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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064647
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】包装装置及び廃棄物収容装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20230501BHJP
   B65B 51/16 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B65B51/10
B65B51/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175037
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】395023071
【氏名又は名称】ユニ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591047970
【氏名又は名称】共立製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】古川 和彦
(72)【発明者】
【氏名】柳 飛沙則
(72)【発明者】
【氏名】橋 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋一
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA11
3E094BA11
3E094CA08
3E094DA08
3E094EA03
3E094HA06
3E094HA09
(57)【要約】
【課題】2本のフィルム引き出しローラの回転動作の確実性を高めつつ、フィルムの引き込み力を高める.
【解決手段】各フィルム引き出しローラ50,60の各端部に、弾性部材からなる駆動伝達ローラ53,63が設けられている。よって、モータ70の回転力は、いずれか一方のフィルム引き出しローラ50に回転力を伝えることにより、他方のフィルム引き出しローラ60が、このような駆動伝達ローラを設けていない従来の構造と比較してより確実に回転する。また、駆動伝達ローラ50,60が弾性部材からなるため、対向する駆動伝達ローラ50,60間に封止フィルム31,41が挟まった場合に、該封止フィルム31,41に破れ等の破損を生じさせることがない。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層同士を対面させた2枚の封止フィルム間に包装対象物を位置させて包装する包装装置であって、
引き出された際に前記粘着層同士が対面するように前記各封止フィルムが巻回されており、枠部材内に、所定間隔離間して配置される2本のフィルム供給ローラと、
前記枠部材内に設けられ、回転することにより、前記各フィルム供給ローラから封止フィルムを巻き戻して引き出し、引き出された各封止フィルムを介して接すると共に、前記包装対象物の通過時にはその外径に沿って変形する筒状弾性部材が回転軸に配設されている2本のフィルム引き出しローラと、
前記各封止フィルム引き出しローラを回転させるための駆動部と
を具備し、
一方の前記フィルム引き出しローラの回転軸の各端部と、他方の前記フィルム引き出しローラの回転軸の各端部には、前記筒状弾性部材よりも高い硬度の弾性部材からなり、対向するもの同士が前記各封止フィルムを介して密接可能な駆動伝達ローラが設けられ、
前記駆動部の回転力により、前記いずれか一方のフィルム引き出しローラが回転すると、対向する前記各駆動伝達ローラを介して他方のフィルム引き出しローラが回転する
構成であることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記各駆動伝達ローラは、回転方向に沿った断面形状として、円形又は異形のものが用いられる請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記駆動部の回転力が伝達されて回転する前記2本のフィルム引き出しローラのうちの一方を主動側とし、他方を、この主動側のフィルム引き出しローラが回転することにより回転する従動側とした場合に、
前記従動側として機能するフィルム引き出しローラを、対向する前記主動側として機能するフィルム引き出しローラ側に押圧する弾性部材が設けられている請求項1又は2記載の包装装置。
【請求項4】
前記従動側として機能するフィルム引き出しローラの回転軸が軸支される軸受け部材が、前記枠部材に対して移動可能に設けられ、
前記弾性部材は、前記軸受け部材と前記枠部材との間に配設され、前記軸受け部材を、前記主動側として機能するフィルム引き出しローラ側に押圧するばね部材から構成される請求項3記載の包装装置。
【請求項5】
前記2本のフィルム供給ローラの直径方向に沿った配設範囲が、平面視で、前記2本のフィルム引き出しローラーを合わせた配設範囲内に収まっている請求項1~4のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項6】
前記枠部材は、前記2本のフィルム供給ローラ及び前記2本のフィルム引き出しローラの軸方向の長さに合わせて、対向する支持部材間の距離が調整可能である請求項1~5のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項7】
前記2本のフィルム引き出しローラの下部付近に、前記各封止フィルムが、前記2本のフィルム引き出しローラ方向に巻き込まれることを抑制するじゃま板が設けられている請求項1~6のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項8】
前記2本のフィルム引き出しローラを構成する前記各筒状弾性部材は、軸方向に間隔をおいて回転方向にスリットが形成されている請求項1~7のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項9】
前記2本のフィルム引き出しローラを構成する前記各筒状弾性部材は、軸方向に間隔をおいて分離された複数の分離筒状部を有してなり、前記各分離筒状部が、前記回転軸に支持されて構成されている請求項1~7のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項10】
粘着層同士を対面させた2枚の封止フィルム間に包装対象物を位置させて包装する包装装置であって、
引き出された際に前記粘着層同士が対面するように前記各封止フィルムが巻回されており、枠部材内に、所定間隔離間して配置される2本のフィルム供給ローラと、
前記枠部材内に設けられ、回転することにより、前記各フィルム供給ローラから封止フィルムを巻き戻して引き出し、引き出された各封止フィルムを介して接すると共に、前記包装対象物の通過時にはその外径に沿って変形する筒状弾性部材が回転軸に配設されている2本のフィルム引き出しローラと、
前記各封止フィルム引き出しローラを回転させるための駆動部と
を具備し、
前記2本のフィルム供給ローラの直径方向に沿った配設範囲が、平面視で、前記2本のフィルム引き出しローラーを合わせた配設範囲内に収まっていることを特徴とする包装装置。
【請求項11】
前記駆動部への過負荷を防止する過負荷防止装置が設けられている請求項1~10のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項12】
前記封止フィルムとして、自着力1.5(N/10mm)以上の粘着剤により前記粘着層が形成されたフィルムが用いられる請求項1~11のいずれか1に記載の包装装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1に記載の包装装置を備えると共に、前記包装対象物が廃棄物であり、
前記包装装置の下部に、前記廃棄物を収容する廃棄物収容部を備えていることを特徴とする廃棄物収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装対象物を包装する技術に関し、特に、使用済みの紙おむつや生理用品あるいはその他のゴミなどの廃棄物を包装して廃棄するのに適した包装装置及びこの包装装置を有する廃棄物収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、使用済みの紙おむつや生理用品などのように臭気を発生し易い発臭性の廃棄物をフィルムで密封してから収容する装置が開示されている。
【0003】
具体的には、包装対象物である廃棄物を収容するゴミ収容部の上部にパッケージ装置(包装装置)を設けたものである。このパッケージ装置は、所定間隔離間して回転可能に並列配置され、それぞれからフィルムを供給する2本のフィルム供給ローラと、各フィルム供給ローラから引き出された各フィルムを介して周面が接するように並列配置された2本のフィルム引き出しローラとを具備している。また、2本のフィルム引き出しローラのうち、少なくとも一方が廃棄物の形状に沿って弾性変形する周面を備えており、各フィルム引き出しローラは、駆動部により回転する構成となっている。
【0004】
2本のフィルム供給ローラから供給されるフィルムのうちの少なくとも一方のフィルムは、他方のフィルムとの対向面に粘着層が形成されている。廃棄物を2本のフィルム供給ローラ間に投入し、前記駆動部により2本のフィルム引き出しローラが回転すると、前記フィルム引き出しローラのうちの少なくとも一方が廃棄物により弾性変形し、さらに、当該廃棄物が各フィルム引き出しローラ間を通過すると、当該廃棄物の周囲でフィルム同士が密着し、当該廃棄物が個別に密封された状態で複数個連続してゴミ収容部内に収容される。
【0005】
また、特許文献3では、2本のフィルム引き出しローラの両端部に歯車を設け、2本のフィルム引き出しローラの回転を確実に同期させると共に、対向する歯車間にフィルムを通過させることでフィルムの引き込み力を高める構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2005/037684号公報
【特許文献2】WO2010/150763号公報
【特許文献3】特開2021-1044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、2枚のフィルム間に包装対象物としての廃棄物を密封する廃棄物収容装置に関する基本構造を提案したもので、2本のフィルム引き出しローラの回転に関しては、一方のフィルム引き出しローラの回転軸とモータの回転軸との間に駆動ベルトを掛け渡して回転させることが開示されているのみである。他方のフィルム引き出しローラはフィルムを介して一方のフィルム引き出しローラの回転に伴って回転するという説明がなされている。特許文献2は、フィルム引き出しローラの下方にフィルムの引き込み力を高めるローラをさらに配置しているが、2本のフィルム引き出しローラがフィルムを介して一方が時計方向に他方が反時計方向に回転する構成である点は特許文献1と同様である。
【0008】
しかしながら、フィルム引き出しローラは、包装対象物である廃棄物が通過する際に変形する弾性部材から構成されており、それらが相互にフィルムを介して押圧し合う力のみでは廃棄物をゴミ収容部内へ円滑に誘導できない可能性もある。
【0009】
この点、特許文献3の構成では、各フィルム引き出しローラの両端部に配置した歯車同士を噛合させた構成であるため、両者はほぼ確実に同期回転する。但し、このような歯車の噛み合わせで同期回転を図ろうとすると、廃棄物の大きさや形状等によって、フィルムが真っ直ぐに引き出されずに歯車間に噛み込まれてしまう場合がある。特許文献3の技術は、フィルムを積極的に歯車間に噛み合わせることで、フィルム引き出しローラのフィルムの引き込み力(フィルム供給ローラからフィルムが引き出される力)を高めているが、フィルムの破れを防止するために、歯車の先端に丸みをつけたり、対向する歯車間の間隔を使用するフィルムの厚さに応じて微調整したりするなどの工夫を要する。よって、2本のフィルム引き出しローラの同期回転を確実に行わせ、かつフィルム引き出しローラにおけるフィルムの引き込み力を高めるには、歯の先端に丸みを付けた歯車を用いたり、歯車間の間隔をフィルムに応じて微調整したりする必要があるなど、構造が複雑になり、また、初期設定作業も面倒となる。
【0010】
また、特許文献1~3に示されている廃棄物収容装置や封止装置は、いずれも、平面視で、フィルム引き出しローラの外側縁が、フィルム供給ローラの外側縁よりも外方に位置しており、それらを支持する枠部材として、並列配置される2本のフィルム引き出しローラの直径方向の長さよりも大きなものとなり、その分、大型化するという課題もあった。
【0011】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、2本のフィルム引き出しローラの回転動作の確実性を高めつつ、フィルムの引き込み力を高め、さらに、フィルムの引き出し方向に偏りが生じてもフィルムの破損を抑制することができる包装装置及び廃棄物収容装置を提供することを課題とする。また、本発明は、これに加え、より小型化を図ることができる包装装置及び廃棄物収容装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明では、
粘着層同士を対面させた2枚の封止フィルム間に包装対象物を位置させて包装する包装装置であって、
引き出された際に前記粘着層同士が対面するように前記各封止フィルムが巻回されており、枠部材内に、所定間隔離間して配置される2本のフィルム供給ローラと、
前記枠部材内に設けられ、回転することにより、前記各フィルム供給ローラから封止フィルムを巻き戻して引き出し、引き出された各封止フィルムを介して接すると共に、前記包装対象物の通過時にはその外径に沿って変形する筒状弾性部材が回転軸に配設されている2本のフィルム引き出しローラと、
前記各封止フィルム引き出しローラを回転させるための駆動部と
を具備し、
一方の前記フィルム引き出しローラの回転軸の各端部と、他方の前記フィルム引き出しローラの回転軸の各端部には、前記筒状弾性部材よりも高い硬度の弾性部材からなり、対向するもの同士が前記各封止フィルムを介して密接可能な駆動伝達ローラが設けられ、
前記駆動部の回転力により、前記いずれか一方のフィルム引き出しローラが回転すると、対向する前記各駆動伝達ローラを介して他方のフィルム引き出しローラが回転する
構成であることを特徴とする包装装置を提供する。
【0013】
前記各駆動伝達ローラは、回転方向に沿った断面形状として、円形又は異形のものが用いられることが好ましい。
【0014】
前記駆動部の回転力が伝達されて回転する前記2本のフィルム引き出しローラのうちの一方を主動側とし、他方を、この主動側のフィルム引き出しローラが回転することにより回転する従動側とした場合に、
前記従動側として機能するフィルム引き出しローラを、対向する前記主動側として機能するフィルム引き出しローラ側に押圧する弾性部材が設けられていることが好ましい。
【0015】
前記従動側として機能するフィルム引き出しローラの回転軸が軸支される軸受け部材が、前記枠部材に対して移動可能に設けられ、
前記弾性部材は、前記軸受け部材と前記枠部材との間に配設され、前記軸受け部材を、前記主動側として機能するフィルム引き出しローラ側に押圧するばね部材から構成されることが好ましい。
【0016】
前記2本のフィルム供給ローラの直径方向に沿った配設範囲が、平面視で、前記2本のフィルム引き出しローラーを合わせた配設範囲内に収まっていることが好ましい。
前記枠部材は、前記2本のフィルム供給ローラ及び前記2本のフィルム引き出しローラの軸方向の長さに合わせて、対向する支持部材間の距離が調整可能であることが好ましい。
前記2本のフィル 前記2本のフィルム引き出しローラの下部付近に、前記各封止フィルムが、前記2本のフィルム引き出しローラ方向に巻き込まれることを抑制するじゃま板が設けられていることが好ましい。
また、前記2本のフィルム引き出しローラを構成する前記各筒状弾性部材は、軸方向に間隔をおいて回転方向にスリットが形成されていることが好ましい。
さらに、前記2本のフィルム引き出しローラを構成する前記各筒状弾性部材は、軸方向に間隔をおいて分離された複数の分離筒状部を有してなり、前記各分離筒状部が、前記回転軸に支持されて構成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、
粘着層同士を対面させた2枚の封止フィルム間に包装対象物を位置させて包装する包装装置であって、
引き出された際に前記粘着層同士が対面するように前記各封止フィルムが巻回されており、枠部材内に、所定間隔離間して配置される2本のフィルム供給ローラと、
前記枠部材内に設けられ、回転することにより、前記各フィルム供給ローラから封止フィルムを巻き戻して引き出し、引き出された各封止フィルムを介して接すると共に、前記包装対象物の通過時にはその外径に沿って変形する筒状弾性部材が回転軸に配設されている2本のフィルム引き出しローラと、
前記各封止フィルム引き出しローラを回転させるための駆動部と
を具備し、
前記2本のフィルム供給ローラの直径方向に沿った配設範囲が、平面視で、前記2本のフィルム引き出しローラーを合わせた配設範囲内に収まっていることを特徴とする包装装置を提供する。
【0018】
前記駆動部への過負荷を防止する過負荷防止装置が設けられていることが好ましい。
前記封止フィルムとして、自着力1.5(N/10mm)以上の粘着剤により前記粘着層が形成されたフィルムが用いられることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、
上記包装装置を備えると共に、前記包装対象物が廃棄物であり、
前記包装装置の下部に、前記廃棄物を収容する廃棄物収容部を備えていることを特徴とする廃棄物収容装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各フィルム引き出しローラの各端部に、弾性部材からなる駆動伝達ローラが設けられている。よって、駆動部の回転力は、いずれか一方のフィルム引き出しローラに回転力を伝えることにより、他方のフィルム引き出しローラが、このような駆動伝達ローラを設けていない従来の構造と比較してより確実に回転する。また、駆動伝達ローラが弾性部材からなるため、対向する駆動伝達ローラ間に封止フィルムが挟まった場合に、該封止フィルムに破れ等の破損を生じさせることがない。
また、2本のフィルム供給ローラの直径方向に沿った配設範囲を、平面視で、フィルム引き出しローラ2本を合わせた範囲内とすることにより、枠部材を小型化でき、包装装置全体又は廃棄物収容装置全体の小型化に資する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一の実施形態に係る廃棄物収容装置の全体構成を概略的に締めず図である。
図2図2は、本発明の一の実施形態に係る包装装置の構成を説明するための斜視図である。
図3図3(a)は、図2に示した包装装置の平面図であり、図3(b)は、側板部方向から見た枠部材の内部の構造を示した図である。
図4図4(a)は、フィルム供給ローラの軸受け部材が枠部材に固定され、それにフィルム供給ローラが配設されている状態を示した図であり、図4(b)は、フィルム供給ローラの軸受け部材の斜視図である。
図5図5は、歯車形状に形成された駆動伝達ローラを用いたフィルム引き出しローラを示した斜視図である。
図6図6は、異形断面の駆動伝達ローラの表面形状を概略的に示した図である。
図7図7(a)~(h)は、駆動伝達ローラのバリエーションを示した図である。
図8図8は、従動側のフィルム引き出しローラを主動側のフィルム引き出しローラに押圧付勢する構成を説明するための図である。
図9図9は、封止フィルムの断面の一部を示した図である。
図10図10は、封止フィルムの自着力の検討方法を説明するための図である。
図11図11は、封止フィルムの自着力の検討方法を説明するための図である。
図12図12は、自着力と、気泡が出たときのサンプルにかかった圧力との関係を示すグラフである。
図13図13は、フィルム引き出しロータの他の態様を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の一の実施形態に係る廃棄物収容装置100の全体構成を示す概念図である。この図に示したように、廃棄物収容装置100は、包装装置10を備えていると共に、その下部に箱状の廃棄物収容部110を備えている。
【0023】
包装装置10は、枠部材20、フィルム供給ローラ30,40、フィルム引き出しローラ50,60及びモータ(駆動部)70等を有して構成される。
【0024】
枠部材20は、フィルム供給ローラ30,40及びフィルム引き出しローラ50,60を回転可能に軸支できるものであればよく、その構造及び形状は限定されるものではない。枠部材20は、箱状の廃棄物収容部110の上部に支持される。
枠部材20は、本実施形態では、図2及び図3に示したように、正面板部21、背面板部22及び対向する2つの側板部23,23を備えたものを用いており、対向する側板部23,23間に各ローラ30~60が掛け渡され、それぞれ回転可能に軸支されている。
【0025】
枠部材20の任意の位置、例えば、上面には、投入口24が形成されており、該投入口24から包装対象物としての廃棄物が投入されると、フィルム供給ローラ30,40間及びフィルム引き出しローラ50,60間を経て、枠部材20の下部に配置されている廃棄物収容部110内に収容される(図1参照)。
【0026】
フィルム供給ローラ30,40は、上記したように枠部材20の側板部23,23間に掛け渡されると共に、互いに所定間隔離間して並列に対向配置され、包装対象物である廃棄物が、対向するフィルム供給ローラ30,40間に投入可能に設けられている。フィルム供給ローラ30,40は、両者間に投入される廃棄物を密封するための封止フィルム31,41を供給するもので、所定長で所定幅の封止フィルム31,41が巻回されている。また、フィルム供給ローラ30,40は、例えば、図4(a),(b)に示したように、各側板部23,23に、略直方体で、上面に開放部231a,231aを有すると共に、内壁部が略U字状にくり抜かれたガイド壁部231b,231bとなっている軸受け部材231,231が固定されている。これにより、フィルム供給ローラ30,40を配置する際には、回転軸30a、40aの各端部を該軸受け部材231,231に開放部231a,231aから差し込めば、ガイド壁部231b,231bと外面231c,231cとの隙間に挿入され、容易に軸支させることができる。よって、封止フィルム31,41を消費した後、新たなフィルム供給ローラ30,40に交換する際の作業も、専門のメンテナンス作業員によることなく、廃棄物収容装置100を設置している使用者側で容易に交換することができる。
【0027】
ここで、封止フィルム31,41は、包装対象物である廃棄物に密着し、臭気が外部にできるだけ漏れないように密封できるものであれば、その種類、材料は限定されるものではないが、各封止フィルム31,41の内面(引き出された際に相互に対向する廃棄物に密着する面)に粘着層を有するものが用いられる。中でも、粘着層を構成する粘着剤の自着力が1.5(N/10mm)以上のものを用いることが好ましい。
【0028】
具体的には、各封止フィルム31,41は、図9に示すように、基材層31a,41aの一面に粘着層31b,41bを有し、他面に剥離層31c,41cを有しており、例えば粘着層31b,41bがそれぞれ半径方向外側となるように巻回され、フィルム供給ローラ30,40を構成している。なお、フィルム供給ローラ30,40と後述のフィルム引き出しローラ50,60間に方向転換用のローラ(図示せず)を介することにより、粘着層31b,41bがそれぞれ半径方向内側となるように巻回した構成とすることも可能である。封止フィルム31,41の厚さは、5~40μmが好ましく、より好ましくは8~16μmである。
【0029】
基材層31a,41aは、特に限定されず、例えば、クラフト紙、クレープ紙、和紙等などの繊維状物質で形成された多孔性材料や、ポリオレフイン系樹、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂等で形成したプラスチックフイルムを用いることができる。基材層31a,41aの厚さは、6μm~25μmが好ましく、より好ましくは8μm~16μmである。
粘着層31b,41bは、粘着剤が基材層31a、41aの一面に塗布されて形成されている。 粘着層31b,41bの厚さは、3μm~10μmが好ましく、より好ましくは3μm~7μmである。
【0030】
上記の自着力及び厚さを有する粘着層を構成する粘着剤は、エラストマーと、タッキファイヤ(粘着付与樹脂) を含む。エラストマーとタッキファイヤの配合比(重量比) は、好ましくは100:50~100であり、より好ましくは、100:70~80である。
エラストマーには、例えば、SIS(スチレン-イソプレンブロック共重合体)などのスチレン-イソプレン-スチレン系合成ゴムと、天然ゴムを併用することが好ましい。好ましくは、エラストマーにおける天然ゴムの配合比率(重量比率)が0~30%であり、より好ましくは5~20%である。エラストマーとしては、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)などを含んでもよい。
【0031】
エラストマーの合成ゴムのジブロック率は26~78%が好ましく、さらにジブロック率の異なる2種類以上の合成ゴムを配合することがより好ましい。
タッキファイヤとしては、C5系石油系樹脂、C5-C9系石油樹脂、デルペン樹脂、ロジン樹脂の少なくとも1種類、または数種類を併用するとよい。タッキファイヤの重量を100部として、C5-C9系石油樹脂を30~40部、C5系石油樹脂を35部~45部含むのが好ましく、さらに、C5-C9系石油樹脂やC5系石油樹脂を2種類以上配合することがより好ましい。
【0032】
剥離層31c,41cはシリコーン系剥離剤、あるいはアルキルペンダント系、縮合ワックス系剥離剤などの非シリコーン系剥離剤からなる。剥離層31c,41cを有することにより、ロール状に巻回された封止フィルム31,41が引き出される際にはスムーズに引き出され、フィルム引き出しローラ50,60やモータ70に大きな負荷がかかることがない。また、半径方向外側の剥離層31c,41cの部分が引き出される際に、当該剥離層31c,41cの部分と重なり合っている半径方向内側の粘着層31b,41bから離間する際の音の発生も抑制される。
【0033】
ここで封止フィルム31,41について、両者間におむつ等を封止し、臭気のもれを防止するのに必要な自着力を検討する。
なお、本実施形態でいう自着力とは、以下の試験方法で得られた数値である。
まず23℃50%RHの条件下、テープ(幅10mm)を試験片とし、試験片の粘着面を内側として、貼り合わせ長さが100mm以上になるようにして重ね、幅50mmの2kgローラーにより30mm/minの速度で1往復圧着し、30分放置する。その後、上記試験片をインストロン型引っ張り試験機に固定し、剥離速度20mm/minでT型剥離し、その時得られた剥離力(N/10mm)を測定した。
【0034】
図10及び図11は、臭気のもれを防止するために必要な自着力を検討するための方法を説明するための図である。
粘着層31b,41bに必要な自着力を検討するにあたり、まず、ラミネート装置 (日本カルミック(株)製、商品名「サニッコ」) に自着力を測定した幅110mmの封止フィルムをセットする。
【0035】
次に、30mm×30mm×30mmのスポンジ2100を上記装置でラミネートする。これにより、封止フィルム31,41の粘着層同士が付着するとともに封止フィルム31,41の間にスポンジ2100が狭み込まれた状態となる。
次に、貼り合わされた幅110mmの封止フィルム31,41を、スポンジ2100が中心になるよう長さ110mmで切断する。これによりサンプル2000が形成される。このようなサンプル2000を、粘着層の自着力の異なる封止フィルムで複数作成した。
【0036】
次に、図10に示したように、各サンプル2000を容器2400内に充填された水2500の中に入れ、サンプル2000の上方から平板2300で荷重Wをゆっくり加える。そして、水中で封止フィルムの合わせ部分から気泡つまり臭気が出た時の台秤2600の値を測定する。
その結果を、ラミネートされた封止フィルム31,41と平板2300の接触面がフィルム幅Aの半分である一辺Bの領域であると仮定し、臭気が出た時のサンプル2000にかかる圧力 (Pa =N/m)を算出する。
【0037】
封止フィルム31,41の自着力と、気泡が出た時のサンプルにかかった圧力との関係は、図12に示すとおりである。
図12に示すグラフの圧力Y(Pa)と、自着力X(N/10mm)との関係を示す回帰直線を求めると、Y=3424.2X-4055.7となる。
【0038】
ここで、使用後の紙おむつの重量は、大人用で約210gであり、乳児用で180gである。(例えば、福岡都市圈紙おむつリサイクルシステム検討委員会報告書-平成28年2月-https://www.recycle-kea.or.jp/activite/document/01_honbun_all.pdf 2021年8月17日検索) の5頁参照) 。
【0039】
使用後のおむつを大人用は330mm幅、乳幼児用は220mm幅の封止フィルムでラミネートして、その上に1つの使用済みおむつが重なった場合に下方の試料に加わる圧力は以下の通りである。
大人用210g×0.0098N/(330mm/2/1000)=75.6Pa(N/m
乳児用180g×0.0098N/(220mm/2/1000)=105.3Pa(N/m
【0040】
加圧力の高い使用後の乳幼児用紙おむつをラミネートした資料の上に10枚の試料が垂直に重なったと仮定した場合、最下位の試料には105.3Pa×10枚=1053Paが加わる。この圧力値を上記の圧力Y(Pa)と、自着力X(N/10mm)との関係を示す回帰直線に圧力Y=1053(Pa)を代入して自着力(X) を求めると、自着力X=1.5(N/10mm)となる。そして、安全率を10%、20%とすると、テープに要求される自着力は、それそれ1.65(N/10mm)、1.8(N/10mm)となる。
【0041】
上記の検討を踏まえ、本実施形態の封止フィルム31,41は、粘着層31b,41bを構成する粘着剤の自着力が1.5(N/10mm)以上となっている。より好ましくは、自着力は安全率を10とした1.65(N/10mm)以上であり、さらに好ましくは、自着力は安全率を20%にした1.8(N/10mm)以上である。このような自着力を有することにより、封止フィルム31,41の間におむつ等を封止した状態で、臭気のもれを防止できる。
【0042】
フィルム引き出しローラ50,60は、上記枠部材20の側板部23,23間にあって、フィルム供給ローラ30,40に対し、封止フィルム31,41を引き出す方向に離間して略平行に、すなわち、本実施形態では、フィルム供給ローラ30,40の下方に離間して略平行に掛け渡される。
【0043】
但し、フィルム供給ローラ30,40及びフィルム引き出しローラ50,60の相互間の位置関係は、枠部材20内において、図1に示したように、平面視で、2本のフィルム供給ローラ30,40の直径方向に沿った配設範囲(X1)が、2本のフィルム引き出しローラ50,60の直径方向に沿った配設範囲X2内に収まるように設けられる。これにより、枠部材20における各ローラ30,40,50,60の軸線に直交する方向の寸法を必要最小限とすることができ、包装装置10及び廃棄物収容装置100の小型化に資する。
【0044】
フィルム引き出しローラ50,60は、両者間に封止フィルム31,41を挟み込み、互いに内向きに、すなわち、図1の側面図において一方のフィルム引き出しローラ50が時計方向に、他方のフィルム引き出しローラ60が反時計方向に回転することにより、フィルム31,41をフィルム供給ローラ30,40から引き出し、封止フィルム31,41同士を密着させるものである。
【0045】
フィルム引き出しローラ50,60は、封止フィルム31,41間に包装対象物としての廃棄物を挟みこむが、該廃棄物の周囲においては、両者が直接密着する。そのため、図1図4に示したように、2本のフィルム引き出しローラ50,60は、周面を近接させれて配設される。その一方、両者間を通過する廃棄物の厚みを吸収する必要がある。そのため、本実施形態のフィルム引き出しローラ50,60には、回転軸51,61に筒状弾性部材52,62が装着されている。筒状弾性部材52,62は、例えば ウレタン・ポリエステル・セルロース系・メラミンなどの反応硬化系発泡樹脂やポリオレフィン等の汎用樹脂・ポリアセタール等のエンジニアリングプラスティック・各種ビニル樹脂・エラストマー樹脂等の熱可塑性発泡樹脂やニトリルゴム(NBR)・エチレンプロピレンゴム(EPDM)・クロロプロピレンゴム(CR)・天然ゴムなどのゴム系発泡体などから形成され、包装対象物である廃棄物が、封止フィルム31,41を介して対向する筒状弾性部材52,62間を通過する際に、該廃棄物の形状に沿うように変形可能なものが用いられる。
【0046】
本実施形態では、回転軸51,61に、筒状弾性部材52,62に加え、その両端に隣接して、筒状弾性部材52,62よりも高い硬度の弾性部材からなり、対向するもの同士が相互に密接可能な大きさを有する駆動伝達ローラ53,63が支持されている。硬度は、筒状弾性部材52,62よりも硬く、ショアA硬度で30~70のものが好ましく、40~60のものがより好ましい。材料は、例えば、上記の筒状弾性部材52,62と同質の材料であって、それらの未発泡樹脂や低発泡樹脂を用いることができる。また、材料自体として弾性の低いもの、例えば、硬質の合成樹脂であったとしても、表面に網目などを施すことによってばね力を持たせ、それにより対向するもの同士で回転力を伝達できる構造とすることも可能である。
【0047】
フィルム引き出しローラ50,60において、筒状弾性部材52,62を軸方向に挟んで設けられる一対の駆動伝達ローラ53,53同士(及び63,63同士)の離間距離は、封止フィルム31,41の幅方向端縁の一部が重なる程度となるように設定されることが好ましい。すなわち、筒状弾性部材52,62の軸方向に沿った長さが、封止フィルム31,41の幅よりも若干短く、その結果、駆動伝達ローラ53,53又は63,63上に、封止フィルム31,41の幅方向端縁部が重なることになる。
【0048】
そのため、対向する駆動伝達ローラ53,63によって、封止フィルム31,41の粘着層31b,41b同士が直接接合する。特に、本実施形態で用いる封止フィルム31,41は、1.5(N/10mm)以上という高い自着力を備えているため、封止フィルム31,41の幅方向端縁同士は強固に接合する。また、駆動伝達ローラ53,63同士は封止フィルム31,41を介して相互に押し付け合うため、確実に同期回転し、封止フィルム31,41を円滑に送り出すことができる。対向する駆動伝達ローラ53,63同士も密接性(相互に押し付け合う力)を高めるため、従動側のフィルム引き出しローラ60の回転軸61を可動に軸支することが好ましいが、この点については後述する。
【0049】
また、主動側から従動側への伝達が従来の金属製の歯車同士の噛合ではないため、駆動伝達ローラ53,63間に封止フィルム31,41の一部が挟み込まれても、該封止フィルム31,41に破れ等の破損が生じない。
【0050】
駆動伝達ローラ53,63としては、回転方向に沿った断面形状としては、典型的には、図1図4に示したような円形のものが用いられる。円形の場合、上記のように、対向する駆動伝達ローラ53,63が封止フィルム31,41を介して押し付け合って同期回転する。駆動伝達ローラ53,63は、円形のものに限らず異形のものを用いることもできる。異形の場合には、同様の作用に加え、一方の突出部が他方の突出部を回転方向に押圧するため、より確実に同期回転させることができる。また、異形断面は、駆動伝達ローラ53,63の表面が滑りやすい材質の場合にも有効である。さらに、異形の場合、両者間に廃棄物が位置することになっても、突出部によって廃棄物を押しつぶしつつ回転し、封止フィルム31,41の粘着層31b,41bの廃棄物への密着性を高めることができる。異形断面の駆動伝達ローラ53,63としては、図5に示したように、歯車形状とすることもできる。この場合には、両者の歯53a,63aが噛合し合うため、両者がより確実に同期回転する。歯53a,63aを有する構造であっても、駆動伝達ローラ53,63は弾性部材から形成されているため、歯53a,63a間に封止フィルム31,41が挟まっても破れ等が生じない。
【0051】
また、異形断面の駆動伝達ローラ53,63は、図6に示したように、表面の凹凸を形成する各寸法(凸部の高さD、凸部の半径R1、凹部の半径R2、隣接する凸部間の距離P等)については、任意に設定することができ、特に限定されるものではない。例えば、図7に示したような各種の形状とすることができる。
【0052】
図7(a)は、円周方向に長い凸部(図5の歯53a,63aに相当)53a1,63a1を円周に沿って4つ有し、各凸部53a1,63a1の間に、円周方向の長さの短い凹部53a2,63a2が形成された構成であり、図7(b)は、図6に示した半径R1,半径R2の長さがほぼ同じで、円周方向にほぼ同じ長さの凸部53a1,63a1と凹部53a2,63a2が形成された構成であり、図7(c)は、図6に示した半径R1が半径R2よりも小さく、凸部53a1,63a1が、図7(b)よりも急峻に立ち上がった形状をなした構成であり、図7(d)は、図5に示したものと同様、歯車形状をなしたものである。
【0053】
図7(e)~(h)は、円周方向に沿った断面の外周形状が、それぞれ、図7(a)~(d)と同じ形状で形成されている一方、図7(a)~(d)のものよりも厚さが薄く、内周形状が外周形状と同じチューブ状にくり抜かれたものである。図7(e)~(h)では、図7(a)~(d)よりも大径の回転軸51,61が挿通され、この回転軸51,61の周面に駆動伝達ローラ53,63が密接配置され、両者は一体に回転する。
【0054】
よって、回転軸51,61を挿通した状態では、凸部53a1,63a1が、図7(a)~(d)の場合には中実になっているのに対し、図7(e)~(h)の場合には中空となる。このため、同じ素材で同じ形状であるとすれば、回転力の伝達性の点では、図7(a)~(d)の駆動伝達ローラ53,63の方が図7(e)~(h)の各対応するものよりも優れていると言えるが、何らかの異物が挟まった際には、図7(e)~(h)の凸部53a1,63a1の方が、図7(a)~(d)のものよりも変形しやすく、損傷を来しにくいと言える。いずれを採用するかは、使用するフィルムの材質、大きさ、駆動伝達ローラ53,63等の回転スピード等、あるいは、本実施形態の包装装置10を具備する廃棄物収容装置100の設置場所等を考慮して種々選択することができる。
【0055】
駆動部としてのモータ70は、図1に示したように、平面視における2本のフィルム引き出しローラ50,60の配設範囲X2よりも外方にあまり突出しないよう、いずれかのフィルム引き出しローラ50,60の下方に配設することが好ましい。モータ70の回転力は、図2及び図3に示したように、第1ギヤ71を介して一方のフィルム引き出しローラ50に伝達される。フィルム引き出しローラ50には、第1ギヤ71に噛み合う第2ギヤ54が設けられるが、第2ギヤ54としては、できるだけ厚さの薄いものが用いられる。これにより、一方のフィルム引き出しローラ50におけるこの第2ギヤ54を含んだ軸方向長さを抑えることができ、枠部材20を大型化させずに済む。
【0056】
また、上記のように、一方の駆動伝達ローラ53が主動側となって従動側である他方の駆動伝達ローラ63に回転力を伝達する構成であるため、一方のフィルム引き出しローラ50に設けられる第2ギヤ54に噛合する伝達ギヤを他方のフィルム引き出しローラ60側に設ける必要がない。すなわち、フィルム引き出しローラ50の第2ギヤ54は、モータ70の回転力を伝達する第1ギヤ71に噛合するため、金属製又は硬質の合成樹脂から構成する必要があり、特に、薄手のものとするには金属製とする必要がある。しかしながら、第2ギヤ54を金属製や硬質の合成樹脂とし、さらに、それに噛合する金属製又は硬質の合成樹脂製のギヤを他方のフィルム引き出しローラ60側に設けなければならない場合には、それらの間に封止フィルム31,41が挟まると破れ等の破損が生じるおそれが高くなる。これに対し、本実施形態では、他方のフィルム引き出しローラ60側にそのような金属製等のギヤを設ける必要がなく、その点において、封止フィルム31,41に破損が生じる可能性を抑制することができる。
【0057】
モータ70から一方のフィルム引き出しローラ50への駆動伝達は、第1ギヤ71及び第2ギヤ54に代えて、駆動ベルト(図示せず)を用いることもできるが、駆動ベルトを一方のフィルム引き出しローラ50の回転軸51に掛け回すと、駆動ベルトの幅に相当する分の長さが、回転軸51において封止フィルム31,41を配置できない範囲となる。これに対し、金属製等の第2ギヤ54を用いた場合には、1枚の薄い板から構成できるため、封止フィルム31,41を配置できない範囲がより狭くなり、結果として、封止フィルム31,41としてより幅の広いものを用いることができる。
【0058】
なお、フィルム引き出し50,60間あるいは駆動伝達ローラ53,63間に、誤って、大きなゴミ等が挟まったりした場合のモータ70への過負荷を防止する過負荷防止装置(図示せず)を設けることが好ましい。
【0059】
過負荷防止装置は、機械方式、電気方式のいずれでもよい。機械方式の場合には、例えば、モータ70に直結される第1ギヤ71と一方のフィルム引き出しローラ50に設けられる第2ギヤ54との間に、予め安全を考慮したトルク限界値に設定された摩擦伝動で回転するトルクリミッターを設けた構成を採用することができる。これにより、上記のような大きなゴミ等が挟まった際にはトルクリミッターが作用して回転を遮断し、モータ70への過負荷を防止する。
【0060】
電気方式の場合には、例えば、フィルム引き出しローラ50側から第2ギヤ54と第1ギヤ71を介して伝達されるモータ70にかかる負荷を電流値として検知する検知部を設ける。そして、モータ70の駆動を制御する制御基盤に、検知された電流値が予め設定された電流値を超えた場合に電源を遮断するプログタムを組み込む。これにより、上記のようにフィルム引き出しローラ50,60等の回転を阻止する状態が生じた場合に、モータ70にかかる過負荷を防止することができる。電気方式の場合には、過負荷が検知されると電源を遮断できるため、電力消費の無駄を抑制することができる。
【0061】
フィルム引き出しローラ50,60の下方にはじゃま板80,90を設けることが好ましい(図2及び図3(b)参照)。じゃま板80,90は、各フィルム引き出しローラ50,60のうち、回転軸51,61の直下付近に上縁81,91か位置し、下縁82,92が上縁81,91よりも外方に広がるような姿勢で、下縁82,92を枠部材20の正面板部21及び背面板部22に固定する(図3(b)参照)。これにより、フィルム引き出しローラ50,60間を通過した封止フィルム31,41がそのまま下方の廃棄物収容部110に向かうことなく、フィルム引き出しローラ50,60に再度巻き取られてしまうことを防止できる。
【0062】
ここで、フィルム引き出しローラ50,60は、上記のように側板部23,23に回転可能に軸支されているが、従動側として機能するフィルム引き出しローラ60は、回転軸61を軸支する軸受け部材233,233が、枠部材20の側板部23,23に対して移動可能に設けられ、かつ、主動側として機能するフィルム引き出しローラ50側にばね部材234により押圧されている構成とすることが好ましい。本実施形態では、図8に示したように、側板部23,23の内面に略長方形に取り囲まれた枠からなるガイド枠232,232を固定し、このガイド枠232,232内に、主動側のフィルム引き出しローラ50方向に移動可能に、すなわち、ガイド枠232,232の長手方向に沿って移動可能に軸受け部材233,233を配設する。そして、軸受け部材233,233とガイド枠232,232の短辺部との間にコイルスプリングからなるばね部材234を配設する。これにより、軸受け部材233,233は常に主動側のフィルム引き出しローラ50方向に付勢される。なお、図8では、軸方向一方側のガイド枠232,軸受け部材233及びばね部材234を示しているのみであるが、軸方向他方側でも同様の構造を有している。
【0063】
従動側のフィルム引き出しローラ60の回転軸61が、上記のように主動側のフィルム引き出しローラ50側に常に押圧付勢されていることにより、従動側の駆動伝達ローラ63,63が主動側の駆動伝達ローラ53,53に押し付けられる方向に付勢されることになる。その結果、主動側と従動側とで対向する駆動伝達ローラ53,63同士の密着性が高まり、主動側の駆動伝達ローラ53,53の回転力が、従動側の駆動伝達ローラ63,63により確実に伝達されることになる。
【0064】
本実施形態では、モータ70の回転力は、第1ギヤ71及び第2ギヤ54を介して主動側のフィルム引き出しローラ50に伝達されるが、主動側のフィルム引き出しローラ50から従動側のフィルム引き出しローラ60へは、弾性部材からなる駆動伝達ローラ53,63によって伝達される。すなわち、金属製のギヤの歯の噛み合いによって駆動力が伝達される場合と異なるため、同期回転させるには、対向する駆動伝達ローラ53,63同士が常に押し合っている必要がある。駆動伝達ローラ53,63の直径を調整することで、回転軸61が固定された位置の場合でも両者が押し合っている構成とすることはもちろん可能であるが、上記のようにばね部材234を用いて常に押圧する構成とすることにより、両者間の密着性を高め、より確実な同期回転を達成できる。特に、封止フィルム31,41の粘着層31b,41b同士をより確実に接合させて幅方向端縁から臭気の漏れを防止するためには、このように従動側のフィルム引き出しローラ60の回転軸61を付勢し、対向する駆動伝達ローラ53,63同士の密接性を高めることが好ましい。
【0065】
従動側のフィルム引き出しローラ60の回転軸61が、上記のように主動側のフィルム引き出しローラ50側に常に押圧付勢されていることにより、包装対象物である廃棄物として予定されているものよりも大きな物が投入された場合(例えば、廃棄物として使用済みの生理用品を予定している場合に、大人用の紙おむつが投入された場合)には、従動側のフィルム引き出しローラ60の回転軸61の軸受け部材233は、ばね部材234の弾性力に抗して主動側のフィルム引き出しローラ50から離間する方向に移動する。それにより、従動側のフィルム引き出しローラ60を構成する駆動伝達ローラ63及び筒状弾性部材62は、主動側のフィルム引き出しローラ50を構成する駆動伝達ローラ53及び筒状弾性部材52から離間し、モータ70への過負荷が防止される。その一方、このような場合でも、封止フィルム31,41は上記のように高い自着力を有していると共に、廃棄物によって変形する筒状弾性部材52,62が廃棄物を押圧するため、主動側のフィルム引き出しローラ50の回転はこれらを通じて従動側のフィルム引き出しローラ60を回転させることになり、封止フィルム31,41が廃棄物の表面に貼り付きつつ、廃棄物を廃棄物収容部110方向へ移動させることが継続される。そして、廃棄物がフィルム引き出しローラ50,60間を通過した後は、封止フィルム31,41同士は自着力が高いため速やかに密着する。従って、本実施形態によれば、このような場合でも、封止フィルム31,41の幅方向端縁同士が密着していない範囲を最小限に抑制できる。
【0066】
本実施形態の廃棄物収容装置100は、包装装置10に設けた投入口24から包装対象である廃棄物(使用済みの生理用品、紙おむつなど)が投入され、投入口24を通過したことが検知されると、あるいは、自動検知機構が備わっていない場合には、人が駆動スイッチをONにすることにより、モータ70が駆動を開始する。
【0067】
なお、封止フィルム31,41は、使用開始時においては、その先端がフィルム引き出しローラ50,60間に挿入されてセットされており、既に使用している場合には、前回の使用により、密封された廃棄物が廃棄物収容部110内に収容されていると共に、それよりも上部に位置する封止フィルム31,41はフィルム引き出しローラ50,60間に位置している。封止フィルム31,41は高い自着力を有している。そのため、フィルム引き出しローラ50,60間に位置している範囲は、駆動伝達ローラ53,63が向かい合っている幅方向端縁だけでなく、筒状弾性部材52,62同士が向かい合っている範囲も相互に密着する。筒状弾性部材52,62は、上記のようにウレタンフォーム等から構成され、硬度が低い。そのため、自着力が低い場合には、その範囲における密着性に懸念が残るが、本実施形態で用いた封止フィルム31,41は上記のように高い自着力を有するため、筒状弾性部材52,62同士が向かい合っている範囲も強固に密着する。
【0068】
モータ70が駆動すると、第1ギヤ71及び第2ギヤ54を介して主動側のフィルム引き出しローラ50が回転すると共に、その駆動伝達ローラ53,53から、封止フィルム31,41を介して対向する従動側の駆動伝達ローラ63,63に回転力が伝達され、従動側のフィルム引き出しローラ60も回転する。
【0069】
投入された廃棄物は、フィルム供給ローラ30,40間において、封止フィルム31,41間に位置し、その後、フィルム引き出しローラ50,60の筒状弾性部材52,62間を通過する。その際、筒状弾性部材52,62は廃棄物の形状に沿って変形し、封止フィルム31,41が廃棄物表面に密着する。同時に、対向する駆動伝達ローラ53,63間に位置する封止フィルム31,41の幅方向端縁は、高い自着力により強固に密着する。廃棄物が筒状弾性部材52,62間を通過した後に位置する該廃棄物よりも上部の封止フィルム31,41は、幅方向端縁同士はもちろんのこと、それらの間の範囲も、筒状弾性部材52,62により密接するだけで、高い自着力により高い密着性が得られる。従って、廃棄物の臭気の漏れが抑制される。
【0070】
本実施形態では、特許文献1及び2と同様に、封止フィルム31,41は廃棄物を密封後にカットされる構成ではないため、包装装置10によって密封された廃棄物は、そのまま廃棄物収容部110内へと誘導されて収容されていく。
【0071】
なお、2本のフィルム供給ローラ30,40及び2本のフィルム引き出しローラ50,60の軸方向の長さは、予定する廃棄物の大きさによって異なるサイズのものが用いられ、枠部材20としては、それに合わせたサイズのものを用いるのが通常である。しかしながら、枠部材20として種々の大きさのものを予め準備しておくことはコストがかかることから、枠部材20における支持部材間(側板部23,23間)の距離を調整可能な構造としておくことが好ましい。例えば、枠部材20を、一方の側板部23側と他方の側板部23側との間で分割し、それらにスライド部材とレール部材(いずれも図示せず)を設け、そのスライド部材のレール部材へのスライド量によって、側板部23,23間の距離を調整する構成とすることができる。それにより、フィルム供給ローラ30,40及びフィルム引き出しローラ50,60の軸方向の長さに合わせた枠部材20を低コストで準備できる。
【0072】
また、フィルム引き出しローラ50,60の各回転軸51,61に装着される筒状弾性部材52,62としては、図13に示したように、軸方向に間隔をおいて分離された複数の分離筒状部52A~52C、62A~62Cが、各回転軸51,61に支持されて構成されたものを用いることが好ましい。筒状弾性部材52,62が分離されていない単一の筒状部材から構成されている場合、両者間にゴミが送り込まれた場合には、ゴミの位置を中心として、筒状弾性部材52,62の軸方向に、広範囲に変形が生じる。そのため、ゴミに直接対面している部位の周辺において封止フィルム31,41間に隙間が生じやすい。このような隙間は、密着した封止フィルム31,41同士の剥がれの要因にもなる。本実施形態では、封止フィルム31,41の自着力が上記のように所定以上であるため、剥がれが生じにくいものの、自着力に関わらず、このような隙間はできるだけ抑制されることが望まれる。
【0073】
図13に示した態様によれば、複数の分離筒状部52A~52C、62A~62Cから構成されているため、ゴミが直接通過する範囲が、例えば、分離筒状部52B,62B間とした場合、残りの分離筒状部52A,62A又は52C,62Cには大きな変形が生じない。そのため、ゴミの周囲に生じる隙間が、単一の筒状部材で構成する場合よりも小さくなる。その結果、封止フィルム31,41のうち、ゴミの表面、対向するフィルム面のいずれにも密着していない範囲が狭くなり、一度密着した封止フィルム31,41同士に剥がれが生じることを抑制する効果が高くなる。
【0074】
なお、筒状弾性部材52,62は、図13に示したように、相互に独立した分離筒状部52A~52C、62A~62Cから構成するのではなく、単一の筒状部材から構成する一方で、表面から所定の深さに至るまで、回転方向にスリットを形成するようにしてもよい。この場合も、スリットを境界として、ゴミによる変形の影響が及びにくくなり、分離筒状部52A~52C、62A~62Cを各回転軸51,61に装着した場合と同様の効果が得られる。但し、一つの筒状部材の回転方向にスリットを形成するよりも、複数の分離筒状部52A~52C、62A~62Cを各回転軸51,61に装着した構成の方が加工、製造が容易である。
なお、分離筒状部52A~52C、62A~62Cは、図11では、3つとしているが、配設数はこれに限定されるものではなく、2つであっても、4つ以上であってもよい。スリットを設ける場合の形成数も任意である。
【符号の説明】
【0075】
10 包装装置
20 枠部材
21 正面板部
22 背面板部
23 側板部
30,40 フィルム供給ローラ
31,41 封止フィルム
50,60 フィルム引き出しローラ
51,61 回転軸
52,62 筒状弾性部材
52A~52C、62A~62C 分離筒状部
53,63 駆動伝達ローラ
70 モータ(駆動部)
80,90 じゃま板
100 廃棄物収容装置
110 廃棄物収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13