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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064778
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】製袋装置および製袋方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/64 20170101AFI20230502BHJP
【FI】
B31B70/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175106
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 円
(72)【発明者】
【氏名】本屋敷 幸信
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA10
3E075BA47
3E075CA02
3E075DB13
3E075DB14
3E075DD11
3E075DD32
3E075DD38
3E075DD42
3E075DD44
3E075DD46
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】 反りが抑制された包装袋を製袋することができる製袋装置および製袋方法の提供。
【解決手段】 製袋装置は、一対の長尺なフィルム11,11を搬送しながら熱接着して包装袋10を作製する製袋装置であって、一対のフィルムに熱接着により外周シール部20を形成する熱接着部40と、当該熱接着部のフィルム搬送方向の上流側に隣接する位置において前記一対のフィルムを挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正機構50とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の長尺なフィルムを搬送しながら熱接着して包装袋を作製する製袋装置であって、
一対のフィルムに熱接着により外周シール部を形成する熱接着部と、
当該熱接着部のフィルム搬送方向の上流側に隣接する位置において前記一対のフィルムを挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正機構とを備える製袋装置。
【請求項2】
前記包装袋反り修正機構が、前記一対のフィルムを互いに接触する方向に押圧する押圧部材を有し、
前記押圧部材を上下方向に移動可能とする高さ調整ユニットをさらに有する請求項1に記載の製袋装置。
【請求項3】
前記高さ調整ユニットは、前記一対のフィルムのフィルム幅方向に係る両側の各々にバランス調整用ゲージを有するものである請求項2に記載の製袋装置。
【請求項4】
前記押圧部材が、前記一対のフィルムと対向するよう設けられたフェルト部材を有するものである請求項2または請求項3に記載の製袋装置。
【請求項5】
前記押圧部材の前記一対のフィルムに対する押圧力が2.0~4.0kgfである請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の製袋装置。
【請求項6】
前記包装袋反り修正機構が、前記押圧部材および互いに接触または近接する一対のフリーロールを有し、
前記高さ調整ユニットが、前記押圧部材と前記フリーロールとを一体的に上下方向に移動可能とするものである請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の製袋装置。
【請求項7】
前記押圧部材が、前記フリーロールに対してフィルム搬送方向の上流側に配置される請求項6に記載の製袋装置。
【請求項8】
前記押圧部材と前記フリーロールとの離間距離が、10~40mmである請求項6または請求項7に記載の製袋装置。
【請求項9】
前記熱接着部と、前記フリーロールまたは前記押圧部材との離間距離が、50~100mmである請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の製袋装置。
【請求項10】
前記熱接着部は、包装袋のフィルム搬送方向に延在する外周シール部を熱接着する縦方向熱接着部と、包装袋のフィルム幅方向に延在する外周シール部を熱接着する横方向熱接着部とを含み、
前記縦方向熱接着部または前記横方向熱接着部のうち、フィルム搬送方向の上流側に位置するいずれか一方の熱接着部よりもフィルム搬送方向の下流側に、さらに前記一対のフィルムを挟み込む包装袋反り修正機構を備える請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の製袋装置。
【請求項11】
一対の長尺なフィルムを搬送しながら熱接着して包装袋を作製する製袋方法であって、
前記一対のフィルムに外周シール部を形成する熱接着工程の前に、前記一対のフィルムを挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正工程を行う製袋方法。
【請求項12】
前記包装袋反り修正工程は、前記一対のフィルムを互いに接触する方向に押圧する押圧部材を用いて行われ、
前記押圧部材は、上下方向に移動可能とされ、
前記包装袋反り修正工程におけるフィルム通過高さが、包装袋の反り状態に基づいて設定される請求項11に記載の製袋方法。
【請求項13】
前記包装袋反り修正工程は、前記押圧部材および互いに接触または近接する一対のフリーロールによって行われ、
前記押圧部材および前記フリーロールは、一体的に上下方向に移動可能とされる請求項12に記載の製袋方法。
【請求項14】
前記包装袋反り修正工程におけるフィルム通過高さは、製袋された包装袋の端部が下がる下反り状態となる場合に相対的に上方向に移動し、製袋された包装袋の端部が上がる上反り状態となる場合に相対的に下方向に移動するようフィードバックして設定される請求項12または請求項13に記載の製袋方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の長尺なフィルムを搬送しながら包装袋を製造する製袋装置および製袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有する樹脂製のフィルムを熱接着によって製袋してなる包装袋(パウチ)が、洗剤、シャンプー等のサニタリー用品や醤油、調味料等の食品類などの種々の流動性の内容物を包装する包装容器として広く用いられており、特に、プラスチックボトルやガラス瓶などの他の容器に内容物を詰め替えて使用する詰替パウチと称される包装容器として多用されている。
このような包装袋は、例えば、下記の特許文献1に示されるように、ロール状に巻かれた長尺な樹脂製の原反フィルムを順次繰り出しながら、上下2枚のフィルムおよびその両側部に挟み込まれた底用フィルムを連続的に搬送し、フィルム搬送方向(縦方向)の両側部およびフィルム幅方向(横方向)に延びる所定の間隔の横断部を熱接着するヒートシール加工や、隣接する包装袋間において設定されたカットラインでフィルムを切断して個々の包装袋として分離するカット工程が流れ作業的に行われることにより、製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-168147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように製袋された包装袋においては、水平面に平らに置いたときに四隅の一部または全部が浮く、いわゆる反りが発生することがある。反りの発生の原因は、フィルムの厚みムラ、滑り性、二軸延伸フィルムの配向(異方性による捻れ)、フィルムのラミネート工程におけるピッチ伸びや収縮等の原反フィルム自体の特性や、一対のフィルムのそれぞれに掛かる搬送中の張力が異なること等、種々の要因の複合的なものであると推測される。そして、反りの程度が許容範囲から逸脱して規格外となると、その包装袋は不良品として商品価値を失ってしまうため、歩留まりが低下してしまう、という問題がある。また、規格外の反りが発生した包装袋は、カット工程後の搬送において搬送不良が発生したり、検査工程や、更には内容物の充填工程においてスタックした包装袋の姿勢の不安定さおよび斜め引っ掛かりによる詰まりが発生する等、種々の不具合が発生することがある。
【0005】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、反りが抑制された包装袋を製袋することができる製袋装置および製袋方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の製袋装置は、一対の長尺なフィルムを搬送しながら熱接着して包装袋を作製する製袋装置であって、
一対のフィルムに熱接着により外周シール部を形成する熱接着部と、
当該熱接着部のフィルム搬送方向の上流側に隣接する位置において前記一対のフィルムを挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の製袋方法は、一対の長尺なフィルムを搬送しながら熱接着して包装袋を作製する製袋方法であって、
前記一対のフィルムに外周シール部を形成する熱接着工程の前に、前記一対のフィルムを挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正工程を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製袋装置または製袋方法によれば、包装袋反り修正機構によって一対のフィルムが熱接着部の上流側において調整された高さで挟み込まれることによって、一対のフィルムを反りが緩和された積重状態とすることができ、容易に反りが抑制された包装袋を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る製袋方法を説明するためのフロー図である。
図2】本発明の一実施形態に係る製袋装置の一部を示す模式図である。
図3】(a)は本発明の製袋装置によって作製される包装袋の形状の一例を示す平面図であり、(b)は、包装袋がフィルム搬送方向に沿って1ピッチで2つずつ製造される例を模式的に示す平面図である。
図4図2の製袋装置における押圧部材の構成の一例を示す断面図である。
図5】包装袋の反り状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る製袋装置および製袋方法について、図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明の製袋装置は、図1に示すように、原反フィルムからフィルムを巻き出す巻き出し部30、巻き出したフィルムを半分に裁断する半裁部31、半裁したフィルム11,11を重ね合わせる積重部32、重ね合わせたフィルム11,11を熱接着する熱接着部40、熱接着したフィルム11,11を切断する切断加工部70を備える。
ここで、熱接着部40は縦方向熱接着部41、縦方向冷却部42、横方向熱接着部43、横方向冷却部44から構成される。
さらに、本発明の製袋装置は、包装袋反り修正機構50および包装袋反り修正機構60を備えている。包装袋反り修正機構については、後で詳細に説明する。
【0012】
本発明の製袋装置および製袋方法によって製造する包装袋10は、具体的には、図3(a)に示すように、表裏の一対のフィルム11,11を熱接着して外周シール部20を形成することにより袋状に形成され、外周シール部20よりも内側の収容部25に内容物を収容するものである。本実施形態においては、包装袋10は概略四角形の外輪郭形状を有し、包装袋10の側部周縁には外周シール部20のうちのサイドシール部21が形成されていると共に、フィルム11の底部周縁には外周シール部20のうちのボトムシール部22が形成されている。
包装袋10がスタンディングパウチ等の底部を有するものである場合には、底部となるフィルム(底用フィルム)が一対のフィルム11,11の間に折り畳んで挿入された状態でサイドシール部21およびボトムシール部22が形成される。図3(a)に示す例においては、包装袋10のトップシール部となる部分は未シール状態とされているが、通常、包装袋はトップシール部が未シール状態で内容物の充填工程まで搬送され、内容物が充填された後に熱接着によりトップシール部が形成される。
【0013】
本発明の製袋装置によって製造される包装袋10の外輪郭形状は特に限定されるものではないが、概略四角形や概略三角形の全体形状や、内容物を注出する注出口として突出するノズル部分を有する形状等、鋭角の隅を有する包装袋に反り(隅の浮き)が発生し易いので、直角以下の鋭角の隅を有する包装袋の製造において、本発明の製袋装置および製袋方法を好ましく適用することができる。
また、本発明の製袋装置において製造される包装袋の形態も、特に限定されるものではなく、いわゆるスタンディングパウチや、平パウチ、ガゼット付きパウチ、折り返したフィルムの三方をシールした包装袋等種々の形態のものとすることができる。
さらに、包装袋は、ジッパー等の付帯物を備えるものや、ノッチや弱化線等の易引裂き加工を施したものであってもよい。
【0014】
以下、具体的な製袋方法について説明する。
本発明の一実施形態に係る製袋装置においては、フィルム巻き出し部30から繰り出された原反フィルムが半裁部31で半幅(フィルム幅方向に半分)に切断されて一対のフィルム11,11が得られる。これらのフィルム11,11は、図示しない駆動ローラやテンショナによって一定の張力が付与され、各々のシーラント層が対向するように向き合い、さらにフィルム11,11間に底用フィルムが折り畳んで挟み込まれた状態で積重され、例えば予め印刷された文字や模様等の図柄の画面ピッチ(ピッチ)に合わせてフィルム搬送方向に間欠搬送される。
この積重体が、図2に示すように、包装袋反り修正機構50によって押圧された後、縦方向熱接着部41に搬送される。そこでフィルム搬送方向(縦方向)に熱接着が施されて、底用フィルムが表面側のフィルム11と裏面側のフィルム11とのそれぞれに熱接着されて一体となり、ボトムシール部22が形成される。次いで、縦方向冷却部42において冷却され、フィルム搬送方向の下流側に設けられた包装袋反り修正機構60によって再度押圧された後、横方向熱接着部43に搬送される。そこでフィルム幅方向(横方向)に熱接着が施されて、サイドシール部21が形成される。次いで、横方向冷却部44において冷却される。
【0015】
ここで、縦方向熱接着部41および横方向熱接着部43は、いずれも、フィルム11,11の積重体を、水平を保った姿勢で一定の高さにおいて熱接着するものであり、具体的な熱接着機構としては、従来公知の種々の製袋装置における熱接着部(ヒートシール部)の構造を採用することができる。
【0016】
熱接着部40において、フィルム11は、図3(b)に示すように、2つの包装袋10のトップシール部側が互いに対向すると共にボトムシール部22が互いに離間する状態にフィルム幅方向に連続して並び、一方のサイドシール部21(図3(b)において左方のサイドシール部)側がフィルム搬送方向(図3(b)のx方向)の先頭となる状態で製袋される。
横方向熱接着部43において、フィルム搬送方向に沿って1ピッチ目の後端部のサイドシール部21と2ピッチ目の先頭部のサイドシール部21とは同時に熱接着される。図3(b)において、熱接着される領域を斜線で示した。
本実施形態においては、製造効率を向上させるために、フィルム搬送方向に沿って包装袋10が1ピッチで2つずつ製造される構成としているが、1ピッチに1つずつ製造される構成としてもよい。
【0017】
その後、包装袋10は、切断加工部70において包装袋10の外輪郭(図3(b)において破線で示す。)に沿って切断される。これにより、トップシール部となる部分が未シール状態の包装袋10が形成される。
【0018】
本発明において、フィルム搬送方向とは、熱接着部40における搬送方向を意味し、フィルム搬送方向上流側とはフィルム巻き出し部30に近い側を、フィルム搬送方向下流側とは、切断加工部70に近い側をいう。本実施形態において、フィルム搬送方向は水平方向(図2の左方向(x方向))である。
また、本発明において、フィルム流れ方向とは、搬送経路中のある箇所において、実際にフィルムの流れる方向を意味する。フィルム幅方向は、フィルム流れ方向と垂直な方向であり、本実施形態の熱接着部40においては、フィルム搬送方向とフィルム流れ方向は一致しており(図2の左方向(x方向))、フィルム幅方向は、これらに垂直な方向(図2の紙面と垂直な方向(y方向))となる。
高さ方向は、フィルム流れ方向およびフィルム幅方向と垂直な方向であり、本実施形態において、包装袋反り修正機構50におけるフィルム流れ方向およびフィルム幅方向は水平方向であるため、高さ方向は鉛直方向(図2において上方向(z方向))となっている。この例に限定されず、例えば、製袋装置自体を斜面に設置する、或いは製袋装置内でフィルム流れ方向が傾斜方向として設計される等、フィルム流れ方向を略水平方向から逸脱する傾斜方向としてもよく、例えば、鉛直方向となるよう設計されていてもよい。この場合、高さ方向は本実施形態のように鉛直方向ではなく、フィルム流れ方向およびフィルム幅方向に垂直となる方向であり、高さは、高さ方向における距離として定義される。
【0019】
ここから、包装袋反り修正機構について詳細に説明する。
本発明の製袋装置には、熱接着部40のフィルム搬送方向の上流側に隣接する位置において一対のフィルム11,11を挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正機構50が設けられている。
これにより、容易に反りが抑制された包装袋10を製造することができる。
包装袋反り修正機構50によって包装袋の反りを抑制することができる理由は定かではないが、上下(表裏)のフィルム11,11が包装袋反り修正機構50に挟み込まれることにより、密着して空気が抜けるとともにフィルム反り方向にあるフィルムが伸ばされ、上下のフィルム間の張りの差が緩和されることによると考えられる。また、高さを調整することで、反りの方向にあるフィルムに、もう一方のフィルムよりも強い押圧力を与えることができ、より高い緩和効果が得られる。さらに、上下のフィルム11,11の経路長の差(いわゆる内輪差)によって反りの状態が緩和されることも考えられる。
【0020】
本実施形態に係る包装袋反り修正機構50は、一対のフィルム11,11を互いに接触する方向(図2において上下方向)に押圧する押圧部材51と、互いに接触または近接する一対のフリーロール55とを有する。
押圧部材51を有する構成によれば、設定されたフィルム通過高さにおいて一対のフィルム11,11を互いに接触する方向に押圧するという簡単な機構によって、反りが抑制された包装袋を製造することができる。
さらに、押圧部材51と一対のフリーロール55が一体的に上下方向に移動可能な構成によれば、反りが緩和された積重状態を維持しつつ安定して搬送することができる。
また、押圧部材51は、フリーロール55よりもフィルム搬送方向の上流側に配置されている。これは、表裏のフィルム11,11内の空気抜きが確実にできるという点で好ましい。
【0021】
押圧部材51は、図4に示されるように、フェルト部材52と、フェルト部材52が突出部52Aを残して内部に嵌入される嵌入穴を有する金属製の支持部材53とからなるバー54で構成される。2つのバー54,54は、フェルト部材52の突出部52Aが上下に対向する状態に設けられており、2つのバー54,54の間を一対のフィルム11,11の積重体が通過する。
フェルト部材52を構成するフェルトの柔軟性により、一対のフィルム11,11を高い均一性で面状に押圧することができるので、確実に反りの抑制された包装袋を製造することができる。
フェルト部材52は、フィルム幅方向にフィルム11の幅以上の長さ(y方向の長さ)を有するとともにフィルム搬送方向に面状に押圧可能な幅(x方向の幅)を有する。フェルト部材52のフィルム搬送方向の幅は20~30mmとされる。また、フェルト部材52の高さ方向の厚みは20~30mmとされる。また、フェルト部材52の突出部52Aの支持部材53からの突出高さは10~20mm程度とされる。
フェルト部材52,52の一対のフィルム11,11と接触する面には、図示しないが、それぞれテフロン(登録商標)テープまたはシートが貼られている。テフロンは耐熱性を有し、また良好な表面の滑り性を有するため、フェルト部材52の表面に設けることで、フィルム11とフェルト部材52との摩擦による搬送性の低下を防ぐことができる。テフロンに替えて、各種材料を使用することができる。
【0022】
押圧部材51により一対のフィルム11,11に掛けられる押圧力は、2.0~4.0kgfとされることが好ましく、特に好ましくは3.0~3.3kgfである。なお、押圧部材51の上側のバー54の自重のみによる押圧力は0.4kgfであった。
押圧部材51により一対のフィルム11,11に掛けられる押圧力が過小である場合には、空気抜き不足等が生じて反りが緩和される積重状態を得ることができないおそれがあり、一方、過大である場合には、フィルム搬送方向に対して抵抗が生じ、フィルムが蛇行するおそれがある。
押圧力は、株式会社共和電業製の計装用コンディショナ「WGA-700B」および小型圧縮ロードセル「LMA-A(500N)」を使用し、上側バー54のフェルト部材52とロードセルとの間に厚み2mmのステンレス板を挟み、ナットで締め付けて測定した。
【0023】
一対のフリーロール55は、互いに押圧されていない2つのロール56,56よりなり、一対のフィルム11,11の搬送に伴って従動されるものである。
押圧部材51とフリーロール55との離間距離は、例えば10~40mmとされる。押圧部材51とフリーロール55との離間距離が過大である場合は、反りが緩和された積重状態を維持したまま、安定して搬送することができないおそれがある。
【0024】
包装袋反り修正機構50と熱接着部40は近接しており、本実施形態における離間距離は、本実施形態においてはフリーロール55と熱接着部40とのフィルム搬送方向に沿った距離であり、具体的には50~100mmである。
包装袋反り修正機構50と熱接着部40との離間距離が過大である場合は、反りが緩和された積重状態を維持したまま、熱接着することができないおそれがある。
【0025】
包装袋反り修正機構50は、押圧部材51とフリーロール55とを一体的に上下方向に移動可能としてこれらの高さ(z方向の高さ)を調整する高さ調整ユニット(図示せず)をさらに有する。
高さ調整ユニットによって、押圧部材51とフリーロール55を一体的に、例えば±5mm程度の範囲で、基準となる高さから上下に移動して調整することができる。押圧部材51およびフリーロール55の高さとは、それぞれにおいてフィルム11,11の積重体の通過する高さ(フィルム通過高さ)である。押圧部材51およびフリーロール55のそれぞれのフィルム通過高さは、通常、同じとされるが、効果を損なわない範囲であれば、差があってもよい。例えば、2mm程度の差であれば許容されると考えられる。
【0026】
高さ調整ユニットは、一対のフィルム11,11のフィルム幅方向に係る両側の各々に配置されたバランス調整用ゲージ(図示せず)を備える。バランス調整用ゲージは、押圧部材51の幅方向の両側(左右)の高さを調整可能なものであって、両側の高さを例えば一致させるよう調整される。また、両側の高さをそれぞれ異なるように調整することもできる。
バランス調整用ゲージを用いることにより、フィルム通過高さを高い精度で簡単に調整することができ、かつ、数値で管理することができるので、調整に要する時間の短縮や手間の軽減を図ることができる。
ここで、押圧部材51およびフリーロール55の高さ(フィルム通過高さ)の調整は、手動で行われてもよく、自動で行われてもよい。
【0027】
また、縦方向冷却部42のフィルム搬送方向の下流側であって横方向熱接着部43の上流側には、さらに一対のフィルム11,11を挟み込むとともに高さを調整する包装袋反り修正機構60が備えられている。
包装袋反り修正機構60は、縦方向熱接着部41のフィルム搬送方向の上流側に備えられた包装袋反り修正機構50と同様の構成を有するものとすることができる。具体的には、一対のフィルム11,11を互いに接触する方向に押圧する押圧部材61と、押圧部材61の下流側に設けられたフリーロール65を有する。この押圧部材61は、包装袋反り修正機構50に係る押圧部材51と同様の構造を有するものである。
横方向熱接着部43のフィルム搬送方向の上流側に備えた包装袋反り修正機構60で一対のフィルム11,11を再度押圧することにより、更なる反り抑制の効果が期待できる。
【0028】
本実施形態の製袋装置において、包装袋反り修正機構60は、縦方向冷却部42のフィルム搬送方向下流側に隣接する位置に配置されているが、これは縦方向冷却部42に近接する位置であってもよく、横方向熱接着部43の上流側に近接する位置であってもよい。また、横方向冷却部44のフィルム搬送方向下流側に隣接する位置に配置されてもよいし、複数箇所に設置してもよい。
【0029】
包装袋反り修正機構50のフリーロール55と熱接着部40との間には、包装袋反り修正機構50によって得られる一対のフィルム11,11の積重状態を実質的に大きく変化させない設備であれば、設置することができる。例えば、本実施形態の製袋装置においては、包装袋反り修正機構50のフリーロール55と熱接着部40との間であって、熱接着部40のフィルム搬送方向のすぐ上流側に、熱接着が行われる高さよりもわずかに高い高さに設定されたフィードロール(図示せず)が固定的に設置されている。つまり、包装袋反り修正機構50と熱接着部40は、フィードロールを介して隣接して設けられている。
【0030】
以下、包装袋の反りの修正方法について、詳細に説明する。
本発明の製袋方法においては、一対のフィルム11,11に熱接着により外周シール部20を形成する熱接着工程を行う前に、包装袋反り修正機構50による包装袋反り修正工程が行われる。包装袋反り修正工程が行われるフィルム通過高さは、包装袋10の本製袋前に行うプレ製袋において製袋された包装袋10の反り状態、或いは本製袋中にサンプリングした包装袋10の反り状態に基づいて設定される。これにより、使用するフィルム11の状態に適した条件に設定することができる。
包装袋反り修正工程が行われるフィルム通過高さは、製袋された包装袋10が、図5(a)に示されるように端部が下がる下反り状態となる場合に相対的に上方向に移動し、図5(b)に示されるように端部が上がる上反り状態となる場合に相対的に下方向に移動するようフィードバックして設定される。具体的には、基準値に対して上方向または下方向の高さとして設定される。フィルム通過高さをこのように設定することにより、下がった端部が上に押し上げられ、或いは上がった端部が下に押し下げられた状態で押圧力が掛けられることとなるので、包装袋10の端部を中央部と同じ高さに近づけるように一対のフィルム11,11の積重状態を修正することができる。この一対のフィルム11,11の積重体を、反りが緩和される積重状態のまま縦方向熱接着部41に搬送して熱接着することにより、得られる包装袋10は反りが抑制されたものとなる。
また、製袋された包装袋10が、端部の一方が上がり他方が下がる複合的な反り状態となる場合には、押圧部材51およびフリーロール55のフィルム幅方向の高さをそれぞれ異なる条件に設定してもよい。この場合は、上反りしている端部側の押圧部材51およびフリーロール55のフィルム幅方向の高さを基準値よりも下の高さに、下反りしている端部側の押圧部材51およびフリーロール55のフィルム幅方向の高さを基準値よりも上の高さに設定する。
なお、上反り状態および下反り状態は、熱接着したときの向き、すなわちフィルム11,11の積重の向きと同じ向きで水平な台上に置いたときの反り状態をいう。
フィルム通過高さの基準値は、縦方向熱接着部41のすぐ手前に設けられたフィードロールをフィルム11,11が通過する高さとすることができる。また、繰り返し調整する場合には、前回の設定値を基準値として使用することができる。
フィルム通過高さについてのフィードバックの設定は、手動で行われてもよく、自動で行われてもよい。また、反りについての入力値に対して、好ましい設定値が出力されるプログラム等を使用してもよい。
【0031】
包装袋反り修正工程が行われるフィルム通過高さは、具体的には以下の手順で決定される。
まず、フィルム通過高さを基準値に設定して、本製袋用の原反フィルムを用いて200~400袋程度のプレ製袋を行う。製造された包装袋10をスタックした束を水平な台上に置き、端部の反り量(四隅のうち最も沿っている角の反り量)をスケールで測定する。反り量が規格値を超える場合に、フィルム通過高さの調整を行う。
この反り量に基づいて、高さ調整ユニットにより、押圧部材51およびフリーロール55を上下方向へ移動し、必要に応じてこの工程を繰り返す。
包装袋反り修正工程が行われるフィルム通過高さは、原反フィルムのロット毎、或いは、バッチ処理毎に設定し直すことが好ましい。原反フィルム自体の性質や製造ロットによって反りの発生要因となる特性が異なり、反り方向も一定ではないからである。また、本製袋中も、随時測定を行い、修正することが好ましい。
【0032】
なお、以上のような包装袋10の製造に供されるフィルム11は、例えば厚み方向に積層された複数層から構成され、少なくとも最内層にヒートシール性を有するヒートシール層を備えている。フィルム11の層構成の一例を挙げると、例えば外面側から順に、PET(ポリエチレンテレフタラート)層、ナイロン層、および、ヒートシール性を有するポリエチレン層(最内層)が積層されたものとすることができる。
本製袋装置および製袋方法は、アルミ箔等の金属層を含まない、反りの発生しやすい構成のフィルムを用いる場合に特に有用であるが、フィルム11は金属層を含むものであってもよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうる。また、動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0034】
10 包装袋
11 フィルム
20 外周シール部
21 サイドシール部
22 ボトムシール部
25 収容部
30 巻き出し部
31 半裁部
32 積重部
40 熱接着部
41 縦方向熱接着部
42 縦方向冷却部
43 横方向熱接着部
44 横方向冷却部
50 包装袋反り修正機構
51 押圧部材
52 フェルト部材
52A 突出部
53 支持部材
54 バー
55 フリーロール
56 ロール
60 包装袋反り修正機構
61 押圧部材
65 フリーロール
70 切断加工部

図1
図2
図3
図4
図5