(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006481
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ケース及び光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20230111BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230111BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230111BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230111BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
G03B17/56 Z
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109100
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB11
2H105AA52
2H105AA53
2K005AA20
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA12
2K005CA24
2K005CA45
2K005CA53
5C122EA55
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】光学モジュールが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動可能に保持するケースの汎用性を高めるとともに低コスト化する。
【解決手段】第1フレキシブル配線基板263を有する光学モジュール200が取り付けられる可動体110と、固定体120と、を備え、可動体110を固定体120に対して揺動可能に保持するケース100であって、第1フレキシブル配線基板263が接続される第2フレキシブル配線基板163を備え、第2フレキシブル配線基板163は、第1フレキシブル配線基板263よりも撓みやすく構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレキシブル配線基板を有する光学モジュールが取り付けられる可動体と、固定体と、を備え、前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に保持するケースであって、
前記第1フレキシブル配線基板が接続される第2フレキシブル配線基板を備え、
前記第2フレキシブル配線基板は、前記第1フレキシブル配線基板よりも撓みやすく構成されていることを特徴とするケース。
【請求項2】
請求項1に記載のケースにおいて、
前記第2フレキシブル配線基板は、前記第1フレキシブル配線基板を接続するコネクタを備えることを特徴とするケース。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケースにおいて、
前記可動体を前記固定体に対して前記光学モジュールの軸線方向を揺動軸として揺動可能に構成されていることを特徴とするケース。
【請求項4】
請求項3に記載のケースにおいて、
前記軸線方向の揺動軸のみを有することを特徴とするケース。
【請求項5】
請求項3に記載のケースにおいて、
前記軸線方向の揺動軸に加えて前記軸線方向と交差する方向の揺動軸を有することを特徴とするケース。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のケースにおいて、
前記第2フレキシブル配線基板は、第1方向に延びる第1延設部と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2延設部と、を有することを特徴とするケース。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のケースと、光学モジュールと、を備えることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース及び光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを有する可動体と、該可動体を揺動可能に保持するケースと、を備える様々な光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、カメラモジュールを有する可動体と、該可動体を揺動可能に保持する固定体と、を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学モジュールを有する可動体を揺動可能に保持するケースにおいては、光学モジュールを可動体に取り付けて使用する構成が一般的である。光学モジュールはレンズに加えて撮像素子を備えるものが一般的であり、該撮像素子に電気的に接続されるフレキシブル配線基板が光学モジュールから出ている構成が一般的である。ここで、配線をフレキシブル配線基板とするのは、可動体を固定体に対して揺動可能にするためである。
【0005】
しかしながら、従来の光学ユニットにおいては、固定体に対して可動体を十分な揺動量揺動させるためフレキシブル配線基板を特別にカスタマイズした構造としていた。しかしながら、フレキシブル配線基板を特別な構造とした光学モジュール及び該光学モジュールが取り付けられる専用のケースを製造するのは負荷がかかるとともに高コスト化する。このため、低コストで汎用性の高い光学モジュール及びケースとすることが望まれている。そこで、本発明は、光学モジュールが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動可能に保持するケースの汎用性を高めるとともに低コスト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケースは、第1フレキシブル配線基板を有する光学モジュールが取り付けられる可動体と、固定体と、を備え、前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に保持するケースであって、前記第1フレキシブル配線基板が接続される第2フレキシブル配線基板を備え、前記第2フレキシブル配線基板は、前記第1フレキシブル配線基板よりも撓みやすく構成されていることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、光学モジュールの第1フレキシブル配線基板が接続される第2フレキシブル配線基板を備える。このため、光学モジュールの第1フレキシブル配線基板を専用の複雑な形にする必要性をなくせるので、汎用性を高めるとともに低コスト化することができる。また、第2フレキシブル配線基板は第1フレキシブル配線基板よりも撓みやすく構成されている。このため、可動体を固定体に対して十分な揺動量で揺動可能に保持することができる。
【0008】
本発明のケースにおいては、前記第2フレキシブル配線基板は、前記第1フレキシブル配線基板を接続するコネクタを備える構成とすることができる。このような構成とすることで、第1フレキシブル配線基板を第2フレキシブル配線基板に簡単に接続することができるので、特に汎用性の高いケースとすることができる。
【0009】
本発明のケースにおいては、前記可動体を前記固定体に対して前記光学モジュールの軸線方向を揺動軸として揺動可能に構成することができる。このような構成とすることで、軸線方向を揺動軸として揺動する様々な光学モジュールを使用することが可能になる。
【0010】
本発明のケースにおいては、前記軸線方向の揺動軸のみを有する構成とすることができる。このような構成とすることで、ケースの光軸方向の厚みを薄く構成できる。また、ケースの構成を特に簡略化できるので、特に低コスト化することができる。
【0011】
本発明のケースにおいては、前記軸線方向の揺動軸に加えて前記軸線方向と交差する方向の揺動軸を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、光学モジュールをケースに対して複数の揺動軸を基準に揺動することができるので、特に様々な種類の光学モジュールを使用することが可能になる。
【0012】
本発明のケースにおいては、前記第2フレキシブル配線基板は、第1方向に延びる第1延設部と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2延設部と、を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、第2フレキシブル配線基板を様々な方向に撓ませることができ、可動体を固定体に対して特に十分な揺動量で揺動可能に保持することができる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、上記ケースと、光学モジュールと、を備える構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニットの各構成部材の汎用性を高めるとともに光学ユニット全体の低コスト化をすることができる。
【発明の効果】
【0014】
光学モジュールが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動可能に保持する本発明のケースは、汎用性を高めるとともに低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの光学モジュールの平面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの平面図であって固定体を省略して表した図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの第2フレキシブル配線基板の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの第2フレキシブル配線基板の展開図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおいて、可動体が固定体に対してローリング方向R1に揺動した際の第2フレキシブル配線基板の状態を表す平面図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおいて、可動体が固定体に対してローリング方向R2に揺動した際の第2フレキシブル配線基板の状態を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例に係る光学ユニット1及び該光学ユニットを構成するケース100について
図1から
図7を用いて説明する。各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。
【0017】
<光学ユニットの全体構成の概略>
最初に、本実施例に係る光学ユニット1の構成について
図1を参照して概略を説明する。
図1で表されるように、本実施例に係る光学ユニット1は、光学モジュール200とケース100とを備えている。光学モジュール200は、レンズ201や不図示の撮像素子などを備えるカメラモジュールである。また、ケース100は、光学モジュール200を揺動可能に収容する収容枠110を備えている。そして、ケース100は、収容枠110に収容された光学モジュール200を、Y軸方向を揺動軸とする方向(ピッチング方向)と、X軸方向を揺動軸とする方向(ヨーイング方向)と、Z軸方向を揺動軸とする方向(ローリング方向)と、に変位可能に構成されている。
【0018】
<光学モジュール>
次に、光学モジュール200の構成の概略について
図2を参照して概略を説明する。本実施例において、光学モジュール200は光軸方向に対応するZ軸方向から見て略矩形筐体状に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール200は、被写体側である+Z方向側にレンズ201を備え、矩形筐体状のハウジングの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。また、光学モジュール200は、先端にコネクタ264が接続された、光学モジュール側フレキシブル配線基板としての第1フレキシブル配線基板263が接続されている。
【0019】
本実施例における光学ユニット1は、一例として、光学モジュール200に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を揺動軸とする揺動方向の振れ)、ヨーイングの振れ(X軸方向を揺動軸とする揺動方向の振れ)、ローリングの振れ(Z軸方向を揺動軸とする揺動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーター(駆動機構)を内蔵し、ピッチングの振れの補正、ヨーイングの振れの補正、ローリングの振れの補正、が可能な構成となっている。なお、本実施例において、光学ユニット1は、ピッチングの振れの補正、ヨーイングの振れの補正、ローリングの振れの補正、が可能な構成としたが、この構成に限定はされず、例えば、ピッチングの振れ、ヨーイングの振れ及びローリングの振れのいずれか1つまたは2つのみの補正が可能な構成でもよい。
【0020】
<ケース>
次に、本実施例に係る光学ユニット1の要部であるケース100の構成について、
図1及び
図3から
図7を参照して説明する。
図1で表されるように、ケース100は、固定体120を有している。また、ケース100は、可動体である収容枠110をピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向に駆動する駆動機構として、磁石111及び該磁石111と対向する位置に設けられるコイル122を備えている(
図3参照)。ここで、磁石111のうちの磁石111AはY軸方向を揺動軸とする方向(ピッチング方向)の駆動機構に対応し、磁石111のうちの磁石111BはX軸方向を揺動軸とする方向(ヨーイング方向)の駆動機構に対応し、磁石111のうちの磁石111CはZ軸方向を揺動軸とする方向(ローリング方向)の駆動機構に対応する。また、
図1で表されるように、ケース100には、固定体120に対して収容枠110をピッチング方向及びヨーイング方向に揺動可能に支持するジンバル機構150及び支持部170と、固定体120に対して収容枠110をローリング方向に揺動可能に支持する回転支持機構300が配置されている。
【0021】
<収容枠>
図3などで表されるように、収容枠110は、光学モジュール200のレンズ201が設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例の収容枠110は、一例として光学モジュール200を収容部112に対して着脱可能に構成されている。ただし、光学モジュール200と収容枠110とが一体的に構成されていてもよい。収容枠110において固定体120と対向する3面を利用して、ピッチングの補正用の磁石111A、ヨーイングの補正用の磁石111B及びローリングの補正用の磁石111Cがこれらの外面に取り付けられている。
【0022】
<固定体>
固定体120は、磁石111Aと対向する位置、磁石111Bと対向する位置及び磁石111Cと対向する位置にコイル122(コイル122A、コイル122B及びコイル122C)が取り付けられている。本実施例の各々のコイル122は巻線コイルであるが、コイル122をパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。また、
図1で表されるように、本実施例の固定体120は、光軸周り方向において収容枠110の少なくとも3面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材と、X軸方向に沿って外側に延設される部材と、から構成されている。
【0023】
なお、本実施例において、ピッチング、ヨーイング及びローリングの補正は以下のように行われる。光学ユニット1にピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向の少なくとも一方向の振れが発生すると、不図示のホール素子によって振れを検出し、その結果に基づいてコイル122に通電する。本実施例の光学ユニット1は、振れの検出結果に基づいて、コイル122がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット1の振れを打ち消す方向に収容枠110を動かすように各コイル122に電流が流され、これにより振れが補正される。
【0024】
<支持機構>
本実施例のケース100は、固定体120に対して収容枠110をヨーイング方向及びピッチング方向に揺動可能に支持する支持機構として、ジンバル機構150と、ジンバル機構150と固定体120及びジンバル機構150と収容枠110とを接続する支持部170と、を備えている。また、さらに、本実施例のケース100の内部には、固定体120に対して収容枠110をローリング方向に揺動可能に支持する回転支持機構300が配置されている。回転支持機構300としては、例えば、円環状の上側部材がジンバル機構150に固定され、円環状の下側部材が収容枠110または光学モジュール200に固定され、上側部材と下側部材とが両者の間に配置された複数の球体により光軸方向を回転軸とする光軸回りに回転可能なベアリング機構などとすることができる。しかしながら、固定体120に対して収容枠110をローリング方向に揺動可能に支持する回転支持機構300としては、従来から使用される構成のものを特に限定なく使用することができる。
【0025】
図1で表されるように、本実施例のケース100は、支持部170として、支持部170Aと支持部170Bと支持部170Cと支持部170Dとを有している。支持部170Aと支持部170Bとは固定体120の矩形枠状の部材の4隅のうちの対向する2か所に配置され、支持部170Cと支持部170Dとは収容枠110の4隅のうちの対向する2か所に配置される。なお、固定体120の矩形枠状の部材と矩形枠状の収容枠110とは4隅の位置が揃うように配置され、支持部170A、支持部170A、支持部170C及び支持部170Dは該4隅に1つずつ配置される。
【0026】
ジンバル機構150は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、ジンバル機構150は、一例として被写体側に設けられるジンバルフレーム部153と、ジンバルフレーム部153の四方のコーナー部から光軸方向に90°折り曲げられて形成される脚部151と、によって構成されている。さらに詳細には、脚部151として、支持部170Aと対向する位置に配置される脚部151A、支持部170Bと対向する位置に配置される脚部151B、支持部170Cと対向する位置に配置される脚部151C、支持部170Dと対向する位置に配置される脚部151D、を備えている。各々の脚部151は各々対向する支持部170に支持される。なお、各々の脚部151については、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。
【0027】
<駆動機構>
上記のように、本実施例のケース100は、駆動機構としての磁石111及びコイル122を備えている。そして、磁石111として磁石111Aと磁石111Bと磁石111Cとを備え、磁石111Aと対向する位置、磁石111Bと対向する位置、磁石111Cと対向する位置、のそれぞれに、コイル122が配置されている。詳細には、
図3で表されるように、磁石111Aと対向する位置にコイル122A、磁石111Bと対向する位置にコイル122B、磁石111Cと対向する位置にコイル122C、が配置されている。
【0028】
<ケース側フレキシブル配線基板>
図1で表されるように、本実施例の固定体120は、矩形枠状の部材において-Y方向側と+X方向側とが幅広に形成されている。すなわち、本実施例の固定体120は、矩形枠状の部材における外側の壁部と収容枠110との間隔が-Y方向側と+X方向側とにおいて広くなっている。そして、
図1などで表されるように、矩形枠状の部材の-Y方向側と+X方向側とにおける外側の壁部と収容枠110との間隔に対応する位置に、ケース側フレキシブル配線基板である第2フレキシブル配線基板163が配置されている。
【0029】
第2フレキシブル配線基板163は、
図6及び
図7で表されるように、一方側の端部に、第1フレキシブル配線基板263に接続されたコネクタ264と接続することが可能な、コネクタ164が接続されている。また、第2フレキシブル配線基板163は、コネクタ164が接続される側とは反対側の端部に、外部装置と接続することが可能な、コネクタ165が接続されている。
【0030】
図3などで表されるように、第2フレキシブル配線基板163は、コネクタ164が接続されX軸方向に延設される第1延設部163Aと、第1延設部163Aに対して略直角に折り曲げられY軸方向に延設される第2延設部163Bと、第2延設部163Bに対して略直角に折り曲げられX軸方向に延設されるとともにコネクタ165が接続される第3延設部163Cと、を有している。第1延設部163Aは収容枠110の-Y方向側の面に面するように配置され、第2延設部163Bは収容枠110の+X方向側の面に面するように配置され、第3延設部163CはZ軸方向側に面するように配置されている。また、
図3で表されるように、第2延設部163Bは、+Y方向側の端部側が固定体120に形成された固定部121に固定されている。
【0031】
第2フレキシブル配線基板163は、
図5の展開図で表される略L字型のフレキシブル配線基板を折り曲げることで、
図4で表されるような形状にされる。具体的には、
図5の展開図で表される状態から折り曲げ線163Eに沿って180°山折りにされ、次に折り曲げ線163Gに沿って90°谷折りにされ、最後に折り曲げ線163Fに沿って90°折り曲げられる。なお、折り曲げ線163Fに沿って折り曲げる際は、折り曲げ線163F1が谷折りになり、折り曲げ線163F2が山折りになるように折り曲げられる。
【0032】
このようにして形作られた第2フレキシブル配線基板163は、
図4で表されるように、第1延設部163A及び第2延設部163Bが2層構造となり、第3延設部163Cが1層構造となる。なお、本実施例の第2フレキシブル配線基板163は、
図4で表されるように、第1延設部163Aから第2延設部163Bにかけて、+Z方向側端部に切り込み163Dが設けられている。しかしながら、このような切り込み163Dを設けない構成としてもよい。また、本実施例の第2フレキシブル配線基板163は、第1フレキシブル配線基板263よりも薄く構成され、第1フレキシブル配線基板263よりも撓みやすい構成になっている。
【0033】
本実施例の第2フレキシブル配線基板163は、このような構成をしているため、例えば
図6で表されるように光学モジュール200が取り付けられる収容枠110がローリングの揺動方向R1に固定体120に対して揺動した場合でも、第1延設部163A及び第2延設部163Bを撓ませて、コネクタ164及びコネクタ264、並びに、収容枠110及び固定体120に、大きな負荷がかからないようにしている。また、例えば
図7で表されるように光学モジュール200が取り付けられる収容枠110がローリングの揺動方向R2に固定体120に対して揺動した場合でも、第1延設部163A及び第2延設部163Bを撓ませて、コネクタ164及びコネクタ264、並びに、収容枠110及び固定体120に、大きな負荷がかからないようにしている。さらには、光学モジュール200が取り付けられる収容枠110がヨーイングの揺動方向やピッチングの揺動方向に固定体120に対して揺動した場合でも、第1延設部163A及び第2延設部163Bを撓ませて、コネクタ164及びコネクタ264、並びに、収容枠110及び固定体120に、大きな負荷がかからないようにしている。
【0034】
上記のように、本実施例のケース100は、第1フレキシブル配線基板263を有する光学モジュール200が取り付けられる収容枠110と、固定体120と、を備え、収容枠110を固定体120に対して揺動可能に保持するケースである。そして、本実施例のケース100は、第1フレキシブル配線基板263が接続される第2フレキシブル配線基板163を備えている。また、第2フレキシブル配線基板163は、第1フレキシブル配線基板263よりも撓みやすく構成されている。
【0035】
このように、本実施例のケース100は、光学モジュール200の第1フレキシブル配線基板263が接続される第2フレキシブル配線基板163を備える。このため、光学モジュール200の第1フレキシブル配線基板263を専用の複雑な形にする必要性をなくせているので、汎用性を高めるとともに低コスト化することができている。また、本実施例のケース100においては、第2フレキシブル配線基板163は第1フレキシブル配線基板263よりも撓みやすく構成されている。このため、可動体である収容枠110を固定体120に対して十分な揺動量で揺動可能に保持することができている。
【0036】
なお、第1フレキシブル配線基板263は、バネ性が無くてもよい。このような構成とすることで、第1フレキシブル配線基板263を高剛性に製造することができるようになるため、光学モジュール200を損傷しづらくすることができる。
【0037】
また、本実施例のケース100においては、第2フレキシブル配線基板163はコネクタ164に接続され、第1フレキシブル配線基板263はコネクタ164に接続可能なコネクタ264に接続されている。別の表現をすると、本実施例のケース100においては、第2フレキシブル配線基板163は、第1フレキシブル配線基板263を接続するコネクタ164を備える。
【0038】
本実施例のケース100は、このような構成としていることで、第1フレキシブル配線基板263を第2フレキシブル配線基板163に簡単に接続することができるので、特に汎用性の高いケースとすることができている。なお、「第1フレキシブル配線基板263を接続するコネクタ164を備える」とは、本実施例のようにコネクタ164とは別のコネクタ264など別の部材を介して第1フレキシブル配線基板263を接続する構成のコネクタを含む意味である。
【0039】
また、
図6及び
図7などで表されるように、本実施例のケース100は、収容枠110を固定体120に対して光学モジュール200の軸線方向(Z軸方向)であるローリング方向を揺動軸として揺動可能に構成されている。本実施例のケース100は、このような構成としていることで、軸線方向を揺動軸として揺動する様々な光学モジュール200を使用することが可能になっている。
【0040】
なお、本実施例のケース100は、固定体120に対して収容枠110をローリング方向に加えてヨーイング方向及びピッチング方向に揺動可能である。すなわち、本実施例のケース100は、軸線方向(Z軸方向)の揺動軸に加えて軸線方向と交差する方向であるX軸方向及びY軸方向の揺動軸を有する構成である。本実施例のケース100は、このような構成としていることで、光学モジュール200をケース100に対して複数の揺動軸を基準に揺動することができるので、特に様々な種類の光学モジュール200を使用することが可能である。
【0041】
ただし、このような構成に限定されない。例えば、軸線方向(ローリング方向)の揺動軸のみを有する構成とすることができる。このような構成とすることで、例えばジンバル機構150を有さない構成とすることができ、ケース100の光軸方向の厚みを薄く構成できる。また、ケース100の構成を特に簡略化できるので、特に低コスト化することができる。
【0042】
また、
図3などで表されるように、第2フレキシブル配線基板163は、第1方向としてのX軸方向に延びる第1延設部163Aと、第1方向と交差する第2方向としてのY軸方向に延びる第2延設部163Bと、を有する構成となっている。本実施例のケース100は、このような構成としていることで、第2フレキシブル配線基板163を様々な方向に撓ませることができ、収容枠110を固定体120に対して特に十分な揺動量で揺動可能に保持することができる。なお、本実施例においては、第1延設部163Aと第2延設部163Bとは、延設方向が略90°ずれた方向であるが、このような構成に限定されず、第1延設部163Aと第2延設部163Bとの延設方向のずれが90°未満であってもよいし、90°を超えていてもよい。
【0043】
ここで、光学ユニットの観点からまとめると、本実施例の光学ユニット1においては、上記ケース100と、光学モジュール200と、を備える構成である。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、該光学ユニット1の各構成部材の汎用性を高めるとともに該光学ユニット1全体の低コスト化をすることができている。
【0044】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…光学ユニット、100…ケース、110…収容枠(可動体)、111…磁石(駆動機構)、111A…磁石、111B…磁石、111C…磁石、112…収容部、120…固定体、121…固定部、122…コイル(駆動機構)、122A…コイル、122B…コイル、122C…コイル、150…ジンバル機構、151…脚部、151A…脚部、151B…脚部、151C…脚部、151D…脚部、153…ジンバルフレーム部、163…第2フレキシブル配線基板、163A…第1延設部、163B…第2延設部、163C…第3延設部、163D…切り込み、163E…折り曲げ線、163F…折り曲げ線、163F1…折り曲げ線、163F2…折り曲げ線、163G…折り曲げ線、164…コネクタ、165…コネクタ、170…支持部、170A…支持部、170B…支持部、170C…支持部、170D…支持部、200…光学モジュール、201…レンズ,263…第1フレキシブル配線基板、264…コネクタ、300…回転支持機構