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特開2023-6486回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置
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  • 特開-回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置 図1
  • 特開-回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置 図2
  • 特開-回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006486
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20230111BHJP
   B25J 19/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01D5/245 110A
B25J19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109110
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浪越 孝宏
【テーマコード(参考)】
2F077
3C707
【Fターム(参考)】
2F077AA43
2F077DD03
2F077JJ01
2F077JJ24
2F077VV02
3C707BS10
3C707KS21
3C707KV04
3C707KW07
3C707MT03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】湾曲体と、移動体と、を備える回転位置検出器を提供する。
【解決手段】湾曲体21は、基体に対して回転軸を中心として相対的に回転可能な回転体に固定され、回転軸を中心にして周方向に延びる。移動体22は、湾曲体21に沿って移動可能である。湾曲体上21における移動体22の位置から回転体の回転位置を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に対して回転軸を中心として相対的に回転可能な回転体の回転位置を検出する回転位置検出器であって、
前記回転体に固定され、前記回転軸を中心にして周方向に延びる湾曲体と、
前記湾曲体に沿って移動可能な移動体と、を備え、
前記湾曲体上における前記移動体の位置に基づいて前記回転体の回転位置を検出する、回転位置検出器。
【請求項2】
前記湾曲体が、管体であり、
前記移動体が、球体であり、前記湾曲体の内部を転がる、請求項1に記載の回転位置検出器。
【請求項3】
前記湾曲体が、管体であり、内部に液状の充填材が充填され、
前記移動体が、前記充填材に対して浮動可能な浮動体である、請求項1に記載の回転位置検出器。
【請求項4】
前記基体に固定される磁石をさらに備え、
前記移動体が、前記磁石に吸着される、請求項1に記載の回転位置検出器。
【請求項5】
前記湾曲体が、前記回転軸を中心にして少なくとも1回転して螺旋状に延びる、請求項1~請求項4のいずれかに記載の回転位置検出器。
【請求項6】
前記湾曲体上における前記移動体の位置を検知する位置センサをさらに備える、請求項1~請求項5のいずれかに記載の回転位置検出器。
【請求項7】
前記湾曲体上の周方向の少なくとも一端に前記移動体の接触を検知する接触センサをさらに備える、請求項1~請求項6のいずれかに記載の回転位置検出器。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の回転位置検出器と、
前記回転体を有するロボットアームと、を備えるロボット装置。
【請求項9】
前記回転体が、360°以上回転可能である、請求項8のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転位置を検出する回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロボット装置は特許文献1に開示されている。このロボット装置は、リンク(回転体)に揺動可能に支持されているレバースイッチと、案内部材と、接触センサと、を有する。案内部材は、リンクが1回転する度にレバースイッチを揺動させる。接触センサは、レバースイッチの揺動位置を検知する。接触センサの検知結果に基づいてリンクの回転数を検出できる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-157332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示されたロボット装置によると、レバースイッチ及び案内部材が、リンク内部に組み込まれており、構造が複雑であり、部品点数が多く、製造コストが上がる可能性があった。
【0005】
本発明は、部品点数を減らして製造コストを下げるとともに、回転体の回転位置を容易に検出できる回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な回転位置検出器は、湾曲体と、移動体と、を備える。湾曲体は、基体に対して回転軸を中心として相対的に回転可能な回転体に固定され、回転軸を中心にして周方向に延びる。移動体は、湾曲体に沿って移動可能である。湾曲体上における移動体の位置に基づいて回転体の回転位置を検出する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、部品点数を減らして製造コストを下げるとともに、回転体の回転位置を容易に検出できる回転位置検出器及びそれを備えるロボット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係るロボット装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る回転位置検出器の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る回転位置検出器の斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、回転体11、12、13、14、15、16の回転軸J1、J2、J3、J4、J5、J6と平行な方向をそれぞれ「軸方向」、回転体11、12、13、14、15、16の回転軸J1、J2、J3、J4、J5、J6に直交する方向を「径方向」、回転体11、12、13、14、15、16の回転軸J1、J2、J3、J4、J5、J6を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。また、本明細書では、回転軸J1の軸方向を上下方向とし、ベース部19に対して回転体11側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。なお、上下方向は単に説明のための用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0010】
(1.ロボット装置の構成)
本発明の例示的な一実施形態のロボット装置について説明する。図1は第1実施形態に係るロボット装置1の斜視図である。
【0011】
ロボット装置1は、ロボットアーム10と、回転位置検出器20、30と、を備える。ロボットアーム10は、作業台に固定されるベース部19と、変位や力を伝達する複数の回転体11、12、13、14、15、16と、腕部17と、を備える。回転体11、12、13、14、15、16は、360°以上回転する。
【0012】
回転体11は、ベース部19に対して相対的に回転可能に連結され、鉛直な回転軸J1を中心として回転する。回転体12は、回転体11に対して相対的に回転可能に連結され、水平な回転軸J2を中心として回転する。回転体12は、円柱状の腕部17の一端に固定され、腕部17の他端には回転体13が連結される。腕部17は、回転軸J2の径方向に延びる。
【0013】
回転体13は、腕部17に対して相対的に回転可能に連結され、回転軸J2に平行な回転軸J3を中心として回転する。回転体14は、回転体13に対して相対的に回転可能に連結され、回転軸J3に垂直な回転軸J4を中心として回転する。回転体15は、回転体14に対して相対的に回転可能に連結され、回転軸J4に垂直な回転軸J5を中心として回転する。回転体16は、回転体15に対して相対的に回転可能に連結され、回転軸J5に垂直な回転軸J6を中心として回転する。回転体16は、例えば、先端部にワークを把持する把持部(不図示)を設けることにより、ワークの組付け作業等を行うことができる。
【0014】
回転位置検出器20は、すべての方向に延びる回転軸を中心として回転する回転体の回転位置を検出可能であり、本実施形態では、回転体14に装着される。回転位置検出器30は、水平方向に延びる回転軸を中心として回転する回転体の回転位置を検出可能であり、本実施形態では、回転体12に装着される。
【0015】
(2.回転位置検出器の構成)
図2は、回転位置検出器20の斜視図あり、回転体13及び回転体14を破線で示す。回転位置検出器20は、回転体14の回転位置を検出できる。
【0016】
回転位置検出器20は、湾曲体21と、移動体22と、磁石23と、接触センサ24a、24bと、を有する。湾曲体21は、回転体14に固定され、回転軸J4を中心にして周方向に延びる。本実施形態では、湾曲体21は、内側に回転体14が挿入される。上述したように、回転体14は、回転体(基体)13に対して回転軸J4を中心として相対的に回転可能である。湾曲体21は、回転軸J4を中心にして少なくとも1回転して螺旋状に延びる透明な管体である。本実施形態では、湾曲体21は、回転軸J4を中心にして2回転して螺旋状に延びる。
【0017】
磁石23は、回転体(基体)13に固定され、湾曲体21と回転軸J4の軸方向に隣接して配置される。
【0018】
移動体22は、湾曲体21に沿って移動可能である。本実施形態では、移動体22は、球体の磁性体であり、湾曲体21の内部に配置される。移動体22は、磁石23に吸着されている。なお、移動体22は、球体以外の形状でもよい。
【0019】
接触センサ24a、24bは、移動体22の接触を検知する。接触センサ24aは、湾曲体21の周方向の一端に配置され、接触センサ24bは、湾曲体21の周方向の他端に配置される。すなわち、回転位置検出器20は、湾曲体21上の周方向の少なくとも一端に移動体22の接触を検知する接触センサ24a、24bを備える。なお、本実施形態では、接触センサ24a、24bを設けたが、接触センサ24a、24bの両方を省いてもよい。
【0020】
例えば、回転体14が、基準となる回転位置にある状態において、移動体22を接触センサ24aに接触させる。回転体14が、正転方向X1に回転したとき、湾曲体21は、回転体14と一緒に回転する。一方、移動体22は、磁石23に吸着されており、回転せずに湾曲体21上を摺動する。ロボット装置1の使用者は、目視により、湾曲体21上における移動体22の位置から回転体14の回転位置を検出できる。従って、部品点数を減らして製造コストを下げるとともに、回転体14の回転位置を容易に検出できる回転位置検出器20を提供できる。これにより、回転体14を一方向に回転させ過ぎて、回転体14に接続されるケーブルが、過剰にねじれ、ロボットアーム10に不具合が生じることを防止できる。
【0021】
また、回転体14が、基準となる回転位置から正転方向X1に2回転を超えて回転したとき、移動体22は、接触センサ24bに接触する。これにより、使用者は、目視に頼らず、回転体14が一方向に回転し過ぎていることを容易に検出することができる。
【0022】
なお、湾曲体21上における移動体22の位置を検知する位置センサ(不図示)をさらに設けてもよい。これにより、使用者は、目視に頼らず、回転体14の回転位置を検出することができる。位置センサは、例えば湾曲体21の撮影画像によって移動体22の位置を検出するように構成してもよい。
【0023】
(3.回転位置検出器の構成)
図3は、回転位置検出器30の斜視図であり、回転体12を破線で示す。説明の便宜上、前述の図2に示す回転位置検出器20と同様の部分には同一の符号を付す。回転位置検出器30は、磁石23が設けられていない点が回転位置検出器20とは異なる。回転位置検出器30は、回転体12に固定され、水平方向に延びる回転軸J2を中心にして回転体11(基体)に対して回転する回転体12の回転位置を検出できる。
【0024】
回転位置検出器30は、湾曲体21と、移動体32と、接触センサ24a、24bと、を有する。湾曲体21は、回転体12に固定され、回転軸J2を中心にして周方向に延びる。本実施形態では、湾曲体21の内側に回転体12が挿入される。
【0025】
移動体32は、球体であり、湾曲体21の内部を転がる。回転体12が、正転方向X1に回転したとき、湾曲体21は、回転体12と一緒に回転する。一方、移動体32は、重力により湾曲体21の最下位値に留まり、湾曲体21内を転がる。これにより、湾曲体21上における移動体22の位置から回転体12の回転位置を検出できる。
【0026】
なお、湾曲体21を、内部に液状の充填材が充填された管体で構成し、移動体32を充填材に浮動可能な浮動体で構成してもよい。浮動体としては、例えば、樹脂成形品や空気が挙げられる。回転体12が、正転方向X1に回転したとき、移動体32は、浮力により湾曲体21の最上位値に留まる。これにより、湾曲体21上における移動体22の位置から回転体12の回転位置を検出できる。さらに、湾曲体21の内部に液状の充填材を充填することで、回転体12の回転時に、移動体32が、急激に移動したり、回転体12への衝撃によって移動体32が、移動することを軽減できる。
【0027】
<4.その他>
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上記実施形態とその変形例は適宜任意に組み合わせることができる。
【0028】
例えば、上記実施形態では、湾曲体21は、回転軸J4を中心にして2回転して螺旋状に延びるが、1回転の螺旋状又は3回転以上の螺旋状に形成されてもよい。また、湾曲体21は、螺旋状以外に環状又は円弧状でもよい。
【0029】
また、湾曲体21を管状に形成し、移動体22、32を湾曲体21の内部に配置したが、湾曲体21をレール状に形成し、移動体22、32を湾曲体21に沿って移動可能なベアリングで構成してもよい。
【0030】
また、本実施形態では、ロボット装置1は、6軸のロボットアーム10に回転位置検出器20、30を2箇所設けたが、回転体の数は6個に限定されない。また、回転位置検出器20又は回転位置検出器30を3箇所以上又は1箇所のみ設けてもよい。
【0031】
また、回転位置検出器30は、水平方向に延びる回転軸J2を中心にして回転する回転体12に装着したが、水平方向以外の方向に延びる回転軸を中心にして回転する回転体13、14、15、16に装着してもよい。この場合も同様に移動体22が鉛直方向の最下位置に配される。これにより、移動体22の位置から回転体15の回転位置を検出できる。
【0032】
また、本実施形態では、湾曲体21の内側に、回転体12又は回転体14が挿入されているが、湾曲体21を、回転体12、14の軸方向外面に接触させて固定してもよい。これにより、回転位置検出器20又は回転位置検出器30を既存のロボットアーム10に外付けできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によると、回転体を有するロボットアームに利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ロボット装置
10 ロボットアーム
11、12、13、14、15、16 回転体
17 腕部
19 ベース部
20、30 回転位置検出器
21 湾曲体
22、32 移動体
23 磁石
24a、24b 接触センサ
J1、J2、J3、J4、J5、J6 回転軸
X1 正転方向
図1
図2
図3