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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064798
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】車載装置、車載装置の取付部
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20230502BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20230502BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
B60R11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175144
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】玉井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】安部 富夫
【テーマコード(参考)】
3D020
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BA20
3D020BC18
3D020BD05
5J046AA09
5J046MA09
5J046MA10
5J047AA09
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】 2つの電子機器の車両への取り付けを容易にする。
【解決手段】 車載装置は、第1電子機器と、取付部と、第2電子機器とを備える。第1電子機器と取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、第1電子機器が車両に取り付けられる。第2電子機器と壁状部材が、取付部の少なくとも一部を挟む位置関係で、第2電子機器が取付部に取り付けられる。第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1取付構造は、第1電子機器と取付部の一方の、第1方向と垂直な第2方向の摺動を行うための機構を含む。第2取付構造は、取付部と第2電子機器の一方の、第2方向若しくは第1方向と垂直な第3方向の摺動と、第2方向若しくは第3方向の摺動の後に第1方向の移動を行うための機構を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子機器と、
取付部と、
前記第1電子機器と、電気的に接続される第2電子機器とを備え、
前記第1電子機器と前記取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、前記第1電子機器が前記車両に取り付けられ、
前記第2電子機器と前記壁状部材が、前記取付部の少なくとも一部を挟む位置関係で、前記第2電子機器が前記取付部に取り付けられ、
前記第1電子機器と前記取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして/若しくは、前記取付部と前記第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられ、
前記第1取付構造は、前記第1電子機器と前記取付部の少なくとも一方の、前記第1方向と垂直な第2方向の摺動を行うための機構を含み、
前記第2取付構造は、前記取付部と前記第2電子機器の少なくとも一方の、前記第2方向若しくは前記第1方向と垂直な第3方向の摺動と、前記第2方向若しくは前記第3方向の摺動の後に前記第1方向の移動を行うための機構を含む、車載装置。
【請求項2】
前記第1電子機器と前記取付部は、前記第1取付構造を介して取り付けられ、
前記第1電子機器は、前記第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の一方を有し、
前記取付部は、前記第1取付構造として、前記第1ガイドと前記第1ガイド受け部の他方を有し、
前記第1ガイドの一部は、前記第1ガイド受け部に挿入され、
前記第1ガイドは、前記第1ガイド受け部を、前記第2方向に摺動可能で保持し、且つ前記第1ガイドが前記第2方向の摺動により第1所定位置に到達した時に前記第1方向に移動可能な状態で保持する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記第1ガイドは、第1係合凹部と第1係合凸部の一方を有し、
前記第1ガイド受け部は、前記第1係合凹部と前記第1係合凸部の他方を有し、
前記第1ガイドが前記第1所定位置に到達した時に、前記第1係合凹部と前記第1係合凸部とが係合する、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記第1電子機器は、第1仮止め爪を有し、
前記第1仮止め爪は、前記第1電子機器と前記壁状部材の仮止めのために用いられる、
請求項2または請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記第1ガイドが前記第1所定位置に到達した後で、前記第1ガイド受け部を前記第1方向に移動した時に、前記第1仮止め爪は、前記第1電子機器と前記取付部の仮止めのために用いられる、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記第1ガイド受け部は、前記第1ガイドの差込口側に、前記第1ガイドの前記第1方向の移動を制限する溝を有する、請求項2~請求項5のいずれかに記載の車載装置。
【請求項7】
前記第1電子機器は、アンテナ素子を含むアンテナ部であり、
前記第2電子機器は、信号処理部であり、
前記壁状部材は、前記車両ルーフであり、
前記第1電子機器は、前記取付部を介して、前記ルーフの少なくとも一部と電気的に接続され、
前記取付部は、前記ルーフと接触しない位置関係で前記第2電子機器の一部を覆う本体部と、前記本体部よりも前記ルーフに近い位置に設けられ、前記ルーフと接触する接触部とを有し、
前記接触部は、前記第1ガイドと前記第1ガイド受け部の他方を有する、請求項2~請求項6のいずれかに記載の車載装置。
【請求項8】
前記取付部と前記第2電子機器は、前記第2取付構造を介して取り付けられ、
前記取付部は、前記第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有し、
前記第2電子機器は、前記第2取付構造として、前記第2ガイドと前記第2ガイド受け部の他方を有し、
前記第2ガイドの一部は、前記第2ガイド受け部に挿入され、
前記第2ガイドは、前記第2ガイド受け部を、前記第2方向若しくは前記第3方向に摺動可能で保持し、且つ前記第2ガイドが前記第2方向若しくは前記第3方向の摺動により第2所定位置に到達した時に前記第1方向に移動可能な状態で保持する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項9】
前記第1電子機器と前記取付部は、前記第1取付構造を介して取り付けられ、そして、前記取付部と前記第2電子機器は、前記第2取付構造を介して取り付けられ、
前記第1電子機器は、前記第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の一方を有し、
前記取付部は、前記第1取付構造として、前記第1ガイドと前記第1ガイド受け部の他方を有し、前記第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有し、
前記第2電子機器は、前記第2取付構造として、前記第2ガイドと前記第2ガイド受け部の他方を有し、
前記第1ガイドの一部は、前記第1ガイド受け部に挿入され、
前記第1ガイドは、前記第1ガイド受け部を、前記第2方向に摺動可能で保持し、且つ前記第1ガイドが前記第2方向の摺動により第1所定位置に到達した時に前記第1方向に移動可能な状態で保持し、
前記第2ガイドの一部は、前記第2ガイド受け部に挿入され、
前記第2ガイドは、前記第2ガイド受け部を、前記第2方向若しくは前記第3方向に摺動可能で保持し、且つ前記第2ガイドが前記第2方向若しくは前記第3方向の摺動により第2所定位置に到達した時に前記第1方向に移動可能な状態で保持する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項10】
前記第3方向は、前記第2方向と垂直であり、
前記第1電子機器と前記取付部は、前記第1取付構造を介して取り付けられ、そして、前記取付部と前記第2電子機器は、前記第2取付構造を介して取り付けられ、
前記第1電子機器は、前記第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の一方を有し、
前記取付部は、前記第1取付構造として、前記第1ガイドと前記第1ガイド受け部の他方を有し、前記第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有し、
前記第2電子機器は、前記第2取付構造として、前記第2ガイドと前記第2ガイド受け部の他方を有し、
前記第1ガイドの一部は、前記第1ガイド受け部に挿入され、
前記第1ガイドは、前記第1ガイド受け部を、前記第2方向に摺動可能で保持し、且つ前記第1ガイドが前記第2方向の摺動により第1所定位置に到達した時に前記第1方向に移動可能な状態で保持し、
前記第2ガイドの一部は、前記第2ガイド受け部に挿入され、
前記第2ガイドは、前記第2ガイド受け部を、前記第3方向に摺動可能で保持し、且つ前記第2ガイドが前記第3方向の摺動により第2所定位置に到達した時に前記第1方向に移動可能な状態で保持する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項11】
前記第1電子機器は、アンテナ素子を含むアンテナ部であり、
前記第2電子機器は、信号処理部であり、
前記壁状部材は、前記車両ルーフであり、
前記第1電子機器は、前記取付部を介して、前記ルーフの少なくとも一部と電気的に接続され、
前記取付部は、前記ルーフと接触しない位置関係で前記第2電子機器の一部を覆う本体部と、前記本体部よりも前記ルーフに近い位置に設けられ、前記ルーフと接触する接触部とを有し、
前記接触部は、前記第1ガイドと前記第1ガイド受け部の他方を有し、
前記本体部は、前記第2ガイドと前記第2ガイド受け部の一方を有する、請求項9または請求項10に記載の車載装置。
【請求項12】
第1電子機器と前記第1電子機器と電気的に接続される第2電子機器とを含む車載装置の取付部であって、
前記第1電子機器と前記取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、前記第1電子機器が前記車両に取り付けられ、
前記第2電子機器と前記壁状部材が、前記取付部の少なくとも一部を挟む位置関係で、前記第2電子機器が前記取付部に取り付けられ、
前記第1電子機器と前記取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして/若しくは、前記取付部と前記第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられ、
前記第1取付構造は、前記第1電子機器と前記取付部の少なくとも一方の、前記第1方向と垂直な第2方向の摺動を行うための機構を含み、
前記第2取付構造は、前記取付部と前記第2電子機器の少なくとも一方の、前記第2方向若しくは前記第1方向と垂直な第3方向の摺動と、前記第2方向若しくは前記第3方向の摺動の後に前記第1方向の移動を行うための機構を含む、取付部。
【請求項13】
第1電子機器と、
取付部と、
前記第1電子機器と、電気的に接続される第2電子機器とを備え、
前記第1電子機器と前記取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、前記第1電子機器が前記車両に取り付けられ、
前記第2電子機器と前記壁状部材が、前記取付部の少なくとも一部を前記第1方向で挟む位置関係で、前記第2電子機器が前記取付部に取り付けられ、
前記第2電子機器と前記取付部とを取り付ける取付構造は、前記第2電子機器が前記第1電子機器に電気的に接続される際、前記第2電子機器を前記第1方向に移動させた状態で前記取付部に対して仮止めする仮止部を有する、車載装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、アンテナ部と信号処理部を含む車載用アンテナ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6314277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンテナ部と車両ルーフと信号処理部との取り付けの作業性が十分に考慮されていなかった。
【0005】
したがって本発明の目的の一例は、2つの電子機器の車両への取り付けを容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載装置は、第1電子機器と、取付部と、第1電子機器と電気的に接続される第2電子機器とを備える。第1電子機器と取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、第1電子機器が車両に取り付けられる。第2電子機器と壁状部材が、取付部の少なくとも一部を挟む位置関係で、第2電子機器が取付部に取り付けられる。第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして/若しくは、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1取付構造は、第1電子機器と取付部の少なくとも一方の、第1方向と垂直な第2方向の摺動を行うための機構を含む。第2取付構造は、取付部と第2電子機器の少なくとも一方の、第2方向若しくは第1方向と垂直な第3方向の摺動と、第2方向若しくは第3方向の摺動の後に第1方向の移動を行うための機構を含む。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によれば、2つの電子機器の車両への取り付けを容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の車載装置の斜視図で、第1電子機器(アンテナ部)と、取付部と、第2電子機器(信号処理部)とが取り付けられる前の状態を示すものである。
図2】車載装置の側面図で、車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部と、第2電子機器とが取り付けられる前の状態を示すものである。
図3】第1電子機器の斜視図である。
図4】第1コネクタが取り付けられたベースを下方から見た斜視図である。
図5】第1コネクタ及び取付部が取り付けられたベースを側方から見た斜視図である。
図6】第1コネクタが取り付けられたベースと、取付部の斜視図であって、これらが取り付けられる前の状態を示すものである。
図7】取付部と、第2電子機器の斜視図であって、これらが取り付けられる前の状態を示すものである。
図8】接触部と、本体部の斜視図であって、これらが取り付けられる前の状態を示すものである。
図9】第2電子機器の斜視図である。
図10】取付部が取り付けられた第2電子機器の斜視図である。
図11】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の側面図であって、第2工程の状態を示すものである。
図12】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の斜視図であって、第2工程の状態を示すものである。
図13】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の側面図であって、第3工程の状態を示すものである。
図14】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の斜視図であって、第3工程の状態を示すものである。
図15】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の側面図であって、第4工程の状態を示すものである。
図16】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の斜視図であって、第4工程の状態を示すものである。
図17】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の側面図であって、第5工程の状態を示すものである。
図18】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部の斜視図であって、第5工程の状態を示すものである。
図19】車両ルーフに取り付けられた第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の背面図であって、第6工程の状態を示すものである。
図20】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の背面図であって、第7工程の状態を示すものである。
図21】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の斜視図であって、第7工程の状態を示すものである。
図22】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の背面図であって、第8工程の状態を示すものである。
図23】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の斜視図であって、第8工程の状態を示すものである。
図24】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の背面図であって、第9工程の状態を示すものである。
図25】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の斜視図であって、第9工程の状態を示すものである。
図26】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の背面図であって、第10工程の状態を示すものである。
図27】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の斜視図であって、第10工程の状態を示すものである。
図28】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の背面図であって、第11工程の状態を示すものである。
図29】第1電子機器と、取付部と、第2電子機器の斜視図であって、第11工程の状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0010】
(車載装置1の構成)
本実施形態の車載装置1は、図1に示すように、第1電子機器(アンテナ部)10と、取付部30と、第2電子機器(信号処理部)50とを備える。図2に示すように、第1電子機器10は、アンテナケース11、パッド13、アンテナ素子15、第1基板17、ベース19、第1コネクタ21を有する。取付部30は、接触部(爪付きワッシャー)31、本体部33(ブラケット)、第1腕部35、第1締結部(ボルト)37を有する。第2電子機器50は、筐体51、第2基板53、第2腕部55、第2締結部57を有する。
【0011】
第1電子機器10は、第2電子機器50から送られた信号を外部に送信する。また、第1電子機器10は、外部から信号を受信して第2電子機器50に送る。
【0012】
取付部30は、上部で車両ルーフ90を挟む位置関係で第1電子機器10を固定するために用いられる。また、取付部30は、下部で第2電子機器50を固定するために用いられる。
【0013】
第2電子機器50は、第1電子機器10から外部に送信する信号を第1電子機器10に送る。また、第2電子機器50は、第1電子機器10で受信した信号の処理を行う。また、第2電子機器50は、車内LAN(Local Area Network)のケーブル(不図示)を介して車両のゲートウェイECU(不図示)と信号の送受信を行う。
【0014】
方向を説明するために、車載装置1が取り付けられる車両の前後方向をx方向、x方向と垂直な左右方向をy方向、x方向とy方向に垂直な略鉛直方向をz方向として説明する。
図1図29において、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ前方向、右方向、上方向と定義する。なお、図2では、第1電子機器10のアンテナケース11の内部に収容されて外部から見えない部材(アンテナ素子15、第1基板17など)、及び第2電子機器50の筐体51の内部に収容されて外部から見えない部材(第2基板53)が点線で示される。また、図4図5図10図20図29では、車両ルーフ90の図示を省略している。また、図5図10では、取付構造を説明するために、いくつかの部品の図示を省略している。なお、特許請求の範囲の記載では、z方向が第1方向に対応し、x方向とy方向の一方が第2方向に対応し、x方向とy方向の他方が第3方向に対応し、第2仮止め爪52cと爪受け部33c1とが仮止部に対応している。
【0015】
(第1取付構造、第2取付構造)
第1電子機器10と取付部30は、第1取付構造を介して取り付けられ、取付部30と第2電子機器50は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1取付構造は、第1電子機器10と取付部30の少なくとも一方の、z方向と垂直な方向の摺動と、当該摺動の後にz方向の移動を行うための機構を含む。第1取付構造として、第1電子機器10は、少なくとも第1ガイド19aと第1仮止め爪19bとを有し、取付部30は、少なくとも第1孔31a1と第1ガイド受け部32bとを有する。第2取付構造は、取付部30と第2電子機器50の少なくとも一方の、z方向と垂直な方向の摺動と、当該摺動の後にz方向の移動を行うための機構を含む。第2取付構造として、取付部30は、少なくとも第2ガイド32cと爪受け部33c1とを有し、第2電子機器50は、少なくとも第2ガイド受け部52bと第2仮止め爪52cとを有する。
【0016】
(第1電子機器10の構成)
次に、第1電子機器10の各部について説明する。
【0017】
(アンテナケース11)
アンテナケース11は、電波透過性を有する合成樹脂製である。アンテナケース11は、x方向前方がx方向後方よりも低くなるように傾斜し、両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を有する。アンテナケース11は、下面が開口し、下面の開口にはベース19が取り付けられる。アンテナケース11とベース19とで形成された空間内には、アンテナ素子15、第1基板17が収納される。
【0018】
(パッド13)
パッド13は、エラストマー(Elastomer)、ゴムなどで形成された弾性部材である。パッド13の上部には、アンテナケース11の下端周縁部が取り付けられる。パッド13は、アンテナケース11の下端周縁部とベース19の周縁部との間の隙間を塞ぐ。
【0019】
(アンテナ素子15)
アンテナ素子15は、電気信号を送信したり受信したりする。例えば、アンテナ素子15としては、衛星放送を受信するための平面アンテナ、GPSなどの衛星からの位置情報(時間情報)を受信するための平面アンテナ、AM/FM放送の受信用の容量装荷素子とコイルを含むアンテナ、V2X(車車間・路車間通信)用、及び通信端末用のアンテナなどが考えられる。アンテナ素子15は、第1基板17などを介して、ベース19に保持される。ただし、アンテナ素子15は、第1基板17を介さずに直接ベース19に保持されてもよいし、アンテナケース11の内壁に保持されてもよい。ベース19などに取り付けられたホルダーによってアンテナ素子15が保持されてもよい。
【0020】
(第1基板17)
第1基板17は、増幅回路、同調回路などアンテナ素子に関する電子部品、及びアンテナ素子15などを実装し、ベース19に保持される。第1基板17には、第1コネクタ21が取り付けられ、第1基板17と第1コネクタ21とが電気的に接続される。
【0021】
(ベース19)
ベース19は、例えばアンテナベースであり、アンテナケース11にz方向上方から覆われて、アンテナ素子15などを収容する収容空間を形成する。ベース19の上部には、第1基板17が取り付けられる。
【0022】
(第1ガイド19a)
図3図6に示すように、ベース19は、z方向下方に突出した第1ガイド19aを有する。第1ガイド19aは、第1電子機器10と取付部30の取り付けのために使用される。第1ガイド19aは、y方向に略垂直な壁状に形成される。第1ガイド19aは、y方向右方とy方向左方に3つずつ設けられる。
【0023】
(第1被挟持部19a1)
第1ガイド19aの下部には、y方向に突出する第1被挟持部19a1が設けられる。具体的には、y方向右方の第1ガイド19aの下部には、y方向右方に突出する第1被挟持部19a1が設けられる。また、y方向左方の第1ガイド19aの下部には、y方向左方に突出する第1被挟持部19a1が設けられる。第1被挟持部19a1は、取付部30の第1ガイド受け部32bに挿入される。第1被挟持部19a1は、第1ガイド19aが、取付部30をx方向に摺動可能な状態で保持するために使用される。
【0024】
(第1係合凹部19a2)
第1被挟持部19a1のx方向前方には、凹み(第1係合凹部19a2)が形成される。第1係合凹部19a2は、第1ガイド受け部32bの第1係合凸部32b1と係合する。第1係合凹部19a2と第1係合凸部32b1の係合により、取付部30のx方向後方への移動が完了する。
【0025】
(第1仮止め爪19b)
ベース19のz方向下方に突出した領域における、z方向上方には、第1仮止め爪19bが設けられる。第1仮止め爪19bは、x方向前方とx方向後方に2つずつ設けられる。第1仮止め爪19bは、取付部30のx方向後方への移動が完了した後、取付部30をz方向上方に持ち上げた時に、取付部30の第1平面部31aを掛け止めするために用いられる。
【0026】
また、第1仮止め爪19bは、第1電子機器10を車両ルーフ90に取り付ける時に、車両取付孔91にも掛け止めされる。この掛け止めにより、第1仮止め爪19bは、ベース19の車両ルーフ90よりもz方向上方の部分とで、車両ルーフ90を挟み込み、第1電子機器10が車両ルーフ90に仮止めされる。ただし、第1仮止め爪19bは、車両取付孔91への掛け止めのためだけに用いられてもよい。この場合には、第1仮止め爪19bは、第1取付構造としては使用されない。すなわち、第1仮止め爪19bと第1平面部31aの掛け止めは行われず、後述する第5工程は省略される。
【0027】
(接触凸部19c)
ベース19の第1ガイド19aで囲まれた領域には、z方向下方に突出する接触凸部19cが設けられる。接触凸部19cは、y方向右方とy方向下方に1つずつ設けられる。接触凸部19cのz方向下方への突出量は、第1ガイド19aのz方向下方への突出量よりも少ない。
【0028】
また、ベース19の第1ガイド19aで囲まれた領域で、接触凸部19cよりもx方向後方には、第1コネクタ21が貫通する孔が設けられる。
【0029】
また、ベース19には第1締結部37が螺合する孔若しくは凹み(ベース孔19d)が設けられている。ベース孔19dは、y方向右方の接触凸部19cとy方向左方の接触凸部19cの間に設けられる。第1電子機器10が車両ルーフ90に仮止めされ、取付部30が第1電子機器10に仮止めされた後の第1締結部37とベース孔19dの螺合により、取付部30の接触部31の爪(第1爪部32a1)が車両ルーフ90の下面に接触する。これにより、第1基板17、ベース19、接触部31、及び第1締結部37を介して、第1基板17と車両ルーフ90の電気的な接続(接地)が行われる。
【0030】
ベース19は、アルミダイカスト等の金属で構成されていてもよいし、一部が金属で構成され、それ以外の部分が、樹脂で構成されてもよい。ベース19が樹脂のみで構成されていてもよい。
【0031】
(第1コネクタ21)
第1コネクタ21は、第1基板17に取り付けられ、第2電子機器50の第2基板53との電気的な接続に用いられる。第1コネクタ21の下部は、z方向下方に突出する。第1コネクタ21の下部は、ベース19の孔を貫通する。第1コネクタ21は、筐体51の第3孔51a2などを貫通した第2コネクタ61と嵌合する。
【0032】
第1コネクタ21と第2コネクタ61とが接続することにより、第2電子機器50から第1基板17に設けられた電子部品への電力供給、アンテナ素子15から第2電子機器50への信号の送信、及び第2電子機器50からアンテナ素子15への信号の送信などが可能な状態にされる。ただし、第1コネクタ21の代わりにケーブル(不図示)が、第1基板17との電気的な接続に用いられてもよい。
【0033】
(取付部30の構成)
次に、取付部30の各部について説明する。取付部30は、第1電子機器10と第2電子機器50との間に介在する。
【0034】
(接触部31)
図7図8に示すように、接触部31は、第1平面部31aと、爪部(第1爪部32a1、第2爪部32a2、土台部32a3)、第1ガイド受け部32b、第2ガイド32cを有する。接触部31は、本体部33よりも車両ルーフ90に近い位置に設けられる。
【0035】
第1平面部31aは、略四角形状で、z方向に垂直な面を有する。第1平面部31aには、第1孔31a1が設けられる。第1孔31a1のx方向の長さは、車両ルーフ90の車両取付孔91のx方向の長さと略同じである。第1孔31a1には、z方向上方から第1ガイド19aが貫通し、z方向下方から第2コネクタ61が貫通する。第1平面部31aの第1孔31a1がある領域には、爪部の土台部32a3が取り付けられる。第1平面部31aのx方向前方で、且つ第1平面部31aよりもz方向上方に高い位置には第2平面部31a2が形成される。第1ガイド19aが第1所定位置に到達した状態で、取付部30がz方向上方に移動した時、第1孔31a1の周縁部のx方向前方及びx方向後方に、第1仮止め爪19bが掛け止めされる。第1所定位置の詳細については、後述する。
【0036】
(接触部31の爪部)
接触部31の爪部は、第1爪部32a1、第2爪部32a2、土台部32a3を有する。本実施形態では、接触部31の爪部は、接触部31の他の部分と別体で構成されるが、一体で構成されてもよい。第1爪部32a1は、土台部32a3のy方向の両端に1つずつ設けられる。第1爪部32a1の一方は、土台部32a3のy方向右方の端部から、z方向斜め上方で、土台部32a3から離れる方向に延びる。第1爪部32a1の他方は、土台部32a3のy方向左方の端部から、z方向斜め上方で、土台部32a3から離れる方向に延びる。車両ルーフ90を挟む位置関係で第1電子機器10と取付部30とが接続され、第1締結部37とベース孔19dとが螺合した時に、第1爪部32a1の上端部の一部が車両ルーフ90の下面に食い込むようにして、当該上端部は、車両ルーフ90と接触する。
【0037】
第2爪部32a2は、第1平面部31aのx方向の両端に1つずつ設けられる。第2爪部32a2は、土台部32a3のx方向の端部(前後端)から、z方向上方に延びる。第2爪部32a2は、x方向に垂直な面を有する。
【0038】
土台部32a3は、略四角形状で、z方向に垂直な面を有する。土台部32a3には、第1締結部37の軸部が通る孔が設けられる。
【0039】
(第1ガイド受け部32b)
第1平面部31aのy方向の両端には、第1ガイド受け部32bが設けられる。第1ガイド受け部32bの一方は、第1平面部31aのy方向右方の端部からz方向上方に突出し、x方向に延びる。第1ガイド受け部32bの一方の内側面は、すなわち、第1ガイド受け部32bの他方がある側の面には、溝が設けられる。第1ガイド受け部32bの他方は、第1平面部31aのy方向左方の端部からz方向上方に突出し、x方向に延びる。第1ガイド受け部32bの他方の内側面、すなわち、第1ガイド受け部32bの一方がある側の面には、溝が設けられる。第1ガイド受け部32bの溝には、第1ガイド19aが嵌め込まれる。
【0040】
第1ガイド19aが第1所定位置に到達するまでは、取付部30のz方向上方への移動を制限するように、且つ第1ガイド19aが第1所定位置に到達した状態では、取付部30のz方向上方への移動の制限を解除するように、第1ガイド受け部32bの溝が形成される。従って、第1ガイド受け部32bには、少なくとも差込口がある側にz方向の幅が狭い溝が設けられる。第1ガイド受け部32bの差込口がある側のz方向の幅は、第1被挟持部19a1のz方向の幅と略同等である。第1所定位置は、第1ガイド19aの第1被挟持部19a1が、第1ガイド受け部32bの奥まで挿入されて、第2平面部31a2に近づいた位置である。
【0041】
第1ガイド受け部32bには、第1係合凸部32b1が設けられる。第1係合凸部32b1は、第1被挟持部19a1が第1所定位置に到達した時に、第1係合凹部19a2と係合する。
【0042】
(第2ガイド32c)
第2平面部31a2のx方向前方と、第1平面部31aのx方向後方には、z方向下方に突出する第2ガイド32cが形成される。第2ガイド32cは、取付部30と第2電子機器50の取り付けのために使用される。第2ガイド32cは、x方向に略垂直な壁状に形成される。第2ガイド32cは、x方向前方とx方向後方に1つずつ設けられる。
【0043】
(第2被挟持部32c1)
第2ガイド32cの下部には、x方向に突出する第2被挟持部32c1が設けられる。具体的には、x方向前方の第2ガイド32cの下部には、x方向前方に突出する第2被挟持部32c1が設けられる。また、x方向後方の第2ガイド32cの下部には、x方向後方に突出する第2被挟持部32c1が設けられる。第2被挟持部32c1は、第2電子機器50の第2ガイド受け部52bに挿入され、第2ガイド32cが、第2電子機器50をy方向に摺動可能な状態で保持するために使用される。
【0044】
(第2係合凹部32c2)
第2被挟持部32c1のy方向左方には、凹み(第2係合凹部32c2)が形成される。第2係合凹部32c2は、第2ガイド受け部52bの第2係合凸部52b1と係合する(図9参照)。第2係合凹部32c2と第2係合凸部52b1の係合により、第2電子機器50のy方向右方への移動が完了する。
【0045】
(本体部33)
本体部33は、第2電子機器50の一部をz方向上方から覆う。本体部33は、上面部33aと、第1脚部33bと、第2脚部33cを有する。
【0046】
(第1領域331a、第2領域332a、第3領域333a)
上面部33aは、第1領域331a、第2領域332a、第3領域333aを有する。第1領域331aは、z方向から見て略四角形状を有する。第2領域332aは、第1領域331aのy方向右方に設けられ、z方向から見て略十字形状を有する。第3領域333aは、第1領域331aのy方向左方に設けられ、z方向から見て略十字形状を有する。第1領域331aは、上面で、第1平面部31aの下面と接触する。第1領域331aには、第2孔33a1が設けられる。第2孔33a1は、z方向から見て第1孔31a1の一部と重なる。第2孔33a1には、z方向上方から第1ガイド19aが貫通し、z方向下方から第2コネクタ61が貫通する。第1領域331aには、第1締結部37の軸部が貫通する軸孔33a2が設けられる。
【0047】
(第1脚部33b)
第1脚部33bは、上面部33aの第2領域332aのy方向右方の端部と、上面部33aの第3領域333aのy方向左方の端部に1つずつ設けられる。第1脚部33bの一方は、第2領域332aのy方向右方の端部から、z方向斜め下方で、第1領域331aから離れる方向に延びる。第1脚部33bの他方は、第3領域333aのy方向左方の端部から、z方向斜め下方で、第1領域331aから離れる方向に延びる。
【0048】
(第2脚部33c)
第2脚部33cは、上面部33aの第2領域332a及び第3領域333aのx方向の端部から、z方向下方に延びる。第2脚部33cは、x方向に垂直な面を有する。第2脚部33cは、上面部33aの第2領域332aのx方向の両端と第3領域333aのx方向の両端に少なくとも二対設けられる。
【0049】
(爪受け部33c1)
第2脚部33cには、孔(爪受け部33c1)が設けられる。第2ガイド32cが第2所定位置に到達した状態で、第2電子機器50がz方向上方に移動した時、爪受け部33c1に、第2仮止め爪52cが掛け止めされる。第2所定位置の詳細については、後述する。
【0050】
(第1腕部35)
第1腕部35は、z方向に垂直な面を有する。第1腕部35の一方は、第1脚部33bの下端からy方向右方に突出するように延びる。第1腕部35の他方は、第1脚部33bの下端からy方向左方に突出するように延びる。第1腕部35は、上面部33aよりも、z方向下方に設けられる。すなわち、第1腕部35は、上面部33aよりも、車両ルーフ90から離れた位置に設けられる。第1腕部35には、第1腕部孔35aが設けられる。第2締結部57は、第1腕部孔35aを貫通する。
【0051】
(本体部33と第1腕部35の構成)
本体部33と第1腕部35は、金属で一体的に構成される。例えば、本体部33と第1腕部35は、金属の板状部材を折り曲げるなどして形成される。ただし、本体部33の上面部33aの接触部31と接する部分が金属で構成され、他の部分は樹脂などの非金属で構成されてもよい。
【0052】
(接触部31と本体部33の構成)
接触部31と本体部33とは、別体で構成され、接着、溶着などで接続される。ただし、接触部31と本体部33とが、金属で一体的に構成されてもよい。
【0053】
(本体部33の非接触)
取付部30が第1電子機器10に取り付けられた時に、本体部33が車両ルーフ90と接触しない位置関係になるように、接触部31、本体部33の寸法などが決定されるのが望ましい。この場合、本体部33は、車両ルーフ90と接触しない位置関係で、第2電子機器50の一部をz方向上方から覆う。これにより、接触部31以外の箇所で取付部30と車両ルーフ90との電気的な接続がない状態に出来る。また、車両の振動などにより一時的に本体部33が車両ルーフ90と接触することを防止する目的で、本体部33と車両ルーフ90との間に、絶縁部材で構成された緩衝材(不図示)が設けられても良い。
【0054】
(第1締結部37)
第1締結部37は、ボルトなどで構成され、ベース19のベース孔19dとの螺合に用いられる。本実施形態では、第1締結部37がボルトである例を示す。ベース19と第1締結部37との螺合により、車両ルーフ90を挟む位置関係で、第1電子機器10と取付部30とが接続される。
【0055】
(第2電子機器50の構成)
次に、図2図9図10等を用いて第2電子機器50の各部について説明する。
【0056】
(筐体51)
筐体51は、略直方体形状を有し、第2基板53を内蔵する。筐体51の上面の中心部は、上面の周縁部よりもz方向下方に凹んだ上面凹部51aを有する。
【0057】
上面凹部51aには、締結部収納部51a1が設けられる。締結部収納部51a1は、上面凹部51aに設けられた凹みである。締結部収納部51a1は、第2電子機器50が取付部30に取り付けられる時、具体的には、第2ガイド32cが第2所定位置に到達した時、第2孔33a1とz方向で対向する位置に設けられる。締結部収納部51a1は、第1締結部37を構成するボルトの頭部を収納する。第2所定位置の詳細については、後述する。
【0058】
また、上面凹部51aには、第1ガイド19aと第2コネクタ61が貫通する第3孔51a2が設けられる。第3孔51a2は、第2電子機器50が取付部30に取り付けられる時に、具体的には、第2ガイド32cが第2所定位置に到達した時に、第1孔31a1及び第2孔33a1とz方向で対向する位置に設けられる。
【0059】
また、上面凹部51aの第2ガイド受け部52bとの接続領域には、第2ガイド32cが貫通する第4孔51a3が設けられる。第4孔51a3は、第2電子機器50が取付部30に取り付けられる時に、具体的には、第2ガイド32cが第2所定位置に到達した時に、第2ガイド32cの下端と対向する位置に設けられる。
【0060】
(ガイド受け凸部51b、ガイド受け面51c)
筐体51の上面のy方向右方には、z方向に突出するガイド受け凸部51bが設けられる。ガイド受け凸部51bのx方向の幅は、第2ガイド32cの一方と第2ガイド32cの他方のx方向の距離よりも短い。筐体51の上面のガイド受け凸部51bが設けられた領域とx方向前方の端部の間、及び筐体51の上面のガイド受け凸部51bが設けられた領域とx方向後方の端部の間には、z方向に垂直な面(ガイド受け面51c)が設けられる。ガイド受け凸部51bとガイド受け面51cは、取付部30と第2電子機器50の取り付けの際に、第2ガイド32cの位置決めに用いられる。具体的には、第2ガイド32cは、ガイド受け凸部51bをx方向で挟む位置関係で、ガイド受け面51cの上に配置され、その後に、第2ガイド受け部52bに挿入される。
【0061】
(筐体凸部51d)
筐体51の上面のy方向左方には、z方向に突出する筐体凸部51dが設けられる。筐体凸部51dのx方向の幅は、第2ガイド32cの一方と第2ガイド32cの他方のx方向の距離よりも長い。このため、第2ガイド32cは、筐体凸部51dをx方向で挟むことが出来ない。これにより、取付部30に第2電子機器50を取り付ける際の位置関係を間違えにくくできる。
【0062】
(第2ガイド受け部52b)
筐体51の上面のy方向中央で且つx方向の両端には、第2ガイド受け部52bが設けられる。第2ガイド受け部52bの一方は、筐体51の上面のy方向中央で且つx方向前方の端部からz方向上方に突出し、y方向に延びる。第2ガイド受け部52bの一方の内側面は、すなわち、第2ガイド受け部52bの他方がある側の面には、溝が設けられる。第2ガイド受け部52bの他方は、筐体51の上面のy方向中央で且つx方向後方の端部からz方向上方に突出し、y方向に延びる。第2ガイド受け部52bの他方の内側面、すなわち、第2ガイド受け部52bの一方がある側の面には、溝が設けられる。第2ガイド受け部52bの溝には、第2ガイド32cが嵌め込まれる。
【0063】
第2ガイド32cが第2所定位置に到達するまでは、第2電子機器50のz方向上方への移動を制限するように、且つ第2ガイド32cが第2所定位置に到達した状態では、第2電子機器50のz方向上方への移動の制限を解除するように、第2ガイド受け部52bの溝が形成される。従って、第2ガイド受け部52bには、少なくとも差込口がある側にz方向の幅が狭い溝が設けられる。第2ガイド受け部52bの差込口がある側のz方向の幅は、第2被挟持部32c1のz方向の幅と略同等である。第2所定位置は、第2ガイド32cの第2被挟持部32c1が、第2ガイド受け部52bの奥まで挿入されて、筐体凸部31dに近づいた位置である。
【0064】
第2ガイド受け部52bには、第2係合凸部52b1が設けられる。第2係合凸部52b1は、第2被挟持部32c1が第2所定位置に到達した時に、第2係合凹部32c2と係合する。
【0065】
(第2仮止め爪52c)
筐体51の前面のy方向右方とy方向左方には、第2仮止め爪52cが設けられる。同様に、筐体51の後面のy方向右方とy方向左方には、第2仮止め爪52cが設けられる。第2仮止め爪52cは、第2電子機器50のy方向右方への移動が完了した後、第2電子機器50をz方向上方に持ち上げた時に、取付部30の爪受け部33c1を掛け止めするために用いられる。
【0066】
(第2基板53)
第2基板53は、車内LANのケーブル(不図示)を介して車両のゲートウェイECUと接続される。第2基板53は、デジタル信号とアナログ信号を相互に変換する。具体的には、第2基板53は、アンテナ素子15で受信した信号、及びアンテナ素子15で送信する信号を、デジタル信号で、ゲートウェイECUと送受信する。
【0067】
ゲートウェイECUは、車内LANを介して、情報処理装置など、車内に設置された電子機器と信号の送受信を行う。情報処理装置は、カーナビゲーションシステム、オーディオ機器など、情報を音声、映像などで出力する装置である。
【0068】
第2基板は、例えば、FM/AMチューナー、通信モジュール、位置演算モジュール、V2Xモジュール、SXM・DABモジュールなどを有する。
【0069】
(第2腕部55)
第2腕部55は、z方向に垂直な面を有する。第2腕部55の一方は、筐体51のy方向右方の側面からy方向右方に突出するように延びる。第2腕部55の他方は、筐体51のy方向左方の側面からy方向左方に突出するように延びる。
【0070】
第2腕部55は、筐体51の上面よりも、z方向下方に設けられる。すなわち、第2腕部55は、筐体51の上面よりも、車両ルーフ90から離れた位置に設けられる。第2腕部55には、第2締結部57が貫通する第2腕部孔55aが設けられる。第2腕部孔55aは、第2電子機器50が取付部30に取り付けられる時に、具体的には、第2ガイド32cが第2所定位置に到達した時に、第1腕部孔35aとz方向で対向する位置に設けられる。車載装置1が車両ルーフ90に取り付けられる前に、第2腕部55に第2締結部57が取り付けられる。
【0071】
(第2締結部57)
第2締結部57は、クリップなどで構成され、z方向下方から、第2腕部孔55aと第1腕部孔35aを貫通する。第2締結部57が、第2腕部孔55aと第1腕部孔35aを貫通することで、第2電子機器50が取付部30に固定される(図10参照)。
【0072】
(取り付け手順)
次に、車両組立の作業者などが、車載装置1を車両ルーフ90に取り付ける手順について説明する。予め、第1電子機器10が組み立てられている(図3参照)。また、取付部30が組み立てられている(図7参照)。第1締結部37は、z方向下方から、軸孔33a2と土台部32a3における第1締結部37の軸部が通る孔に挿入された状態にされる。また、第2電子機器50が組立てられている。第2締結部57は、z方向下方から、第2腕部孔55aに挿入された状態にされる。
【0073】
まず、作業者が、第1電子機器10の第1コネクタ21とベース19の第1ガイド19aを、z方向上方から、車両ルーフ90の車両取付孔91に挿入する。第1仮止め爪19bが車両取付孔91の周縁部に掛け止めされて、第1電子機器10が車両ルーフ90に仮止めされる(第1工程、図2参照)。
【0074】
次に、作業者が、取付部30を、x方向前方から第1ガイド19aに近づける(第2工程、図11図12参照)。具体的には、x方向前方から、第1ガイド19aの第1被挟持部19a1に、取付部30の第1ガイド受け部32bの差込口が近づけられる。
【0075】
次に、作業者が、取付部30をx方向後方に移動させる(第3工程、図13図14参照)。具体的には、第1ガイド19aの第1被挟持部19a1が、第1ガイド受け部32bの溝に嵌め込まれる。第1ガイド受け部32bの差込口側の溝のz方向の幅は狭い。このため、第1被挟持部19a1のz方向の移動は制限される。
【0076】
次に、作業者が、取付部30をさらにx方向後方に移動させる(第4工程、図15図16参照)。第1被挟持部19a1が第1所定位置に到達し、第1ガイド19aの第1係合凹部19a2と、第1ガイド受け部32bの第1係合凸部32b1とが係合すると、取付部30のx方向後方への移動が完了する。このとき、第1ガイド19aと第1コネクタ21が、第1孔31a1と第2孔33a1とが、z方向で対向する状態になる。また、ベース19のベース孔19dと、第1締結部37とが、z方向で対向する状態になる。第1ガイド受け部32bの奥側(第2平面部31a2に近い側)は、溝が省略される、若しくは当該奥側の溝のz方向の幅は広い。このため、第1被挟持部19a1のz方向上方への移動が可能になる。
【0077】
次に、作業者が、取付部30をz方向上方に移動させる。第1仮止め爪19bが第1孔31a1の周縁部に掛け止めされて、取付部30が第1電子機器10に仮止めされる(第5工程、図17図18参照)。このとき、第1ガイド19aと第1コネクタ21が、第1孔31a1と第2孔33a1を貫通した状態になる。なお、第1仮止め爪19bの第1孔31a1の周縁部への掛け止めが行われない場合は、第5工程は省略される。
【0078】
次に、作業者が、第1締結部37(図15参照)をベース孔19d(図15参照)に螺合させる。これにより、取付部30がz方向上方に移動し、第1電子機器10と取付部30とが、z方向で車両ルーフ90の少なくとも一部を挟む位置関係で、第1電子機器10と取付部30とが車両ルーフ90に固定される。また、第1締結部37の締付により、接触部31の第1爪部32a1が車両ルーフ90に接続する(第6工程、図19参照)。
【0079】
次に、作業者が、第2電子機器50を、y方向左方から第2ガイド32cに近づける(第7工程、図20図21参照)。具体的には、第2ガイド32cが、ガイド受け凸部51bをx方向で挟む位置関係で、ガイド受け面51cの上に配置される。これにより、第2ガイド32cの第2被挟持部32c1に、第2電子機器50の第2ガイド受け部52bの差込口が近づいた状態になる。
【0080】
次に、作業者が、第2電子機器50をy方向右方に移動させる(第8工程、図22図23参照)。具体的には、第2ガイド32cの第2被挟持部32c1が、第2ガイド受け部52bの溝に嵌め込まれる。第2ガイド受け部52bの差込口側の溝のz方向の幅は狭い。このため、第2被挟持部32c1のz方向の移動は制限される。
【0081】
次に、作業者が、第2電子機器50をさらにy方向右方に移動させる(第9工程、図24図25参照)。第2被挟持部32c1が第2所定位置に到達し、第2ガイド32cの第2係合凹部32c2と、第2ガイド受け部52bの第2係合凸部52b1とが係合すると、第2電子機器50のy方向右方への移動が完了する。
【0082】
このとき、第1ガイド19aと、第3孔51a2とが、z方向で対向する状態になる。また、第1コネクタ21と、第2コネクタ61とが、z方向で対向する状態になる。また、第2ガイド32cと、第4孔51a3とが、z方向で対向する状態になる。また、第1腕部孔35aと、第2腕部孔55aとが、z方向で対向する状態になる。また、第1締結部37と、締結部収納部51a1とが、z方向で対向する状態になる。第2ガイド受け部52bの奥側(筐体凸部31dに近い側)は、溝が省略される、若しくは当該奥側の溝のz方向の幅は広い。このため、第2被挟持部32c1のz方向上方への移動が可能になる。
【0083】
次に、作業者が、第2電子機器50をz方向上方に移動させる。第2仮止め爪52cが爪受け部33c1に掛け止めされて、第2電子機器50が取付部30に仮止めされる(第10工程、図26図27参照)。
【0084】
このとき、第1ガイド19aが、第3孔51a2を貫通した状態になる。また、第2ガイド32cが、第4孔51a3を貫通した状態になる。また、第1締結部37の頭部が、締結部収納部51a1に収納された状態になる。
【0085】
次に、作業者が、第2締結部57を第1腕部35の第1腕部孔35aに挿入して、掛け止めする。このとき、第1コネクタ21と、第2コネクタ61とが、嵌合し電気的に接続した状態になる。これにより、第2電子機器50と車両ルーフ90とが、z方向で取付部30の少なくとも一部を挟む位置関係で、第2電子機器50が取付部30に固定される(第11工程、図28図29参照)。車載装置1の車両ルーフ90への取り付けが完了する。
【0086】
(x方向若しくはy方向のスライド移動とz方向の移動による取付構造を設けたことの効果)
第2電子機器50と車両の壁状部材(車両ルーフ90)との間に設けた取付部30を使って、前段(第1工程~第6工程)で第1電子機器10の車両の壁状部材(車両ルーフ90)への固定が行われ、後段(第7工程~第11工程)で、第2電子機器50の取付部30への固定が行われる。摺動(x方向のスライド移動)により第1電子機器10と取付部30の少なくとも一方を移動させてから、第1方向(z方向)の移動を行って、第1電子機器10と取付部30の取り付けが行われる、そして/若しくは、摺動(y方向のスライド移動)により取付部30と第2電子機器50の少なくとも一方を移動させてから、第1方向(z方向)の移動を行って、取付部30と第2電子機器50の取り付けが行われる。これにより、下方などから接続箇所が見えにくい状態でも、第1電子機器10と取付部30の取り付け、そして/若しくは、取付部30と第2電子機器50の取り付けを行うことが出来る。すなわち、第1電子機器10と第2電子機器50を含む車載装置1の車両への取り付けを簡単に行うことができる。
【0087】
(ガイドとガイド受け部を設けたことの効果)
第1ガイド19aによる、摺動可能(x方向のスライド移動が可能)で且つ第1方向(z方向)の移動可能な状態での第1ガイド受け部32bの保持により、第1電子機器10と取付部30の少なくとも一方の摺動(x方向のスライド移動)と第1方向(z方向)の移動を容易に行える。第2ガイド32cによる、摺動可能(y方向のスライド移動が可能)で且つ第1方向(z方向)の移動可能な状態での第2ガイド受け部52bの保持により、取付部30と第2電子機器50の少なくとも一方の摺動(y方向のスライド移動)と第1方向(z方向)の移動を容易に行える。
【0088】
(係合凸部と係合凹部を設けたことの効果)
係合する前と係合した後で、操作の感触が変化する。このため、第1ガイド19aが第1所定位置に到達したか否かが見えにくい状態でも、操作の感触で、作業者が第1ガイド19aの第1所定位置への到達を知ることが可能になる。同様に、第2ガイド32cが第2所定位置に到達したか否かが見えにくい状態でも、操作の感触で、作業者が第2ガイド32cの第2所定位置への到達を知ることが可能になる。
【0089】
(第1電子機器10に第1仮止め爪19bを設けたことの効果)
第1電子機器10を車両の壁状部材(車両ルーフ90)の仮止めに、第1仮止め爪19bを活用することが出来る。
【0090】
(第1仮止め爪19b、第2仮止め爪52cを設けたことの効果)
第1仮止め爪19bと第1平面部31aの掛け止めを行う場合には、第1仮止め爪19bによる仮止めにより、取付部30を第1方向(z方向)に移動させた状態を維持させ、その後の固定(締結)を容易に行える。第2仮止め爪52cによる仮止めにより、取付部30と第2電子機器50の少なくとも一方を第1方向(z方向)に移動させた状態を維持させ、その後の固定(掛け止め)を容易に行える。
【0091】
(車載装置1をアンテナ装置に適用することの効果)
取付部30を介した第1電子機器10と第2電子機器50の取り付けの際に、第1電子機器10と車両の壁状部材(車両ルーフ90)との電気的な接続(接地)と、第1電子機器10と第2電子機器50との電気的な接続も、行える。
【0092】
(取付部30の接触部31が爪付きワッシャーとして機能することの効果)
第1電子機器10をアンテナ部として用いる場合には、第2電子機器(信号処理部)50を用いない、通常のアンテナ装置と略同じ構成のものを、第1電子機器10として用いることが可能になる。
【0093】
(第1締結部37の頭部を収納することの効果)
第1締結部37の頭部は、筐体51の締結部収納部51a1に収納される。このため、取り付け完了後は、第1締結部37の頭部が外部に触れにくい状態になり、第1締結部37の締め付けが緩くなるのを防ぐことができる。
【0094】
(腕部を設けたことの効果)
第1脚部33bに設けられた第1腕部35は、弾性変形により、第1腕部35と第1脚部33bの接続部分を中心に、第1腕部35の先端部が移動可能な状態(フラップする状態)になる。このため、車両の振動などで、第2電子機器50が動いた時に、第1コネクタ21に力が加わるのを軽減することが出来る。
【0095】
(腕部を低い位置に設けたことの効果)
第1腕部35は、上面部33aよりも、z方向下方に設けられる。このため、クリップなどの第2締結部57の先端部が第1腕部35と車両ルーフ90との間に突出させるスペースを設けることが可能になる。
【0096】
(ガイドとガイド受け部の配置の応用例)
本実施形態では、第1取付構造として、第1ガイド19aが第1電子機器10に設けられ、第1ガイド受け部32bが取付部30に設けられる例を説明した。また、第2取付構造として、第2ガイド32cが取付部30に設けられ、第2ガイド受け部52bが第2電子機器20に設けられる例を説明した。
【0097】
しかしながら、第1取付構造と第2取付構造は、これらの構成に限るものではない。例えば、第1取付構造として、第1ガイド19aに相当する部材が取付部30に設けられ、第1ガイド受け部32bに相当する部材が第1電子機器10に設けられてもよい。また、第2取付構造として、第2ガイド32cに相当する部材が第2電子機器20に設けられ、第2ガイド受け部52bに相当する部材が取付部30に設けられてもよい。
【0098】
(仮止め爪の応用例)
また、本実施形態では、第1取付構造として、第1仮止め爪19bが第1電子機器10に設けられ、第1仮止め爪19bの受け部(第1孔31a1)が取付部30に設けられる例を説明した。また、第2取付構造として、第2仮止め爪52cの受け部(爪受け部33c1)が取付部30に設けられ、第2仮止め爪52cが第2電子機器50に設けられる例を説明した。
【0099】
しかしながら、第1取付構造と第2取付構造は、これらの構成に限るものではない。例えば、第1取付構造として、第1仮止め爪19bの受け部(第1孔31a1)に相当する部材が第1電子機器10に設けられ、第1仮止め爪19bに相当する部材が取付部30に設けられてもよい。また、第2取付構造として、第2仮止め爪52cに相当する部材が取付部30に設けられ、第2仮止め爪52cの受け部(爪受け部33c1)に相当する部材が第2電子機器50に設けられてもよい。
【0100】
(摺動主体の応用例)
また、本実施形態では、取付部30がx方向後方に摺動して、第2工程~第4工程が実行される例を説明した。また、第2電子機器50がy方向右方に摺動して、第7工程~第9工程が実行される例を説明した。
【0101】
しかしながら、第1取付構造と第2取付構造のz方向に垂直な方向の摺動の形態はこれらの構成に限るものではない。例えば、第1電子機器10がx方向前方に摺動して、第2工程~第4工程が実行されてもよいし、第1電子機器10と取付部30が互いに近づくように摺動して、第2工程~第4工程が実行されてもよい。また、取付部30がy方向左方に摺動して、第7工程~第9工程が実行されてもよいし、取付部30と第2電子機器50が互いに近づくように摺動して、第7工程~第9工程が実行されてもよい。
【0102】
(摺動主体の応用例)
また、本実施形態では、第1取付構造の摺動の方向と、第2取付構造の摺動の方向とが、互いに直交する例を説明した。この場合、第2工程~第4工程のx方向の移動と、第7工程~第9工程のy方向の移動の手順を間違えにくく出来る。
【0103】
しかしながら、第1取付構造の摺動の方向と、第2取付構造の摺動の方向は、直交するものに限らない。例えば、第1取付構造の摺動の方向と、第2取付構造の摺動の方向が、直交しない別々の方向であってもよいし、共にx方向(若しくはy方向)であってもよい。
【0104】
(z方向移動の応用例)
また、本実施形態では、取付部30がz方向上方に移動して、第5工程~第6工程が実行される例を説明した。また、第2電子機器50がz方向上方に移動して、第10工程~第11工程が実行される例を説明した。
【0105】
しかしながら、第1取付構造と第2取付構造のz方向の移動の形態はこれらの構成に限るものではない。例えば、第1電子機器10がz方向下方に移動して、第5工程~第6工程が実行されてもよいし、取付部30がz方向下方に移動して、第10工程~第11工程が実行されてもよい。
【0106】
(係合凸部と係合凹部の応用例)
また、本実施形態では、第1ガイド19aに第1係合凹部19a2が設けられ、第1ガイド受け部32bに第1係合凸部32b1が設けられる例を説明した。しかしながら、第1ガイド19aに第1係合凸部32b1に相当する凸部が設けられ、第1ガイド受け部32bに第1係合凹部19a2に相当する凹部が設けられてもよい。
【0107】
(第1取付構造と第2取付構造の応用例)
また、本実施形態では、第1電子機器10と取付部30は、第1取付構造を介して取り付けられ、取付部30と第2電子機器50は、第2取付構造を介して取り付けられる例を説明した。しかしながら、第1電子機器10と取付部30は、第1取付構造を介して取り付けられ、取付部30と第2電子機器50は、第2取付構造とは別の構造を介して取り付けられてもよい。また、第1電子機器10と取付部30は、第1取付構造とは別の構造を介して取り付けられ、取付部30と第2電子機器50は、第2取付構造を介して取り付けられてもよい。
【0108】
(アンテナ装置以外への応用例)
また、本実施形態では、車載装置1が車載用アンテナ装置であるとして説明し、第1電子機器10がアンテナ部であり、第2電子機器50が信号処理部である例を説明した。
【0109】
しかしながら、車載装置1は、これらの構成に限るものではない。例えば、第1電子機器10が、後方確認カメラなどの撮影装置であり、第2電子機器50が、当該撮影装置で得られたデータの画像処理を行う信号処理部である形態が考えられる。他にも、第1電子機器10が信号処理部であり、第2電子機器50がアンテナ部である形態も考えられる。
【0110】
(第1電子機器10の配置の応用例)
また、本実施形態では、第1電子機器10が車両の外側に配置され、第2電子機器50が車両の内側に配置され、第1電子機器10と取付部30が車両ルーフ90を挟む位置関係で取り付けられ、その後に第2電子機器50が取付部30に取り付けられる例を説明した。
【0111】
しかしながら、車載装置1は、これらの構成に限るものではない。例えば、第1電子機器10と第2電子機器50が、車両の内側に配置され、第1電子機器10と取付部30が車両の壁状部材(取り付け対象物)を挟む位置関係で取り付けられ、その後に第2電子機器50が取付部30に取り付けられる形態が考えられる。
【0112】
(第2電子機器50の配置の応用例)
また、本実施形態では、第1電子機器10と取付部30と第2電子機器50が、z方向などの一直線上に並べられる、すなわち、第1電子機器10のz方向下方に第2電子機器50が配置される例を説明した。
【0113】
しかしながら、第1電子機器10と取付部30と第2電子機器50の配置は、これに限るものではない。例えば、第1電子機器10よりもz方向下方であって、x方向前方若しくはy方向右方にずれた位置に、第2電子機器50が配置され、かかる第2電子機器50が取付部30に取り付けられる形態が考えられる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0115】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1)
車載装置は、第1電子機器と、取付部と、第1電子機器と電気的に接続される第2電子機器とを備える。第1電子機器と取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、第1電子機器が車両に取り付けられる。第2電子機器と壁状部材が、取付部の少なくとも一部を挟む位置関係で、第2電子機器が取付部に取り付けられる。第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして/若しくは、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1取付構造は、第1電子機器と取付部の少なくとも一方の、第1方向と垂直な第2方向の摺動を行うための機構を含む。第2取付構造は、取付部と第2電子機器の少なくとも一方の、第2方向若しくは第1方向と垂直な第3方向の摺動と、第2方向若しくは第3方向の摺動の後に第1方向の移動を行うための機構を含む。
【0116】
態様1によると、第2電子機器と車両の壁状部材との間に設けた取付部を使って、前段で第1電子機器の車両の壁状部材への固定が行われ、後段で、第2電子機器の取付部への固定が行われる。摺動(スライド移動)により第1電子機器と取付部の少なくとも一方を移動させてから、第1方向の移動を行って、第1電子機器と取付部の取り付けが行われる、そして/若しくは、摺動(スライド移動)により取付部と第2電子機器の少なくとも一方を移動させてから、第1方向の移動を行って、取付部と第2電子機器の取り付けが行われる。これにより、下方などから接続箇所が見えにくい状態でも、第1電子機器と取付部の取り付け、そして/若しくは、取付部と第2電子機器の取り付けを行うことが出来る。すなわち、第1電子機器と第2電子機器を含む車載装置の車両への取り付けを簡単に行うことができる。
【0117】
(態様2)
好ましくは、第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられる。第1電子機器は、第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の一方を有する。取付部は、第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の他方を有する。第1ガイドの一部は、第1ガイド受け部に挿入される。第1ガイドは、第1ガイド受け部を、第2方向に摺動可能で保持し、且つ第1ガイドが第2方向の摺動により第1所定位置に到達した時に第1方向に移動可能な状態で保持する。
【0118】
態様2によると、第1ガイドによる、摺動可能(スライド移動が可能)で且つ第1方向の移動可能な状態での第1ガイド受け部の保持により、第1電子機器と取付部の少なくとも一方の摺動(スライド移動)と第1方向の移動を容易に行える。第2ガイドによる、摺動可能(スライド移動が可能)で且つ第1方向の移動可能な状態での第2ガイド受け部の保持により、取付部と第2電子機器の少なくとも一方の摺動(スライド移動)と第1方向の移動を容易に行える。
【0119】
(態様3)
さらに好ましくは、第1ガイドは、第1係合凹部と第1係合凸部の一方を有する。第1ガイド受け部は、第1係合凹部と第1係合凸部の他方を有する。第1ガイドが第1所定位置に到達した時に、第1係合凹部と第1係合凸部とが係合する。
【0120】
態様3によると、係合する前と係合した後で、操作の感触が変化する。このため、第1ガイドが第1所定位置に到達したか否かが見えにくい状態でも、操作の感触で、作業者が第1ガイドの第1所定位置への到達を知ることが可能になる。同様に、第2ガイドが第2所定位置に到達したか否かが見えにくい状態でも、操作の感触で、作業者が第2ガイドの第2所定位置への到達を知ることが可能になる。
【0121】
(態様4)
さらに好ましくは、第1電子機器は、第1仮止め爪を有する。第1仮止め爪は、第1電子機器と壁状部材の仮止めのために用いられる。
【0122】
態様4によると、第1電子機器を車両の壁状部材の仮止めに、第1仮止め爪を活用することが出来る。
【0123】
(態様5)
さらに好ましくは、第1ガイドが第1所定位置に到達した後で、第1ガイド受け部を第1方向に移動した時に、第1仮止め爪は、第1電子機器と取付部の仮止めのために用いられる。
【0124】
態様5によると、第1仮止め爪による仮止めにより、第1電子機器と取付部の少なくとも一方を第1方向に移動させた状態を維持させ、その後の固定を容易に行える。
【0125】
(態様6)
さらに好ましくは、第1ガイド受け部は、第1ガイドの差込口側に、第1ガイドの第1方向の移動を制限する溝を有する。
【0126】
(態様7)
さらに好ましくは、第1電子機器は、アンテナ素子を含むアンテナ部である。第2電子機器は、信号処理部である。壁状部材は、車両ルーフである。第1電子機器は、取付部を介して、ルーフの少なくとも一部と電気的に接続される。取付部は、ルーフと接触しない位置関係で第2電子機器の一部を覆う本体部と、本体部よりもルーフに近い位置に設けられ、ルーフと接触する接触部とを有する。接触部は、第1ガイドと第1ガイド受け部の他方を有する。
【0127】
態様7によると、第2電子機器と車両ルーフとの間に設けた取付部を使って、前段で第1電子機器の車両ルーフへの固定が行われ、後段で、第2電子機器の取付部への固定が行われる。これにより、第1電子機器と第2電子機器を含む車載装置の車両への取付を簡単に行うことができる。取付部を介した第1電子機器と第2電子機器の取り付けの際に、第1電子機器と車両ルーフとの電気的な接続(接地)と、第1電子機器と第2電子機器との電気的な接続も、行える。
【0128】
(態様8)
また、好ましくは、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。取付部は、第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有する。第2電子機器は、第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の他方を有する。第2ガイドの一部は、第2ガイド受け部に挿入される。第2ガイドは、第2ガイド受け部を、第2方向若しくは第3方向に摺動可能で保持し、且つ第2ガイドが第2方向若しくは第3方向の摺動により第2所定位置に到達した時に第1方向に移動可能な状態で保持する。
【0129】
(態様9)
また、好ましくは、第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1電子機器は、第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の一方を有する。取付部は、第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の他方を有し、第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有する。第2電子機器は、第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の他方を有する。第1ガイドの一部は、第1ガイド受け部に挿入される。第1ガイドは、第1ガイド受け部を、第2方向に摺動可能で保持し、且つ第1ガイドが第2方向の摺動により第1所定位置に到達した時に第1方向に移動可能な状態で保持する。第2ガイドの一部は、第2ガイド受け部に挿入される。第2ガイドは、第2ガイド受け部を、第2方向若しくは第3方向に摺動可能で保持し、且つ第2ガイドが第2方向若しくは第3方向の摺動により第2所定位置に到達した時に第1方向に移動可能な状態で保持する。
【0130】
(態様10)
また、好ましくは、第3方向は、第2方向と垂直である。第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1電子機器は、第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の一方を有する。取付部は、第1取付構造として、第1ガイドと第1ガイド受け部の他方を有し、第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有する。第2電子機器は、第2取付構造として、第2ガイドと第2ガイド受け部の他方を有する。第1ガイドの一部は、第1ガイド受け部に挿入される。第1ガイドは、第1ガイド受け部を、第2方向に摺動可能で保持し、且つ第1ガイドが第2方向の摺動により第1所定位置に到達した時に第1方向に移動可能な状態で保持する。第2ガイドの一部は、第2ガイド受け部に挿入される。第2ガイドは、第2ガイド受け部を、第3方向に摺動可能で保持し、且つ第2ガイドが第3方向の摺動により第2所定位置に到達した時に第1方向に移動可能な状態で保持する。
【0131】
(態様11)
さらに好ましくは、第1電子機器は、アンテナ素子を含むアンテナ部である。第2電子機器は、信号処理部である。壁状部材は、車両ルーフである。第1電子機器は、取付部を介して、ルーフの少なくとも一部と電気的に接続される。取付部は、ルーフと接触しない位置関係で第2電子機器の一部を覆う本体部と、本体部よりもルーフに近い位置に設けられ、ルーフと接触する接触部とを有する。接触部は、第1ガイドと第1ガイド受け部の他方を有する。本体部は、第2ガイドと第2ガイド受け部の一方を有する。
【0132】
(態様12)
取付部は、第1電子機器と第1電子機器と電気的に接続される第2電子機器とを含む車載装置の取付部である。第1電子機器と取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、第1電子機器が車両に取り付けられる。第2電子機器と壁状部材が、取付部の少なくとも一部を挟む位置関係で、第2電子機器が取付部に取り付けられる。第1電子機器と取付部は、第1取付構造を介して取り付けられ、そして/若しくは、取付部と第2電子機器は、第2取付構造を介して取り付けられる。第1取付構造は、第1電子機器と取付部の少なくとも一方の、第1方向と垂直な第2方向の摺動と、第2方向の摺動の後に第1方向の移動を行うための機構を含む。第2取付構造は、取付部と第2電子機器の少なくとも一方の、第2方向若しくは第1方向と垂直な第3方向の摺動と、第2方向若しくは第3方向の摺動の後に第1方向の移動を行うための機構を含む。
【0133】
(態様13)
車載装置は、第1電子機器と、取付部と、第1電子機器と、電気的に接続される第2電子機器とを備える。第1電子機器と取付部が、車両の壁状部材の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、第1電子機器が前記車両に取り付けられる。第2電子機器と壁状部材が、取付部の少なくとも一部を第1方向で挟む位置関係で、第2電子機器が取付部に取り付けられる。第2電子機器と取付部とを取り付ける取付構造は、第2電子機器が第1電子機器に電気的に接続される際、第2電子機器を第1方向に移動させた状態で取付部に対して仮止めする仮止部を有する。
【符号の説明】
【0134】
1 車載装置(車載用アンテナ装置)、10 第1電子機器(アンテナ部)、11 アンテナケース、13 パッド、15 アンテナ素子、17 第1基板、19 ベース、19a 第1ガイド、19a1 第1被挟持部、19a2 第1係合凹部、19b 第1仮止め爪、19c 接触凸部、19d ベース孔、21 第1コネクタ、30 取付部、31 接触部(爪付きワッシャー)、31a 第1平面部、31a1 第1孔、31a2 第2平面部、32a1 第1爪部(車両接続)、32a2 第2爪部(ベース接続)、32a3 土台部、32b 第1ガイド受け部、32b1 第1係合凸部、32c 第2ガイド、32c1 第2被挟持部、32c2 第2係合凹部、33 本体部(ブラケット)、33a 上面部、331a 第1領域、332a 第2領域、333a 第3領域、33a1 第2孔、33a2 軸孔、33b 第1脚部、33c 第2脚部、33c1 爪受け部、35 第1腕部、35a 第1腕部孔、37 第1締結部(ボルト)、50 第2電子機器(信号処理部)、51 筐体、51a 上面凹部、51a1 締結部収納部、51a2 第3孔、51a3 第4孔、51b ガイド受け凸部、51c ガイド受け面、51d 筐体凸部、52b 第2ガイド受け部、52b1 第2係合凸部、52c 第2仮止め爪、53 第2基板、55 第2腕部、55a 第2腕部孔、57 第2締結部、61 第2コネクタ、90 車両ルーフ、91 車両取付孔


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
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図28
図29