(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064844
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】アトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバ
(51)【国際特許分類】
A63G 31/16 20060101AFI20230502BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230502BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20230502BHJP
【FI】
A63G31/16
G06F3/01 510
G06F3/0481 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175242
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】100151688
【弁理士】
【氏名又は名称】今 智司
(72)【発明者】
【氏名】河本 拓
(72)【発明者】
【氏名】本山 敬一
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA27
5E555AA76
5E555BA20
5E555BB20
5E555BD01
5E555BE17
5E555CA41
5E555CA44
5E555CA47
5E555CB64
5E555CB66
5E555DA08
5E555DA09
5E555DA23
5E555DB32
5E555DB41
5E555DC05
5E555DC13
5E555DD06
5E555DD08
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザの静の状態を利用することで移動体を大きく動作させなくても、新規なユーザ体験を提供できるアトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバを提供する。
【解決手段】アトラクションシステム1は、ユーザが装着可能であり、仮想情報をユーザに知覚可能に出力する出力部50と、移動体3に搭乗中のユーザの反応の大きさを検知する反応検知部52と、反応検知部52が検知した反応の大きさに応じて、出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせる出力制御部70と、ユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する要求部83とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが移動体に搭乗し、前記移動体が所定のゾーンを移動してアトラクションが実行されるアトラクションシステムであって、
前記ユーザが装着可能であり、仮想情報を前記ユーザに知覚可能に出力する出力部と、
前記移動体に搭乗中の前記ユーザの反応の大きさを検知する反応検知部と、
前記反応検知部が検知した前記反応の大きさに応じて、前記出力部に出力させる前記仮想情報の内容を異ならせる出力制御部と、
前記ユーザに対し、前記ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する要求部と
を備えるアトラクションシステム。
【請求項2】
前記反応検知部が、前記ユーザの声の声量を前記反応の大きさとして検知し、
前記出力制御部が、前記反応検知部が検知した前記声の声量が、予め定められた声量の基準である第1の条件を満たす場合と、前記声量が前記第1の条件を満たさない場合とで前記仮想情報の内容を異ならせ、
前記要求部が、前記声量が前記第1の条件を満たす場合に、前記ユーザに対し、前記ユーザの反応の大きさを小さくすることを指示する請求項1に記載のアトラクションシステム。
【請求項3】
前記出力部が、前記ユーザに現実空間を知覚させると共に、前記現実空間に前記仮想情報を重畳して出力する拡張現実(AR)出力部、及び仮想現実空間に前記仮想情報を出力する仮想現実(VR)出力部からなる群から選択される少なくとも1つを有して構成される請求項1又は2に記載のアトラクションシステム。
【請求項4】
前記反応検知部が検知した前記反応の大きさに基づいて、前記移動体の移動速度、及び移動経路の少なくともいずれかを変更する移動制御部
を更に備える請求項1~3のいずれか1項に記載のアトラクションシステム。
【請求項5】
前記出力制御部が、前記仮想情報として所定のオブジェクトを前記出力部に出力させ、
前記ユーザの指示を受け付ける指示受付部と、
前記指示受付部が前記所定のオブジェクトの獲得指示を受け付けた場合、前記所定のオブジェクトを前記ユーザに対応付けるオブジェクト獲得制御部と
を更に備える請求項1~4のいずれか1項に記載のアトラクションシステム。
【請求項6】
前記ユーザに対応付けられた前記所定のオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報を前記ユーザに通知する通知部
を更に備える請求項5に記載のアトラクションシステム。
【請求項7】
前記出力制御部が、前記反応検知部が検知した前記反応の大きさが予め定められた基準を超える場合、前記所定のオブジェクトの前記出力部への出力回数若しくは出力頻度を、前記反応の大きさが前記予め定められた基準以下の場合に比べて減少させる請求項5又は6に記載のアトラクションシステム。
【請求項8】
前記所定のゾーンが、前記反応検知部の機能を実行させる実行ゾーン、及び前記反応検知部の機能を停止させる停止ゾーンを含み、
前記反応検知部が、前記実行ゾーン内に前記移動体が存在する場合は前記移動体に搭乗中の前記ユーザの反応を検知し、前記停止ゾーン内に前記移動体が存在する場合は前記移動体に搭乗中の前記ユーザの反応の検知を停止し、
前記移動体に搭乗している前記ユーザに対し、前記反応検知部の機能が実行中であるか停止中であるかを通知する検知有無通知部
を更に備える請求項1~7のいずれか1項に記載のアトラクションシステム。
【請求項9】
ユーザが移動体に搭乗し、前記移動体が所定のゾーンを移動してアトラクションが実行されるアトラクションシステム用のアトラクション方法であって、
前記ユーザが装着可能である出力部に、仮想情報を前記ユーザに知覚可能に出力させる出力工程と、
前記移動体に搭乗中の前記ユーザの反応の大きさを検知する反応検知工程と、
前記反応検知工程において検知された前記反応の大きさに応じて、前記出力部に出力させる前記仮想情報の内容を異ならせる出力制御工程と、
前記ユーザに対し、前記ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する要求工程と
を備えるアトラクション方法。
【請求項10】
ユーザが移動体に搭乗し、前記移動体が所定のゾーンを移動してアトラクションが実行されるアトラクションシステム用のアトラクションプログラムであって、
コンピュータに、
前記ユーザが装着可能である出力部に、仮想情報を前記ユーザに知覚可能に出力させる出力機能と、
前記移動体に搭乗中の前記ユーザの反応の大きさを検知する反応検知機能と、
前記反応検知機能において検知された前記反応の大きさに応じて、前記出力部に出力させる前記仮想情報の内容を異ならせる出力制御機能と、
前記ユーザに対し、前記ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する要求機能と
を実現させるアトラクションプログラム。
【請求項11】
ユーザが移動体に搭乗し、前記移動体が所定のゾーンを移動してアトラクションが実行されるアトラクションシステム用のアトラクションサーバであって、
前記移動体に搭乗中の前記ユーザの反応の大きさを検知する反応検知部が検知した前記反応の大きさに応じて、前記ユーザが装着可能であり、仮想情報を前記ユーザに知覚可能に出力する出力部に出力させる前記仮想情報の内容を異ならせる出力制御部と、
前記ユーザに対し、前記ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する要求部と
を備えるアトラクションサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバに関する。特に、本発明は、ユーザの静の状態を活用できるアトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊園地等のアトラクションにおいてユーザに拡張現実(AR)用のARグラスや仮想現実(VR)用のVRゴーグル等を装着させ、拡張現実、仮想現実、及び/又は複合現実体験をユーザに提供する絶叫マシン等のシステムが提案されている。例えば、第1のディスプレイ及び第2のディスプレイを通じて現実環境を見るユーザに拡張現実、仮想現実及び/又は複合現実体験を提供するシステムであって、第1の仮想特徴の層を表示するように構成された第1のディスプレイを含む装着型可視化装置と、第2の仮想特徴の層を表示するように構成された第2のディスプレイを含む固定可視化装置と、第1の仮想特徴の層及び第2の仮想特徴の層を生成するように構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、装着型可視化装置及び固定可視化装置と動作可能に通信して、第1の仮想特徴の層及び第2の仮想特徴の層の表示を協調させるように構成されるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のシステムによれば、ユーザが装着する機器を用いることで、ロボット等の有体物を用いた演出に比べて現実感があり迫力のある演出のアトラクションをユーザに体験させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のようなシステムを含む従来のシステムにおいては、ユーザの身体に大きな刺激を与えて驚きや爽快感、非日常感を体験させるため、ユーザが搭乗するライド機及び絶叫マシン等の移動体の移動速度を上げることや移動体を所定の高さから落下させること等の物理的な刺激をユーザに与えることを要する。このような従来のシステムでの演出は、ユーザの身体に負荷をかけることやユーザに大音声を浴びせること、又はアトラクション内のオブジェクトをユーザに迫らせるような単調な内容になりやすい。更に、従来のシステムにおいてユーザに刺激を与えるために移動体を振動させること等を要することから、アトラクションの安全面や整備面が課題になる場合もある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ユーザの静の状態を利用することで移動体を大きく動作させなくても、新規なユーザ体験を提供できるアトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、ユーザが移動体に搭乗し、移動体が所定のゾーンを移動してアトラクションが実行されるアトラクションシステムであって、ユーザが装着可能であり、仮想情報をユーザに知覚可能に出力する出力部と、移動体に搭乗中のユーザの反応の大きさを検知する反応検知部と、反応検知部が検知した反応の大きさに応じて、出力部に出力させる仮想情報の内容を異ならせる出力制御部と、ユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する要求部とを備えるアトラクションシステムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るアトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバによれば、ユーザの静の状態を利用することで移動体を大きく動作させなくても、新規なユーザ体験を提供できるアトラクションシステム、アトラクション方法、アトラクションプログラム、及びアトラクションサーバを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るアトラクションシステムの機能構成ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る移動制御部による移動体の制御の概要図である。
【
図3】本実施形態に係るアトラクションシステムにおける処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
<アトラクションシステム1の概要>
本実施形態に係るアトラクションシステム1は、遊園地やテーマパーク等の娯楽施設においてアトラクションが実行されるアトラクション施設で用いられるシステムである。アトラクションシステム1においてアトラクションに参加するユーザは、所定の映像を出力するウェアラブルデバイスを装着し、アトラクション施設内を移動する乗り物(例えば、ライド機)に搭乗する。この乗り物はアトラクションシステム1に制御され、アトラクション施設内を移動する。そして、アトラクションシステム1は、乗り物に搭乗しているユーザの反応(例えば、声量や身振り等)を検知し、検知した反応の大きさに基づいて、ウェアラブルデバイスに出力する映像を変化させることや乗り物の移動速度及び/又は移動経路等を変化させる。
【0010】
ここで、アトラクションシステム1においては、乗り物に搭乗しているユーザに対して「静かにすること」を要求する。すなわち、アトラクションシステム1は、例えばユーザの反応としてユーザが発する声の大きさ(声量)を検知する場合、声量が予め定められた基準を超える場合と、声量が当該基準以下である場合とでウェアラブルデバイスに出力させる映像の内容を異ならせることや、乗り物の移動速度及び/又は移動経路を異ならせることができる。
【0011】
一例としてアトラクションシステム1において、アトラクション施設内に様々な仮想的なキャラクタ(以下、「仮想キャラクタ」という。)が登場する場合を挙げる。仮想キャラクタはウェアラブルデバイスに出力される映像に、映像として登場するキャラクタである。例えば、アトラクション施設内を移動する乗り物に搭乗するユーザのウェアラブルデバイスに、一のキャラクタが登場した場合(つまり、映像として出力された場合)において、ユーザが声(例えば、叫ぶ声、驚嘆の声、歓声、悲鳴等)を上げた場合、この声の声量が所定の基準以下である場合、アトラクションシステム1は、一のキャラクタがユーザに気が付いていないかのような演出内容の映像(例えば、一のキャラクタが佇んでいたり、木の実を食べているような映像)をウェアラブルデバイスに出力させる。一方、ユーザの声の声量が所定の基準を超える場合、アトラクションシステム1は、一のキャラクタがユーザに気が付いて怒り出す演出内容の映像、あるいはユーザが搭乗している乗り物の近傍から離れる方向に逃げ出す演出内容の映像をウェアラブルデバイスに出力させる。
【0012】
また、例えば、乗り物に搭乗するユーザのウェアラブルデバイスに、他のキャラクタが寝ている状態で登場する映像をウェアラブルデバイスに出力した場合において、ユーザが声を上げた場合、この声の声量が所定の基準以下である場合(声量が第1の条件を満たさない場合)、アトラクションシステム1は、他のキャラクタが寝ている状態を続けることを示す演出内容の映像をウェアラバウルデバイスに出力させる。一方、ユーザの声の声量が所定の基準を超える場合(声量が第1の条件を満たす場合)、アトラクションシステム1は、他のキャラクタが飛び起きる演出内容の映像(例えば、他のキャラクタが乗り物に気が付き、驚愕するような映像)、若しくはユーザが搭乗している乗り物から離れる方向に逃げ出す演出内容の映像をウェアラブルデバイスに出力させる。
【0013】
このようにアトラクションシステム1は、乗り物に搭乗するユーザに大きな声を出させないことや大きな動作をさせないこと、つまり「静の状態」を要求する。その上で、アトラクションシステム1は、「静の状態」(つまり、所定の基準以下の反応の大きさをユーザが示す場合)において出力する映像の演出内容と、「動の状態」(つまり、所定の基準を超える反応の大きさをユーザが示す場合)において出力する映像の演出内容とを異ならせることができる。アトラクションシステム1は、「動の状態」における演出内容を「静の状態」における演出内容に比べ、ユーザにとって不利な内容の演出にしてよい(例えば、アトラクション施設内で多数のキャラクタを観察することを目的とする場合、「動の状態」の演出ではキャラクタがユーザが搭乗する乗り物から離れる方向に逃げたり、近づかないような演出内容にし、多くのキャラクタを観察することを難しくできる。)。
【0014】
これにより、アトラクションシステム1は、乗り物自体を大きく動作させることやアトラクション施設内で大音声をユーザに聞かせること等の演出をしなくても、ユーザに驚きを提供することやユーザにとってキャラクタの意外性のある動作を楽しむこと、及び/又はある程度の予想は可能であるが本当に予想通りにキャラクタが動作するのかといったワクワク感やドキドキ感、若しくはスリルをユーザに体験させることができる。
【0015】
ここで、アトラクション施設は、エリアを有して構成され、エリアは1以上のゾーンを含んで構成される。エリア及びゾーンとは、乗り物が移動可能な領域である。また、ウェアラブルデバイスは眼鏡型、ゴーグル型、ヘッドギア型、及び/又は頭部装着型等のウェアラブルデバイスであってよい。
【0016】
なお、以下において本実施形態に係るアトラクションシステム1の詳細を説明するが、上記説明及び下記説明における名称や数値等はあくまで例示であり、これらの固有名や数値に本発明が限定されることはないこと、及びこれら固有名や数値は実在の固有名や数値とは必ずしも関係するとは限らないことを付言する。
【0017】
<アトラクションシステム1の詳細>
図1は、本実施形態に係るアトラクションシステムの機能構成の一例を示す。
【0018】
[アトラクションシステム1の構成の概要]
本実施形態に係るアトラクションシステム1は、人物が搭乗可能な乗り物(以下、「移動体」と称する。)にユーザが搭乗し、移動体がアトラクション施設内のエリアを構成する所定のゾーンを移動してアトラクションが実行されるシステムである。すなわち、アトラクションシステム1は、ユーザが搭乗可能な移動体3と、ユーザが装着可能な装着デバイス5と、移動体3及び装着デバイス5を制御するサーバ7とを備える。そして、移動体3は、移動体3を駆動させる駆動部30と、所定の情報を出力する移動体出力部32と、移動体3のアトラクション内での位置に関する情報を取得する位置情報取得部34と、移動体3に搭乗するユーザからの指示を受け付ける指示受付部36とを有する。また、装着デバイス5は、ユーザに仮想情報等を出力する出力部50と、ユーザの反応を検知する反応検知部52とを有する。そして、サーバ7は、出力部50への情報の出力を制御する出力制御部70と、反応検知部52の動作を制御する検知制御部72と、移動体3の移動を制御する移動制御部74と、出力部50に出力させる仮想のオブジェクトに対するユーザの獲得指示に応じて仮想のオブジェクトのユーザへの対応付けを制御するオブジェクト獲得制御部76と、ユーザ等に関する情報を取得する情報取得部78と、所定の情報を格納する格納ユニット80と、ユーザに所定の情報を通知する通知部82と、ユーザに所定の要求をする要求部83と、ユーザの反応を検知しているか否かをユーザに通知する検知有無通知部84とを有する。格納ユニット80は、仮想情報を格納する仮想情報格納部800と、ユーザに関するユーザ情報を格納するユーザ情報格納部802とを含む。
【0019】
移動体3及び装着デバイス5はそれぞれ、無線通信及び/又は有線通信によりサーバ7と双方向通信可能に接続される。また、移動体3と装着デバイス5との間も、無線通信及び/又は有線通信により双方向通信可能に接続される。なお、装着デバイス5は移動体3を介し、サーバ7に双方向通信可能に接続されてもよい。
【0020】
また、移動体3を構成する構成要素、装着デバイス5を構成する構成要素、及び/又はサーバ7を構成する構成要素はそれぞれ、他の構成部材(つまり、移動体3、装着デバイス5、及びサーバ7)が有する構成にしてもよい。すなわち、移動体3を構成する構成要素の一部を装着デバイス5が有する構成にすること、装着デバイス5を構成する構成要素の一部を移動体3が有する構成にすること、及び/又はサーバ7を構成する構成要素の一部を移動体3及び/又は装着デバイス5が有する構成にすることができる。
【0021】
アトラクションシステム1は、上記複数の構成要素(特にサーバ7が有する構成要素)を物理的に同一の装置や場所に有するだけでなく、上記複数の構成要素の一部を物理的に離れた位置に設置してもよい。この場合、各構成要素は、例えば、インターネット等の通信網により接続されてよい。例えば、アトラクションシステム1は、構成要素の機能の一部を外部のサーバに担わせてもよい。また、アトラクションシステム1は、一以上のサーバを含んで構成してもよい。この場合、情報端末、並びに一のサーバの構成要素及び他のサーバの構成要素を組み合わせることで、アトラクションシステム1が構成される。また、本実施形態において、所定の構成要素の集合体を1つの「情報処理装置」として把握することができ、アトラクションシステム1を複数の情報処理装置の集合体として形成してもよい。1つ又は複数のハードウェアに対して本実施形態に係るアトラクションシステム1を実現することに要する複数の機能の配分の仕方は、各ハードウェアの処理能力及び/又はアトラクションシステム1に求められる仕様等に鑑みて適宜決定することができる。
【0022】
[アトラクションシステム1の構成の詳細]
以下、アトラクションシステム1について詳述する。
【0023】
<アトラクション>
アトラクションシステム1において実行されるアトラクションは、例えば、ユーザが搭乗している移動体3がモンスター等の所定のキャラクタ(オブジェクト)が生息しているエリア及び/又はキャラクタが隠れているエリアを回遊し、キャラクタに気が付かれないように移動体3とキャラクタの表示位置との距離を縮めてユーザの指示に応じてキャラクタを獲得すること、キャラクタに気が付かれないように近づいてキャラクタの行動を観察すること、及び/又はキャラクタの情報を収集すること等の各種の行動を楽しむことができるアトラクションである。そして、移動体3が回遊するエリアは1以上のゾーンを含んで構成されていてよい。例えば、エリアはユーザの反応を検知するゾーンと、ユーザの反応を検知しないゾーンとを含んで構成することが好ましい。すなわち、エリアは、ユーザが大声等を発してもよいゾーンと、大声等を発することや大きな動作を抑制することが要求されるゾーンとを含む。
【0024】
<移動体3>
移動体3はユーザが搭乗可能であり、エリア内を移動可能な乗り物(ライド機)である。移動体3は、1つ以上の車輪を含む二輪車、三輪車、及び四輪車、並びにリュージュ型の走行体、キャスター付きのそり、カプセル型の走行体、及びホバークラフトにより移動する走行体等の各種の形態であってよい。ここでは一例として、車輪を用いて走行可能な移動体3の例を挙げて説明する。
【0025】
(駆動部30)
駆動部30は、移動体3の車輪を駆動させる。これにより、移動体3は、アトラクション内を走行する。そして駆動部30は後述する移動制御部74に制御され、移動体3の走行動作を制御する。走行動作としては、移動体3の進行方向、走行速度、加速度、及び/又は停止動作等が含まれる。
【0026】
(移動体出力部32)
移動体出力部32は、移動体3に搭乗しているユーザに知覚可能に所定の情報を出力する。移動体出力部32は、画像情報、テキスト情報等を表示する表示装置、音声情報を出力する音声出力装置、振動により所定の情報を出力する振動部、及び/又は各種の情報を発光により出力する発光装置等を有して構成される。
【0027】
(位置情報取得部34)
位置情報取得部34は、移動体3のアトラクション施設内における位置に関する位置情報を取得する。例えば、アトラクション施設のエリアは1以上のゾーンを含んで構成される。そして、各ゾーンのそれぞれに一のゾーンを他のゾーンから識別するゾーン識別情報が対応付けられる。一例として、ゾーンのゾーン識別情報は当該ゾーンの開始位置、中間位置、及び/又は終了位置等に設けられている所定の発信器等から移動体3に対して供給され、位置情報取得部34はこのゾーン識別情報を取得する。また、位置情報取得部34は、移動体3の現在位置から移動体3が現在存在しているゾーンの次のゾーンの開始位置までの距離に関する情報(距離情報)を複数の発信機からの発信情報に基づいて算出し、取得することもできる。位置情報取得部34は、取得したゾーン識別情報及び/又は距離情報を検知制御部72及び要求部83に供給する。
【0028】
(指示受付部36)
指示受付部36は、ユーザの指示を受け付ける。ユーザの指示とは、例えば、所定のオブジェクト(一例として、仮想キャラクタ)を取得若しくは捕獲する指示等であってよい。具体的に、指示受付部36は、タッチパネル、ユーザが把持可能なコントローラ、及び/又はモーションセンサを有しユーザの身体に取り付け可能なウェアラブル型の入力装置等から構成される。一例として、指示受付部36は、ユーザの手に装着可能なウェアラブル型入力装置(例えば、手袋形状等の装置)であってよい。このウェアラブル型入力装置はモーションセンサを有しており、ユーザの手の動きを検知する。そして、モーションセンサが所定の手の動きを検知した場合(例えば、ユーザが所定のアイテムとしてのボールを投げる動作等をした場合における手の動きを検知した場合)、指示受付部36は、モーションセンサが検知した手の動きについての情報を、仮想キャラクタを捕獲する指示であるとして受け付ける。指示受付部36は、受け付けた指示に関する情報をオブジェクト獲得制御部76に供給する。
【0029】
なお、本実施形態においては、指示受付部36を移動体3の構成要素として説明している。しかしながら、指示受付部36が移動体3若しくは装着デバイス5を介してサーバ7のオブジェクト獲得制御部76と通信可能に接続できる限り、指示受付部36は移動体3若しくは装着デバイス5が有する構成要素、又は独立の構成にしてもよい。指示受付部36を独立の構成にする場合、指示受付部36と移動体3若しくは装着デバイス5とが通信可能に接続される。そして、この場合における接続は、有線接続と無線接続とのいずれであってもよい。
【0030】
<装着デバイス5>
装着デバイス5はユーザが装着可能なウェアラブルデバイスであって、Mixed Reality(MR)、Augmented Reality(AR)、及び/又はVirtual Reality(VR)を実現可能なデバイスである。装着デバイス5は、例えば、ARグラス、Head mounted Display(HMD)、若しくはスマートフォンやタブレット等で構成される。なお、装着デバイス5は、移動体3及び/又はサーバ7と通信可能に接続されている。装着デバイス5は、移動体3と有線接続若しくは無線接続で通信可能に接続されていてよい。
【0031】
(出力部50)
出力部50は、所定の仮想情報(例えば、仮想キャラクタや仮想的なオブジェクトの画像情報、テキスト情報、音声情報等)及び/又は報知情報(例えば、画像情報、テキスト情報、音声情報等)をユーザに知覚可能に出力する。出力部50は、ユーザに現実空間を知覚させると共に現実空間に仮想情報を重畳して出力する拡張現実(AR)出力部、又は仮想現実空間に仮想情報を出力する仮想現実(VR)出力部の少なくともいずれか一方の機能を有する。出力部50がAR出力部の機能を有する場合、装着デバイス5はARグラスであってよく、出力部50がVR出力部の機能を有する場合、装着デバイス5はVRゴーグルやVR画像を出力可能なHMDであってよい。出力部50は後述の出力制御部70に制御され、所定の仮想情報を出力する。なお、出力部50は、音声出力部や振動出力部等を含んで構成することもできる。
【0032】
装着デバイス5がARグラスである場合、ARグラスはユーザの頭部に着脱自在に装着されるシースルー型のARグラスであってよい。この場合、ARグラスは、現実空間を撮像する撮像部と、ユーザに仮想情報である画像情報を出力する出力部50とを有し、撮像部が撮像する現実空間の撮像画像に、仮想的に生成される仮想情報(例えば、仮想キャラクタや仮想的なオブジェクト(以下「仮想オブジェクト」とも称する。)を重畳させたAR画像を生成し、出力部50に出力する。すなわち、ARグラスは、現実空間の所定の位置に仮想キャラクタや仮想オブジェクトを配置して構成される拡張現実空間を視覚的に表す画像を生成し、ユーザに出力する。また、ARグラスは立体センサを有することもでき、この場合、ARグラスの出力部50は出力制御部70に制御され、現実空間の画像にAR画像を自然に合成できる。
【0033】
また、装着デバイス5がVRゴーグルやHMDである場合、VRゴーグル若しくはHMDが有する出力部50は、ユーザの右目用画像を出力する第1出力部と、ユーザの左目用画像を出力する第2出力部とを含んで構成される。第1出力部の画像と第2出力部の画像との視差により、ユーザは立体画像を知覚できる。また、VRゴーグル若しくはHMDは、ユーザの所定箇所(例えば、頭、目、手、足等)の動きを検知するセンサを有し、このセンサが検知した動きを解析した結果に基づいて右目用画像及び左目用画像を制御するトラッキング機能を有していてもよい。このトラッキング機能は、ヘッドトラッキング、アイトラッキング、モーショントラッキング等である。なお、動きを検出するセンサは、例えば、方向を検出する磁力計、角度や角速度を検出するジャイロスコープ、加速度を検出する加速度計、赤外線センサ等であってよい。
【0034】
(反応検知部52)
反応検知部52は、移動体3に搭乗中のユーザの反応の大きさを検知する。ここでユーザの「反応」とは、ユーザが発する声、ユーザの動作、及び/又はユーザの生体の変化等である。具体的に反応検知部52は、ユーザの声の声量を検知する声量検知部(声量センサ)、動作検知部(加速度、角速度、及び地磁気それぞれを3軸で計測する9軸モーションセンサ等)、生体情報検知部(温度センサ、脈拍センサ、血圧センサ、血流センサ等)等のデバイスを有して構成できる。反応検知部52は、これら複数のデバイスのうち1つのデバイスで構成することも、複数のデバイスを組み合わせて構成することもできる。複数のデバイスを組み合わせて反応検知部52を構成する場合、ユーザの複数の反応を複合的に検知することや(例えば、反応検知部52を声量検知部と動作検知部とで構成し、検知したユーザの声量と動作とのそれぞれを数値化した上、数値化した声量と数値化した動作とをかけ合わせて得られる数値を、検知したユーザの反応に関する情報とする。)、ユーザの複数の反応をそれぞれ別個の指標に照らして判断すること(例えば、反応検知部52を声量検知部と動作検知部とで構成し、検知したユーザの声量と動作とのそれぞれを数値化した上、数値化した声量と数値化した動作とのいずれか一方が予め定められた閾値を超えるか否かの判断結果を、検知したユーザの反応に関する情報とする。)等ができる。反応検知部52は、検知したユーザの反応に関する情報を出力制御部70、移動制御部74、要求部83に供給する。
【0035】
なお、反応検知部52は、装着デバイス5に設けても、移動体3に設けてもよい。ユーザの反応をより適切に検知する観点から、ユーザに装着される装着デバイス5に設けることが好ましい。装着デバイス5がVRゴーグルやHMDである場合、上記説明におけるVRゴーグル若しくはHMDが備えるユーザの動きを検知するセンサが、反応検知部52の機能を兼ね備えていてもよい。また、反応検知部52を移動体3に設ける場合、例えば、反応検知部52としての声量検知部は、移動体3の所定箇所(例えば、安全バー等)に設置できる。
【0036】
<サーバ7>
(格納ユニット80)
格納ユニット80は、アトラクションシステム1で用いられる各種の情報を格納し、アトラクションシステム1が備える各構成部材の各構成要素からの要求に応じ、所定の情報を所定の構成要素に供給する。
【0037】
(格納ユニット80:仮想情報格納部800)
仮想情報格納部800は、仮想情報を識別する仮想情報IDに対応付けて仮想情報を格納する。仮想情報は、出力部50に出力される仮想情報であって、画像情報(AR画像、VR画像を含む)、テキスト情報、及び/又は音声情報等で構成される。仮想情報は、例えば、所定のオブジェクトの情報であって、出力部50に出力されることでアトラクションの所定のゾーンに当該所定のオブジェクトが存在する様子をユーザが知覚する情報である。所定のオブジェクトは、アトラクションに登場する所定の仮想キャラクタ、及び/又は所定の仮想的なアイテム(例えば、木の実等)等であってよい。そして、仮想情報格納部800は、所定の仮想キャラクタの仮想情報として、当該仮想キャラクタの様々な動作の画像情報や音声情報等を格納することができる。
【0038】
(格納ユニット80:ユーザ情報格納部802)
ユーザ情報格納部802は、アトラクションに参加するユーザに関する情報を、ユーザを識別するユーザIDに対応付けて格納する。ユーザ情報格納部802は、アトラクションにおいてユーザが獲得したオブジェクト(例えば、仮想キャラクタや仮想的なアイテム等)を識別する情報をユーザIDに対応付けて格納する。また、ユーザに関する情報としては、ユーザのニックネーム、性別等の情報を含むこともできる。
【0039】
(出力制御部70)
出力制御部70は、仮想情報(例えば、仮想的な所定のキャラクタやアイテム等のオブジェクト情報)、及び/又は報知情報(例えば、画像情報、テキスト情報、及び/又は音声情報等)の出力部50への出力を制御する。出力制御部70は、仮想情報格納部800が格納している仮想情報を出力部50から出力させる。ここで出力制御部70は、装着デバイス5がARを利用したデバイスである場合、現実空間に仮想情報を重畳させて出力し、装着デバイス5がVRを利用したデバイスである場合、仮想空間に仮想情報を出力させる。本実施形態において出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさに基づいて、出力部50に出力する仮想情報の内容を制御する。つまり、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさに応じて、出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせる。例えば、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさが、予め定められた基準以下である場合(又は、基準より小さい場合)と、基準を超える場合(又は、基準以上である場合)とで、出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせる。
【0040】
例えば、装着デバイス5がARグラスである場合を説明する。この場合、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさが予め定められた基準の反応の大きさの範囲内である場合に、ユーザに有利になる演出効果を含む第1のAR画像を現実空間に重畳した画像を出力部50に出力させる。一方、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさが予め定められた基準の反応の大きさの範囲外である場合に、ユーザに不利になる演出効果を含む第2のAR画像を現実空間に重畳した画像を出力部50に出力させる。なお、装着デバイス5がVRゴーグル若しくはHMDである場合も出力される画像がVR画像である点を除き、同様である。
【0041】
具体的に、出力制御部70は、反応検知部52が検知する反応の大きさが予め定められた条件を満たす場合と、当該反応の大きさが当該条件を満たさない場合とで仮想情報の内容を異ならせる。例えば、出力制御部70は、反応検知部52が検知する反応の大きさが予め定められた基準である閾値以下である場合(又は、閾値未満である場合。つまり、当該条件を満たさない場合。以下同様。)と、当該閾値を超える場合(又は、閾値以上の場合。つまり、当該条件を満たす場合。以下同様。)とで出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせる。すなわち、仮想情報格納部800は、仮想情報IDに対応付けて閾値を超える場合(又は、閾値以上の場合)の仮想情報(第1の仮想情報)と、閾値以下の場合(又は、閾値未満の場合)の仮想情報(第2の仮想情報)とを格納する。そして、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさと閾値とを比較し、反応の大きさが閾値以下の場合は第2の仮想情報を出力部50に出力させ、反応の大きさが閾値を超える場合は第1の仮想情報を出力部50に出力させる。
【0042】
一例として、出力制御部70は、反応検知部52が検知する反応がユーザの「声」である場合、当該声の声量が、予め定められた声量の基準である第1の条件を満たす場合と、当該声の声量が第1の条件を満たさない場合とで仮想情報の内容を異ならせる。例えば出力制御部70は、当該声量が予め定められた声量の基準である声量閾値を超える場合(又は、声量閾値以上である場合。つまり、第1の条件を満たす場合。以下同様。)と当該声の声量が声量閾値以下である場合(又は、声量閾値未満である場合。つまり、第1の条件を満たさない場合。以下同様。)とで出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせる。なお、所定の声量の範囲を第1の条件に設定してもよい。反応検知部52が検知した声量が当該範囲に入る場合は第1の条件を満たし、入らない場合は第1の条件を満たさないとしてもよい。この場合において仮想情報格納部800は、仮想情報IDに対応付けて声量閾値以上の場合(又は、声量閾値を超える場合。)の仮想情報(第1の仮想情報;例えば、所定のキャラクタが寝ていた状態から起きて逃げ出す様子を示す映像情報)と、声量閾値以下の場合(又は、声量閾値未満である場合。)の仮想情報(第2の仮想情報:例えば、所定のキャラクタが寝ている様子を示す映像情報)とを格納する。そして、出力制御部70は、反応検知部52が検知した声の声量と声量閾値とを比較し、声量が声量閾値以下の場合(又は、声量閾値未満である場合)は第2の仮想情報を出力部50に出力させ、声量が声量閾値を超える場合(又は、声量閾値以上である場合)は第1の仮想情報を出力部50に出力させる。
【0043】
また、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさが予め定められた基準を超える場合(又は、基準以上の場合)、所定のオブジェクトの出力部50への出力回数若しくは出力頻度を、反応の大きさが予め定められた基準以下の場合(又は、基準未満の場合)に比べて減少させてもよい。アトラクションにおいて多種多様なオブジェクトを観察することや獲得することを目的とする場合、オブジェクトの出力回数若しくは出力頻度が減少することは、ユーザにとって不利な内容である。そのため、アトラクション中のユーザには、数多くのオブジェクトに遭遇することを期待し、極力、反応しないようにすること(例えば、声を潜めることや大きな動作をしないこと)に対するインセンティブが働くことになる。
【0044】
(検知制御部72)
検知制御部72は、反応検知部52の機能の実行及び停止を制御する。検知制御部72は、位置情報取得部34から受け取ったゾーン識別情報に基づいて、反応検知部52の機能の実行及び停止を制御する。すなわち、アトラクションシステム1は、アトラクション施設の移動体3が移動可能なエリアを複数のゾーンに区切ることができる。そして、一のゾーンを反応検知部52の機能を実行させる実行ゾーン、他のゾーンを反応検知部52の機能を停止させる停止ゾーンとして設定できる。検知制御部72は、位置情報取得部34から受け取ったゾーン識別情報に対応付けられているゾーンが実行ゾーンである場合、反応検知部52の機能を実行させる。一方、検知制御部72は、位置情報取得部34から受け取ったゾーン識別情報に対応付けられているゾーンが停止ゾーンである場合、反応検知部52の機能を停止させる。すなわち、この場合、反応検知部52は、実行ゾーン内に移動体3が存在する場合は移動体3に搭乗中のユーザの反応を検知し、停止ゾーン内に移動体3が存在する場合は移動体3に搭乗中のユーザの反応の検知を停止する。検知制御部72は、制御に関する情報を検知有無通知部84に供給する。
【0045】
(移動制御部74)
移動制御部74は、反応検知部52が検知した反応の大きさに基づいて、移動体3の駆動部30を制御することで、移動体3の移動速度及び移動経路の少なくともいずれかを変更できる。例えば、移動制御部74は、反応検知部52が検知した反応の大きさが予め定められた基準である閾値以下である場合、駆動部30を制御し、移動体3の移動速度及び移動経路を変更しないか、少なくとも移動速度を所定の速度より低下させてよい。一方、移動制御部74は、反応検知部52が検知した反応の大きさが予め定められた基準である閾値を超える場合、駆動部30を制御し、移動体3の移動速度及び/又は移動経路を変更する。例えば、移動制御部74は、移動速度を所定の速度より増加させ、移動経路を当初設定されていた経路とは異なる経路に変更する。なお、移動制御部74は、反応検知部52が検知した反応の大きさに応じ、移動体3の移動速度を増加させてもよい(ただし、安全面の観点から、移動速度には上限を設けることが好ましい。)。また、出力部50がVR出力部である場合、移動制御部74は、移動体3の現実の移動速度を変化させることの代わりに、出力制御部70に指示し、ユーザが出力部50を介して知覚する背景画像等を移動体3の進行方向反対側等に所定の速度(例えば、反応検知部52がユーザの反応を検知する前より速い速度)で流すような画像を出力部50に出力させてもよい。
【0046】
図2は、本実施形態に係る移動制御部による移動体の制御の概要の一例を示す。
【0047】
例えば、移動体3が一本道であるレーン200を方向300に沿って走行中、レーン200において出力制御部70が出力部50に所定のモンスターを出力させた場合を説明する。この所定のモンスターは、レーン200近傍において眠っているとする。また、レーン200の先には分岐点100があり、分岐点100において互いに異なる方向に延びるレーン202及びレーン204が設けられているとする。そして、ユーザが出力部50に出力されたモンスターを発見した場合において、
(1)声を潜めた場合(声量が予め定められた声量閾値以下である場合)
(2)声を発した場合(声量が予め定められた声量閾値を超える場合)
とで、移動制御部74は移動体3の動作を変更する。
【0048】
一例として、上記(1)の場合、出力制御部70はモンスターが眠ったままの状態の映像を出力部50に出力させ、移動制御部74は、分岐点100において移動体3を方向102のレーン202に向けて移動させる。一方、上記(2)の場合、出力制御部70はモンスターが起き、かつ、怒って移動体3を追いかける状態の映像を出力部50に出力させる。更に、この場合において移動制御部74は、移動体3の駆動部30を制御して移動体3の移動速度を増加させ、分岐点100において方向104のレーン204に向けて移動体3を移動させる。
【0049】
このように、移動制御部74は、移動体3に搭乗しているユーザの反応の大きさ(すなわち、声量の大きさや動作の大きさ等)に応じ、移動体3の移動速度及び/又は移動経路を変更することができ、また、出力制御部70は、ユーザの反応の大きさに応じ、出力部50に出力させる仮想情報の内容を変更できる。これにより、ユーザはこれまでにないスリルやドキドキ感、ワクワク感を楽しむことができる。
【0050】
(オブジェクト獲得制御部76)
オブジェクト獲得制御部76は、指示受付部36を介し、エリアに登場した所定のオブジェクトの獲得指示をユーザから受け付けた場合、所定の確率に応じ、所定のオブジェクトをユーザに対応付ける。例えば、出力制御部70が出力部50に所定のオブジェクトとして所定のキャラクタ(仮想キャラクタ)を出力させる。出力部50に出力された当該キャラクタに気が付いたユーザは、移動体3が当該キャラクタの近傍に近づくまで息をひそめて待機する。そして、移動体3が当該キャラクタの近傍に近づいたタイミングで、ユーザは、指示受付部36を介して当該キャラクタの獲得指示をする。オブジェクト獲得制御部76は、当該獲得指示に基づいて所定の確率に応じて当該キャラクタをユーザに対応付けることで、当該キャラクタをユーザに獲得させる。この場合において出力制御部70は、ユーザの獲得指示から当該キャラクタの獲得までの様子を示す映像を出力部50に出力させることもできる。なお、出力制御部70は、当該キャラクタの近傍に移動体3が近づいて当該キャラクタを獲得可能な距離まで進む前に、出力部50に出力された当該キャラクタに気が付いたユーザが予め定められた基準の反応の大きさを超える反応をした場合、当該キャラクタが移動体3から驚いて逃げる様子を出力部50に出力させることもできる(これにより、ユーザは、当該キャラクタを獲得できなくなる。)。オブジェクト獲得制御部76は、ユーザに対応付けたオブジェクトを識別する仮想情報IDをユーザIDに対応付けてユーザ情報格納部802に格納する。
【0051】
(情報取得部78)
情報取得部78は、アトラクションに参加するユーザに関する情報等の各種の情報を取得する。情報取得部78は、アトラクション開始時に各種の情報を取得する。情報取得部78は、取得した情報がユーザに関する情報である場合、ユーザ情報格納部802にユーザIDに対応付けて格納する。また、情報取得部78は、ユーザに関する情報を除く他の情報を取得した場合、格納ユニット80の所定の格納部に取得した情報を格納する。
【0052】
(通知部82)
通知部82は、オブジェクト獲得制御部76によってユーザに対応付けられた所定のオブジェクトに関する情報であるオブジェクト情報をユーザに通知する。通知部82は、ユーザ情報格納部802にユーザIDに対応付けて格納されている仮想情報IDに対応するオブジェクトのオブジェクト情報をユーザに通知する。具体的に通知部82は、オブジェクト情報を出力部50及び/又は移動体出力部32を介してユーザに通知する。通知部82は、アトラクションの実行中にオブジェクト情報を通知することも、アトラクション実行後にオブジェクト情報を通知することもできる。
【0053】
(要求部83)
要求部83は、ユーザに対し、ユーザの状態を所定の状態にすることを要求若しくは指示する。具体的に要求部83は、移動体に搭乗しているユーザに対し、当該ユーザの反応の大きさを変化させることを要求する。本実施形態で要求部83は、ユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくする要求をすることが好ましい。すなわち、要求部83は、ユーザに知覚可能に当該ユーザの反応の大きさを小さくすることをユーザに要求する。なお、要求部83は、反応検知部52が検知した反応の大きさに基づいて、ユーザに知覚可能に所定の要求を知覚させてもよい。例えば、要求部83は、反応検知部52が検知した反応の大きさが、予め定められた基準を超える場合(又は、基準以上である場合)、ユーザに対し、反応検知部52が検知した当該反応の大きさを小さくすることを要求してもよい。
【0054】
また、要求部83は、反応検知部52が検知する反応の大きさが第1の条件を満たす場合に、移動体3に搭乗しているユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくすることを指示することができる。例えば、要求部83は、反応検知部52が検知する反応がユーザの「声」である場合、当該声の声量が、予め定められた声量の基準である第1の条件を満たす場合(一例として、当該声の声量が予め定められた声量の基準である声量閾値超える場合(又は、声量閾値以上である場合))、ユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくすることを指示する。
【0055】
要求部83によるユーザに対する要求方法に特に限定はない。例えば、要求部83は、音声、映像、テキスト、光の明滅、及び/又は振動等のうち少なくとも1つの手法によりユーザに対して反応の大きさを小さくすることを要求する。したがって、要求部83は、移動体出力部32及び/又は装着デバイス5の出力部50を介し、ユーザに知覚可能にユーザの反応の大きさを小さくすることを要求する。
【0056】
また、要求部83によるユーザに対する要求のタイミングは、位置情報取得部34から供給される距離情報に基づいて導出される移動体3と実行ゾーンとの位置関係に基づいて決定できる。例えば、要求部83は、以下のいずれかのパターンでユーザに要求できる。
(1)移動体3が実行ゾーンの手前の位置(つまり、移動体3が実行ゾーンに侵入する地点から所定距離手前の位置)に達した場合に要求するパターン。
(2)移動体3が実行ゾーン内に存在している場合に要求するパターン。この場合、要求部83は、常に若しくは間欠的に要求できる。
(3)移動体3が実行ゾーンの手前の位置に達した時点から実行ゾーンが終了する位置に達する時点まで要求するパターン。この場合、要求部83は、常に若しくは間欠的に要求できる。
(4)移動体3が実行ゾーン内に存在している場合であって、ユーザの反応の大きさが所定の大きさに達した場合に要求するパターン。この場合、要求部83は、反応検知部52が検知した反応の大きさが所定の大きさに達した場合、ユーザに対し、反応検知部52が検知した当該反応の大きさを小さくすることを要求する。
【0057】
要求部83によるユーザに知覚させる要求の態様としては、例えば以下のような態様が挙げられる。
(1)言葉やテキストを移動体出力部32及び/又は出力部50に出力させ、ユーザに要求する態様。例えば、要求部83は、「このまま声を出すとポケモンが逃げちゃうからもっと静かにしよう!」等の言葉を移動体出力部32及び/又は出力部50にテキストや音声により出力させる。
(2)移動体出力部32及び/又は出力部50にユーザの現在の反応の大きさを示すことが可能なメーターを表示させ、反応検知部52が検知した現在のユーザの反応の大きさと所定の閾値とを当該メーターに表示する。そして、当該メーターの表示に合わせてユーザに要求する態様。例えば、要求部83は、反応検知部52が検知したユーザの反応の大きさが所定の閾値以上になる場合(若しくは、閾値を超える場合)、ユーザの反応の大きさが、当該メーターに表示されている閾値の目盛り以下になるように言葉やテキストを移動体出力部32及び/又は出力部50に出力させる(例えば、「この目盛り以下になるように静かにしよう!」や「この目盛りを超えるとポケモンが逃げ出すよ!」等。)。あるいは要求部83は、当該メーターにおいてユーザの反応の大きさと閾値との差が所定の値になった場合(ただし、閾値≧ユーザの反応の大きさ、とする)、移動体出力部32及び/又は出力部50に警告音を出力させることでユーザに反応の大きさを小さくすることを要求することもできる。
【0058】
(検知有無通知部84)
検知有無通知部84は、検知制御部72から受け取った制御に関する情報に基づいて、移動体3に搭乗しているユーザに対し、反応検知部52の機能が実行中であるか停止中であるかを通知する。すなわち、検知有無通知部84は、反応検知部52が実行中であるか停止中であるかを示す情報を出力部50及び/又は移動体出力部32を介してユーザに通知する。これによりユーザは、アトラクション中に反応をしてよい状況(つまり、所定の基準や閾値を超えた反応をしてよい状況)であるか、反応をすべきではない状況であるかを把握できるので(つまり、「静の状態」でいるべき時と「動の状態」でよい時とを把握できるので)、緩急をつけてアトラクションを楽しむことができる。
【0059】
[アトラクションシステム1の処理の流れ]
図3は、本実施形態に係るアトラクションシステムにおける処理の流れの概要の一例を示す。
【0060】
まず、ユーザは装着デバイス5を装着し、移動体3に搭乗する。そして、移動体3はアトラクション施設内の所定のコースに沿って動作(つまり、走行)を開始する(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)。アトラクション施設内のエリアには1以上のゾーンが設けられている。そしてエリアは、反応検知部52の機能の実行が許可されているゾーン(実行ゾーン)と、反応検知部52の機能の実行が停止されるゾーン(停止ゾーン)とを含んで構成される。検知制御部72は、位置情報取得部34から取得するゾーン識別情報に基づいて、移動体3が実行ゾーンに位置するか停止ゾーンに位置するかを判断する(S12)。検知制御部72により移動体3が停止ゾーンに位置すると判断された場合(S12のNo)、検知制御部72は反応検知部52の機能を停止させた状態を維持する。一方、検知制御部72により移動体3が実行ゾーンに位置すると判断された場合(S12のYes)、検知制御部72は反応検知部52の機能を実行させる。これにより反応検知部52は、ユーザの反応の検知を開始する(S14)。
【0061】
そして、出力制御部70は、反応検知部52が検知したユーザの反応の大きさに基づいて、出力部50に出力する仮想情報の内容を変化させる。例えば、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさが、予め定められた基準以下である場合(又は、基準未満である場合。つまり、第1の条件を満たさない場合。)(S16のNo)と、基準を超える場合(又は、基準以上である場合。つまり、第1の条件を満たす場合。)(S16のYes)とで、出力部50に出力させる仮想情報の内容(つまり、出力部50に出力する演出内容)を異ならせる(S18、S20)。具体的に、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさが第1の条件を満たす場合、第1の条件を満たさない場合とは異なる演出内容(つまり、仮想情報としての所定の画像、音声等)を出力部50に出力させ(S18)、反応検知部52が検知した反応の大きさが第1の条件を満たさない場合、第1の条件を満たす場合とは異なる演出内容を出力部50に出力させる(S20)。そして、要求部83は、反応検知部52が検知する反応の大きさが第1の条件を満たしているので、移動体3に搭乗しているユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求若しくは指示する(S22)。
【0062】
[アトラクションプログラム]
図1~
図3に示した本実施形態に係るアトラクションシステム1が備える各構成要素は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)等の演算処理装置にプログラム(すなわち、アトラクションプログラム)を実行させること、つまり、ソフトウェアによる処理により実現できる。また、集積回路(Integrated Circuit:IC)等の電子部品としてのハードウェアにプログラムを予め書き込むことで実現することもできる。なお、ソフトウェアとハードウェアとを併用することもできる。
【0063】
本実施形態に係るアトラクションプログラムは、例えば、ICやROM等に予め組み込むことができる。また、アトラクションプログラムは、インストール可能な形式、又は実行可能な形式のファイルで、磁気記録媒体、光学記録媒体、半導体記録媒体等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータプログラムとして提供することもできる。プログラムを格納している記録媒体は、CD-ROMやDVD等の非一過性の記録媒体であってよい。更に、アトラクションプログラムを、インターネット等の通信ネットワークに接続されたコンピュータに予め格納させ、通信ネットワークを介してダウンロードによる提供ができるようにすることもできる。
【0064】
本実施形態に係るアトラクションプログラムは、CPU等に働きかけて、アトラクションプログラムを、
図1~
図3にかけて説明した駆動部30、移動体出力部32、位置情報取得部34、指示受付部36、出力部50、反応検知部52、出力制御部70、検知制御部72、移動制御部74、オブジェクト獲得制御部76、情報取得部78、格納ユニット80、通知部82、要求部83、検知有無通知部84、仮想情報格納部800、及びユーザ情報格納部802にとして機能させる。
【0065】
[実施の形態の効果]
本実施形態に係るアトラクションシステム1は、移動体3に登場するユーザに「静かにしていること」や「静止していること」を要求し、当該要求を守ることができなかった場合、つまり、ユーザが予め定められた基準を超える大きさの反応をした場合(例えば、所定基準を超える声量の声を発した場合や所定基準を超える大きさの動作をした場合等)と、当該要求を守ることができた場合とでユーザに異なる内容の仮想情報を知覚可能に出力できる。すなわち、アトラクションシステム1は、ユーザの「静」の状態においてユーザに提供する演出内容と「動」の状態においてユーザに提供する演出内容とをユーザの反応の大きさに基づいて切り替えることができるので、従来の絶叫マシン等のように移動体に大きな動作をさせなくても、ユーザに意外性のある驚きや想定外の面白さを提供できる。
【0066】
[実施の形態の変形例1]
以下、本実施形態に係るアトラクションシステム1の変形例1について説明する。変形例1では、移動体3に複数のユーザが搭乗する例を示す。
【0067】
(第1の例)
移動体3に複数のユーザが搭乗する場合、反応検知部52は、複数のユーザそれぞれの反応の大きさを検知する。つまり、複数のユーザそれぞれが装着デバイス5を装着し、各ユーザの装着デバイス5の反応検知部52がそれぞれ、各ユーザの反応の大きさを検知する。そして、出力制御部70、移動制御部74、及び要求部83は、反応検知部52が検知した各ユーザの反応の大きさの累計(例えば、反応が声である場合、声の声量の累計値)を、ユーザの反応に関する情報として扱ってよい。この場合、各ユーザの反応の大きさの累計が第1の条件を満たす場合と第1の条件を満たさない場合とで出力制御部70が出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせる等の処理がなされる。移動制御部74及び要求部83についても同様である。したがって、例えば、移動体3に搭乗する複数のユーザが全員、第1の条件を満たさないようにするインセンティブ(つまり、全員で静かにしようとするインセンティブ)が働く。
【0068】
また、この場合において要求部83は、一のユーザの一の装着デバイス5の反応検知部52が検知した反応の大きさを、他のユーザの他の装着デバイス5の出力部50に出力させてもよい。つまり、複数のユーザはそれぞれ、出力部50を介して他のユーザの反応の大きさ(例えば、声量)を把握することができる。これにより、各ユーザはそれぞれ、他のユーザが静かにするように監視することができる。
【0069】
(第2の例)
移動体3に複数のユーザが搭乗する場合であって、各ユーザがHMD等の装着デバイス5を装着することでユーザ毎に異なる仮想情報が知覚可能にされる場合を例に挙げる。この場合、反応検知部52は、複数のユーザそれぞれの反応の大きさを検知するものの、上記「第1の例」とは異なり、ユーザごとに反応の大きさを検知する。すなわち、複数のユーザそれぞれが装着する装着デバイス5の反応検知部52は別個独立に各ユーザの反応の大きさを各ユーザに対応付けて検知する。
【0070】
例えば、一のユーザの装着デバイス5の反応検知部52は、アトラクションの開始から終了まで一のユーザの反応の大きさの累計を検知し、記憶する。他のユーザの装着デバイス5の反応検知部52も同様である。なお、反応検知部52は、アトラクションのエリアに複数の実行ゾーンがある場合、実行ゾーンごとにユーザの反応の大きさを記憶してもよい。そして、アトラクションの最後若しくは終了時点において、一のユーザの装着デバイス5の反応検知部52は、記憶した情報を出力制御部70に供給する。他のユーザの装着デバイス5の反応検知部52も同様に動作する。続いて出力制御部70は、複数のユーザの反応の大きさの累計を比較し、反応の大きさの累計が小さい順にユーザを順位付けする。そして、出力制御部70は、ユーザの反応の小ささに関するランキング(比較結果)を各ユーザの装着デバイスの出力部50に出力させる。なお、出力制御部70は、実行ゾーンごとにユーザの反応の大きさを記憶する場合、複数の実行ゾーンごとの当該ランキングを出力部50に出力させてもよい。
【0071】
(第3の例)
移動体3に複数のユーザが搭乗する場合、複数のユーザを複数のグループに分類してもよい。つまり、複数人からなるグループを複数設定できる。そして、出力制御部70、移動制御部74、及び要求部83は、一のグループに属する複数のユーザそれぞれの装着デバイス5の反応検知部52が検知した複数のユーザそれぞれの反応の大きさの累計(例えば、反応が声である場合、声の声量の累計値)を、当該一のグループのユーザの反応に関する情報として扱ってよい。他のグループについても同様である。
【0072】
例えば、移動体3が6人乗りであり、6人のユーザが搭乗した場合、2人ごと、3つのグループを設定できる。この場合、上記「第1の例」では6人のユーザの反応の大きさの累計を用いたが、「第3の例」では2人からなるグループごとの反応の大きさの累計を用いる。つまり、一のグループの各ユーザの装着デバイス5の反応検知部52がそれぞれ、各ユーザの反応の大きさを検知する。そして、出力制御部70、移動制御部74、及び要求部83は、反応検知部52が検知した当該一のグループに属する各ユーザの反応の大きさの累計を、当該一のグループの反応に関する情報として扱ってよい。他のグループについても同様である。なお、複数のユーザのグループ分けは特に限定はなく、例えば、移動体3が横2席×縦3列の座席を有して構成されている場合、隣同士の2人のユーザを一のグループとしてもよいし、移動体3に搭乗するユーザやアトラクション運営者が任意にグループ分けしてもよい。
【0073】
[実施の形態の変形例2]
以下、本実施形態に係るアトラクションシステム1の変形例2について説明する。
【0074】
変形例2に係るアトラクションシステムは、アトラクションの導入部において移動体3に搭乗しているユーザの反応の大きさを取得し、取得した反応の大きさと予め定められた第1の条件とを比較可能なアトラクションシステムである。変形例2においてアトラクションは、移動体3が回遊するエリアが、ユーザの反応の大きさと予め定められた第1の条件とを比較するゾーン(以下、「キャリブレーションゾーン」という。)を含んで構成される。キャリブレーションゾーンはアトラクション開始直後に設けることが好ましい。ただし、キャリブレーションゾーンは実行ゾーンの前に設けることもできる。以下ではアトラクション開始直後にキャリブレーションゾーンを有するエリアを例にして説明する。
【0075】
まず、移動体3がキャリブレーションゾーンに存在する場合において出力制御部70は、移動体出力部32及び/又は出力部50に、反応検知部52が検知するユーザの反応の大きさ示す計器(メーター)及び/又は当該大きさを示す数値を出力する出力領域(以下、単に「メーター」という。)をユーザに知覚可能に出力させる。次に、反応検知部52は、移動体3がキャリブレーションゾーンにいる間におけるユーザの反応の大きさを検知する。そして、出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさと予め設定されている第1の条件とを比較可能に移動体出力部32及び/又は出力部50のメーターに出力する。これによりユーザは、自身の反応の大きさが第1の条件(例えば、反応が声の声量の大きさである場合、声量の閾値)に対して大きいか小さいか、若しくは一致するか等を把握できる。したがってユーザは、移動体3が実行ゾーンに侵入した後、どの程度の反応の大きさ(例えば、声量の大きさ)であれば第1の条件を満たすか否かを把握することができるので、実行ゾーンにおいて、例えば、どの程度、自身の反応を抑えればよいか(例えば、声量を落とし、静かにすればよいか等。)を把握できる。
【0076】
また、出力制御部70は、移動体3がキャリブレーションゾーンに存在する場合において、移動体出力部32及び/又は出力部50を介してユーザに所定の動作の実行を指示する情報を出力させてもよい。例えば、出力制御部70は、移動体出力部32及び/又は出力部50に所定の声を出すことを指示する情報(例えば、「叫んでみよう!」等の音声やテキスト情報)を出力させる。そして、出力制御部70は、反応検知部52が検知した当該所定の動作に応じて実行されたユーザの反応の大きさと予め設定されている第1の条件とを比較可能に移動体出力部32及び/又は出力部50のメーターに出力する。これにより、ユーザによって声の大きさ(声量の大きさ)や驚いた際に発する声の大きさ等が異なったとしても、ユーザに、自身の反応の大きさと第1の条件との対応関係を適切に把握させることができる。
【0077】
更に、出力制御部70は、移動体3がキャリブレーションゾーンに存在する場合において、移動体出力部32及び/又は出力部50を介してユーザに所定の動作の実行を指示する情報を出力させた上で、ユーザの実際の動作の大きさ(反応の大きさ)に基づいて、第1の条件を調整してもよい。例えば、出力制御部70は、移動体出力部32及び/又は出力部50に所定の声を出すことを指示する情報を出力させる。また、この場合において出力制御部70は、反応検知部52が検知した反応の大きさに応じ、ユーザが実際の動作を実行する前後で出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせてもよい。そして、出力制御部70は、反応検知部52が検知した当該所定の動作によるユーザの反応の大きさと予め設定されている第1の条件とを比較し、両者の差が所定の範囲内ではない場合、第1の条件を調整して両者の差が所定の範囲内になるようにすることができる。一方、両者の差が所定の範囲内であれば、出力制御部70は第1の条件を調整しなくてもよい。例えば、出力制御部70は、反応の大きさが声の声量の大きさである場合、第1の条件としての声量の大きさの閾値とユーザの声量の大きさとを比較し、両者の差に基づいて当該閾値を調整する。
【0078】
ここで、出力制御部70は、移動体出力部32及び/又は出力部50に所定の動作の実行を指示する情報を出力させると共に出力部50に所定の仮想情報を出力させてもよい。ただし、出力制御部70は、反応検知部52が検知する声量の大きさに応じ、出力部50に出力させる仮想情報の内容を異ならせなくてもよい。また、変形例2においては、要求部83は、ユーザに対し、ユーザの反応の大きさを小さくすることを要求しなくてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。更に、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品とのような複数の部分に分割されて適用されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0080】
1 アトラクションシステム
3 移動体
5 装着デバイス
7 サーバ
30 駆動部
32 移動体出力部
34 位置情報取得部
36 指示受付部
50 出力部
52 反応検知部
70 出力制御部
72 検知制御部
74 移動制御部
76 オブジェクト獲得制御部
78 情報取得部
80 格納ユニット
82 通知部
83 要求部
84 検知有無通知部
100 分岐点
102、104 方向
200、202、204 レーン
300 方向
800 仮想情報格納部
802 ユーザ情報格納部