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特開2023-64730装飾品の制作方法、及び、装飾品制作用の作業台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064730
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】装飾品の制作方法、及び、装飾品制作用の作業台
(51)【国際特許分類】
   A44C 27/00 20060101AFI20230501BHJP
   A44C 7/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A44C27/00
A44C7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169735
(22)【出願日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2021174291
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521468729
【氏名又は名称】上原 真由子
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】上原 真由子
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114JB00
(57)【要約】
【課題】装飾品の制作において、複数のパーツの傾斜角度や位置を合わせが容易な、装飾品の制作方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】装飾品20の制作方法は、底部12の周囲に形成されて底部12から斜め上に延びる傾斜面11上において、底部12の周りに、装飾品20を構成する複数のパーツ21を並べる配置ステップと、配置ステップ後に、接着剤24等により、傾斜面11上に並べられた複数のパーツ21を一体化する接着ステップとを実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾品の制作方法であって、
複数の傾斜面が共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びるように形成された作業台の前記複数の傾斜面において、前記装飾品を構成する複数のパーツが前記共通部分で当接又は近接するように前記複数のパーツを並べる配置ステップと、
前記配置ステップ後に、前記複数の傾斜面に並べられた前記複数のパーツを一体化する接着ステップとを実行する、装飾品の制作方法。
【請求項2】
前記作業台は、
前記装飾品の一部を構成する複数の第1パーツを並べるための設置面として、第1共通部分から斜め上又は斜め下に延びる複数の第1傾斜面が設けられた第1エリアと、
前記装飾品の一部を構成する複数の第2パーツを並べるための設置面として、第2共通部分から斜め上又は斜め下に延びる複数の第2傾斜面が設けられた第2エリアとを備え、
前記第1エリアと前記第2エリアは、前記第1エリアの方が前記第2エリアよりも高くなるように段差を介して隣接しており、
前記配置ステップでは、前記第1傾斜面上の前記第1パーツと、前記第2傾斜面上の前記第2パーツとが、上下に部分的に重なるように並べられる、請求項1に記載の装飾品の制作方法。
【請求項3】
装飾品の制作方法であって、
底部又は頂部を傾斜面隣接部として、前記傾斜面隣接部の周囲に傾斜面が形成された作業台の前記傾斜面において、前記傾斜面隣接部の周りに、前記装飾品を構成する複数のパーツを並べる配置ステップと、
前記配置ステップ後に、前記傾斜面に並べられた前記複数のパーツを一体化する接着ステップとを実行する、装飾品の制作方法。
【請求項4】
装飾品制作用の作業台であって、
当該作業台には、前記装飾品を構成する複数のパーツを並べるための設置面として、共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の傾斜面が設けられている、装飾品制作用の作業台。
【請求項5】
当該作業台は、
前記装飾品の一部を構成する複数の第1パーツを並べるための設置面として、第1共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の第1傾斜面が設けられた第1エリアと、
前記装飾品の一部を構成する複数の第2パーツを並べるための設置面として、第2共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の第2傾斜面が設けられた第2エリアとを備え、
前記第1エリアと前記第2エリアは、前記第1エリアの方が前記第2エリアよりも高くなるように段差を介して隣接している、請求項4に記載の装飾品制作用の作業台。
【請求項6】
装飾品制作用の作業台であって、
当該作業台には、前記装飾品を構成する複数のパーツを並べるための設置面として、底部の周囲に形成されて斜め上に延びる傾斜面、又は、頂部の周囲に形成されて斜め下に延びる傾斜面が設けられている、装飾品制作用の作業台。
【請求項7】
前記傾斜面の表層の少なくとも一部は、シリコーン樹脂又は粘着剤により構成されている、請求項4乃至6の何れか1つに記載の装飾品制作用の作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパーツにより構成された装飾品の制作等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、花を模した装飾品として、アクセサリーが記載されている。このアクセサリーのアクセサリートップは、複数枚の花びらパーツ(花びら形状のパーツ)を台に木工用ボンドでバランスよく接着する工程などを経て、制作される。
【0003】
また、非特許文献1には、ワイヤーを用いて、花を模したピアス・イヤリングを制作する方法が開示されている。この方法では、ラジオペンチ等を用いて所定長のワイヤーを曲げ、花びら形状のワイヤー枠を設ける。そして、ワイヤー枠を塞ぐようにテープを貼り、ワイヤー枠内のテープにレジンを薄く塗って硬化させることで、花びらパーツが出来上がる。そして、花びらパーツを複数枚制作した後、マスキングテープ上で、複数枚の花びらパーツを周方向に並べてから、接着剤で互いに接着することで、花の形状に組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3232581号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“[UV レジン]桜のピアス・イヤリングの簡単な作り方/モールドを使わずワイヤーでつくる方法/Cherry Blossoms UV resin”,[令和3年10月10日検索],インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=gHtK6nfS3_E>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような装飾品は、花の中央部に対し、各花びらパーツが同じ側に傾斜している。従来、このような装飾品を制作する場合、各花びらパーツの傾斜角度を合わせることや、複数枚の花びらパーツを周方向にバランス良く配置することが容易ではなく、一定のスキルが必要であった。また、花を模した装飾品以外についても、複数のパーツの傾斜角度や位置を合わせることが容易ではなく、一定のスキルが必要であった。
【0007】
本発明は、装飾品の制作において、複数のパーツの傾斜角度や位置を合わせが容易な、装飾品の制作方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、装飾品の制作方法であって、複数の傾斜面が共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びるように形成された作業台の複数の傾斜面において、装飾品を構成する複数のパーツが共通部分で当接又は近接するように複数のパーツを並べる配置ステップと、配置ステップ後に、複数の傾斜面に並べられた複数のパーツを一体化する接着ステップとを実行する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、作業台は、装飾品の一部を構成する複数の第1パーツを並べるための設置面として、第1共通部分から斜め上又は斜め下に延びる複数の第1傾斜面が設けられた第1エリアと、装飾品の一部を構成する複数の第2パーツを並べるための設置面として、第2共通部分から斜め上又は斜め下に延びる複数の第2傾斜面が設けられた第2エリアとを備え、第1エリアと第2エリアは、第1エリアの方が第2エリアよりも高くなるように段差を介して隣接しており、配置ステップでは、第1傾斜面上の第1パーツと、第2傾斜面上の第2パーツとが、上下に部分的に重なるように並べられる。
【0010】
第3の発明は、装飾品の制作方法であって、底部又は頂部を傾斜面隣接部として、傾斜面隣接部の周囲に傾斜面が形成された作業台の傾斜面において、傾斜面隣接部の周りに、装飾品を構成する複数のパーツを並べる配置ステップと、配置ステップ後に、傾斜面に並べられた複数のパーツを一体化する接着ステップとを実行する。
【0011】
第4の発明は、装飾品制作用の作業台であって、当該作業台には、装飾品を構成する複数のパーツを並べるための設置面として、共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の傾斜面が設けられている。
【0012】
第5の発明は、第4の発明において、作業台は、装飾品の一部を構成する複数の第1パーツを並べるための設置面として、第1共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の第1傾斜面が設けられた第1エリアと、装飾品の一部を構成する複数の第2パーツを並べるための設置面として、第2共通部分から、互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の第2傾斜面が設けられた第2エリアとを備え、第1エリアと第2エリアは、第1エリアの方が第2エリアよりも高くなるように段差を介して隣接している。
【0013】
第6の発明は、装飾品制作用の作業台であって、当該作業台には、装飾品を構成する複数のパーツを並べるための設置面として、底部の周囲に形成されて斜め上に延びる傾斜面、又は、頂部の周囲に形成されて斜め下に延びる傾斜面が設けられている。
【0014】
第7の発明は、第4乃至第6の何れか1つの発明において、傾斜面の表層の少なくとも一部は、シリコーン樹脂又は粘着剤により構成されている。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、装飾品の制作方法において、共通部分から互いに異なる方向に斜め上又は斜め下に延びる複数の傾斜面に、装飾品を構成する複数のパーツを並べる。また、第3の発明では、装飾品の制作方法において、底部又は頂部の周囲に形成された傾斜面に、装飾品を構成する複数のパーツを並べる。何れの発明でも、各パーツの傾斜角度は、傾斜面により自ずと調整される。そのため、各パーツの傾斜角度を合わせることが容易である。また、各パーツの傾斜角度を合わせることを気にせずに、複数のパーツの平面配置を調節することができるため、複数のパーツをバランス良く配置することも容易である。本発明によれば、装飾品の制作において、複数のパーツの傾斜角度や位置を合わせが容易な、装飾品の制作方法を提供することができる。
【0016】
第4の発明に係る作業台は、第1の発明に係る装飾品の制作方法を実施する際に使用される。また第6の発明に係る作業台は、第3の発明に係る装飾品の制作方法を実施する際に使用される。従って、何れの発明によっても、装飾品の制作において、複数のパーツの傾斜角度や位置を合わせが容易な、装飾品制作用の作業台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)は、第1実施形態に係る装飾品制作用の作業台にて制作される装飾品の斜視図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る装飾品制作用の作業台の斜視図である。
図2図2(a)は、第1実施形態に係る装飾品制作用の作業台の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る装飾品の制作方法を説明するための図であり、図3(a)は、配置ステップにおいて装飾品制作用の作業台の傾斜面に花びらパーツを一枚設置した状態を表し、図3(b)は、配置ステップ終了時の状態(全ての花びらパーツを設置した状態)を表し、図3(c)は、接着ステップにて接着剤を供給する範囲を模式的に表し、図3(d)は、接着剤により一体化された4枚の花びらパーツ(第1組立体)をピンセットで持ち上げた状態を表し、図3(e)は、それぞれ制作された第1組立体及び第2組立体を表し、図3(f)は、第1組立体及び第2組立体などの組立てにより完成した装飾品を表す。
図4図4は、第1実施形態の変形例に係る装飾品制作用の作業台の斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の変形例に係る装飾品の制作方法を説明するための図であり、図5(a)は、配置ステップ終了時の状態を表し、図5(b)は、接着ステップにて接着剤を供給する範囲を模式的に表す。
図6図6(a)は、第1実施形態のその他の変形例について、底部が下方に尖っている装飾品制作用の作業台の上面図であり、図6(b)は、図6(a)のB-B断面図である。
図7図7(a)は、第1実施形態のその他の変形例について、上面の凹部の空間形状が角錐台である装飾品制作用の作業台の上面図であり、図7(b)は、図7(a)のC-C断面図である。
図8図8(a)は、第2実施形態に係る装飾品制作用の作業台にて制作される装飾品の上面図であり、図8(b)は、第2実施形態に係る装飾品制作用の作業台の斜視図である。
図9図9は、第2実施形態に係る装飾品の制作方法を説明するための図であり、図9(a)は、第1配置ステップにおいて装飾品制作用の作業台の傾斜面に後翅パーツを一枚設置した状態を表し、図9(b)は、第1接着ステップにて接着剤を供給する範囲を模式的に表し、図9(c)は、第2配置ステップにおいて装飾品制作用の作業台の傾斜面に前翅パーツを一枚設置した状態を表し、図9(d)は、第2接着ステップにて接着剤を供給する範囲を模式的に表す。
図10図10(a)は、第2実施形態の変形例に係る装飾品制作用の作業台にて制作される装飾品の上面図であり、図10(b)は、第2実施形態の変形例に係る装飾品制作用の作業台の斜視図であり、図10(c)は、第2実施形態に係る装飾品の制作過程において4枚の翅パーツの配置が終了した状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
<第1実施形態>
[装飾品制作用の作業台の構成]
装飾品制作用の作業台(以下「作業台」と言う。)10は、例えばハンドメイドで、装飾品(例えば、図1(a)に示す、花を模した装飾品20)を制作する際に用いられる。作業台10は、図1(b)に示すように円柱状に形成され、その上面に、傾斜面11により凹部が形成されている。作業台10は、例えば、直径に比べて高さが小さく形成されている。なお、作業台10で制作可能な装飾品は、例えば、ピアス、イヤリング、ブローチなどのアクセサリー(装身具)、室内などの装飾に用いる物品などであるが、この点は、第2実施形態や変形例でも同様である。
【0020】
ここで、作業台10の寸法例について、作業台10の直径は、制作する装飾品20の大きさに応じて任意に決めることができるが、ピアス、イヤリングなどの小型のアクセサリー(装身具)の制作用の場合は、5cm以上20cm以下(例えば、7cm以上10cm以下)にすることができる。但し、作業台10の直径は、この数値範囲に限定されない。例えば、室内の装飾用又は髪飾り用のアクセサリーとして比較的大きな装飾品20を制作する場合、作業台10の直径は、上記数値範囲の上限値よりも大きくてもよく、例えば25cm以上としてもよい。
【0021】
作業台10では、図2(a)及び図2(b)に示すように、上面視で円形の底部(底面)12の周囲に、底部12の外周から外側に向かって上側に広がる傾斜面11(底部12の周囲に形成されて斜め上に延びる傾斜面11)が形成されている。傾斜面11は、底部12と同軸で、上側に向かって広がる円錐面である。傾斜面11の傾斜角θは、装飾品20の形状に応じて決めることができ、10度以上50度以下(例えば、30度以上45度以下)にすることができる。なお、断面視で傾斜面11は、直線であるが、上に凸又は下に凸の緩やかな曲線であってもよい。
【0022】
底部12は、上面視で作業台10の中心部に位置している。底部12は、例えば、平坦面とすることができる。底部12の直径は、比較的小さく、2cm以下(例えば、1.5cm以下)とすることができる。
【0023】
ここで、傾斜面11上には、装飾品20の制作時に、装飾品20を構成するパーツ21(例えば、花びらパーツのように板状のパーツ)が載置される。本実施形態では、傾斜面11上でパーツ21が滑り落ちにくく、パーツ21の位置が安定するように、傾斜面11の表層の少なくとも一部が、シリコーン樹脂により構成されている。具体的に、作業台10の材料にシリコーン樹脂を用いている。なお、作業台10の材料は、シリコーン樹脂以外であってもよい。また、傾斜面11の表層だけシリコーン樹脂を用いてもよい。また、樹脂製又は金属製の傾斜面11上に、両面の粘着テープを貼り付けたり、粘着剤を塗布したりすることにより、傾斜面11の表層の少なくとも一部を粘着剤(粘着層)により構成してもよい。本段落に記載の内容は、後述する作業台40,50にも適用することができる。
【0024】
[装飾品の制作方法]
次に、図面を参照しながら、装飾品の制作方法について説明を行う。以下では、図1(a)に示す装飾品20の制作方法を例にして説明を行う。
【0025】
まず、装飾品20のパーツとしての花びらパーツ21を制作するパーツ制作ステップが行われる(図示省略)。パーツ制作ステップでは、ラジオペンチ等を用いて所定長のワイヤーを曲げ、花びら形状のワイヤー枠21aを設ける。そして、剥離性のよい設置面(例えばシリコーン樹脂の設置面)上にワイヤー枠21を載置し、ワイヤー枠21aを塞ぎ、ワイヤー枠21a内の全面に亘ってレジンを薄く塗って硬化させることで、ワイヤー枠21aの内側にレジン21bが硬化した花びらパーツ21が出来上がる。パーツ制作ステップでは、複数枚の花びらパーツ21が制作される。なお、ワイヤー枠21aは、ワイヤーを曲げて制作するのではなく、既製品を用いてもよい。また、ワイヤー枠21aにテープなどを貼り付けてワイヤー枠21aをテープで塞ぎ、ワイヤー枠21a内のテープにレジンを薄く塗ってもよい。
【0026】
次に、作業台10の傾斜面11上に複数枚の花びらパーツ21を載せて並べる配置ステップが行われる。配置ステップでは、ピンセット25などで花びらパーツ21を持ち上げて、図3(a)及び図3(b)に示すように、底部12の周りに、複数枚の花びらパーツ21を並べる。本実施形態では、底部12で各花びらパーツ21の内側部分が互いに隣り合うように(互いに当接又は近接するように)、複数枚の花びらパーツ21を並べる。各花びらパーツ21は、傾斜面11により、外側に向かって上側に傾斜した状態で並べられる。
【0027】
次に、複数枚の花びらパーツ21を一体化する接着ステップが行われる。接着ステップでは、図3(c)に示すように、傾斜面11上に並べられた複数枚の花びらパーツ21において、花びらパーツ21が隣り合う箇所などに、筆などで接着剤を塗布することにより、接着剤24が付与される。そして、互いに隣り合う花びらパーツ21間の隙間で接着剤24が硬化することで、複数枚の花びらパーツ21が一体化された第1組立体31(図3(d)、(e)参照)が出来上がる。なお、接着剤24の付与は、塗布以外の方法であってもよい。
【0028】
また、パーツ制作ステップ、配置ステップ、及び、接着ステップを別途に行うことにより、第2組立体32(図3(e)参照)を制作する。第2組立体32は、各花びらパーツ26が第1組立体31の花びらパーツ21よりも大きくなるように制作する。
【0029】
次に、図3(f)に示すように、第2組立体32に対し、互いの花びらパーツ21,26の向きが45°ずれるように第1組立体31を重ねて、接着剤により第1組立体31と第2組立体32とを一体化すると共に、第1組立体31の中央部の上側に小型の飾り33を接着して、装飾品20は完成する。なお、制作する装飾品20は、2つの組立体31,32から構成せずに、1つの組立体又は3つ以上の組立体から構成してもよい。
【0030】
[第1実施形態の効果等]
本実施形態では、配置ステップにおいて、各花びらパーツ21,26の傾斜角度が、傾斜面11により自ずと調整されるため、各花びらパーツ21,26の傾斜角度を合わせることは容易である。また、各花びらパーツ21,26の傾斜角度を合わせることを気にせずに、複数枚の花びらパーツ21,26の平面配置を調節することができるため、複数枚の花びらパーツ21,26を周方向にバランス良く配置することも容易である。本実施形態によれば、複数枚の花びらパーツ21,26が周方向に並び、且つ、各花びらパーツ21,26が同じ側に傾斜した装飾品20を容易に制作することができる。
【0031】
[第1実施形態の変形例]
本変形例では、作業台40が、パーツ21,26が裏向きに並べられるように構成されている。具体的に、作業台40は、図4に示すように、頂部42の周囲に頂部42から外側に向かって下側に広がる傾斜面41(頂部42の周囲に形成されて斜め下に延びる傾斜面41)を有する。本変形例では、作業台40が円錐台状に形成されている。頂部42は、上面視で作業台40の中心部に位置している。頂部42は、例えば、平坦面とすることができる。頂部42の直径は、比較的小さく、2cm以下(例えば、1.5cm以下)とすることができる。また、傾斜面41の傾斜角θは、装飾品20の形状に応じて決めることができ、10度以上50度以下(例えば、30度以上45度以下)にすることができる。
【0032】
次に、本変形例に係る作業台40を使用した装飾品20の制作方法について説明を行う。
【0033】
本変形例では、第1実施形態と同様のパーツ制作ステップが行われた後に、配置ステップが行われる。配置ステップでは、図5(a)に示すように、頂部42の周りに、複数枚の花びらパーツ21を並べる。本変形例では、頂部42で各花びらパーツ21の内側部分が互いに隣り合うように(互いに当接又は近接するように)、複数枚の花びらパーツ21を並べる。各花びらパーツ21は、傾斜面41により、外側に向かって下側に傾斜した状態で並べられる。また、各花びらパーツ21は、裏向きに並べられる。そして、接着ステップでは、図5(b)に示すように、裏向きに並べられた複数枚の花びらパーツ21において、花びらパーツ21が隣り合う箇所などに、接着剤24が付与される。そして、互いに隣り合う花びらパーツ21間の隙間で接着剤24が硬化することで、複数枚の花びらパーツ21が一体化される。
【0034】
なお、パーツ制作ステップと配置ステップと接着ステップとにより、第2組立体32を制作すること、及び、第1組立体31と第2組立体32との接着等により装飾品20の組み立てを行うことは、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0035】
本変形例では、第1実施形態と同様に、各花びらパーツ21,26の傾斜角度が傾斜面41により自ずと調整されるため、各花びらパーツ21,26の傾斜角度を合わせることが容易である。また、各花びらパーツ21,26の傾斜角度を合わせることを気にせずに、複数枚の花びらパーツ21,26の平面配置を調節することができる。本変形例によれば、複数枚の花びらパーツ21,26が周方向に並び、且つ、各花びらパーツ21,26が同じ側に傾斜した装飾品20を容易に制作することができる。
【0036】
[第1実施形態のその他の変形例]
上述の第1実施形態について、図6(a)及び図6(b)に示すように、傾斜面11の内側に底面を設けずに、底部12が下方に尖った部分としてもよい。この場合、作業台10の上面の凹部の空間形状は円錐形である。
【0037】
上述の第1実施形態の第1変形例について、傾斜面11の内側に頂面を設けずに、頂部42が上方に尖った部分としてもよい(図示省略)。この場合、作業台40の形状は円錐形である。
【0038】
上述の第1実施形態について、図7(a)及び図7(b)に示すように、作業台10の上面の凹部の空間形状は、角錐台であってもよい。この場合、作業台10には、複数のパーツ21,26を並べるための設置面として、共通部分(底部)12から、互いに異なる方向に斜め上に延びる複数の傾斜面11(例えば4つの傾斜面11)が設けられている。そして、この場合に、各傾斜面11に、パーツ21,26を配置する際の目印(例えば線状の目印)11aを設けてもよい。目印11aは他の実施形態や変形例でも採用することができる。また、作業台10の上面の凹部の空間形状は、角錐であってもよい。すなわち、底部12が、下方に尖った部分であってもよい。また、上述の凹部の空間形状における角錐台の頂面及び底面や、角錐の底面は、例えば正多角形とすることができる。例えば、5枚の花びらパーツ21,26を有する装飾品20を制作するための作業台の場合、上述の角錐台の頂面及び底面を五角形とし、5つの傾斜面11が設けられる。
【0039】
上述の第1実施形態の第1変形例について、花びらパーツ21,26を裏向きに設置する作業台40として、共通部分(頂部)42から、互いに異なる方向に斜め下に延びる複数の傾斜面41(例えば4つの傾斜面41)を設けてもよい。すなわち、作業台40の形状は、角錐台又は角錐であってもよい。角錐台の頂面及び底面や、角錐の底面は、例えば正多角形とすることができる。
【0040】
<第2実施形態>
[装飾品制作用の作業台の構成]
装飾品制作用の作業台(以下「作業台」と言う。)50は、第1実施形態と同様に、例えばハンドメイドで、装飾品(例えば、図8(a)に示す、蝶を模した装飾品60)を制作する際に用いられる。作業台50は、図8(b)に示すように、第1エリア51と、第1エリア51に対し段差53を介して隣り合う第2エリア52とを備えている。各エリア51,52は、V字谷状に形成されている。
【0041】
第1エリア51には、装飾品20を構成する2枚の第1パーツ(板状のパーツ)61aを並べて一体化するための設置面として、第1底部(第1共通部分)55から、互いに反対方向(互いに異なる方向)に斜め上に延びる2つの第1傾斜面56が設けられている。第1エリア51は、段差53の分だけ第2エリア52よりも高くなっており、2枚の前翅パーツ(第1パーツ)61aが設置されて一体化される。
【0042】
第2エリア52には、装飾品20を構成する2枚の第2パーツ(板状のパーツ)61bを並べて一体化するための設置面として、第2底部(第2共通部分)57から、互いに反対方向(互いに異なる方向)に斜め上に延びる2つの第2傾斜面58が設けられている。第2エリア52は、2枚の後翅パーツ(第2パーツ)61bが設置されて一体化される。なお、段差53の高さは、後翅パーツ61bの厚み程度である。
【0043】
第1底部55及び第2底部57は、各エリア51,52における幅方向の中心部に位置しており、上面視で直線状を呈する。各エリア51,52では、2つの傾斜面56,58の交線が、底部55,57となっている。第1底部55と第2底部57とは、上面視で一直線となっている。断面視において2つの傾斜面56,58がなす角度(V字の角度)は、例えば150度以上にすることができる。なお、上面視で底部55,57は、直線であるが、曲線であってもよいし、一定の面積を有する領域(例えば矩形の領域)であってもよい。また、断面視で傾斜面56,58は、直線であるが、上に凸又は下に凸の緩やかな曲線であってもよい。
【0044】
[装飾品の制作方法]
次に、図面を参照しながら、図8(a)に示す装飾品50の制作方法について説明を行う。
【0045】
まず、装飾品50のパーツとしての翅パーツ61a,61bを制作するパーツ制作ステップが行われる(図示省略)。パーツ制作ステップでは、ラジオペンチ等を用いて所定長のワイヤーを曲げ、翅形状のワイヤー枠を設ける。そして、剥離性のよい面(設置面、テープなど)でワイヤー枠を塞ぎ、ワイヤー枠内の全面に亘ってレジンを薄く塗って硬化させることで、ワイヤー枠の内側にレジンが硬化した翅パーツ61a,61bが出来上がる。
【0046】
次に、第2エリア52における一対の第2傾斜面58に一対の後翅パーツ61bを載せて並べる第1配置ステップが行われる。第1配置ステップでは、図9(a)及び図9(b)に示すように、第2底部57に対して対称に、一対の後翅パーツ61bを並べる。本実施形態では、第2底部57で一対の後翅パーツ61bの内側部分が互いに隣り合うように(互いに当接又は近接するように)、一対の後翅パーツ61bを並べる。各後翅パーツ61bは、前端が段差53に当接又は近接するように配置する。
【0047】
次に、一対の後翅パーツ61bを一体化する第1接着ステップが行われる。第1接着ステップでは、図9(b)に示すように、一対の第2傾斜面58に並べられた一対の後翅パーツ61bにおいて、後翅パーツ61bが隣り合う箇所などに、筆などで接着剤を塗布することにより、接着剤24が付与される。そして、互いに隣り合う後翅パーツ61b間の隙間で接着剤24が硬化することで、一対の後翅パーツ61bが一体化される。
【0048】
次に、第1エリア51における一対の第1傾斜面56に一対の前翅パーツ61aを載せて並べる第2配置ステップが行われる。第2配置ステップでは、図9(c)及び図9(d)に示すように、第1底部55に対して対称に、一対の前翅パーツ61aを並べる。本実施形態では、第1底部55で一対の前翅パーツ61aの内側部分が互いに隣り合うように(互いに当接又は近接するように)、一対の前翅パーツ61aを並べる。また、前翅パーツ61aの後端が、後翅パーツ61bの前端に対し上側に重なるように各前翅パーツ61aを並べる。
【0049】
次に、一対の前翅パーツ61aを一体化する第2接着ステップが行われる。第2接着ステップでは、図9(d)に示すように、一対の第1傾斜面56に並べられた一対の前翅パーツ61aにおいて、前翅パーツ61aが隣り合う箇所、及び、前翅パーツ61aと後翅パーツ61bが隣り合う箇所などに、筆などで接着剤を塗布することにより、接着剤24が付与される。そして、一対の前翅パーツ61aの隙間、及び、前翅パーツ61aと後翅パーツ61bの隙間でそれぞれ接着剤24が硬化することで、一対の前翅パーツ61aが一体化され、且つ、前翅パーツ61aと後翅パーツ61bとが一体化された装飾品50が出来上がる。
【0050】
なお、本実施形態では、第1接着ステップと第2接着ステップとを別々に実施しているが、全ての翅パーツ61a,61bの配置が完了した後に、まとめて1回で接着ステップを実施してもよい。また、一対の後翅パーツ61bよりも一対の前翅パーツ61aを先に一体化してもよい。この場合、例えば、一対の後翅パーツ61bを一体化した後に、一対の後翅パーツ61bの前端に対し、先に一体化した一対の前翅パーツ61aの後端を重ねて、図9(d)の配置状態にすることができる。この場合も、配置ステップにおいて、第1傾斜面56上の第1パーツ61aと、第2傾斜面58上の第2パーツ61bとが、上下に部分的に重なるように並べられる。
【0051】
[第2実施形態の効果等]
本実施形態では、各配置ステップにおいて、各翅パーツ61a,61bの傾斜角度が、傾斜面56,58により自ずと調整されるため、各翅パーツ61a,61bの傾斜角度を合わせることは容易である。また、各翅パーツ61a,61bの傾斜角度を合わせることを気にせずに、4枚の翅パーツ61a,61bの平面配置を調節することができるため、4枚の翅パーツ61a,61bをバランス良く配置することも容易である。本実施形態によれば、蝶を模した装飾品60を容易に制作することができる。
【0052】
[第2実施形態の変形例]
本変形例では、蝶を模した装飾品60が、図10(a)に示すように、前翅パーツ61aと後翅パーツ61bが重なっていない。作業台50には、図10(b)及び図10(c)に示すように、装飾品20を構成する4枚の翅パーツ61a,61bを並べて一体化するための設置面として、共通底部55から、互いに反対方向に斜め上に延びる2つの傾斜面56が設けられている。各傾斜面56では、前翅パーツ61aと後翅パーツ61bの2枚が前後に並べられる。なお、図10(b)に示す作業台50では、2つの傾斜面56により構成された谷状部の一端と他端を塞ぐにように壁部57が設けられているが、壁部57は省略してもよい。また、壁部57は、図8(b)に示す作業台50でも採用してもよい。
【0053】
[第2実施形態のその他の変形例]
上述の第2実施形態について、作業台50は、第1実施形態と同様に、パーツ61a,61bが裏向きに並べられるように構成してもよい。この場合、作業台50の各エリア51,52には、共通頂部から、互いに反対方向に斜め下に延びる2つの傾斜面が設けられる。また、上述の第2実施形態の変形例についても、作業台50は、パーツ61a,61bが裏向きに並べられるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、複数のパーツにより構成された装飾品の制作等に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 装飾品制作用の作業台
11 傾斜面
12 底部
20 装飾品
21 花びらパーツ(パーツ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10