(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064852
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/04 20060101AFI20230502BHJP
B60B 33/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B62B5/04 A
B60B33/00 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175258
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 陽介
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE15
3D050HH01
3D050JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャスタの交換・修理の際にキャスタの取り外しを簡単に行うことが可能な台車を提供する。
【解決手段】台車本体12に取り付けられるキャスタと、前記キャスタから外れた位置で前記台車本体に回転可能に取り付けられ、軸部と、前記軸部からクランク状に突出したクランク部と、前記軸部に規制部に当接したり前記規制部から分離したりが可能な作用部と、を有するシャフトと、前記台車本体に沿った第1位置と、前記台車本体から離間した第2位置との間で前記第1位置から前記第2位置の移動により前記シャフトを第1方向に回転させ、前記規制部を解除位置から規制位置に移動させることが可能な第1レバーと、前記シャフトを前記第1方向とは反対の第2方向に回転させ、前記作用部を前記規制部から分離させ前記規制部を前記規制位置から前記解除位置に移動させる分離位置と、の間で回動可能に前記台車本体に取り付けられる第2レバーと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体と、
前記台車本体に取り付けられるとともに、回転可能なローラと、前記ローラを規制した規制位置と前記ローラの規制を解除した解除位置との間で移動可能な規制部と、を有するキャスタと、
前記キャスタから外れた位置で前記台車本体に回転可能に取り付けられたシャフトであって、軸部と、前記軸部からクランク状に突出したクランク部と、前記軸部に前記クランク部の突出長さよりも小さい突出長さで突出するように設けられ、前記規制部に当接したり前記規制部から分離したり可能な作用部と、を有するシャフトと、
前記台車本体に沿った第1位置と、前記台車本体から離間した第2位置と、の間で前記台車本体に対して回動可能に取り付けられる第1レバーであって、前記クランク部と係合されるとともに前記第1位置から前記第2位置の移動により前記シャフトを第1方向に回転させ、回動する前記作用部によって前記規制部を前記解除位置から前記規制位置に移動させることが可能な第1レバーと、
前記第1レバーと係合して前記第1レバーを前記第2位置に保持する保持位置と、前記第1レバーとの係合を解除して第1レバーを前記第1位置に戻すとともに前記シャフトを前記第1方向とは反対の第2方向に回転させ、前記作用部を前記規制部から分離させ前記規制部を前記規制位置から前記解除位置に移動させる分離位置と、の間で回動可能に前記台車本体に取り付けられる第2レバーと、
を備える台車。
【請求項2】
前記台車本体は、前記軸部を収納可能な収納部を有し、
前記軸部は、前記台車本体の厚み寸法の範囲内に配置される請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記第1レバーおよび前記第2レバーは、前記台車本体の下面に設けられる請求項1又は請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記第1レバーは、第1回動軸と、前記第1回動軸とは反対側に設けられた第1操作部と、前記第1回動軸と前記第1操作部との間の位置で前記第1レバー本体に設けられ且つ前記クランク部と係合可能な係合部と、を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の台車。
【請求項5】
前記係合部は、前記第1回動軸と前記第1操作部とを結ぶ方向に沿って細長く延びて、その内側で前記クランク部をスライド可能に保持する請求項4に記載の台車。
【請求項6】
前記規制は、前記ローラの進行方向への回転の規制である請求項1~5のいずれか1項に記載の台車。
【請求項7】
前記規制は、前記キャスタの旋回軸回りに前記ローラが旋回しないようにする規制である請求項1~5のいずれか1項に記載の台車。
【請求項8】
前記第2レバーは、初期位置にあるときに前記台車本体に沿った位置に配置される請求項1~7のいずれか1項に記載の台車。
【請求項9】
前記第2レバーは、前記第2回動軸とは反対側に設けられた第2操作部であって、前記初期位置にあり横方向に延びる第2レバー本体に対して上方向に延び且つ前記台車本体の端面の近傍に設けられた第2操作部を有する請求項1~8のいずれか1項に記載の台車。
【請求項10】
前記第1位置にある前記第1レバーは、初期位置にある前記第2レバーを覆うように配置される請求項1~9のいずれか1項に記載の台車。
【請求項11】
前記第1レバーは、第1回動軸とは反対側に設けられた第1操作部であって、前記第1位置にあり横方向に延びる前記第1レバー本体に対して上方向に延びた第1操作部を有する請求項1~10のいずれか1項に記載の台車。
【請求項12】
前記台車本体は、
前記台車本体の長手方向と交差する短辺方向に延び且つ下側に開口した箱状をなした脚部と、
前記短辺方向に関する前記脚部の略全幅に亘るように前記脚部の内側に下側から差し込まれる装着部材であって、前記キャスタが装着される底壁部と、前記底壁部から凹状に窪んだ前記収納部と、を有する装着部材と、
を備える請求項2に記載の台車。
【請求項13】
前記第1レバーは、第1レバー本体と、前記第1レバー本体の回動中心となる第1回動軸と、前記第1レバー本体に設けられ前記第2レバーに係合可能なピンと、前記第1レバー本体を前記第2位置から前記第1位置に向けて付勢する第1付勢部材と、を有し、
前記第2レバーは、前記第1回動軸の近傍に設けられ回動中心となる第2回動軸と、前記第2回動軸から突出するように設けられ前記ピンを係止して前記第1レバー本体が前記第2位置から前記第1位置に戻ることを阻止可能な保持部と、を有するとともに、前記第1レバー本体の前記第1位置から前記第2位置への移動に伴い前記ピンによって前記第1レバーに対して連れ回り可能であり、前記第1レバー本体の前記第1位置から前記第2位置までの回転角度よりも小さい所定角度を初期位置から回転した位置で前記第1レバーに対する連れ回りを停止し前記保持部に対して前記ピンを係止した前記保持位置となり、前記保持位置にある状態から前記所定角度を超えるように回動されることで前記保持部に対する前記ピンの係止が解除された前記分離位置となり、前記第1付勢部材によって第1レバー本体が前記第2位置から前記第1位置に戻される請求項1~12のいずれか1項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ機構を備えた台車に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ構造を有する台車が開示されている。この台車は、基台と、基台の下面に設けられたキャスタと、基台とキャスタとの間に設けられたブレーキ構造と、を備える。ブレーキ構造は、操作バーと、操作バーを回転操作させるためのステップと、操作バーの回転に伴いキャスタの外周面に当接したり外周面から分離したりするブレーキシューと、を有する。ブレーキ構造は、キャスタと一体化されるとともに、基台の一部とも一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにブレーキ構造は、キャスタと一体化されるとともに、基台の一部とも一体化されている。このため、例えば、キャスタに不具合を生じて交換・修理をする場合には、キャスタのみならず、キャスタと一体化したブレーキ構造をも基台から取り外す必要がある。このため、ブレーキ構造と基台との連結部も分解して取り外す必要がある。このように、台車の一部の交換・修理に際して、キャスタとその周辺のブレーキ構造との両方を取り外す必要があり、作業が著しく煩雑になる問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、キャスタの交換・修理の際にキャスタの取り外しを簡単に行うことが可能な台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の台車は、台車本体と、
前記台車本体に取り付けられるとともに、回転可能なローラと、前記ローラを規制した規制位置と前記ローラの規制を解除した解除位置との間で移動可能な規制部と、を有するキャスタと、
前記キャスタから外れた位置で前記台車本体に回転可能に取り付けられたシャフトであって、軸部と、前記軸部からクランク状に突出したクランク部と、前記軸部に前記クランク部の突出長さよりも小さい突出長さで突出するように設けられ、前記規制部に当接したり前記規制部から分離したり可能な作用部と、を有するシャフトと、
前記台車本体に沿った第1位置と、前記台車本体から離間した第2位置と、の間で前記台車本体に対して回動可能に取り付けられる第1レバーであって、前記クランク部と係合されるとともに前記第1位置から前記第2位置の移動により前記シャフトを第1方向に回転させ、回動する前記作用部によって前記規制部を前記解除位置から前記規制位置に移動させることが可能な第1レバーと、
前記第1レバーと係合して前記第1レバーを前記第2位置に保持する保持位置と、前記第1レバーとの係合を解除して第1レバーを前記第1位置に戻すとともに前記シャフトを前記第1方向とは反対の第2方向に回転させ、前記作用部を前記規制部から分離させ前記規制部を前記規制位置から前記解除位置に移動させる分離位置と、の間で回動可能に前記台車本体に取り付けられる第2レバーと、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の台車は、(1)記載の台車であって、
前記台車本体は、前記軸部を収納可能な収納部を有し、
前記軸部は、前記台車本体の厚み寸法の範囲内に配置される。
【0008】
また、本発明(3)の台車は、(1)又は(2)記載の台車であって、
前記第1レバーおよび前記第2レバーは、前記台車本体の下面に設けられる。
【0009】
また、本発明(4)の台車は、(1)~(3)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1レバーは、第1回動軸と、前記第1回動軸とは反対側に設けられた第1操作部と、前記第1回動軸と第1操作部との間の位置で前記第1レバー本体に設けられ且つ前記クランク部と係合可能な係合部と、を有する。
【0010】
また、本発明(5)の台車は、(4)記載の台車であって、
前記係合部は、前記第1回動軸と前記第1操作部とを結ぶ方向に沿って細長く延びて、その内側で前記クランク部をスライド可能に保持する。
【0011】
また、本発明(6)の台車は、(1)~(5)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記規制は、前記ローラの進行方向への回転の規制である。
【0012】
また、本発明(7)の台車は、(1)~(5)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記規制は、前記キャスタの旋回軸回りに前記ローラが旋回しないようにする規制である。
【0013】
また、本発明(8)の台車は、(1)~(7)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第2レバーは、初期位置にあるときに前記台車本体に沿った位置に配置される。
【0014】
また、本発明(9)の台車は、(1)~(8)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第2レバーは、前記第2回動軸とは反対側に設けられた第2操作部であって、前記初期位置にあり横方向に延びる第2レバー本体に対して上方向に延び且つ前記台車本体の端面の近傍に設けられた第2操作部を有する。
【0015】
また、本発明(10)の台車は、(1)~(9)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1位置にある前記第1レバーは、初期位置にある前記第2レバーを覆うように配置される。
【0016】
また、本発明(11)の台車は、(1)~(10)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1レバーは、第1回動軸とは反対側に設けられた第1操作部であって、前記第1位置にあり横方向に延びる前記第1レバー本体に対して上方向に延びた第1操作部を有する。
【0017】
また、本発明(12)の台車は、(2)に記載の台車であって、
前記台車本体は、
前記台車本体の長手方向と交差する短辺方向に延び且つ下側に開口した箱状をなした脚部と、
前記短辺方向に関する前記脚部の略全幅に亘るように前記脚部の内側に下側から差し込まれる装着部材であって、前記キャスタが装着される底壁部と、前記底壁部から凹状に窪んだ前記収納部と、を有する装着部材と、
を備える。
【0018】
また、本発明(13)の台車は、(1)~(12)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記第1レバーは、第1レバー本体と、前記第1レバー本体の回動中心となる第1回動軸と、前記第1レバー本体に設けられ前記第2レバーに係合可能なピンと、前記第1レバー本体を前記第2位置から前記第1位置に向けて付勢する第1付勢部材と、を有し、
前記第2レバーは、前記第1回動軸の近傍に設けられ回動中心となる第2回動軸と、前記第2回動軸から突出するように設けられ前記ピンを係止して前記第1レバー本体が前記第2位置から前記第1位置に戻ることを阻止可能な保持部と、を有するとともに、前記第1レバー本体の前記第1位置から前記第2位置への移動に伴い前記ピンによって前記第1レバーに対して連れ回り可能であり、前記第1レバー本体の前記第1位置から前記第2位置までの回転角度よりも小さい所定角度を初期位置から回転した位置で前記第1レバーに対する連れ回りを停止し前記保持部に対して前記ピンを係止した前記保持位置となり、前記保持位置にある状態から前記所定角度を超えるように回動されることで前記保持部に対する前記ピンの係止が解除された前記分離位置となり、前記第1付勢部材によって第1レバー本体が前記第2位置から前記第1位置に戻される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キャスタの交換・修理の際にキャスタの取り外しを簡単に行うことが可能な台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の台車を上方向から示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す台車の天板を起立させた状態を示した斜視図である。
【
図3】
図1に示す台車を下方向から示した斜視図である。
【
図4】
図1に示す台車の第1操作ユニットおよび第2操作ユニット周りを拡大して示した斜視図である。
【
図5】
図3に示す台車の第1操作ユニットおよび第2操作ユニット周りを拡大して示した斜視図である。
【
図6】
図1に示す台車の台車本体(脚部)を裏返して示した斜視図である。
【
図7】
図6に示す脚部から第1装着部材および第2装着部材を取り外して示す斜視図である。
【
図8】
図1に示す台車の近位部キャスタを示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す近位部キャスタの縦方向に沿った断面図である。
【
図10】
図1に示す台車の遠位部キャスタを示す斜視図である。
【
図11】
図10に示す遠位部キャスタの縦方向に沿った断面図である。
【
図12】
図1に示す台車の第1操作ユニットを上方向から拡大して示す斜視図である。
【
図13】
図1に示す台車の第1操作ユニットを下方向から拡大して示す斜視図である。
【
図14】
図12に示す第1操作ユニットおよびその周辺構造を縦方向に切断して示す断面図であって、第1レバーが第1位置にある状態を示す断面図である。
【
図15】
図14に示す第1操作ユニットにおいて、第1レバーを第2位置にした状態を示す断面図である。
【
図16】
図15に示す第1操作ユニットにおいて、第2レバーを分離位置にした状態を示す断面図である。
【
図17】
図4に示す第2操作ユニットを縦方向に切断して示す断面図であって、第3レバーおよび第4レバーが初期位置にある状態を示す断面図である。
【
図18】
図17に示す第2操作ユニットにおいて、第3レバーを押し下げ位置にした状態を示す断面図である。
【
図19】
図18に示す第2操作ユニットにおいて、第4レバーを押し下げ位置にした状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下
図1~
図19を参照して、本発明の台車の実施形態について説明する。本発明の台車は、例えば、物流センターから車両に商品を運び入れたり、車両から商店のバックヤードに商品を運び入れたり、或いは、商店のバックヤードから陳列棚に商品を品出ししたり、する際に用いられるものである。
【0022】
図1~
図5に示すように、台車11は、台車本体12と、台車本体12の長手方向Lの両端部に起立するように設けられた一対の枠体13と、台車本体12の四隅の下側に設けられた4個のキャスタ14と、台車本体12(脚部22)の下側(下面)に設けられた第1操作ユニット15と、台車本体12(脚部22)の上側に設けられた第2操作ユニット16と、を備える。4個のキャスタ14は、第1操作ユニット15および第2操作ユニット16の近傍に設けられた一対の近位部キャスタ14Aと、第1操作ユニット15および第2操作ユニット16から遠く隔たった位置に設けられた一対の遠位部キャスタ14Bと、を含んでいる。
【0023】
図1~
図7に示すように、台車本体12は、例えばスチール等の金属材料で角型のパイプ状に形成されたフレーム部材21と、フレーム部材21の両端部に設けられた一対の脚部22と、一対の脚部22同士に亘るように設けられた天板23と、フレーム部材21に固定され天板23を回動可能に保持するヒンジユニット24と、脚部22のそれぞれに対して下側から装着された第1装着部材25および第2装着部材26と、第1操作ユニット15の後述する第1レバー31および第2レバー32を間に挟むように設けられた一対のバンパー33と、を有する。フレーム部材21は、台車本体12の長手方向Lに沿って延びている。一対のバンパー33は、例えば、合成樹脂材料によって形成されている。
【0024】
天板23は、例えば、合成樹脂材料によって厚手の板状に形成されている。天板23は、フレーム部材21に対して、ヒンジユニット24を介して回動可能に取り付けられている。すなわち、天板23は、
図1に示すように一対の脚部22同士の間に渡された使用状態S1と、
図2に示すようにヒンジユニット24を介して跳ね上げられるように回動して起立した起立状態S2と、の間で回動できる。
図3に示すように、天板23は、使用状態S1において、フレーム部材21の上側に載置される。台車11は、例えば、起立状態S2で、バックヤード等で収納・保管される。この状態では、複数の台車11を台車本体12の長手方向と交差する短辺方向Sに互いに重ね合わせた状態(ネスティング状態)で省スペースに保管できる。
【0025】
図1、
図2に示すように、枠体13は、脚部22の装着部34に対して差し込まれて保持される。枠体13は、装着部34に対して着脱可能に構成されている。枠体13は、複数の横木部13Aを有する。必要に応じて、対向する横木部13A同士の間に図示しない棚板を渡すことができる。枠体13は、起立状態S2の天板23に引っかけることが可能なフック部材35を有する。起立状態S2の天板23は、フック部材35によって起立状態S2で保持される。
【0026】
図6、
図7に示すように、脚部22は、例えばスチール等の金属材料で形成されている。脚部22のそれぞれは、台車本体12の長手方向と交差する短辺方向Sに延び、所定の厚さを有する板状をなしている。より詳細には、脚部22は、下側に開口した箱状をなしている。
図1、
図2に示すように脚部22は、枠体13を上方から差し込んで保持するための筒状の装着部34を有する。また、
図6、
図7に示すように、脚部22は、下面にシャフト(第1シャフト36、第2シャフト37)の軸部41および作用部42を収納するための収納部43を有する。より詳細には、収納部43は、脚部22に装着された第1装着部材25および第2装着部材26を介して凹状に形成される。
【0027】
図6、
図7に示すように、第1装着部材25は、脚部22の開口内にきっちりと嵌る大きさで形成されている。第1装着部材25は、例えば1枚のスチール等の金属材料製の板材を、例えばプレス加工等によって断面略逆M字状に折り曲げて形成されている。第1装着部材25の断面は、凹状の収納部43と底壁部44とによって、略ハット状であるとも言い換えられる。第1装着部材25は、脚部22に対してねじ等で固定されている。
【0028】
第1装着部材25は、短辺方向Sに関する脚部22の略全幅に亘るように脚部22の内側に下側から差し込まれている。第1装着部材25は、キャスタ14が装着される底壁部44と、短辺方向Sに関する底壁部44の中央部から凹状に窪んだ収納部43と、底壁部44の外側に設けられ脚部22の内側にきっちりと差し込まれる一対の差込壁45と、を有する。底壁部44は、キャスタ14の後述する取付板46の角部を差し込んで保持可能な袋状の固定部47を有する。固定部47に保持されたキャスタ14の取付板46は、ねじ止め等によって底壁部44に固定される。第1装着部34の収納部43の内側に、第1操作ユニット15の後述する第1シャフト36の軸部41が収納される。したがって、第1シャフト36の軸部41は、台車本体12の脚部22の厚み寸法Tの範囲内に配置される(
図14参照)。
【0029】
第2装着部材26は、第1装着部材25と略同様の構成を有する。第2装着部材26の収納部43に対して、第2操作ユニット16の後述する第2シャフト37の軸部41が収納される(
図3参照)。したがって、第2シャフト37の軸部41は、台車本体12の脚部22の厚み寸法の範囲内に配置される。
【0030】
図8、
図9に示すように、一対の近位部キャスタ14Aのそれぞれは、ローラ51と、台車11の進行方向に沿ってローラ51を回転(自転)させる回転軸52と、回転軸52を支持する支持部53と、台車本体12との取り付け部となる取付板46と、支持部53と取付板46との間に介在される旋回軸54と、旋回軸54の中央部を貫通するように設けられたロッド状の第1規制部55と、を有する。旋回軸54の頂面には、旋回軸54の中心から放射状に延びる複数の第1溝部56が設けられている。第1規制部55は、ローラ51の外周面に当接したりローラ51の外周面から分離したりするように、旋回軸54の内側で旋回軸54の軸方向に進退可能である。第1規制部55は、ロッド状をなしたブレーキ57と、ブレーキ57の上部近傍に設けられ複数の第1溝部56のいずれか2個に係合することが可能な一対の第1係合爪58と、ローラ51の外周面から分離する方向に向けてブレーキ57を付勢する第1弾性部材61と、一対の第1係合爪58を支持する第2弾性部材62と、を有する。第1弾性部材61は、例えば圧縮コイルバネで構成されており、ブレーキ57の周囲に配置されている。ブレーキ57は、長穴63を有し、この長穴63の内側に支持部に設けられた支持ピン64が通されるようになっている。ブレーキ57は、作用部42の駆動によって、支持ピン64にガイドされつつ上下方向に進退移動することができる。
【0031】
第2弾性部材62は、例えば板バネによって構成されている。一対の第1係合爪58は、作用部42から押圧されない状態で、第2弾性部材62の反発力によって第1溝部56から離間するようになっている。したがって、第1シャフト36の作用部42によって第1規制部55が押し下げられると、ブレーキ57がローラ51の外周面に当接してローラ51に対してブレーキを効かせるとともに、第1溝部56に対して第1係合爪58が係合して、旋回軸54を中心にローラ51が旋回することが規制される。したがって、第1規制部55は、ローラ51を規制(ブレーキおよび旋回軸54回りの旋回規制)した規制位置R1と、ローラ51の規制を解除した解除位置R2と、の間で移動可能である。
【0032】
図10、
図11に示すように、一対の遠位部キャスタ14Bのそれぞれは、ローラ51と、台車11の進行方向に沿ってローラ51を回転(自転)させる回転軸52と、回転軸52を支持する支持部53と、台車本体12との取り付け部となる取付板46と、支持部53と取付板46との間に介在される旋回軸54と、旋回軸54の中央部を貫通するように設けられたロッド状の第2規制部65と、を有する。旋回軸54の頂面には、旋回軸54の中心から一方向に向けて延びる第2溝部66が設けられている。第2規制部65は、旋回軸54の内側で旋回軸54の軸方向に進退可能である。第2規制部65は、ロッド状をなしたピストン67と、ピストン67の上部にピストン67と一体に設けられ第2溝部66に係合することが可能な第2係合爪68と、第2溝部66から第2係合爪68が分離する方向に向けてピストン67を付勢する第1弾性部材61と、を有する。第1弾性部材61は、例えば圧縮コイルバネで構成されており、ピストン67の周囲に配置されている。ピストン67は、長穴63を有し、この長穴63の内側に支持部53に設けられた支持ピン64が通されるようになっている。ピストン67は、第2操作ユニット16の第2シャフト37(作用部42)の駆動によって、支持ピン64にガイドされつつ上下方向に進退移動することができる。
【0033】
第2係合爪68は、作用部42から押圧されない状態で、第1弾性部材61の反発力によって第2溝部66から離間するようになっている。したがって、第2シャフト37の作用部42によって第2規制部65が押し下げられると、第2溝部66に対して第2係合爪68が係合して、旋回軸54を中心にローラ51が旋回することが規制される。これによって、台車11が直進方向(台車本体12の長手方向L)にのみ進退できるようにローラ51の角度が固定される。したがって、第2規制部65は、ローラ51を規制(旋回軸54回りの旋回規制)した規制位置R1と、ローラ51の規制を解除した解除位置R2と、の間で移動可能である。
【0034】
第1操作ユニット15は、例えば、近位部キャスタ14Aに対して規制を加えるために用いられる。
図12、
図13に示すように、第1操作ユニット15は、台車本体12の脚部22の下面(第1装着部材25の底壁部44)に対してねじ止め等で直接固定される固定フレーム71と、固定フレーム71に対してそれぞれ独立に回動可能に取り付けられる第1レバー31および第2レバー32と、第1レバー31によって回転操作される第1シャフト36(シャフト)と、第1シャフト36を回転可能に支持する一対の軸受72と、を有する。
【0035】
第1シャフト36は、例えばスチール等の金属材料によって一体のロッド状に形成されている。第1シャフト36は、キャスタ14から外れた位置で台車本体12に回転可能に取り付けられている。第1シャフト36は、棒材をその中間位置において、例えばプレス加工等によってクランク状に折り曲げることで形成されている。第1シャフト36は、直線的に延びた一対の軸部41と、一対の軸部41からクランク状に突出したクランク部48と、クランク部48の突出長さよりも小さい突出長さで突出するように一対の軸部41にそれぞれ設けられた一対の作用部42と、を有する。
図14、
図15に示すように、一対の軸部41は、脚部22の収納部43内に設置され、同じく収納部43内に設置された一対の軸受72によって回転可能に支持されている。一対の軸受72は、第1装着部材25の底壁部44に対してねじ止め等で固定される。
【0036】
図12、
図13に示すように、作用部42は、軸部41から小片状に突出している。作用部42は、軸部41に対する例えばつぶしかしめ加工等によって軸部41と一体に形成することができる。
図14等に示すように、軸部41から作用部42が突出する方向は、軸部41からクランク部48が突出する方向とは異なっている。作用部42は、第1規制部55の上端に当接したり第1規制部55の上端から分離したり可能である。
【0037】
第1レバー31は、例えばスチール等の金属材料によって形成されている。
図12~
図14に示すように、第1レバー31は、固定フレーム71の後端に固定された第1回動軸73と、第1回動軸73を中心に回動可能な第1レバー本体74と、第1レバー本体74の第1回動軸73とは反対側に設けられた第1操作部75と、第1レバー本体74の第1回動軸73と第1操作部75との間の位置に設けられた係合部76と、第1レバー本体74の一対の張出部82間に渡されるように設けられた1以上のピン77と、第1回動軸73の周囲を取り囲むように設けられた第1付勢部材78と、を有する。第1レバー31は、第2レバー32の周囲を覆う(取り囲む)ような位置関係で設けられている。第1レバー31は、固定フレーム71を介して台車本体12に対して回動可能に取り付けられている。ピン77の1つは、第2レバー32と係合可能である。
【0038】
第1レバー本体74は、断面「C」字状に形成されており、横方向に延びたベース部81と、短辺方向Sに関するベース部81の両端部から下方に延びた一対の張出部82と、を有する。第1操作部75は、横方向に延びる第1レバー本体74の端部から、上方に向けて延びるように設けられている。このため、第1操作部75は、横方向に突出することが防止され、利用者に足等に第1操作部75が刺さってしまう不具合を生じることが防止されている。なお、第1操作部75は、第1レバー本体74と略平行に形成されていてもよい。
【0039】
第1付勢部材78は、例えばねじりコイルバネで構成されている。第1付勢部材78は、第1レバー本体74を付勢してこれを上方(第1位置P1)に向けて回動させるように、固定フレーム71と第1レバー本体74との間に渡されている。
【0040】
係合部76は、例えば一対の張出部82のそれぞれに形成された一対の長穴として形成されている。係合部76を構成する長穴のそれぞれは、第1回動軸73と第1操作部75とを結ぶ方向に沿って細長く延びている。この場合、「第1回動軸73と第1操作部75とを結ぶ方向に沿っている」状態とは、第1回動軸73と第1操作部75とを結ぶ方向と平行であるか、或いは第1回動軸73と第1操作部75とを結ぶ方向に対して若干角度がずれた状態、或いは長手方向Lの後側に行くにつれて第1回動軸73に近づくように第1回動軸73と第1操作部75とを結ぶ方向に対して若干斜めになった状態、を意味する。係合部76は、クランク部48と係合可能であり、その内側で第1シャフト36のクランク部48をスライド可能に保持することができる。
【0041】
第2レバー32は、例えばスチール等の金属材料によって形成されている。
図12~
図14に示すように、第2レバー32は、固定フレーム71の後側であって第1回動軸73よりも前側に固定された第2回動軸83と、第2回動軸83を中心に回動可能な第2レバー本体84と、第2レバー本体84の第2回動軸83とは反対側に設けられた第2操作部85と、短辺方向Sにおける第2レバー本体84の両端部から下方向に向けて延びる一対の腕部86と、一対の腕部86の先端部にそれぞれ設けられた一対の保持部88と、第2回動軸83の周囲を取り囲むように設けられた第2付勢部材87と、を有する。一対の保持部88は、一対の腕部86を介して第2回動軸83から突出するように設けられている。第2レバー32は、固定フレーム71を介して台車本体12に対して回動可能に取り付けられている。
【0042】
第2レバー本体84は、横方向に延びている。第2操作部85は、横方向に延びる第2レバー本体84の端部から上方に向けて延びるように設けられている。第2操作部85は、第2レバー本体84と略平行に形成されていてもよい。一対の腕部86は、第1レバー31のピン77の1個と係合することができる。このため、第2レバー32は、ピン77と一対の腕部86との係合によって、回動する第1レバー31に対して連れ回りすることができる。
【0043】
一対の保持部88のそれぞれは、ピン77の外形に倣うように腕部86の先端部から窪むように形成されている。一対の保持部88は、ピン77を受容してこれを係止可能である。
【0044】
第2操作部85は、第2レバー32が初期位置Q1にあるときに、台車本体12の端面12Aに沿うように端面12Aの近傍に設けられている。このため、利用者が第1レバー31を操作する際に、誤って第2レバー32を一緒に操作して、ブレーキ57が作動しなくなるような不具合を生じることを防止される。
【0045】
第2付勢部材87は、例えばねじりコイルバネで構成されている。第2付勢部材87は、第2レバー本体84を付勢してこれを上方(初期位置Q1)に向けて回動させるように、固定フレーム71と第2レバー本体84との間に渡されている。
【0046】
続いて、
図8、
図9、
図12~
図16を参照して、第1操作ユニット15による近位部キャスタ14Aに対する規制動作について説明する。なお、
図14~
図16では、図の簡略化のため、第1規制部55等の図示を省略している。
【0047】
近位部キャスタ14Aに対してブレーキ57をかけたい場合には、利用者は、
図14に示す状態から、例えば足等によって第1レバー31を下方に踏み込むようにする。これによって、第1レバー31は、第1付勢部材78の付勢力に抗して、第1回動軸73を中心に、最初の位置である第1位置P1から、
図15に示すような下方に位置する第2位置P2まで回動する。第2レバー32の腕部86は、第1レバー31のピン77と係合しているため、第2レバー32は、第1レバー31の回動に伴い、初期位置Q1から所定角度連れ回りする。第2レバー32の初期位置Q1は、台車本体12(脚部22)の下面に沿った位置である。第2レバー32が初期位置Q1にあるときには、第2レバー32の第2操作部85は、台車本体12の端面12Aの近傍に配置されている。
【0048】
ピン77は、第1レバー31の第1回動軸73と第1操作部75との略中間位置か、それよりも第1回動軸73に近い位置にあるために、第2レバー32が連れ回りする所定角度は、第1レバー31の第1位置P1から第2位置P2までの回動角度よりも小さくなる。したがって、第2レバー32の
図14に示す初期位置Q1から
図15に示す保持位置Q2までの回転角度は、第1レバー31の第1位置P1から第2位置P2までの回転角度よりも小さい。
【0049】
第1レバー31が第2位置P2まで移動すると、
図15に示すようにピン77は、腕部86の先端部に位置する保持部88内に嵌って、保持部88に係止される。これによって、第2レバー32は、第1レバー31を第2位置P2に保持する保持位置Q2となる。第2レバー32が保持位置Q2にあるときには、第2レバー32がストッパーとして機能する。このため、この場合には、第1付勢部材78による戻り方向への付勢力によって、第1レバー31が第2位置P2から第1位置P1まで戻されることがない。
【0050】
第1レバー31が第1位置P1から第2位置P2に移動されると、係合部76内を第1シャフト36のクランク部48が移動する。すなわち、クランク部48は、第1レバー31が第1位置P1にあるときに、係合部76内の第1操作部75に近い端部に保持され、第1レバー31が第2位置P2に至る途中で徐々に係合部76内の第1回動軸73に近い端部に近づくように移動し、最終的に第1レバー31が第2位置P2に至ったときに係合部76内の第1回動軸73に近い端部にまで移動する。
【0051】
このようにクランク部48が係合部76内で移動することで、第1シャフト36の軸部41が
図15に示す第1方向D1に回転する。これによって、一対の作用部42が下方に向けて回動し、一対の近位部キャスタ14Aの第1規制部55(ブレーキ57)を下方に向けて押し込む。このとき、クランク部48は、係合部76内を移動して係合部76内の第1回動軸73側の端部に徐々に近づく。したがって、力点である第1操作部75に対して、作用点であるクランク部48が第1回動軸73の近傍に近づくようになる。このため、てこの原理が働いて第1シャフト36の作用部42が第1規制部55を下方に押し込む力は、第1レバー31が第2位置P2に近づくにつれて増大する。また、第1シャフト36は、クランク部48の突出長さに対して作用部42の突出長さが小さくなるように形成されており、クランク部48に対して作用部42がてこの関係になっている。このように作用部42において2重にてこの原理が働いて、
図8、
図9に示すように、第1規制部55を解除位置R2から規制位置R1に移動させ、ブレーキ57が十分に大きな力でローラ51に押し付けられ、ローラ51に対して十分なブレーキ力を発生される。また、十分に大きな力によって第1溝部56に対して第1係合爪58が係合するために、旋回軸54を中心とするローラ51の旋回も確実に規制される。
【0052】
利用者がローラ51に対するブレーキを解除したい場合には、利用者は、足等によって第2レバー32を下方に押し下げるようにする。その際、
図15に示すように、第2レバー32は、保持位置Q2にあり、第2位置P2にある第1レバー31よりも上方に突出しており、且つ、台車本体12(脚部22)の下面からは離間した位置にある。このため、利用者は、第2レバー32を足等で押し下げやすい。
【0053】
利用者が第2レバー32を足等で押し下げると、第2付勢部材87の付勢力に抗して、第2レバー32が回動して、
図15に示す初期位置Q1から所定角度回動した保持位置Q2から、所定角度を超えて
図16に示す分離位置Q3まで移動する。これによって、第2レバー32(保持部88)によるピン77の係止が解除され、第1付勢部材78の作用によって第1レバー31は第1位置P1に戻される。これによって、係合部76内で第1シャフト36のクランク部48が第1操作部75に近づくように移動され、第1シャフト36の軸部41が
図16に示す第2方向D2に回転する。これによって、一対の作用部42が上方に向けて回動し、一対の近位部キャスタ14Aの第1規制部55(ブレーキ57)への押し込みが解除され、第1弾性部材61および第2弾性部材62の作用によってブレーキ57および第1係合爪58が上方に移動する。これによって、近位部キャスタ14Aに対する規制(ブレーキおよび旋回規制)が解除される。同様に、利用者が第2レバー32から足を離すことで、第2付勢部材87の作用によって第2レバー32は初期位置Q1に戻される。
【0054】
なお、第1操作ユニット15の機能はこれに限られるものではない。例えば、近位部キャスタ14Aの構成を遠位部キャスタ14Bと同様にすることで、第1操作ユニット15は、近位部キャスタ14Aに対しても、台車11の進退方向を直進方向に制限する規制を行ったり、その規制を解除したりすることもできる。このように第1操作ユニット15の発揮する機能は、台車11の仕様によって適宜に選択することができる。
【0055】
続いて、
図4、
図5、
図17~
図19を参照して、第2操作ユニット16について説明する。第2操作ユニット16は、その直下にある一対の近位部キャスタ14Aではなく、第2操作ユニット16から離間した位置の一対の遠位部キャスタ14Bに対して、種々の規制を加えることができる。
【0056】
図4、
図5、
図17~
図19に示すように、第2操作ユニット16は、近位部キャスタ14Aの上部にある脚部22の上面に固定された支持本体91と、支持本体91に対して回動可能に取り付けられた第3レバー93および第4レバー94と、第3レバー93を初期位置に戻すように付勢する第3付勢部材95と、第4レバー94を初期位置に戻すように付勢する第4付勢部材96と、第3レバー93に接続された金属製の図示しないワイヤと、図示しない滑車を介してワイヤに接続され且つ遠位部キャスタ14Bの上部にある脚部22の収納部43内に収納された第2シャフト37(シャフト、
図3参照)と、第2シャフト37を回転可能に支持する図示しない第2軸受と、を有する。第2シャフト37は、第1シャフト36と同一の構成を有する。第2シャフト37は、キャスタ14から外れた位置で台車本体12に回転可能に取り付けられている。第2シャフト37の作用部42は、第2規制部65の上端に当接したり第2規制部65の上端から分離したり可能である。
【0057】
ワイヤは、例えば、フレーム部材21の内部に通されている。ワイヤは、第2シャフト37のクランク部48に対して接続されている。第2軸受は、軸受72と同様の構成を有し、第2装着部材26の収納部43に設けられている。第2シャフト37は、例えば、ねじりコイルバネ等の付勢具によって付勢されている。
【0058】
第3付勢部材95および第4付勢部材96のそれぞれは、例えばねじりコイルバネで構成されている。第3付勢部材95は、第3レバー93が初期位置を維持するように第3レバー93を付勢している。第4付勢部材96は、第4レバー94が初期位置を維持するように第4レバー94を付勢している。
【0059】
第3レバー93は、第4レバー94から係止を受けるための係止ピン101を有する。第4レバー94は、係止ピン101を係止するための凹部102を有する。
【0060】
続いて、
図10、
図11、
図17~
図19を参照して、第2操作ユニット16による遠位部キャスタ14Bに対する規制動作について説明する。利用者が、
図17に示す位置にある第3レバー93を足等で押し下げると、第3付勢部材95の付勢力に抗して、その回動軸を中心に第3レバー93が回動する。
図18に示すように、第3レバー93が所定の角度まで回動すると、第3レバー93の係止ピン101が第4レバー94の凹部102内に嵌って、凹部102に対して係止される。これによって、利用者が意図しないときに、第3レバー93が押し下げ位置から元の位置に戻ることが規制される。第3レバー93の押し下げ位置への回動に伴い、ワイヤが緩められる。ワイヤの緩めにより、付勢具の付勢力によって第2シャフト37のクランク部48が回転され、第2シャフト37が初期位置から回転される。第2シャフト37が回転することで、
図10、
図11に示すように、第2シャフト37の作用部42が遠位部キャスタ14Bの第2規制部65を解除位置R2から規制位置R1に移動させる。これによって、第2溝部66に対して第2係合爪68が嵌って、遠位部キャスタ14Bの向きを直進方向に規制して、台車11が直進方向にのみ進退できるようにする。
【0061】
図19に示すように、利用者が足等で第4レバー94を押し下げると、その回動軸を中心に第4付勢部材96の付勢力に抗して第4レバー94が回動する。これによって、第4レバー94の凹部102に対する係止ピン101の係止が解除され、第3付勢部材95の作用で第3レバー93が元の位置に戻される。これによって、ワイヤが牽引され、付勢具の付勢力に抗して第2シャフト37が初期位置に戻るように回転される。これによって、作用部42による第2規制部65に対する押し下げが解除され、第2溝部66に対する第2係合爪68の係合が解除される。これによって、台車11の進行方向を直進のみ状態から解放することができる。
【0062】
以上のような動作によって、第2操作ユニット16は、押し込み動作とそれの解除動作によって、例えば、一対の遠位部キャスタ14Bに対して、ローラ51の角度を直進方向に固定したり、当該直進方向への固定を解除したりできる。また、第2操作ユニット16の機能はこれに限られるものではない。例えば、遠位部キャスタ14Bの構成を近位部キャスタ14Aと同様にすることで、第2操作ユニット16は、遠位部キャスタ14Bに対しても、ブレーキおよび回転規制を行ったり、そのブレーキおよび回転規制を解除したりすることもできる。このように第2操作ユニット16の発揮する機能は、台車11の仕様によって適宜に選択することができる。
【0063】
本実施形態によれば以下のことがいえる。台車11は、台車本体12と、台車本体12に取り付けられるとともに、回転可能なローラ51と、ローラ51を規制した規制位置R1とローラの規制を解除した解除位置R2との間で移動可能な規制部と、を有するキャスタ14と、キャスタ14から外れた位置で台車本体12に回転可能に取り付けられたシャフトであって、軸部41と、軸部41からクランク状に突出したクランク部48と、軸部41にクランク部48の突出長さよりも小さい突出長さで突出するように設けられ、前記規制部に当接したり前記規制部から分離したり可能な作用部42と、を有するシャフトと、台車本体12に沿った第1位置P1と、台車本体12から離間した第2位置P2と、の間で台車本体12に対して回動可能に取り付けられる第1レバー31であって、クランク部48と係合されるとともに第1位置P1から第2位置P2の移動によりシャフトを第1方向D1に回転させ、回動する作用部42によって規制部を解除位置R2から規制位置R1に移動させることが可能な第1レバー31と、第1レバー31と係合して第1レバー31を第2位置P2に保持する保持位置Q2と、第1レバー31との係合を解除して第1レバー31を第1位置P1に戻すとともにシャフトを第1方向D1とは反対の第2方向D2に回転させ、作用部42を前記規制部から分離させ前記規制部を規制位置R1から解除位置R2に移動させる分離位置Q3と、の間で回動可能に台車本体12に取り付けられる第2レバー32と、を備える。
【0064】
この構成によれば、キャスタ14とシャフトとを物理的に分離した構造にすることができる。これによって、例えば、キャスタ14に不具合を生じてキャスタ14を交換する必要がある場合に、キャスタ14のみを取り外すことができる。このため、キャスタ14の交換に際し、台車本体12からシャフト、第1レバー31、および第2レバー32を取り外す必要がなくなり、交換・修理の作業を著しく簡略化できる。また、クランク状をなしたクランク部48に対して第1レバー31によって回転操作を加えるようにしているために、クランク部48よりも突出長さが小さい作用部42において、てこの原理により大きな回転力を発生させることができる。これによって、規制部において十分な規制力を発生できる。
【0065】
台車本体12は、軸部41を収納可能な収納部43を有し、軸部41は、台車本体12の厚み寸法の範囲内に配置される。この構成によれば、台車本体12の高さ寸法を低減して、スッキリとした体裁の台車11を実現できる。
【0066】
第1レバー31および第2レバー32は、台車本体12の下面に設けられる。
【0067】
この構成によれば、第1レバー31および第2レバー32を利用者から見えにくい位置に配置することができる。これによって、スッキリとした体裁の台車11を実現できる。また、第1レバー31および第2レバー32を台車本体12の下面に配置することで、台車本体12に対する第1レバー31および第2レバー32の重ね代を大きく取ることができ、結果的に第1レバー31および第2レバー32が台車本体12から突出する長さを短く設定することができる。これによって、第1レバー31および第2レバー32が利用者の足等に引っ掛かることがなくなり、使い勝手の良好な台車11を実現できる。
【0068】
第1レバー31は、第1回動軸73と、第1回動軸73とは反対側に設けられた第1操作部75と、第1回動軸73と第1操作部75との間の位置で第1レバー本体74に設けられ且つクランク部48と係合可能な係合部76と、を有する。
【0069】
この構成によれば、力点である第1操作部75に対して、作用点である係合部76を第1回転軸52の近くに配置することができる。これによって、てこの原理を利用して、利用者による第1操作部75に対する比較的に小さな操作力を用いて、規制部を規制位置R1に保持するために十分に大きさ作動力を作用部42において確保することができる。これによって、規制部に対する十分な押し込み力を発生することができ、ローラ51に対して確実な規制を効かせることができる。
【0070】
係合部は、第1回動軸73と第1操作部75とを結ぶ方向に沿って細長く延びて、その内側でクランク部48をスライド可能に保持する。
【0071】
この構成によれば、第1レバー31が台車本体12に沿った第1位置P1から、台車本体12から離間した第2位置P2に移動する際に、係合部76内でクランク部48を第1回動軸73に近づけるように移動させることができる。これによって、てこの原理を利用して、第1レバー31が第1位置P1から第2位置P2に近づくにつれて、作用部で発生させる力を徐々に増大させることができる。これによって、第2位置P2付近にあるときに最も大きな力が作用部42で発生するようにすることができる。このため、規制部に対する十分な押し込み力を発生することができ、ローラ51に対する確実な規制を行うことができる。
【0072】
前記規制は、ローラ51の進行方向への回転の規制である。この構成によれば、ローラ51に対してブレーキ力を発生させることができる。
【0073】
前記規制は、キャスタ14の旋回軸54回りにローラ51が旋回しないようにする規制である。この構成によれば、例えば、キャスタ14を台車11の直進方向に固定するなど、特定の方向にのみ台車11を進行させるようにすることができる。
【0074】
第2レバー32は、初期位置Q1にあるときに台車本体12に沿った位置に配置される。この構成によれば、初期位置Q1にある第2レバー32を利用者によって操作され難い位置に配置できる。このため、利用者が誤って第1レバー31とともに第2レバー32をも操作し、規制部が作動しなくなるような不具合を生じることを極力防止できる。
【0075】
第2レバー32は、第2回動軸83とは反対側に設けられた第2操作部85であって、初期位置Q1にあり横方向に延びる第2レバー本体84に対して上方向に延び且つ台車本体12に端面12Aの近傍に設けられた第2操作部85を有する。
【0076】
この構成によれば、初期位置Q1において第2操作部85を台車本体12の端面12Aの近傍に配置することができ、第2レバー32を操作し難い位置に配置することができる。これによって、利用者が第1レバー31を操作する際に、誤って第2レバー32を一緒に操作し、規制部が作動しなくなるような不具合を生じることを防止できる。また、保持位置Q2にある第2レバー32を靴で踏んで操作する際に、靴の溝に対して第2操作部85が引っ掛かり易くなり、第2レバー32の操作性を良好にすることができる。
【0077】
第1位置P1にある第1レバー31は、初期位置Q1にある第2レバー32を覆うように配置される。この構成によれば、初期位置Q1にある第2レバー32が利用者によって操作され難い位置に配置されるため、利用者が誤って第1レバー31とともに第2レバー32をも操作してしまうような不具合を生じることを極力防止できる。
【0078】
第1レバー31は、第1回動軸73とは反対側に設けられた第1操作部75であって、第1位置P1にあり横方向に延びる第1レバー本体74に対して上方向に延びた第1操作部75を有する。
【0079】
この構成によれば、台車11を利用している利用者の足に対して第1レバー31の第1操作部75が突き刺さるような不具合を生じることを防止できる。また、第1レバー31を靴で踏んで操作する際に、靴の溝に対して第1操作部75が引っ掛かり易くなり、第1レバー31の操作性を良好にすることができる。
【0080】
台車本体12は、台車本体12の長手方向Lと交差する短辺方向Sに延び且つ下側に開口した箱状をなした脚部22と、短辺方向Sに関する脚部22の略全幅に亘るように脚部22の内側に下側から差し込まれる装着部材であって、キャスタ14が装着される底壁部44と、底壁部44から凹状に窪んだ収納部43と、を有する装着部材と、を備える。
【0081】
この構成によれば、脚部22の略全幅に亘るように装着部材が装着されるために、脚部22の剛性を向上することができ、脚部22において台車11が撓んでしまう不具合を防止できる。また、1個の装着部材を脚部22に取り付けるようにしているため、キャスタ14毎に複数の装着部材を装着する場合に比して、台車11の組み立て作業を簡略化することができる。さらに、凹状の収納部43と底壁部44によって、装着部材の断面を略ハット状にすることができ、脚部22の強度をより一層向上することができる。
【0082】
第1レバー31は、第1レバー本体74と、第1レバー本体74の回動中心となる第1回動軸73と、第1レバー本体74に設けられ第2レバー32に係合可能なピン77と、第1レバー本体74を第2位置P2から第1位置P1に向けて付勢する第1付勢部材78と、を有し、第2レバー32は、第1回動軸73の近傍に設けられ回動中心となる第2回動軸83と、第2回動軸83から突出するように設けられピン77を係止して第1レバー本体74が第2位置P2から第1位置P1に戻ることを阻止可能な保持部88と、を有するとともに、第1レバー本体74の第1位置P1から第2位置P2への移動に伴いピン77によって第1レバー31に対して連れ回り可能であり、第1レバー本体74の第1位置P1から第2位置P2までの回転角度よりも小さい所定角度を初期位置Q1から回転した位置で第1レバー31に対する連れ回りを停止し保持部88に対してピン77を係止した保持位置Q2となり、保持位置Q2にある状態から前記所定角度を超えるように回動されることで保持部88に対するピン77の係止が解除された分離位置Q3となり、第1付勢部材78によって第1レバー本体74が第2位置P2から第1位置P1に戻される。
【0083】
この構成によれば、第2レバー32が初期位置Q1から回転した所定角度が第1レバー本体74の第1位置P1から第2位置P2までの回転角度よりも小さいために、第2位置P2にある第1レバー31に対して、保持位置Q2にある第2レバー32を離間した位置に配置することができる。これによって、第2位置P2にある第1レバー31に対して保持位置Q2にある第2レバー32が浮かび上がったような位置関係にすることができ、利用者が第2レバー32を操作しやすい位置関係にすることできる。
【0084】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。すなわち、一対の近位部キャスタ14Aと一対の遠位部キャスタ14Bとの位置を入れ替えるようにしても当然によいし、4輪すべてのキャスタ14を近位部キャスタ14A又は遠位部キャスタ14Bとしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
11 台車
12 台車本体
12A 端面
14 キャスタ
14A 近位部キャスタ
14B 遠位部キャスタ
22 脚部
25 第1装着部材
26 第2装着部材
31 第1レバー
32 第2レバー
36 第1シャフト
37 第2シャフト
41 軸部
42 作用部
43 収納部
44 底壁部
45 差込壁
48 クランク部
51 ローラ
55 第1規制部
65 第2規制部
73 第1回動軸
74 第1レバー本体
75 第1操作部
76 係合部
77 ピン
78 第1付勢部材
81 ベース部
83 第2回動軸
85 第2操作部
88 保持部
L 長手方向
S 短辺方向
P1 第1位置
P2 第2位置
Q1 初期位置
Q2 保持位置
Q3 分離位置
R1 規制位置
R2 解除位置
D1 第1方向
D2 第2方向