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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064665
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230501BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175070
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】星 悠太郎
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA04
2F129AA05
2F129AA06
2F129DD20
2F129DD53
2F129EE55
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF32
2F129FF72
5H181AA06
5H181AA14
5H181AA15
5H181AA27
5H181BB04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF18
5H181FF22
5H181MB04
(57)【要約】
【課題】車両の運行に際して、自動での走行経路の変更が可能な運行管理システムを提供すること。
【解決手段】運行管理システム100は、対象車両VEの通常走行経路と迂回走行経路とを含む地図データGDを有するデータ格納部52と、インシデントの発生箇所の情報を含む外部情報を受け付けると、地図データGDに基づき対象車両VEの走行経路変更の要否を判定する判定部JDと、判定部JDでの判定内容に応じて、データ格納部52の経路情報に基づき選択可能な走行経路に変更する経路変更部RCとを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象車両の通常走行経路と迂回走行経路とを含む地図データを有するデータ格納部と、
インシデントの発生箇所の情報を含む外部情報を受け付けると、前記地図データに基づき前記対象車両の走行経路変更の要否を判定する判定部と、
前記判定部での判定内容に応じて、前記データ格納部の経路情報に基づき選択可能な走行経路に変更する経路変更部と
を備える運行管理システム。
【請求項2】
前記データ格納部は、前記地図データとして、前記対象車両が使用する走行経路を示す使用経路データを含み、
前記判定部は、前記外部情報として受け付けた交通規制情報に含まれる交通規制区間の位置データと、前記使用経路データとを照合した結果に応じて、走行経路変更の要否を判定する、請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記経路変更部は、前記インシデントの影響を受けた箇所の前後にある停留所の間を繋ぐ通行路のうち、走行可能な通行路を含む走行経路を、前記地図データに基づき選択する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記経路変更部は、前記データ格納部において予め準備された複数の代替走行経路候補のうち、走行時間が最短時間となる走行経路を選択する、請求項1~3のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記データ格納部は、前記通常走行経路及び前記迂回走行経路上に存在する交差点の位置情報、信号灯器の情報、通行路の長さの情報及び停留所の位置情報を格納し、
前記経路変更部は、前記データ格納部に格納された情報に基づき、走行時間を予測する、請求項1~4のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項6】
前記経路変更部は、前記インシデントの影響で通行不能な停留所が存在する場合、当該停留所を除いた前後の停留所を繋ぐ通行路を含む走行経路を選択する、請求項1~5のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項7】
前記経路変更部は、前記インシデントの影響により発生した通行不能範囲に応じて、前記対象車両の走行経路を2分割するとともに、新たな対象車両を配車させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項8】
前記対象車両は、自動運転により運行される公共交通機関である、請求項1~7のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行に際して、走行経路等についての管理を行う運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な交通機関の運行計画に関して、運行計画の変更における作業時間を短縮するための技術として、例えばユーザーによりなされる規則図形の計画図形へのドラッグアンドドロップの操作を受け付けるもの(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、例えば路線バス等でインシデントが発生し、一部区間の走行ができない等の場合に、運行計画を自動で変更する、といったことが可能であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-178265号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、車両の運行に際して、自動での走行経路の変更が可能な運行管理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための運行管理システムは、対象車両の通常走行経路と迂回走行経路とを含む地図データを有するデータ格納部と、インシデントの発生箇所の情報を含む外部情報を受け付けると、地図データに基づき対象車両の走行経路変更の要否を判定する判定部と、判定部での判定内容に応じて、データ格納部の経路情報に基づき選択可能な走行経路に変更する経路変更部とを備える。
【0007】
上記運行管理システムでは、例えば対象車両の走行経路のうち、一部区間の走行ができない、といった走行経路に影響するインシデントの発生を外部から受けると、まず、判定部により、地図データに基づき走行経路変更の要否の判定が行われる。さらに、判定部において変更を要すると判定されれば、経路変更部において、判定部での判定内容に応じて、データ格納部の経路情報に基づいた選択可能な走行経路への変更がなされる。以上により、的確な経路選択(変更)が可能となり、さらに、各種データの基づいた判定及び選択がなされることで、自動での走行経路の変更が可能となる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、データ格納部は、地図データとして、対象車両が使用する走行経路を示す使用経路データを含み、判定部は、外部情報として受け付けた交通規制情報に含まれる交通規制区間の位置データと、使用経路データとを照合した結果に応じて、走行経路変更の要否を判定する。この場合、外部情報に基づいて走行経路を選択できる。
【0009】
本発明の別の側面では、経路変更部は、インシデントの影響を受けた箇所の前後にある停留所の間を繋ぐ通行路のうち、走行可能な通行路を含む走行経路を、地図データに基づき選択する。この場合、インシデントの影響を回避して前後にある停留所の間を繋ぐ新たな経路を選択できる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、経路変更部は、データ格納部において予め準備された複数の代替走行経路候補のうち、走行時間が最短時間となる走行経路を選択する。この場合、走行経路の変更に伴う運行遅延の最小化を図ることができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、データ格納部は、通常走行経路及び迂回走行経路上に存在する交差点の位置情報、信号灯器の情報、通行路の長さの情報及び停留所の位置情報を格納し、経路変更部は、データ格納部に格納された情報に基づき、走行時間を予測する。この場合、各種情報に基づき最適な経路選択ができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、経路変更部は、インシデントの影響で通行不能な停留所が存在する場合、当該停留所を除いた前後の停留所を繋ぐ通行路を含む走行経路を選択する。この場合、通行不能な停留所が存在しても、運行停止とすることなく、一部区間での運行が継続される。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、経路変更部は、インシデントの影響により発生した通行不能範囲に応じて、対象車両の走行経路を2分割するとともに、新たな対象車両を配車させる。この場合、例えば経路が分断されても、運行停止とすることなく、2分割された一部区間ごとでの運行が継続される。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、対象車両は、自動運転により運行される公共交通機関である。この場合、例えば公共交通機関としてのバスの運行において、一部区間の走行ができない、といった走行経路に影響するインシデントの発生に対応して、自動での走行経路の変更(これに伴うダイヤ変更)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る運行管理システムに関して説明するための概念図である。
図2】運行管理システムの一構成例について説明するためのブロック図である。
図3】運行管理システムのうち、走行経路の変更判定に関する構成の概要を示す概念図である。
図4】(A)及び(B)は、走行経路の変更及びこれに伴うダイヤ変更について一例を示す概念図である。
図5】(A)及び(B)は、走行経路の変更に際して、複数の走行経路から一の走行経路を選択する態様について一例を示す概念図である。
図6】(A)及び(B)は、通行不能な箇所が存在する場合における走行経路の変更及びこれに伴うダイヤ変更の一例を示す概念図である。
図7】(A)及び(B)は、走行経路の変更及びこれに伴うダイヤ変更として、走行経路の分割を行う場合の一例を示す概念図である。
図8】(A)及び(B)は、分割した走行経路の復旧について一例を示す概念図である。
図9】(A)~(C)は、走行経路の分割に伴って配車をする場合の一例を示す概念図である。
図10】(A)及び(B)は、外部情報の受信に伴う動作について一例を説明するためのフローチャートである。
図11】走行経路の変更としての迂回経路の選択を含む一連の処理について一例を説明するためのフローチャートである。
図12】ダイヤ生成(ダイヤ変更)についての一連の処理について一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1等を参照して、一実施形態に係る運行管理システムについて、一例を説明する。図1として例示する概念図にあるように、本実施形態に係る運行管理システム100は、自動運転車両VEの運行管理を担う交通システムであり、外部情報受信部10と、制御部50と、車両通信部70とを備える。運行管理システム100は、外部情報受信部10を介して、自己情報や渋滞情報といった交通規制情報を、外部情報として、外部から取得しつつ、必要に応じて上記交通規制情報を利用しながら制御部50により所轄の交通領域TAにおける対象車両VEの運行管理を行う。このため、運行管理システム100は、制御部50からの各種情報を、車両通信部70を介して対象車両VEに対して送信する。
【0017】
ここで、図示の一例では、運行管理システム100における運行管理の対象となっている対象車両VEは、交通領域TAにおいて、4つのポートPO1~PO4をこの順で循環するループ状の走行経路を通常走行経路ROとして走行している。対象車両VEの典型的一例としては、公共交通機関としての循環バスBUがあげられる。つまり、対象車両VE(循環バスBU)は、4つのポートPO1~PO4をバスの停留所として、これらの箇所に順次発着していき、その間の走行経路が、通常時においては、通常走行経路ROとなっている。ここでは、運行管理システム100は、循環バスBUの運行ダイヤについて管理を行うものとなっており、この際に、特に、循環バスBUの走行経路とその変更について取り扱っている。
【0018】
また、特にここでは、循環バスBUとしての対象車両VEは、自動運転により運行されている。すなわち、対象車両VEは、自律走行が可能な自動運転車両であり、有人(運転手付き)で自律走行を行うもののほか、無人により自律走行を行うことも想定される。自律走行に際しては、対象車両VEは、運行管理システム100との通信を介して、運行管理システム100からの指令に対応して動作するものとなっている。
【0019】
特に、本実施形態では、外部情報受信部10において、外部情報として例えばインシデントの発生箇所の情報を含むものを受け付けた場合に、必要に応じて、走行経路変更を行う、すなわち通常走行経路ROから別の経路に切替えを行い、さらに、これに伴って循環バスBU(公共交通機関)における運行ダイヤの変更を行うものとなっている。
【0020】
なお、図示においては、説明を簡略化するために4つのポートPO1~PO4を循環するための走行経路を、運行管理システム100における運行管理の対象としているが、本実施形態の運行管理システム100は、これに限らず、種々の態様の走行経路について、適用可能である。
【0021】
以下、図2として示すブロック図を参照して、運行管理システム100の一構成例について説明する。
【0022】
図示のように、また、既述のように、運行管理システム100は、外部情報受信部10と、制御部50と、車両通信部70とを備える。さらに、制御部50は、運行情報管理部51と、データ格納部52と、ダイヤ変更判定部53と、ダイヤ管理部54とを有する。
【0023】
外部情報受信部10は、外部から送信される各種場を受け付けるインターフェース部であり、図示の一例では、外部情報受信部10は、外部の情報提供機関RIから交通規制情報TRを受信する。情報提供機関RIとしては、例えば外部情報センターや、道路交通情報センター等が想定される。外部情報受信部10は、これらの各種機関から、交通規制情報TRとして、事故情報や、渋滞情報、土砂災害情報や、道路陥没情報等を受信する。すなわち、運行管理システム100は、外部情報受信部10を介してこれらの各種情報を、交通規制情報TRとして取得する。
【0024】
制御部50は、例えばCPUやストレージデバイス、あるいは各種電子回路等で構成され、車両の運行管理等の各種動作制御を担う主要部として機能する。
【0025】
制御部50のうち、運行情報管理部51は、例えばCPUあるいは各種電子回路等で構成され、運行情報の管理を行う。運行情報管理部51は、例えば、データ格納部52に格納されたダイヤデータや走行経路データを取得して、これらに基づく走行を対象車両VEに行わせるべく、車両通信部70を介して各種指令を送信する。また、外部情報受信部10を介して交通規制情報TRとして、例えばインシデントの発生等の情報を取得することで、現状のダイヤに基づく運行が維持可能であるかを判断する。
【0026】
制御部50のうち、データ格納部52は、ストレージデバイス等で構成され、上述のように、ダイヤデータや走行経路データ等を保管する。ここで、走行経路データについては、図において、走行経路データRDとして例示するように、種々のものが含まれる。例えば、通行路の長さの情報等の地理的データを構成する経路上の各点を示す緯度経度についての情報(緯度、経度情報)や、交差点に関する情報すなわち交差点の位置や信号機の有無や信号機がある場合における信号灯器の情報といったもの(交差点情報)があげられる。なお、上記信号灯器の情報については、信号灯器を特定するための情報のほか、例えば対象車両VEが通過する信号灯器における灯色情報(赤信号や青信号である時間の長さや切り替わりのタイミング)が含まれるものとする。さらに、各ポートPO1~PO4間の距離すなわちバスの停留所間の距離についての情報(バス停間距離情報)や、走行経路を構成する各道路区間における走行時間についての情報(走行時間情報)といったものも含まれる。以上のように、走行経路データRDについては、管轄範囲(図1の交通領域TA)における種々の情報が含まれる。本実施形態では、インシデント等により走行経路の変更が必要になった場合に、これに応じるべく、データ格納部52に格納された走行経路データRDに基づいて、新たな走行経路(迂回走行経路)が予め準備されている、あるいは、必要に応じて準備される。ここでは、説明を簡略化するため、迂回走行経路が予め準備され、呼び出し可能な状態でデータ格納部52に格納されているものとする。
【0027】
なお、ダイヤデータについては、通常走行経路ROを定刻通りに走行している場合のダイヤデータ(通常ダイヤ)のほか、後述するダイヤ管理部54で生成される新たなダイヤデータ(新規ダイヤ)が含まれる。
【0028】
制御部50のうち、ダイヤ変更判定部53は、CPUあるいは各種電子回路等で構成され、外部から取得した交通規制情報TRと、データ格納部52に格納されている現状の運行状況(現行のダイヤ等)とに基づき、ダイヤ変更の要否について判定をする。特に、本実施形態では、ダイヤ変更判定部53は、例えば交通規制情報TRに含まれるインシデントの発生等の情報から、走行経路変更の要否判定をする判定部として機能するものとなっている。また、走行経路変更が必要と判定された場合、ダイヤ変更判定部53は、データ格納部52から条件に対応した迂回走行経路(選択可能な走行経路)に変更する経路変更部として機能し、さらに、ダイヤ変更判定部53は、変更のために選択された迂回走行経路に基づく新たなダイヤの作成指令をする作成指令部として機能する。なお、ダイヤ変更判定部53は、走行経路変更は必要でない場合であっても、交通規制情報TRに含まれる渋滞情報に伴う遅延の発生等により、ダイヤ変更が必要になったときには、新たなダイヤの作成指令をする。
【0029】
制御部50のうち、ダイヤ管理部54は、CPUあるいは各種電子回路等で構成され、ダイヤ変更判定部53からダイヤの作成指令を受けると、ダイヤ生成部54aにおいて、当該作成指令に応じた新たなダイヤを作成する。なお、ダイヤ管理部54において作成された新たなダイヤ(新たなダイヤ情報)は、データ格納部52に格納される。つまり、データ格納部52において、新たなダイヤ情報の登録(取得)がなされることで、現状のダイヤデータが書き換えられる。この場合、運行情報管理部51は、新たなダイヤについてのデータを、採用すべき現状のダイヤデータとして取り扱う。なお、ダイヤ管理部54において作成された新たなダイヤ(新たなダイヤ情報)については、ダイヤ変更判定部53において適正を判定した上で、データ格納部52における登録(取得)がなされる態様としてもよい。
【0030】
車両通信部70は、対象車両VEとの通信を行うためのインターフェース部であり、運行管理システム100の管理下にあるダイヤ情報や走行経路についての情報を、制御部50からの指示に従って、対象車両VEに対して送信する。特に、本実施形態では、上記のように、走行経路変更が必要となった場合には、走行経路変更とともにこれに伴う新たなダイヤ情報が送信されることになる。
【0031】
一方、対象車両VEについては、自律走行可能な自動運転車両として、自動運転制御部CUvを備えるとともに、外部からの情報を取得するための通信部TTvと、各種データを格納するデータ格納部DDvとが設けられている。この場合、特に、対象車両(自動運転車両)VEは、循環バスBUとしての走行を可能とすべく、通信部TTvを介してダイヤ情報や走行経路の情報を運行管理システム100から受けるとともに、これらの情報、すなわちダイヤデータや走行経路データを、データ格納部DDvに格納する。すなわち、自動運転制御部CUvは、通信部TTvを介して新たな情報を受け付けつつ、データ格納部DDvに格納されたダイヤデータや走行経路データを参照して、対象車両(自動運転車両)VEの自律走行のための各種動作制御を行う。すなわち、各種センシング等により周囲状況を検知しつつ、アクセルやブレーキ等の各部(図示略)の操作を行う。以上のようにして、対象車両VEにおける経路に沿った自律走行が実現される。
【0032】
以下、図3として示す概念図を参照して、上記態様の運行管理システム100のうち、制御部50における走行経路の変更判定に関してさらに詳細に説明する。図3では、外部情報TRとしてインデント発生箇所を示す情報が送られてきた場合における対処の一例を示している。
【0033】
まず、前提として、ここでは、制御部50のうち、ダイヤ変更判定部53は、対象車両VE(図1等参照)の走行経路変更の要否を判定する判定部JDと、判定部JDでの判定内容に応じて走行経路を変更する経路変更部RCとで構成されているものとする。
【0034】
また、制御部50のうち、データ格納部52は、対象車両VE(図1等参照)の通常走行経路についてのデータDD1と迂回走行経路についてのデータDD2とを含む地図データGDを有する。各データDD1,DD2は、データ格納部52に含まれる既述の走行経路データRDにより構成されている。例えば、迂回走行経路のデータDD2については、走行経路データRDの各要素を適宜組み合わせることで、インデントの発生箇所に応じて単数または複数の迂回走行経路が予め作成されたものが、予め格納されている。経路変更部RCは、迂回走行経路のデータDD2に合格納された迂回走行経路のうちから状況に応じて選択可能な走行経路への変更を行う。なお、これらのうち、対象車両VE(図1等参照)が現に使用する走行経路を示すものを、使用経路データとする。言い換えると、データ格納部52は、地図データGDとして、対象車両VEが使用する走行経路を示す使用経路データを常時含んでいる。
【0035】
以上のような構成において、まず、ダイヤ変更判定部53の判定部JDは、インシデントの発生箇所の情報を含む外部情報を受け付けると、地図データGDから現状の走行経路の情報である使用経路データ(例えば通常走行経路についてのデータDD1)を参照して、これに基づき対象車両VE(図1等参照)の走行経路変更の要否を判定する。より具体的には、判定部JDは、外部情報として受け付けた交通規制情報に含まれる交通規制区間(インシデントの発生箇所)の位置データと、使用経路データとを照合し、この照合結果から、使用経路データが交通規制区間の影響を受けるか否かを判定することで、走行経路変更の要否を判定する。
【0036】
判定部JDでの判定の結果、走行経路変更を要するとなった場合、経路変更部RCは、データ格納部52の経路情報(迂回走行経路のデータDD2)に基づき選択可能な走行経路に変更する。上記選択については、例えば、経路変更部RCは、上記インシデントの影響を受けた箇所の前後にある停留所(ポート)の間を繋ぐ通行路のうち、走行可能な通行路を含む走行経路を、地図データGD(迂回走行経路のデータDD2)に基づき選択する。経路変更部RCは、選択した走行経路でのダイヤ作成(生成)の依頼(指令)を、ダイヤ管理部54に対して出力し、ダイヤ管理部54は、これに応じて、ダイヤ生成を行う。
【0037】
以下、図4として示す概念図を参照して、上記のような走行経路の変更及びこれに伴うダイヤ変更について一例を説明する。図4(A)は、通常ダイヤに従って、対象車両VEが通常走行経路ROに沿って走行する様子について示している。一方、図4(B)は、図4(A)の状態から走行経路変更があったことにより、対象車両VEが新たな走行経路である迂回走行経路NRに沿った走行に切り替わった様子について示している。
【0038】
図4(A)のうち上部USでは、通常走行経路ROに沿って対象車両VEが走行する様子、すなわち通常走行経路ROが新たな使用経路として採用されている様子が示されている。一方、図中下部BSでは、上記態様におけるダイヤTOが示されている。具体的には、ダイヤTOは、横軸に時刻、縦軸に各ポートPO1~PO4が示されており、上部USに示すように、ポートPO1に停止している状態にある対象車両VEの今後の挙動(走行予定)が、下部BSのダイヤTOにおいて、スジCOとして示されている。すなわち、スジCOを時刻に沿って辿ることから、ポートPO1に停止している対象車両VEは、この後、ポートPO2、ポートPO3、ポートPO4、ポートPO1…の順に循環する予定となっていることが分かる。
【0039】
これに対して、図4(B)は、上部USにおいて、図4(A)の状態で運行している最中に、外部情報として、通行禁止マークCLで示す2か所の交差点が交通規制区間(通行止め)になった旨の情報を受け付け、これに対して、迂回走行経路NRが新たな使用経路として採用された様子が示されている。具体的には、ポートPO2からPO3へ向かう経路上と、ポートPO3からPO4へ向かう経路上とにおいて、通行止め(通行禁止マークCL)となるインシデントが発生し、これらを迂回した経路である迂回走行経路NRを、対象車両VEが走行するものとなっている。
【0040】
なお、この場合、図中下部BSに示すように、新たなダイヤTN1が生成(作成)される。この場合、ダイヤTN1のスジCN1は、破線で示す変更前のスジCOと比べると、所要時間は長くなるが、対象車両VEが循環する各ポートPO1~PO4の順序については、変更前の状態が維持されたものとなっている。
【0041】
また、図5(A)及び図5(B)に示すように、複数の迂回走行経路NRα,NRβが選択可能なもの(選択の候補)として挙げられる場合も考えられる。すなわち、図5(A)の一例と、図5(B)の一例とでは、2か所発生した通行禁止マークCLで示す通行止めの位置は、どちらも同じであるが、図5(A)で選択している迂回走行経路NRαと、図5(B)で選択している迂回走行経路NRβとは、異なっている。
【0042】
このような場合、走行経路の変更に際して、複数の走行経路から一の走行経路を選択する態様(手法)すなわち優先順位の決め方については、例えば物理的な距離が短い方を優先的に選択したり、各経路上の走行所要時間が分かっていれば、所要時間の短い方を優先的に選択したりすることが考えられる。このほかの手法としては、例えば経路上における信号機SGの数に基づいて選択することも考えられる。図示の一例では、図5(A)に示す迂回走行経路NRαにおいては、2つの信号機SGが経路上に存在しているのに対して、図5(B)に示す迂回走行経路NRαにおいては、信号機SGが経路上に1つだけ存在している。この場合、例えば信号機SGの数がより少ない図5(B)の迂回走行経路NRαを選択することが考えられる。なお、上記以外のさらに他の手法として、信号機SG(信号灯器の)の赤信号(赤時間)の合計時間に基づいて決定する、といったことも考えられる。あるいは、各交差点に配置した信号機SGにおける信号のサイクル長を割り当てた場合に、対象車両VEが通過する側の信号灯器の青信号(青時間)の総計時間が最も長くなる経路を選択する態様とすることも考えられる。また、走行所要時間については、例えば混在する時間帯に応じて変更する、といったことも考えられる。
【0043】
また、図6(A)及び図6(B)は、走行経路の変更及びこれに伴うダイヤ変更に際して、通行不能な箇所が存在する場合の一例を示す概念図である。図6(A)は、通常走行経路ROに沿って対象車両VEが走行する状態を示している。一方、図6(B)は、図6(A)の状態から走行経路変更により、対象車両VEが新たな走行経路である迂回走行経路NRαに沿った走行に切り替わった様子について示している。図6(B)に示すように、ここでは、通行禁止マークCLで示す2か所の通行止めが、ポートPO4の直近前後であり、ポートPO4を挟む経路上の位置に発生している。つまり、2か所の通行止めに挟まれる範囲が、通行不能範囲となっており、その中にポートPO4が入ってしまっている。また、図6(B)は、このような内容の外部情報(インシデントが発生の情報)を、図6(A)に示す状態で運行している最中に受け付けた場合を示している。この場合、ポートPO4は、通行不能な箇所となる。以下、このような箇所を、通行不能停留所IMSともする。通行不能停留所IMSのような通行不能箇所が存在する場合の一対応例として、ここでは、図6(B)の上部USに示すように、インシデントの影響で通行不能な停留所であるポートPO4(通行不能停留所IMS)をスキップして、ポートPO4を除いた前後の停留所であるポートPO3とポートPO1とを繋ぐ通行路を含む走行経路として、迂回走行経路NRを作成している。つまり、迂回走行経路NRは、ポートPO4以外のポートPO1~PO3の間をループ状に繋ぐものとなっており、この迂回走行経路NRを、新たな使用経路として採用する。なお、この場合、図中下部BSに示すように、新たに生成(作成)された経路に対応するダイヤTN2において、実線で示すスジCN2は、ポートPO4をスキップする分、破線で示す元のスジCOよりも多少短い時間で、ポートPO1に到達することになる。
【0044】
また、図7(A)及び図7(B)は、走行経路の変更及びこれに伴うダイヤ変更として、走行経路の分割を行う場合の一例を示す概念図である。さらに、図8(A)及び図8(B)は、分割した走行経路の復旧について一例を示す概念図である。なお、図7(B)と図8(A)とは同一の図である。
【0045】
まず、図7(A)では、循環バスBUとして、外回りで循環する対象車両VE1と、内回りで循環する対象車両VE2とが存在する場合についての一例を示している。すなわち、図中の上部USに示すように、外回りで循環する対象車両VE1は、他の図において示した一例と同様に、例えばポートPO1に停止している状態から、通常走行経路RO1に沿って、ポートPO1、ポートPO2、ポートPO3、ポートPO4、ポートPO1…の順に循環する。なお、下部BSのダイヤTOとしては、対象車両VE1の挙動を、スジCO1で示している。
【0046】
一方、内回りで循環する対象車両VE2は、例えばポートPO3に停止している状態から、対象車両VE1とは逆の順に、通常走行経路RO2に沿って、ポートPO3、ポートPO2、ポートPO1、ポートPO4、ポートPO3…の順に循環する。なお、下部BSのダイヤTOとしては、対象車両VE2の挙動を、スジCO2で示している。
【0047】
上記のような態様において、例えば、図7(B)に示す一例では、通行禁止マークCLで示す通行止めが、ポートPO1及びポートPO2側とポートPO3及びポートPO4側とに経路を分断するように、横一例に並んだ複数のものとして発生している。つまり、これらの通行止め発生により横一例に横断する領域の全体が、通行不能範囲となっている。また、図7(B)では、このような内容の外部情報(インシデント発生)を、図7(A)に示す状態で運行している最中に受け付けた場合が示されている。つまり、図7(B)は、ポートPO1に対象車両VE1が存在し、ポートPO3に対象車両VE2が存在する状態で、インシデントが発生し、経路が分断された場合を示している。この場合の一対応例として、ここでは、図7(B)の上部USに示すように、走行経路の分割を行う。すなわち、通行不能範囲である横一例の横断領域を境界として、ポートPO1及びポートPO2側とポートPO3及びポートPO4側とに領域を2分割し、これに応じて走行経路も2分割している。より具体的に説明すると、まず、ポートPO1及びポートPO2側の領域では、これらの間を往復する経路を新たな経路NN1とし、ポートPO1に存在する対象車両VE1を経路NN1の区間について走行させる。もう一方のポートPO3及びポートPO4側の領域では、これらの間を往復する経路を新たな経路NN2とし、ポートPO3に存在する対象車両VE2を経路NN2の区間について走行させる。以上により、2分割された個別の経路がそれぞれ新たに形成される。この場合、図7(B)の下部BSに示すように、分割に応じて、2つのダイヤTD1,TD2が生成される。つまり、図中のダイヤTD1において、スジCD1は、対象車両VE1の挙動を示しており、ダイヤTD2において、スジCD2は、対象車両VE2の挙動を示している。
【0048】
一方、図8(A)及び図8(B)は、以上のような通行止めの状態、すなわち図8(A)に示す状態が、図8(B)に示すように、解除(全解除)された場合の対応例を示している。図8(B)に示す状態となると、対象車両VE1,VE2のうちの一方が、外回りを再開し、他の一方が、内回りを再開する。なお、この場合、図8(B)の下部BSに示すように、ダイヤTD1,TD2において、スジCD1,CD2の一方が、外回りに相当するスジCO1となり、他の一方が、内回りに相当するスジCO2となるようなダイヤ生成が行われる。つまり、元の状態であるダイヤTOに復旧するような処理がなされる。
【0049】
また、図9(A)~図9(C)の一例では、図7等の例と同様、通行禁止マークCLで示す通行止めが、横一例に並ぶように複数発生した場合において、ポートPO1及びポートPO2側には、対象車両VE1が存在する一方、ポートPO3及びポートPO4側には、車両が存在しない場合について示している。このような場合、経路変更部RCとしての制御部50は、対象車両VE1については、経路NN1を走行させる一方、経路NN2については、待機させていた車両VEsを新たな対象車両VE2として、ポートPO3及びポートPO4側に配車し、ポートPO3とポートPO4との間を往復させる、すなわち経路NN2を走行させる、という対応処理を行うことが考えられる。
【0050】
なお、以上の各態様は、例示であり、上記以外にも種々の経路変更の態様が、採用可能である。
【0051】
以下、図10等のフローチャートを参照して、運行管理システム100における各種動作の一例について説明する。
【0052】
図10(A)は、外部情報の受信に伴う全体動作について一例を示している。まず、運行管理システム100の制御部50は、外部情報受信部10を介して受信した外部情報において交通規制情報TRについての通知が含まれているか否かを確認し(ステップS101)、ステップS101での確認がされる(ステップS101:Yes)まで、この動作を継続する。
【0053】
交通規制情報TRの通知を確認すると(ステップS101:Yes)、制御部50は、ダイヤ変更判定部53等において、迂回経路判定を行う(ステップS102)。すなわち、ダイヤ変更判定部53等において、上述した各種情報に基づくダイヤ変更の要否や走行経路変更の要否等の各種判定、さらには経路選択が行われる。次に、制御部50は、ステップS102での判定結果に対応して、ダイヤ管理部54等において、ダイヤの自動生成を行う(ステップS103)。すなわち、ダイヤ管理部54等において、上述した新たなダイヤの作成や、作成したダイヤの登録が行われる。
【0054】
運行管理システム100は、ステップS102,S103において選択された走行経路の情報や、作成・登録されたダイヤの情報を、車両通信部70を介して、対象車両VEに対して通知し(ステップS104)、一連の動作を終了する。なお、ステップS102における迂回経路判定の処理及びステップS103におけるダイヤの自動生成の処理について、詳しくは、図11及び図12のフローチャートを参照して、後述する。
【0055】
図10(A)を参照して説明した運行管理システム100の内部での処理全体のうち、外部からの情報についての取り扱いに関しては、図10(B)に示すように、まず、外部センター等の情報提供機関RIから交通規制情報TRを検知したか否か、つまり外部情報受信部10において交通規制情報TRを受信したか否かの確認(ステップS201)を継続し、交通規制情報TRを検知すると、すなわち受信確認がなされると(ステップS201:Yes)、これに基づいて、ダイヤ変更判定部53へ迂回経路判定が要求される(ステップS202)。なお、このような外部からの情報の取扱いについては、制御部50のうち、例えば運行情報管理部51が担うものとすることができる。
【0056】
以下、図11として示すフローチャートを参照して、主に図10(A)におけるステップS102での処理である迂回経路判定の処理に相当する事項の詳細について、一例を説明する。つまり、ここでは、図10(A)のステップS101に示した外部からの交通規制情報TRの通知確認については既になされているものとする。以上のように、図11は、運行管理システム100の動作のうち、走行経路の変更としての迂回経路の選択を含む一連の処理について一例を示すものとなっている。
【0057】
まず、前提として、制御部50において、複数の迂回経路が予め準備されている(ステップS301)。例えば、データ格納部52において、発生する通行不能箇所あるいは通行不能範囲に応じた迂回経路に関する情報が格納されており、必要に応じて各種データが取り出し可能となっている。
【0058】
制御部50のうち、ダイヤ変更判定部53は、データ格納部52の地図データGDを参照して、外部からの交通規制情報TRから交通規制エリアを算出するとともに(ステップS302)、現状の通行路と停留所の位置情報をデータ格納部52から呼び出す(ステップS303)。つまり、現状採用されている走行経路に関するデータである使用経路データに関する情報の詳細を読み込む。
【0059】
次に、ダイヤ変更判定部53は、ステップS302及びステップS303により集約した各種情報を比較して、現状の通行路及び停留所に関して、交通規制情報TRにより通知された交通規制の影響があるか否かを判定する(ステップS304)。
【0060】
ステップS304において、影響がないと判定されれば(ステップS304:No)、現状の状況がそのまま維持されるように、車両走行指示がなされ(ステップSSc)、一連の処理が終了する。なお、この場合、新たなダイヤの生成は、なされない。
【0061】
一方、ステップS304において、影響があると判定された場合(ステップS304:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、影響を受ける経路の所要時間や経路情報(停留所の前後が通行不能になるか等)といった各種情報を取り出し(ステップS305)、対象車両VEを迂回させる必要があるか否かを判定する(ステップS306)。
【0062】
ステップS306において、迂回する必要がないと判定されれば(ステップS306:No)、現状の使用経路を維持したまま交通規制の影響に応じたダイヤの生成(再計算)が、ダイヤ管理部54のダイヤ生成部54aにおいて行われる(ステップSSt)。このような場合となる典型的一例としては、渋滞発生に伴う遅延に応じたダイヤの組直し等が想定される。その後、ステップSStにおいて生成されたダイヤに関する車両走行指示がなされ(ステップSSc)、一連の処理が終了する。
【0063】
一方、ステップS306において、迂回が必要であると判定された場合(ステップS306:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、選択可能な迂回経路を抽出する(ステップS307)。すなわち、ステップS301において準備されている複数の迂回経路の中から、発生したインシデント箇所に対応したものを、新たな経路となるべき候補(代替走行経路候補)として、単数または複数抽出する。
【0064】
次に、ダイヤ変更判定部53は、ステップS307において抽出された迂回経路の中に、各停留所を除く(スキップする)ことなく走行を継続可能なものがあるか否かを確認し(ステップS308)、そのようなものが候補のうちにある場合(ステップS308:Yes)、さらに、当該候補が複数(2以上)あるか否かを確認する(ステップS309)。
【0065】
ステップS309において、複数の候補が存在すると判定された場合(ステップS309:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、本来の経路(例えば現状の使用経路)と当該複数の候補とを比較して、予め定めている所定時間の差以内(遅延が許容範囲内)となる経路が、候補中に存在するか否かを確認する(ステップS310)。つまり、経路変更部RCとしてのダイヤ変更判定部53は、各候補の経路に関して、走行経路データRDとして格納されている走行時間情報(走行経路を構成する各道路区間における走行時間についての情報)等の各種情報に基づき所要時間の算出(走行時間の予測)をし、これを、本来の経路においてかかる時間と比較する。
【0066】
ステップS310において、所定時間の差以内となる経路が存在する場合(ステップS310:Yes)、条件を満たす(単数または複数の)候補のうち、最短時間差となっているものを、新たな迂回経路として選択する、すなわち新たな使用経路として採用する(ステップS311)。見方を変えると、ダイヤ変更判定部53は、経路変更部RCとして、データ格納部52において予め準備された複数の代替走行経路候補のうち、走行時間が最短時間となる走行経路を選択するものとなっている。
【0067】
一方、ステップS310において、所定時間の差以内となる経路が存在しない場合(ステップS310:No)、ダイヤ変更判定部53は、候補となっている複数の迂回経路上の交差点情報(走行経路データRDとして格納されている)を取得し(ステップS312)、複数の迂回経路の間で信号機のある交差点の個数を比較して、当該個数が最小のもの(図5参照)を、新たな迂回経路として選択する、すなわち新たな使用経路として採用する(ステップS313)。
【0068】
なお、ステップS309において、複数の候補が存在しないと判定された場合(ステップS309:No)、つまり候補が1つしかない場合、当該候補を新たな迂回経路として選択する、すなわち新たな使用経路として採用する(ステップS314)。
【0069】
以上のように、ステップS312、ステップS313又はステップS314を経て選択された新たな経路に対応するダイヤ生成が、ダイヤ管理部54のダイヤ生成部54aにおいてなされ(ステップSSt)、さらに、選択された新たな経路や生成されたダイヤに基づく車両走行指示がなされ(ステップSSc)、一連の処理が終了する。なお、ステップSStのダイヤ生成については、図12を参照して詳細な一例を後述する。
【0070】
一方、ステップS308において、ステップS307において抽出された迂回経路の中に、各停留所を除く(スキップする)ことなく走行を継続可能なものが存在しないと判定された場合(ステップS308:No)、ダイヤ変更判定部53は、通行不能停留所(例えば図6の通行不能停留所IMSとしてのポートPO4参照)を除いた他の停留所全て(例えばポートPO1~PO3)を走行できる迂回経路があるか否かを確認する(ステップS315)。
【0071】
ステップS315の条件を満たす迂回経路が候補のうちにある場合(ステップS315:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、当該迂回経路を、新たな迂回経路として選択する、すなわち新たな使用経路として採用する(ステップS316)。なお、ステップS315の条件を満たす迂回経路の候補が複数ある場合は、上記他の例と同様に、時間や新誤記の個数に基づく優先採用基準を予め定めておくことで、一の迂回経路に決定可能となるようにしておける。
【0072】
一方、ステップS315において、条件を満たす迂回経路が候補の中にない場合(ステップS315:No)、ダイヤ変更判定部53は、本来の経路を分割(分断)する処理を実施する(ステップS317)。なお、分割パターンが複数ある場合においても、上記他の場合と同様経路に関する優先採用基準を予め定めておくことで、一の分割パターンに決定可能となるようにしておける。
【0073】
ステップS317において分割された各経路における運行を新たに開始すべく、ダイヤ変更判定部53は、車両位置情報の取出し(ステップS318)をした上で、さらに、分割した各経路上に車両が存在するか否かを確認する(ステップS319)。
【0074】
上記のような経路の分割(分断)に関して、具体的には、図7図9を参照して一例を示したように、本来の経路である1つの通常走行経路ROを、新たな2つの経路NN1,NN2に分断(分割)するとともに、各経路NN1,NN2に対象車両VE等が存在するか否かを、ダイヤ変更判定部53は、確認する。
【0075】
ステップS319において、車両ありと判定された場合(ステップS319:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、分割した各経路を、新たな迂回経路として選択する、すなわち新たな使用経路として採用すべく、これを使用経路として登録する(ステップS320)。
【0076】
一方、ステップS319において、車両なしと判定された場合(ステップS319:No)、図9を参照して一例を示したように、車両が存在しない経路に対しては、必要な配車手続きを行った上で(ステップS321)、使用経路としての登録がなされる(ステップS320)。
【0077】
以上のように、ステップS316又はステップS320を経て選択された新たな経路に対応するダイヤ生成が、ダイヤ管理部54のダイヤ生成部54aにおいてなされ(ステップSSt)、さらに、選択された新たな経路や生成されたダイヤに基づく車両走行指示がなされ(ステップSSc)、一連の処理が終了する。
【0078】
以下、図12として示すフローチャートを参照して、主に図10(A)におけるステップS103での処理であるダイヤの自動生成の処理に相当するものの詳細について、一例を説明する。つまり、ここでは、図10(A)のステップS102での処理、あるいは図11に例示したダイヤ変更に関する判定がなされているものとする。以上のように、図12は、ダイヤ生成(ダイヤ変更)についての一連の処理について一例を示すものとなっている。
【0079】
制御部50のうち、ダイヤ管理部54は、運行管理を担うダイヤ変更判定部53からダイヤ生成の要求があるか否かの確認動作を継続する(ステップS401)。
【0080】
ステップS401において、ダイヤ生成の要求を確認すると(ステップS401:Yes)、ダイヤ管理部54は、データ格納部52に格納されているデータを参照することで、現在のダイヤを確認し(ステップS402)、ダイヤ生成の要求内容と、現在のダイヤの内容とを比較することで、ダイヤ変更判定部53からのダイヤ生成の要求において、迂回経路が選択されているか否かを確認する(ステップS403)。
【0081】
ステップS403において、迂回経路が選択されていると判定された場合(ステップS403:Yes)、ダイヤ管理部54は、当該迂回経路についてのデータを解析して(ステップS404)、ダイヤ分割の要求があるか否かを確認する(ステップS405)。すなわち、図11におけるステップS317の処理がなされたものであるか否かを確認する。
【0082】
ステップS405において、ダイヤ分割の要求が無い場合(ステップS405:No)、ダイヤ管理部54は、ダイヤ生成部54aにおいて、選択されている1つの迂回経路についてのデータを解析した結果から停留所間の走行距離や走行時間を取得し(ステップS406)、当該停留所間の新たな所要時間を算出する(ステップS407)。
【0083】
さらに、ダイヤ生成部54aは、ステップS407での算出結果に基づいて、発着時間を再計算して、新たなダイヤを作成する(ステップS408)。
【0084】
一方、ステップS405において、ダイヤ分割の要求がある場合(ステップS405:Yes)、ダイヤ管理部54は、要求に従った経路の分割を行い(ステップS409)、ダイヤ生成部54aにおいて、分割した経路ごとのダイヤ作成がなされる(ステップS410)。
【0085】
なお、ステップS403において、迂回経路が選択されていないと判定された場合(ステップS403:No)、すなわち迂回する必要がないと判定されているが、交通規制の影響によりダイヤ生成の要求がある場合、既述のように、現状の使用経路を維持したまま交通規制の影響に応じたダイヤの作成が、ダイヤ生成部54aにおいて行われる(ステップS408)。
【0086】
以上のようにして、ダイヤ生成部54aにおける新たなダイヤの作成(ダイヤ生成)がなされると(ステップS408又はステップS410)、作成された新たなダイヤが、車両通信部70を介して対象車両VE等に対して送信される(ステップS411)。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る運行管理システム100は、対象車両VEの通常走行経路と迂回走行経路とを含む地図データGDを有するデータ格納部52と、インシデントの発生箇所の情報を含む外部情報を受け付けると、地図データGDに基づき対象車両VEの走行経路変更の要否を判定する判定部JD(ダイヤ変更判定部53)と、判定部JDでの判定内容に応じて、データ格納部52の経路情報に基づき選択可能な走行経路に変更する経路変更部RC(ダイヤ変更判定部53)とを備える。上記運行管理システム100では、例えば対象車両VEの走行経路のうち、一部区間の走行ができない、といった走行経路に影響するインシデントの発生を外部から受けると、まず、ダイヤ変更判定部53の判定部JDにより、地図データGDに基づき走行経路変更の要否の判定が行われる。さらに、判定部JDにおいて変更を要すると判定されれば、ダイヤ変更判定部53の経路変更部RCにおいて、判定部JDでの判定内容に応じて、データ格納部52の経路情報に基づいた選択可能な走行経路への変更がなされる。以上により、的確な経路選択(変更)が可能となり、さらに、各種データの基づいた判定及び選択がなされることで、自動での走行経路の変更が可能となる。
【0088】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0089】
まず、上記において、外部の情報提供機関RIについては、上述した道路交通情報センター等以外にも、例えば路側に設置された種々の機器といった種々のものが適用でき、また、交通規制情報TRについても、様々な態様のものが対象となり得る。例えば、文字データ等に限らず、音声や画像による情報等を人工知能等により解析することで、判断材料として利用する態様としてもよい。
【0090】
また、迂回経路の選択に際しても、種々の態様が想定され、例えば上記では、複数の候補がある場合に、時間や距離あるいは信号機の個数等を採用基準としているが、これに限らず、天候や周辺道路の状況、近隣における各種イベントの開催予定等を判断基準あるいはその一部として利用することも考えられる。
【0091】
また、上記では、例えば迂回走行経路等について、予め作成されてデータ格納部52に格納されているものとしているが、これに限らず、例えば、発生したインシデントの内容に応じて、都度走行経路データRDの各要素の組合せをして、新たに作成する態様としてもよい。
【0092】
また、上記では、運行管理の対象となり対象車両VEを、循環バスBUとして説明したが、これに限らず、トラック輸送や、タクシー等、種々の車両を対象として運行の管理をすることができる。
【符号の説明】
【0093】
10…外部情報受信部、50…制御部、51…運行情報管理部、52…データ格納部、53…ダイヤ変更判定部、54…ダイヤ管理部、54a…ダイヤ生成部、70…車両通信部、100…運行管理システム、BS…下部、BU…循環バス、CD1,CD2,CN1,CN2,CO,CO1,CO2…スジ、CL…通行禁止マーク、CUv…自動運転制御部、DD1…データ、DD1,DD2…データ、DDv…データ格納部、GD…地図データ、IMS…通行不能停留所、JD…判定部、NN1,NN2…経路、NR,NRα,NRβ…迂回走行経路、PO1~PO4…ポート、RC…経路変更部、RD…走行経路データ、RI…情報提供機関、RO,RO1,RO2…通常走行経路、SG…信号機、TA…交通領域、TD1,TD2,TN1,TN2,TO…ダイヤ、TR…交通規制情報、TR…外部情報、TTv…通信部、US…上部、VE,VE1,VE2…対象車両(自動運転車両)、VEs…車両
図1
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図10
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図12