気管39内の空気を強制的に入れ替えることで当該排気管39内を大気状態とする構成としてもよい。この場合、補正係数の設定を行う場合にパージを行う構成としてもよいし、湯沸かし終了後にパージが行われていることを条件の1つとして補正係数の設定を行う構成としてもよい。
【0124】
・湯沸しの終了後や補正係数の設定(完了/中断を含む)後に、所定の継続条件を満たした場合にはセンサ素子51を基準温度に維持するための温度制御を継続する構成としてもよい。例えば、補正係数の設定後に湯沸しを開始する場合にはセンサ素子51の加熱制御を継続する構成としたり、湯沸し後に補正係数の設定を行う場合にはセンサ素子51の加熱制御を継続する構成としたりしてもよい。
【0125】
・上記各実施形態では、ガス給湯器11の湯沸しとA/Fセンサ50に係る補正係数の設定とのうち前者が優先的に実行される構成、具体的には補正係数の設定準備中に湯沸かしの要求が発生した場合には、補正係数の設定準備を中止して湯沸かしを開始する構成とした。これを変更し、ガス給湯器11の湯沸しとA/Fセンサ50に係る補正係数の設定とのうち後者が優先的に実行される構成、具体的には補正係数の設定準備中に湯沸かしの要求が発生した場合には、補正係数の設定が完了した後に湯沸かしを開始する構成としてもよい。
【0126】
・上記各実施形態に示したように、A/Fセンサ50から取得した酸素濃度の検出値を用いて補正係数を設定するタイミングを判定する構成においては、A/Fセンサ50の故障等の偶発的な理由によって、当該タイミングではないと判定される状況が続く可能性がある。そこで、判定機能にタイムアウト機能を追加し、当該判定されない状況が続いてタイムアウトとなった場合には、今回の設定をキャンセルする構成とすることも可能である。キャンセルとなった場合には、以前に設定された補正係数の使用を継続する一方、タイムアウトとなった旨をユーザに報知する構成とするとよい。
【0127】
・上記各実施形態では、検出値等のデータ等の取得回数がある回数となったことに基づいて算出や判定等の処理を実行する構成としたが、タイマカウンタやRTCを用いて経過時間を測定し、経過時間がある時間となったことに基づいて算出や判定等の処理を実行する構成としてもよい。
【0128】
・ユーザによる設定操作や予定されたスケジュールに基づいて補正係数を設定(更新)する構成に代えて又は加えて、湯沸しの要求に応じた燃焼制御の開始前(直前)に補正係数の設定(更新)を行う構成とすることも可能である。例えば、湯沸し回数をカウントし、当該回数が予め設定された回数となった場合に、次の湯沸しに係る燃焼制御の開始前(直前)に補正係数の設定(更新)を行う構成としてもよい。
【0129】
・上記各実施形態では、貯湯式の給湯設備10に適用されたA/Fセンサ50について補正係数の設定に適正なタイミングを見極める構成を例示したが、この構成を瞬間湯沸かし式の給湯設備に適用されたA/Fセンサに適用することも可能である。また、上記各実施形態に示したA/Fセンサ50に係る補正係数の設定用の構成についてはガソリンエンジン等の内燃機関を有する他の機器(例えば自動車や発電機)に搭載されるA/Fセンサ50に適用してもよい。
【0130】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上記実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0131】
特徴1.ガス給湯器(ガス給湯器11)に適用される酸素センサユニット(センサユニット40)であって、
前記ガス給湯器の排気管(排気管39)を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサ(A/Fセンサ50)と、
前記酸素センサが接続され、当該酸素センサから取得した前記酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正値(補正係数)を用いて補正し、補正した前記検出値を前記ガス給湯器の給湯制御装置(給湯制御装置12)へ出力するセンサ用制御部(センサ基板60)と、
前記酸素センサのセンサ素子(センサ素子51)を加熱するヒータ(ヒータ抵抗52)と
を備え、
前記センサ用制御部は、
前記補正値を設定するための準備条件(ユーザの設定操作やスケジュール)の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度(例えば750°C)に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部(センサ基板60のCPU61にて温度調整用の処理を実行する機能)と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態(酸素濃度=20.97%である状態)となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、前記検出値の変化が収束しているかを判定する収束判定部(センサ基板60のCPU61にてステップS106の補正係数の設定タイミング判定用処理を実行する機能)と、
前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部(センサ基板60のCPU61にてステップS201の処理を実行する機能)と
を有している酸素センサユニット。
【0132】
センサ素子の昇温時の熱の伝わり方にはヒータからの距離等に応じた差が生じる。このため、センサ素子の推定温度や測定温度が所定温度となってからセンサ素子全体で温度が均一となるまでにある程度の時間を要する。このような事情から、酸素センサ周辺の実際の酸素濃度が一定であるにも関わらず、所定温度に達した後(所定温度に維持中)も酸素濃度の検出値が徐々に上昇(微増)するといった事象が発生し得る。仮にこのような検出値の上昇過程(微増過程)にて上記補正値が設定(例えば更新)された場合には、燃焼の適正化を図る機能が上手く発揮されない可能性がある。
【0133】
この点、本特徴に示す構成では、準備条件が成立してセンサ素子が加熱され且つ排気管内が大気状態となっている状況下にて酸素センサから酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、検出値の変化が収束したと判定した場合、例えば変化量が所定時間に亘って閾値(定常時の誤差を想定した閾値)よりも小さくなった場合に補正値が設定される。このような構成によれば、上記上昇過程にて補正値設定となることを回避できる。そして、所定温度に達して温度が均一となり検出値が安定したタイミング(適正なタイミング)で補正値を設定することにより、当該補正値の確からしさを向上させることができる。
【0134】
また、所定温度に到達してから温度が均一となるまでの時間については、センサ素子の個体差や劣化具合い等の要因によって様々となり得る。この点、本特徴に示す構成によれば、適正なタイミングの見極めに際してそれらの要因の影響を加味した制御が不要であり、様々な状況にて各々の適正なタイミングを見極めることができる。これは、補正値の設定に係る構成が複雑になることを抑制する上で好ましい。
【0135】
以上詳述したように、補正値を適正なタイミングで設定可能な構成によれば、補正機能による燃焼の更なる適正化に寄与できる。
【0136】
補正値の設定については大気状態の維持が要件となるため、補正値の設定に係る準備を湯沸しと並行して行うことは困難であり、湯沸しと補正値の設定とには優先順が生じる。このような事情から、補正値の設定の係る時間が長くなることは、補正値の設定機会(例えば更新機会)の確保や湯沸しの開始遅れの抑制を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、検出値の変化が収束したと判定した場合に補正値が設定される。このような構成とすることで、センサ素子の温度が均一になってから補正値が設定されるまでの待ち時間の短縮に寄与できる。このようにして補正値設定までの待ち時間に配慮することは、湯沸し機能と補正値の設定(更新)機能との共存を図る上で好ましい。
【0137】
因みに、本特徴に示す「収束判定部」を「前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記酸素濃度の検出値を繰り返し取得し、前記検出値の変化が収束した場合に前記補正値の設定タイミングとなったと判定するタイミング判定部」に変更し、「補正値設定部」に係る構成を「前記タイミング判定部により前記設定タイミングとなったと判定された場合に、前記酸素センサから取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する」に変更してもよい。
【0138】
特徴2.前記センサ用制御部は、前記センサ素子の温度を取得する温度取得部を有し、
前記補正値設定部は、前記温度取得部により取得した温度が前記所定温度(例えば750°C)となっている状況下にて、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する特徴1に記載の酸素センサユニット。
【0139】
本特徴に示すように、センサ素子が所定温度となっている状況下にて検出値の変化が収束した場合に補正値を設定する構成、すなわち所定温度となる前は偶発的な要因によってあたかも検出値の変化が収束しているかのような推移となった場合であっても補正値の設定が回避される構成とすることで、仮に収束の見極めが甘くなったとしても実際の補正値と理想的な補正値との乖離が過度に大きくなることを抑制できる。これは、補正値の確からしさを向上させる上で好ましい。
【0140】
なお、例えば「センサ用制御部」を「温度取得部により取得した温度が所定温度となった場合に収束判定部による検出値の変化が収束しているかの判定を許可する」構成や「温度取得部により取得した温度が所定温度となった場合に補正値の設定を許可する」構成とするとよい。
【0141】
特徴3.前記収束判定部は、前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が前記大気状態となっている状況下にて前記検出値を繰り返し取得し、新たに取得した前記検出値を含む複数の前記検出値から移動平均を算出し、新たに算出した前記移動平均とそれよりも前の前記移動平均とを含む複数の前記移動平均を対比し、前記検出値の変化が収束しているかをその対比結果に基づいて判定し、
前記補正値設定部は、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束したと判定された場合に、前記酸素センサから取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す前記濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値を前記参照対象として設定する特徴1又は特徴2に記載の酸素センサユニット。
【0142】
本特徴に示す構成では、準備条件が成立してセンサ素子が加熱され且つ排気管内が大気状態となっている状況下にて酸素センサから酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、新たに取得した検出値を含む複数の検出値から移動平均を算出し、新たに算出した移動平均とそれよりも前の移動平均とを含む複数の前記移動平均を対比した対比結果から検出値の変化が収束したかを判定する。このような構成とすれば、特徴1等に示した技術的思想を好適に具現化できる。
【0143】
検出値についてはセンサの性質上ある程度のばらつきが生じる。つまり、温度が均一となった後も一定にはならず、ある程度の幅で変動(上下)することとなる。また、ノイズ等の影響によって一時的に変動(上下)する可能性もある。上述した検出値については上昇過程(微増過程)を経て収束するため、当該収束を速やかに見極める上ではこのようなばらつきの影響を考慮(例えば除去又は軽減)する必要がある。
【0144】
この点、本特徴に示すように、複数の検出値の移動平均によってばらつきやノイズの影響を平滑化した(均した)上でそれら移動平均から検出値の収束を見極める構成とすれば、収束の傾向が上記ばらつき等によって埋没することを抑制できる。これにより、補正値を決定するまでの所要時間(待ち時間)を極力短くすることができる。以上詳述したように、補正値を適正なタイミングで算出(設定)することは、特徴1に示した効果を発揮させる上で好ましい。
【0145】
特徴4.ガス給湯器(ガス給湯器11)に適用される酸素センサユニット(センサユニット40)であって、
前記ガス給湯器の排気管(排気管39)を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサ(A/Fセンサ50)と、
前記酸素センサが接続され、当該酸素センサから取得した前記酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正値(補正係数)を用いて補正し、補正した前記検出値を前記ガス給湯器の給湯制御装置(給湯制御装置12)へ出力するセンサ用制御部(センサ基板60)と、
前記酸素センサのセンサ素子(センサ素子51)を加熱するヒータ(ヒータ抵抗52)と
を備え、
前記センサ用制御部は、
前記補正値を設定するための準備条件(ユーザの設定操作やスケジュール)の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度(例えば750°C)に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部(センサ基板60のCPU61にて温度調整用の処理を実行する機能)と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態(酸素濃度=20.97%である状態)となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、新たに取得した検出値を含む複数の前記検出値から移動平均を算出し、新たに算出した前記移動平均とそれよりも前の前記移動平均とを含む複数の前記移動平均を対比し、その対比結果に基づいて前記補正値の設定タイミングとなったかを判定するタイミング判定部(センサ基板60のCPU61にてステップS106の補正係数の設定タイミング判定用処理を実行する機能)と、
前記タイミング判定部により前記設定タイミングとなったと判定された場合に、前記酸素センサから取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部(センサ基板60のCPU61にてステップS201の処理を実行する機能)と
を有している酸素センサユニット。
【0146】
本特徴に示す構成では、準備条件が成立してセンサ素子が加熱され且つ排気管内が大気状態となっている状況下にて酸素センサから酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、新たに取得した検出値を含む複数の検出値から移動平均を都度算出し、新たに算出した移動平均とそれよりも前の移動平均とを含む複数の前記移動平均に基づいて検出値の収束を確認した場合(例えば移動平均の差や標準偏差が閾値よりも小さくなった場合)に補正値の設定タイミングとなったと判定する。このような構成とすれば、検出値が上昇過程(微増過程)を経て温度が均一となるタイミングを見極めることができ、特徴1等に示した技術的思想を好適に具現化できる。
【0147】
検出値についてはセンサの性質上ある程度のばらつきが生じる。つまり、温度が均一となった後も一定にはならず、ある程度の幅で変動(上下)することとなる。また、ノイズ等の影響によって一時的に変動(上下)する可能性もある。上述した検出値については上昇過程(微増過程)を経て収束するため、当該収束を速やかに見極める上ではこのようなばらつきの影響を考慮(例えば除去又は軽減)する必要がある。
【0148】
この点、本特徴に示すように、複数の検出値の移動平均によってばらつきやノイズの影響を平滑化した(均した)上でそれら移動平均から検出値の収束を見極める構成とすれば、収束の傾向が上記ばらつき等によって埋没することを抑制できる。これにより、補正値を決定するまでの所要時間(待ち時間)を極力短くすることができる。以上詳述したように、補正値を適正なタイミングで算出(設定)することは、特徴1に示した効果を発揮させる上で好ましい。
【0149】
特徴5.前記移動平均については、1の移動平均を算出する場合に対象とした前記検出値と、他の移動平均を算出する場合に対象とした前記検出値とが非重複となるように規定されている特徴3又は特徴4に記載の酸素センサユニット。
【0150】
本特徴に示すように、1の(先の)移動平均の算出時に参照する検出値と、他の(後の)移動平均の算出時に参照する検出値とを重複させない構成とすれば、時間的に離れた検出値により各移動平均を算出することができるため、長期的な視点から変化の傾向を把握しやすくなり、検出値の変化の収束を適切に判定することが可能となる。
【0151】
特徴6.前記収束判定部は、新たに算出した前記移動平均とそれよりも前に算出した前記移動平均との差が閾値よりも大きくなっている場合には前記検出値の変化が収束していないと判定し、今回算出した前記移動平均とそれよりも前に算出した前記移動平均との差が前記閾値よりも小さくなっている場合には前記検出値の変化が収束していると判定する特徴3又は特徴5に記載の酸素センサユニット。
【0152】
センサ素子の温度が所定温度となった後は、時間の経過とともに前後の移動平均の差が小さくなる。つまり、移動平均の差は時間の経過とともに0に近づくこととなる。そこで、この差と閾値とを比較して、検出値の収束を見極める構成とすれば、簡易な構成によって特徴3等に示した効果を発揮させることができる。
【0153】
なお、本特徴に示す構成を特徴4に適用し、「前記タイミング判定部は、新たに算出した前記移動平均とそれよりも前に算出した前記移動平均との差が閾値よりも大きくなっている場合には前記設定タイミングとなっていないと判定し、今回算出した前記移動平均とそれよりも前に算出した前記移動平均との差が前記閾値よりも小さくなっている場合には前記設定タイミングとなったと判定する特徴4に記載の酸素センサユニット。」とすることも可能である。
【0154】
特徴7.前記収束判定部は、新たに算出した前記差とその前に算出した所定数(例えば2つ)の前記差との少なくとも何れかが前記閾値よりも大きくなっている場合には前記検出値の変化が収束していないと判定し、新たに算出した前記差とその前に算出した前記所定数の前記差との何れもが前記閾値よりも小さくなっている場合には前記検出値の変化が収束していると判定する特徴6に記載の酸素センサユニット。
【0155】
上述の如く検出値にはある程度のばらつきが生じる。そこで、本特徴に示すように、新たに算出した差だけではなく、その前(過去)に算出した差を含めた複数の差について何れも閾値と比較する構成とすれば、検出値が安定していない状況下(上記上昇過程)にて補正値が決定(設定)されることを好適に抑制できる。
【0156】
特徴8.前記収束判定部は、算出した複数の前記移動平均からそれら移動平均の標準偏差を都度算出し、新たに算出した前記標準偏差とその前に算出した所定数(例えば2つ)の前記標準偏差との少なくとも何れかが閾値よりも大きくなっている場合には前記検出値の変化が収束していないと判定し、新たに算出した前記標準偏差とその前に算出した前記所定数の前記標準偏差との何れもが前記閾値よりも小さくなっている場合には前記検出値の変化が収束していると判定する特徴3又は特徴5に記載の酸素センサユニット。
【0157】
本特徴に示すように、新たに算出した標準偏差とその前(過去)に算出した所定数の標準偏差との何れもが閾値よりも小さくなっている場合に設定タイミングであると判定する構成によれば、検出値が安定していない状況下(上記上昇過程)にて補正値が決定されることを好適に抑制できる。
【0158】
なお、過去の履歴を標準偏差として残す構成とすれば、検出値自体を残す構成と比較して収束を見極めるための情報の量を圧縮できる。これは、メモリの記憶容量の増大を抑制する上で好ましい。
【0159】
因みに、本特徴に示す構成を特徴4に適用し「前記タイミング判定部は、算出した複数の前記移動平均からそれら移動平均の標準偏差を都度算出し、新たに算出した前記標準偏差とその前に算出した所定数(例えば2つ)の前記標準偏差との少なくとも何れかが閾値よりも大きくなっている場合には前記設定タイミングではないと判定し、新たに算出した前記標準偏差とその前に算出した前記所定数の前記標準偏差との何れもが前記閾値よりも小さくなっている場合には前記設定タイミングであると判定する特徴4に記載の酸素センサユニット。」とすることも可能である。
【0160】
特徴9.前記収束判定部は、それまでに取得した前記検出値の最大値を判定上限として設定し、現時点から遡って所定時間内に取得した複数の検出値が何れも前記判定上限よりも小さい場合に前記検出値が収束していると判定し、
前記補正値設定部は、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す前記濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値を前記参照対象として設定する特徴1又は特徴2に記載の酸素センサユニット。
【0161】
酸素濃度の検出値については所定温度に達した後もセンサ素子の温度が均一となるまで緩やかに増加し、温度が均一となることで安定する。本特徴に示すように、それまでに取得した検出値の最大値を判定上限として設定する構成とすれば、安定前は検出値の最大値が徐々に増加することで判定上限の更新が繰り返される一方、安定時は検出値の最大値については基本的に判定上限よりも小さくなり、判定上限の更新が実質的に停止すると想定される。所定時間内に取得した複数の検出値が何れも判定上限よりも小さい場合に検出値の変化が収束していると判定する構成とすれば、特徴1に示した収束の見極めが可能となる。
【0162】
特に、判定上限については、時間の経過によってセンサ素子の温度が上昇し、検出値(最大値)がそれまでの判定上限を超えることで自動的に更新されることとなる。このような構成とすることで、検出値の収束を見極めるための情報の量を圧縮し、簡易な構成によって特徴1に示した効果を発揮させることができる。
【0163】
なお、酸素センサにおける検出値のばらつきについては個体差等によって様々となり得るが、判定上限の更新及び複数回の確認によって当該ばらつきの収束判定への影響を好適に抑制できる。
【0164】
因みに、本特徴に示す構成を特徴1に適用する場合、「収束判定部」に係る記載を「前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態となっている状況下にて前記検出値を繰り返し取得し、それまでに取得した前記酸素濃度の検出値の最大値を判定上限として設定し、所定時間内に取得した複数の検出値が何れも前記判定上限よりも小さい場合に前記補正値の設定タイミングとなったと判定するタイミング判定部」に変更し、「補正値設定部」に係る記載を「前記タイミング判定部により前記設定タイミングとなったと判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記所定の記憶領域に設定する補正値設定部」に変更してもよい。
【0165】
特徴10.前記収束判定部は、それまでに取得した前記検出値の最大値を判定上限として設定し且つそれまでに取得した前記検出値の最小値を判定下限として設定し、現時点から遡って所定時間内に取得した複数の検出値が何れも前記判定上限よりも小さく且つ前記判定下限よりも大きい場合に前記検出値の変化が収束していると判定する特徴9に記載の酸素センサユニット。
【0166】
特徴9に示した判定上限と本特徴に示す判定下限とによって検出値の範囲を規定することにより、検出値が大きく揺れている状況下にて補正値が算出されることを好適に抑制できる。
【0167】
なお、本特徴に示す構成を「前記センサ用制御部は、前記センサ素子の温度を取得する温度取得部を有し、前記収束判定部は、それまでに取得した前記検出値の最大値を判定上限として設定し且つ前記センサ素子の温度が所定温度となってから取得した前記検出値の最小値を判定下限として設定し、前記所定温度となった後に現時点から遡って所定時間内に取得した複数の検出値が何れも前記判定上限よりも小さく且つ前記判定下限よりも大きい場合に前記検出値の変化が収束していると判定する特徴9に記載の酸素センサユニット。」とすることも可能である。センサ素子の加熱を開始することで検出値が大きく変化する。この変化については温度取得部によって取得した温度が所定温度となる場合に緩やかとなる。そこで、判定下限=所定温度に到達してから取得した検出値の最小値とすることで、上記抑制効果を一層好適に発揮させることができる。
【0168】
特徴11.前記補正値設定部は、前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記収束判定部による今回の判定に際して取得された前記検出値の少なくとも一部を用いて前記補正値を算出する特徴1乃至特徴3、特徴5乃至特徴10のいずれか1つに記載の酸素センサユニット。
【0169】
本特徴に示すように収束→補正値の設定となる場合には、収束の確認を行う過程で取得済みの検出値の少なくとも一部を用いて補正値を算出する構成とすることで、収束した後に新たに検出値を取得する構成と比較して、補正値の設定までの所要時間を短くすることができる。
【0170】
なお、本特徴に示す構成を特徴4に適用することも可能である。この場合「前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された」との記載を「前記タイミング判定部により前記設定タイミングとなったと判定された」に変更するとよい。
【0171】
特徴12.前記収束判定部は、前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が前記大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記酸素濃度の検出値を繰り返し取得し、取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値が閾値よりも小さい場合に前記検出値の変化が収束していると判定する特徴1又は特徴2に記載の酸素センサユニット。
【0172】
本特徴に示す構成によれば、準備条件が成立してセンサ素子が加熱され且つ排気管内が大気状態となっている状況下にて酸素センサから酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、取得した検出値と大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて補正値を算出し、算出した補正値が閾値よりも小さい場合に検出値の変化が収束したと判定する。このように補正機能の一部(補正値)を利用して収束を判定する構成とすれば、収束の判定に係る構成が複雑になることを抑止しつつ特徴1に示した効果を発揮させることができる。
【0173】
特徴13.前記補正値設定部は、前記収束判定部により検出値の変化が収束したと判定された場合に、前記収束判定部により算出された前記補正値を前記参照対象として設定する特徴12に記載の酸素センサユニット。
【0174】
本特徴に示すように、収束の判定に用いた補正値をそのまま参照対象として設定することで、収束したと判定した際に新たに補正値を算出する構成と比較して設定完了までの所要時間を短縮できる。
【0175】
特徴14.ガス給湯器(ガス給湯器11)に適用される酸素センサユニット(センサユニット40)であって、
前記ガス給湯器の排気管(排気管39)を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサ(A/Fセンサ50)と、
前記酸素センサが接続され、当該酸素センサから取得した前記酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正値(補正係数)を用いて補正し、補正した前記検出値を前記ガス給湯器の給湯制御装置(給湯制御装置12)へ出力するセンサ用制御部(センサ基板60)と、
前記酸素センサのセンサ素子(センサ素子51)を加熱するヒータ(ヒータ抵抗52)と
を備え、
前記センサ用制御部は、
前記補正値を設定するための準備条件(ユーザの設定操作やスケジュール)の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度(例えば750°C)に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部(センサ基板60のCPU61にて温度調整用の処理を実行する機能)と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態(酸素濃度=20.97%である状態)となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、算出した前記補正値が閾値よりも小さい場合に前記補正値の設定タイミングとなったかを判定するタイミング判定部(センサ基板60のCPU61にてステップS106の補正係数の設定タイミング判定用処理を実行する機能)と、
前記タイミング判定部により前記設定タイミングとなったと判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部(センサ基板60のCPU61にてステップS201の処理を実行する機能)と
を有している酸素センサユニット。
【0176】
本特徴に示す構成によれば、準備条件が成立してセンサ素子が加熱され且つ排気管内が大気状態となっている状況下にて酸素センサから酸素濃度の検出値を繰り返し取得する。そして、取得した検出値と大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて補正値を算出し、算出した補正値が閾値よりも小さい場合に検出値の変化が収束したと判定する。このように補正機能の一部(補正値)を利用して収束を判定する構成とすれば、収束の判定に係る構成が複雑になることを抑止しつつ特徴1に示した効果を発揮させることができる。
【0177】
特徴15.前記収束判定部は、前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が前記大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記酸素濃度の検出値を繰り返し取得し、取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す前記濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、前記補正値を算出してから所定の待機時間が経過した後に新たに取得した前記検出値を当該補正値を用いて補正し、その補正の結果が前記濃度基準値に基づいて定められた基準範囲内である場合に前記検出値の変化が収束していると判定する特徴1又は特徴2に記載の酸素センサユニット。
【0178】
検出値が上昇している状況下にて、補正値を算出してから所定の待機時間が経過した時点で取得した検出値を当該補正値を用いて補正した場合には、補正結果(補正後の検出値)が濃度基準値から大きく乖離することとなる。これに対して、検出値が収束(安定)している状況下にて、補正値を算出してから所定の待機時間が経過した時点で取得した検出値を当該補正値を用いて補正した場合には、補正結果(補正後の検出値)の濃度基準値からの乖離が抑制される。そこで、本特徴に示すように、補正結果が濃度基準値に基づいて定められた基準範囲内である場合に検出値の変化が収束していると判定する構成とすれば、特徴1等に示した技術的思想を好適に具現化できる。なお、検出値の補正については燃焼の適正化のために随時実行される。この補正の流れを収束の判定に転用することが可能となることは、制御プログラムの簡素化を図る上で好ましい。
【0179】
なお、「前記収束判定部は、前記補正の結果が前記基準範囲外となった場合には、前記補正値を新たに算出する一方、前記補正の結果が前記基準範囲内となった場合には現在の前記補正値を保持したまま、新たな検出値の取得と、前記補正値を用いた当該新たな検出値補正値の補正と、その補正の結果が前記基準範囲内であるかの判定とを繰り返し、前記補正の結果が連続して前記基準範囲内となった回数が所定回数となったことに基づいて前記補正値の決定タイミングとなったと判定する」構成とすることも可能である。このような構成とすれば、補正の結果が偶発的に基準範囲内となった場合に検出値の変化が収束していると誤判定することを好適に抑制できる。
【0180】
特徴16.ガス給湯器(ガス給湯器11)に適用される酸素センサユニット(センサユニット40)であって、
前記ガス給湯器の排気管(排気管39)を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサ(A/Fセンサ50)と、
前記酸素センサが接続され、当該酸素センサから取得した前記酸素濃度の検出値を参照対象として設定された補正値(補正係数)を用いて補正し、補正した前記検出値を前記ガス給湯器の給湯制御装置(給湯制御装置12)へ出力するセンサ用制御部(センサ基板60)と、
前記酸素センサのセンサ素子(センサ素子51)を加熱するヒータ(ヒータ抵抗52)と
を備え、
前記センサ用制御部は、
前記補正値を設定するための準備条件(ユーザの設定操作やスケジュール)の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度(例えば750°C)に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部(センサ基板60のCPU61にて温度調整用の処理を実行する機能)と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が前記大気状態となっている状況下にて前記酸素センサから前記酸素濃度の検出値を繰り返し取得し、取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、前記補正値を算出してから所定の待機時間が経過した後に新たに取得した前記検出値を当該補正値を用いて補正し、その補正の結果が前記濃度基準値に基づいて定められた基準範囲内である場合に前記補正値の設定タイミングとなったかを判定するタイミング判定部(センサ基板60のCPU61にてステップS106の補正係数の設定タイミング判定用処理を実行する機能)と、
前記タイミング判定部により前記設定タイミングとなったと判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部(センサ基板60のCPU61にてステップS201の処理を実行する機能)と
を有している酸素センサユニット。
【0181】
検出値が上昇している状況下にて、補正値を算出してから所定の待機時間が経過した時点で取得した検出値を当該補正値を用いて補正した場合には、補正結果(補正後の検出値)が濃度基準値から大きく乖離することとなる。これに対して、検出値が収束(安定)している状況下にて、補正値を算出してから所定の待機時間が経過した時点で取得した検出値を当該補正値を用いて補正した場合には、補正結果(補正後の検出値)の濃度基準値からの乖離が抑制される。そこで、本特徴に示すように、補正結果が濃度基準値に基づいて定められた基準範囲内である場合に補正値の設定タイミングとなったと判定する構成とすれば、特徴1等に示した技術的思想を好適に具現化できる。なお、検出値の補正については燃焼の適正化のために随時実行される。この補正の流れを収束の判定に転用することが可能となることは、制御プログラムの簡素化を図る上で好ましい。
【0182】
特徴17.前記加熱制御部は、前記準備条件として成立頻度が相対的に低い第1準備条件及び成立頻度が相対的に高い第2準備条件の何れかが成立した場合に、前記ヒータの加熱制御を行う構成となっており、
前記収束判定部は前記第1準備条件が成立した場合に、前記検出値の変化が収束しているかを判定する第1判定部であり、
前記センサ用制御部は、前記第2準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態(酸素濃度20.97%である状態)となっている状況下にて前記酸素センサから前記酸素濃度の検出値を繰り返し取得し、取得した前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて前記補正値を算出し、当該補正値による前記検出値の変換率と前記補正値設定部により設定されている前記補正値による前記検出値の変換率との差が所定範囲内となった場合に前記検出値の変化が収束していると判定する特徴1乃至特徴16(特徴4、特徴14、特徴16を除く)のいずれか1つに記載の酸素センサユニット。
【0183】
本特徴に示す構成によれば、第1準備条件成立時の変換率に対して第2準備条件成立時の変換率の乖離の程度によって検出値の変化が収束しているかを見極める。このように収束の判定の基準を更新することにより、収束のタイミングを精度よく且つ迅速に見極めることができる。但し、酸素センサを長期間利用する場合には、安定している状態であっても経年劣化によって以前と比べて検出値が低くなったり高くなったりすると想定される。そこで、収束を見極めるための基準についても随時更新される構成とすることで、収束のタイミングを見極める機能が低下することを抑制できる。
【0184】
特徴18.特徴1乃至特徴17のいずれか1つに記載の酸素センサユニットと前記給湯制御装置とを備えている給湯制御システム。
【0185】
本特徴に示す給湯制御システムによれば、補正値を適正なタイミングで設定可能となり、補正機能による燃焼の更なる適正化に寄与できる。また、補正値が設定されるまでの待ち時間を極力短くすることができる。これは、湯沸し機能と上述した補正機能との共存を図る上で好ましい。
【0186】
特徴19.ガス給湯器(ガス給湯器11)の排気管(排気管39)を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出可能な酸素センサ(A/Fセンサ50)と、
前記酸素センサにより検出された前記酸素濃度の検出値を、参照対象として設定された補正値(補正係数)を用いて補正する補正部(例えばセンサ基板60のCPU61における補正機能)と、
前記補正部により補正された前記検出値に基づいて前記ガス給湯器の燃焼を制御する給湯制御装置(給湯制御装置12)と
を備えている給湯制御システムであって、
前記酸素センサのセンサ素子(センサ素子51)を加熱するヒータ(ヒータ抵抗52)と、
前記補正値を設定するための準備条件(ユーザの設定操作やスケジュール)の成立を契機として前記センサ素子の加熱を開始し、前記センサ素子の温度が所定温度(例えば750°C)に達した後は当該センサ素子の温度を当該所定温度に維持するように前記ヒータの加熱制御を実行する加熱制御部(センサ基板60のCPU61にて温度調整用の処理を実行する機能)と、
前記準備条件の成立を契機として前記ヒータにより前記センサ素子が加熱されており且つ前記ガス給湯器の排気管内が大気状態(酸素濃度=20.97%である状態)となっている状況下にて前記酸素センサから前記検出値を繰り返し取得し、前記検出値の変化が収束しているかを判定する収束判定部(センサ基板60のCPU61にてステップS106の補正係数の設定タイミング判定用処理を実行する機能)と、
前記収束判定部により前記検出値の変化が収束していると判定された場合に、前記酸素センサから取得された前記検出値と前記大気状態における酸素濃度を示す濃度基準値とに基づいて算出された前記補正値を前記参照対象として設定する補正値設定部(センサ基板60のCPU61にてステップS201の処理を実行する機能)と
を備えている給湯制御システム。
【0187】
本特徴に示す給湯制御システムによれば、補正値を適正なタイミングで設定可能となり、補正機能による燃焼の更なる適正化に寄与できる。また、補正値が設定されるまでの待ち時間を極力短くすることができる。これは、湯沸し機能と上述した補正機能との共存を図る上で好ましい。
【符号の説明】
【0188】
10…給湯システム、11…ガス給湯器、12…給湯制御装置、39…排気管、40…センサユニット、50…A/Fセンサ、51…センサ素子、52…ヒータ抵抗、60…センサ基板、61…CPU。
図1
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