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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064659
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】水中攪拌サンドポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 7/04 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
F04D7/04 E
F04D7/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175063
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000100920
【氏名又は名称】アイム電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062797
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100188385
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 道俊
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 竜之介
(72)【発明者】
【氏名】原 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】池田 大介
(72)【発明者】
【氏名】小野 隆二郎
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AA27
3H130AB13
3H130AB23
3H130AB42
3H130AC01
3H130BA24C
3H130BA50C
3H130CB09
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA01C
3H130EA01D
3H130EA04C
3H130EB00C
3H130EB01C
(57)【要約】

【課題】 水中撹拌サンドポンプに攪拌機能を与えるにあたり、シャフトを長くすることなく、また、低コストでの長期間運用が可能な水中撹拌サンドポンプを提供する。
【解決手段】 水中撹拌サンドポンプの本体1にモータ部Aとポンプ部Bを設け、前記ポンプ部Bのケーシング2内に前記モータ部Aのシャフト10の先端で羽根車3を軸支し、前記羽根車3の側板33に少なくとも1または複数の撹拌溝36を形成する撹拌溝形成部35と羽根車吸込口34を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを備えたモータ部と、ケーシングと羽根車を備えたポンプ部と、を備えた水中撹拌サンドポンプであって、
前記羽根車は、主板と、1又は複数の羽根と、羽根車吸込口を備えた側板とから構成され、
前記側板に1又は複数の撹拌溝を設け、
前記ケーシング内に前記シャフトの先端で前記羽根車を軸支したことを特徴とする水中撹拌サンドポンプ。
【請求項2】
前記撹拌溝が、半径方向に放射状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水中撹拌サンドポンプ。
【請求項3】
前記撹拌溝が、円周方向に湾曲した形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中撹拌サンドポンプ。
【請求項4】
前記撹拌溝の一端が、前記側板の外縁又は前記羽根車吸込口の口縁の少なくとも一方まで設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水中撹拌サンドポンプ。
【請求項5】
前記側板又は前記撹拌溝の少なくとも一方の一部又は全部を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水中撹拌サンドポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂や石を多く含んだ土砂混合水環境下でのポンプ輸送、揚水、排水、浚渫する際に使用される水中攪拌サンドポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土砂を含んだ水のポンプ輸送、揚水、排水、浚渫には、特開昭62-026399号公報に記載されるような攪拌羽根を羽根車の下部に取付けた水中攪拌サンドポンプが用いられ、攪拌羽根によって土砂類の攪拌を行うことで、土砂を含んだ水のポンプ輸送、揚水、排水、浚渫を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-026399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、撹拌羽根を羽根車の下部に有する場合、シャフトを延長する構造となるためコスト高、サイズアップにつながるだけでなく、シャフトのたわみによる振動が発生しやすくなる。また、この振動を回避するために、シャフト直径を太くする必要があるため、重量増加、さらなるコスト増加、大型化といった問題があった。
【0005】
また、攪拌羽根を設ける構造では、サンドポンプ使用の過程において、水の摩擦や砂や石の衝突により、攪拌羽根が摩耗するため、撹拌羽根の寿命が短く短期間で交換しなければならず、コスト面で問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、水中撹拌サンドポンプに攪拌機能を与えるにあたり、シャフトを長くすることなく、また、低コストでの長期間運用が可能な水中撹拌サンドポンプを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、シャフトを備えたモータ部と、ケーシングと羽根車を備えたポンプ部と、を備えた水中撹拌サンドポンプであって、前記羽根車は、主板と、1又は複数の羽根と、羽根車吸込口を備えた側板とから構成され、前記側板に少なくとも1又は複数の撹拌溝を設け、前記ケーシング内に前記シャフトの先端で前記羽根車を軸支したことを特徴とする水中撹拌サンドポンプである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、前記撹拌溝が、半径方向に放射状に設けられていることを特徴とする水中撹拌サンドポンプである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2の発明において、前記撹拌溝が、円周方向に湾曲した形状であることを特徴とする水中撹拌サンドポンプである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記撹拌溝の一端が、前記側板の外縁又は前記羽根車吸込口の口縁の少なくとも一方まで設けられていることを特徴とする水中撹拌サンドポンプである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記側板又は前記撹拌溝の少なくとも一方の一部又は全部を着脱自在に設けたことを特徴とする水中撹拌サンドポンプである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、側板の撹拌溝形成部に設けた撹拌溝は、モータ部のシャフトの回転に伴い、吸込み空間に旋回流れを生ずる。この旋回流れは、撹拌溝外側においては遠心力の作用により、半径方向の流れを発生させ、同時に回転中心では下側から上向きの流れを誘発する。この流れによって、吸込み空間の堆積物を浮遊、撹拌させることができる。また、従来の撹拌羽根で撹拌する水中撹拌サンドポンプでは短期間で撹拌羽根が摩耗して使用できなくなるが、本発明の撹拌溝を設けた羽根車で撹拌する水中撹拌サンドポンプは、撹拌羽根で撹拌する水中撹拌サンドポンプと比べて長期間、攪拌効果の低下が見られず、平常通り運転することができる。したがって、本発明の水中撹拌サンドポンプは、長期間の間、羽根車の交換が不要であるため経済性に優れた効果がある。そして、羽根車とは別に撹拌羽根を取付ける必要がないためシャフトを長くする必要がない。そのため、水中撹拌サンドポンプの本体の重量増加、それに伴うコスト増加、大型化といった問題を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1における水中撹拌サンドポンプの一部截断面図である。
図2図1に示す羽根車3の斜視図である。
図3】本発明の実施例2おける羽根車300の斜視図である。
図4】本発明の実施例3における羽根車301の斜視図である。
図5】本発明の実施例4における羽根車302の斜視図である。
図6】本発明の実施例5における羽根車303の斜視図である。
図7A】本発明の実施例6における羽根車304の斜視図である。
図7B図7Aに示す羽根車304の分解図である。
図8】本発明の実施例7における羽根車305の斜視図である。
図9A】本発明の実施例8における羽根車306の斜視図である。
図9B図9Aに示す羽根車306の分解図である。
図10A】本発明の実施例9における羽根車307の斜視図である。
図10B図10Aに示す羽根車307の分解図である。
図11A】本発明の実施例10における羽根車308の斜視図である。
図11B図11Aに示す羽根車308の分解図である。
【実施例0014】
以下、本発明の実施例1における水中撹拌サンドポンプについて図面に基づき説明する。図1は、本発明の実施例1の水中撹拌サンドポンプの一部截断面図、図2は、図1に示す羽根車3を下面斜め方向から図示した斜視図で、1は水中撹拌サンドポンプの本体、Aは、本体1の上部に設けられ、垂直に配置されたシャフト10とこれに組み込まれた回転電機子11を上部ベアリング16及び下部ベアリング17により支持され、その外周には固定電機子12とこれを保持するモータフレーム13から構成されるモータ部、Bは、モータ部Aの下部に設けられた下部ベアリングハウジング18を介して配置されたケーシング2と、ケーシング2内に設けられたシャフト10の先端に軸支された羽根車3から構成される本体1の下部に設けられたポンプ部、4は、ケーシング2の下面とケーシング2の下面に設けられた3つの支脚24,24,24と地面の間に囲まれた吸込み空間、5は水底の地面である。
【0015】
図1に示すように、モータ部Aは、固定電機子12が固定されたモータフレーム13と固定電機子12の内側に隙間を有して配置されたシャフト10に固定された回転電機子11とを有し、モータフレーム13の上下にはそれぞれフランジ結合されて、シャフト10の上下を支持する上部ベアリング16と下部ベアリング17を備える上部ベアリングハウジング15と下部ベアリングハウジング18を有している。上部ケーシング15の頂部にはモータ内部と外部をシールする機構を備えた貫通部を通じて動力ケーブル14がモータ内部に引き込まれ、固定電機子12に接続される。なお、動力ケーブル14と固定電機子12との接続の詳細については省略し、図示しない。シャフト10は上部ベアリング16と下部ベアリング17で支持され、この2つのベアリングはシャフトに働くラジアル荷重およびアキシアル荷重を十分、受けられるよう選定されている。また、メカニカルシール19は、ポンプ部Bの流体がモータ部Aに侵入することを阻止するために、ケーシング2と下部ベアリングハウジング18の間に取付けられている。
【0016】
次に、ポンプ部Bは、上面に設けられた挿通孔20にシャフト10を挿通させ、羽根車3を中央に配置し、更に、羽根車3と半径方向に隙間を有するように下部に設けられた下部開口部21と、その隙間に、下部開口部21に脱着自在に取付けられたマウスリング22と、下部開口部21により露出した羽根車3の羽根車吸込口34から吸込まれた吸込み空間4にある地面に堆積した沈殿物や異物等を吐出する本体1の片側側面に突出した吐出口23を有するケーシング2と、シャフト10をシャフト挿通孔31aに挿通させ、ナット30によってシャフト10の先端に軸支された羽根車3と、から構成される。
【0017】
羽根車3は、耐食性、耐摩耗性のあるステンレス鋼または鋳鉄製で、図2に示すように、全体的に略扁平的な円柱形状をしており、円板状の主板31と、湾曲した2枚の羽根32,32と、中心に流体や沈殿物や異物等の取入れ口となる羽根車吸込口34と、下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を有する円板状の側板33から構成される。更に、主板31の中心にはシャフト10を挿通させる挿通孔31aが設けてある。また、主板31の上面には、挿通孔31aの口縁から半径方向に4つの直線板状の裏羽根31b、31b,31b,31bが設けてある(一部は図示しない)。次に、羽根32,32は、主板31と側板32の間に垂直方向に立設されており、羽根車3の外周から内側に向かって湾曲した板状の構成となっている。そして、2つの撹拌溝36,36の長さ方向に直交する断面形状は、下端が開口する略四角形に形成される逆凹状で、かつ、上面36aが平坦で、溝の深さが浅く、それぞれ2つの垂直な側面36b,36bを有する。また、撹拌溝36,36は、側板33及び撹拌溝形成部35において長手方向の両端が半径方向に羽根車吸込口34の口縁から側板33の外縁まで貫通した同一幅の直線状の溝であり、撹拌溝形成部35の下面に羽根車3の下面方向から視て、側板33の中心から放射状に互いに向かい合う位置に配置されている。なお、撹拌溝形成部とは、撹拌溝の一部又は全部を形成するものをいうのであって、本実施例では、撹拌溝36を形成する上面36aや側面36b,36bも含まれる。
【0018】
本発明の実施例1の水中撹拌サンドポンプの動作を説明する。先ず、図1に示すように本体1を地面5に堆積した沈殿物や異物等がある水中に沈めて設置した後に、モータ部Aのシャフト10を回転させる。そうすると、シャフト10の先端に取付けられた羽根車3の回転に伴い、吸込み空間4に図1の点線矢印で示した方向に撹拌流れが発生し、吸込み空間4に存在する地面5に堆積した沈殿物や異物等を撹拌流れとともに浮遊、撹拌させることができる。また、浮遊した沈殿物や異物等の一部は、羽根32,32の作用により羽根車吸込口34を通して吸い込まれ、羽根車3の側面からケーシング2内を通って、吐出口23から吐出することができるため、水中サンドポンプとして機能する。
【0019】
本発明によれば、シャフト10に羽根車3の他に撹拌羽根を取付ける必要がないので、シャフトを長くする必要がなくなり、シャフトを延長することによる、たわみや振動の発生を回避することが可能となる。また攪拌羽根を使用した場合には延長したシャフトのたわみや振動を回避するために、シャフト直径を大きくする必要があるため、攪拌羽根を使用した場合と比べて経済性に優れた効果がある。そして、撹拌溝で撹拌することができ、長期間撹拌効果に変化がなく平常通り運転することができるので、従来の撹拌羽根で撹拌する水中撹拌サンドポンプに比べて低コストでの長期間運用が可能である。
【実施例0020】
図3は、本発明の実施例2における羽根車300を下面斜め方向から図示した斜視図である。なお、以後の実施例の説明においては、他の実施例と同一部分や対応する部分には同一の符号を付して説明は省略する。実施例2の羽根車300は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と、下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を有する側板33とから構成されている。また、撹拌溝形成部35,35は、側板33の幅よりも一回り小さく構成されている点で、実施例1の羽根車3と相違する。そして、撹拌溝36,36は略実施例1の撹拌溝と同様な構成となっているが、撹拌溝36,36の一端は、側板33,33の外縁まで設けられていない構成となっている。
【0021】
本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。また、撹拌溝形成部35,35が側板33よりも幅が小さいので、実施例1の羽根車3より軽量で、少ないコストで製造することができる。
【実施例0022】
図4は、本発明の実施例3おける羽根車301を下面斜め方向から図示した斜視図である。実施例3の羽根車301は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を備えた側板33とから構成されている。そして、羽根車301が、実施例1の羽根車3と相違する点は、撹拌溝36,36の一端が、側板33,33の外縁まで設けられておらず、それぞれが、3つの側面36b,36bと側板33の外縁側に接線方向に設けられた側面36cを有している点である。本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。
【実施例0023】
図5は、本発明の実施例4おける羽根車302を下面斜め方向から図示した斜視図である。実施例4の羽根車302は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を有する側板33とから構成されている。そして、羽根車302が、実施例1の羽根車3と相違する点は、撹拌溝36,36の一端が、羽根車吸込口34の口縁まで設けられておらず、それぞれが、3つの側面36b,36bと側板33の中心側に接線方向に設けられた側面36dを有している点である。本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。
【実施例0024】
図6は、本発明の実施例5おける羽根車303を下面斜め方向から図示した斜視図である。実施例5の羽根車303は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を備えた側板33とから構成されている。そして、羽根車303が、実施例1の羽根車3と相違する点は、撹拌溝36,36の羽根車吸込口34側の一端の幅より側板33の外縁側の一端の幅の方が広く構成されている点である。また、側面36b,36bが直線でなく円周方向に湾曲した構成である点でも羽根車3と相違する。本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。
【実施例0025】
図7Aは、本発明の実施例6おける羽根車304を下面斜め方向から図示した斜視図で、図7Bは、羽根車304の分解図である。実施例6の羽根車304は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を備えた側板33とから構成されている。そして、羽根車304が、実施例1の羽根車3と相違する点は、撹拌溝36,36のそれぞれ2つの側面36b,36bの1つの側面にL字状の第1撹拌溝形成部37を設けて撹拌溝36,36の側面を形成させた点である。第1撹拌溝形成部37は、撹拌溝形成部35の一部を形成するものであって、第1撹拌溝形成部37に設けた2つのボルト挿通孔37a,37aに取付ボルト37b,37bを挿通すると共に、上面36aの1つの側面36b側に設けたボルト穴36e,36eに螺合して撹拌溝36に着脱自在に取付けられる構造となっている。また、撹拌溝36,36にそれぞれ第1撹拌溝形成部37,37を取付ける位置は、羽根車304を下面方向から視て、側板33の中心を対称の中心として互いに点対称の位置である。
【0026】
本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。また、羽根車304が下面から視て半時計回りに回転する場合は、水の摩擦や浮遊した沈殿物や異物の衝突等により第1撹拌溝形成部37が、撹拌溝36を構成する部分で最も摩耗しやすい部分である。したがって、摩耗し易い第1撹拌溝形成部37を交換することで、撹拌能力を維持することができるので、長期間の間、羽根車304の全体の交換が不要で経済性に優れた効果がある。
【0027】
なお、本実施例では、第1撹拌溝形成部37を撹拌溝36の片側の側面36bに1つだけ設けたが、撹拌溝36の両側の側面36b,36bに複数設けてもよいことは勿論である。第1撹拌溝形成部37も本実施例の形状に限定されることはなく、撹拌溝の形状に沿ったものであれば棒状、四角形、曲線形や輪状のものであってもよいことは勿論である。また、本発明では、撹拌溝36の側面を形成する第1撹拌溝形成部37を着脱自在にして交換するようにしたものであったが、撹拌溝の片側の側面と上面を形成する断面L字状や2~4つの側面と上面を形成する逆凹状の形状、又は、撹拌溝全体の形状とした撹拌溝形成部の一部や全部を着脱自在に交換可能に設けてもよいことは勿論である。
【実施例0028】
図8は、本発明の実施例7おける羽根車305を下面斜め方向から図示した斜視図である。実施例7の羽根車305は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を備えた側板33とから構成されている。そして、羽根車305が、実施例1の羽根車3と相違する点は、撹拌溝36の長さ方向に直交する断面形状が、開口側の両端から溝幅の中心へ向けてそれぞれに漸次高くなる上り勾配の平行な面がない略正規分布曲線状の曲面36fで構成されている点である。また、撹拌溝36の数が7つである点でも実施例1の羽根車3と相違する。本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。
【実施例0029】
図9Aは、本発明の実施例8おける羽根車306を下面斜め方向から図示した斜視図で、図9Bは、羽根車306の分解図である。実施例8の羽根車306は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を備えた側板33とから構成されている。そして、羽根車306が、実施例1の羽根車3と相違する点は、側板33を側板33に設けたボルト挿通孔33a,33a,33aに取付ボルト33b,33b,33bを挿通すると共に、羽根32の下面に設けたボルト穴32a,32a,32aに螺合して羽根車306に着脱自在に取付けるようにした点である。
【0030】
本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。また、撹拌溝36,36が使用により摩耗しても側板33を交換することにより、長期間の間、羽根車306の全体の交換が不要で経済性に優れた効果がある。
【実施例0031】
図10Aは、本発明の実施例9おける羽根車307を下面斜め方向から図示した斜視図で、図10Bは、羽根車307の分解図である。実施例9の羽根車307は、実施例1の羽根車3と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を設けた撹拌溝形成部35を備えた側板33とから構成されている。そして、羽根車307が、実施例1の羽根車3と相違する点は、実施例1の羽根車3においては、側板33と撹拌溝形成部35が一体となった構造であったが、撹拌溝形成部35の一部である攪拌溝36,36の側面36b,36bを形成する略半円盤状の第2撹拌溝形成部38を第2撹拌溝形成部38に設けたボルト挿通孔38a,38a,38aに取付ボルト38b,38b,38bを挿通すると共に、側板33の下面に設けたボルト穴33c,33c,33cに螺合して側板33に着脱自在に取付けるようにした点である。
【0032】
本発明によれば、実施例1と同様の効果を発揮することができる。また、撹拌溝が使用により摩耗しても第2撹拌溝形成部38を交換することにより、長期間の間、羽根車307の全体の交換が不要で経済性に優れた効果がある。
【実施例0033】
図11Aは、本発明の実施例10おける羽根車308を下面斜め方向から図示した斜視図で、図11Bは、羽根車308の分解図である。実施例10の羽根車308は、実施例6の羽根車304と同様に、主板31と、羽根32,32と、羽根車吸込口34と下面に2つの撹拌溝36,36を形成する撹拌溝形成部35を備えた側板33と、撹拌溝36,36のそれぞれ2つの側面36b,36bの1つの側面にL字状の第1撹拌溝形成部37から構成されている。そして、羽根車308が、実施例6の羽根車304と相違する点は、実施例8と同様に、側板33を側板33に設けたボルト挿通孔33a,33aに取付ボルト33b,33bを挿通すると共に、羽根32の下面に設けたボルト穴32a,32aに螺合して羽根車308に着脱自在に取付けるようにした点である。
【0034】
本発明によれば、実施例6と実施例8と同等の効果を発揮することができる。摩耗の部分に応じて、側板33や第1撹拌溝形成部37を交換することで摩耗の程度に応じた対応をすることができ、長期間の間、羽根車308の全体の交換が不要で経済性に優れた効果がある。
【0035】
本発明において、羽根の形状や羽根車に設ける羽根の数は、本願の実施例に限定されず、例えば、羽根の形状は直線状であったり、羽根車に設ける数が1枚や複数枚以上であってもよいことは勿論である。また、裏羽根についても、その数や形状は本願の実施例に限定されず、例えば、羽根の形状は曲線状であったり、羽根車に設ける数が1枚や複数枚以上であってもよいことは勿論である。撹拌溝の形状や数も本願の実施例に限定されず、下面から視て、丸形、三角形、楕円形やS字形や波形等の形状であったり、撹拌溝の数が1や複数以上であってもよいことは勿論である。撹拌溝の断面形状についても、本願の実施例に限定されず、例えば、撹拌溝の角を面取りした形状や半円形、台形や逆U字状等の形状にしてもよいことは勿論である。そして、撹拌溝を側板に複数設ける場合についても、全ての撹拌溝の形状が、同一形状でなくてもよいことは勿論である。また、撹拌溝形成部の取付ボルトの数については、本願の実施例に限定されず、例えば、1本や複数本以上であってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 本体
A モータ部
B ポンプ部
10 シャフト
11 回転電機子
12 固定電機子
13 モータフレーム
14 動力ケーブル
15 上部ベアリングハウジング
16 上部ベアリング
17 下部ベアリング
18 下部ベアリングハウジング
19 メカニカルシール
2 ケーシング
20 挿通孔
21 下部開口部
22 マウスリング
23 吐出口
24 支脚
3 羽根車
30 ナット
31 主板
31a シャフト挿通孔
31b 裏羽根
32 羽根
33 側板
34 羽根車吸込口
35 撹拌溝形成部
36 撹拌溝
36a 上面
36b 側面
4 吸込み空間
5 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B