(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064775
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】マグネットカップリング式駆動装置並びにこれを用いた送風装置及びミスト発生装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/14 20060101AFI20230502BHJP
F24F 6/18 20060101ALI20230502BHJP
F04D 29/053 20060101ALI20230502BHJP
F04D 29/051 20060101ALI20230502BHJP
H02K 7/00 20060101ALI20230502BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H02K7/14 A
F24F6/18
F04D29/053 A
F04D29/051
H02K7/00 A
H02K7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175100
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】小川 洸太
(72)【発明者】
【氏名】笹川 亜也果
(72)【発明者】
【氏名】時田 義司
【テーマコード(参考)】
3H130
3L055
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC11
3H130BA13G
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DE03X
3H130EC08G
3L055BB03
3L055DA03
5H607AA04
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC03
5H607CC05
5H607CC09
5H607DD07
5H607DD19
5H607EE26
5H607FF04
(57)【要約】
【課題】 モーターの振動や騒音を低減するマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置を提供する。
【解決手段】 モーター支持金具35にモーター軸32の軸方向に対して可撓性を持つ可撓部を備えることにより、モーター側磁石34にマグネットカップリングの吸引力が発生してもモーター31自身が軸方向へ移動することができるため、モーター31の軸受けにスラスト荷重がかかりにくくなることで、振動や騒音を低減することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、
当該モーターを支持するモーター支持金具と、
前記モーターの出力軸であるモーター軸と、
当該モーター軸の一端に連結し、前記モーターによって回転駆動されるモーター側磁石と、
当該モーター側磁石と隔壁を介して対向して配置され、前記モーター側磁石とマグネットカップリングすることによって前記モーター側磁石の回転に伴って回転する回転体側磁石と、
当該回転体側磁石の回転によって回転駆動する回転体と、を備え、
前記モーター支持金具は前記モーター軸の軸方向に対して可撓性を持つ可撓部を有していることを特徴とするマグネットカップリング式駆動装置。
【請求項2】
前記モーター支持金具は、前記モーターの両端を挟む一対の平板より構成された前記可撓部を有していることを特徴とする請求項1に記載のマグネットカップリング式駆動装置。
【請求項3】
前記モーター側磁石の回転中心にモーター側突起を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネットカップリング式駆動装置。
【請求項4】
前記回転体側磁石の回転中心に回転体側突起を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマグネットカップリング式駆動装置。
【請求項5】
前記回転体を回転可能な状態で支持する支持ロッドを備え、当該支持ロッドは可撓性を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマグネットカップリング式駆動装置。
【請求項6】
前記隔壁を側面に形成し、前記回転体及び前記回転体側磁石を内部に設置し、空気の吸込口と吹出口を備えた送風ユニットケースと、
前記回転体と一体に形成されており、前記吸込口から吸込んだ空気を送風して前記吹出口から送出する遠心式の送風ファンと、
を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマグネットカップリング式駆動装置を用いた送風装置。
【請求項7】
前記隔壁を側面に形成し、前記回転体及び前記回転体側磁石を内部に設置し、空気の吸込口と吹出口を備えた送風ユニットケースと、
当該送風ユニットケース内に所定の水位を維持する貯水部と、
前記回転体と一体に形成されており、前記吸込口から吸込んだ空気を送風して前記吹出口から送出する遠心式の送風ファンと、を備え、
前記回転体は、外周の一部を前記貯水部内の水面に接触しながら回転し、外周先端に多数の羽根を備え、当該羽根で水を跳ね上げることでミストを含んだ加湿空気を発生させ、
前記送風ファンは、前記回転体によって発生した前記加湿空気を前記吹出口から送出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動側であるモーターの動力を、マグネットカップリングにより非接触で被駆動側の回転体へ伝えるマグネットカップリング式の駆動装置、並びに当該駆動装置を用いて送風ファンを回転し空気を送風する送風装置、及び当該駆動装置を用いて回転体を回転しナノミストとマイナスイオンを室内に放出して室内の加湿や空気清浄を行うミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、空気の吸込口と吹出口を備えた送風ユニットケースと、当該送風ユニットケース内に水を貯める貯水部(貯水室)と、外周に多数の羽根を有した円板(回転体)と、吸込口から吸い込んだ空気を吹出口へ送出する送風ファンと、円板と送風ファンを回転するモーターを備え、円板(回転体)の羽根で貯水部内の水を掻き上げることでミストを発生し、発生したミストを含んだ空気を吹出口から送風するミスト発生装置があった。(例えば、特許文献1)
【0003】
また、この従来のミスト発生装置ではモーターの回転軸は円板を直接軸支している一方で、この従来の特許文献1に記述はないが回転駆動機構をマグネットカップリングで構成することも可能である。その場合、
図7のような構成となり、モーター131と回転体106は分離して配置可能なため、貯水室105内の水がモーター軸132へ侵入し、モーター131が故障するのを未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来の技術では、マグネットカップリングするモーター側磁石134と回転体側磁石114には互いに吸引力が働くため、モーター軸132にスラスト荷重がかかってしまい、振動や騒音が発生する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1のマグネットカップリング式駆動装置では、モーターと、当該モーターを支持するモーター支持金具と、前記モーターの出力軸であるモーター軸と、当該モーター軸の一端に連結し、前記モーターによって回転駆動されるモーター側磁石と、当該モーター側磁石と隔壁を介して対向して配置され、前記モーター側磁石とマグネットカップリングすることによって前記モーター側磁石の回転に伴って回転する回転体側磁石と、当該回転体側磁石の回転によって回転駆動する回転体と、を備え、前記モーター支持金具は前記モーター軸の軸方向に対して可撓性を持つ可撓部を有していることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2のマグネットカップリング式駆動装置では、前記モーター支持金具は、前記モーターの両端を挟む一対の平板より構成された前記可撓部を有していることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3のマグネットカップリング式駆動装置では、前記モーター側磁石の回転中心にモーター側突起を設けたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項4のマグネットカップリング式駆動装置では、前記回転体側磁石の回転中心に回転体側突起を設けたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項5のマグネットカップリング式駆動装置では、前記回転体を回転可能な状態で支持する支持ロッドを備え、当該支持ロッドは可撓性を有していることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6のマグネットカップリング式駆動装置を用いた送風装置では、前記隔壁を側面に形成し、前記回転体及び前記回転体側磁石を内部に設置し、空気の吸込口と吹出口を備えた送風ユニットケースと、前記回転体と一体に形成されており、前記吸込口から吸込んだ空気を送風して前記吹出口から送出する遠心式の送風ファンと、を備えたことを特徴としている。
【0012】
また、請求項7のマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置では、前記隔壁を側面に形成し、前記回転体及び前記回転体側磁石を内部に設置し、空気の吸込口と吹出口を備えた送風ユニットケースと、当該送風ユニットケース内に所定の水位を維持する貯水部と、前記回転体と一体に形成されており、前記吸込口から吸込んだ空気を送風して前記吹出口から送出する遠心式の送風ファンと、を備え、前記回転体は、外周の一部を前記貯水部内の水面に接触しながら回転し、外周先端に多数の羽根を備え、当該羽根で水を跳ね上げることでミストを含んだ加湿空気を発生させ、前記送風ファンは、前記回転体によって発生した前記加湿空気を前記吹出口から送出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、モーター支持金具はモーター軸の軸方向に対して可撓性を持つ可撓部を有しているので、モーター側磁石にマグネットカップリングの吸引力が発生してもモーター自身が軸方向へ移動することができるため、モーターの軸受けにスラスト荷重がかかりにくくなることで、振動や騒音を低減することができる。
【0014】
また、モーター支持金具は、モーターの両端を挟む一対の平板より構成された可撓部を有しているので、安価な部材で可撓性を持つモーター支持金具を構成することができる。
【0015】
また、マグネットカップリング式駆動装置において、モーター側磁石の回転中心にモーター側突起を設けたので、モーター側磁石がマグネットカップリングの吸引力により隔壁と接触しながら回転する際に、モーター側突起で点接触しながら回転することで、摩擦力を低減することができると共に、摺動音を低減することができる。
【0016】
また、マグネットカップリング式駆動装置において、回転体側磁石の回転中心に回転体側突起を設けたので、回転体側磁石がマグネットカップリングの吸引力により隔壁と接触しながら回転する際に、回転体側突起で点接触しながら回転することで、摩擦力を低減することができると共に、摺動音を低減することができる。
【0017】
また、マグネットカップリング式駆動装置において、回転体を回転可能な状態で支持する支持ロッドを備え、支持ロッドは可撓性を有しているので、マグネットカップリングの吸引力でモーターが軸方向へ移動した際に、モーター軸が鉛直方向へ移動即ち支持ロッドと回転中心がずれる方向へ移動しても、支持ロッドが撓むことでモーター軸と支持ロッドの回転中心がずれることを防ぐため、軸の振動や騒音を低減することができる。
【0018】
また、マグネットカップリング式駆動装置において、隔壁を側面に形成し、回転体及び回転体側磁石を内部に設置し、空気の吸込口と吹出口を備えた送風ユニットケースと、回転体と一体に形成されており、吸込口から吸込んだ空気を送風して吹出口から送出する遠心式の送風ファンとを備えたので、モーターへのスラスト荷重を低減しつつ、振動や騒音を低減する送風装置を提供することができる。
【0019】
また、マグネットカップリング式駆動装置において、送風ユニットケースと、送風ユニットケース内に所定の水位を維持する貯水部と、遠心式の送風ファンとを備え、回転体は外周先端に多数の羽根を備え、羽根で水を跳ね上げることでミストを含んだ加湿空気を発生させ、送風ファンは発生した加湿空気を吹出口から送出するので、モーターへのスラスト荷重を低減しつつ、振動や騒音を低減するミスト発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の一実施形態におけるマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置の斜視図
【
図2】同実施形態における回転軸を通るマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置の左側面の断面図
【
図3】同実施形態における送風ユニットケース内部の断面を表した正面図
【
図4】同実施形態におけるモーター支持金具が撓んだ状態を示す断面図
【
図5】他の実施形態における回転体と支持ロッドの断面図
【
図6】隔壁を介して配置されたモーター軸と支持ロッドの断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の一実施形態におけるマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置を図に基づいて説明する。
【0022】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、
図1~
図7における定義に従う。また、上下方向は、マグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置1の設置時における鉛直方向に対応する。前後方向及び左右方向は、マグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置1の設置時における水平方向に対応する。
【0023】
図1~
図3を参照する。1はマグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置で、家庭用のエアコンや暖房機に組み込んだり、単独で使用される。2は送風ユニットケースで、底面と背面と左右側面と前面とを一体に形成しており、上部に空気の吸込口3と、ミストを含んだ加湿空気を吹き出す吹出口4と、を有する。
【0024】
送風ユニットケース2内には、所定の水位を維持する貯水部5と、外周の一部を貯水部5内の水面に接触しながら回転する回転体6と、吸込んだ空気を吹出口4へ送風する送風ファン7と、回転体6の外周を囲うように設置されている回転体ケーシング8と、送風ファン7の外周を囲うように設置され、吹出口4につながる渦巻き状の風路を形成しているファンケーシング9と、ファンケーシング9の渦巻き状風路の出口から吹出口4までの風路を形成する吹出口ケーシング10と、が配置されている。また、正面視したファンケーシング9の略中央には、円形に開口し吸込口3を通過した空気を送風ファン7へ案内する吸込孔12を有している。
【0025】
回転体6は、送風ファン7の後方に位置し、外周の先端に多数の羽根11を備えている。回転体6が回転すると、羽根11が貯水部5内の水面に接触し、水を掻き上げて周囲に飛散させることや、掻き上げた水が回転体ケーシング8に衝突することでミストを発生させる。羽根11は回転体6の回転方向と垂直に形成されている。
【0026】
送風ファン7はシロッコファン等による遠心式のファンで、ファンケーシング9に形成された吸込孔12から空気を吸い込み、送風ファン7の外周より遠心状に送風する。送風された空気は、回転体6で発生したミストを含んだ加湿空気となり、ファンケーシング9内の渦巻き状の風路を
図3に図示した回転方向に沿って流通し、吹出口ケーシング10内を流通した後、吹出口4より外部へ送出される。
【0027】
13は回転体6及び送風ファン7が回転する際の回転中心となり、回転体6及び送風ファン7を支持する支持ロッドである。
【0028】
30はモーター31を収納する箱状のモーターケースである。当該モーターケース30内には、モーター31の出力軸であり、一端側がモーター31に軸支されたモーター軸32と、当該モーター軸32の他端側に設置された磁石支持体33と、当該磁石支持体33により支持固定されたモーター側磁石34と、モーター31をモーター軸32の軸方向に対して前後方向となる両端から固定して支えるモーター支持金具35と、が配置されている。
【0029】
モーター支持金具35は、モーターケース30に固定されており、モーター31の軸方向に対して可撓性を持つ可撓部を有している。そのため、モーター31に軸方向へ移動する力が働いた場合は、モーター支持金具35の可撓部が撓むことでこの力を吸収することができる。
【0030】
14はモーター側磁石34と隔壁2a及び30aを介し対向して配置されている回転体側磁石である。当該回転体側磁石14は回転体6により支持固定されている。隔壁2aは送風ユニットケース2の後方側面となっており、隔壁30aはモーターケース30の前方側面となっている。なお、モーター側磁石34、及び回転体側磁石14は円形かつ平板状で構成されている。
【0031】
ここで、モーター側磁石34の磁力を回転体側磁石14が受けることで、回転体6が回転駆動を可能とするマグネットカップリングが構成される。つまり、マグネットカップリング式駆動装置は、図示しない操作部により運転開始指示が出されると、モーター31が所定の回転数で駆動し、モーター軸32を介してモーター側磁石34が回転すると、マグネットカップリングにより回転体側磁石14が回転することにより、回転体6がモーター31と同一かつ所定の回転数で回転する構成となる。マグネットカップリング式駆動装置を構成する上で、隔壁2a及び30aはどちらか一つがあれば良いし、送風ユニットケース2やモーターケース30の一部で構成されていなくても良い。また、モーター軸32とモーター側磁石34が一体となるように構成されていれば、磁石支持体33は構成されていなくても良い。
【0032】
回転体ケーシング8とファンケーシング9は異なる外径を有しており、接続板15で一体に形成されている。また、吹出口ケーシング10も回転体ケーシング8及びファンケーシング9と一体に形成されている。
【0033】
回転体ケーシング8の下部には、貯水部5の水を回転体ケーシング8内へ導入する水導入穴16が設けられている。またファンケーシング9の下部には、ファンケーシング内に入った水を貯水部5へ排出するための水抜き穴17が設けられている。
【0034】
貯水部5側面には給水口18を有し、給水管19が接続される。給水管19の先にはカートリッジタンク等による給水手段(図示せず)が備えられ、貯水部5の水位が維持される。
【0035】
ここで、マグネットカップリング式駆動装置における、モーター支持金具35の可撓性が及ぼす作用効果について、
図2及び
図4に基づいて説明する。
【0036】
モーター支持金具35で支持固定されたモーター31が所定の回転数で回転駆動すると、モーター側磁石34と回転体側磁石14がマグネットカップリングにより回転すると共に、互いの磁石は磁力による吸引力が働くため、モーター側磁石34は隔壁30aの方向へ(A)の力が働く。このとき、モーター側磁石34とモーター軸32は一体となるように構成されているため、モーター軸32に(B)の力が働く。
【0037】
ここで、
図4(a)のようにモーター支持金具35に可撓性のある可撓部が無い場合、モーター軸32に働く(B)の力はモーター31の軸受け(ベアリング)に対してスラスト荷重としてかかることとなる。このスラスト荷重がモーター31の許容する大きさを超えた場合、モーター31に振動や騒音が発生する虞がある。
【0038】
そこで、
図4(b)のようにモーター支持金具35に可撓性のある可撓部を設けた場合、モーター軸32に(B)の力が加わってもモーター支持金具35がモーター軸方向へ撓むことで、モーター31に(C)の力が加わり、軸方向へ移動することができる。これにより、モーター31の軸受け(ベアリング)に働くスラスト荷重の大きさを低減することができるため、モーター31の振動や騒音を低減することができる。
【0039】
図4(b)のモーター支持金具35は、モーター31の軸方向に対して前後方向となる両端を挟むことで固定して支えており、更に一対の平板で構成されていることで、平板部分が可撓性を持ち撓む構成となっている。これにより、モーター支持金具35を簡単で安価な部材で構成することができる。
【0040】
なお、モーター支持金具35は部分的に撓む構造を持っていても良いし、モーター31の前部と後部で別々の部品であっても良いし、一対の平板でなくても良い。つまり、モーター支持金具35は
図4(b)の構成に限定されるものではなく、モーター31の軸方向に対して可撓性を持つ可撓部を有している構成であれば良い。
【0041】
次に、マグネットカップリング式駆動装置において、モーター側磁石34の回転中心にモーター側突起を設ける、又は回転体側磁石14の回転中心に回転体側突起を設けることで生じる作用効果について、
図2に基づいて説明する。
【0042】
モーター側磁石34と回転体側磁石14がマグネットカップリングにより回転する際、互いの磁石は磁力による吸引力が働くため、モーター側磁石34は隔壁30aの方向へ力が働き、回転体側磁石14は隔壁2aの方向へ力が働く。
【0043】
このとき、モーター側磁石34と隔壁30a、又は回転体側磁石14と隔壁2aが面で接触していた場合、回転時に働く摩擦力により、回転数の低下やスムーズな回転が保てなくなる虞がある。
【0044】
そこで、モーター側磁石34の回転中心にモーター側突起36を設けることで、隔壁30aとモーター側突起36が点で接触するため、回転時に働く摩擦力を低減し、回転数の低下を防ぎスムーズな回転を維持することができると共に、摩擦力による摺動音を低減することができる。
【0045】
また同様に、回転体側磁石14の回転中心に回転体側突起20を設けることで、隔壁2aと回転体側突起20が点で接触するため、回転時に働く摩擦力を低減し、回転数の低下を防ぎスムーズな回転を維持することができると共に、摩擦力による摺動音を低減することができる。
【0046】
次に、マグネットカップリング式駆動装置において、回転体6を支持する支持ロッド13が可撓性を有していることで生じる作用効果について、
図5及び
図6に基づいて説明する。
【0047】
図5(a)における支持ロッド13は、ケーシング(ファンケーシング9)と一体に構成されているが、回転体6及び回転体側磁石14とは固定されていない。このため、回転体6がマグネットカップリングにより回転する際、支持ロッド13は回転しない。そして、
図5(a)の(X)部において、回転体6及び回転体側磁石14は支持ロッド13に支持されつつ、摺動しながら回転する。
【0048】
一方で、
図5(b)における支持ロッド13は、回転体6及び回転体側磁石14と一体に構成されているが、ケーシング(ファンケーシング9)とは固定されていない。このため、回転体6がマグネットカップリングにより回転する際、一体となっている支持ロッド13も共に回転する。そして、
図5(b)の(Y)部において、支持ロッド13はケーシング(ファンケーシング9)に支持されつつ、摺動しながら回転する。
【0049】
ここで、モーター側磁石34と回転体側磁石14がマグネットカップリングにより高効率で回転駆動するためには、モーター側磁石34と回転体側磁石14の回転中心が高精度で一致している必要がある。マグネットカップリング時には互いの磁石は磁力による吸引力が働くため、モーター側磁石34と回転体側磁石14はそれぞれ、隔壁30aと隔壁2aの方向へ力が働く。このとき、モーター側磁石34及びモーター軸32は、可撓性を持ったモーター支持金具35が撓むことでモーター軸32の前方向へ移動すると共に、モーター支持金具35の長さの制約から下方向へも移動するため、結果的に
図6に示すように前方斜め下方向へ移動する。
【0050】
一方で、回転体側磁石14も磁石の吸引力の作用で回転中心が一致するように移動する。このとき、
図5(a)では(X)部における回転体6及び回転体側磁石14と支持ロッド13との隙間の距離、
図5(b)では(Y)部における支持ロッド13とケーシング(ファンケーシング9)との隙間の距離、だけ回転体側磁石14は移動することができるが、これらの隙間の距離を超える移動距離が必要であった場合は、モーター側磁石34と回転体側磁石14の回転中心を一致させることができない。これにより、回転中心のずれに伴う振動や騒音が発生する虞がある。
【0051】
そこで、支持ロッド13に可撓性を持たせることで、前述した(X)部の隙間、又は(Y)部の隙間以上の移動距離が必要であっても、支持ロッド13が撓むことで上下方向の移動が可能となる。つまり、
図6に示すように回転体側磁石14側の支持ロッド13は、モーター側磁石34の回転中心と合うように移動することができるため、回転中心のずれに伴う振動や騒音を防止することができる。更に、高精度で回転中心を一致させることができるため、高効率なマグネットカップリング式駆動装置を実現することができる。
【0052】
次に、送風装置にマグネットカップリング式駆動装置を用いることで生じる効果について説明する。
【0053】
送風装置として、空気の吸込口3と吹出口4を備えた送風ユニットケース2と、送風ユニットケース2内に回転体側磁石14と、回転体6と、回転体6と一体に形成されており、吸込口3から吸い込んだ空気を送風して吹出口4から外部へ送出する遠心式の送風ファン7と、を備えた構成とする。
【0054】
この送風装置に対し、前述したマグネットカップリング式駆動装置を用いることで、スラスト荷重の低減による低騒音化を図り、回転摩擦力の低減による回転数の低下を抑制し、回転中心を高精度で一致することによる高効率な送風装置を実現することができる。
【0055】
次に、ミスト発生装置にマグネットカップリング式駆動装置を用いることで生じる効果について説明する。
【0056】
マグネットカップリング式駆動装置を用いたミスト発生装置1の構成により、貯水部5内の水がモーター軸32内に侵入し、モーター31が故障するのを未然に阻止することができると共に、前述した送風装置と同じく、低騒音化を図り、回転数の低下を抑制し、高効率なミスト発生装置を実現することができる。
【0057】
なお、本実施形態では回転体6の円周上に、等間隔かつ回転体6の回転方向と垂直に羽根11を形成したもので説明したが、これに限られない。例えば、不均一な間隔で羽根11を形成したものや、千鳥状に羽根11を形成したものであっても良い。つまり、回転体6が回転することで水を掻き上げてミストを発生させることが可能な羽根状のものであれば、本発明の範疇に含まれる。
【0058】
また、本実施形態では回転体6及び送風ファン7は一体に形成されているが、別々に形成されていても良い。
【0059】
また、本実施形態では水を微細化してミストを発生しているが、水にエッセンシャルオイルやアロマオイルなどの精油や、芳香剤を加えたものであっても良い。つまり、エッセンシャルオイルなどを加えた水を回転体6で掻き上げることで攪拌を促し、微細化したミストを加湿空気として送風することで、芳香を拡散させつつ、室内の加湿や空気清浄を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 ミスト発生装置
2 送風ユニットケース
2a 隔壁(送風ユニットケース)
3 吸込口
4 吹出口
5 貯水部
6 回転体
7 送風ファン
11 羽根
13 支持ロッド
14 回転体側磁石
20 回転体側突起
30a 隔壁(モーターケース)
31 モーター
32 モーター軸
34 モーター側磁石
35 モーター支持金具
36 モーター側突起