(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064829
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】防火建具及び防火建具における熱膨張耐火部材の設置方法
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20230502BHJP
E06B 3/58 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175210
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】小張 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA09
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E016CC02
2E016DA01
2E016DB02
2E016DC03
2E239CA12
2E239CA22
2E239CA46
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】防火建具における熱膨張耐火部材の取付の作業性を向上させる。
【解決手段】
枠体2と押縁3、6から形成された凹部にガラス板1の周縁部位が挿入された防火建具において、押縁3、6には、前記凹部の前記底面に位置するように板状部(支持部材52の延出部520、支持部材63の見込辺631)が突設されており、前記板状部には、熱膨張耐火部材9が設けてある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と押縁から形成された凹部にガラスの周縁部位が挿入された防火建具において、
前記押縁には、前記凹部の前記底面に位置するように板状部が突設されており、
前記板状部には、熱膨張耐火部材が設けてある、
防火建具。
【請求項2】
火災時に熱膨張耐火部材によって閉塞されることが意図された空間に面する面部を備えた第1要素と、
第1要素の近傍に設けられた第2要素と、
を含み、
前記第2要素には、前記第1要素の前記面部に沿って延びる板状の第3要素が突設されており、前記第3要素の裏面は、前記第1要素の前記面部に当接ないし近接しており、前記第3要素の表面には熱膨張耐火部材が設けてあり、前記熱膨張耐火部材が前記空間に面している、
防火建具。
【請求項3】
前記第2要素は、前記空間内に位置していない、
請求項2に記載の防火建具。
【請求項4】
板状部が突設された押縁であって、前記板状部の第1面に熱膨張耐火部材が設けられた押縁を用意し、
前記押縁を枠体に取り付けて、当該押縁と当該枠体の部分とで、ガラスの周縁部位を受け入れる凹部を形成すると同時に、前記凹部の底面に前記板状部の第2面を当接ないし近接させることで、前記ガラスの周縁と対向するように熱膨張耐火部材を設置する、
防火建具における熱膨張耐火部材の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火建具及び防火建具における熱膨張耐火部材の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物躯体(壁体等)に嵌め込まれて開閉できない窓は、FIX窓ないし嵌め殺し窓として知られている。このような嵌め殺し窓を防火設備として使用したい場合がある。この場合、窓を形成するガラス板の防火性能に加えて、ガラスの支持部における防火性能が重要となる。
【0003】
ガラスを備えた金属製の建具においては、枠体と押縁から形成された凹部にガラスの周縁部位を受け入れて固定するが、防火性能が要求される建具では、凹部内に熱膨張耐火部材を設けることが行われる(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、比較的狭小スペースである凹部内に熱膨張耐火部材を貼り付けることは手間であり、熱膨張耐火部材の貼り付け作業に時間を要することは、現場におけるガラスの取付作業全体の作業効率に影響を与え得る。また、ガラスの周縁部位を受け入れる凹部に限らず、熱膨張耐火部材を貼り付けるべき場所が奥まった位置等にある場合には、熱膨張耐火部材の貼り付け作業は手間である。また、複数箇所に熱膨張耐火部材を貼り付けなければならない場合等には、熱膨張耐火部材の貼り付け忘れが発生するおそれもある。
【特許文献1】特開2010-248836
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、防火建具における熱膨張耐火部材の取付の作業性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
枠体と押縁から形成された凹部にガラスの周縁部位が挿入された防火建具において、
前記押縁には、前記凹部の前記底面に位置するように板状部が突設されており、
前記板状部には、熱膨張耐火部材が設けてある、
防火建具、である。
1つの態様では、前記熱膨張耐火部材は、前記ガラスの前記周縁部位と前記凹部との間に形成された空間に面している。
前記板状部の第1面に前記熱膨張耐火部材が設けてあり、前記板状部の第2面は、前記凹部の前記底面に当接ないし接触していても、あるいは、非接触で近接していてもよい。
1つの態様では、前記枠体は、上枠、左右の縦枠である。
防火建具としては、例えば嵌め殺し窓やガラス窓部を備えた扉体が例示されるが、これらには限定されない。
【0007】
本発明が採用した他の技術手段は、
火災時に熱膨張耐火部材によって閉塞されることが意図された空間に面する面部を備えた第1要素と、
第1要素の近傍に設けられた第2要素と、
を含み、
前記第2要素には、前記第1要素の前記面部に沿って延びる板状の第3要素が突設されており、前記第3要素の裏面は、前記第1要素の前記面部に当接ないし近接しており、前記第3要素の表面には熱膨張耐火部材が設けてあり、前記熱膨張耐火部材が前記空間に面している、
防火建具、である。
1つの態様では、前記第2要素は、前記空間内に位置していない。
【0008】
本発明が採用した他の技術手段は、
板状部が突設された押縁であって、前記板状部の第1面に熱膨張耐火部材が設けられた押縁を用意し、
前記押縁を枠体に取り付けて、当該押縁と当該枠体の部分とで、ガラスの周縁部位を受け入れる凹部を形成すると同時に、前記凹部の底面に前記板状部の第2面を当接ないし近接させることで、前記ガラスの周縁と対向するように熱膨張耐火部材を設置する、
防火建具における熱膨張耐火部材の設置方法、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、枠体と押縁から形成された凹部にガラスの周縁部位が挿入された防火建具において、前記押縁に前記凹部の前記底面に位置するように板状部を突設して、この板状部に熱膨張耐火部材を予め貼り付けておくことで、枠体への押縁の取付時に同時に熱膨張耐火部材を設置することができ、前記凹部内に熱膨張耐火部材を設けなければならない場合であっても、ガラスの取付作業全体の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る嵌め殺し窓の正面図(第1側から見た図)である。
【
図2】第1実施形態に係る押縁を備えた嵌め殺し窓の縦断面図である。
【
図3】
図2において、ガラス板及び押縁の第1部材が取り外され、押縁の第2部材が取り付けられている状態を示す。
【
図4】第2実施形態に係る押縁を備えた嵌め殺し窓の縦断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る押縁を備えた嵌め殺し窓の横断面図である。
【
図6】
図5の左側部位において、ガラス板及び押縁の第1部材が取り外され、押縁の第2部材が取り付けられている状態を示す。
【
図7】第2実施形態に係る押縁を備えた嵌め殺し窓の横断面図の左側部位を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る押縁において、下枠に取り付けられる押縁の第1部材を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る押縁において、下枠に取り付けられる押縁の第2部材を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る押縁において、下枠に取り付けられる押縁を示す図である。
【
図11】下枠に取り付けられる押縁の変形例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係るセッティングブロックの作用を説明する図である。
【
図13】第1実施形態に係る押縁において、上枠、縦枠に取り付けられる押縁の第1部材を示す図である。
【
図14】第1実施形態に係る押縁において、上枠、縦枠に取り付けられる押縁の第2部材を示す図である。
【
図15】第2実施形態に係る押縁において、上枠、縦枠に取り付けられる押縁を示す図である。
【
図16】他の実施形態に係るガラス窓部を備えた扉体の正面図である。
【
図17】
図16の縦断面図であり、下枠におけるガラス板の支持構造を示している。
【
図18】
図16の戸先側部位の横断面図であり、縦枠におけるガラス板の支持構造を示している。
【
図20】建具における熱膨張耐火部材の取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[A]FIX窓の全体構成
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、建物躯体(例えば、壁体)に設けられる嵌め殺し窓ないしFIX窓に係る。
図1に示すように、FIX窓は、窓ガラスを構成するガラス板1と、ガラス板1の四方の端部が支持される枠体2と、を備えており、壁体W等に形成された開口部を塞ぐように埋め込まれて、壁体Wに窓部が形成される。本実施形態に係るFIX窓は、防火設備として使用可能である。
【0012】
FIX窓は、四周状の框ないし枠体2と、枠体2内に押縁3(
図2、
図5参照)あるいは押縁6(
図4、
図7参照)を用いて嵌め込まれたガラス板1とからなる。枠体2及び押縁3(第1部材4、第2部材5)、押縁6は、所定形状に折り曲げ形成された鋼板(例えば、スチールやステンレス)からなる。
【0013】
FIX窓のガラス板1は、所定厚の方形状の板体であり、FIX窓の見付面となる第1面部10及び第2面部11と、上端縁12と、下端縁13と、右端縁14と、左端縁15と、を備えている。ガラス板1は、所定の防火性能を備えたガラス、例えば、網入りガラス、耐熱強化ガラス、耐熱結晶化ガラス等から形成されている。ガラス板1は単層であっても、あるいは、複層ガラスであってもよい。
【0014】
[B]FIX窓の四周枠
FIX窓の枠体2について説明する。枠体2は、横方向に水平状に延びる上枠20と、横方向に水平状に延びる下枠21と、高さ方向に垂直状に延びる左右の縦枠22、23と、から四周枠状に形成されている。押縁3(第1部材4、第2部材5)、押縁6は、枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に沿って延びる長尺部材である。
【0015】
[B-1]上枠
枠体2の上枠20について説明する。水平状に延びる長尺部材である上枠20は、
図2~
図4に示すように、第1側の第1見付面200と、第2側の第2見付面201と、第1見付面200と第2見付面201の下端間を接続する下面部と、からなり、下面部は、第1見付面200側の第1下面202と、第2見付面201側の第2下面203と、第1下面202と第2下面203との間に位置する凸部204と、からなる。
【0016】
本実施形態において、第2下面203の前後方向(見込方向)の寸法は、第1下面202の前後方向(見込方向)の寸法よりも大きく、凸部204は、下面部の前後方向(見込方向)の中央部位に対して第1側に偏倚した位置にある。凸部204は、第1側の第1見付面2040と、第2側の第2見付面2041と、下面2042と、からなる。
【0017】
上枠20の第2下面203には、凸部204の第2側に位置して、ガラス押え部材、すなわち、押縁3あるいは押縁6が固定されている。凸部204と押縁3あるいは押縁6の間に形成された溝部(凹部)に、ガラス板1の上端部位(周縁部位)を受け入れるようになっている。
【0018】
[B-2]下枠
枠体2の下枠21について説明する。水平状に延びる長尺部材である下枠21は、
図2~
図4に示すように、第1側の第1見付面210と、第2側の第2見付面211と、第1見付面210と第2見付面211の上端間を接続する上面部と、からなり、上面部は、第1見付面210側の第1上面212と、第2見付面211側の第2上面213と、第1上面212と第2上面213との間に位置する凸部214と、からなる。
【0019】
本実施形態において、第2上面213の前後方向(見込方向)の寸法は、第1上面212の前後方向(見込方向)の寸法よりも大きく、凸部214は、上面部の前後方向(見込方向)の中央部位に対して第1側に偏倚した位置にある。凸部214は、第1側の第1見付面2140と、第2側の第2見付面2141と、上面2142と、からなる。
【0020】
下枠21の第2上面213には、凸部204の第2側に位置して、ガラス押え部材、すなわち、押縁3あるいは押縁6が固定されている。凸部204と押縁3あるいは押縁6の間に形成された溝部(凹部)に、ガラス板1の下端部位(周縁部位)を受け入れるようになっている。ガラス板1の下端縁13は、溝部の底面(下枠21の第2上面213)に載置した複数(本実施形態では2個)のセッティングブロックSB1上に載置されるようになっている。
【0021】
[B-3]縦枠
枠体2の左右の縦枠22、23について説明する。垂直状に延びる長尺部材である一方の縦枠22は、
図5、
図7に示すように、第1側の第1見付面220と、第2側の第2見付面221と、第1見付面220と第2見付面221の内側端間を接続する見込面部と、からなり、見込面部は、第1見付面220側の第1見込面222と、第2見付面221側の第2見込面223と、第1見込面222と第2見込面223との間に位置する凹部224(
図5参照)と、からなる。
【0022】
本実施形態において、第2見込面223の見込寸法は、第1見込面222の見込寸法よりも小さく、凹部224は、見込面部の見込方向において第2側に偏倚した位置にある。凹部224は、第1側の第1見付面2240と、第2側の第2見付面2241と、見込方向に延びる底面2242と、からなる。
【0023】
縦枠22の凹部224には、凹部224の第2見付面2241に隣接して、ガラス押え部材、すなわち、押縁3あるいは押縁6が固定されている。凹部224内には、凹部224に設けた押縁3あるいは押縁6によって溝部(凹部)が形成されており、当該溝部にガラス板1の側端部位(周縁部位)を受け入れるようになっている。
【0024】
垂直状に延びる長尺部材である他方の縦枠23は、
図5に示すように、第1側の第1見付面230と、第2側の第2見付面231と、第1見付面230と第2見付面231の内側端間を接続する見込面部と、からなり、見込面部は、第1見付面230側の第1見込面232と、第2見付面231側の第2見込面233と、第1見込面232と第2見込面233との間に位置する凹部と、からなる。凹部は、第1側の第1見付面2340と、第2側の第2見付面2341と、見込方向に延びる底面2342と、からなる。
【0025】
本実施形態において、第2見込面233の見込寸法は、第1見込面232の見込寸法よりも小さく、凹部は、見込面部の見込方向において第2側に偏倚した位置にある。
【0026】
縦枠23の凹部には、凹部の第2見付面2341に隣接して、ガラス押え部材、すなわち、押縁3あるいは押縁6が固定されている。凹部内には、凹部に設けた押縁3あるいは押縁6によって溝部(凹部)が形成されており、当該溝部にガラス板1の側端部位(周縁部位)を受け入れるようになっている。
【0027】
[C]FIX窓における押縁の固定構造(第1実施形態)
[C-1]第1実施形態に係る押縁(第1部材4+第2部材5)
図2、
図3、
図5、
図6、
図8、
図9、
図13、
図14を参照しつつ、FIX窓のガラス板1の支持に用いられる押縁の第1実施形態について説明する。第1実施形態に係る押縁3は、第1部材4と第2部材5を組み合わせることで形成されている。第1部材4は、枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に沿って延びる長尺部材である。第1部材4は、第1見付面40と、第2見付面41と、見込面42と、から断面視コ字形状を有する。第2部材5は、枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に沿って延びる長尺部材である。第2部材5は、見付辺50と、見込辺51と、から断面視L形状を有する。本実施形態では、ガラス板1の取付時に、第2部材5が先に枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に固定され(
図3、
図6参照)、第1部材4は、第2部材5を覆うように、枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に固定される。本実施形態に係る第1部材4と第2部材5は同じ長さ寸法を備えている。
【0028】
第1部材4と第2部材5から構成された押縁3において、第2部材5の見付辺50は、第1部材4の第1見付面40の内面に当接している。第1部材4の板厚及び枠体2を形成する鋼板の板厚は、例えば、1.5~1.6mmであり、押縁3の第2部材5を形成する鋼板の第2の板厚は、例えば、3mm以上である。第1実施形態に係る押縁3を採用したFIX窓において、ガラス板1の第1面部10の端部に対向する枠体の部分(上枠20の凸部204の第2見付面2041、下枠21の凸部214の第2見付面2141、縦枠22の凹部224の第1見付面2240、縦枠23の凹部の第1見付面2340)と、ガラス板1の第2面部11の端部に対向する押縁の部分(第1部材4の第1見付面40+第2部材5の見付辺50)とから、ガラス板1の端部が受け入れられて支持される溝部(凹部)が形成されており、前記押縁の部分の厚さ(例えば、3mm+1.5~1.6mm)は3mmよりも大きく、少なくとも、前記押縁3の部分を形成する見付辺50の厚さ(少なくとも3mm以上)を大きくすることで、火災時の熱による溝部の変形を抑制し、建具におけるガラスの支持構造の防火性能を向上させるようになっている。第1実施形態に係る押縁3は、このような防火構造を備えているが、以下に説明するように、下枠21に取り付けられる押縁3の構成と、上枠20及び縦枠22、23に取り付けられる押縁3の構成は異なる点に留意されたい。
【0029】
[C-2]下枠に取り付けられる押縁
図8に示すように、下枠21に取り付けられる押縁3の第1部材4は、第1見付面40と、第2見付面41と、見込面42と、から断面視コ字形状を有する。第1部材4の第1見付面40と第2見付面41は同じ高さであり、第1見付面40の下端ないし先端(見込面42から遠い側)には、幅方向に間隔を存して2つの方形状の切り欠き400が形成されている。
【0030】
図9に示すように、下枠21に取り付けられる押縁3の第2部材5は、見付辺50と、見込辺51と、から断面視L形状を有し、見付辺50の基端側(見込辺51との角部)には、2つのセッティングブロックSB2が固定(溶接)されており、セッティングブロックSB2は、見付辺50の基端側から見込方向に突出している。見込辺51の下面とセッティングブロックSB2の下面は面一である。各セッティングブロックSB2の断面寸法は、第1部材4の切り欠き400と略同じであり(切り欠き400の面積が少し大きい)、2つのセッティングブロックSB2間の距離は、2つの切り欠き400間の距離と略同じである。
【0031】
本実施形態において、下枠21に取り付けられる押縁3において、第1部材4と第2部材5から押縁3が組み立てられた時に、第2部材5に固定された2つのセッティングブロックSB2が、第1部材4の第1見付面40の下端の2つの切り欠き400からそれぞれ見込方向に突出するようになっている。セッティングブロックSB2の下面は、見込辺51の下面、及び第1部材4の第1見付面40(切り欠き400を除く部位)及び第2見付面41の下端と面一である。
【0032】
下枠21に取り付けられる押縁3において、第2部材5は、見込辺51の面部が枠体2の下枠21に当接された状態で、見込辺51に形成された孔部511を通って延びる螺子17によって、下枠21に固定されている。見込辺51には、第1部材4を固定する螺子16を挿通させるための孔部510が形成されている。第1部材4は、第1見付面40の端縁及び第2見付面41の端縁を枠体2の下枠21に当接させた状態で、見込面42に形成された孔部420を通って延びる螺子16によって枠体2の下枠21に固定され、螺子16の頭部は、孔部420に見込面42と面一で納まるようになっている。
【0033】
押縁3が下枠21に固定された状態において、第1部材4の第1見付面40(切り欠き400を除く部位)及び第2見付面41の下端、及び第2部材5の見込辺51の下面が下枠21の第2上面213に当接しており、セッティングブロックSB2の下面が、溝部(凹部)の底面(第2上面213の部分)に接触ないし近接している。
【0034】
[C-3]上枠、縦枠に取り付けられる押縁
図13に示すように、上枠20、縦枠22、23に取り付けられる押縁3の第1部材4は第1見付面40と、第2見付面41と、見込面42と、から断面視コ字形状を有する。第1部材4において、第1見付面40の高さは、第2見付面41の高さよりも僅かに低い。すなわち、第1見付面40の先端の見込面42からの距離は、第2見付面41の先端の見込面42からの距離よりも僅かに短い。第1部材4において、第1見付面40と第2見付面41の高さの差は、第2部材5に固定された支持部材52の板厚と略同じである。
【0035】
図14に示すように、上枠20、縦枠22、23に取り付けられる押縁3の第2部材5の見込辺51には、プレート状の支持部材52が固定(溶接)されている。支持部材52は、第2部材5の全長に亘って延びる長尺部材であり、見付辺50より突出する延出部520を備えている。支持部材52の延出部520には、全長に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。第1部材4と第2部材5から押縁3が組み立てられた時に、支持部材52が第1見付面40の先端に当接して見込方向(第1見付面40に対して直角方向)に延びており、延出部520には、熱膨張耐火部材9が設けてある。
【0036】
上枠20及び縦枠22、23に取り付けられる押縁3の第2部材5は、見込辺51に固定したプレート状の支持部材52が枠体2の上枠20、左右の縦枠22、23に当接された状態で、見込辺51及び支持部材52に形成された孔部510を通って延びる螺子17によって、枠体2の上枠20、左右の縦枠22、23に固定されている。第2部材5の見込辺51及び支持部材52には、第1部材4を固定する螺子16を挿通させるための孔部511が形成されている。第1部材4は、第2見付面41の端縁を枠体2の上枠20、左右の縦枠22、23に当接させ、第1見付面40の端縁を支持部材52に当接ないし近接させた状態で、見込面42に形成された孔部420を通って延びる螺子16によって枠体2の上枠20、左右の縦枠22、23に固定され、螺子16の頭部は、孔部420に見込面42と面一で納まるようになっている。
【0037】
押縁3が上枠20あるいは縦枠22、23に固定された状態において、第1部材4の第2見付面41の端縁、及び、第2部材5に固定した支持部材52が上枠20、縦枠22、23の第2下面203、底面2242、底面2342に当接しており、第1部材4の第1見付面40の先端と第2下面203、底面2242、底面2342の隙間から見込方向に延出する支持部材52の延出部520の裏面が、溝部(凹部)の底面(第2下面203の部分、底面2242の部分、底面2342の部分)に接触ないし近接しており、延出部120の表面には熱膨張耐火部材9が設けてある。
【0038】
[C-4]上枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の上端部位の固定
図2に示すように、上枠20に設けた押縁3は、第1部材4の第1見付面40が、上枠20の凸部204の第2見付面2041と離間対向するように、第2下面203に固定されており、第1見付面40の裏面ないし内面には、見込辺51を介して第2下面203に固定された第2部材5の見付辺50が当接している。上枠20の凸部204の下面2042と、押縁3の第1部材4の見込面42は面一である。押縁3の第1部材4の第1見付面40と凸部204の第2見付面2041との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の上端部位を受け入れている。ガラス板1の上端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の上端部と凸部204の第2見付面2041との隙間、ガラス板1の第2面部11の上端部と押縁3の第1部材4の第1見付面40との隙間には、バックアップ材7、シーリング材8が充填されている。
【0039】
溝部の底面(第2下面203の部分)には、押縁3の第2部材5に固定された支持部材52の延出部520が当該底面を覆うように接触ないし近接して位置しており、延出部520には、全長(ガラス板1の幅方向に沿った長さ)に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。ガラス板1の上端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の上端縁12は、溝部の底面、すなわち、第2部材5に固定された支持部材52の延出部520に設けた熱膨張耐火部材9に離間対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の上端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。
【0040】
[C-5]下枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の下端部位の固定
図2に示すように、下枠21に設けた押縁3は、第1部材4の第1見付面40が、下枠21の凸部214の第2見付面2141と離間対向するように、第2上面213に固定されており、第1見付面40の裏面ないし内面には、見込辺51を介して第2上面213に固定された第2部材5の見付辺50が当接している。下枠21の凸部214の上面2142と、押縁3の第1部材4の見込面42は面一である。押縁3の第1部材4の第1見付面40と凸部214の第2見付面2141との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の下端部位を受け入れている。ガラス板1の下端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の下端部と凸部214の第2見付面2141との隙間、ガラス板1の第2面部11の下端部と押縁3の第1部材4の第1見付面40との隙間には、バックアップ材7、シーリング材8が充填されている。
【0041】
ガラス板1の下端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の下端縁13は、溝部の底面(第2上面213から形成されている)に載置されたセッティングブロックSB1の上面に支持されている。1つの態様では、セッティングブロックSB1は、ゴム製のブロックである。溝部の底面には、第2部材5に固定された鋼製のセッティングブロックSB2が接触ないし近接しており、図示の態様では、セッティングブロックSB2は、セッティングブロックSB1に隣接して位置している。セッティングブロックSB2は、セッティングブロックSB1よりも低背である。より具体的には、セッティングブロックSB2の上面は、セッティングブロックSB1の上面よりも下方に位置しており、セッティングブロックSB2の上面は、ガラス板1の下端縁13の下方に離間している(
図12上図参照)。火災時の熱でゴム製のセッティングブロックSB1が溶融して変形(変形した状態を
図12下図の概念図にSB1´で示す)したり消失したりすると、ガラス板1が下方に下がるが、この時、ガラス板1の下端縁13が鋼製のセッティングブロックSB2の上面に支持されるようになっている(
図12下図参照)。
【0042】
ガラス板1の下端縁13と溝部の底面(第2上面213から形成されている)はセッティングブロックSB1、SB2に当接している部分を除いて離間しており、溝部の底面(第2上面213から形成されている)には、熱膨張耐火部材9が設けてあり、火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の下端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。
【0043】
[C-6]縦枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の側端部位の固定
図5に示すように、縦枠22に設けた押縁3は、第1部材4の第1見付面40が、縦枠22の凹部224の第1見付面2240と離間対向するように、凹部224の底面2242に固定されており、第1見付面40の裏面ないし内面には、見込辺51を介して凹部224の底面2242に固定された第2部材5の見付辺50が当接している。縦枠22の第1見込面222及び第2見込面223と、押縁3の第1部材4の見込面42は略面一である。押縁3の第1部材4の第1見付面40と凹部224の第1見付面2240との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の一方の側端部位を受け入れている。ガラス板1の一方の側端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の側端部と凹部224の第1見付面2240との隙間、ガラス板1の第2面部11の側端部と押縁3の第1部材4の第1見付面40との隙間には、バックアップ材、シーリング材が充填されている。
【0044】
溝部の底面(凹部224の底面2242から形成されている)には、押縁3の第2部材5に固定された支持部材52の延出部520が当該底面を覆うように接触ないし近接して位置しており、延出部520には、全長(ガラス板1の高さ方向に沿った長さ)に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。ガラス板1の一方の側端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の右端縁14は、溝部の底面、すなわち、第2部材5に固定された支持部材52の延出部520に設けた熱膨張耐火部材9に離間対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の側端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。
【0045】
図5に示すように、縦枠23に設けた押縁3は、第1部材4の第1見付面40が、縦枠23の凹部の第1見付面2340と離間対向するように、凹部の底面2342に固定されており、第1見付面40の裏面ないし内面には、見込辺51を介して凹部の底面2342に固定された第2部材5の見付辺50が当接している。縦枠23の第1見込面232及び第2見込面233と、押縁3の第1部材4の見込面42は略面一である。押縁3の第1部材4の第1見付面40と凹部の第1見付面2340との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の他方の側端部位を受け入れている。ガラス板1の他方の側端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の側端部と凹部の第1見付面2340との隙間、ガラス板1の第2面部11の側端部と押縁3の第1部材4の第1見付面40との隙間には、バックアップ材7、シーリング材8が充填されている。
【0046】
溝部の底面(凹部の底面2342から形成されている)には、押縁3の第2部材5に固定された支持部材52の延出部520が当該底面を覆うように接触ないし近接して位置しており、延出部520には、全長(ガラス板1の高さ方向に沿った長さ)に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。ガラス板1の一方の側端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の左端縁15は、溝部の底面、すなわち、第2部材5に固定された支持部材52の延出部520に設けた熱膨張耐火部材9に離間対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の側端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。
【0047】
[C-7]押縁の固定構造
押縁3の取付構造ないし固定構造について説明する。上枠20の第2下面203、下枠21の第2上面213、縦枠22の凹部224の底面2242、縦枠22の凹部の底面2342において、溝部の底面を形成する部位に隣接する部位には、螺子16の挿通孔、螺子17の挿通孔が、それぞれ形成されている。第2下面203、第2上面213、底面2242、底面2342の裏面には、少なくとも、これらの挿通孔の外側に位置してバックアッププレート18(1つの態様では、上枠20、下枠21、縦枠22、23の長さ方向に延びる長尺部材)が固定(溶接)されており、バックアッププレート18には、これらの挿通孔に対応して、螺子16が固定される雌螺子、螺子17が固定される雌螺子が形成されており、第1部材4を固定する螺子16、第2部材5を固定する螺子17は、それぞれ、バックアッププレート18に固定される。なお、螺子16は第2部材5に固定されるものでもよい。
【0048】
[D]FIX窓における押縁の固定構造(第2実施形態)
[D-1]第2実施形態に係る押縁(押縁6)
図4、
図7、
図10、
図15を参照しつつ、FIX窓のガラス板1の支持に用いられる押縁の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る押縁6は、上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に沿って延びる長尺部材であり、押縁6は、第1見付面60と、第2見付面61と、見込面62と、から断面視コ字形状を有する。押縁6は、第1見付面60の端縁及び第2見付面61の端縁を枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に当接させた状態で、見込面62に形成された孔部620を通って延びる螺子16によって、枠体2の上枠20、下枠21、左右の縦枠22、23に固定され、螺子16の頭部は、孔部に面一で納まるようになっている。
【0049】
押縁6を形成する鋼板の板厚は、枠体2を形成する鋼板の板厚よりも大きい。枠体2を形成する鋼板の板厚は、例えば、1.5~1.6mmであり、押縁6を形成する鋼板の板厚は、例えば、3mmである。第2実施形態に係る押縁6を採用したFIX窓において、ガラス板1の第1面部10の端部に対向する枠体の部分(上枠20の凸部204の第2見付面2041、下枠21の凸部214の第2見付面2141、縦枠22の凹部224の第1見付面2240、縦枠23の凹部の第1見付面2340)と、ガラス板1の第2面部11の端部に対向する押縁6の部分(第1見付面60)とから、ガラス板1の端部が受け入れられて支持される溝部(凹部)が形成されており、前記押縁の部分の厚さは3mm以上(例えば、3mm)であり、押縁6の厚さを大きくすることで、火災時の熱による溝部の変形を抑制し、建具におけるガラスの支持構造の防火性能を向上させるようになっている。第2実施形態に係る押縁6は、このような防火構造を備えているが、以下に説明するように、下枠21に取り付けられる押縁6の構成と、上枠20及び縦枠22、23に取り付けられる押縁6の構成は異なる点に留意されたい。
【0050】
[D-2]下枠に取り付けられる押縁
図10に示すように、下枠21に取り付けられる押縁6は、第1見付面60と、第2見付面61と、見込面62と、から断面視コ字形状を有し、第1見付面60の先端側ないし下端側(見込面62から遠い側)には、押縁6の長さ方向(ガラス板1の幅方向に沿った方向)に間隔を存して2つのセッティングブロックSB2が固定(溶接)されている(
図10では一方のセッティングブロックSB2のみを示す)。セッティングブロックSB2は、第1見付面60の下端から見込方向(第1見付面60に対して直角方向)に突出している。セッティングブロックSB2の下面は、第1見付面60の先端(下端)と面一である。
【0051】
[D-3]上枠、縦枠に取り付けられる押縁
図15に示すように、上枠20、縦枠22、23に取り付けられる押縁6は、第1見付面60と、第2見付面61と、見込面62と、から断面視コ字形状を有し、第1見付面60には、断面視L形状の支持部材63が固定(溶接)されている。支持部材63は、押縁6と同長の長尺部材である。支持部材63は、見付辺630と、見込辺631と、から断面視L形状を備え、見付辺630が押縁6の第1見付面60の外面に固定(溶接)されており、見込辺631が見込方向に突出しており、見込辺631の下面(裏面)は、第1見付面60の先端(下端)と面一である。支持部材63の見込辺631の上面(表面)には、長さ方向(ガラス板1の幅方向に沿った方向)に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。
【0052】
[D-4]上枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の上端部位の固定
図4に示すように、上枠20に設けた押縁6は、第1見付面60が、上枠20の凸部204の第2見付面2041と離間対向するように、第2下面203に固定されており、上枠20の凸部204の下面2042と、押縁6の見込面62は面一であり、押縁6の第1見付面60と凸部204の第2見付面2041との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の上端部位を受け入れている。ガラス板1の上端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の上端部と凸部204の第2見付面2041との隙間、ガラス板1の第2面部11の上端部と押縁6の第1見付面60との隙間には、バックアップ材7、シーリング材8が充填されている。
【0053】
溝部の底面(第2下面203から形成されている)には、押縁6に固定された支持部材63の見込辺631が当該底面を覆うように接触ないし近接して位置しており、見込辺631には、全長(ガラス板1の幅方向に沿った長さ)に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。ガラス板1の上端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の上端縁12は、溝部の底面、すなわち、押縁6に固定された支持部材63の見込辺631に設けた熱膨張耐火部材9に離間対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の上端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。
【0054】
[D-5]下枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の下端部位の固定
図4に示すように、下枠21に設けた押縁6は、第1見付面60が、下枠21の凸部214の第2見付面2141と離間対向するように、第2上面213に固定されており、下枠21の凸部214の上面2142と、押縁6の見込面62は面一であり、押縁6の第1見付面60と凸部214の第2見付面2141との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の下端部位を受け入れている。ガラス板1の下端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の下端部と凸部214の第2見付面2141との隙間、ガラス板1の第2面部11の下端部と押縁6の第1見付面60との隙間には、バックアップ材7、シーリング材8が充填されている。
【0055】
ガラス板1の下端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の下端縁13は、溝部の底面(第2上面213から形成されている)に載置されたセッティングブロックSB1の上面に支持されている。1つの態様では、セッティングブロックSB1は、ゴム製のブロックである。溝部の底面には、第2部材5に固定された鋼製のセッティングブロックSB2が接触ないし近接しており、図示の態様では、セッティングブロックSB2は、セッティングブロックSB1に隣接して位置している。セッティングブロックSB2は、セッティングブロックSB1よりも低背である。より具体的には、セッティングブロックSB2の上面は、セッティングブロックSB1の上面よりも下方に位置しており、セッティングブロックSB2の上面は、ガラス板1の下端縁13の下方に離間している(
図12上図参照)。火災時の熱でゴム製のセッティングブロックSB1が溶融して変形(変形した状態を
図12下図でSB1´で示す)したり消失したりすると、ガラス板1が下方に下がるが、この時、ガラス板1の下端縁13が鋼製のセッティングブロックSB2の上面に支持されるようになっている(
図12下図の概念図参照)。
【0056】
ガラス板1の下端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の下端縁13と溝部の底面(第2上面213から形成されている)はセッティングブロックSB1、SB2に当接している部分を除いて離間しており、溝部の底面には、熱膨張耐火部材9が設けてあり、火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の下端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。
【0057】
[D-6]縦枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の側端部位の固定
図7に示すように、縦枠22に設けた押縁6は、第1見付面60が、縦枠22の凹部の第1見付面2240と離間対向するように、凹部の底面2242に固定されており、縦枠22の第1見込面222及び第2見込面223と、押縁6の見込面62は略面一であり、押縁6の第1見付面60と凹部の第1見付面2240との間の溝部(凹部)に、ガラス板1の一方の側端部位を受け入れている。ガラス板1の一方の側端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の第1面部10の側端部と凹部の第1見付面2240との隙間、ガラス板1の第2面部11の側端部と押縁6の第1見付面60との隙間には、バックアップ材7、シーリング材8が充填されている。
【0058】
溝部の底面(凹部の底面2242から形成されている)には、押縁6に固定された支持部材63の見込辺631が当該底面を覆うように接触ないし近接して位置しており、見込辺631には、全長(ガラス板1の高さ方向に沿った長さ)に亘って熱膨張耐火部材9が設けてある。ガラス板1の一方の側端部位が溝部に受け入れられた状態で、ガラス板1の右端縁14は、溝部の底面、すなわち、押縁6に固定された支持部材63の見込辺631に設けた熱膨張耐火部材9に離間対向している。火災時の熱で熱膨張耐火部材9が発泡して、ガラス板1の側端部位と溝部との隙間を閉塞するようになっている。縦枠23に設けた押縁6の構成については、縦枠22に設けた押縁6の構成についての上記説明を援用することができる。
【0059】
[D-7]押縁の固定構造
押縁6の取付構造ないし固定構造について説明する。上枠20の第2下面203、下枠21の第2上面213、縦枠22の凹部の底面2242において、溝部の底面を形成する部位に隣接する部位には、螺子16の挿通孔が形成されている。第2下面203、第2上面213、底面2242の裏面には、少なくとも、挿通孔の外側に位置してバックアッププレート18(1つの態様では、下枠21の長さ方向に延びる長尺部材)が固定(溶接)されており、バックアッププレート18には、螺子16に対応して、雌螺子が形成されており、押縁6を固定する螺子16は、バックアッププレート18に固定される。
【0060】
[E]押縁の変形例
第1実施形態に係る押縁3、第2実施形態に係る押縁6に基づいて、ガラス板1を押さえる部位の厚さが3mm以上の押縁を開示したが、このような押縁の他の態様を
図11、
図19に例示する。
【0061】
図11に示すように、2部材を組み合わせて押縁を形成する場合において、各部材の形状や組み合わせ態様には様々な態様がある。例えば、断面視コ字形状の第1部材4とプレート状の第2部材5´を組み合わせても、断面視コ字形状の第1部材4と断面視L形状の第2部材5を組み合わせても、断面視コ字形状の第1部材4と断面視コ字形状の第2部材5´´を組み合わせてもよい。断面視L形状の第1部材4´とプレート状の第2部材5´を組み合わせても、断面視L形状の第1部材4´と断面視L形状の第2部材5を組み合わせても、断面視L形状の第1部材4´と断面視コ字形状の第2部材5´´を組み合わせてもよい。組み合わせ時における第1部材4、4´、第2部材5、5´、5´´の姿勢・向きについては様々なバリエーションが採り得ることが当業者に理解される。セッティングブロックSB2は、ガラス板1を受け入れる溝部の一方の壁を形成する見付面に固定されるが、組み合わせの態様に応じて、第2部材5、5´、5´´、第1部材4に固定され得ることも当業者に理解される。
【0062】
1部材から形成される押縁の構成も断面視コ字形状に限定されない。
図11に示すように、例えば、断面視角パイク状の押縁6´、断面方形のブロック状の押縁6´´であってもよい。セッティングブロックSB2は、ガラス板1を受け入れる溝部の一方の壁を形成する見付面に固定される。
【0063】
図11では、下枠21に取り付けられる押縁(セッティングブロックSB2を備える)について示したが、セッティングブロックSB2に代えて熱膨張耐火部材を設けた支持部材52、63を設けるように変更することで、上枠20及び縦枠22、23に取り付ける押縁を構成し得ることが当業者に理解される。
【0064】
図19に、さらに押縁の変形例を示す。
図19において、押縁6Aが取り付けられた側を第1側とする。押縁6Aは、所定厚(例えば、3mm)のプレートからなる。上図において、下枠21Aは、第1側の第1見付面210と、第2側の第2見付面211と、第1側の第1上面212´と、第2側の凸部と、からなり、凸部は第1側に面する見付面213´と、第2見付面211の上方部位と、上面214´と、からなる。押縁6Aは、下枠21Aの第1見付面210に固定される第1部分(下側部分)と、下枠21Aの第1上面212´よりも上方に垂直に立ち上がる第2部分(上側部位)と、からなり、押縁6Aの第2部分と、見付面213´と、第1上面212´と、からガラス板1の下端部位を受け入れる溝部(凹部)が形成されており、第1上面212´に載置されたセッティングブロックSB1上にガラス板1の下端縁13が支持されている。
【0065】
下図において、下枠21Bは、第1側の第1見付面210と、第2側の第2見付面211と、第1側の第1上面215と、第1上面215よりも高い位置にある第2側の第2上面216と、第1上面215と第2上面216の間に位置し、第1上面215よりも高く、第2上面216よりも低い位置にある中間上面217と、第1上面215と中間上面217を接続する第1上側見付面218と、中間上面217と第2上面216を接続する第2上側見付面219と、を備えている。押縁6Aは、下枠21Bの第1上側見付面218に固定される第1部分(下側部分)と、下枠21Bの中間上面よりも上方に垂直に立ち上がる第2部分(上側部位)と、からなり、押縁6Aの第2部分と、第2上側見付面219と、中間上面217と、からガラス板1の下端部位を受け入れる溝部(凹部)が形成されており、中間上面217に載置されたセッティングブロックSB1上にガラス板1の下端縁13が支持されている。なお、
図19上図、下図において、押縁6Aに対してセッティングブロックSB2を取り付け得ることが当業者に理解される。
【0066】
図19に示す押縁の固定構造は、プレート状の押縁6Aを取り付けるのみのシンプルな構成であり、スッキリとした外観が得られる。また、押縁6Aの取付作業性も良好である。
図19では、下枠21Aに取り付けられる押縁6Aについて説明したが、同様の押縁の取付構造が、上枠、縦枠にも適用し得ること、また、押縁6Aに対して熱膨張耐火部材を設けた支持部材を取り付け得ることが当業者に理解される。
【0067】
[F]建具における熱膨張耐火部材の取付構造及び設置方法
防火建具において、複数の要素間に形成される隙間に面して熱膨張耐火部材を設け、火災時の熱で熱膨張耐火部材を発泡させて、前記隙間を塞ぐことが行われる。ここで、要素の形状や要素同士の位置関係等によって、熱膨張耐火部材を所望の面に直接取り付けることが難しい場合がある。
図20を参照しつつ、熱膨張耐火部材の取付作業性を向上させることができる熱膨張耐火部材の取付構造及び設置方法について説明する。
図20に示す熱膨張耐火部材の取付構造は、火災時に熱膨張耐火部材によって閉塞されることが意図された空間Sに面する面部α1を備えた第1要素αと、第1要素αの近傍に(例えば、隣接して)設けられ、空間Sに隣接する面部β1を備えるが、空間S内には位置しない第2要素βと、を含む。第2要素βが設けられる被固定部は限定されず、第1要素αの部分であっても、第1要素αとは異なる他の要素であってもよい。
【0068】
第2要素βには、第1要素αの面部α1に沿って延びる板状の第3要素γが突設されており、第3要素γの裏面は、第1要素αの面部α1に当接ないし近接しており、第3要素γの表面には、空間Sに面して熱膨張耐火部材9が設けてある。なお、
図20は断面視を示しているが、第1要素αの面部α1、第3要素γ、熱膨張耐火部材9は、所定の方向に延びている。
【0069】
この熱膨張耐火部材の取付構造は、第2要素βに予め第3要素γを固定しておき(第3要素γは、第2要素βにおいて、第2要素βを第1要素αに隣接して設けた時に面部α1に近接ないし当接するように延びる位置に固定される)、第3要素γの表面に熱膨張耐火部材9を設けておく。熱膨張耐火部材9が設けられた第3要素γが固定された第2要素βを、第1要素αに隣接して取り付けることで、同時に、表面に熱膨張耐火部材9が設けられた第3要素γが面部α1に重なるように配置され、熱膨張耐火部材9が空間Sに面するようになっている。すなわち、第1要素αの面部α1に直接熱膨張耐火部材を設けるのではなく、第3要素γを備えた第2要素βを設けることで、面部α1を(少なくとも部分的に)覆うように位置する第3要素γの表面に設けた熱膨張耐火部材9が空間Sに面するようになっている。
【0070】
図1~
図7では、建具としての嵌め殺し窓におけるガラス板1の支持構造を示したが、
図16~
図18を参照しつつ、建具としてのドアにおけるガラス板1の支持構造について説明する。
図16に示すように、扉体19は、上框190、下框191、戸先側縦框192、戸尻側縦框193から縦長方形状のドア框を備え、ドア框の内側に沿って設けられた四周状の枠体(上枠20´と、下枠21´と、左右の縦枠22´、23´からなる)が形成されており、枠部には押縁3(第1部材4、第2部材5)を介してガラス板1が支持されている。なお、図示の態様では、ドア框を形成する部材と四周状の枠体を形成する部材は共通しており、ドア框の部分から枠体が形成されている。
図17、
図18では、第1実施形態に係る押縁3が採用されているが、第2実施形態に係る押縁6を採用してもよいことが当業者に理解される。
【0071】
図17に下枠21´におけるガラス板1の支持構造を示す。下枠21´は、下框191の上端面1910において第1側に寄った位置に形成された凸部を含んでいる。下框191の上端面1910には、凸部と離間して押縁3が取り付けてあり、凸部と押縁3との間に、ガラス板1の下端部位を受け入れる溝部(凹部)が形成されている。溝部の底面には、ガラス板1の幅方向に間隔を存して2つのゴム製のセッティングブロックSB1が載置されており、ガラス板1の下端縁13は、セッティングブロックSB1に支持されている。押縁3には、ガラス板1の幅方向に間隔を存して2つの鋼製のセッティングブロックSB2が固定されており、セッティングブロックSB2は、セッティングブロックSB1に隣接して、溝部の底面に当接ないし近接して位置している。セッティングブロックSB2は、セッティングブロックSB1よりも低背であり、通常時(ガラス板1がセッティングブロックSB1に支持された状態)では、セッティングブロックSB2とガラス板1の下端縁13は離間している。下枠21´に取り付けられる押縁3(第1部材4と第2部材5)の詳細については、『[C-2]下枠に取り付けられる押縁』、『[C-5]下枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の下端部位の固定』の記載を援用することができる。
【0072】
図18に縦枠22´におけるガラス板の支持構造を示す。縦枠22´は、縦框192の見込部の第1側、第2側にそれぞれ形成された2つの凸部220´、221´を含んでおり、2つの凸部220´、221´間に凹部が形成されている。この凹部の第2側の半部には、第2側の凸部221´に隣接して、押縁3が取り付けてあり、第1側の凸部220´と押縁3との間に、ガラス板1の側端部位を受け入れる溝部(凹部)が形成されている。押縁3からは支持部材52の延出部520が溝部の底面222´に当接ないし近接して、底面222´に重なるように位置しており、延出部520に設けた熱膨張耐火部材9が、ガラス板1の右端縁14に対向している。縦枠22´に取り付けられる押縁3(第1部材4と第2部材5)の詳細については、『[C-3]上枠、縦枠に取り付けられる押縁』、『[C-6]縦枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の側端部位の固定』の記載を援用することができる。縦枠22´におけるガラス板1の支持構造について説明したが、上枠20´、縦枠23´におけるガラス板1の支持構造については、縦枠22´におけるガラス板1の支持構造と実質的に同じであり、『[C-3]上枠、縦枠に取り付けられる押縁』、『[C-4]上枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の上端部位の固定』、『[C-6]縦枠と押縁から形成された凹部に対するガラス板の側端部位の固定』の記載を援用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ガラス板(ガラス)
12 上端縁(周縁)
13 下端縁(周縁)
14 右端縁(周縁)
15 左端縁(周縁)
2 枠体
20 上枠
203 第2下面(枠体の部分、溝部の底面)
2041 凸部の第2見付面(溝部を形成する枠体の部分)
21 下枠
213 第2上面(枠体の部分、溝部の底面)
2141 凸部の第2見付面(溝部を形成する枠体の部分)
22 縦枠
2240 凹部の第1見付面(溝部を形成する枠体の部分、一方の見付面)
2242 凹部の底面(枠体の部分、溝部の底面)
23 縦枠
2340 凹部の第1見付面(溝部を形成する枠体の部分、一方の見付面)
2342 凹部の底面(枠体の部分、溝部の底面)
3 押縁
4 押縁の第1部材
40 第1見付面(押縁の部分)
400 切り欠き
41 第2見付面
42 見込面
5 押縁の第2部材
50 見付辺(押縁の部分)
51 見込辺
52 支持部材
520 延出部(板状部)
6 押縁
60 第1見付面(押縁の部分)
61 第2見付面
62 見込面
63 支持部材
631 見込辺(板状部)
9 熱膨張耐火部材
SB1 セッティングブロック(第1セッティングブロック)
SB2 セッティングブロック(第2セッティングブロック)
α 第1要素
β 第2要素
γ 第3要素