IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ケース及び光学ユニット 図1
  • 特開-ケース及び光学ユニット 図2
  • 特開-ケース及び光学ユニット 図3
  • 特開-ケース及び光学ユニット 図4
  • 特開-ケース及び光学ユニット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006489
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ケース及び光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230111BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230111BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230111BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230111BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
G03B17/56 A
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109114
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB11
2H105AA52
2H105AA53
2K005AA01
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA14
2K005CA24
2K005CA45
2K005CA53
5C122EA55
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】光学モジュールが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動可能に保持するケースを簡略化及び低コスト化する。
【解決手段】光学モジュール200が取り付けられる可動体110と、固定体140と、を備え、可動体110を固定体140に対して揺動可能に保持するケース100であって、可動体110には、可動体110を固定体140に対して揺動するための駆動機構を構成する磁石111が複数設けられ、固定体140には、駆動機構としてのコイル161が磁石111と対向する位置の各々に設けられ、コイル161に通電するフレキシブル配線基板160が、コイル161の各々に対応して1つずつ設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールが取り付けられる可動体と、固定体と、を備え、前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に保持するケースであって、
前記可動体には、前記可動体を前記固定体に対して揺動するための駆動機構を構成する磁石が複数設けられ、
前記固定体には、前記駆動機構としてのコイルが前記磁石と対向する位置の各々に設けられ、
前記コイルに通電するフレキシブル配線基板が、前記コイルの各々に対応して1つずつ設けられていることを特徴とするケース。
【請求項2】
請求項1に記載のケースにおいて、
各々の前記フレキシブル配線基板は、同形状であることを特徴とするケース。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケースにおいて、
前記駆動機構は、前記光学モジュールの軸線方向と直交するとともに互いに直交する軸線上に設けられていることを特徴とするケース。
【請求項4】
請求項3に記載のケースにおいて、
前記駆動機構は、前記光学モジュールの軸線方向と直交するとともに互いに直交する軸線上の1か所ずつにのみ設けられていることを特徴とするケース。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のケースにおいて、
各々の前記フレキシブル配線基板の間に、補強部材が設けられていることを特徴とするケース。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のケースと、光学モジュールと、を備えることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース及び光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを有する可動体と、該可動体を揺動可能に保持するケースと、を備える様々な光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、カメラモジュールを有する可動体と、該可動体を揺動可能に保持する固定体と、を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-86066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学モジュールを有する可動体を揺動可能に保持するケースにおいては、可動体を固定体に対して揺動するための駆動機構として、磁石とコイルとを有し該コイルがフレキシブル配線基板に接続された構成が一般的に使用されている。例えば、特許文献1の光学ユニットにおいては、2つの磁石と、1つのフレキシブル配線基板に設けられた2つのコイルと、を備える構成が開示されている。しかしながら、フレキシブル配線基板は、高コストであり、使用量(使用面積)を減らしたい。また、1つのフレキシブル配線基板に複数のコイルを設ける構成とすることで、フレキシブル配線基板の構造が複雑化する。そこで、本発明は、光学モジュールが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動可能に保持するケースを簡略化及び低コスト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のケースは、光学モジュールが取り付けられる可動体と、固定体と、を備え、前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に保持するケースであって、前記可動体には、前記可動体を前記固定体に対して揺動するための駆動機構を構成する磁石が複数設けられ、前記固定体には、前記駆動機構としてのコイルが前記磁石と対向する位置の各々に設けられ、前記コイルに通電するフレキシブル配線基板が、前記コイルの各々に対応して1つずつ設けられていることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、コイルに通電するフレキシブル配線基板がコイルの各々に対応して1つずつ設けられている。このため、コイルの各々に対応してフレキシブル配線基板を小型化することができ低コスト化することができる。また、フレキシブル配線基板の構造を簡略化することができることでケースの構成を簡略化することができる。
【0007】
本発明のケースにおいては、各々の前記フレキシブル配線基板を同形状とすることができる。このような構成とすることで、各々のフレキシブル配線基板を例えば1つの型で構成することができ、特にフレキシブル配線基板を低コスト化することができる。
【0008】
本発明のケースにおいては、前記駆動機構は、前記光学モジュールの軸線方向と直交するとともに互いに直交する軸線上に設けられる構成とすることができる。このような構成とすることで、例えばピッチング方向及びヨーイング方向を揺動軸として、或いは、ピッチング方向及びヨーイング方向に加えてローリング方向を揺動軸として、可動体を固定体に対して直交する少なくとも2軸を揺動軸として揺動することができる。
【0009】
本発明のケースにおいては、前記駆動機構は、前記光学モジュールの軸線方向と直交するとともに互いに直交する軸線上の1か所ずつにのみ設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、フレキシブル配線基板を増やしすぎることがないので特に低コスト化が可能になり、また、例えばピッチング方向及びヨーイング方向のみを揺動軸として可動体を固定体に対して揺動する構成とすることでローリング方向に支持する支持機構を設けない構成とすることができるので特にケースの構成を簡略化することができる。
【0010】
本発明のケースにおいては、各々の前記フレキシブル配線基板の間に、補強部材が設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、ケースの構成を複雑化させることなくケースの剛性を高くすることができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、上記ケースと、光学モジュールと、を備える構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニット全体を簡略化及び低コスト化することができる。
【発明の効果】
【0012】
光学モジュールが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動可能に保持する本発明のケースは、簡略化及び低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの平面図である。
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの分解斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットのケースの分解斜視図であって、図4とは異なる方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例に係る光学ユニット1及び該光学ユニットを構成するケース100について図1から図5を用いて説明する。各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。
【0015】
<光学ユニットの全体構成の概略>
最初に、本実施例に係る光学ユニット1の構成について図1を参照して概略を説明する。図1で表されるように、本実施例に係る光学ユニット1は、光学モジュール200とケース100とを備えている。光学モジュール200は、レンズ201や不図示の撮像素子などを備えるカメラモジュールである。本実施例に係る光学ユニット1では、従来の様々な構成の光学モジュール200を特に限定なく使用することができる。また、ケース100は、光学モジュール200を揺動可能に収容する収容枠110を備えている。そして、ケース100は、収容枠110に収容された光学モジュール200を、Y軸方向を揺動軸とする方向(ピッチング方向)と、X軸方向を揺動軸とする方向(ヨーイング方向)と、に変位可能に構成されている。
【0016】
<光学モジュール>
本実施例において、光学モジュール200は光軸方向に対応するZ軸方向から見て略矩形筐体状に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール200は、被写体側である+Z方向側にレンズ201を備え、矩形筐体状のハウジングの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学ユニット1は、一例として、光学モジュール200に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を揺動軸とする揺動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(X軸方向を揺動軸とする揺動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーター(駆動機構)を内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。なお、本実施例において、光学ユニット1は、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、この構成に限定はされず、例えば、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れのいずれか一方のみの補正が可能な構成でもよい。
【0017】
<ケース>
次に、本実施例に係る光学ユニット1の要部であるケース100の構成について図2から図5を参照して説明する。図2から図5で表されるように、ケース100は、固定枠120と、固定枠120に対して+Z方向側から取り付けられる前面側枠部130と、を有している。そして、固定枠120と前面側枠部130とで固定体140を形成している。また、ケース100は、可動体である収容枠110をピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する駆動機構としての磁石111及びコイル161と、固定体140に対して収容枠110をピッチング方向及びヨーイング方向に揺動可能に支持するジンバル機構150及び支持部170と、を備えている。
【0018】
<収容枠>
収容枠110は、光学モジュール200のレンズ201が設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例の収容枠110は、一例として光学モジュール200を着脱可能に構成されている。ただし、光学モジュール200と収容枠110とが一体的に構成されていてもよい。収容枠110において固定枠120と対向する2面を利用して、ピッチングの補正用の磁石111A及びヨーイングの補正用の磁石111Bがこれらの外面に取り付けられている。
【0019】
<固定枠>
固定枠120は、2か所にコイル取り付け部121を備え、コイル取り付け部121にコイル161が取り付けられている。詳細には、コイル取り付け部121のうちの磁石111Aと対向する位置であるコイル取り付け部121Aにコイル161Aが取り付けられ、コイル取り付け部121のうちの磁石111Bと対向する位置であるコイル取り付け部121Bにコイル161Bが取り付けられている。本実施例において、コイル161A及びコイル161Bは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。また、本実施例において、固定枠120は、光軸周り方向において収容枠110の少なくとも3面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材と、X軸方向に沿って外側に延設される部材と、から構成されている。
【0020】
なお、本実施例において、ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット1にピッチング方向とヨーイング方向の両方向又はいずれか一方向の振れが発生すると、ホール素子162によって振れを検出し、その結果に基づいてコイル161に通電する。なお、本実施例の光学ユニット1は、図4で表されるように、ホール素子162としてピッチング方向の振れ及びヨーイング方向の振れを検出するホール素子162A及びホール素子162Bを備えるが、このような構成に限定されない。例えば、ジャイロスコープなどを用いて、光学ユニット1の振れを検出してもよい。本実施例の光学ユニット1は、振れの検出結果に基づいて、コイル161がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット1の振れを打ち消す方向に収容枠110を動かすように各コイル161A及び161Bに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0021】
<支持部>
本実施例のケース100は、支持部170として、光軸方向から見て内側に突出するように球体171Aが取り付けられた支持部170Aと、光軸方向から見て内側に突出するように球体171Bが取り付けられた支持部170Bと、光軸方向から見て内側に突出するように球体171Cが取り付けられた支持部170Cと、光軸方向から見て内側に突出するように球体171Dが取り付けられた支持部170Dと、を有している。支持部170Aと支持部170Bとは固定枠120の矩形枠状の部材の4隅のうちの対向する2か所に配置され、支持部170Cと支持部170Dとは収容枠110の4隅のうちの対向する2か所に配置される。なお、固定枠120の矩形枠状の部材と矩形枠状の収容枠110とは4隅の位置が揃うように配置され、支持部170A、支持部170A、支持部170C及び支持部170Dは該4隅に1つずつ配置される。
【0022】
本実施例の支持部170のうちの支持部170A及び支持部170Bは、内側を向いた各々の球体171(球体171A及び球体171B)のさらに内側に、ジンバル機構150の脚部151(脚部151A及び脚部151B)に設けられた凹部152(凹部152A及び凹部152B)が配置される。支持部170は、このような構成で固定枠120に対してジンバル機構150を支持している。
【0023】
また、支持部170のうちの支持部170C及び支持部170Dは、内側を向いた各々の球体171(球体171C及び球体171D)のさらに内側に、ジンバル機構150の脚部151(脚部151C及び脚部151D)に設けられた凹部152(凹部152C及び凹部152D)が配置される。支持部170は、このような構成で収容枠110に対してジンバル機構150を支持している。
【0024】
すなわち、本実施例の支持部170は、光軸方向(Z軸方向)と交差する1または複数の方向(X軸方向及びY軸方向の少なくとも1方向)を回転軸方向として収容枠110を固定枠120に対して回転可能に支持可能な構成となっている。なお、本実施例の支持部170は、ピッチングの軸方向を揺動軸とする収容枠110の揺動及びヨーイングの軸方向を揺動軸とする収容枠110の揺動を許容する構成になっているが、収容枠110のローリング方向の揺動も許容する構成としてもよい。
【0025】
<ジンバル機構>
ジンバル機構150は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、ジンバル機構150は、一例として被写体側に設けられるジンバルフレーム部153と、ジンバルフレーム部153の四方のコーナー部から光軸方向に90°折り曲げられて形成される脚部151と、によって構成されている。さらに詳細には、脚部151として、凹部152Aを有し支持部170Aと対向する位置に配置される脚部151A、凹部152Bを有し支持部170Bと対向する位置に配置される脚部151B、凹部152Cを有し支持部170Cと対向する位置に配置される脚部151C、凹部152Dを有し支持部170Dと対向する位置に配置される脚部151D、を備えている。なお、各々の脚部151については、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。
【0026】
<駆動機構>
上記のように、本実施例のケース100は、駆動機構としての磁石111及びコイル161を備えている。そして、磁石111として磁石111Aと磁石111Bとを備え、磁石111Aと対向する位置にコイル161Aが配置され、磁石111Bと対向する位置にコイル161Bが配置されている。ここで、図4などで表されるように、コイル161はフレキシブル配線基板160に設けられている。
【0027】
<フレキシブル配線基板>
図4などで表されるように、本実施例のケース100は、フレキシブル配線基板160として、コイル161Aとホール素子162Aと外部との配線163である配線163Aとが設けられるフレキシブル配線基板160Aと、コイル161Bとホール素子162Bと外部との配線163である配線163Bとが設けられるフレキシブル配線基板160Bと、を有している。図3から図5で表されるように、フレキシブル配線基板160Aとフレキシブル配線基板160Bとは、同様の形状をしている。フレキシブル配線基板160A及びフレキシブル配線基板160Bは共に固定枠120の外周部に取り付けられ、固定枠120のフレキシブル配線基板160Aとフレキシブル配線基板160Bとの間の部分には柱状部122が設けられている。
【0028】
ここで一旦、ケース100の観点からまとめると、本実施例のケース100は、光学モジュール200が取り付けられる可動体としての収容枠110と、固定体140と、を備えている。そして、収容枠110を固定体140に対して揺動可能に保持するケースである。ここで、収容枠110には、該収容枠110を固定体140に対して揺動するための駆動機構を構成する磁石111が複数設けられ、固定体140には、駆動機構としてのコイル161が磁石111と対向する位置の各々に設けられている。そして、コイル161に通電するフレキシブル配線基板160が、コイル161の各々に対応して1つずつ設けられている。すなわち、コイル161Aがフレキシブル配線基板160Aに設けられ、コイル161Bがフレキシブル配線基板160Bに設けられている。
【0029】
このように、本実施例のケース100は、コイル161に通電するフレキシブル配線基板160がコイル161の各々に対応して1つずつ設けられているため、コイル161の各々に対応してフレキシブル配線基板160を小型化することができ低コスト化することができている。また、本実施例のケース100は、フレキシブル配線基板160の構造を簡略化することができていることで、フレキシブル配線基板160の簡略化に加えてケース100の構成を簡略化することができている。
【0030】
なお、本実施例は、レンズ201と撮像素子とを有する光学モジュール200(カメラモジュール)が取り付けられる可動体としての収容枠110を固定体140に対して揺動可能な構成である。このようなカメラモジュールが取り付けられる可動体を有する構成の代わりに、光学モジュールとしてのミラーやプリズムなどが取り付けられる可動体を固定体に対して揺動する構成に応用してもよい。すなわち、光学モジュールの構成に特に限定は無く、可動体を固定体に対して揺動する構成においてコイルに通電するフレキシブル配線基板がコイルの各々に対応して1つずつ設けられている構成に応用することが可能である。
【0031】
また、上記のように、本実施例のケース100においては、各々のフレキシブル配線基板160A及びフレキシブル配線基板160Bを同形状としている。本実施例のケース100は、このような構成としていることで、各々のフレキシブル配線基板160A及びフレキシブル配線基板160Bを1つの型を用いて構成することを可能にしている。このため、本実施例のケース100においては、特にフレキシブル配線基板160を低コスト化することができている。
【0032】
また、図3から図5で表されるように、本実施例のケース100においては、駆動機構としてのコイル161及び磁石111の対が、ケース100の-X方向側端部及び+Y方向側端部に1つずつ形成されている。別の表現をすると、本実施例のケース100においては、駆動機構は、光学モジュール200の軸線方向(Z軸方向)と直交するとともに互いに直交する軸線(X軸及びY軸)上に設けられる構成となっている。本実施例のケース100は、このような構成としていることで、ピッチング方向及びヨーイング方向を揺動軸として、収容枠110を固定体140に対して直交する2軸を揺動軸として揺動することができる。ピッチング方向及びヨーイング方向を揺動軸とする駆動機構は、構成を共通化できるため、特に好ましい。
【0033】
このように、本実施例のケース100においては、駆動機構が光学モジュール200の軸線方向と直交するとともに互いに直交する軸線上の1か所ずつにのみ設けられている構成としている。このため、フレキシブル配線基板160を増やしすぎる(例えばフレキシブル配線基板160を3つ以上設ける)ことがないので特に低コスト化を可能にしている。また、ピッチング方向及びヨーイング方向のみを揺動軸として収容枠110を固定体140に対して揺動する構成としていることでローリング方向に支持する支持機構を設けない構成とすることができている。このため、特にケース100の構成を簡略化することができている。
【0034】
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。ピッチング方向及びヨーイング方向に加えてローリング方向を揺動軸として、収容枠110を固定体140揺動することができる構成としてもよい。その場合、コイルの形状は共通化できない場合があるものの、少なくともフレキシブル配線基板160の形状を共通化することでフレキシブル配線基板160を製造する方などを共通化でき低コスト化が可能になる。また、ピッチング方向及びヨーイング方向に揺動する駆動機構を各々複数ずつ設ける構成としてもよい。そのような場合においても、各々の駆動機構を共通化することが、低コストの簡単から好ましい。
【0035】
また、上記のように、本実施例のケース100は、固定枠120のフレキシブル配線基板160Aとフレキシブル配線基板160Bとの間の部分に、柱状部122が設けられている。柱状部122は、固定枠120におけるその周辺の部分よりも肉厚に構成されている。すなわち、本実施例のケース100は、各々のフレキシブル配線基板160の間(フレキシブル配線基板160Aとフレキシブル配線基板160Bとの間)に、補強部材としての柱状部122が設けられている。このような構成とすることで、ケース100の構成を複雑化させることなくケース100の剛性を高くすることができる。
【0036】
ここで、光学ユニット1の観点からまとめると、本実施例の光学ユニット1は、上記ケース100と、光学モジュール200と、を備えている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、光学ユニット1全体を簡略化及び低コスト化することができる。
【0037】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…光学ユニット、100…ケース、110…収容枠(可動体)、111…磁石(駆動機構)、111A…磁石、111B…磁石、120…固定枠、121…コイル取り付け部、121A…コイル取り付け部、121B…コイル取り付け部、122…柱状部(補強部材)、130…前面側枠部、140…固定体、150…ジンバル機構、151…脚部、151A…脚部、151B…脚部、151C…脚部、151D…脚部、152…凹部、152A…凹部、152B…凹部、152C…凹部、152D…凹部、153…ジンバルフレーム部、160…フレキシブル配線基板、160A…フレキシブル配線基板、160B…フレキシブル配線基板、161…コイル(駆動機構)、161A…コイル、161B…コイル、162…ホール素子、162A…ホール素子、162B…ホール素子、163…配線、163A…配線、163B…配線、170…支持部、170A…支持部、170B…支持部、170C…支持部、170D…支持部、171…球体、171A…球体、171B…球体、171C…球体、171D…球体、200…光学モジュール、201…レンズ
図1
図2
図3
図4
図5