(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064812
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】筏モジュール及びプレハブ式ポリエチレン製浮体筏
(51)【国際特許分類】
A01K 61/60 20170101AFI20230502BHJP
A01K 61/54 20170101ALI20230502BHJP
【FI】
A01K61/60 323
A01K61/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175165
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000204608
【氏名又は名称】大下産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】原 浩二
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明弘
(72)【発明者】
【氏名】横山 詔常
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】友國 慶子
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA26
2B104CC02
2B104CC18
2B104CG03
(57)【要約】
【課題】現地での組立作業時間の短縮化を実現でき、筏の大きさに応じた広大な組立ヤードの借用は短期間で完了でき、一般的なトラックで容易に積載可能で、軽量でかつ大きな浮力を生じさせることができる、筏モジュール及びプレハブ式ポリエチレン製浮体筏を提供することを課題とする。
【解決手段】両端を密閉構造にした、直線状の複数のポリエチレン製パイプを、所定の形態に配設して所定の連結手段により連結させた、トラック運送可能な大きさを有する筏モジュールをプレハブ部材として、複数の前記筏モジュールを、前記筏モジュールの前記長尺体の端部同士の連結、前記筏モジュールの前記短尺体の端部同士の連結、又は、前記筏モジュールの前記長尺体の端部と前記筏モジュールの前記短尺体の端部との連結の各連結部位を所定の連結手段で連結して、プレハブ式に組立てられるプレハブ式ポリエチレン製浮体筏により課題解決ができた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレハブ構造物である牡蠣筏を含む二枚貝養殖に用いる筏のプレハブ部材であり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースである筏モジュールであって、
前記筏モジュールが、
両端を密閉構造にした直線状の複数のポリエチレン製パイプを所定の形態に配設する構成により、前記二枚貝養殖に用いる筏として必要な浮力を有することを特徴とする筏モジュール。
【請求項2】
両端を密閉構造かつ連結部位にした直線状の前記ポリエチレン製パイプを所定の形態に配設する構成により、前後左右方向に連結可能な前後左右連結部位を2か所以上具備することを特徴とする請求項1に記載の筏モジュール。
【請求項3】
前記所定の形態が、ポリエチレン製パイプの両端を密閉構造にした、直線状で長尺状の複数の長尺体を筏としての所定の間隔に離隔させて平行に並設し、前記長尺体の両端部であってそれぞれ略直角方向に、ポリエチレン製パイプの両端を密閉構造又は開放構造にした、直線状で短尺状の複数の短尺体を配設して、それぞれの両端部同士を所定の連結手段により連結させた、平面視で略長方形の枠体の形態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の筏モジュール。
【請求項4】
平面視で略長方形の枠体のうちの長尺体からなる辺部を、2本の長尺体を平行に隣接させて、又は、2本の長尺体を平行に間隔を空けて列設させて、前記長尺体を2本組合せた2本組長尺体部としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の筏モジュール。
【請求項5】
前記2本組長尺体部を構成する2本の長尺体を、前記長尺体の端部に設けた連結手段の取付け範囲分を長手方向で少なくともずらして組み合わせたことを特徴とする請求項4に記載の筏モジュール。
【請求項6】
前記連結手段が、エレクトロフージョン接合、ヒートフージョン接合、又は、紐体を用いた締付手段であることを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の筏モジュール。
【請求項7】
前記筏モジュールが大型トラックで運搬可能な大きさであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の筏モジュール。
【請求項8】
プレハブ部材であり、かつパズル式組立ピースである請求項1~7のいずれかに記載の複数の前記筏モジュールを、前記筏モジュールの前記長尺体の端部同士の連結、前記筏モジュールの前記短尺体の端部同士の連結、又は、前記筏モジュールの前記長尺体の端部と他の前記筏モジュールの前記短尺体の端部との連結の各連結部位に、モジュール体連結手段を用いてプレハブ式に組立てられた筏であることを特徴とするプレハブ式ポリエチレン製浮体筏。
【請求項9】
複数の前記筏モジュールを長手方向に連設しプレハブ式に組立てられた直線状、複数の前記筏モジュールを短手方向に連設しプレハブ式に組立てられた並列状、又は、複数の前記筏モジュールを四角枠状に配設しプレハブ式に組立てられたロ字状の形態であることを特徴とする請求項8に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏。
【請求項10】
固定可能な前記モジュール体連結手段が、所定の長さのポリエチレン製パイプの両端を密閉構造又は開放構造にした、直線状で短尺状の継手体を介設して接合した、エレクトロフージョン接合又はヒートフージョン接合であることを特徴とする請求項8又は9に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏。
【請求項11】
脱着可能な前記モジュール体連結手段が、螺子構造体を用いた脱着可能手段であることを特徴とする請求項8又は9に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレハブ式に組立てる牡蠣筏、2枚貝筏や養殖筏に使用される、工場で製造した筏モジュール、及び前記筏モジュールを組立・連結させたプレハブ式ポリエチレン製浮体筏に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浮体と、一列に並ぶ浮体上に固定されるレールよりなる群と、並行して配置した各群のレール上に該レールと直行して適当間隔で固定される横なると、該横なる上に横なると直交して適当間隔で固定される押えよりなり、かきの幼生が付着する採苗器を連ねた採苗連或いはかきの種付着器を連ねた垂下連を海中に吊下げるかき養殖用のかき筏において、孟宗竹よりなるレール、横なる及び押えのうち、少なくとも一部を孟宗竹に換えて樹脂管としたかき筏が開示されている。
【0003】
特許文献2には、軟質のポリエチレン製筒状パイプを複数本、または、硬質ポリエチレン製筒状パイプを複数本継いだパイプを複数本、を用いて親パイプとし、硬質のポリエチレン製筒状パイプを、複数本を用いて子パイプとして、これらを格子状に組み立て、クロス部には合成樹脂製の市販品なる連結具で締めつけ固定し、子パイプの両端には、蓋を装着し、格子状にした全体をフロートの上の載設した牡蠣養殖用ポリエチレン製筏が開示されている。
【0004】
特許文献3には、直径を凡そ25cm~35cmで長さを凡そ7m~14mとなした合成樹脂製単管の両端縁部に接合用フランジを取付けると共に、上記単管の3箇以上を漁場の海中で一定大きさの囲枠に組立て、該囲枠の周縁に有底の筒状網体を取付けてなる漁場に於ける一時的使用の放置生簀が開示されている。
【0005】
特許文献4には、上面視で円弧状に形成され、両端部にそれぞれジョイント枠を有する筏部材を複数組み設け、これら筏部材の各ジョイント枠をそれぞれ連結・固定して環状筏本体を設け、該筏部材 は、上部に歩行通路を設けると共に、下部に、フロートを設け、該歩行通路とフロートとの間には、上面部材、側面部材、底面部材とを、棒状の鋼材を用いてラチスに形成して構成した魚類養成用生け簀が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-154466号公報
【特許文献2】実用新案登録第3059919号公報
【特許文献3】実用新案登録第3107117号公報
【特許文献4】実用新案登録第3182992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明は、発砲スチロール等の浮体の上に載設するレールとしてポリエチレン管を使用する形態であるが、設置海上近くの陸上にポリエチレン管を用いて筏に組み立てるために、筏の大きさに応じた広大な敷地を長期間にわたって確保しなければならないという問題があった。
【0008】
また、発砲スチロール等の浮体を必要とするため、1本ずつのポリエチレン管同士の組立作業・固定化作業に加えてポリエチレン管と浮体との固定化作業を要し、設置海上近くの陸上における作業時間が長期間に及ぶという問題があった。
【0009】
特許文献2の考案は、長さ28mの軟質ポリエチレンパイプ又は長さ9mの硬質ポリエチレンパイプパイプ3本をつなぎ合わせたものを1本の親パイプとし、長さ11mの硬質ポリエチレンパイプを1本の子パイプとして、親パイプと子パイプとを格子状の筏に組立て連結具で固定させるが、一般的なトラックで積載可能な長さは9mであるので、少なくとも長さ11mの子パイプは特殊な大型トラックでなければ陸上を搬送できないという問題があった。
【0010】
また、筏全体の浮力はフロートに依存していることから、完成形態の筏にはポリエチレン管の他にフロートも構成要件として不可欠であるという煩わしさがあった。
【0011】
さらに、設置海上近くの陸上において、ポリエチレン管を用いて筏に組み立てるために、筏の大きさに応じた広大な敷地を長期間にわたって確保しなければならないという問題があり、かつ、1本ずつのポリエチレン管同士の組立作業・固定化作業に加えてポリエチレン管と浮体との固定化作業を要するので設置海上近くの陸上における作業時間が長期間に及ぶという問題があった。
【0012】
特許文献3の考案は、長さ7m~14mの高密度ポリエチレンの合成樹脂管を、海中における浮遊状態で前記合成樹脂管の両端部に取り付けた接合用フランジをボルト及びナットで接合する筏である。引用文献3の
図1~
図3のいずれにも接合用フランジを合成樹脂管の両端部の開口部を確保するように取り付けられていることから、前記合成樹脂管の内部には海水がかなり侵入した状態で各合成樹脂管同士を接合することになるため合成樹脂管自体の浮力は小さいため、牡蠣筏に比較してかなり軽量な、生簀用の網体を垂下させることはできるが、牡蠣筏のような重要物を垂下させると、管内に海水がかなり侵入していることから、浮力が小さい合成樹脂管が海中に沈下し牡蠣筏が海底まで沈下して養殖牡蠣が育たないという問題があった。
【0013】
特に瀬戸内海は船舶の航行数が多く、かつ生簀の合成樹脂管は海面に少ししか出ていないため船舶から夜間は合成樹脂管が見えにくいので、船舶が生簀の合成樹脂管に衝突する危険性がある。すると、特許文献3の
図4に示すように、合成樹脂単管を大きな環状になるように連結して使用しているが、合成樹脂単管同士の管内を空気や海水が流動可能に連結しているため、船舶がぶつかって一部の合成樹脂単管が破損し海水が管内に流れ込むと、この流れ込んだ海水は全部の合成樹脂単管内に充満するので、生簀が海底に向かって沈下してしまうという問題があった。
【0014】
特許文献4の考案は、円弧状の筏部材は棒状の鉄鋼を円弧状に形成したものであり、該筏部材の両端に取り付けたジョイント枠を海上でボルト・ナットで連結・固定させることにより筏部材同士を連結させ、該筏部材をフロートの上に載設させ固定させてフロートによる浮力で海上に浮かべる筏である。棒状鉄鋼を使用するので筏の重量が重くなるので運送費がかかるという問題、棒状の鋼材を枠体的に使用しているので人が歩行可能なラス等の歩行通路手段を設けなければ使用できないという問題、棒状鉄鋼を使用するため浮体として多くのフロートを必要としなければならないという問題があった。
【0015】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、現地での組立・連結作業時間の短縮化を実現でき、筏の大きさに応じた広大な敷地の借用は短期間で完了でき、一般的なトラックで容易に積載可能で、軽量でかつ大きな浮力を生じさせることができる、筏モジュール及びプレハブ式ポリエチレン製浮体筏を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明において、パズル式組立ピースとは、環状、格子状、棒状などのあらかじめ造りたい筏の形態になるように組み合わせてその筏を完成させることができるピースであることを意味する。
【0017】
請求項1に記載の筏モジュールは、プレハブ構造物である牡蠣筏を含む二枚貝養殖に用いる筏のプレハブ部材であり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースである筏モジュールであって、前記筏モジュールが、両端を密閉構造にした直線状の複数のポリエチレン製パイプを所定の形態に配設する構成により、前記二枚貝養殖に用いる筏として必要な浮力を有することを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の筏モジュールは、請求項1において、両端を密閉構造かつ連結部位にした直線状の前記ポリエチレン製パイプを所定の形態に配設する構成により、前後左右方向に連結可能な前後左右連結部位を2か所以上具備することを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の筏モジュールは、請求項1又は2において、前記所定の形態が、ポリエチレン製パイプの両端を密閉構造にした、直線状で長尺状の複数の長尺体を筏としての所定の間隔に離隔させて平行に並設し、前記長尺体の両端部であってそれぞれ略直角方向に、ポリエチレン製パイプの両端を密閉構造又は開放構造にした、直線状で短尺状の複数の短尺体を配設して、それぞれの両端部同士を所定の連結手段により連結させた、平面視で略長方形の枠体の形態であることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の筏モジュールは、請求項2又は3において、平面視で略長方形の枠体のうちの長尺体からなる辺部を、2本の長尺体を平行に隣接させて、又は、2本の長尺体を平行に間隔を空けて列設させて、前記長尺体を2本組合せた2本組長尺体部としたことを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の筏モジュールは、請求項4において、前記2本組長尺体部を構成する2本の長尺体を、前記長尺体の端部に設けた連結手段の取付け範囲分を長手方向で少なくともずらして組み合わせたことを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の筏モジュールは、請求項3~5のいずれかにおいて、前記連結手段が、エレクトロフージョン接合、ヒートフージョン接合、又は、紐体を用いた締付手段であることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の筏モジュールは、請求項1~6のいずれかにおいて、前記筏モジュールが大型トラックで運搬可能な大きさであることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、プレハブ部材であり、かつパズル式組立ピースである請求項1~7のいずれかに記載の複数の前記筏モジュールを、前記筏モジュールの前記長尺体の端部同士の連結、前記筏モジュールの前記短尺体の端部同士の連結、又は、前記筏モジュールの前記長尺体の端部と他の前記筏モジュールの前記短尺体の端部との連結の各連結部位に、モジュール体連結手段を用いて、プレハブ式に組立てられた筏であることを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、請求項8において、複数の前記筏モジュールを長手方向に連設しプレハブ式に組立てられた直線状、複数の前記筏モジュールを短手方向に連設しプレハブ式に組立てられた並列状、又は、複数の前記筏モジュールを四角枠状に配設しプレハブ式に組立てられたロ字状の形態であることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、請求項8又は9において、固定可能な前記モジュール体連結手段が、所定の長さのポリエチレン製パイプの両端を密閉構造又は開放構造にした、直線状で短尺状の継手体を介設して接合した、エレクトロフージョン接合又はヒートフージョン接合であることを特徴とする。
【0027】
請求項11に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、請求項8又は9において、脱着可能な前記モジュール体連結手段が、螺子構造体を用いた脱着可能手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の筏モジュールは、ポリエチレン製パイプの両端を密閉構造にしてポリエチレン製パイプ自体を浮体としての機能を有するようにしているので、発泡スチロール等の浮体を必要としないという効果を奏する。そのため、筏モジュールは、浮体の機能を有する密閉構造のポリエチレン製パイプによる高い浮力により、生簀にするときに垂下させる比較的軽量の網体、又は、牡蠣や2枚貝を養殖するときに垂下させる重量的に重い垂下連も垂下させることができる。
【0029】
筏モジュールは、複数の筏モジュールをさまざまに組み合わせて、さまざまな形態の筏をプレハブ式に組み立てることができる、筏のパーツとして汎用性を有するプレハブ部材である。プレハブ部材である筏モジュールを1種類とすることができるので、前記筏モジュール製造の工程を予めムリムラムダを極力なくした標準作業からなる工程を検討して設定でき、天候に左右されない工場内で決められた標準作業の繰り返しで製造できることから、量産性の効果が生じて製造品質が安定化し製造コストのコストダウンができかつ製造期間の短納期を実現できる。
【0030】
単体の筏モジュールの大きさを、例えば一般的な10トントラックで運送可能な大きさに設計することにより、プレハブ部材である筏モジュールを、設置する海上近くの海辺等の現地組立ヤードまで容易に運搬することができ、複数の筏モジュールを所定の形態及び所定の大きさの筏にプレハブ式に組み立てることができるので、現地組立ヤードでの組み立て作業時間を大幅に短縮することができる。
【0031】
また、瀬戸内海には牡蠣筏などの筏が多く設置されているが、船舶の航行も多く、海上に浮遊している牡蠣筏、2枚貝筏又は養殖筏はいずれも海上に現れているのは少しの高さしかないので夜間は航行する船舶からは見つけにくいので、船舶が筏に衝突する可能性がある。例えば、従来のポリエチレン製パイプを使用した円環状の筏は、連結したポリエチレン製パイプ同士の内部が連通している。ポリエチレン製パイプは航行中の船舶から受ける衝撃に弱いため、船舶が筏を構成するポリエチレン製パイプに衝突すると、たとえ1か所でも破損し穴ができると海水が短時間でポリエチレン製パイプ内に充満し、ポリエチレン製パイプを使用した筏が海底に向かって沈下する。これに対して、本発明の筏モジュールは、ポリエチレン製パイプ単体が密閉構造で浮力を有するので、船舶が衝突して1か所のポリエチレン製パイプ単体が破損し海水が侵入しても、他の大部分の密閉構造のポリエチレン製パイプ単体には海水が侵入しないので筏としての浮力はほとんど変化せず海上に浮遊状態を維持し海底に沈下しないという効果を奏する。
【0032】
請求項2に記載の筏モジュールは、両端を密閉構造かつ連結部位にした直線状の前記ポリエチレン製パイプを所定の形態に配設する構成により、筏モジュールの前後左右方向に、他の前記ポリエチレン製パイプと連結可能な左右連結部位を2か所以上具備するため、種々のタイプの筏を造ることが容易にできる。
【0033】
請求項3に記載の筏モジュールは、筏としての所定の間隔に離隔させて平行に並設する2列の形態としているので、現地組立ヤードでは、比較例として筏を組み立てるのに竹を1本ずつ1列ごとに組み立てる方法に比較して、2列ごとに連結することができるので、組立作業効率が約2倍向上し現場組立ヤードにおける組立作業時間を大幅に減少させることができる。
【0034】
また、前記2列の所定の間隔を例えば1.3mにした場合にして牡蠣筏を組立てた場合に、例えば平面視で0.7m角の略四角形の大きさで6面とも格子状の壁部を有する牡蠣養殖容器を複数積層させた垂下連を、収穫のためにウインチ等を用いて水揚げするときに、前記所定の間隔からも前記垂下連を容易に水揚げすることができるので、水揚げ作業がしやすいという効果を奏する。
【0035】
請求項4に記載の筏モジュールは、密閉構造のポリエチレンパイプが1本の場合に比較して2本組の場合は、足を置く面積が広くなるので、海上に浮遊させた筏の上を作業する人が歩きやすい足場となるという効果を奏する。
【0036】
請求項5に記載の筏モジュールは、筏モジュールを構成する2本組の長尺状体の長手方向の端部が1本の連結部位になるようにずらしているので、2本組の端部を長手方向で同じ位置にした場合に比較して、2本分の連結でなく1本分の連結でよいことから、他の筏モジュールとの連結が容易にできるという効果を奏する。
【0037】
請求項6に記載の筏モジュールは、構成部材である密閉構造のポリエチレンパイプを簡易な方法で固定化されることができるという効果を奏する。
【0038】
請求項7に記載の筏モジュールは、プレハブ部材である筏モジュールを日本全国どこでも容易に運搬することができ、プレハブ式ポリエチレン製浮体筏を日本全国どこでも短期間で組み立てることができるという効果を奏する。
【0039】
請求項8に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、平面視で略長方形状のすべての4つの辺にそれぞれ連結可能構造を備えているので、用途に適する種々の形態や大きさを有する筏を組立てることができるという効果を奏する。
【0040】
請求項9に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、筏モジュールの基本的な組立形態を示しており、用途に合わせて設置したい筏に組み立てることができるという効果を奏する。
【0041】
請求項10に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、構成部材である筏モジュール同士をポリエチレンパイプ接合に最適な方法で固定化させることができるという効果を奏する。
【0042】
請求項11に記載のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏は、悪天候や使用しないときは、筏モジュール単位に容易に分解して、例えば屋内に保管させることができる。屋内に保管した場合はポリエチレンパイプが紫外線により劣化するのを防止することができる。
【0043】
また、万一、一部の筏モジュールが破損した場合は、海上で正常な形態を有する筏モジュールと交換することもできる。
【0044】
また、海上で組立作業が可能になるので、現場組立ヤードの確保が不要になり、地元との交渉にかかる煩わしさが軽減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の筏モジュールの説明図であり、(a)は平面視の説明図で、(b)は(a)のE矢視図で左側面視の説明図である。
【
図2】本発明の筏モジュール又はプレハブ式ポリエチレン製浮体筏に使用される、両端を密閉構造にしたポリエチレン製パイプの平面視の説明図で、(a)は直線状で長尺状の長尺体の説明図で、(b)は直線状で短尺状の短尺体の説明図である。
【
図3】筏モジュールを平面視でロ字状に配設してプレハブ式に組立てたプレハブ式ポリエチレン製浮体筏の説明図である。
【
図4】筏モジュールを平面視で短手方向に連結させてプレハブ式に組立てたプレハブ式ポリエチレン製浮体筏の説明図である。
【
図5】筏モジュールを平面視で長手方向に連結させてプレハブ式に組立てたプレハブ式ポリエチレン製浮体筏の説明図である。
【
図6】プレハブ式ポリエチレン製浮体筏から、略四角形の格子状の壁部を有する養殖容器を積層させた垂下連を垂下させた状態の説明図である。
【
図7】本発明の筏モジュールの端部の説明図で、前後左右連結部位の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の筏モジュール1及びプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2は、例えば
図6に示すように垂下連を垂下させた牡蠣筏、2枚貝筏や養殖筏として使用される筏を、従来は竹材を海辺の組立ヤードで雨天時は作業ができないなど製作進捗が天候に左右されながら、1本ずつ組立てて筏を造り上げていたのを、製作進捗が天候に左右されない工場内で、あらかじめ決まった工程で決まった手順からなる標準作業により生産計画通りに製造されて品質が保証された、量産化された筏モジュール1をプレハブ部材として海辺の組立ヤードでプレハブ式に組立てて筏を造り上げるようにした点に第一の特徴があり、従来は竹材を海上に浮遊させるために発砲スチロール等を浮体として筏には不可欠な構成要件であったのを、竹材に代わるポリエチレン製パイプを、それ自体を浮体とし筏に発砲スチロール等の浮体を不要とした点に第二の特徴がある。以下に、筏モジュール1及びプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2について説明する。
【0047】
まず、筏モジュール1について説明する。前記筏モジュール1は、
図1に示すように、プレハブ構造物である牡蠣筏を含む二枚貝養殖に用いる筏のプレハブ部材であり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースである筏モジュール1であって、前記筏モジュール1が、両端を密閉構造にした直線状の複数のポリエチレン製パイプ7aを所定の形態に配設する構成により、前記二枚貝養殖に用いる筏として必要な浮力を有する。
【0048】
前記筏モジュール1は、
図2に示すような、両端を密閉構造にした直線状の複数のポリエチレン製パイプ7aを、長尺体3として、例えば
図1に示すように所定の形態に配設する構成である。
【0049】
また、前記筏モジュール1は、両端を密閉構造かつ連結部位15にした直線状の前記ポリエチレン製パイプ7aを所定の形態に配設する構成により、
図1又は
図7に示すように、前記筏モジュール1の前後左右方向に、他の筏モジュール1と連結可能な前後左右連結部位25を2か所以上具備する。
【0050】
前記ポリエチレン製パイプ7aは、例えば内径約100~約200mmで厚みが3~15mmの中から、牡蠣筏養殖用、2枚貝養殖用又は生簀用の用途及び大きさを考慮して、必要な強度や剛性を確保するのに適する内径又は厚みを選択する。
【0051】
また、前記筏モジュール1は大型トラックで運搬可能な大きさである。そのため、長尺体の前記ポリエチレン製パイプ7aの長さは、一般的な大型トラックに積載できる長さである約12m以下が好ましく、その中では生産性や作業性を考慮すると約9m~約10mがより好ましい。
【0052】
また、長尺体の前記ポリエチレン製パイプ7aの両端部は、
図2(a)に示すように、例えばポリエチレン製キャップ等の密閉手段6で密閉されるので、両端が密閉されたポリエチレン製パイプ8aは、軽量でもあることから、それ自体で発砲スチロール等の他の浮体を要せずとも高い浮力を有する。
【0053】
前記筏モジュール1は、例えば
図1に示すように、長尺体3と短尺体4との組み合わせから構成される。前記長尺体3は両端を密閉構造にした直線状の複数のポリエチレン製パイプ7aであることが必要要件であるが、前記長尺体3同士を連結させるときに使用する短尺体4は、短尺状のもので前記長尺体3を連結可能にする形状のものであればよい。
【0054】
前記短尺体3は、短尺状のもので前記長尺体3を連結可能にする形状のものであればよく、
図2(b)に示すように、両端を密閉構造にした直線状のポリエチレン製パイプ7b、両端を開放構造にした直線状のポリエチレン製パイプ(図示なし)、高分子化合物からなる各種形状の継手部材(図示なし)、非金属製の各種形状の継手部材(図示なし)、又は、金属製の各種形状の継手部材(図示なし)等がある。両端を密閉構造にした直線状のポリエチレン製パイプ7a自体が高い浮力を有するので、前記短尺体4は浮力を有さないものであってもよく、前記長尺体3を連結可能にするならばいずれの材質や形状であってもよい。そして、前記短尺体4の長さは、筏モジュール1としての用途などに応じて設定する、長尺体3同士の間隔を確保可能にする長さとする。
【0055】
次に、前記筏モジュール1の前記所定の形態を説明する。前記所定の形態が、例えば実施例として、
図1に示すように、ポリエチレン製パイプ7aの両端を密閉構造にした、直線状で長尺状の複数の長尺体3を筏としての所定の間隔に離隔させて平行に並設し、前記長尺体3の両端部であってそれぞれ略直角方向に、ポリエチレン製パイプ7bの両端を密閉構造又は開放構造にした、直線状で短尺状の複数の短尺体4を配設して、それぞれの両端部同士を所定の連結手段により連結させた、平面視で略長方形の枠体の形態である。
【0056】
前記実施例における前記短尺体4は、
図2(b)に示すように、両端を密閉構造又は開放構造にしたポリエチレン製パイプ7bを使用する。前記ポリエチレン製パイプ7bは、例えば内径約100~約200mmで厚みが3~15mmの中から、牡蠣筏養殖用、2枚貝養殖用又は生簀用の用途及び大きさを考慮して、必要な強度や剛性を確保するのに適する内径又は厚みを選択する。
【0057】
筏モジュール1の構成部材である前記ポリエチレン製パイプ7bは軽量であり、両端が密閉手段6で密閉されたポリエチレン製パイプ8bの場合は、前記長尺体3に加えて前記短尺体4自体も1つ1つが単独で浮力を有するので筏モジュール1として極めて高い浮力を有し重量的に極めて重い垂下連を吊下げができ、両端が開放構造のポリエチレン製パイプ8bの場合は、前記長尺体3自体1つ1つが高い浮力を有するので重量的に重い垂下連を吊下げることができる。
【0058】
また、前記短尺体4が、高分子化合物からなる各種形状の継手部材の場合は重量的に重い垂下連を吊下げることができ、非金属製の各種形状の継手部材、又は、金属製の各種形状の継手部材の場合は生簀用の網体を垂下させて吊下げることができる。
【0059】
また、直線状で長尺状の複数の長尺体3を筏としての所定の間隔Kに離隔させて平行に並設することの所定の間隔Kは、いずれの長さでもよいが、
図1(a)に示すように、所定の間隔Kを垂下連の吊下げ作業ができる2本組長尺体部30間の間隔を確保できる長さが好ましい。
【0060】
前記間隔Kは、例えば、垂下連を上げ下げできる間隔であればよく、例えば1.3mにした場合には、
図6に示すように、海面Uに浮かぶ牡蠣筏の場合に、牡蠣を収容した例えば平面視で0.7m角の略四角形の格子状の壁部を有する養殖容器11を積層させた垂下連10を、収穫のためにウインチ等を用いて水揚げするときに、前記間隔Kの範囲の海域から、すなわち前記2本組長尺体部30の両側から前記垂下連10を水揚げすることができるので水揚げ作業性がよくなるという効果がある。前記0.7m角の略四角形の格子状の壁部を有する養殖容器11を積層させた垂下連10の場合、前記間隔Kが約1mの場合であると垂下連10と前記2本組長尺体部30とが干渉する可能性が高くなる。なお、針金を通した垂下連(図示なし)の場合は約1mでもよく、垂下連の形態や大きさに適する間隔Kにすればよい。
【0061】
前記間隔Kほど離隔して平行に2列構成にしているが、工場で2列構成の筏モジュール1を製作することによって、すなわちプレハブ部材の構成を2列構成にすることによって、漁場近くの組立ヤードでの組立作業で1列ずつ組立てていく作業に比較して、すでに2列分が完成しているい筏モジュール1を組み立てることから組み立てる作業量が半減するので、漁場近くの組立ヤードでの作業時間を大きく短縮できる。
【0062】
次に、平面視で略長方形の枠体のうちの長尺体3からなる辺部を、2本の長尺体3を平行に隣接させて、又は、2本の長尺体3を平行に間隔を空けて列設させて、前記長尺体3を2本組合せた2本組長尺体部30とする。
【0063】
前記長尺体3を2本平行に並設させて固定化する方法は、例えば、2本並べた前記長尺体3の外周面に沿う2つの凹部を形成した、又は、2本並べた前記長尺体3を嵌入させる2つの穴部を形成した、前記長尺体3と同じ材質の継手接合部を用意し、前記継手接合部に埋め込まれた電熱線を発熱させて融着接合させるエレクトロフージョン接合、あるいは、紐体で物理的に締め付けての連結方法がある。
【0064】
前記2本組長尺体部30は、人が前記ポリエチレン製パイプ7aの上に足を載せて歩行や作業をするために安全性を確保するために2本並列させている。1本では人が歩行や作業をすることが極めて困難になり、3本並列すると製作コストが高くなるので、安全性と製作コストのバランスが最もよい2本並列とした。
【0065】
また、略長方形の枠体のうちの長尺体3からなる辺部を構成する長尺体3を平行に隣接又は列設するとは、隣接は前記2本組長尺体部30の間隔をほぼ接するように狭い場合をいい、列設は前記2本組長尺体部30の間隔が設けられている場合をいう。前記列設の場合は、前記2本組長尺体部30の上側に板状の足場を固定する等の用途に合わせて追加する形態などがある。
【0066】
前記長尺体3の両端部は連結手段5が取り付けられる連結部位15である。このため、前記隣接の場合は2本の前記長尺体3の両端部のそれぞれの前記連結部位15はほぼ接触状態となるので前記連結手段5が取り付けられないが、前記列設の場合は2本の前記長尺体3の両端部のそれぞれの前記連結部位15の周囲は2本の間隔が空いて空間状態となるので前記連結手段5を取り付けることができる。
【0067】
そこで、前記隣接の場合は、前記2本組長尺体部30を構成する2本の長尺体3を、前記長尺体3の端部に設けた連結手段5の取付け範囲分を長手方向で少なくともずらして組み合わせる。
【0068】
実施例における前記2本組長尺体部30は、
図1に示すように、2本の前記長尺体3を短手方向で隣接状態にした場合であって、その隣接状態の場合には長手方向の両端を前記密閉構造の長さ分をずらしている。仮に、両端部を揃えた場合には、連結手段5aを取り付け施工できるスペースの確保ができなくなるので、このスペースを確保するためにずらしている。
【0069】
よって、前記2本組長尺体部30の形態は、2本の両端部を長手方向で一致させて2本の短手方向の間隔を空けた形態、2本の両端部を長手方向でずらして2本の短手方向の間隔を空けた形態、又は、2本の両端部を長手方向でずらして2本の短手方向の間隔が隣接状態の形態がある。いずれの形態でもよい。
【0070】
次に、筏モジュール1の長尺体3と短尺体4との連結手段5aについて説明する。前記連結手段5aは、エレクトロフージョン接合、ヒートフージョン接合、又は、紐体を用いた締付手段である。
【0071】
2組のそれぞれの2本組長尺体部30の長手方向の両端部と前記短尺体4の両端部との連結部A1~A4には前記連結手段5a(図示なし)を用いてそれぞれ連結する。前記連結手段5aとしては、拘束部材である紐体を使用して物理的に締め付けての連結、2本組長尺体部30及び前記短尺体4の材質と同じ材質の継手を介設して、前記継手に埋め込まれた電熱線を発熱させて融着接合させるエレクトロフージョン接合、あるいは、2本組長尺体部30及び前記短尺体4の材質と同じ材質の継手を介設して、前記長尺体3の外面と継手内面、及び、前記短尺体4の外面と継手内面を専用のヒーターを用いて加熱溶融させて長尺体3や短尺体4を継手に挿入圧着して接続するヒートフージョン接合があり、いずれの連結手段でもよい。
【0072】
前記筏モジュール1は、
図1に示すように、平面視で略長方形の枠体の形態であり、プレハブ部材としても、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースとしての機能を有する。筏の形態や大きさに応じて、前記筏モジュール1の数量を準備し筏の形態に配設しプレハブ式に組立てれば、さまざまな形態の筏に組立てることができる。以下に、プレハブ部材あり、かつパズル式組立ピースでもある前記筏モジュール1をさまざまの形態に組立てた筏であるプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2について説明する。
【0073】
次に、プレハブ式ポリエチレン製浮体筏2について説明する。例えば実施例として、前記プレハブ式ポリエチレン製浮体筏2は、プレハブ部材であり、かつパズル式組立ピースである複数の前記筏モジュール1を、
図5に示す連結部Bに示すように、前記筏モジュール1の前記長尺体3の端部同士の連結、
図4に示す連結部Bに示すように、前記筏モジュール1の前記短尺体4の端部同士の連結、又は、
図3に示す連結部Bに示すように、前記筏モジュール1の前記長尺体3の端部と他の前記筏モジュール1の前記短尺体4の端部との連結の各連結部位に、固定可能又は脱着可能なモジュール体連結手段5bを用いて、プレハブ式に組立てられた筏である。
【0074】
そして、前記プレハブ式ポリエチレン製浮体筏2は、
図5に示すように、複数の前記筏モジュール1を長手方向に連設しプレハブ式に組立てられた直線状、
図4に示すように、複数の前記筏モジュール1を短手方向に連設しプレハブ式に組立てられた並列状、又は、
図3に示すように、複数の前記筏モジュール1を四角枠状に配設しプレハブ式に組立てられたロ字状の形態がある。
【0075】
前記固定可能な前記モジュール体連結手段5bとしては、例として、所定の長さのポリエチレン製パイプの両端を密閉構造又は開放構造にした、直線状で短尺状の継手体9を介設して接合した、エレクトロフージョン接合又はヒートフージョン接合がある。
【0076】
また、前記脱着可能な前記モジュール体連結手段5bとしては、例として螺子構造体(図示なし)を用いた脱着可能手段がある。
【0077】
前記プレハブ式ポリエチレン製浮体筏2の実施例として、
図3に示すように、プレハブ部材あり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある筏モジュール1a、1b、1c及び1dを略四角枠形状の各辺の位置に配設するようにし、連結部B1~B4には前記継手体9a、9b、9c又は9dを介設させて、所定の連結手段5b、例えば、筏モジュール1及び前記短尺体4の材質と同じ材質の継手体9を介設して融着、例えば、エレクトロフージョン接合又はヒートフージョン接合で連結する。
【0078】
よって、プレハブ部材あり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある同一の形態及び大きさの複数の筏モジュール1を配設して、プレハブ式に組み立てることにより、四角枠状すなわち略ロ字状のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2aを組み上げることができる。
【0079】
また、
図4に示すように、プレハブ部材あり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある筏モジュール1e、1f、1g及び1hを短手方向に横並びに並列させて配設するようにし、連結部B5~B10には前記継手体9e、9f、9g、9h、9j又は9kを介設させて、所定の連結手段5b、例えば、筏モジュール1及び前記短尺体4の材質と同じ材質の継手体9を介設して融着、例えば、エレクトロフージョン接合又はヒートフージョン接合で連結する。
【0080】
よって、プレハブ部材あり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある同一の形態及び大きさの複数の筏モジュール1を配設して、プレハブ式に組み立てることにより、並列状のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2bを組み上げることができた。
【0081】
また、
図5に示すように、プレハブ部材あり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある筏モジュール1j、1k、1m及び1nを長手方向に縦並びに直線状に配設するようにし、連結部B11~B16には前記短尺体9m、9n、9p、9q、9r又は9sを介設させて、所定の連結手段5b、例えば、筏モジュール1及び前記短尺体4の材質と同じ材質の継手体9を介設して融着、例えば、エレクトロフージョン接合又はヒートフージョン接合で連結する。
【0082】
よって、プレハブ部材あり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある同一の形態及び大きさの複数の筏モジュール1を配設して、プレハブ式に組み立てることにより、直線状のプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2cを組み上げることができる。
【0083】
図3~
図5に示すように、本発明のプレハブ部材であり、かつ前後左右方向に連結部位を有するパズル式組立ピースでもある同一の形態及び大きさの複数の筏モジュール1を、プレハブ式に組み立てて、漁場に適するさまざまな形態や大きさのプレハブ式ポリエチレン製浮体筏2を組み上げることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 筏モジュール
2 プレハブ式ポリエチレン製浮体筏
3 長尺体
4 短尺体
5 連結手段
6 密閉手段
7 ポリエチレン製パイプ
8 ポリエチレン製パイプ
9 継手体
10 垂下連
11 養殖容器
15 連結部位
25 前後左右連結部位
30 2本組長尺体部
A 連結部
B 連結部
K 間隔