(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064848
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】直動案内ユニット
(51)【国際特許分類】
F16C 29/06 20060101AFI20230502BHJP
F16C 33/48 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
F16C29/06
F16C33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175247
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】菊池 直樹
【テーマコード(参考)】
3J104
3J701
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA24
3J104AA36
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA72
3J104AA74
3J104AA75
3J104AA76
3J104BA22
3J104BA23
3J104BA24
3J104BA33
3J104DA12
3J104EA10
3J701AA13
3J701AA32
3J701AA44
3J701AA64
3J701BA46
3J701BA56
3J701FA41
3J701GA60
(57)【要約】
【課題】耐荷重性能を改善することが可能な直動案内ユニットを提供する。
【解決手段】直動案内ユニットは、レールと、ケーシングと、複数の転動体と、一対の方向変換部材とを備える。レールは、レール側転走面を含む。ケーシングは、ケーシング本体と、袖部とを含む。上記袖部には、ケーシング側転走面が形成されている。ケーシングには、リターン路が形成されている。上記一対の方向変換部材には、転動体転走路とリターン路とを繋ぐ方向変換路が形成されている。上記直動案内ユニットは、転動体を上記袖部との間で挟持する保持部材と、保持部材を方向変換部材に対して支持する支持部材とを備える。保持部材には、第1端面に開口する第1穴が形成されている。上記一対の方向変換部材のうち第1端面に対向する方向変換部材には、第1穴に連通し、方向変換部材を長手方向に貫通する第2穴が形成されている。支持部材は、第1穴および第2穴に挿入されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールと、
前記レールの長手方向に沿って移動可能なケーシングと、
前記レールおよび前記ケーシングの間に前記レールおよび前記ケーシングに接触しつつ転走可能に配置される複数の転動体と、
前記ケーシングの前記長手方向の両端に配置される一対の方向変換部材と、を備え、
前記レールは、前記長手方向に垂直な幅方向の両側に配置され、前記長手方向に延びる一対のレール側転走面を含み、
前記ケーシングは、
ケーシング本体と、
前記ケーシング本体の前記幅方向の両側に接続される一対の袖部と、を含み、
前記一対の袖部には、前記一対のレール側転走面に対向するとともに前記長手方向に延び、前記一対のレール側転走面との間に一対の転動体転走路を形成するケーシング側転走面が形成されており、
前記ケーシングには、前記一対のレール側転走面のそれぞれに沿って前記長手方向に延び、前記ケーシングを前記長手方向に貫通する貫通孔である一対のリターン路が形成されており、
前記一対の方向変換部材には、前記転動体転走路と前記リターン路とを繋ぐ方向変換路が形成されており、
前記転動体は、前記転動体転走路、前記リターン路および前記方向変換路によって形成される環状の軌道を循環し、
前記転動体を前記袖部との間で挟持し、前記長手方向に延びる一対の保持部材と、
前記保持部材を前記方向変換部材に対して支持する支持部材と、をさらに備え、
前記保持部材には、前記長手方向の一方の端面である第1端面に開口する第1穴が形成されており、
前記一対の方向変換部材のうち前記第1端面に対向する前記方向変換部材には、前記第1穴に連通し、前記方向変換部材を前記長手方向に貫通する第2穴が形成されており、
前記支持部材は、前記第1穴および前記第2穴に挿入されている、直動案内ユニット。
【請求項2】
前記第1穴は、前記保持部材を前記長手方向に貫通するように形成されている、請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記保持部材には、
前記保持部材の内部に底を有する前記第1穴と、
前記第1端面と反対の第2端面に開口するとともに前記第1穴に対して離間し、前記保持部材の内部に底を有する第3穴と、が形成されている、請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記長手方向に垂直な断面において、前記第1穴および前記第2穴は、前記長手方向および前記幅方向の両方に対して直交する上下方向の長さが前記幅方向の長さよりも長い形状を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レールとケーシングとの間に複数並べて配置される転動体を保持する保持部材を備えた直動案内ユニットが知られている。この種の技術が、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、長手方向の両端部が略垂直に折り曲げられた転動体の保持部材が開示されている。当該保持部材は、ケーシングの長手方向の両端面に形成された凹部に折り曲げ部が嵌め込まれ、転動体であるボールをケーシングに対して保持する。
【0004】
特許文献2には、転動体である円筒ころをケーシングに対して保持する保持部材と、当該保持部材をエンドキャップに対して固定する固定バンドと、を備えた直動案内ユニットが開示されている。特許文献2では、保持部材のうちレール側を向く内側面に凹状のバンド溝が形成されており、当該バンド溝に固定バンドが嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-87135号公報
【特許文献2】特開2008-111458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示される直動案内ユニットでは、保持部材から固定バンドが外れるのを防止するために、当該保持部材の内側面(レール側を向く面)から幅方向の外側に向かってバンド溝を深く形成する必要がある。このため、保持部材を小型化することが困難になり、サイズが大きい転動体をケーシングと保持部材との間に配置するのが困難になる。したがって、従来の直動案内ユニットでは、サイズが大きい転動体を採用するのが困難であるため、耐荷重性能について改善の余地がある。
【0007】
本開示の目的は、耐荷重性能を改善することが可能な直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従った直動案内ユニットは、レールと、レールの長手方向に沿って移動可能なケーシングと、レールおよびケーシングの間にレールおよびケーシングに接触しつつ転走可能に配置される複数の転動体と、ケーシングの長手方向の両端に配置される一対の方向変換部材と、を備える。レールは、長手方向に垂直な幅方向の両側に配置され、長手方向に延びる一対のレール側転走面を含む。ケーシングは、ケーシング本体と、ケーシング本体の幅方向の両側に接続される一対の袖部と、を含む。上記一対の袖部には、上記一対のレール側転走面に対向するとともに長手方向に延び、上記一対のレール側転走面との間に一対の転動体転走路を形成するケーシング側転走面が形成されている。ケーシングには、上記一対のレール側転走面のそれぞれに沿って長手方向に延び、ケーシングを長手方向に貫通する貫通孔である一対のリターン路が形成されている。上記一対の方向変換部材には、上記転動体転走路とリターン路とを繋ぐ方向変換路が形成されている。転動体は、上記転動体転走路、リターン路および上記方向変換路によって形成される環状の軌道を循環する。上記直動案内ユニットは、転動体を上記袖部との間で挟持し、長手方向に延びる一対の保持部材と、保持部材を方向変換部材に対して支持する支持部材と、をさらに備える。保持部材には、長手方向の一方の端面である第1端面に開口する第1穴が形成されている。上記一対の方向変換部材のうち第1端面に対向する方向変換部材には、第1穴に連通し、方向変換部材を長手方向に貫通する第2穴が形成されている。支持部材は、第1穴および第2穴に挿入されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、耐荷重性能を改善することが可能な直動案内ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る直動案内ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態におけるスライダが長手方向に分解された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態におけるケーシングを長手方向に見た正面図である。
【
図4】
図4は、エンドキャップの内部構造を示す図である。
【
図5】
図5は、スライダの内部構造を示す斜視断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2におけるスライダの内部構造を示す斜視断面図である。
【
図7】
図7は、その他実施の形態におけるスライダを長手方向に見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態の概要]
本開示に従った直動案内ユニットは、レールと、レールの長手方向に沿って移動可能なケーシングと、レールおよびケーシングの間にレールおよびケーシングに接触しつつ転走可能に配置される複数の転動体と、ケーシングの長手方向の両端に配置される一対の方向変換部材と、を備える。レールは、長手方向に垂直な幅方向の両側に配置され、長手方向に延びる一対のレール側転走面を含む。ケーシングは、ケーシング本体と、ケーシング本体の幅方向の両側に接続される一対の袖部と、を含む。上記一対の袖部には、上記一対のレール側転走面に対向するとともに長手方向に延び、上記一対のレール側転走面との間に一対の転動体転走路を形成するケーシング側転走面が形成されている。ケーシングには、上記一対のレール側転走面のそれぞれに沿って長手方向に延び、ケーシングを長手方向に貫通する貫通孔である一対のリターン路が形成されている。上記一対の方向変換部材には、上記転動体転走路とリターン路とを繋ぐ方向変換路が形成されている。転動体は、上記転動体転走路、リターン路および上記方向変換路によって形成される環状の軌道を循環する。上記直動案内ユニットは、転動体を上記袖部との間で挟持し、長手方向に延びる一対の保持部材と、保持部材を方向変換部材に対して支持する支持部材と、をさらに備える。保持部材には、長手方向の一方の端面である第1端面に開口する第1穴が形成されている。上記一対の方向変換部材のうち第1端面に対向する方向変換部材には、第1穴に連通し、方向変換部材を長手方向に貫通する第2穴が形成されている。支持部材は、第1穴および第2穴に挿入されている。
【0012】
上記直動案内ユニットでは、第1端面に開口する第1穴が保持部材に形成されており、且つ当該第1穴に連通するとともに長手方向に貫通する第2穴が方向変換部材に形成されている。そして、支持部材が第1穴および第2穴に挿入されることにより、保持部材が方向変換部材に対して支持されている。このため、上記直動案内ユニットでは、保持部材にバンド溝を形成する必要がないため、従来に比べて保持部材をより小型化することができる。したがって、上記直動案内ユニットによれば、サイズがより大きい転動体を保持部材とケーシングの袖部との間に配置することができるため、直動案内ユニットの耐荷重性能を改善することができる。
【0013】
上記直動案内ユニットにおいて、第1穴は、保持部材を長手方向に貫通するように形成されていてもよい。この構成によれば、保持部材をより軽量化することができる。
【0014】
上記直動案内ユニットにおいて、保持部材には、保持部材の内部に底を有する第1穴と、第1端面と反対の第2端面に開口するとともに第1穴に対して離間し、保持部材の内部に底を有する第3穴と、が形成されていてもよい。この構成によれば、保持部材の長手方向の全体にわたって第1穴が形成される場合に比べて、保持部材の強度を高めることができる。
【0015】
上記直動案内ユニットにおいて、長手方向に垂直な断面において、第1穴および第2穴は、長手方向および幅方向の両方に対して直交する上下方向の長さが幅方向の長さよりも長い形状を有していてもよい。この構成によれば、第1穴および第2穴の両方が幅方向に長い形状である場合に比べて、保持部材とケーシングの袖部との間に転動体の配置スペースをより広く確保することができる。その結果、サイズがより大きい転動体を採用することが可能になり、直動案内ユニットの耐荷重性能をより高めることができる。しかも、保持部材が方向変換部材に対して回転するのを抑制することもできる。
【0016】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニットの具体的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る直動案内ユニット1の構成を、
図1~
図5に基づいて説明する。
図1は、直動案内ユニット1の構成を全体的に示す斜視図である。
図2は、スライダ20が長手方向D1に分解された状態を示す斜視図である。
図3は、ケーシング21を長手方向D1に見た正面図である。
図4は、第1エンドキャップ22の内部構造を部分的に示す図である。
図5は、スライダ20の内部構造を示す斜視断面図である。
【0018】
図1に示すように、直動案内ユニット1は、レール10と、スライダ20とを主に備えている。レール10は、長手方向D1に直線的に延びている。スライダ20は、レール10を幅方向D2の両側から挟むように、レール10に取り付けられている。スライダ20は、レール10の長手方向D1に沿って移動可能(スライド可能)となっている。スライダ20は、ケーシング21と、一対の方向変換部材(第1エンドキャップ22および第2エンドキャップ23)とを含む。
図1に示すように、第1エンドキャップ22および第2エンドキャップ23は、ケーシング21の長手方向D1の両端に配置されている。
【0019】
図3に示すように、レール10は、第1レール面15と、第2レール面16と、一対のレール側転走面(第1レール側転走面11および第2レール側転走面12)とを含む。第1レール面15は、ケーシング21側を向く面である。第2レール面16は、上下方向D3(長手方向D1および幅方向D2の両方向に対して垂直な方向)において、第1レール面15と反対を向く面である。第1レール側転走面11および第2レール側転走面12は、レール10の幅方向D2(長手方向D1および上下方向D3の両方向に対して垂直な方向)の両側に配置されている。第1レール面15、第2レール面16、第1レール側転走面11および第2レール側転走面12は、それぞれ長手方向D1に延びている。
図3に示すように、第1レール側転走面11および第2レール側転走面12は、幅方向D2および上下方向D3の両方向に対して傾斜している。本実施の形態では、第1レール側転走面11および第2レール側転走面12は、上下方向D3に2つずつ並んで形成されているが、これに限定されない。
【0020】
ケーシング21は、ケーシング本体24と、一対の袖部(第1袖部25および第2袖部26)とを含む。
図3に示すように、ケーシング本体24は、長手方向D1に見て、幅方向D2に直線的に延びている。ケーシング本体24は、幅方向D2においてレール10よりも外側に位置する第1端部24Aと、幅方向D2においてレール10よりも外側に位置するとともに第1端部24Aと反対の第2端部24Bとを含む。上記一対の袖部は、ケーシング本体24の幅方向D2の両側に接続されている。
図3に示すように、第1袖部25は、第1端部24Aから第2レール面16に近づくように上下方向D3に延びている。第2袖部26は、第2端部24Bから第2レール面16に近づくように上下方向D3に延びている。
【0021】
ケーシング本体24は、第1レール面15に対向する第1ケーシング面36と、上下方向D3において第1ケーシング面36と反対の第2ケーシング面35とを含む。上記一対の袖部には、上記一対のレール側転走面に対向する一対のケーシング側転走面(第1ケーシング側転走面31および第2ケーシング側転走面32)が形成されている。第1ケーシング側転走面31は、第1レール側転走面11に平行であり、長手方向D1に延びている。第2ケーシング側転走面32は、第2レール側転走面12に平行であり、長手方向D1に延びている。
図3に示すように、本実施の形態では、第1ケーシング側転走面31および第2ケーシング側転走面32は、上下方向D3に2つずつ並んで形成されているが、これに限定されない。
【0022】
ケーシング21は、長手方向D1における端面であるケーシング端面37を含む。ケーシング端面37に、第1エンドキャップ22および第2エンドキャップ23(
図1)が接触するように配置されている。
図3に示すように、第1袖部25は、幅方向D2においてレール10と反対を向く第1ケーシング側面38を含む。第2袖部26は、幅方向D2においてレール10と反対を向く第2ケーシング側面39を含む。
【0023】
図3に示すように、直動案内ユニット1は、レール10およびケーシング21の間にレール10およびケーシング21に接触しつつ転走可能に配置される複数の転動体(第1転動体41および第2転動体42)を備えている。第1ケーシング側転走面31は、第1レール側転走面11との間に第1転動体転走路(一対の転動体転走路のうち一方)を形成している。当該第1転動体転走路に、複数の第1転動体41が長手方向D1に並べて配置されている。本実施の形態では、第1転動体41は、円筒ころであり、外周面が第1レール側転走面11および第1ケーシング側転走面31に接触している。
【0024】
第2ケーシング側転走面32は、第2レール側転走面12との間に第2転動体転走路(一対の転動体転走路のうち他方)を形成している。当該第2転動体転走路に、複数の第2転動体42が長手方向D1に並べて配置されている。本実施の形態では、第2転動体42は、円筒ころであり、外周面が第2レール側転走面12および第2ケーシング側転走面32に接触している。
【0025】
ケーシング21には、一対のリターン路(第1リターン路51および第2リターン路52)が形成されている。上記一対のリターン路は、上記一対のレール側転走面のそれぞれに沿って長手方向D1に延び、ケーシング21を長手方向D1に貫通する貫通孔である。
図3に示すように、第1リターン路51は、長手方向D1に見て円形の貫通孔であり、一方のケーシング端面37から他方のケーシング端面37まで至るように第1袖部25を長手方向D1に貫通している。本実施の形態では、第1リターン路51は、第1袖部25において上下方向D3に2つ並んで形成されているが、これに限定されない。
【0026】
第2リターン路52は、第1リターン路51と同様に、長手方向D1に見て円形の貫通孔である。第2リターン路52は、一方のケーシング端面37から他方のケーシング端面37まで至るように第2袖部26を長手方向D1に貫通している。本実施の形態では、第2リターン路52は、第2袖部26において上下方向D3に2つ並んで形成されているが、これに限定されない。第1袖部25の長手方向D1の端面には、第1リターン路51の長手方向D1の端部である円形の開口が形成されている。同様に、第2袖部26の長手方向D1の端面には、第2リターン路52の長手方向D1の端部である円形の開口が形成されている。
【0027】
図4は、第1エンドキャップ22(
図1および
図2)のうちケーシング21側を向く面を部分的に示している。
図4に示すように、第1エンドキャップ22には、上記第1転動体転走路と第1リターン路51(
図3)とを繋ぐ第1方向変換路61が形成されている。より具体的には、
図3を参照して、上下2つの上記第1転動体転走路のうち第1レール面15に近い方の上記第1転動体転走路と、上下2つの第1リターン路51のうち第1レール面15から遠い方の第1リターン路51とが、一方の第1方向変換路61(
図4)により繋がっている。一方、上下2つの上記第1転動体転走路のうち第1レール面15から遠い方の上記第1転動体転走路と、上下2つの第1リターン路51のうち第1レール面15に近い方の第1リターン路51とが、他方の第1方向変換路61(
図4)により繋がっている。
【0028】
第2エンドキャップ23(
図1および
図2)においても、第1エンドキャップ22と同様に、第1方向変換路が形成されている。スライダ20(
図1)がレール10の長手方向D1に沿って直線的に移動すると、第1転動体41(
図3)は、上記第1転動体転走路、第1リターン路51および第1方向変換路61によって形成される環状の軌道を循環する。
【0029】
図示は省略するが、第1エンドキャップ22および第2エンドキャップ23には、上記第2転動体転走路と第2リターン路52(
図3)とを繋ぐ第2方向変換路が、第1方向変換路61(
図4)と同様に形成されている。このため、スライダ20がレール10の長手方向D1に沿って直線的に移動するのに伴い、第2転動体42(
図3)は、上記第2転動体転走路、第2リターン路52および上記第2方向変換路によって形成される環状の軌道を循環する。
【0030】
直動案内ユニット1は、一対の保持部材(第1保持部材70および第2保持部材71)をさらに備えている(
図2、
図3および
図5)。
図2に示すように、第1保持部材70および第2保持部材71は、長手方向D1に延びており、長手方向D1に見て略三角形状を有している。
図3に示すように、第1保持部材70は、第1転動体41を第1袖部25との間で挟持する。より具体的には、第1転動体41は、転動軸が延びる方向における一方の端面が第1袖部25の幅方向D2の内面に接触するとともに、当該方向における他方の端面が第1保持部材70(
図3中の略三角形状の斜辺部)に接触する。
【0031】
同様に、第2保持部材71は、第2転動体42を第2袖部26との間で挟持する。具体的には、第2転動体42は、転動軸が延びる方向における一方の端面が第2袖部26の幅方向D2の内面に接触するとともに、当該方向における他方の端面が第2保持部材71(
図3中の略三角形状の斜辺部)に接触する。
図3に示すように、第1保持部材70は、レール10の幅方向D2の側面のうち、一方の第1レール側転走面11と他方の第1レール側転走面11との間の空間(凹部)に配置されている。同様に、第2保持部材71は、レール10の幅方向D2の側面のうち、一方の第2レール側転走面12と他方の第2レール側転走面12との間の空間(凹部)に配置されている。
【0032】
図5に示すように、第2保持部材71には、長手方向D1の一方の端面である第1端面に開口する第1穴91が形成されるとともに、当該第1端面と反対の第2端面に開口するとともに第1穴91に対して長手方向D1に離間する第3穴93が形成されている。本実施の形態では、第2保持部材71のうち第1穴91と第3穴93との間の部分は、穴が形成されていない中実の部分となっている。第1穴91および第3穴93は、第2保持部材71の内部に底を有する有底穴であり、長手方向D1の深さ(長さ)は略同じである。なお、第1保持部材70は、第2保持部材71と同様の構成を有しており、第1穴91および第3穴93が長手方向D1の両端にそれぞれ形成されている。
【0033】
図5に示すように、第1エンドキャップ22(上記一対の方向変換部材のうち上記第1端面に対向する方向変換部材)には、第1エンドキャップ22を長手方向D1に貫通する第2穴92が形成されている。第2穴92は、長手方向D1に見て第1穴91と略同じ大きさおよび形状を有している。第2穴92は、第1エンドキャップ22がケーシング21に取り付けられる状態(ケーシング端面37に接触する状態)において、第1穴91に連通している。
【0034】
同様に、第2エンドキャップ23(上記一対の方向変換部材のうち上記第2端面に対向する方向変換部材)には、第2エンドキャップ23を長手方向D1に貫通する第4穴94が形成されている。第4穴94は、長手方向D1に見て第3穴93と略同じ大きさおよび形状を有している。第4穴94は、第2エンドキャップ23がケーシング21に取り付けられる状態(ケーシング端面37に接触する状態)において、第3穴93に連通している。
【0035】
本実施の形態における第1穴91は、長手方向D1に垂直な断面において、上下方向D3の長さが幅方向D2の長さよりも長い形状を有している(
図3および
図5)。より具体的には、本実施の形態における第1穴91は、長手方向D1に見て、上下方向D3に長い長方形状を有している。
【0036】
同様に、本実施の形態における第2穴92は、長手方向D1に垂直な断面において、上下方向D3の長さが幅方向D2の長さよりも長い形状を有している(
図4)。より具体的には、本実施の形態における第2穴92は、長手方向D1に見て、上下方向D3に長い長方形状を有している。なお、第3穴93および第4穴94も、第1穴91および第2穴92と同様に、上下方向D3の長さが幅方向D2の長さよりも長い形状、例えば長手方向D1に見て上下方向D3に長い長方形状を有している。
【0037】
直動案内ユニット1は、第1保持部材70および第2保持部材71を第1エンドキャップ22および第2エンドキャップ23に対して支持する複数の支持部材(第1支持部材81、第2支持部材82、第3支持部材83および第4支持部材84、
図2)をさらに備えている。
図2に示すように、本実施の形態における第1~第4支持部材81~84は、略L字形状を有しており、各保持部材に形成される有底穴および各エンドキャップに形成される貫通穴に挿入されている。
図2に示すように、第1エンドキャップ22の外面(ケーシング21と反対の面)には、第1支持部材81の短辺部および第3支持部材83の短辺部が嵌め込まれる凹部22Aが形成されている。同様に、第2エンドキャップ23の外面(ケーシング21と反対の面)にも、第2支持部材82の短辺部および第4支持部材84の短辺部が嵌め込まれる凹部(図示しない)が形成されている。なお、この凹部は、必須の構成ではなく、省略されてもよい。また第1~第4支持部材81~84は、L字形状の部材に限定されず、例えば直線状に延びる形状の部材であってもよい。
【0038】
第1支持部材81は、長辺部が第1保持部材70に形成される第1穴91(有底穴)および第1エンドキャップ22に形成される第2穴92(貫通穴)に挿入されている。第2支持部材82は、長辺部が第1保持部材70に形成される第3穴93(有底穴)および第2エンドキャップ23に形成される第4穴94(貫通穴)に挿入されている。第3支持部材83は、長辺部が第2保持部材71に形成される第1穴91(有底穴)および第1エンドキャップ22に形成される第2穴92(貫通穴)に挿入されている。第4支持部材84は、長辺部が第2保持部材71に形成される第3穴93(有底穴)および第2エンドキャップ23に形成される第4穴94(貫通穴)に挿入されている。
【0039】
以上の通り、本実施の形態に係る直動案内ユニット1では、第1穴91が第1保持部材70および第2保持部材71に形成されており、且つ第1穴91に連通するとともに長手方向D1に貫通する第2穴92が第1エンドキャップ22に形成されている。そして、第1支持部材81および第3支持部材83が第1穴91および第2穴92に挿入されることにより、第1保持部材70および第2保持部材71が第1エンドキャップ22に対して支持されている。同様に、第2支持部材82および第4支持部材84が第3穴93および第4穴94に挿入されることにより、第1保持部材70および第2保持部材71が第2エンドキャップ23に対して支持されている。このため、本実施の形態に係る直動案内ユニット1では、第1保持部材70および第2保持部材71にバンド溝を形成する必要がないため、第1保持部材70および第2保持部材71をより小型化することができる。したがって、サイズがより大きい転動体を第1保持部材70および第2保持部材71とケーシング21の袖部との間に配置することができるため、直動案内ユニット1の耐荷重性能を改善することができる。
【0040】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る直動案内ユニットの構成を、
図6に基づいて説明する。実施の形態2は、基本的に上記実施の形態1と同様であるが、第1保持部材70および第2保持部材71の構成において異なっている。以下、上記実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0041】
図6は、実施の形態2におけるスライダ20の内部構造を示す斜視断面図である。
図6に示すように、第1穴91は、第2保持部材71を長手方向D1の全体にわたって貫通するように形成されている。図示は省略するが、第1保持部材70においても、第1穴91は、第1保持部材70を長手方向D1の全体にわたって貫通するように形成されている。このため、実施の形態2では、第1保持部材70および第2保持部材71が長手方向D1の全体にわたって中空構造となっているため、部材の軽量化を図ることができる。
【0042】
(その他実施の形態)
ここで、その他実施の形態について説明する。
【0043】
上記実施の形態1,2では、第1穴91および第2穴92が上下方向D3に長い長方形状を有する場合を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、第1穴91および第2穴92は、長手方向D1に見て、円形状や正方形状を有していてもよい。
【0044】
上記実施の形態1,2では、第1転動体41および第2転動体42が円筒ころである場合を一例として説明したが、これに限定されない。例えば、第1転動体41および第2転動体42は、ボールであってもよい。
【0045】
図7に示すように、第1エンドキャップ22には、第1転動体41を投入するための第1投入穴95が形成されるとともに、第1投入穴95を塞ぐ第1蓋部材97が配置されていてもよい。同様に、第1エンドキャップ22には、第2転動体42を投入するための第2投入穴96が形成されるとともに、第2投入穴96を塞ぐ第2蓋部材98が配置されていてもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 直動案内ユニット、10 レール、11 第1レール側転走面、12 第2レール側転走面、15 第1レール面、16 第2レール面、20 スライダ、21 ケーシング、22 第1エンドキャップ、22A 凹部、23 第2エンドキャップ、24 ケーシング本体、24A 第1端部、24B 第2端部、25 第1袖部、26 第2袖部、31 第1ケーシング側転走面、32 第2ケーシング側転走面、35 第2ケーシング面、36 第1ケーシング面、37 ケーシング端面、38 第1ケーシング側面、39 第2ケーシング側面、41 第1転動体、42 第2転動体、51 第1リターン路、52 第2リターン路、61 第1方向変換路、70 第1保持部材、71 第2保持部材、81 第1支持部材、82 第2支持部材、83 第3支持部材、84 第4支持部材、91 第1穴、92 第2穴、93 第3穴、94 第4穴、95 第1投入穴、96 第2投入穴、97 第1蓋部材、98 第2蓋部材、D1 長手方向、D2 幅方向、D3 上下方向。