(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064782
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】流路アダプター
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20230502BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20230502BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
G01F1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175118
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 浩人
(72)【発明者】
【氏名】中井 弘
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CC13
2F030CE11
2F030CF01
2F030CF02
2F030CH03
(57)【要約】
【課題】ダストの捕集と整流効果を備えた流量計測ユニット用の流路アダプターを提供すること。
【解決手段】流量計測ユニット20の流入口21に装着され、被計測流体を流量計測ユニット20に導入する為の流路アダプター10であって、内部に、被計測流体が流れる流路11と、流路11に導入された被計測流体が衝突するように流路11内に設けた複数のリブ15と、を備え、流量計測ユニット20の流入口21を覆うように装着されるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計測ユニットの流入口に装着され、被計測流体を前記流量計測ユニットに導入する為の流路アダプターであって、
本体内部に設けた被計測流体が流れる流路と、
前記流路に導入された被計測流体が衝突するように前記流路内に設けた複数のリブと、
を備え、
前記流量計測ユニットの流入口を覆うように装着される流路アダプター。
【請求項2】
前記リブは、被計測流体が衝突する面に溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の流路アダプター。
【請求項3】
前記流路は、前記被計測流体の導入流路を有し、
前記導入流路の流入口は、前記流量計測ユニットへの流入方向と逆向きに延出されたことを特徴とする請求項1または2に記載の流路アダプター。
【請求項4】
前記導入流路は、前記流量計測ユニットの計測流路の周囲に沿って配置されることを特徴とする請求項3に記載の流路アダプター。
【請求項5】
前記導入流路は、前記流量計測ユニットに装着した際に、その一部が前記流量計測ユニットの外周面で形成されることを特徴とする請求項4に記載の流路アダプター。
【請求項6】
前記導入流路は、複数に分割されたことを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の流路アダプター。
【請求項7】
2つの本体に分割され、分割された前記本体を結合することで、前記流量計測ユニットの流入口を覆うように装着されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の流路アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流量計測ユニットの流入口に装着する流路アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、流入口にチャンバー部を備えた流量計測ユニットを開示する。この流量計測ユニットにおいて、チャンバー部が被計測流体を整流する機能を有することで計測精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、流量計測ユニットの流入口に装着することで、被計測流体の整流、及び、被計測流体中に含まれるダストを捕集することで、流量計測ユニットにおける計測精度の安定化を図ることが可能な流路アダプターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における流路アダプターは、本体内部に設けた被計測流体が流れる流路と、前記流路に導入された被計測流体が衝突するように前記流路内に設けた複数のリブと、を備え、前記流量計測ユニットの流入口を覆うように装着される。
【発明の効果】
【0006】
本開示における流路アダプターは、被計測流体が流れる流路に設けたリブによって、流量計測ユニットに流入する被計測流体を整流すると共に、被計測流体に含まれるダストをリブに衝突させることで捕集することができる。そのため、流量計測ユニットにおける計測精度が安定するとともに、被計測流体に含まれるダストを除去することができるので、流量計測ユニットの計測流路へのダストの付着を防止でき、必要な計測精度を長期にわたり維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における流路アダプターの斜視図
【
図2】実施の形態1における流路アダプターのA-A断面図
【
図3】実施の形態1における流路アダプターを流量計測ユニットに装着した状態を示す断面図
【
図4】実施の形態1における流路アダプターを流量計測ユニットに装着した状態を示す図
【
図5】実施の形態1における流路アダプターを流量計測ユニットに装着する方法を示す斜視図
【
図6】実施の形態1における流路アダプターが装着された流量計測ユニットをガスメータに搭載した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、ガスメータに内蔵した流量計測ユニットで、ガスの流量を計測する場合、ガスメータの入り口から流入したガスが直接流量計測ユニ
ットに導入されると、ガスの流れが乱れて安定した流量計測ができないという課題があり、流量計測ユニットに流入する被計測流体を整流する為の種々の構成が開示されていた。
【0009】
一方、ガスメータでは、被計測流体であるガスにダストが含まれていることを前提として、所定のダスト試験を満足することが求められており、この対策として、ダストを除去するためのフィルターやダストを捕集するための構造上の工夫が必要であった。
【0010】
しかしながら、この2つの課題を解決するためにそれぞれに必要な構成を付加することでコストアップの要因となっていた。
【0011】
そこで本開示は、整流とダスト対策が同時に実現でき、コストアップを軽減できる流路アダプターを提供する。
【0012】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図6を用いて、実施の形態1を説明する。
【0015】
[1-1.流路アダプターの構成]
図1は、本実施の形態の流路アダプターの斜視図、
図2は、
図1のA-A断面図、
図3は、
図1のA-A断面図と共に流量計測ユニットが装着された状態を示している。流路アダプターは、A-A断面に対して対称形状であり、以下の説明では、
図2を用いて流路アダプターの構造を説明する。
【0016】
図1~3において、流路アダプター10は、ガスメータ内のガスを流量計測ユニット20の流入口21に導入する為の流路11が設けられている。流路11は、ガスの入り口としての導入流路12a~12eを有しており、3つの仕切り板13で内部が仕切られて導入流路12a~12eから流量計測ユニット20の流入口21に至る流路が構成されている。
【0017】
導入流路12eは、ガスが流入する流入口121eのみが開口しているが、導入流路12a~12dは、ガスが流入する流入口121a~121dが開口するとともに、流路の一部に開口部122a~122dを有している。この開口部122a~122dは、後述するように、流路計測ユニットに装着することで塞がれて、流路を形成する。
【0018】
さらに、流路11には、流路を構成する内壁14と仕切り板13の壁面に高さの異なる複数のリブ15が設けられている。リブ15は、隣接するリブ15の高さが異なるように間隔を置いて配置されており、更に、比較的高さのあるリブ15には、溝部15aが設けられている。また、リブ15は、導入流路12a~12eにも設けるようにしても良い。
【0019】
流路アダプター10が装着される流量計測ユニット20は、被計測流体であるガスが流入する流入口21と、流量を計測するセンサー(図示せず)が配置された計測流路24、ガスの出口である流出口22、センサーを制御して流量の計測を行うコントローラ部23
を有している。
【0020】
流路アダプター10は、
図3に示すように流量計測ユニット20の流入口21を覆うように装着される。そして、導入流路12a~12dの開口部122a~122dは流量計測ユニット20の計測流路24を形成する外壁で塞がれて、流路が形成される。これにより、ガスは、点線Fa、Fb,Fcで示す経路で、導入流路12a~12eの流入口121a~121eから流路アダプター10内の流路11に流入し、流量計測ユニット20の流入口21に導かれる。
【0021】
図4(a)~
図4(d)は、それぞれ、
図3のB矢視図、C矢視図、D矢視図、E矢視図であり、白抜き矢印でガスの流れを示している。なお、
図4では、流路アダプター10の一部(半分)は、リブ15等の内部構造を点線で示している。
図4に示すように、ガスは、流量計測ユニット20の周囲から各導入流路に流入する。
【0022】
図5は、流路アダプター10を流量計測ユニット20に装着する方法を示すもので、流路アダプター10は、中央で分割されて2つの本体A10a、本体B10bが樹脂で成形されている。本体A10a、本体B10bは略対称形であり、流量計測ユニット20の流入口21の左右から装着され、一体となって流路アダプター10として機能する。なお、本体A10a、本体B10bの接合方法としては、ビスやスナップフィットなどの機械的な固定や、接着など適宜採用することができる。
【0023】
また、流路アダプター10の内部に構成された仕切り板13、リブ15は、流量計測ユニット20と干渉しないように形成されていることは言うまでもないが、流路アダプター10を保持できる程度の隙間を設けてあり、更に、導入流路12a、12bに設けた切欠部16が流量計測ユニット20のリブ25に嵌合することで、位置決めと固定がなされている。
【0024】
更に、
図1~4では省略して記載しているが、流路アダプター10の表面には、全幅にわたる複数を溝で構成された凹凸部17、18、19を設けている。
【0025】
また、本体A10a、本体B10bの内部に構成された仕切り板13、リブ15、導入流路12a~12e、および、凹凸部17~19は、樹脂成形する際に、金型を一方向から抜けるように構成している。なお、導入流路12a~12eの側壁の一部は開放するように形成しているが、流量計測ユニット20に装着した際には、流量計測ユニット20の計測流路24の外壁により塞がれるので、独立した流路として機能するので問題ない。
【0026】
図6は、本実施の形態の流路アダプター10を装着した流量計測ユニット20をガスメータに実装した場合の断面図を示している。
【0027】
図6(a)において、ガスメータ30は、内部空間36を有する筐体31に、ガスの入口部32、ガスの出口部33が設けられており、入口部32には、異常時にガスを遮断する遮断弁35、出口部33には、内部配管34が接続されている。流量計測ユニット20はガスメータ30に対して水平方向に配置されており、流量計測ユニット20の流出口22は内部配管34に接続固定されている。
【0028】
そして、入口部32から流入したガスは、遮断弁35を通過して内部空間36に至り、白抜き矢印で示す様に拡散した後、内部配管34の方向から回り込む様に、流路アダプター10の導入流路12a~12eに至るように流れる。
【0029】
図6(b)において、ガスメータ40は、内部空間46を有する筐体41に、ガスの入
口部42、ガスの出口部43が設けられており、入口部42には、異常時にガスを遮断する遮断弁45が接続されている。流量計測ユニット20はガスメータ40に対して垂直方向に配置されており、流量計測ユニット20の流出口22は出口部43に接続固定されている。
【0030】
そして、入口部42から流入したガスは、遮断弁45を通過して内部空間46に至り、白抜き矢印で示す様に拡散した後、内部空間46の上方から回り込む様に、流路アダプター10の導入流路12a~12eに至るように流れる。
【0031】
[1-2.流路アダプターの作用]
以上のように構成された流路アダプター10について、その作用を以下説明する。
【0032】
図3に示す様に、流路アダプター10に流入したガスは、流路11や導入流路12a~12eに設けたリブ15に衝突することで、点線Fa、Fb,Fcに示す様に、蛇行しながら流量計測ユニット20の流入口21に至るように流れる。
【0033】
以下、その際の作用について、点線Fcに示す流れを例にとって詳細に説明する。
ガスにダストが含まれている場合、ガスがリブ15に衝突することで、ダストがリブに捕集されながら流れるため、流量計測ユニット20の流入口21に至るまでの複数のリブにより、ガス中のダストは徐々に除去される。
【0034】
本実施の形態では、ある程度の高さを有するリブ15には、溝部15aを設けているので、この溝部15aにより、効率よくガス中のダストを捕集することができる。
【0035】
また、ガスが蛇行するように流れることで、整流作用を生じ、流量計測ユニットに流入するガスの流れが均質化されるので、安定した計測を行うことができる。従って、ガスメータに実装した場合、
図6に示しように、流量計測ユニット20の方向によらず、安定した計測を行うことができる。
【0036】
[1-3.流路アダプターの効果等]
以上のように、本実施の形態において、流路アダプター10は、流量計測ユニット20の流入口21に装着され、被計測流体であるガスを流量計測ユニット20に導入する為の流路アダプター10において、本体内部に設けた被計測流体が流れる流路11と、流路11に導入された被計測流体が衝突するように流路11内に設けた複数のリブ15と、を備え、流量計測ユニット20の流入口21を覆うように装着される。
【0037】
これにより、被計測流体に含まれるダストを捕集することができ、更に、整流効果により、流量計測ユニット20で安定した流量計測を行うことができる。
【0038】
また、本実施の形態のように、リブ15は、被計測流体が衝突する面に溝部15aを有するようにしても良い。
【0039】
これにより、被計測流体に含まれるダストの捕集性能が向上する。
【0040】
また、本実施の形態のように、流路11は、被計測流体の導入流路12a~12eを有し、導入流路12a~12eの流入口は、流量計測ユニット20への流入方向と逆向きに延出されてもよい。
【0041】
これにより、流路アダプター10内の流路が長くなり、被計測流体に含まれるダストの捕集能力が向上するとともに、整流効果が向上する為、流量計測ユニット20をガスメー
タへの取り付ける場合、取り付け方向に左右されず安定した流量計測が可能となる。
また、導入流路12a~12eにも、リブ15を設けることで、更に、ダストの捕集能力が向上する。
【0042】
また、本実施の形態のように、導入流路12a~12eは、流量計測ユニット20の計測流路24の周囲に沿って配置されてもよい。
【0043】
これにより、流路アダプター10をコンパクトにすることができ、流路アダプター10を装着した流量計測ユニット20を取り付けるガスメータもコンパクトにすることができる。
【0044】
また、本実施の形態のように、導入流路12a~12eは、流量計測ユニット20に装着した際に、その一部が流量計測ユニット20の計測流路の外壁(外周面)で形成されるようにしても良い。
【0045】
これにより、流路アダプター10を構成する本体A10a、本体B10bを樹脂成型する場合に、導入流路12a~12eの一部(流路アダプター10に対向する面)を開放して成形しても、流量計測ユニットに装着した際にこの開放面が計測流路の外壁(外周面)で塞がれるので、流路として機能することができる。
【0046】
また、本実施の形態のように、導入流路12a~12eは、複数に分割されても良い。
【0047】
これにより、被計測流体が流量計測ユニット20の流入口21に至るまでに接する面積を大きくすることができ、ダストの捕集能力が向上する。
【0048】
また、本実施の形態のように、流路アダプター10を2つの本体(本体A10a、本体B10b)に分割し、分割された本体(本体A10a、本体B10b)を結合することで、流量計測ユニット20の流入口21を覆うように装着するようにしても良い。
【0049】
これにより、本体A10a、本体B10bは樹脂成型により容易に成形でき、かつすることができ、かつ、流量計測ユニット20への装着が容易となる。
【0050】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示は、被計測流体がダストを含むガスの流量を計測するガスメータに用いられる流量計測ユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 流路アダプター
11 流路
12a、12b、12e 導入流路
13 仕切り板
14 内壁
15 リブ
16 切欠部
17、18、19 凹凸部
20 流量計測ユニット
21 流入口
22 流出口
23 コントローラ部
24 計測流路
25 リブ
30、40 ガスメータ