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特開2023-64712店舗開業支援システム及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064712
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】店舗開業支援システム及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20230501BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166111
(22)【出願日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2021174410
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520343261
【氏名又は名称】株式会社データインサイト
(71)【出願人】
【識別番号】597062650
【氏名又は名称】技研商事インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】中西 義樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 芳典
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】 出店候補地のエリア毎にエリア分析を行うと共に当該エリアにおける開業予定の店舗の収益シミュレーション結果に基づく有用な情報を提供できる店舗開業支援システム及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】 開業支援サーバ1が、ユーザ端末2から出店候補地の指定を受け付けると、ユーザ端末2に地図DB21から該当する地図データを表示させ、統計DB22から出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、出店予定の店舗の収益シミュレーション結果に基づく収支予測結果と投資回収予測結果を含む情報を提供するものとしてるので、ユーザはエリア分析の結果だけでなく、店舗運営に関する有用な情報を得ることができ、店舗開業の支援を十分に受けることができる店舗開業支援システム及びそのプログラムである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続する開業支援サーバを有する店舗開業支援システムであって、
前記開業支援サーバは、店舗開業予定者のユーザ端末から出店候補地の情報を受け付けると、前記ユーザ端末に地図を表示させ、統計情報から前記出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、前記ユーザ端末から出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータが入力されると、前記店舗の収益シミュレーションを実行し、当該収益シミュレーションの結果に基づく情報を前記ユーザ端末に表示させることを特徴とする店舗開業支援システム。
【請求項2】
開業支援サーバは、過去の収益シミュレーションの結果を保持しており、最新の収益シミュレーションの結果と前記過去の収益シミュレーションの結果を比較可能にユーザ端末に表示させることを特徴とする請求項1記載の店舗開業支援システム。
【請求項3】
開業支援サーバは、収益シミュレーションの実行の際に、ユーザ端末から入力された出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータを記憶しており、次回の収益シミュレーションの実行の際に、前記データの変更がない限り前記記憶しているデータを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の店舗開業支援システム。
【請求項4】
収益シミュレーションの結果には、月単位で利益と損失を棒グラフで表示する収支予測結果と、投資回収までの初期投資に対する返済額の推移を表示する投資回収予測結果とを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の店舗開業支援システム。
【請求項5】
開業支援サーバは、収益シミュレーションの結果、立地条件及び開業までの準備状況を基に開業後の経営の健全度を予測し、当該健全度に基づいて開業資金の融資額を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の店舗開業支援システム。
【請求項6】
ネットワークに接続する開業支援サーバで動作するコンピュータプログラムであって、
前記開業支援サーバを、店舗開業予定者のユーザ端末から出店候補地の情報を受け付けると、前記ユーザ端末に地図を表示させ、統計情報から前記出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、前記ユーザ端末から出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータが入力されると、前記店舗の収益シミュレーションを実行し、当該収益シミュレーションの結果に基づく情報を前記ユーザ端末に表示させるよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
開業支援サーバを、過去の収益シミュレーションの結果を保持させ、最新の収益シミュレーションの結果と前記過去の収益シミュレーションの結果を比較可能にユーザ端末に表示させるよう機能させることを特徴とする請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
開業支援サーバを、収益シミュレーションの実行の際に、ユーザ端末から入力された出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータを記憶させ、次回の収益シミュレーションの実行の際に、前記データの変更がない限り前記記憶しているデータを用いるよう機能させることを特徴とする請求項6又は7記載のプログラム。
【請求項9】
開業支援サーバを、収益シミュレーションの結果、立地条件及び開業までの準備状況を基に開業後の経営の健全度を予測し、当該健全度に基づいて開業資金の融資額を算出するよう機能させることを特徴とする請求項6又は7記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗開業を支援するシステムに係り、特に、特定のエリアに店舗を開業する際に開業に有利な情報を提供する店舗開業支援システム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、特定のエリアに店舗を出店する際に、出店するエリアの特性を分析することは広く行われていた。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2008-065607号公報「出店支援方法」(特許文献1)がある。
特許文献1には、複数の店舗の業績データと統計データに基づいて一次候補地を選定し、アンケートによる実地調査データで最終候補地を選定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-065607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、出店エリアの分析を行うことができるものの、店舗の出店候補地のエリア毎に開業者にとって収益のシミュレーション結果に基づく有用な情報を得ることができるものではなく、開業を十分に支援するものになっていないという問題点があった。
【0006】
尚、特許文献1には、出店候補地のエリア毎にエリア分析を行うと共に当該エリアにおける店舗の収益シミュレーション結果に基づく有用な情報を提供する構成の記載がない。
【0007】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、出店候補地のエリア毎にエリア分析を行うと共に当該エリアにおける開業予定の店舗の収益シミュレーション結果に基づく有用な情報を提供できるプラットフォームとなる店舗開業支援システム及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ネットワークに接続する開業支援サーバを有する店舗開業支援システムであって、開業支援サーバが、店舗開業予定者のユーザ端末から出店候補地の情報を受け付けると、ユーザ端末に地図を表示させ、統計情報から出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、ユーザ端末から出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータが入力されると、店舗の収益シミュレーションを実行し、当該収益シミュレーションの結果に基づく情報をユーザ端末に表示させることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記店舗開業支援システムにおいて、開業支援サーバが、過去の収益シミュレーションの結果を保持しており、最新の収益シミュレーションの結果と過去の収益シミュレーションの結果を比較可能にユーザ端末に表示させることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記店舗開業支援システムにおいて、開業支援サーバが、収益シミュレーションの実行の際に、ユーザ端末から入力された出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータを記憶しており、次回の収益シミュレーションの実行の際に、データの変更がない限り記憶しているデータを用いることを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記店舗開業支援システムにおいて、収益シミュレーションの結果には、月単位で利益と損失を棒グラフで表示する収支予測結果と、投資回収までの初期投資に対する返済額の推移を表示する投資回収予測結果とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記店舗開業支援システムにおいて、開業支援サーバが、収益シミュレーションの結果、立地条件及び開業までの準備状況を基に開業後の経営の健全度を予測し、当該健全度に基づいて開業資金の融資額を算出することを特徴とする。
【0013】
本発明は、ネットワークに接続する開業支援サーバで動作するコンピュータプログラムであって、開業支援サーバを、店舗開業予定者のユーザ端末から出店候補地の情報を受け付けると、ユーザ端末に地図を表示させ、統計情報から出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、ユーザ端末から出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータが入力されると、店舗の収益シミュレーションを実行し、当該収益シミュレーションの結果に基づく情報をユーザ端末に表示させるよう機能させることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記プログラムにおいて、開業支援サーバを、過去の収益シミュレーションの結果を保持させ、最新の収益シミュレーションの結果と過去の収益シミュレーションの結果を比較可能にユーザ端末に表示させるよう機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記プログラムにおいて、開業支援サーバを、収益シミュレーションの実行の際に、ユーザ端末から入力された出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータを記憶させ、次回の収益シミュレーションの実行の際に、データの変更がない限り記憶しているデータを用いるよう機能させることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記プログラムにおいて、開業支援サーバを、収益シミュレーションの結果、立地条件及び開業までの準備状況を基に開業後の経営の健全度を予測し、当該健全度に基づいて開業資金の融資額を算出するよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、開業支援サーバが、店舗開業予定者のユーザ端末から出店候補地の情報を受け付けると、ユーザ端末に地図を表示させ、統計情報から出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、ユーザ端末から出店予定の店舗に関する収益項目及び費用項目のデータが入力されると、店舗の収益シミュレーションを実行し、当該収益シミュレーションの結果に基づく情報をユーザ端末に表示させる店舗開業支援システムとしているので、ユーザはエリア分析の結果だけでなく、店舗運営に関する有用な情報を得ることができ、店舗開業の支援を十分に受けることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本システムの概略構成図である。
図2】収益シミュレーション開始画面を示す説明図である。
図3】収益シミュレーション説明画面を示す説明図である。
図4】収益項目入力画面を示す説明図である。
図5】費用項目入力画面を示す説明図である。
図6】シミュレーション結果画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る店舗開業支援システム(本システム)は、ネットワークに接続する開業支援サーバが、店舗開業予定者(ユーザ)のユーザ端末から出店候補地の情報を受信すると、ユーザ端末に地図を表示させ、統計情報から出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、出店予定の店舗の収益シミュレーション結果に基づく情報を提供するものであり、ユーザはエリア分析の結果だけでなく、店舗運営に関する有用な情報を得ることができ、店舗開業の支援を十分に受けることができるものである。
【0020】
[本システム:図1
本システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本システムの概略構成図である。
本システムは、図1に示すように、開業支援サーバ1と、開業予定者のユーザ端末2と、ネットワーク3とを備えている。開業支援サーバ1及びユーザ端末2は、ネットワーク3を介して接続している。
図1では、ユーザ端末2を2台表示しているが、実際は、数多くのユーザ端末2がネットワーク3に接続している。
【0021】
[開業支援サーバ1]
開業支援サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部3とを備えており、記憶部12に記憶された処理プログラムが制御部11で実行されることで本システムの処理を実現している。本システムの具体的な処理は後述する。
【0022】
また、インタフェース部13には、ネットワーク3が接続され、更に、地図データを記憶する地図データベース(地図DB)21と、統計情報を記憶する統計データベース(統計DB)22と、賃貸物件の情報を記憶する賃貸物件データベース(賃貸物件DB)23とが接続されている。各DBにおける情報は、定期的に更新されている。特に、賃貸物件DB23の情報はリアルタイム又は高頻度の更新が為され、情報のアップデートを実現している。
尚、ユーザ端末2から入力されるユーザの情報及び開業に関連する情報を記憶部12ではなく、ユーザデータベース(ユーザDB)を設けて、そこに記憶するようにしてもよい。
【0023】
ユーザ端末2は、店舗の開業予定者が使用する端末(スマートフォン又はタブレット装置)であって、開業支援に関する必要なデータを入力し、開業支援に関する有益な情報が表示される。
ユーザ端末2には、本システムのアプリケーション(本アプリ)がインストールされており、本アプリが必要に応じて開業支援サーバ1にアクセスして後述する処理を実現している。
【0024】
[本システムの処理]
本システムにおける処理について説明する。
本システムの処理は、ユーザ端末2のアプリと開業支援サーバ1の制御部11における処理プログラムとの連動によって機能実現手段が実行されるものである。
【0025】
[ホーム画面表示処理]
まず、ユーザ端末2の本アプリで表示されるホーム画面では、出店予定の店舗プロフィールの情報と開業資金計画の情報の設定・編集ができるようになっている。店舗プロフィールの情報には、店舗の業種業態、例えば、飲食店、カフェが設定され、この業種業態に応じてエリアの検索、店舗物件の検索が行われることになる。
このホーム画面では、開業までの日数等を設定し、お気に入りのエリア、物件、エリア調査メモを入力できるようになっている。
【0026】
[やること一覧表示処理]
次に、本アプリでは、開業までに「やること」(To Do)を検索して選択し、やることの進捗管理を行う。開業までのやることは、開業支援サーバ1の記憶部12に記憶されており、ユーザ端末2は、開業支援サーバ1にアクセスして記憶部12からやることを取得して表示画面に一覧で表示する。
やることの一覧は、多くの対象項目の中から自分に合った項目を選択して処理することができるので、過度な負担にならず、必要な項目を抑えることができるものである。
【0027】
やることは、例えば、出店候補エリアの選定、物件の相場観の把握、厨房設計・レイアウトの検討、賃貸借契約書の確認等である。
また、本アプリでは、やることの詳細を参照でき、困ったことはSNSで他人とシェアし、専門家に相談できる手段を備えている。
【0028】
[エリア検索・レコメンド処理]
出店エリアについては、検索欄にエリア名、駅名、キーワードを入力することで検索することができる。また、「現在地から探す」「沿線・駅から探す」「ランキングから探す」等の検索機能が本アプリでは用意されている。これ以外の検索としては、前回の検索条件を記憶しておき、その検索条件で再度検索することができる。
また、「銀座」「表参道」「自由が丘」等の注目エリアが予め設定されており、その注目エリアから検索することもできる。
【0029】
更に、特定地域、例えば「千代田区」における候補エリアが予め設定されており、その候補エリアから検索するようにしてもよい。また、「単身者層が多いエリア」のようなエリア特性に基づいて候補エリアが予め設定されており、その候補エリアから検索するようにしてもよい。エリア特性は、統計DB22の統計データを用いて分析されたものである。
【0030】
注目エリア、候補エリアのエリア名から検索を行うと、表示画面の上段に地図を表示し、中段に当該エリアの特徴を説明し、下段に住んでいる人の数、通勤・通学で来る人の数、エリア特性を「都心の単身者層」等の短いキーワードで表示するようにしている。
【0031】
また、指定したエリアから検索する場合には、地図が表示され、中心にエリアの駅等を設定し、例えば半径2kmの円を表示して、その円内に候補となる店舗の賃貸物件を表示するようにしている。開業支援サーバ1が、地図DB21から該当する地図データを読み込み、賃貸物件DB23から該当する賃貸物件のデータを読み込んで、ユーザ端末2に出力している。
【0032】
また、ランキングから探すでは、「店舗賃料の高い順」「人流の多い順」「指定した業態の店舗の多い順」等をユーザ端末2で指定すると、開業支援サーバ1が賃貸物件DB23、統計DB22を検索してランキング順に一覧で表示する。
【0033】
[エリア詳細表示処理]
ユーザ端末2で出店エリアが選択されると、ユーザ端末2にはエリア詳細情報が表示される。エリア詳細情報は、ユーザ端末2からの表示要求により、開業支援サーバ1が各種DBを参照して、出店候補地のエリア分析処理を行い、その分析結果の情報をユーザ端末2に表示出力する。
エリア詳細情報は、「エリア概要/人通りの多さ」「駅乗降客数/競合店舗数」「出退店数/人口情報」「世帯/年収情報」「賃料/おすすめ物件」等である。
【0034】
「エリア概要/人通りの多さ」は、エリアの特徴的な複数枚の写真と簡単なエリア紹介文が表示され、エリア特性を例えば「都心の単身者層」等の短いキーワードで表示し、更に曜日を選択して時間帯毎の人通りの多さを棒グラフで表示している。
【0035】
「駅乗降客数/競合店舗数」は、主要な駅における1日の利用客数、広域エリアの総駅数での利用客数の多い順位を表示し、地図上の競合店舗(ライバル店)をアイコンで表示する。ライバル店の数が特定の閾値を超えた場合には「激戦区」等のコメントも表示する。
【0036】
「出退店数/人口情報」は、出店数と退店数を1年間で月単位にそれぞれ折線グラフで表示し、人口情報としては、住んでいる人(人口)の数、このエリアに学校・職場がある人(通学・通勤の人)の数を表示し、これらの数値によっていずれが多いかをコメントしている。
【0037】
更に、住んでいる人と学校・職場のある人で切り替えて、男女別の年代別人口の棒グラフを表示する。この年代別人口の棒グラフによりホーム画面で入力したターゲットの年代の人口が広域エリア(例えば都内)の平均と比べて多い又は少ないことを表示している。
具体的には、上記棒グラフ上に広域エリアの平均の折線グラフを重ねて表示している。
【0038】
「世帯/年収情報」は、開業支援サーバ1が統計DB22の情報を参照して、ユーザ端末2で表示されるものである。
具体的には、当該エリアの世帯数を表示し、当該エリア、広域エリア(例えば都内)の平均、全国平均の3つについて「1人世帯」「2人世帯」「3人世帯」等の割合を棒グラフで表示し、比較できるようになっている。この比較により、世帯についての特徴を、例えば「1人世帯が多いエリアです」をコメントしている。
【0039】
更に、当該エリアにおける1世帯あたりの平均年収を表示し、年収の金額別に世帯数を棒グラフで表示し、広域エリアの平均を折線グラフで表示して比較できるようになっている。この比較により、平均年収の特徴について、例えば「平均年収の高いエリア」というコメントも表示している。
【0040】
「賃料/おすすめ物件」は、賃料について、住居賃料平均と店舗賃料平均を、当該エリアの金額、広域エリア(例えば都内)平均を表示している。
また、おすすめ物件は、ホーム画面で入力した店舗条件に合致する候補物件又は店舗条件に近い候補物件を提示している。
尚、上記の例で「エリア概要」~「おすすめ物件」までを別々に説明したが、本システムでは、これらを一連の画面にて構成して、スクロールにより表示させるようにしている。
【0041】
このようにエリア詳細情報は、当該エリアを広域エリア、全国と比較しながら、出店に参考となるエリア分析結果を表示するものであるから、店舗出店に際して非常に有益な情報が得られるものである。
【0042】
[エリア比較処理]
エリア比較処理は、出店を検討するエリアとその他の複数のエリアとの比較表示を行うものである。このエリア比較処理は、エリア詳細情報で取得された情報を基に複数のお気に入りのエリアを一覧比較できるものである。
【0043】
[エリア調査メモ機能]
エリア調査メモ機能は、ホーム画面から使用できるものであり、出店エリアに関連付けて当該エリアを現地調査した記録であり、その記録はホーム画面で表示させることができる。
エリア調査メモでは、テキスト入力に加え、写真データも関連付けて登録できるものである。
エリア調査メモのデータは、ユーザ端末2に記憶するようにしてもよいが、開業支援サーバ1の記憶部12に記憶するようにし、エリア調査メモをユーザ端末2で表示させる際に、開業支援サーバ1から提供されるようにしてもよい。
【0044】
[物件検索処理]
ユーザ端末2から開業支援サーバ1に物件検索の指示があると、賃貸物件DB23を参照し、該当エリアの開業予定店舗の条件に合う賃貸物件の一覧を表示画面に表示する。この場合上側に地図も表示し、その地図上に賃貸物件のアイコンを表示する。
【0045】
また、物件検索処理において、前回の検索条件を記憶しておき、その前回の検索条件で最新の賃貸物件について検索させることもできる。
更に、既に検索して閲覧(訪問)した物件について最新の賃貸物件の情報を一覧で表示させることもできる。
一覧表示された物件について、いずれかを選択すると、物件の詳細情報が表示されるようになっている。
【0046】
[収益シミュレーション処理:図2~6]
次に、本システムにおいて特徴的な収益シミュレーション処理について図2~6を参照しながら説明する。図2は、収益シミュレーション開始画面を示す説明図であり、図3は、収益シミュレーション説明画面を示す説明図であり、図4は、収益項目入力画面を示す説明図であり、図5は、費用項目入力画面を示す説明図であり、図6は、シミュレーション結果画面を示す説明図である。
【0047】
[収益シミュレーション開始画面:図2
図2に示すように、収益シミュレーションの画面では、上側にホーム画面で設定された開業予定の店舗名、業種、その他条件が表示され、下側には前回保存した条件による収益シミュレーション結果が表示されている。
【0048】
収益シミュレーション結果は、スクロールすると更に過去のものも表示できるようになっている。図2では、2021年10月3日の収益シミュレーション結果が表示され、その下に2021年9月26日の収益シミュレーション結果が表示されている。
尚、一度も収益シミュレーションを行っていなければ、収益シミュレーション結果は表示されない。
【0049】
[収益シミュレーション説明画面:図3
図2において、上側の「収支シミュレーションをする」のボタンが選択されると、図3に示す収益シミュレーションの説明画面が表示される。ここで、「収支」は「収益」と同じ意味である。
【0050】
[収益項目入力画面:図4
図3の下側の「はじめる」のボタンを選択すると、図4に示す収益項目入力画面が表示される。図4では、客単価を入力する画面となっているが、客単価以外には、お店の広さ、来客等の収益に影響する項目について入力することになる。
【0051】
[費用項目入力画面:図5
図4の入力が終了すると、図5の費用項目入力画面に移行する。図5では、支出に影響する初期費用等の入力を行う画面であり、店舗取得にかかる費用、店舗取得後にかかる費用を入力する。また、初期費用以外にも原価率、人件費等の数値を入力することになる。
収益項目と費用項目の数字の入力は、10のステップで行うことができるようになっている。
【0052】
[シミュレーション結果:図6
図4,5の入力が終了すると、図6に示すシミュレーション結果の画面が表示される。
図6のシミュレーション結果は、収益項目、費用項目に基づいての演算結果であり、収支予測結果として黒字化の時期の目安、投資回収予測結果として初期投資回収の時期の目安が表示される。
収支予測結果については、24ヶ月の月単位の営業利益と営業損失を棒グラフで表示し、売上を折線グラフで表示している。
投資回収予測結果については、回収までの年月を年単位に売上からの返済額を棒グラフで表示し、初期費用投資額を直線で表示している。
【0053】
収益シミュレーション処理では、一度入力した項目の数値は変更されるまで保持され、変更されると更新されるので、何度でも収益シミュレーションを容易に行うことができ、更にその収益シミュレーションの結果の履歴も残して比較できるようにしているので、適正な収益シミュレーション結果を得ることができる効果がある。
また、適正な収益シミュレーションが可能になれば、事業計画・開業資金計画等の作成を容易に行うことができる。
【0054】
図6における収支予測結果における営業利益を演算するためには、精度の高い売上予測が求められる。本システムでは、売上予測に立地と業種業態を基にした売上データを教師データとして学習させ、AI(人工知能)売上予測モデルを生成し、当該モデルを用いて店舗の売上予測(AI売上予測)を行うようにしている。
【0055】
また、費用項目としての店舗の賃料について、適正な賃料でなければ、費用が増大し、利益が出にくくなる。そこで、本システムでは、過去の店舗物件の取引データ、将来の人口推移データ等を元にAIを利用して適切な店舗賃料を査定(AI賃料査定)するようにしている。AI賃料査定は、店舗だけでなく、住宅・駐車場等の賃料にも適用可能である。
【0056】
[専門家・業者・先輩オーナーとの連携]
本システムでは、出店準備を進める上で、専門家・業者・先輩オーナーを容易に探しやすくするために、出店関連のカテゴリから検索できるようになっている。
専門家としては、地場の不動産屋、飲食コンサルタント、税理士、インフルエンサー、メディア関係者等であり、業者としては、内外装業者、厨房機器業者、食材/飲料の卸、音楽配信業者等である。
【0057】
[応用例1:候補エリアレコメンド機能の応用]
候補エリアのレコメンドについて、特定の出店候補地のエリアが決まっていない場合に、地域のイメージから対象エリアをレコメンドするようにしてもよい。例えば、麻布十番と似たようなエリアをユーザから指定された場合に、麻布十番と地域特性が近似する地域を検索してレコメンドすることになる。
【0058】
また、開業予定者が希望する開業希望エリアが賃料、売上又は用途地域などでマッチングしない場合は、ホーム画面で入力した条件を優先させ、次点の候補エリアをレコメンドする機能を備えるようにしてもよい。
【0059】
[応用例2:店舗物件レコメンド機能の応用]
開業支援サーバ1は、開業予定者のユーザ端末2に、開業を予定しているエリア内の店舗物件の中から開業予定者の店舗の業態、規模、予算、その他設定された条件等に基づいてマッチングを行い、店舗物件を絞り込み、レコメンドを表示するようにしてもよい。
レコメンドする店舗物件は、複数提示するようにしてもよいが、その場合、マッチングの度合いを数値で表示するのが望ましい。当該数値(開業予定者の満足度)が低い場合は、開業の抜本的な見直しを促すことになる。
【0060】
[応用例3:人流分析]
開業支援サーバ1は、ユーザ端末2が指定したエリアについて地図上にメッシュで区分けし、時間単位にそのメッシュ内の人口の多さを色の濃淡(ヒートマップ)で表示する機能を備えている。
時間経過でヒートマップを参照すれば、当該エリアでの人流を分析することができる。また、当該エリアにおける人口の推移を、横軸を時間とし、縦軸を人数(人口)として折れ線グラフで表示するようにしてもよい。
【0061】
[メニュー分析]
開業支援サーバ1は、300店舗以上の有名店のメニューの情報を記憶部12に記憶しておき、ユーザ端末2からの要求により当該メニューの情報を閲覧可能としている。
更に、開業支援サーバ1は、ユーザ端末2からの要求により開業予定の店舗の業態、規模等に基づいて上記メニューの情報を分析し、ユーザ端末2に当該店舗に応じたメニューを提案するようにしてもよい。
【0062】
[応用例4:業者マッチング機能]
本システムでは、開店予定者が、専門家、業者、先輩オーナーとの連携を図るものとなっているが、開業支援サーバ1は、ユーザ端末2から入力される開店予定者の店舗の条件に応じて専門家、業者等とのマッチングを行い、開店予定者と業者等との結び付けを迅速に行うことができるようにしてもよい。
【0063】
[応用例5:収益改善機能]
開業支援サーバ1は、実際のPOS(Point Of Sales)等の入力を基にリアルの運営状況を分析し、開業された店舗の経営者に対してAIを用いて経営診断を行い、経営者のユーザ端末2に経営のアドバイスを行い、収益改善を促す機能を備えるようにしてもよい。
【0064】
[応用例6:ファイナンス機能]
開業支援サーバ1は、収益シミュレーションの結果と、立地条件と、開業までの準備状況とを基にAIを用いて開業後の経営の健全度を算出して予測し、当該健全度に基づいて開業資金の融資額を算出(決定)するファイナンス機能を備えている。
開業後の売上予測に応じて、月次返済額、トータルな返済額を変動させ、苦しい場合は返済額を抑え、好調な場合は多く返済を行うレベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF:Revenue-Based Financing)機能を備えるようにしてもよい。
【0065】
また、開業支援サーバ1の運営会社は、開業時にお店を応援する個人から投資を募り、その投資金額に応じて店舗側に融資を実施し、当該融資への返済金を投資した個人に分配金として配当するソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)を行うようにしてもよい。
【0066】
[応用例7:サブスク機能]
開業支援サーバ1は、新規開業店舗向けサブスク(サブスクリプション)機能と既存店舗向けのサブスク機能をそなえている。
新規開業店舗向けサブスク機能は、新規店舗の内装(厨房機器、店舗家具、什器、食器等の備品・消耗品や造作物とその取付工事等)を一式、または個別にサブスクリプション契約(一定期間の継続利用可能とする契約)を開店予定者に提案するものである。
この新規開業店舗向けサブスク機能により、開業予定者は、資金的な余裕をもってスタートできるメリットがある。
【0067】
既存店舗向けのサブスク機能は、既存店舗の内装の所有権の全部又は一部を開業支援サーバ1の運営会社が買い取り、その後、店舗側に内装を利用させるサブスクリプション契約へ移行する契約を既存店舗の経営者に提案するものである。
この既存店舗向けのサブスク機能により、既存店舗の経営者は、多店舗展開に向けて資金的余裕を持つことができる。
尚、サブスク機能においては、AIによる売上予測を組み込んだ与信スコアモデリングによってサブスク契約の範囲、金額等に制限を設ける。
【0068】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、開業支援サーバ1が、ユーザ端末2から出店候補地の指定を受け付けると、ユーザ端末2に地図DB21から該当する地図データを表示させ、統計DB22から出店候補地のエリア分析の情報を提供すると共に、出店予定の店舗の収益シミュレーション結果に基づく情報を提供するものとしているので、ユーザはエリア分析の結果だけでなく、店舗運営に関する有用な情報を得ることができ、店舗開業の支援を十分に受けることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、出店候補地のエリア毎にエリア分析を行うと共に当該エリアにおける開業予定の店舗の収益シミュレーション結果に基づく有用な情報を提供できる店舗開業支援システム及びそのプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0070】
1…開業支援サーバ、 2…ユーザ端末、 3…ネットワーク、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部、 21…地図データベース(地図DB)、 22…統計データベース(統計DB)、 23…賃貸物件データベース(賃貸物件DB)
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