(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064609
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】反転機
(51)【国際特許分類】
B65G 7/08 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
B65G7/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174974
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】521316992
【氏名又は名称】株式会社埴岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】埴岡 功
(57)【要約】
【課題】外部からの動力を必要とせずに、反転台に載置した対象物を反転させたり、反転台を復元させたりすることができる反転機を提供することを目的とする。
【解決手段】対象物Bを載置して反転させる反転台10と、反転台10を枢動可能に枢支する枢動軸13と、反転台10を復元させるジャッキ部30とが備えられ、反転台10は、初期状態Iにおいて対象物Bを載置する載置面121と、反転状態Rにおいて反転された対象物Bを載置する反転面122とが設けられ、枢動軸13は、初期状態Iの載置面121が、反転状態Rの反転面122よりも+Z方向側となるように反転台10を枢支し、ジャッキ部30は、対象物Bの自重による枢動に伴って、初期状態Iから反転状態Rに変形し、反転状態Rにおいて対象物Bが降ろされることで、反転状態Rから初期状態Iに復帰する流体作動式ジャッキ31を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転させる対象物を載置して反転させる反転台と、
前記対象物を載置する第一状態と前記対象物を反転させた第二状態とに、前記反転台を枢動可能に枢支する枢支軸と、
前記反転台を前記第二状態から前記第一状態に復元させる復元手段とが備えられ、
前記反転台は、
前記第一状態において前記対象物を載置する第一載置部と、前記第二状態において反転された前記対象物を載置する第二載置部とが設けられ、
前記枢支軸は、
前記第一状態の前記第一載置部が、前記第二状態の前記第二載置部よりも上方となるように前記反転台を枢支し、
前記復元手段は、
記対象物の自重による前記第一状態から前記第二状態への枢動に伴って、初期状態から変形状態に変形し、前記第二状態において前記対象物が降ろされることで、前記変形状態から前記初期状態に復帰する変形機構で構成された
反転機。
【請求項2】
前記枢支軸は、
前記第一載置部に設けられるとともに、前記第一状態において、載置された前記対象物と前記反転台とを合わせた重心位置の鉛直下方より、前記第二載置部から離間する側に設けられた
請求項1に記載の反転機。
【請求項3】
前記反転台は、
前記第一載置部と前記第二載置部とが略直交するように設けられた
請求項1又は請求項2に記載の反転機。
【請求項4】
前記反転台を前記第一状態で維持する第一状態維持手段が備えられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の反転機。
【請求項5】
前記反転台を前記第二状態で維持する第二状態維持手段が備えられた
請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の反転機。
【請求項6】
前記変形機構が変形する変形速度を規制する変形規制手段が備えられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の反転機。
【請求項7】
前記変形機構は、
内部に作動流体を収容する収容体とピストンとを有し、一端が前記反転台に取り付けられる流体作動式ジャッキで構成された
請求項6に記載の反転機。
【請求項8】
前記流体作動式ジャッキは、
前記第一状態において、前記第一載置部よりも下側に配置され、
前記流体作動式ジャッキの一端は、
前記枢支軸よりも前記第二載置部に近接した側に取り付けられた
請求項7に記載の反転機。
【請求項9】
前記収容体と連通し、前記作動流体が前記収容体と自在に移動可能な圧力容器と、
前記収容体と前記圧力容器とを連結する連結管とが備えられ、
前記作動流体は、
前記ピストンが最も引き出された状態における前記収容体と前記連結管との合計容積以上の体積の液体と、気体とで構成され、
前記収容体と前記連結管とに液体が充満された
請求項7又は請求項8に記載の反転機。
【請求項10】
前記圧力容器の下方に、前記連結管が接続された
請求項9に記載の反転機。
【請求項11】
前記圧力容器と連通する気体容器が少なくとも一つ備えられ、
前記気体容器と前記気体容器との内部を連通する連通管が設けられた
請求項9又は請求項10に記載の反転機。
【請求項12】
前記作動流体の流量を調節するバルブが設けられ、
前記変形規制手段が前記バルブにより構成された
請求項7乃至請求項11のうちいずれか一項に記載の反転機。
【請求項13】
前記流体作動式ジャッキの他端側の端部を枢動可能に保持する枢動保持部が設けられた
請求項7乃至請求項12のうちいずれか一項に記載の反転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物を反転する反転機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、重量物である載置物を、輸送時や荷下ろし時等において角度を変えることがある。そして、この載置物の角度を変えるために、反転機が用いられている。
例えば、特許文献1に記載の反転機は、荷台面と反転面とをL字型に連結させたL型フレームと、荷台面と反転面との裏面に設けられたフォークリフトのフォークを差し込むフォーク差込口とを備えている。
【0003】
このような反転機の荷台面に、載置物である板状のパネルを載置して、荷台面の裏面に設けられたフォーク差込口にフォークリフトのフォークを差し込み、差し込んだフォークを上昇させることで、反転支点を枢動軸としてL型フレームが枢動し、L型フレームに載置された板状のパネルを反転することができるとしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の反転機では、板状のパネルを反転させるために、フォークリフト等の外部からの動力がないと反転させることができなかった。
また、反転機を再度利用するために、当初の状態に復帰させるには、反転面から板状のパネルを降ろし、反転面の裏面に設けられたフォーク差込口にフォークリフトのフォークを差し込み、差し込んだフォークを上昇させて再度L型フレームを枢動させる必要があった。つまり、特許文献1に記載の反転機は、外部からの動力がないと復帰できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、外部からの動力を必要とせずに、反転台に載置した対象物を反転させたり、反転台を復元させたりすることができる反転機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、反転させる対象物を載置して反転させる反転台と、前記対象物を載置する第一状態と前記対象物を反転させた第二状態とに、前記反転台を枢動可能に枢支する枢支軸と、前記反転台を前記第二状態から前記第一状態に復元させる復元手段とが備えられ、前記反転台は、前記第一状態において前記対象物を載置する第一載置部と、前記第二状態において反転された前記対象物を載置する第二載置部とが設けられ、前記枢支軸は、前記第一状態の前記第一載置部が、前記第二状態の前記第二載置部よりも上方となるように前記反転台を枢支し、前記復元手段は、前記対象物の自重による前記第一状態から前記第二状態への枢動に伴って、初期状態から変形状態に変形し、前記第二状態において前記対象物が降ろされることで、前記変形状態から前記初期状態に復帰する変形機構で構成された反転機であることを特徴とする。
【0008】
前記反転台は、前記第一載置部と前記第二載置部とが交差するように、夫々の端部同士が一体に連結されていればよい。
具体的には、前記反転台が、前記第一載置部と前記第二載置部とが略直交する略L字状に設けられてもよいし、前記第一載置部と前記第二載置部とが略への字状あるいは略Vの字状に傾斜するように設けられてもよい。
【0009】
前記変形機構は、前記対象物の自重が、前記反転台を介して作用することで前記初期状態から前記変形状態に変形し、前記反転台から前記対象物が降ろされることで、前記初期状態に復帰するように構成されていればよい。
【0010】
具体的には、前記変形機構がジャッキや弾性部材等であってもよく、油圧ジャッキや水圧ジャッキ、エアージャッキ等の流体を用いた流体作動式ジャッキや、押しバネ、引きバネ等でもよく、バネを用いる場合には、緩衝バネやショックアブソーバー等の緩衝器を用いてもよい。
【0011】
この発明により、外部からの動力を必要とせずに、反転台に載置した対象物を反転させたり、反転台を復元させたりすることができる。
詳述すると、前記対象物を載置する前記反転台は、前記第一状態の前記第一載置部が、前記第二状態の前記第二載置部よりも上方に配置されるとともに、前記枢支軸に枢動可能に支持されている。
【0012】
このため、前記第一状態の前記第一載置部に前記対象物を載置して、前記対象物の自重が前記反転台に作用することで、前記反転台は前記第二状態に枢動し、それに伴って、前記対象物は下方に移動しながら反転され、反転した前記対象物が前記第二載置部に載置された状態になる。
なお、この前記反転台の前記第一状態から前記第二状態への枢動に伴って、前記変形機構は、前記初期状態から前記変形状態に変形する。
【0013】
そして、前記第二状態において、前記第二載置部に載置された前記対象物を降ろすことで、前記反転台を介して前記変形機構を変形させている前記対象物の自重が取り除かれ、前記変形機構は前記変形状態から前記初期状態に復帰する。
この前記変形機構の復帰に伴って、前記反転台は前記第二状態から前記第一状態に枢動して復元される。
【0014】
従って、当該反転台は、前記第一状態の前記第一載置部に前記対象物を載置することで、前記対象物の自重によって、前記反転台に載置した前記対象物を反転することができ、かつ反転した前記対象物を前記第二状態の前記第二載置部から降ろすことで、当該反転機を前記第一状態に復帰させることができる。
つまり、外部からの動力を必要とせずに、反転台に載置した対象物を反転させたり、反転台を復元させたりすることができる。
【0015】
この発明の態様として、前記枢支軸は、前記第一載置部に設けられるとともに、前記第一状態において、載置された前記対象物と前記反転台とを合わせた重心位置の鉛直下方より、前記第二載置部から離間する側に設けられてもよい。
【0016】
この発明により、前記第一載置部に前記対象物を載置した際において、前記対象物と前記反転台とを合わせた重心位置と、前記枢支軸との位置は、前記枢支軸に直交する方向にずれることとなる。そして、前記枢支軸からずれた位置において鉛直下方に作用する前記対象物と前記反転台との自重は、前記枢動軸を回転軸として反転台を枢動させる回転力として作用する。
【0017】
さらに、前記第一状態における前記第一載置部は、前記第二状態における前記第二載置部よりも上方に配置されているため、前記第一状態において前記第一載置部に前記対象物が載置された前記反転台は、前記第一状態から前記第二状態に枢動する。
【0018】
このように、前記第一状態の前記第一載置部に前記対象物を単に載置するだけで、前記反転台を、前記枢動軸を回転軸として前記反転台を前記第一状態から前記第二状態に枢動させることができ、容易かつ確実に前記対象物を反転することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記反転台は、前記第一載置部と前記第二載置部とが略直交するように設けられてもよい。
この発明により、前記第一状態の前記第一載置部に載置する前記対象物を、前記第二載置部に対して当接させて、前記対象物が安定した状態で、前記反転台を枢動させることができる。
【0020】
詳しくは、一般的に当該反転機を利用して反転される対象物は、第一載置部に載置される面と、前記反転台の反転後に前記第二載置部に載置される面とを有しており、当該対象物は、その二つの状態で、安定して載置できるように構成されている。このため、前記反転台によって、二方向から前記対象物の面を支持することで、前記対象物が安定した状態で、前記反転台を枢動させることができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記反転台を前記第一状態で維持する第一状態維持手段が備えられてもよい。
この発明により、前記第一載置部に前記対象物を載置した前記反転台を、前記第一状態で維持することができる。
【0022】
これにより、前記第一状態において、前記第一載置部に前記対象物を載置する際に、前記反転台が意図せず枢動することを防止できる。
従って、前記第一載置部に前記対象物を確実に載置してから、前記反転台を前記第一状態から前記第二状態に枢動させ、前記対象物を確実に反転させることができ、さらに作業者の安全性を向上できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記反転台を前記第二状態で維持する第二状態維持手段が備えられてもよい。
この発明により、前記対象物を降ろした前記反転台を、前記第二状態で維持することができる。
【0024】
これにより、例えば、前記第二状態において、前記対象物を前記第二載置部から降ろす際に、前記反転台が意図せず枢動することを防止できる。
従って、前記第二載置部から前記対象物を確実に降ろしてから、前記反転台を前記第二状態から前記第一状態に確実に復元させることができ、作業者の安全性を向上できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記変形機構が変形する変形速度を規制する変形規制手段が備えられてもよい。
前記変形規制手段は、前記反転台が前記第一状態から前記第二状態に枢動する場合、及び前記反転台が前記第二状態から前記第一状態に枢動する場合のうち少なくとも一方において、前記変形機構の変形速度を規制できればよい。
【0026】
この発明により、前記反転台の枢動と連動して変形する前記変形機構の変形速度を規制することで、前記反転台の枢動する速度である回転速度を規制することができる。
【0027】
詳述すると、前記変形機構の変形速度が規制されることで、前記変形機構の変形と連動して枢動する前記反転台の回転速度は規制される。
そして、前記反転台が前記第一状態から前記第二状態に枢動する場合において、前記反転台の回転速度が規制されることで、前記反転台が勢いよく枢動することを防止でき、前記反転台の枢動が前記第二状態で停止する際に、前記対象物が損傷することを防止できる。
【0028】
さらに、前記反転台が、前記第一状態から前記第二状態に枢動する場合、及び前記第二状態から前記第一状態に枢動する場合において、前記反転台が勢いよく枢動することを防止でき、作業者の安全性をより向上することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記変形機構は、内部に作動流体を収容する収容体とピストンとを有し、一端が前記反転台に取り付けられる流体作動式ジャッキで構成されてもよい。
前記流体作動式ジャッキは、前記反転台が前記第一状態の場合に、初期状態となり、前記反転台が前記第二状態の場合に、前記初期状態から前記収容体に対して前記ピストンがスライドした前記変形状態に変形すればよい。また前記作動流体は、前記気体、及び前記液体等の流体であればよく、具体的には、前記気体は空気、前記液体はジャッキオイル等でよい。
【0030】
この発明により、前記反転台に載置された前記対象物の自重によって、前記反転台が前記第一状態から前記第二状態に枢動するに伴って、前記流体作動式ジャッキの前記ピストンが伸長、あるいは短縮方向にスライドする。
【0031】
そして、前記対象物の自重によって前記ピストンが伸長、あるいは短縮方向にスライドすることで、前記収容体に収容された前記作動流体に対して、前記対象物の自重による圧力が作用し、前記作動流体の体積が変化して、前記流体作動式ジャッキは前記初期状態から前記変形状態に変形する。
【0032】
詳しくは、前記第一状態の前記第一載置部に前記対象物を載置し、前記対象物の自重が前記反転台に作用して、前記反転台が前記第二状態に枢動するとともに、前記対象物が反転しながら下方に移動する。
【0033】
そして、前記対象物の自重によって前記ピストンが伸長、あるいは短縮方向にスライドすると同時に、前記収容体に収容された前記作動流体に圧力が作用して、下方に移動することで減少する前記対象物の位置エネルギーに応じて、前記作動流体の体積が変化することで前記流体作動式ジャッキは、前記初期状態から前記変形状態に変形する。
【0034】
さらに、前記第二状態に枢動した前記反転台から、反転した前記対象物が降ろされることで、前記反転台に作用していた前記対象物の自重が取り除かれる。これに伴って、前記ピストンを介して前記作動流体に作用していた前記対象物の自重による圧力も取り除かれるため、前記対象物による圧力によって前記作動流体の変化していた体積が変化する前の体積に復帰しようとして、前記ピストンを短縮、あるいは伸長方向にスライドする。
これにより、前記流体作動式ジャッキは、前記変形状態から前記初期状態に復帰する。
【0035】
そして前記流体作動式ジャッキが、前記変形状態から前記初期状態に復帰することで、前記流体作動式ジャッキの一端に取り付けられた前記反転台は、前記第二状態から前記第一状態に復元される。
【0036】
このように、前記反転台が、前記対象物の自重により前記第一状態から前記第二状態に枢動し、前記対象物が反転するに伴って下方に移動するに伴って作用する圧力によって、前記作動流体は、前記対象物が下方に移動して減少する位置エネルギーに応じて、体積が変化する。
【0037】
そして、前記第二状態において、前記対象物を降ろすことで、前記作動流体に作用していた圧力がなくなり、前記作動流体の体積が復帰することで、前記ピストンが短縮、あるいは伸長方向にスライドして前記流体作動式ジャッキが前記初期状態に復帰せることができ、前記反転台が第一状態から前記第二状態に枢動する際に減少した前記対象物の位置エネルギーを利用して、前記反転台を前記第一状態に容易に復元させることができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記流体作動式ジャッキは、前記第一状態において、前記第一載置部よりも下側に配置され、前記流体作動式ジャッキの一端は、前記枢支軸よりも前記第二載置部に近接した側に取り付けられてもよい。
【0039】
この発明により、前記第一状態において、前記第一載置部に載置された前記対象物の自重によって枢動する前記反転台が、前記流体作動式ジャッキの前記ピストンを短縮方向にスライドさせて前記作動流体を圧縮し、前記流体作動式ジャッキは前記初期状態から前記変形状態に変形する。
【0040】
そして、前記第二状態において、前記反転台から前記対象物を降ろすことで、前記反転台を介して前記スライドに作用していた前記対象物の自重が取り除かれ、前記作動流体が膨張するに伴って、前記ピストンが伸長方向にスライドする。
【0041】
前記ピストンの伸長方向へのスライドによって、前記流体作動式ジャッキを前記変形状態から前記初期状態に復帰させて、前記反転台を前記第二状態から前記第一状態に、復元させることができる。
つまり、前記対象物の自重により圧縮される前記作動流体の反発力を用いて、前記流体作動式ジャッキによって、前記反転台を前記第二状態から前記第一状態に復元させることができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記収容体と連通し、前記作動流体が前記収容体と自在に移動可能な圧力容器と、前記収容体と前記圧力容器とを連結する連結管とが備えられ、前記作動流体は、前記ピストンが最も引き出された状態における前記収容体と前記連結管との合計容積以上の体積の液体と、気体とで構成され、前記収容体と前記連結管とに液体が充満されてもよい。
この発明により、前記作動流体が前記収容体と前記圧力容器とに収容されることで、前記収容体と前記圧力容器との夫々を小型化することができる。
【0043】
また、前記作動流体は、前記収容体の容積が最大になった状態と前記連結管の容積との合計以上の体積の液体を有している。
このため、前記流体作動式ジャッキの流体が圧縮、又は膨張する際に、前記収容体と前記連結管とを前記液体で充満させることができる。
【0044】
このため、前記収容体、前記圧力容器、及び前記連結管の連結部分を、通過する前記作動流体を前記液体にすることで、隙間から容易に漏れ出る前記気体が、前記収容体、前記圧力容器、及び前記連結管の連結部分等から漏れ出ることを防止することができる。
【0045】
従って、前記作動流体の気体の漏出を防止することでき、前記液体を介して前記圧力容器に収容された前記気体によって、前記第二状態において、前記第二載置部にから前記対象物を降ろすだけで、前記反転台を前記第二状態から前記第一状態に確実に復元させることがでる。
【0046】
またこの発明の態様として、前記圧力容器の下方に、前記連結管が接続されてもよい。
この発明により、前記ピストンが伸長方向にスライドして、前記圧力容器の前記作動流体が、前記連結管内部の内部に流れ込むのに伴って、前記収容体と前記連結管とに対して、前記液体とともに前記気体が流入することを防止できる。
【0047】
またこの発明の態様として、前記圧力容器と連通する気体容器が少なくとも一つ備えられ、前記気体容器と前記気体容器との内部を連通する連通管が設けられてもよい。
この発明により、前記圧力容器、及び前記気体容器を小型化することで、当該反転機を小型化することができる。
【0048】
またこの発明の態様として、前記作動流体の流量を調節するバルブが設けられ、前記変形規制手段が前記バルブにより構成されてもよい。
前記バルブが、前述する前記第一状態維持手段、及び前記第二状態維持手段を構成してもよい。
【0049】
この発明により、前記変形機構である前記流体作動式ジャッキの前記ピストンの伸縮速度を、前記バルブによって容易に調整することができ、前記作動流体式ジャッキの前記ピストンが取り付けられた前記反転台の枢動する回転速度を容易に調整することができる。
さらに、前記バルブによって、前記作動流体の流れを止めることで、前記反転台を前記第一状態、及び前記第二状態で維持することができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記流体作動式ジャッキの他端側の端部を枢動可能に保持する枢動保持部が設けられてもよい。
【0051】
この発明により、前記反転台の枢動と連動して、前記流体作動式ジャッキの角度が変わることで、前記反転台に前記流体作動式ジャッキの圧力を確実に作用させることができる。
【発明の効果】
【0052】
この発明により、対象物の自重によって反転台に載置した対象物を反転させることができ、かつ容易に再度利用することができる反転機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図12】反転機による対象物の反転方法を説明する説明図。
【
図13】反転機が復帰する復帰態様を説明する説明図
【0054】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は反転機1の説明図を示し、
図2は反転機1の分解斜視図を示している。詳しくは、
図1(a)は初期状態Iの反転機1の正面図、平面図、及び右側面図をあらわす斜視図を示し、
図1(b)は反転状態Rの反転機1の正面図、平面図、及び左側面図をあらわす斜視図を示している。
【0055】
図3は反転台10の説明図を示し、
図4は枢支台20の分解斜視図を示し、
図5、及び
図6は枢支台20の説明図を示し、
図7はジャッキ部30の説明図を示し、
図8はジャッキ囲繞部33の説明図を示し、
図9は第一圧力タンク部40の説明図を示し、
図10は第二圧力タンク部50の説明図を示している。
詳しくは、
図3(a)は、反転台10の分解斜視図を示し、
図3(b)は反転台10の斜視図を示し、
図3(c)は
図3(a)におけるα部拡大図を示している。
【0056】
また、
図5(a)は枢支台20を構成する枢支土台21の平面図を示し、
図5(b)は枢支台20を構成する枢支部22の正面図を示し、
図6(a)は枢支台20を構成するジャッキ保護部23の斜視図を示し、
図6(b)は枢支台20を構成するジャッキ取付部24の左側面図を示し、
図6(c)はジャッキ取付部24の正面図を示している。
また、
図7(a)はジャッキ部30の平面図を示し、
図7(b)はジャッキ部30を構成する流体作動式ジャッキ31の正面図を示し、
図7(c)はジャッキ本体32の断面斜視図を示している。
【0057】
図8(a)はジャッキ囲繞部33の正面図、平面図、及び左側面図をあらわす分解斜視図を示し、
図8(b)はジャッキ囲繞部33の正面図、平面図、及び右側面図をあらわす分解斜視図を示す。
また、
図9(a)は第一圧力タンク部40の正面図、平面図、及び左側面図をあらわす斜視図を示し、及び
図9(b)は第一圧力タンク部40の正面図、底面図、及び右側面図をあらわす斜視図を示し、
図9(c)は第一圧力タンク部40の正面図を示している。また、
図10(a)は第二圧力タンク部50の正面図、平面図、及び左側面図をあらわす斜視図を示し、
図10(b)は第二圧力タンク部50の正面図を示している。
【0058】
図11(a)はジャッキ部30において、ピストン323が+X方向に向けて摺動した伸長状態である初期状態Iにおける流体作動式ジャッキ31と第一圧力タンク41の内部を説明する概略模式図を示している。
【0059】
また、
図11(b)はジャッキ部30において、ピストン323が-X方向に向けて摺動した短縮状態である反転状態Rにおける流体作動式ジャッキ31と第一圧力タンク41の内部を説明する概略模式図を示している。
【0060】
図12は反転機1による対象物Bの反転方法を説明する説明図を示し、詳しくは、
図12(a)は初期状態Iの反転機1に対象物Bを載置した状態の正面図を示し、
図12(b)は反転機1が初期状態Iから反転状態Rに枢動している途中の正面図を示し、
図12(c)は反転機1が反転状態Rまで枢動し、対象物Bが反転した状態の正面図を示している。
【0061】
図13は対象物Bを降ろした反転機1が反転状態Rから初期状態Iに復帰する復帰態様を説明する説明図を示し、詳しくは、
図12(a)は反転状態Rの反転機1から対象物Bを降ろした状態の正面図を示し、
図12(b)は反転機1が初期状態Iに復帰した状態の正面図を示している。
【0062】
また、
図1(a)中における反転機1の長手方向に沿う方向を長手方向Xとし、長手方向Xにおいて
図1(a)中の左側であり、反転機1において対象物Bが載置される側を+X方向、反対側を-X方向としている。
【0063】
また、
図1(a)中における反転機1の幅方向に沿う方向を幅方向Yとし、幅方向Yにおいて、
図1(a)の左側であり、反転機1において第二圧力タンク部50が配置される側を+Y方向、反対側を-Y方向としている。
また、
図1(a)中における反転機1の高さ方向に沿う方向を高さ方向Zとし、高さ方向Zにおいて、
図1(a)中の上方を+Z方向、下方を-Z方向としている。
【0064】
載置した対象物Bを反転させる反転機1は、
図1、及び
図2に示すように、対象物Bを載置する正面視略L字型の反転台10と、反転台10を枢動可能に支持する枢支台20と、反転台10と枢支台20とに枢動可能に連結されるジャッキ部30とで構成されている。
反転機1により反転される対象物Bは、金属線などの長尺体をコイル状に巻くことで構成され、略円筒状に形成されている。
【0065】
反転状態Rの反転台10は、
図3に示すように、正面視略L字状に形成されたフレーム11と、フレーム11に取り付けられ、二枚の平板を略L字状に組み合わせたL字台12と、フレーム11に取り付けられる枢動軸13で構成されている。
【0066】
正面視L字型のフレーム11は、幅方向Yに沿って所定幅を隔てて、三つが配置された略L字状のフレーム本体111と、フレーム本体111同士を幅方向Yに連結するフレーム連結部112と、後述するジャッキ部30のジャッキ囲繞部33が取り付けられるピストン取付部113とで構成されている。
【0067】
三つのフレーム本体111の夫々は、載置面121が取り付けられる角柱状の載置フレーム111aと、反転面122が取り付けられる角柱状の反転フレーム111bとが一体に取り付けられることで、正面視L字状に形成されている。
【0068】
そして、載置フレーム111aには、反転フレーム111bと連結される部分から、所定間隔隔てた位置に、円柱状の枢動軸13と同径の円弧上に窪む枢動軸取付部114が設けられている(
図3(b)参照)。
この枢動軸取付部114は、載置フレーム111aと反転フレーム111bとが連結している場所から、載置フレーム111aの長手方向の長さの略3分の2を隔てた位置に設けられている。
【0069】
フレーム連結部112は、角柱状に形成され、幅方向Yに沿って三つが配置されたフレーム本体111のうち、隣に配置されるフレーム本体111同士を幅方向Yに掛け渡すとともに連結している。
角柱状のフレーム連結部112は、L字状のフレーム本体111の両端を一体に連結するため、幅方向Yの中央に配置されたフレーム本体111の両側の端部から、幅方向Yの外側に向けて伸びるように、四箇所に設けられている。
【0070】
フレーム11に取り付けられるL字台12は、反転前の対象物Bが載置される載置面121と、反転後の対象物Bが載置される反転面122とで構成されている。
載置面121は、主面が長方形状の平板で構成され、載置面121は主面の長手方向が幅方向Yに沿うように配置されている。反転面122は、載置面121と略同一形状の平板で構成され、反転面122は主面の長手方向が幅方向Y沿うように配置されている。
【0071】
このように構成された載置面121と反転面122との端部を一体に連結することで、正面視略L字型のL字台12が構成されている(
図3(b)参照)。
枢動軸13は、幅方向Yに沿って伸びる円柱状に形成されている。枢動軸13は、枢動軸取付部114と同径の円柱状に形成され、枢動軸取付部114に取り付けられるとともに、枢動軸取付部114が設けられた載置フレーム111aに一体に取り付けられている。
【0072】
円柱状の枢動軸13は、長手方向の長さ、つまり幅方向Yに沿う長さが、フレーム11の幅方向Yに沿う長さよりも長く形成されている(
図3(a)参照)。
このように構成された枢動軸13は長手方向の中央部分が、フレーム11の幅方向Yの中央に配置されたフレーム本体111に設けられた枢動軸取付部114に対して、取り付けられている。つまり、枢動軸13は、フレーム11から、幅方向Yの両外側に向けて突出するように、取り付けられている。
【0073】
ピストン取付部113は、
図3(c)に示すように、直方体状の土台部分から円形が突出するように形成され、幅方向Yに沿って一対が配置されている。また、ピストン取付部113には、突出する円形と同心円の貫通孔によって、ピストン取付孔113aが設けられている。
【0074】
一対のピストン取付部113は、幅方向Yの中央に配置されたフレーム本体111の載置フレーム111aに設けられ、載置フレーム111aにおける反転フレーム111bと連結している側の端部、かつ反転フレーム111bの反対側において、幅方向Yに沿って所定の間隔を隔てて一対が設けられている。
【0075】
この一対のピストン取付部113の間に、後述する流体作動式ジャッキ31のピストン323の先端である+X方向側の端部が配置されるとともに、ピストン取付部113のピストン取付孔113aに突起部324を取り付けることで、反転台10に対してジャッキ部30が連結される。
このように構成された反転台10は、
図3(b)に示すように、反転台10を構成する枢動軸13が、反転台10の重心位置Cよりも、反転面122から離間した位置に設けられている。
【0076】
枢支台20は、
図4、乃至
図6に示すように、反転機1が配置される接地面と接し、長手方向Xに沿って長手方向を有するように配置される平面視矩形状の枢支土台21と、枢支台20が取り付けられる正面視略三角形状の枢支部22と、後述するジャッキ部30を囲うように取り付けられる枠状の箱体であるジャッキ保護部23と、ジャッキ部30が取り付けられるジャッキ取付部24とで構成されている。
【0077】
接地面に配置され、夫々が略均一な厚みを有する平板を組合わせた枢支土台21は、
図5(a)に示すように、長手方向Xに伸びる平板状に形成され、幅方向Yに所定の間隔を隔てて配置された一対の土台長手板部211と、幅方向Yに伸びる平板状に形成され、一対の土台長手板部211に掛け渡すように配置される4本の土台幅板部212とが一体に、平面視長方形状に組み合わされている。
【0078】
4本の土台幅板部212は、+X方向側の端部に配置される土台幅板部212aと、-X方向側の端部に配置される土台幅板部212bと、土台幅板部212aから、土台幅板部212の幅と略同一の長さを隔てた位置に配置される土台幅板部212cと、長手方向Xの中央から-X方向に向かって、所定長さを隔てた位置に配置される土台幅板部212dとで構成されている。
【0079】
正面視略三角形状の枢支部22は、夫々の土台長手板部211において、長手方向Xの中央から+X方向に向かって、所定長さ隔て位置に、一対が設けられている(
図2参照)。
枢支部22の夫々は、
図5(b)に示すように、高さ方向Zに伸びる角柱状の枢支部本体221と、枢支部本体221の+Z方向側に設けられ、枢動軸13を挿通する挿通孔を有する枢支孔部222と、枢支部本体221から、-Z方向に向かうに伴って離間するように傾斜して設けられた枢支部補助部223とで構成されている。
【0080】
枢支部本体221は、土台長手板部211の長手方向Xの中央から+X方向に向かって、所定長さ隔てた位置から、+Z方向に伸びるとともに、長手方向Xに主面を有する平板状の角柱体で構成されている。
【0081】
枢支孔部222は、枢支部本体221の+Z方向側における-X方向側の面に設けられ、正面視において長方形の土台部分から円形が突出するように形成されている。また枢支孔部222には、突出する円形と同心円の貫通孔によって、枢動軸取付孔222aが設けられている。
【0082】
そして、枢支孔部222は、枢支部本体221の-Z方向の下端から枢動軸取付孔222aの軸までの高さが、反転状態Rの反転台10において、-Z方向の下端から枢動軸13の軸までの高さと略同一となるように形成されている。
枢動軸取付孔222aは、枢動軸13の径よりも僅かに径の大きい円形の貫通孔によって設けられ、枢動軸取付孔222aに枢動軸13を挿通可能に形成されている。
【0083】
枢支部本体221に対し、傾斜して設けられる平板状の枢支部補助部223は、枢支部本体221の+X方向側の面から、-Z方向に向かうに伴って枢支部本体221から離間するように、枢支部本体221に対して約45度の傾斜角で傾斜するように取り付けられている。
そして枢支部補助部223の+X方向側の端部は、枢支部本体221における枢支孔部222が取り付けられる位置の裏側に取り付けられている。
【0084】
このように構成された一対の枢支部22は、枢支部本体221が枢支土台21を構成する枢支部本体221の長手方向Xの中央から+X方向に向かって所定長さ隔てた位置に取り付けられている。
そして、枢支部本体221から伸びる枢支部補助部223によって、枢支部本体221のがたつきを防止することで、一対の枢支部22に設けられた枢支孔部222の枢動軸取付孔222a同士の軸のずれを防止できる。
【0085】
そして、軸のずれが防止された枢動軸取付孔222aに対して、枢動軸13の幅方向Yの両端側を夫々挿通することで、枢支部22は反転台10を確実に枢動可能に支持することができる(
図1参照)。
【0086】
ジャッキ保護部23は、
図6(a)に示すように、角柱を組合わせた平面視略正方形状の矩形の枠状に形成されている。
枠状のジャッキ保護部23は、角柱を平面視正方形状に組み合わせたジャッキ保護上部231と、ジャッキ保護上部231の四隅から、-Z方向に伸びるジャッキ保護脚部232とで構成されている。
【0087】
ジャッキ保護部23は、長手方向Xの長さが、土台幅板部212dと土台幅板部212bとが長手方向Xに隔てられている長さと略同一に構成されている。またジャッキ保護部23は、幅方向Yの長さが、ジャッキ保護部23が取り付けられる枢支土台21を構成する土台幅板部212の幅方向Yの長さよりも短く形成されている。
そしてジャッキ保護部23は、高さ方向Zの長さが、枢支部本体221に取り付けられた枢支孔部222の枢動軸取付孔222aの軸の高さよりも低くなるように構成されている。
【0088】
このように構成されたジャッキ保護部23は、ジャッキ保護上部231が、枢支土台21を構成する土台幅板部212bと土台幅板部212dとに掛け渡せるように、夫々にジャッキ保護脚部232が取り付けられ、その内側に、後述するジャッキ部30を配置することができ、さらに、ジャッキ保護部23の上端が、初期状態Iの反転台10と干渉しないように構成されている(
図1(a)参照)。
【0089】
ジャッキ取付部24は、
図6(b)、及び
図6(c)に示すように、幅方向Yに沿って長手方向を有する角柱状に形成されたジャッキ取付土台241と、ジャッキ取付土台241の+X方向側に取り付けられ、後述のジャッキ部30を取り付けるための貫通孔を有する一対のジャッキ取付本体242とで一体に構成されている。
【0090】
ジャッキ取付本体242は、正面視において長方形の土台部分から円形が突出するように形成されている。またジャッキ取付本体242には、突出する円形と同心円の貫通孔によって、ジャッキ取付孔242aが設けられている。そしてジャッキ取付本体242は、ジャッキ取付土台241よりも-Z方向側に向かって、枢支土台21の高さ方向Zの長さと略同一の長さで突出している。
このように構成されたジャッキ取付本体242は、幅方向Yに沿って、所定間隔を隔て一対が設けられている。
【0091】
このように構成されたジャッキ取付部24は、枢支土台21を構成する土台幅板部212bの幅方向Yの中央部分に取り付けられ、ジャッキ取付部24を構成するジャッキ取付本体242は、ジャッキ取付土台241と土台幅板部212bに対して一体に取り付けられている(
図1参照)。
【0092】
そして、一対のジャッキ取付本体242の間に、後述するジャッキ枢動支持部34のジャッキ枢動本体341が配置されるとともに、ジャッキ取付本体242のジャッキ取付孔242aにジャッキ枢動軸部342取り付けることで、ジャッキ取付部24にジャッキ部30が枢動可能に連結される。
【0093】
ジャッキ部30は、
図7に示すように、反転台10と枢支台20とに連結される流体作動式ジャッキ31と、内部がオイルО、及び空気Eで充満される第一圧力タンク部40と、内部が空気Eで充満される第二圧力タンク部50と、流体作動式ジャッキ31と第一圧力タンク部40との内部を作動流体が移動可能に連結する第一連結管60と、第一圧力タンク部40と第二圧力タンク部50との内部を作動流体が移動可能に連結する第二連結管70とで構成されている。
【0094】
流体作動式ジャッキ31は、
図7(b)に示すように、ジャッキ本体32と、ジャッキ本体32を囲うジャッキ囲繞部33と、流体作動式ジャッキ31を枢支台20に対してとりつけるジャッキ枢動支持部34とで構成されている。
【0095】
ジャッキ本体32は、
図7(c)に示すように、内部がオイルОで充満された円筒状のシリンダ321と、シリンダ321に後述する第一連結管60を接続する第一接続管連結部322と、シリンダ321の内部を自在に摺動するピストン323とで構成されている。
【0096】
第一接続管連結部322は、シリンダ321の-X方向側に設けられ、第一連結管60を接続することで、第一圧力タンク部40をジャッキ部30に対して連通可能に構成されている。
ピストン323は、+X方向側の端部に、幅方向Yに沿って突出する円柱状の突起部324が設けられている(
図7(a)参照)。
【0097】
突起部324は、上述する反転台10のピストン取付孔113aと略同径の円柱状に形成され、一対のピストン取付部113の間にピストン323の先端である+X方向側の端部を配置するとともに、突起部324をピストン取付孔113aに挿通することで、ピストン323を備えるジャッキ部30が反転台10に対して枢動可能に構成している。
【0098】
ジャッキ囲繞部33は、
図8に示すように、シリンダ321を-X方向側から支持する囲繞部本体331と、シリンダ321を+X方向側から支持する囲繞部蓋体332と、囲繞部本体331と囲繞部蓋体332とを連結する二本の円柱状の棒である連結棒333とで構成されている。
【0099】
囲繞部本体331は、円筒状のシリンダ321の-X方向側に嵌合する円形の窪みを有する矩形のジャッキ嵌合部334と、ジャッキ嵌合部334の+Z方向側において、高さ方向Zに貫通し、後述する第一連結管60が挿通される円形の貫通孔である接続管挿通孔334aと、ジャッキ本体32を-Z方向側から支持する板状のジャッキ支持板335とで一体に構成されている。
【0100】
ジャッキ嵌合部334の+Z方向側には、所定の幅を隔てて、円柱状に凹む連結棒333が嵌合する連結嵌合孔336が設けられている。そして、接続管挿通孔334aは、第一接続管連結部322と対応する位置に設けられている。
ジャッキ支持板335は、ジャッキ嵌合部334の-Z方向側の端部から、+X方向に向けて延出する平板によって構成され、ジャッキ嵌合部334と一体に構成されている。
【0101】
囲繞部蓋体332は、円筒状のシリンダ321の+X方向側に嵌合する円形の窪みを有する角柱状に形成されている。そして囲繞部蓋体332は、-Z方向の下端にジャッキ支持板335の厚みと略同程度の高さで切り欠かれた支持板係合部337と、連結嵌合孔336と対応する位置に設けられた連結貫通孔338と、ピストン323が挿通するピストン挿通孔339とが設けられている。
【0102】
このように構成されたジャッキ囲繞部33のジャッキ嵌合部334の窪みにジャッキ本体32を構成するシリンダ321の-X方向側の端部を嵌合させるとともに、ジャッキ本体32をジャッキ支持板335に沿うように配置する。そして、接続管挿通孔334aに、第一接続管連結部322を挿通させる。
これにより、囲繞部本体331にジャッキ本体32が取り付けられる。
【0103】
さらに囲繞部本体331に取り付けられたジャッキ本体32において、シリンダ321の+X方向側の端部に、囲繞部蓋体332の窪みを嵌合させて、ピストン挿通孔339にピストン323を挿通させるとともに、支持板係合部337をジャッキ支持板335の+X方向側の端部に係合させる。
これにより、囲繞部本体331とジャッキ本体32に対して、囲繞部蓋体332が取り付けられる。
【0104】
そして、このように取付けられた囲繞部本体331の連結嵌合孔336と、囲繞部蓋体332の連結貫通孔338とに対して、連結棒333を連通させ、連結棒333の+X方向側の端部を図示省略するボルトとナットで固定することで、ジャッキ本体32とジャッキ囲繞部33とを固定している。
【0105】
ジャッキ枢動支持部34は、
図8(b)に示すように、ジャッキ囲繞部33の-X方向側の端部から突出するように設けられ、幅方向Yに主面を有する略蒲鉾型に形成されたジャッキ枢動本体341と、ジャッキ枢動本体341の主面から幅方向Yに沿って突出する円柱状のジャッキ枢動軸部342とで構成されている。
【0106】
ジャッキ枢動本体341は、幅方向Yに沿って所定の間隔を隔てて配置されるジャッキ取付本体242よりも僅かに薄く形成されている。またジャッキ枢動軸部342は、枢支台20のジャッキ取付孔242aと略同径の円柱状に形成されている。
【0107】
このため、一対のジャッキ取付本体242の間にジャッキ枢動本体341を配置するとともに、夫々のジャッキ取付孔242a対してジャッキ枢動軸部342を挿通することで、流体作動式ジャッキ31を枢支台20に対して枢動可能に取り付けることができる。
【0108】
第一圧力タンク部40は、
図9に示すように、内部に空気Eが充満される第一圧力タンク41と、第一圧力タンク41が載置される第一タンク台42と、第一圧力タンク41の-Z方向側に設けられた第一連結管60を取り付けるための第一取付部43と、第一圧力タンク41の長手方向Xに沿う方向の中央近傍に設けられた第二連結管70を取り付けるための、第一タンク側第二取付部44とで構成されている。
【0109】
第一圧力タンク41は、長手方向Xに沿って伸びる略円筒状の金属製の耐圧タンクによって構成されている。
第一タンク台42は、長手方向Xに沿って伸び、枢支土台21と均一の厚みで形成された平面視長方形の平板状に形成されるとともに、接地面に配置されるタンク土台421と、タンク土台421から+Z方向に突出して、第一圧力タンク41を支持するタンク支持部422とで構成されている。
【0110】
平板状のタンク土台421は、枢支土台21の幅方向Yの中央から+Y方向に所定間隔を隔てた位置において、土台幅板部212bと土台幅板部212dとを長手方向Xに沿って掛け渡すように配置されている(
図1参照)。
【0111】
第一圧力タンク41を支持するタンク支持部422は、タンク土台421の+X方向の端部から、+Z方向に向けて突出する板状のタンク支持部422aと、タンク土台421の-X方向側の端部から、+Z方向に向けて突出する板状のタンク支持部422bとで構成されている。
【0112】
タンク支持部422aとタンク支持部422bとは、夫々が側面視略長方形状の板上に形成され、+Z方向の端部における幅方向Yの中央部分に、第一圧力タンク41を載置する略半円状の窪みを有している。
【0113】
そして、タンク支持部422bの高さ方向Zの長さは、タンク支持部422aの高さ方向Zの長さよりも短く形成されている。これにより、第一タンク台42に載置される第一圧力タンク41は、-X方向に向かうに伴って、-Z方向に向かうように傾斜するように載置されている(
図9(c)参照)。
【0114】
第一取付部43は、-X方向に向かうに伴って、-Z方向に向かうように傾斜する第一圧力タンク41において、-X方向側かつ-Z方向側に設けられている(
図9(b)参照)。そして、第一取付部43は、第一圧力タンク41の内部空間と管状に形成された第一連結管60の内部空間とが連通するように、第一連結管60を取り付け可能に構成されている。
【0115】
第一タンク側第二取付部44は、第一圧力タンク41の長手方向Xに沿う方向の中央近傍かつ、高さ方向Z側に設けられている。そして、第一タンク側第二取付部44は、第一圧力タンク41の内部空間と管状に形成された第二連結管70の内部空間とが連通するように、第二連結管70を取り付け可能に構成されている。
【0116】
第二圧力タンク部50は、
図10に示すように、内部に空気Eが充満される第二圧力タンク51と、第一タンク台42と同一に構成され、ジャッキ部30を挟んで対称に配置される第二タンク台52とで構成されている。
なお、第二タンク台52は、配置される場所を除いて第一圧力タンク41と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0117】
第二圧力タンク51は、長手方向Xに沿って伸びる略円筒状の金属製の耐圧タンクによって構成されている。そして、第二圧力タンク51には、長手方向Xに沿う方向の中央近傍かつ上方において、第二連結管70を取り付けるための、第二タンク側第二取付部54が設けられている。そして第二タンク側第二取付部54は、第二圧力タンク51の内部空間と管状に形成された第二連結管70の内部空間とが連通するように、第二連結管70を取り付け可能に構成されている。
【0118】
第一連結管60は、第一圧力タンク41とシリンダ321との内部空間を連通可能な管状に構成され、その内部空間にはオイルОが充満されている(
図7(a)、及び
図11参照)。
そして、第一連結管60には、
図7(a)に示すように、第一連結管60の内部を通過するオイルОの流量を調節する第一バルブ61が設けられている。
【0119】
第二連結管70は、第一圧力タンク部40と第二圧力タンク部50との内部空間を連通可能な管状に構成され、その内部空間には空気Eが充満されている(
図7(a)参照)。
そして、第二連結管70には、第二連結管70の内部を通過する空気Eの流量を調節する第二バルブ71が設けられている。
【0120】
このように構成された流体作動式ジャッキ31、第一圧力タンク部40、及び第二圧力タンク部50は、流体作動式ジャッキ31の第一接続管連結部322と第一圧力タンク部40の第一取付部43とが第一連結管60を介して連結されている。
そして、第一圧力タンク部40の第一タンク側第二取付部44と、第二圧力タンク部50の第二タンク側第二取付部54とが第二連結管70を介して接続されることでジャッキ部30を構成している。
【0121】
このジャッキ部30において、内部に充満される作動流体のうちオイルОの体積は、
図11に示すように、ピストン323が最大まで伸長し、最大となったシリンダ321の容積と、第一連結管60の容積との合計容積よりも多く設定され、第一圧力タンク41、シリンダ321、及び第一連結管60の内部に収容されている。
これにより、第一圧力タンク41と第一連結管60とには、常にオイルОを充満させておくことができる。
【0122】
このように構成されたジャッキ部30において、流体作動式ジャッキ31のピストン323がシリンダ321に対し、+X方向に向けて摺動した状態である初期状態I(
図11(a)参照)から、ピストン323がシリンダ321に対し、-X方向に向けて摺動した状態である反転状態R(
図11(b)参照)になることで、ピストン323により、シリンダ321内のオイルОが押されている。
【0123】
つまり、シリンダ321と第一連結管60を介して内部が連通する第一圧力タンク41、及び第一圧力タンク41と第二連結管70を介して内部が連通する第二圧力タンク51に充満する空気Eを、ピストン323をスライドさせることで、圧縮、又は膨張可能に構成している。
【0124】
次に、
図12に基づいて、金属をコイル状に巻いて略円筒状に形成した対象物Bの反転方法を説明する。
図12(a)に示すように、反転機1の反転台10を、載置面121が水平となった初期状態Iにした状態において、第一バルブ61、及び第二バルブ71を閉めることでジャッキ部30の内部におけるオイルО、又は空気Eの流れを止める。これにより、ジャッキ部30のピストン323の動きを止めることができ、ピストン323が連結された反転台10を初期状態Iの状態で固定することができる。
【0125】
そして、初期状態Iで固定された反転機1の反転台10に対し、対象物Bの外周が載置面121に、対象物Bの底面部分が反転面122と接するように対象物Bを載置する。
対象物Bを載置する反転台10の重心位置Cは、初期状態Iにおいて枢動軸13よりも、反転面122に近接した位置に設けられている。このため、対象物Bを枢動軸13よりも反転面122側に載置することで、対象物B、及び反転台10を合わせた重心位置C´は、枢動軸13よりも、反転面122に近接した位置になるため、反転台10、及び対象物Bの自重によって、枢動軸13に回転モーメントが生じている。
【0126】
次に、
図12(b)に示すように、対象物Bが載置され、初期状態Iで固定された反転台10において、第一バルブ61、及び第二バルブ71を開けることで、反転台10の固定が解除される。これにより、対象物Bの自重によって生じた枢動軸13を軸とする回転モーメントによって、反転台10のL字台12は、枢動軸13を回転軸として反転状態Rに向かって枢動すると同時に、対象物Bの自重が反転台10を介してピストン323を-X方向側、つまり短縮方向に向けてスライドさせる。
【0127】
このとき、-X方向に向けてスライドするピストン323によって、シリンダ321の内部に充満されたオイルОが押し込まれ、第一連結管60を介して第一圧力タンク41に流入し、第一圧力タンク部40と第二圧力タンク部50に充満されている空気Eが圧縮されて体積が減少する。
【0128】
この対象物Bの自重によって圧縮されることで減少する空気Eの体積量は、反転台10に載置された対象物Bが、L字台12の枢動に伴って、下方に移動することで減少する対象物Bの位置エネルギーに対応している。
【0129】
そして、
図12(c)に示すように、対象物Bの自重によって、反転台10のL字台12が、土台幅板部212cに当接するまで枢動して、反転台10が反転状態Rになることで、反転台10に載置された対象物Bの角度を90度反転させることができる。
【0130】
そして、反転台10が反転状態Rになった状態において、第一バルブ61、及び第二バルブ71を閉めることで、反転台10が反転状態Rで固定され、対象物Bを降ろしても、反転台10を対象物Bの状態で固定することができる。
【0131】
次に、
図13に基づいて、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに復帰させる復帰方法について説明する。
上述のように、
図13(a)に示すように、反転状態Rの反転機1の反転台10から、対象物Bを降ろすことで、反転台10、ピストン323、及びオイルОを介して空気Eを圧縮していた対象物Bの自重が取り除かれる。
【0132】
そして、対象物Bが降ろされた反転機1において、第一バルブ61,及び第二バルブ71を開けることで、対象物Bの自重により圧縮されていた空気Eの体積が復元され、オイルОを介して+X方向側にスライドされるピストン323が、反転台10を押しあげる(
図13(b)参照)。これにより、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに復元させることができる。
【0133】
このように、反転機1は、対象物Bの自重によって対象物Bを反転させることができるとともに、対象物Bの反転に伴って減少する対象物Bの位置エネルギーを利用して、対象物Bを反転させた反転機1を初期状態Iに戻すことができる。
【0134】
このように構成された反転機1は、反転させる対象物Bを載置して反転させる反転台10と、対象物Bを載置する初期状態Iと対象物Bを反転させた反転状態Rとに、反転台10を枢動可能に枢支する枢動軸13と、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに復元させるジャッキ部30とが備えられ、反転台10は、初期状態Iにおいて対象物Bを載置する載置面121と、反転状態Rにおいて反転された対象物Bを載置する反転面122とが設けられ、枢動軸13は、初期状態Iの載置面121が、反転状態Rの反転面122よりも+Z方向側となるように反転台10を枢支し、ジャッキ部30は、対象物Bの自重による初期状態Iから反転状態Rへの枢動に伴って、初期状態Iから反転状態Rに変形し、反転状態Rにおいて対象物Bが降ろされることで、反転状態Rから初期状態Iに復帰する流体作動式ジャッキ31を備えている。
【0135】
これにより、外部からの動力を必要とせずに、反転台10に載置した対象物Bを反転させたり、反転台10を復元させたりすることができる。
詳述すると、対象物Bを載置する反転台10は、初期状態Iの載置面121が、反転状態Rの反転面122よりも+Z方向側に配置されるとともに、枢動軸13に枢動可能に支持されている。
【0136】
このため、初期状態Iの載置面121に対象物Bを載置して、対象物Bの自重が反転台10に作用することで、反転台10は反転状態Rに枢動し、それに伴って、対象物Bは-Z方向側に移動しながら反転され、反転した対象物Bは反転面122に載置された状態になる。
なお、この反転台10の初期状態Iから反転状態Rへの枢動に伴って、流体作動式ジャッキ31は、初期状態Iから反転状態Rに変形する。
【0137】
そして、反転状態Rにおいて、反転面122に載置された対象物Bを降ろすことで、反転台10を介して流体作動式ジャッキ31を変形させている対象物Bの自重が取り除かれ、流体作動式ジャッキ31は反転状態Rから初期状態Iに復帰する。
この流体作動式ジャッキ31の復帰に伴って、反転台10は反転状態Rから初期状態Iに枢動して復元される。
【0138】
従って、当該反転台10は、初期状態Iの載置面121に対象物Bを載置することで、対象物Bの自重によって、反転台10に載置した対象物Bを反転することができ、かつ反転した対象物Bを反転状態Rの反転面122から降ろすことで、当該反転機1を初期状態Iに復帰させることができる。
つまり、外部からの動力を必要とせずに、反転台10に載置した対象物Bを反転させたり、反転台10を復元させたりすることができる。
【0139】
また、枢動軸13は、載置面121に設けられるとともに、初期状態Iにおいて、載置された対象物Bと反転台10とを合わせた重心位置C´の鉛直-Z方向側より、反転面122から離間する側に設けられている。
【0140】
これにより、載置面121に対象物Bを載置した際において、対象物Bと反転台10とを合わせた重心位置C´と、枢動軸13との位置は、枢動軸13に直交する方向にずれることとなる。
そして、枢動軸13からずれた位置において、鉛直下方、つまり-Z方向側に作用する対象物Bと反転台10との自重は、枢動軸13を回転軸として反転台10させる回転力として作用する。
【0141】
さらに、初期状態Iにおける載置面121は、反転状態Rにおける反転面122よりも+Z方向側に配置されているため、初期状態Iにおいて載置面121に対象物Bが載置された反転台10は、初期状態Iから反転状態Rに枢動する。
【0142】
このように、初期状態Iの載置面121に対象物Bを単に載置するだけで、反転台10を、枢動軸を回転軸として反転台10を初期状態Iから反転状態Rに枢動させることができ、容易かつ確実に対象物Bを反転することができる。
【0143】
また、反転台10は、載置面121と反転面122とが略直交するように設けられている。
これにより、初期状態Iの載置面121に載置する対象物Bを、反転面122に対して当接させて、対象物Bが安定した状態で、反転台10を枢動させることができる。
【0144】
詳しくは、当該反転機1を利用して反転される対象物Bは、載置面121に載置される面と、反転台10の反転後に反転面122に載置される面とを有する略円筒状に形成されており、対象物Bは、その二つの状態で、で安定する略円筒状に形成されている。このため、反転台10によって、二方向から対象物Bの面を支持することで、対象物Bが安定した状態で、反転台10を枢動させることができる。
【0145】
また、反転台10を初期状態Iで維持する第一バルブ61、及び第二バルブ71が備えられてもいる。
これにより、載置面121に対象物Bを載置した反転台10を、初期状態Iで維持することができる。
【0146】
これにより、初期状態Iにおいて、載置面121に対象物Bを載置する際に、反転台10が意図せず枢動することを防止できる。
従って、載置面121に対象物Bを確実に載置してから、反転台10を初期状態Iから反転状態Rに枢動させ、対象物Bを確実に反転させることができ、作業者の安全性を向上できる。
【0147】
また、反転台10を反転状態Rで維持する第一バルブ61、及び第二バルブ71が備えられている。
これにより、対象物Bを降ろした反転台10を、反転状態Rで維持することができる。
【0148】
これにより、例えば、反転状態Rにおいて、対象物Bを反転面122から降ろす際に、反転台10が意図せず枢動することを防止できる。
従って、反転面122から対象物Bを確実に降ろしてから、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに確実に復元させることができ、作業者の安全性を向上できる。
【0149】
また、流体作動式ジャッキ31が変形する変形速度を規制する第一バルブ61、及び第二バルブ71が備えられている。
これにより、反転台10の枢動と連動して変形する流体作動式ジャッキ31の変形速度を規制することで、反転台10の枢動する速度である回転速度を規制することができる。
【0150】
詳述すると、流体作動式ジャッキ31の変形速度が規制されることで、流体作動式ジャッキ31の変形と連動して枢動する反転台10の回転速度は規制される。
そして、反転台10が初期状態Iから反転状態Rに枢動する場合において、反転台10の回転速度が規制されることで、反転台10が勢いよく枢動することを防止でき、反転台10の枢動が反転状態Rで停止する際に、対象物Bが損傷することを防止できる。
【0151】
さらに、反転台10が、初期状態Iから反転状態Rに枢動する場合、及び反転状態Rから初期状態Iに枢動する場合において、反転台10が勢いよく枢動することを防止でき、作業者の安全性をより向上することができる。
【0152】
また、流体作動式ジャッキ31は、内部にオイルОを収容するシリンダ321とピストン323とを有し、先端である+X方向側の端部が反転台10に取り付けられている。
これにより、反転台10に載置された対象物Bの自重によって、反転台10が初期状態Iから反転状態Rに枢動するに伴って、流体作動式ジャッキ31のピストン323が短縮方向である-X方向側にスライドする。
【0153】
そして、対象物Bの自重によってピストン323が短縮方向である-X方向側にスライドすることで、シリンダ321に収容されたオイルОに対して、対象物Bの自重による圧力が作用し、第一圧力タンク41、及び第二圧力タンク51に収容された空気Eの体積が変化して、流体作動式ジャッキ31は初期状態Iから反転状態Rに変形する。
【0154】
詳しくは、初期状態Iの載置面121に対象物Bを載置し、対象物Bの自重が反転台10に作用して、反転台10が反転状態Rに枢動するとともに、対象物Bが反転しながら-Z方向側に移動する。
【0155】
そして、対象物Bの自重によってピストン323が-X方向側すると同時に、シリンダ321に収容されたオイルОに圧力が作用して、-Z方向側に移動することで減少する対象物Bの位置エネルギーに応じて、オイルОを介して、第一圧力タンク41、及び第二圧力タンク51内の空気Eの体積が変化することで流体作動式ジャッキ31は、初期状態Iから反転状態Rに変形する。
【0156】
さらに、反転状態Rに枢動した反転台10から、反転した対象物Bが降ろされることで、反転台10に作用していた対象物Bの自重が取り除かれる。
これに伴って、ピストン323、及びオイルОを介して、空気Eを圧縮していた対象物Bの自重による圧力も取り除かれるため、対象物Bによる圧力によって空気Eの変化していた体積が変化する前の体積に復帰しようとして、ピストン323を+X方向側である伸長方向にスライドする。これにより、流体作動式ジャッキ31は、反転状態Rから初期状態Iに復帰する。
【0157】
そして流体作動式ジャッキ31が、反転状態Rから初期状態Iに復帰することで、流体作動式ジャッキ31の一端に取り付けられた反転台10は、反転状態Rから初期状態Iに復元される。
このように、反転台10が、対象物Bの自重により初期状態Iから反転状態Rに枢動し、対象物Bが反転するに伴って-Z方向側に移動するに伴って作用する圧力によって、空気Eは、対象物Bが-Z方向側に移動して減少する位置エネルギーに応じて、体積が変化する。
【0158】
そして、反転状態Rにおいて、対象物Bを降ろすことで、オイルО、及び空気Eに作用していた圧力がなくなり、空気Eの体積が復帰することで、ピストン323が伸長方向である-X方向側にスライドして流体作動式ジャッキ31が初期状態Iに復帰せることができ、反転台10が初期状態Iから反転状態Rに枢動する際に減少した対象物Bの位置エネルギーを利用して、反転台10を初期状態Iに容易に復元させることができる。
【0159】
また、流体作動式ジャッキ31は、初期状態Iにおいて、載置面121よりも下側に配置され、流体作動式ジャッキ31の一端は、枢動軸13よりも反転面122に近接した側に取り付けられている。
【0160】
これにより、初期状態Iにおいて、載置面121に載置された対象物Bの自重によって枢動する反転台10が、流体作動式ジャッキ31のピストン323を短縮方向にスライドさせて空気Eを圧縮し、流体作動式ジャッキ31は初期状態Iから反転状態Rに変形する。
【0161】
そして、反転状態Rにおいて、反転台10から対象物Bを降ろすことで、反転台10を介してスライドに作用していた対象物Bの自重が取り除かれ、空気Eが膨張するに伴って、ピストン323が伸長方向にスライドする。
【0162】
このピストン323の伸長方向へのスライドによって、流体作動式ジャッキ31を反転状態Rから初期状態Iに復帰させて、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに、復元させることができる。
つまり、対象物Bの自重により圧縮される空気Eの反発力を用いて、流体作動式ジャッキ31によって、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに復元させることができる。
【0163】
また、シリンダ321と連通し、オイルО、及び空気Eがシリンダ321と自在に移動可能な第一圧力タンク41と、シリンダ321と第一圧力タンク41とを連結する第一連結管60とが備えられ、ピストン323が最も引き出された状態におけるシリンダ321と第一連結管60との合計容積以上の体積のオイルОと、空気Eとを備え、シリンダ321と第一連結管60とにオイルОが充満されている。
これにより、オイルО、及び空気Eがシリンダ321と第一圧力タンク41とに収容されることで、シリンダ321と第一圧力タンク41との夫々を小型化することができる。
【0164】
また、シリンダ321の容積が最大になった状態と第一連結管60の容積との合計以上の体積のオイルОを有している。
このため、流体作動式ジャッキ31の流体が圧縮、又は膨張する際に、シリンダ321と第一連結管60とをオイルОで充満させることができる。
【0165】
このため、シリンダ321、第一圧力タンク41、及び第一連結管60の連結部分にはオイルОを通過させることで、隙間から容易に漏れ出る空気Eが漏れ出ることを防止することができる。
従って、空気Eの漏出を防止することで、オイルОを介して第一圧力タンク41に収容された空気Eによって、反転状態Rにおいて、反転面122にから対象物Bを降ろすだけで、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに確実に復元させることができる。
【0166】
また、第一圧力タンク41の-Z方向側に、第一連結管60が接続されている。
これにより、ピストン323が伸長方向にスライドして、第一圧力タンク41のオイルОが、第一連結管60の内部に流れ込むのに伴って、シリンダ321と第一連結管60とに対して、オイルОとともに空気Eが流入することを防止でき、シリンダ321と第一連結管60とにオイルОを確実に充満させておくことができる。
【0167】
また、第一圧力タンク41と連通する第二圧力タンク51が一つ備えられ、第二圧力タンク51と第二圧力タンク51との内部を連通する第二連結管70が設けられている。
これにより、第一圧力タンク41、及び第二圧力タンク51を小型化することで、当該反転機1を小型化することができる。
【0168】
また、オイルО、及び空気Eの流量を調節する第一バルブ61、及び第二バルブ71が、設けられている。
これにより、流体作動式ジャッキ31である流体作動式ジャッキ31のピストン323の伸縮速度を、第一バルブ61、及び第二バルブ71によって容易に調整することができ、流体作動式ジャッキ31のピストン323が取り付けられた反転台10の枢動する回転速度を容易に調整することができる。
さらに、バルブによって、オイルО、及び空気Eの流れを止めることで、反転台10を初期状態I、及び反転状態Rで維持することができる。
【0169】
また、流体作動式ジャッキ31の他端側の端部を枢動可能に保持するジャッキ取付部24が設けられて。
【0170】
これにより、反転台10の枢動と連動して、流体作動式ジャッキ31の角度が変わることで、反転台10に流体作動式ジャッキ31の圧力を確実に作用させることができる。
【0171】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の反転機は、実施形態の反転機1に対応し、
以下同様に、
反転台は反転台10に対応し、
枢支軸は、枢動軸13に対応し、
枢動保持部は、ジャッキ取付部24に対応し、
復元手段は、ジャッキ部30に対応し、
圧力容器は、第一圧力タンク41に対応し、
気体容器は、第二圧力タンク51に対応し、
変形規制手段、初期状態維持手段、及び反転状態維持手段は、第一バルブ61、及び第二バルブ71に対応し、
第一載置部は、載置面121に対応し、
第二載置部は、反転面122に対応し、
収容体は、シリンダ321に対応し、
ピストンは、ピストン323に対応し、
重心位置は、重心位置C´に対応し、
第一状態、及び初期状態は、初期状態Iに対応し、
第二状態、及び変形状態は、反転状態Rに対応し、
作動流体は、空気E、及びオイルОに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0172】
例えば、本実施形態において、対象物Bは、金属をコイル状に巻くことで略円筒状に形成されているが、どのような形状で形成されてもよい。そらに、本実施形態において、対象物Bは、反転台10に一つ載置されているが、複数載置されてもよい。
【0173】
また、本実施形態において、反転台10は、載置面121と反転面122とが略直行するように正面視L字状に形成されているが、載置面121と反転面122とが交差するように、夫々の端部同士が一体に連結されていればよい。具体的には、反転台10が、載置面121と反転面122とが略への字状あるいは略Vの字状に傾斜するように設けられてもよい。
【0174】
また本実施形態において、反転台10を反転状態Rから初期状態Iに復元させるために流体作動式ジャッキ31が設けられているが、油圧ジャッキや水圧ジャッキ、エアージャッキ等のジャッキや、押しバネ、引きバネ等でもよい。さらに、バネを用いる場合には、緩衝バネやショックアブソーバー等の緩衝器を用いてもよい。
【0175】
また本実施形態において、第一バルブ61、及び第二バルブ71は、反転台10が初期状態Iから反転状態Rに枢動する場合、及び反転台10が反転状態Rから初期状態Iに枢動する場合の両方において、流体作動式ジャッキ31の変形速度を規制可能に構成しているが、少なくとも一方において、流体作動式ジャッキ31の変形速度を規制できればよい。
【0176】
また本実施形態において、第一バルブ61、及び第二バルブ71によって、反転台10を初期状態I、及び反転状態Rで固定可能に構成しているが、反転台10を初期状態I、及び反転状態Rのうち少なくとも一方で固定する別部材が設けられてもよい。
また本実施形態において、枢支台20は平板を組合わせて構成しているが、例えばその四隅にフックや貫通孔を設け、クレーン等で吊るして移動可能に構成してもよい。
【0177】
また本実施形態において、反転機1は接地面を限定していないが、地面だけでなくトラックやトレーラーなどの運送用車両に載置して反転機1を利用してもよい。
また、反転台10に載置された対象物Bを、反転台10に対して固定する固定手段が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0178】
1・・・反転期
10・・・反転台
13・・・枢動軸
24・・・ジャッキ取付部
41・・・第一圧力タンク
51・・・第二圧力タンク
61・・・第一バルブ
71・・・第二バルブ
111・・・載置面
112・・・反転面
321・・・タンク
323・・・ピストン
C,C´・・・重心位置
B・・・対象物
I・・・初期状態
R・・・反転状態