(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064907
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】超音波診断画像処理プローブ装置、超音波画像診断システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175351
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】芝田 宏靖
(72)【発明者】
【氏名】平林 康彦
(72)【発明者】
【氏名】宮島 淳一
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GA21
4C601GA24
4C601GB18
4C601GD04
4C601KK16
4C601KK36
4C601KK41
4C601LL13
4C601LL26
4C601LL38
4C601LL40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被検体に所定周波数帯の音波を送信するとともに、当該音波の被検体におけるエコーを受信して超音波診断画像データを生成し、外部の表示装置に無線送信する携帯型の超音波診断画像処理プローブ装置の利便性を損なうことなく、長い診断可能時間を確保する。
【解決手段】超音波診断画像処理プローブ装置10に自機の利用状態を検知するセンサ部15を設け、超音波診断画像処理プローブ装置10の無線送受信部16が通信稼働モード下にある状態においてセンサ部15により検知されるセンサ信号値の変化パターンが利用停止条件を満たすと、自動的に無線送受信部16を通信停止モードに移行させる一方、通信停止モード下にある状態においてセンサ信号値の変化パターンが利用開始条件を満たすと自動的に無線送受信部16を通信稼働モードに移行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に所定周波数帯の音波を送信するとともに当該音波の被検体におけるエコーを受信することにより前記被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成し、当該生成した超音波診断画像データを外部の表示装置に無線送信する超音波診断画像処理プローブ装置であって、
入力された電気信号である入力駆動信号を振動に変換して、前記音波を送信するとともに、当該音波の被検体におけるエコーを受信して、当該エコーに対応する電気信号を出力信号として出力する音波送受信手段と、
前記入力駆動信号を前記音波送受信手段に入力して前記音波を送信させる駆動手段と、
前記出力信号に対して所定の信号処理を施し、前記超音波診断画像データを生成する画像生成手段と、
前記生成した超音波診断画像データを前記表示装置に無線送信する通信手段と、
自機の利用状態を示すセンサ信号を出力するセンサと、
(1)前記通信手段と前記表示装置との間の通信コネクションが確立され、前記通信手段によって前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信可能な通信稼働モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第1条件を満たした場合に、前記表示装置との通信コネクションを解放して前記通信手段の無線通信機能をOFF又は省電力状態の通信停止モードに移行させる一方、(2)前記通信手段の無線通信機能が前記通信停止モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第2条件を満たした場合に、前記通信手段の無線通信機能を前記通信稼働モードに移行させつつ、前記表示装置との通信コネクションを確立して前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信させる制御手段と、
を有する、ことを特徴とする超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項2】
前記センサが傾斜センサであり、
前記制御手段が、
前記センサの出力するセンサ信号値の示す自機の傾きの変化パターンと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える、請求項1に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項3】
前記センサが加速度センサであり、
前記制御手段が、
前記センサの出力するセンサ信号の値に基づき検知される(1)自機の傾きの変化パターン及び(2)自機の振動の変化パターンの少なくとも一方と前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える、請求項1に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項4】
前記センサがスイッチであり、
前記制御手段が、
前記スイッチの押下パターンと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える、請求項1に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項5】
前記センサが圧力センサであり、
前記制御手段が、
前記センサ信号値の示す圧力の変化パターンと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える、請求項1に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項6】
前記センサが、傾斜センサ及び圧力センサを組み合わせて構成され、
前記制御手段が、
(A)前記センサの出力するセンサ信号値の示す自機の傾きの変化パターン及び(B)前記センサ信号値の示す圧力の変化パターンの組み合わせと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える、請求項1に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項7】
前記センサが、加速度センサ及び圧力センサを組み合わせて構成され、
前記制御手段が、
前記センサの出力するセンサ信号値の示す(A1)自機の振動の変化パターン、又は、(A2)傾きの変化パターンと、(B)前記センサ信号値の示す圧力の変化パターンと、の組み合わせと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える、請求項1に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項8】
操作者の入力操作を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記画像生成手段が、
前記受付手段において入力操作の受け付けられたタイミングにて撮影された前記超音波診断画像フレームを抜き出すとともに、
前記通信手段が、
前記超音波診断画像データとともに当該抜き出した超音波診断画像フレームを前記表示装置に送信する、請求項1~7のいずれか1項に記載の超音波診断画像処理プローブ装置。
【請求項9】
被検体に所定周波数帯の音波を送信するとともに当該音波の被検体におけるエコーを受信することにより前記被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成する超音波診断画像処理プローブ装置と、
前記超音波診断画像処理プローブ装置において生成された前記超音波診断画像データを無線通信により取得して、当該データに基づき被検体の超音波診断画像を表示する表示装置と、
を有する超音波画像診断システムであって、
前記超音波診断画像処理プローブ装置が、
入力された電気信号である入力駆動信号を振動に変換して、前記音波を送信するとともに、当該音波の被検体におけるエコーを受信して、当該エコーに対応する電気信号を出力信号として出力する音波送受信手段と、
前記入力駆動信号を前記音波送受信手段に入力して前記音波を送信させる駆動手段と、
前記出力信号に対して所定の信号処理を施し、前記超音波診断画像データを生成する画像生成手段と、
前記生成した超音波診断画像データを前記表示装置に無線送信する通信手段と、
自機の利用状態を示すセンサ信号を出力するセンサと、
(1)前記通信手段と前記表示装置との間の通信コネクションが確立され、前記通信手段によって前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信可能な通信稼働モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第1条件を満たした場合に、前記表示装置との通信コネクションを解放して前記通信手段の無線通信機能をOFF又は省電力状態の通信停止モードに移行させる一方、(2)前記通信手段の無線通信機能が前記通信停止モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第2条件を満たした場合に、前記通信手段の無線通信機能を前記通信稼働モードに移行させつつ、前記表示装置との通信コネクションを確立して前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信させる制御手段と、
を有する、ことを特徴とする超音波画像診断システム。
【請求項10】
複数台の前記超音波診断画像処理プローブ装置と、1台の前記表示装置を有し、
前記表示装置が、
前記複数台の前記超音波診断画像処理プローブ装置のいずれかと前記通信コネクションを確立して、当該超音波診断画像処理プローブ装置から前記超音波診断画像データを取得して表示している状態にて、当該超音波診断画像処理プローブ装置が前記通信稼働モードから前記通信停止モードに移行した場合に、前記通信稼働モードに復帰した当該超音波診断画像処理プローブ装置、又は、前記通信稼働モード下にある他の前記超音波診断画像処理プローブ装置と通信コネクションを確立し、当該超音波診断画像処理プローブ装置から前記超音波診断画像データを取得しつつ当該超音波診断画像データに基づき前記超音波診断画像を表示する、請求項9に記載の超音波画像診断システム。
【請求項11】
被検体に所定周波数の音波を送信するとともに当該音波の被検体におけるエコーを受信することにより前記被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成し、当該生成した超音波診断画像データを外部の表示装置に無線送信して表示させる超音波診断画像処理プローブ装置として機能するコンピュータを、
前記音波の被検体におけるエコーの受信結果に基づき、前記超音波診断画像データを生成する画像生成手段、
自機の利用状態を示すセンサ信号を取得する取得手段、
前記生成した超音波診断画像データを前記表示装置に無線送信する通信手段を制御する手段であって、(1)前記通信手段と前記表示装置との間の通信コネクションが確立され、前記通信手段によって前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信可能な通信稼働モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第1条件を満たした場合に、前記表示装置との通信コネクションを解放して前記通信手段の無線通信機能をOFF又は省電力状態の通信停止モードに移行させる一方、(2)前記通信手段の無線通信機能が前記通信停止モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第2条件を満たした場合に前記通信手段の無線通信機能を前記通信稼働モードに移行させつつ、前記表示装置との通信コネクションを確立して前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信させる制御手段、
として機能させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療等の分野において利用する超音波画像診断システムに関し、特に、超音波画像診断システムを構成するプローブ装置単体にて超音波診断画像データを生成する超音波診断画像処理プローブ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療等の分野においては人体を含む各種被検体の状態を診断するため、超音波画像診断システムが広く用いられている。この種の超音波画像診断システムは、一般に超音波プローブ装置と本体装置とを備えている。超音波プローブ装置は、被検体に対して所定周波数帯の音波(「超音波」ともいう。)を送信し、被検体で反射した音波(すなわち、エコー)を受信する。本体装置は、超音波プローブ装置にて受信されたエコーに基づき生成された受信信号に基づいて被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成し、当該生成したデータに基づき超音波診断画像を表示する構成を有している。
【0003】
この種の超音波画像診断システムは、非常に高価であり、可搬性も高くないことから利用可能な場所が医療機関の検査室等に限られてしまい、個別の病室にて利用し、又は、訪問医療等の場面において利用することが難しい。このため、近年では、超音波診断画像データを生成するための機能を携帯型の超音波プローブ装置内に集約し、超音波プローブ装置単体で生成した超音波診断画像データを、例えば、スマートフォンやタブレット型情報通信端末装置、PC(パーソナルコンピュータ)等の表示装置に無線送信するとともに、表示装置にて表示させることにより、利用場所を限定されることなく低コストに超音波画像診断を実施可能とする超音波画像診断システムが実用化されている(例えば、非特許文献1)。このような超音波診断画像データ生成機能を内蔵した超音波プローブ装置(以下、一般的な超音波プローブ装置と区別するため、「超音波診断画像処理プローブ装置」という。)は、被検体から受信したエコーの受信結果に基づき装置単体にて超音波診断画像データを生成し、当該生成した超音波診断画像データを表示装置に無線送信する一方、画像表示装置は、超音波診断画像処理プローブ装置から受信した超音波診断画像データに基づき超音波診断画像を表示する構成を有している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本経済新聞電子版、「テルモ、ワイヤレスの超音波診断装置 点滴など支援」、2020年12月8日、<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ079PC0X01C20A2000000/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の超音波診断画像処理プローブ装置は、携帯性及び可搬性を確保するため内蔵バッテリにより駆動される構成になっており、常時全機能をアクティブな状態に維持しようとすると、バッテリの電力消費が大きくなり、診断に利用可能な時間数(以下、「診断可能時間」ともいう。)が限られてしまう。診断可能時間を延長するため、超音波診断画像処理プローブ装置に搭載するバッテリ容量を増大させる方法もあるが、超音波診断画像処理プローブ装置自体が大型化するとともに重量が増大して利便性が低下してしまう。このように診断可能時間と超音波診断画像処理プローブ装置の利便性はトレードオフの関係にあり、利便性を損なうことなく、長い診断可能時間を確保することが難しい。
【0006】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯型の超音波診断画像処理プローブ装置の利便性を損なうことなく、長い診断可能時間を確保することが可能な超音波診断画像処理プローブ装置、超音波画像診断システム及びプログラム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決するため、本発明の超音波診断画像処理プローブ装置は、被検体に所定周波数帯の音波を送信するとともに当該音波の被検体におけるエコーを受信することにより前記被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成し、当該生成した超音波診断画像データを外部の表示装置に無線送信する超音波診断画像処理プローブ装置であって、入力された電気信号である入力駆動信号を振動に変換して、前記音波を送信するとともに、当該音波の被検体におけるエコーを受信して、当該エコーに対応する電気信号を出力信号として出力する音波送受信手段と、前記入力駆動信号を前記音波送受信手段に入力して前記音波を送信させる駆動手段と、前記出力信号に対して所定の信号処理を施し、前記超音波診断画像データを生成する画像生成手段と、前記生成した超音波診断画像データを前記表示装置に無線送信する通信手段と、自機の利用状態を示すセンサ信号を出力するセンサと、(1)前記通信手段と前記表示装置との間の通信コネクションが確立され、前記通信手段によって前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信可能な通信稼働モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第1条件を満たした場合に、前記表示装置との通信コネクションを解放して前記通信手段の無線通信機能をOFF又は省電力状態の通信停止モードに移行させる一方、(2)前記通信手段の無線通信機能が前記通信停止モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第2条件を満たした場合に、前記通信手段の無線通信機能を前記通信稼働モードに移行させつつ、前記表示装置との通信コネクションを確立して前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信させる制御手段と、を有している。
【0008】
一般にバッテリ駆動される超音波診断画像処理プローブにおいては、無線通信機能を常時稼働状態(すなわち通信稼働モード)に維持すると、表示装置との通信コネクションを維持するため、定期的にデータの送受信が行われる他、無線通信用モジュール(通信チップともいう。)に搭載されたRF(Radio Frequency)回路やベースバンド回路、フィルタ回路等において電力が消費されてしまい、バッテリ電力を無駄に消費してしまう。
【0009】
一方、本発明の構成によれば、超音波診断画像処理プローブに搭載されたセンサによって、超音波診断画像処理プローブ装置の利用状態を検知し、超音波診断画像処理プローブ装置が通信稼働モード下にある状態において、その利用状態が装置の利用停止を示す利用停止条件(すなわち、第1条件)を満たした場合に通信手段の無線通信機能を自動的に通信停止モード(すなわち、OFF又は省電力状態)に移行させ、又は、通信停止モード下にある状態において利用状況が装置の利用開始を示す利用開始条件(すなわち、第2条件)を満たした場合に超音波診断画像処理プローブ装置を通信稼働モードに復帰(移行)させる(すなわち、ON状態に復帰させる)ことができるので、操作者が超音波診断画像処理プローブを画像診断に利用していない状態においては、操作者による装置利用の停止をセンサ信号から検知しつつ、無線通信機能を自動的に通信停止モードにする一方、操作者が画像診断に利用しようとした場合には、センサ信号から装置利用の開始を検知しつつ、自動的に無線通信機能を通信停止モードから通信稼働モードに復帰させることができる。従って、本構成によれば、超音波診断画像処理プローブに搭載されたバッテリの電力を無駄に消費することなく、装置の利用状態に応じて適宜無線通信機能のON及びOFFを自動的に切り替え、低消費電力化を実現できる。この結果、本構成によれば、携帯型の超音波診断画像処理プローブ装置の利便性を損なうことなく、長い診断可能時間を確保できる。
【0010】
(2)また、上記構成において、前記センサが傾斜センサであり、前記制御手段が、前記センサの出力するセンサ信号値の示す自機の傾きの変化パターンと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える構成としてもよい。本構成により、簡易な装置構成にて超音波診断画像処理プローブ装置の傾きの変化パターンから利用状態を高精度に推定して通信停止モードと通信稼働モードを自動的に切り替えて低消費電力化を実現できる。
【0011】
(3)また、請求項1の構成において、前記センサが加速度センサであり、前記制御手段が、前記センサの出力するセンサ信号の値に基づき検知される(1)自機の傾きの変化パターン及び(2)自機の振動の変化パターンの少なくとも一方と前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える構成としてもよい。本構成により、簡易な装置構成にて超音波診断画像処理プローブ装置の傾きの変化パターン及び振動の変化パターンの少なくとも一方に基づき利用状態を精度良く推定して通信停止モードと通信稼働モードを自動的に切り替えて低消費電力化を実現できる。
【0012】
(4)また、請求項1に記載の構成において前記センサがスイッチであり、前記制御手段が、前記スイッチの押下パターンと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える構成としてもよい。本構成により、非常に単純な構成にて操作者によるスイッチの操作状態に応じて超音波診断画像処理プローブ装置の利用状態を正確に推定して、通信停止モードと通信稼働モードを切り替えて低消費電力化を実現できる。
【0013】
(5)また、請求項1に記載の構成において 前記センサが圧力センサであり、前記制御手段が、前記センサ信号値の示す圧力の変化パターンと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える構成としてもよい。一般に超音波診断画像処理プローブ装置は、装置先端部等に設けられた振動子(後述の振動子アレイ11)の設置部を被検体に押しつけて利用するものであるため、振動子と隣接して圧力センサを配置し、この圧力センサにより振動子の設置部にかかる圧力を検知すれば、実際に超音波診断画像処理プローブ装置が被検体に対して利用されているか否かを正確に検知できる。従って、本構成によれば、超音波診断画像処理プローブ装置の実際の利用状況を正確に推定し、当該推定結果に基づき通信停止モードと通信稼働モードを自動的に切り替えて低消費電力化を実現できる。
【0014】
(6)また、請求項1に記載の構成において前記センサが、傾斜センサ及び圧力センサを組み合わせて構成され、前記制御手段が、(A)前記センサの出力するセンサ信号値の示す自機の傾きの変化パターン及び(B)前記センサ信号値の示す圧力の変化パターンの組み合わせと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える構成としても良い。通常、超音波診断画像処理プローブ装置を診断に利用する場合、装置本体を操作者が把持して操作するため、傾きの変化パターンのみに基づき装置の利用の停止及び開始を検知することができるが、操作者の操作状況が予め定めた傾きパターンに対応する第1条件及び第2条件を満たさない操作を行う可能性を排除できない。一方、傾斜センサと圧力センサを組み合わせ、傾き及び圧力の変化パターンを組み合わせて装置の利用停止及び開始を検知することにより、この種の検知エラーの発生を確実に防止して、確実に低消費電力化を実現できる。
【0015】
(7)また、請求項1に記載の構成において前記センサが、加速度センサ及び圧力センサを組み合わせて構成され、前記制御手段が、前記センサの出力するセンサ信号値の示す(A1)自機の振動の変化パターン、又は、(A2)傾きの変化パターンと、(B)前記センサ信号値の示す圧力の変化パターンと、の組み合わせと前記第1条件及び第2条件を比較して、当該比較結果に基づき前記通信手段のモードを前記通信稼働モードと前記通信停止モードの間で切り替える構成としてもよい。上記のように傾斜センサ及び圧力センサを組み合わせた構成を採用する場合、装置の傾きの変化パターンのみが検知可能となるが、本構成によれば、装置の傾きの変化パターンのみならず、装置の振動の変化パターンを検知可能になるので、様々な視点から装置の利用停止及び開始を高精度に検知でき、利用状況に応じて正確なモード切り替えの制御を実現できる。
【0016】
(8)また、請求項1~7のいずれか1項に記載の構成において操作者の入力操作を受け付ける受付手段をさらに有し、前記画像生成手段が、前記受付手段において入力操作の受け付けられたタイミングにて撮影された前記超音波診断画像フレームを抜き出すとともに、前記通信手段が、前記超音波診断画像データとともに当該抜き出した超音波診断画像フレームを前記表示装置に送信する構成としてもよい。本構成により、診断対象となる部位(例えば、心臓、肝臓、腎臓、血管等の器官)の現在の状態が最も分かり易い超音波診断画像フレームを数枚分抜き出しつつ、当該抜き出した超音波診断画像フレームを動画像の超音波診断画像データとともに表示装置に送信し、表示装置にて当該抜き出したフレーム画像を動画像とともに示させ、診断に利用することが可能となり、診断の正確性を向上させることが可能となる。
【0017】
(9)また、本発明の超音波画像診断システムは、被検体に所定周波数帯の音波を送信するとともに当該音波の被検体におけるエコーを受信することにより前記被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成する超音波診断画像処理プローブ装置と、前記超音波診断画像処理プローブ装置において生成された前記超音波診断画像データを無線通信により取得して、当該データに基づき被検体の超音波診断画像を表示する表示装置と、を有する超音波画像診断システムであって、前記超音波診断画像処理プローブ装置が、入力された電気信号である入力駆動信号を振動に変換して、前記音波を送信するとともに、当該音波の被検体におけるエコーを受信して、当該エコーに対応する電気信号を出力信号として出力する音波送受信手段と、前記入力駆動信号を前記音波送受信手段に入力して前記音波を送信させる駆動手段と、前記出力信号に対して所定の信号処理を施し、前記超音波診断画像データを生成する画像生成手段と、前記生成した超音波診断画像データを前記表示装置に無線送信する通信手段と、自機の利用状態を示すセンサ信号を出力するセンサと、(1)前記通信手段と前記表示装置との間の通信コネクションが確立され、前記通信手段によって前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信可能な通信稼働モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第1条件を満たした場合に、前記表示装置との通信コネクションを解放して前記通信手段の無線通信機能をOFF又は省電力状態の通信停止モードに移行させる一方、(2)前記通信手段の無線通信機能が前記通信停止モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第2条件を満たした場合に、前記通信手段の無線通信機能を前記通信稼働モードに移行させつつ、前記表示装置との通信コネクションを確立して前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信させる制御手段と、を有している。
【0018】
(10)また、請求項9に記載の構成において、複数台の前記超音波診断画像処理プローブ装置と、1台の前記表示装置を有し、前記表示装置が、前記複数台の前記超音波診断画像処理プローブ装置のいずれかと前記通信コネクションを確立して、当該超音波診断画像処理プローブ装置から前記超音波診断画像データを取得して表示している状態にて、当該超音波診断画像処理プローブ装置が前記通信稼働モードから前記通信停止モード又は電源OFF状態に移行した場合に、前記通信稼働モードに復帰した当該超音波診断画像処理プローブ装置、又は、前記通信稼働モード下にある他の前記超音波診断画像処理プローブ装置と通信コネクションを確立し、当該超音波診断画像処理プローブ装置から前記超音波診断画像データを取得しつつ当該超音波診断画像データに基づき前記超音波診断画像を表示する構成としてもよい。本構成により、複数台の超音波診断画像処理プローブ装置を1台の表示装置によって運用することができる。この結果、本構成によれば、形状や利用する音波の周波数帯が異なる複数台の超音波診断画像処理プローブ装置を診断対象部位に応じて1台の表示装置にて運用する等、システム構築時の自由度を向上させ、低コストにユーザフレンドリーなシステムを構築することが可能となる。
【0019】
(11)また、本発明のプログラムは、被検体に所定周波数の音波を送信するとともに当該音波の被検体におけるエコーを受信することにより前記被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成し、当該生成した超音波診断画像データを外部の表示装置に無線送信して表示させる超音波診断画像処理プローブ装置として機能するコンピュータを、前記音波の被検体におけるエコーの受信結果に基づき、前記超音波診断画像データを生成する画像生成手段、自機の利用状態を示すセンサ信号を取得する取得手段、前記生成した超音波診断画像データを前記表示装置に無線送信する通信手段を制御する手段であって、(1)前記通信手段と前記表示装置との間の通信コネクションが確立され、前記通信手段によって前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信可能な通信稼働モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第1条件を満たした場合に、前記表示装置との通信コネクションを解放して前記通信手段の無線通信機能をOFF又は省電力状態の通信停止モードに移行させる一方、(2)前記通信手段の無線通信機能が前記通信停止モード下にある状態にて前記センサ信号の値の変化パターンが予め定められた第2条件を満たした場合に前記通信手段の無線通信機能を前記通信稼働モードに移行させつつ、前記表示装置との通信コネクションを確立して前記超音波診断画像データを前記表示装置に送信させる制御手段、として機能させる構成を有している。
【発明の効果】
【0020】
本発明の超音波診断画像処理プローブ、超音波画像診断システム及びプログラムは、携帯型の超音波診断画像処理プローブ装置の利便性を損なうことなく、長い診断可能時間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る超音波画像診断システムの一実施形態における構成例を示すシステム構成図である。
【
図2】一実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置に搭載するセンサ及び利用する検知結果種別毎の利用停止条件及び利用開始条件の例を一覧表形式で示す図である。
【
図4】一実施形態の超音波画像診断システムにて超音波診断画像処理プローブ装置が通信停止モードから通信稼働モードに復帰する際の処理を示すシーケンス図である。
【
図5】一実施形態の超音波画像診断システムにて超音波診断画像処理プローブ装置が通信稼働モードから通信停止モードに移行する際の処理を示すシーケンス図である。
【
図6】変形例1の超音波画像診断システムにて複数の超音波診断画像処理プローブ装置が同時に通信停止モードから通信稼働モードに復帰した場合の処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、被検体としての人体の一部に所定周波数帯の音波(超音波)を送信しつつ、当該音波の被検体におけるエコーを受信し、被検体を撮影した複数の超音波診断画像フレームからなる超音波診断画像データを生成して表示する超音波画像診断システムに対し、本発明に係る超音波診断画像処理プローブ装置、超音波画像診断システム及びプログラムを適用した場合の実施形態である。但し、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
[1]超音波画像診断システムの構成及び概要
まず、
図1を用いて、本発明の一実施形態における超音波画像診断システム1の構成及び概要について説明する。なお、
図1は、本実施形態の超音波画像診断システム1の一構成例を示すシステム構成図である。また、
図1においては図面が煩雑になることを防止するため、一部の超音波診断画像処理プローブ装置10のみを示している。さらに、超音波画像診断システム1を構成する超音波診断画像処理プローブ装置10の台数は任意であり、1台であってもよく、複数台であってもよいが、本実施形態においては、説明の理解を容易にするため1台の超音波診断画像処理プローブ装置10と1台の表示装置20にて超音波画像診断システム1を構成するものとして説明を行い、超音波画像診断システム1を複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10と1台の表示装置20にて構成する場合については、変形例1の項にて説明するものとする。
【0024】
図1に示すように本実施形態の超音波画像診断システム1は、操作者により携帯可能な構成を有するとともに、所定の周波数帯(例えば、2MHz~22MHzのいずれかの周波数帯)を有する音波を送信しつつ当該音波の被検体におけるエコーを受信して、当該受信したエコーに基づき被検体の超音波診断画像データを生成(すなわち、撮影)する超音波診断画像処理プローブ装置10-1~n(以下、特に各装置を特定する必要がない場合には、「超音波診断画像処理プローブ装置10」という。)と表示装置20により構成され、超音波診断画像処理プローブ装置10によって生成された超音波診断画像データを無線にて表示装置20に送信し、表示装置20にて被検体の超音波診断画像(動画像)を表示させるためのものである。なお、超音波診断画像処理プローブ装置10の送信する音波の周波数帯及び装置形状に関しては任意であり、例えば、(1)2~7.5MHzの音波を用いたセクター型やコンベックス型の他、(2)2~12MHzの音波を用いたリニア型、(3)2~22MHzの音波を用いたシングル型等、診断対象部位に応じて利用する周波数帯と形状を変更するようにしても良く、広帯域な周波数の音波(例えば、2~25MHz程度の周波数帯の音波)を送受信可能な振動子アレイ11及び超音波駆動部12(
図2参照)を用いて、検査部位に応じてアタッチメントを着脱し、装置形状及び利用する音波の周波数帯を変更可能な構成としてもよい。また、超音波画像診断システム1を複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10により構成する場合には、例えば、心臓、腎臓、血管等の各診断対象部位(器官)に適した形状を有し、当該部位の診断に適した周波数帯の音波を用いて超音波診断画像を撮影する複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10を1台の表示装置20により運用する方法を採用することも可能であるが、この点については、変形例1にて詳述する。
【0025】
ここで、上述のように超音波診断画像処理プローブ装置10は、携帯性及び利便性を確保するため内蔵バッテリによって駆動される構成を有し、当該内蔵バッテリの電力を用いつつ、後述する各部を駆動し、超音波診断画像データを生成して表示装置20に無線送信するものである。このため、常時全ての機能をアクティブな状態に維持すると消費電力量が大きくなり、診断可能時間が減少してしまう一方、バッテリを大型化すると携帯性と利便性が損なわれる可能性が高い。
【0026】
そこで、本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10は、自機の利用状態を検知するためのセンサ部15(
図2参照)を設け、当該センサ部15から出力されるセンサ信号の変化パターンを予め定められた条件と比較して、比較結果に応じて無線送受信部16(
図2参照)の機能を、(A)無線による超音波診断画像データの送信が可能な通信稼働モードと、(B)無線通信機能をOFF又は省電力状態とする通信停止モードの間で切り替え、被検体の診断に利用しない期間に関しては無線通信機能を通信停止モードに維持することにより超音波診断画像処理プローブ装置10に内蔵されたバッテリ電力の消費量を削減する構成を採用する。
【0027】
具体的には、本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10は、(1)無線送受信部16が通信稼働モード下にある状態(すなわち、表示装置20との通信コネクションが確立され、超音波診断画像データを表示装置20に送信可能な状態)において、センサ信号の変化パターンが、超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止状態を示す利用停止条件を満たした場合には、表示装置20との通信コネクションを解放(切断)して、無線送受信部16を通信停止モードに移行させる一方、(2)無線送受信部16が通信停止モード下にある状態においてセンサ信号値の変化パターンが予め定められた超音波診断画像処理プローブ装置10の利用開始条件を満たした場合に、表示装置20との通信コネクションを確立しつつ、無線送受信部16を通信稼働モードに復帰させる制御を行う。なお、センサ部15に利用するセンサの種別は任意であり、例えば、傾斜センサや三軸加速度センサ(以下、「加速度センサ」ともいう。)、圧力センサ等を利用することができる他、これらのセンサを組み合わせて利用すること可能である。また、本実施形態の利用停止条件及び利用開始条件は、各々、本発明の「第1条件」及び「第2条件」に相当するとともに、利用するセンサの種別及び検知結果(例えば、傾き、振動、圧力等)に応じて、具体的な条件の内容が変化することとなるが、利用するセンサ及び検知結果の種別に応じた利用開始条件及び利用停止条件の具体的な内容に関しては後に詳述する。
【0028】
超音波診断画像処理プローブ装置10は、被検体に超音波を送信し、被検体からのエコーに基づき複数のフレーム画像からなる超音波診断画像データを生成して、表示装置20に送信する。この超音波診断画像処理プローブ装置10は、超音波診断画像の撮影開始、撮影停止、スクリーンキャプチャ等の各種ボタンを含む後述する操作部17を有し、操作者によるボタン操作に応じて音波の送信と、エコーの受信を繰り返しつつ、複数のフレーム画像からなる超音波診断画像データを生成して表示装置20に送信する。なお、超音波診断画像処理プローブ装置10において生成する超音波診断画像データの具体的なデータ構成及び送信方法に関しては、任意であり、例えば、撮影開始ボタンの操作タイミングから撮影停止ボタンの操作タイミングまで複数の超音波診断画像フレームを撮影しつつ、MPEG2(Moving Picture Expert Group)2やH.264、H.265等のフレーム間予測符号化手法によって圧縮して、動画像形式のデータを生成し、当該生成した動画像データを順次表示装置20に送信する構成としても良い。またこの場合において、操作者がスクリーンキャプチャボタンを操作した場合に、当該操作タイミングにて撮影された超音波診断画像フレームを静止画として抜き出し、動画像の超音波診断画像データとともに表示装置20に供給(送信)する構成とすれば、診断対象となる部位(例えば、心臓、肝臓、腎臓、血管等の器官)の現在の状態が最も分かり易い超音波診断画像フレームを数枚分抜き出しつつ、当該抜き出した超音波診断画像フレームを動画像の超音波診断画像データとともに表示装置20に送信し、表示装置20にて当該抜き出したフレーム画像を動画像とともに示させ、診断に利用することが可能となり、診断の正確性を向上させることが可能となる。なお、超音波診断画像処理プローブ装置10において超音波診断画像データを生成して表示装置20に送信する際の基本的な動作及び原理は従来と同様であるため、詳細を省略する。また、超音波診断画像処理プローブ装置10は、超音波診断画像データとともに被検体の心拍音等を検知して、音声を含む超音波診断画像データを生成し、又は、超音波診断画像データと同期した音声データを生成して超音波診断画像データととともに表示装置20に送信する構成としてもよい。
【0029】
表示装置20は、一般的なタブレット型情報通信端末装置やスマートフォン、ラップトップ型又はデスクトップ型のPC等の情報通信端末装置であり、例えば、iPad(登録商標)又はiPad mini(登録商標)等を用いることができる。
【0030】
この表示装置20は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ及びディスプレイの駆動回路により構成される図示せぬ表示部やスピーカ、ディスプレイ画面上に設けられたタッチパネルやホームボタン等の図示せぬ操作部を有し、操作者の入力操作に応じて各種の処理が実行される構成になっている。なお、この操作部には、マウスやキーボード等外部の入力デバイスを接続可能な構成としてもよい。
【0031】
また、表示装置20は、超音波診断画像処理プローブ装置10に搭載された無線送受信部16と同一の通信プロトコルに従い超音波診断画像処理プローブ装置10と無線通信を行う無線通信機能を有している。なお、表示装置20と超音波診断画像処理プローブ装置10の間の通信において利用する無線通信方式に関しては任意であり、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a、b、g、n、acにより規定されるいわゆる無線LAN(Local Area Network)プロトコルに従った通信方式の他、IEEE802.15.1により規定されるBluetooth(登録商標)の通信プロトコルに従った通信方式等、各種の通信プロトコルに従った通信方式を採用することができるが、本実施形態においては、説明を具体化するため、無線LANの通信方式を利用するものとして説明を行う。係る機能を実現するため、本実施形態の表示装置20の図示せぬメモリには、超音波画像診断システム1を構成する超音波診断画像処理プローブ装置10に対応するESSID(Extended Service Set Identifier)が予め記録されるとともに、当該超音波診断画像処理プローブ装置10との間においてセキュアな通信コネクションを確立するために用いるWEP(Wired Equivalent Privacy)キーやWPA(Wi-Fi Protected Access)、WPA2、WPA3等に準拠した暗号化及び復号用の鍵に関するデータが予め記録され、これらのデータを利用しつつ、対象となる超音波診断画像処理プローブ装置10との間においてセキュアな通信コネクションを確立する構成になっているが、SSIDや暗号化及び復号用の鍵に関しては従来の無線LANと同様である。
【0032】
ここで、本実施形態に特徴的な事項として本実施形態の表示装置20は、超音波診断画像データの取得元の超音波診断画像処理プローブ装置10から超音波診断画像データ(抜き出した超音波診断画像フレーム及び音声データを含んでもよい)に対応したデータを取得して、当該超音波診断画像データに基づき超音波診断画像を表示するためのアプリケーションプログラム(以下、「表示アプリ」ともいう。)が搭載され、この表示アプリに従った処理を実行することにより、対象となる超音波診断画像処理プローブ装置10において生成された超音波診断画像データを取得し、当該取得した超音波診断画像データに基づき超音波診断画像を表示する機能を実現する。なお、表示アプリは、表示装置20にプリインストールされる必要はなく、利用前に予めダウンロードして実行可能になっていれば良い。また、表示装置20が表示アプリに従い超音波診断画像を表示する際の表示形態に関しては任意であり、例えば、動画像としての超音波診断画像を表示する領域と、スクリーンキャプチャ機能によって抜き出された超音波診断画像フレームを表示する領域を分けて、各領域に動画像と抜き出された超音波診断画像フレームを同時に表示する構成としてもよく、操作部に対する入力操作に応じて動画像と抜き出された超音波診断画像フレームを切り替えつつ表示する構成としてもよい。また、動画像又は抜き出された超音波診断画像フレームの表示領域においてピンチイン又はピンチアウト操作を行うことによって、画像内の一部を拡大又は縮小表示する構成としてもよく、フリック操作に応じて抜き出された超音波診断画像フレームを次の抜き出された超音波診断画像フレームに切り替えつつ表示する方法を採用してもよい。各入力操作は、もちろんキーボードやマウス等に対する入力操作にて代替可能である。さらに、表示装置20が超音波診断画像処理プローブ装置10との間で通信コネクションを確立する処理自体は、専用のドライバアプリケーションを搭載するようにしてもよいが、本実施形態においては、この表示アプリにより通信コネクションの確立と解放を制御する構成を採用するものとして説明を行う。
【0033】
[2]超音波診断画像処理プローブ装置10の構成
次いで、
図2及び3を用いて本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10の構成について説明する。なお、
図2は、本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10の構成例を示すブロック図であり、
図3は、センサ部15として用いるセンサ及び利用する検知結果種別毎の利用停止条件及び利用開始条件の例を一覧表形式で示す図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10は、振動子アレイ11と、超音波駆動部12と、超音波受信部13と、制御部14と、センサ部15と、無線送受信部16と、電源ボタンや音波送信開始ボタン、音波送信停止ボタン、スクリーンキャプチャボタン等のボタンを有し、操作者の入力操作に応じた操作コマンドを制御部14に供給する操作部17と、メモリ18と、を備え、各部には図示せぬ内蔵バッテリから駆動に必要な電力が供給される構成になっている。なお、例えば、本実施形態の振動子アレイ11及び超音波駆動部12は、各々、本発明の「音波送受信手段」及び「駆動手段」を構成する。
【0035】
振動子アレイ11は、図示せぬ筐体の先端部等の位置に設置され、送受信面111に沿って配列された複数の超音波振動子112を備えている。複数の超音波振動子112は、各々が例えば、圧電素子等の素子によって構成され、制御部14の後述する信号処理部141から電気信号が入力されると、当該入力された電気信号(以下、「入力駆動信号」ともいう。)に基づき振動し、所定周波数帯の音波を送信するとともに、当該音波の被検体におけるエコーを受信した際に得られる振動に基づき電気信号を発生させ、出力信号として超音波受信部13に出力する。各超音波振動子112は、直交する2方向に配列されてもよい。
【0036】
超音波駆動部12は、アンプ等の回路により構成され、制御部14による制御の下、入力駆動信号を生成して振動子アレイ11に供給する。
【0037】
超音波受信部13は、振動子アレイ11から供給される出力信号を増幅するアンプやA/D(アナログ/デジタル)変換器等を有し、振動子アレイ11から供給される出力信号をデジタル信号に変換して制御部14に供給する。
【0038】
センサ部15は、傾斜センサや加速度センサ、ジャイロセンサ、圧力センサ等のセンサや入力スイッチ、又は、これらセンサ類の組み合わせにより構成され、超音波診断画像処理プローブ装置10の利用状態を示すセンサ信号を生成して、当該生成したセンサ信号を制御部14に出力する。例えば、センサ部15として加速度センサを用いる場合、センサ部15は、自機の移動に伴うXYZの各軸方向の加速度の変化を検知して、所定のサンプリング周波数(例えば、100Hz程度)にてサンプリングを行いつつ当該検知した加速度の変化を示すセンサ信号を生成し、制御部14に供給する。なお、センサ部15として圧力センサを利用する場合には、振動子アレイ11と隣接した位置に圧力センサを配設する必要がある。
【0039】
無線送受信部16は、例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)等の無線通信モジュールであり、図示せぬアンテナやRF回路、ベースバンド回路、フィルタ回路等の各種回路により構成され、制御部14と連動しつつ、表示装置20との間において通信コネクションを確立し、表示装置20に超音波診断画像データを送信する。また、本実施形態に特徴的な事項として、無線送受信部16は、通信稼働モード及び通信停止モードのいずれかを選択しつつモードを切り替え可能な構成になっており、後述する無線制御部143による制御の下、通信稼働モードにおいては、内部回路において電力を消費しつつ、表示装置20との間の通信コネクションを維持して超音波診断画像データを送信可能な状態を維持する一方、通信停止モードにおいては表示装置20との通信コネクションを解放して、OFF又は省電力なスタンバイ状態に移行する構成になっている。なお、本実施形態の無線送受信部16は、表示装置20に搭載された無線通信機能と同一の通信プロトコルに従って無線通信を実行可能な構成が採用される。
【0040】
メモリ18は、NAND型又はNOR型のフラッシュメモリやROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)等を組み合わせて構成され、制御部14が実行するプログラムが記録されるとともに、自機に割り当てられたESSIDや暗号化及び復号用の鍵に関するデータが記録される。また、メモリ18には、超音波診断画像処理プローブ装置10のモードを切り替える際に利用される利用停止条件及び利用開始条件の各条件に対応するデータ(以下、各データを「利用停止条件データ」及び「利用開始条件データ」という。)が予め記録される。さらに、メモリ18は、制御部14が超音波診断画像データ等を生成する際のワークエリアとしても用いられる。なお、メモリ18は、スクリーンキャプチャボタンの操作タイミングにおいて撮影された超音波診断画像フレームの抜き出し時に当該抜き出した超音波診断画像フレームのデータを一時記録する構成とすることが好ましい。
【0041】
制御部14は、例えば、超音波処理用LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)等により構成される。そして、制御部14は、メモリ18に記録されたプログラムに基づく処理を実行することにより、又は、回路上に予めプログラミングされた処理を実行することにより、(a)信号処理部141と、(b)画像処理部142と、(c)無線制御部143と、を実現する。
【0042】
(信号処理部141)
信号処理部141は、(A)操作部17から供給される操作コマンドに基づき超音波駆動部12に対して制御信号を供給して、超音波駆動部12から振動子アレイ11に対する入力駆動信号の供給を開始させ、又は、停止させる制御を行う。また、信号処理部141は、超音波受信部13から供給される出力信号に対応するデジタルデータに対してフィルタリング処理等の処理を施して、画像処理部142に供給する。
【0043】
(画像処理部142)
画像処理部142は、信号処理部141から供給されるデータに基づき、被検体の超音波診断画像データを生成して、メモリ18上に一時記録させる。また、画像処理部142は、操作部17からスクリーンキャプチャボタンが操作されたことを示す操作コマンドが供給されると、当該操作タイミングにて撮影された超音波診断画像フレームを抜き出しつつ、メモリ18に一時記録させ、超音波診断画像データとともに表示装置20に送信可能な状態に維持させる。なお、例えば、本実施形態の画像処理部142は、超音波受信部13及び信号処理部141と連動して、本発明の「画像生成手段」を構成するとともに、操作部17は、「受付手段」を構成する。
【0044】
(無線制御部143)
無線制御部143は、画像処理部142及びメモリ18と連動しつつ、無線送受信部16を介した超音波診断画像データ及び抜き出した超音波診断画像フレームの送信を制御する。また、無線制御部143は、センサ部15から供給されるセンサ信号を監視するとともに、センサ信号の変化パターンとメモリ18に記録された利用停止条件データ及び利用開始条件データを比較する。そして、無線制御部143は、(1)無線送受信部16が通信稼働モード下にある状態においてセンサ信号の変化パターンが利用停止条件を満たすものと判定すると、表示装置20との間で確立済みの通信コネクションを解放して無線送受信部16を通信停止モードに移行させて消費電力を低減させる一方、(2)無線送受信部16が通信停止モード下にある状態においてセンサ信号の変化パターンが利用開始条件を満たすものと判定すると、無線送受信部16を通信稼働モードに移行させ、表示装置20との通信コネクションを確立して、表示装置20に超音波診断画像データを送信する制御を行う。なお、本実施形態の無線制御部143は、無線送受信部16と連動して、本発明の「通信手段」及び「制御手段」を構成するとともに、センサ部15と連動して「取得手段」を構成する。
【0045】
[3]センサ信号値の変化パターンと無線送受信部16のモード切り替え条件について
次いで、
図3を用いて本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10において無線制御部143が無線送受信部16のモードを切り替える際の具体的な条件(すなわち、利用開始条件及び利用停止条件)についてセンサ部15として利用するセンサ及び検知結果の種別毎に説明する。なお、
図3においては、利用するセンサ及び検知結果の種別毎に1~9の項番を付し、各項番に対応するセンサ及び利用する検知結果種別毎の利用停止条件及び利用開始を一覧表の形で示している。また、
図3においてはXYZの各軸に対する超音波診断画像処理プローブ装置10の状態を斜線の網掛けを行った矩形にて示している。
【0046】
[3.1]センサ部15として傾斜センサを用い、無線制御部143が傾斜センサにより検知される自機の傾きの変化パターンに基づき、利用停止及び開始を判定する場合(項番1)の条件
この場合には、
図3の1行目に示すように(1a)センサ部15から出力されるセンサ信号が一定時間以上(例えば、1分間以上)水平状態時の出力値(例えば、信号値=0)を継続した場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たしたと判定する一方、(1b)センサ信号が閾値を超えた出力値(例えば、傾き10°以上に対応する信号値)を一定時間以上継続した場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たしたものと判定するようにすればよい。
【0047】
[3.2]センサ部15として加速度センサを用いる場合
この場合には、
図3の2行目、3行目及び6行目に示すように、(2A)加速度センサによって検知される超音波診断画像処理プローブ装置10の傾きの変化パターンに基づき無線制御部143が超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法(項番2)と、(2B)加速度センサによって検知される振動の変化パターンに基づき無線制御部143が超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法(項番3)と、(2C)加速度センサによって検知される傾きの変化パターンと振動の変化パターンの組み合わせに基づき超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法(項番6)の3種類の方法がある。
【0048】
(2A)無線制御部143が加速度センサにより検知される傾きの変化パターンに基づき超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を検知する方法を採用する場合(項番2)には、(2A-a)センサ部15から出力されるセンサ信号に基づき無線制御部143が傾き検知のため算出した合成加速度が一定時間以上(例えば、1分間以上)定常状態に継続された場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たすものと判定する一方、(2A-b)加速度センサのZ軸及びY軸の出力値が閾値を超えた状態に一定時間以上(例えば、5秒間以上)維持された場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たすものと判定するようにすればよい。
【0049】
(2B)無線制御部143が加速度センサにより検知される振動の変化パターンに基づき超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を検知する方法を採用する場合(項番3)には、(2B-a)センサ部15から出力されるセンサ信号から無線制御部143が振動検知のため算出した合成加速度が一定時間以上(例えば、1分間以上)定常状態に継続された場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たすものと判定する一方、(2B-b)無線制御部143がセンサ信号から振動検知のために算出した合成加速度が一定時間以上(例えば、5秒間以上)変化し続けている場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たすものと判定するようにすればよい。
【0050】
(2C)無線制御部143が加速度センサにより検知される傾きの変化パターンと振動の変化パターンの組み合わせに基づき超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を検知する方法を採用する場合(項番6)には、(2C-a)センサ部15から出力されるセンサ信号から無線制御部143が振動検知のために算出した合成加速度が一定時間以上(例えば、1分間以上)定常状態に継続された場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たすものと判定する一方、(2C-b)加速度センサの傾き検知におけるZ軸及びY軸の出力値が閾値を超えた状態に一定時間以上(例えば5秒間以上)維持され、かつ、振動検知のためにセンサ信号から算出した合成加速度が一定時間以上(例えば、5秒間以上)変化し続けている場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たすものと判定するようにすればよい。なお、無線制御部143が自機の傾きの変化パターン及び振動の変化パターンの組み合わせに基づき、超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する場合には、加速度センサにおいて検知される傾きの変化パターンに換えてセンサ部15として加速度センサと傾斜センサを組み合わせて、傾きの変化パターンに関しては傾斜センサにより検知する構成を採用することも可能である。
【0051】
[3.3]センサ部15としてスイッチを用いる場合(項番4)
この場合には、
図3の4行目に示すように(3a)センサ部15を構成するスイッチがOFFになった場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たしたものと判定する一方、(3b)スイッチがONになった場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たしたものと判定するようにすればよい。なお、センサ部15として、スイッチを利用する場合に利用停止条件及び利用開始条件となるスイッチの押下パターンは、これに限定されず、例えば、スイッチを1回押した場合に利用開始条件を満たすものとし、2回押した場合や長押しした場合に、利用停止条件を満たすものと判定する等、様々な条件設定を行うことができる。
【0052】
[3.4]センサ部15として圧力センサを用い、圧力の変化パターンに基づき無線制御部143が超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を検知する場合(項番5)
一般的に、超音波診断画像処理プローブ装置10を用いて被検体の状態を診断する場合には、超音波診断画像処理プローブ装置10において振動子アレイ11の設置された部位を被検体に押しつけつつ、被検体に音波を送信し、そのエコーを受信する利用形態が採られる。従って、超音波診断画像処理プローブ装置10において振動子アレイ11と隣接する位置にセンサ部15を構成する圧力センサを配置し、圧力センサにて検知される圧力の変化パターンを監視することにより超音波診断画像処理プローブ装置10が実際に利用されているか否かを確実に判定可能となる。
【0053】
このように振動子アレイ11と隣接した位置に圧力センサを設けた場合には、
図3の5行目に示すように、(4a)センサ部15から出力されるセンサ信号が一定時間以上(例えば、1分間以上)無圧力時の出力値(例えば、信号値=0)を継続した場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たしたものと判定する一方、(4b)センサ信号が一定時間以上(例えば、5秒間以上)所定の閾値を超えた出力値を継続した場合(すなわち、所定値以上の圧力が一定時間以上検知された場合)に、無線制御部143が利用開始条件を満たしたものと判定するようにすればよい。
【0054】
[3.5]センサ部15として傾斜センサと圧力センサの組み合わせを用い、装置の傾きの変化パターンと圧力の変化パターンの組み合わせに基づき、無線制御部143が超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び利用開始を検知する場合(項番7)
この場合には、
図3の7行目に示すように(5a)傾斜センサにて得られたセンサ信号が水平時の出力値を維持し、かつ、圧力センサにて得られたセンサ信号が無圧力時の出力値を維持した状態が一定時間以上(例えば、1分間以上)継続した場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たしたものと判定する一方、(5b)傾斜センサにて得られたセンサ信号が閾値を超え、かつ、圧力センサにて検知される圧力値が閾値を超えた状態が一定時間以上(例えば、5秒間以上)継続した場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たしたものと判定するようにすればよい。通常、超音波診断画像処理プローブ装置10を利用する場合、装置本体を操作者が把持して操作するため、傾きの変化パターンのみに基づき利用の停止及び開始を検知することができるが、操作者の操作が予め定めた傾きの変化パターンに対応する利用停止条件及び利用開始条件を満たさない操作を行う可能性を排除できない。この点、傾斜センサと圧力センサを組み合わせ、傾きの変化パターン及び圧力の変化パターンを組み合わせて利用停止及び利用開始を検知することにより、この種の検知エラーの発生を確実に防止しつつ、確実に低消費電力化を実現できる。
【0055】
[3.6]センサ部15として加速度センサと圧力センサの組合わせを用いる場合(項番8、9)
この場合には、
図3の8及び9行目に示すように、(6A)加速度センサによって検知される超音波診断画像処理プローブ装置10の傾きの変化パターンと圧力センサによって検知される圧力の変化パターンの組み合わせに基づき無線制御部143が超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法(項番8)と、(6B)加速度センサによって検知される振動の変化パターンと圧力センサによって検知される圧力の変化パターンの組み合わせに基づき無線制御部143が超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法(項番9)の2種類がある。
【0056】
(6A)無線制御部143が加速度センサにより検知される傾きの変化パターン及び圧力センサにて検知される圧力の変化パターンの組み合わせに基づき超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法を採用する場合(項番8)には、(6A-a)センサ部15を構成する加速度センサのセンサ信号に基づき無線制御部143が傾き検知のため算出した合成加速度が定常状態であり、かつ、圧力センサにて検知される圧力値が無圧力の状態で一定時間以上(例えば、1分間以上)維持された場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たすものと判定する一方、(6A-b)加速度センサのZ軸及びY軸の出力値が閾値を超え、かつ、圧力センサにて検知される圧力値が閾値を超えた状態で一定時間以上(例えば、5秒間以上)維持された場合に、無線制御部143が利用開始条件を満たすものと判定するようにすればよい。
【0057】
(6B)無線制御部143が加速度センサにて検知される振動の変化パターン及び圧力センサにて検知される圧力の変化パターンの組み合わせに基づき超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する方法を採用する場合(項番9)には、(6B-a)センサ部15を構成する加速度センサのセンサ信号に基づき、無線制御部143が振動検知のために算出した合成加速度が定常状態であり、かつ、圧力センサにて検知される圧力値が無圧力の状態で一定時間以上(例えば、1分間以上)維持された場合に、無線制御部143が利用停止条件を満たすものと判定する一方、(6B-b)加速度センサのセンサ信号から振動検知のため無線制御部143が算出した合成加速度が変化しており、かつ、圧力センサにて検知される圧力値が閾値を超えた状態で一定時間以上(例えば、5秒間以上)維持された場合に無線制御部143が利用開始条件を満たすものと判定するようにすればよい。本方法を採用すれば、装置の傾きのみならず振動の変化パターンと圧力の変化パターンに基づき利用停止及び開始を検知することが可能になるので、様々な視点から装置の利用停止及び開始を高精度に検知でき、利用状況に応じて正確にモードの切り替え制御を実現できる。
【0058】
以上説明した各条件に対応する利用停止条件データ及び利用開始条件データを予めメモリ18に記録し、当該データに基づき、無線制御部143が、超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を判定する。なお、メモリ18に予め記録する利用停止条件データ及び利用開始条件データは、実際にセンサ部15として搭載されるセンサの種別や利用する検知結果に対応する一組のデータセットのみであってもよく、全てのセンサ及び検知結果の種別に対応する利用開始条件データを予めメモリ18上に記録しておくとともに、センサ部15を外付けする構成を採用し、取り付けられたセンサの種別と利用する検知結果の種別に応じて操作者が実際に利用する利用停止条件データ及び利用開始条件データを選択する構成とすることも可能である。
【0059】
[4]超音波画像診断システム1の動作
次いで、本実施形態の超音波画像診断システム1の動作について説明する。なお、本実施形態の超音波画像診断システム1の動作は、超音波診断画像処理プローブ装置10の無線送受信部16が通信稼働モードから通信停止モードに移行する場合と、通信停止モードから通信稼働モードに復帰する場合で異なるため、以下、各場合について
図4及び5を用いて説明する。
【0060】
[4.1]無線送受信部16が通信停止モードから通信稼働モードに復帰する際の動作
まず、
図4を用いて、無線送受信部16が通信停止モード下にある状態においてセンサ部15から供給されるセンサ信号値の変化パターンが利用開始条件を満たし、無線送受信部16を通信稼働モードに復帰させる際の動作について説明する。なお、
図4は、本実施形態の超音波画像診断システム1において超音波診断画像処理プローブ装置10の無線送受信部16が通信停止モード下にある状態においてセンサ信号値の変化パターンが利用開始条件を満たした場合における超音波画像診断システム1の動作を示すシーケンス図である。また、本動作に先立って、表示装置20においては表示アプリが実行中の状態になっているとともに、無線送受信部16は通信停止モードとなっているものとする。
【0061】
まず、超音波診断画像処理プローブ装置10においては、センサ部15が自機の利用状態を検知しつつ当該利用状態を示すセンサ信号を生成し(ステップSa1)、制御部14に供給する(ステップSa2)。
【0062】
一方、制御部14においては、無線制御部143がメモリ18内に記録された利用開始条件データを読み出し、当該利用開始条件データとセンサ部15から供給されるセンサ信号との比較処理を実行する(ステップSa3)。このとき、無線制御部143は、自機に搭載されたセンサ及び利用する検知結果の種別に対応する利用開始条件データに基づき、超音波診断画像処理プローブ装置10利用が開始されたか否かを判定する。そして、無線制御部143は、比較処理によりセンサ信号値の変化パターンが利用開始条件を満たしたことを検知すると(ステップSa4)、無線送受信部16に対して通信稼働モードへの復帰を指示する制御信号を出力する(ステップSa5)。
【0063】
このようにして、無線制御部143から復帰指示の制御信号が入力されると、無線送受信部16は、通信稼働モードに移行し(ステップSa6)、表示装置20が表示アプリに従って送信する接続要求信号(Probe request)の受信待機状態に移行する(ステップSa6)。そして、表示装置20からProbe requestを受信すると(ステップSa7)、無線送受信部16は、無線制御部143と連動して、当該Probe requestに含まれるESSIDとメモリ18内のESSIDを比較し、両者が一致すると当該表示装置20に対して接続応答信号(Probe response)を返信した後(ステップSa8)、認証シーケンス(ステップSa9)に移行する。この認証シーケンスにおいて無線制御部143は、無線送受信部16と連動して、表示装置20にAuthentication requestを送信した後(ステップSa911)、表示装置20からの応答を待機する。
【0064】
一方、表示装置20は、受信したAuthentication requestに対してAckを返信した後(ステップSa912)、Authentication responseを送信して(ステップSa913)、超音波診断画像処理プローブ装置10からの応答を待機する。そして、超音波診断画像処理プローブ装置10からAckを受信し(ステップSa914)、Authenticationシーケンス(ステップSa91)が完了すると、無線制御部143は、Associationシーケンス(ステップSa92)を実行するため、無線送受信部16と連動して表示装置20にAssociation requestを送信し(ステップSa921)、表示装置20からの応答を待機する。
【0065】
次いで、表示装置20は、超音波診断画像処理プローブ装置10に対してAckを送信した後(ステップSa922)、Association responseを送信して(ステップSa923)、超音波診断画像処理プローブ装置10からの応答を待機し、超音波診断画像処理プローブ装置10からAckを受信した時点で(ステップSa924)、Associationシーケンス(ステップSa92)が完了し、超音波診断画像処理プローブ装置10と表示装置20の間において暗号化及び復号用の鍵のやりとりを完了した時点で両装置10及び20の間に通信コネクションが確立する。なお、この際の詳細な処理シーケンスは、IEEE80.11系の通信規格と同様である。
【0066】
このようにして、両装置10及び20間に通信コネクションが確立すると、超音波診断画像処理プローブ装置10においては無線制御部143が画像処理部142によって生成された超音波診断画像データ(抜き出した超音波診断画像フレーム及び音声データを含んでも良い)を、所定サイズのペイロードを有するパケットに格納しつつ無線送受信部16を介して順次表示装置20に送信する(ステップSa10)。そして、表示装置20は、超音波診断画像処理プローブ装置10からパケットを受信する度、Ackを返信しつつ(ステップSa11)、当該受信パケットに収容された超音波診断画像データに基づく表示処理を実行して、超音波診断画像を表示させる(ステップSa12)。なお、超音波診断画像データの送信処理(ステップSa10)、Ackの送受信処理(ステップSa11)及び表示処理(ステップSa12)の処理タイミングに関しては任意であり、例えば、パケットを受信する都度(ステップSa10)、Ackを返信しつつ(ステップSa11)、数秒~数十秒間分の超音波診断画像データを表示装置20の図示せぬメモリ上にバッファリングして表示するようにしても良く、フレーム単位でバッファリングしつつ、表示処理を行うようにしてもよい。また、超音波診断画像処理プローブ装置10からスクリーンキャプチャボタンの操作タイミングにて撮影された超音波診断画像フレームを抜き出す構成を採用する場合には、表示装置20にて表示領域を分けつつ、1の表示領域に動画像を表示し、他の表示領域に抜き出された静止画フレームを表示する構成としてもよく、操作者の操作に応じて動画像としての超音波診断画像と抜き出された静止画フレームの表示を切り替える構成としてもよい。そして、(ケースa)両装置10及び20間の通信コネクションが解放された場合及び(ケースb)超音波診断画像処理プローブ装置10又は表示装置20の電源がOFFにされた場合のいずれかのケースが発生するまでステップSa10~12の処理を繰り返し、いずれかのケースが発生すると超音波画像診断システム1における超音波診断画像の表示が終了する。
【0067】
[4.2]無線送受信部16が通信稼働モードから通信停止モードに移行する際の動作
次いで、
図5を用いて、無線送受信部16が通信稼働モード下にある状態においてセンサ部15から供給されるセンサ信号値の変化パターンが利用停止条件を満たし、無線送受信部16を通信停止モードに移行させる際の動作について説明する。なお、
図5は、本実施形態の超音波画像診断システム1において超音波診断画像処理プローブ装置10の無線送受信部16が通信稼働モード下にある状態においてセンサ信号値の変化パターンが利用停止条件を満たした場合における超音波画像診断システム1の動作を示すシーケンス図である。また、本動作に先立ち、表示装置20においては表示アプリが実行中の状態になっているとともに、無線送受信部16が通信稼働モードになっているものとする。
【0068】
無線送受信部16が通信稼働モードから通信停止モードに移行する場合、超音波診断画像処理プローブ装置10においては無線制御部143が、画像処理部142によって生成された超音波診断画像データを、所定サイズのペイロードを有するパケットに収容しつつ無線送受信部16を介して順次表示装置20に送信し(ステップSb1及び2)、表示装置20は、超音波診断画像処理プローブ装置10からパケットを受信する都度、Ackを返信しつつ(ステップSb3)、当該受信パケットに収容された超音波診断画像データに基づく表示処理(ステップSb4)を実行して、超音波診断画像を表示させている状態になっている。なお、この際の動作は、上記
図4のステップSa10~12と同様である。
【0069】
この状態において超音波診断画像処理プローブ装置10のセンサ部15は、自機の利用状態を検知して当該利用状態を示すセンサ信号を生成し(ステップSb5)、制御部14に供給する(ステップSb6)。
【0070】
一方、制御部14においては、無線制御部143がメモリ18内に記録された利用停止条件データを読み出して、当該利用停止条件データとセンサ部15から供給されるセンサ信号の比較処理を実行する(ステップSb7)。そして、無線制御部143は、センサ信号値の変化パターンが利用停止条件を満たしたことを検知すると(ステップSb8)、無線送受信部16に対して通信停止モードへの移行を指示する制御信号を出力する(ステップSb9)。このようにして、無線制御部143から通信停止モードへの移行を指示する制御信号が入力されると、無線送受信部16は、表示装置20との間に確立済みの通信コネクションを解放した後、通信停止モードに移行し(ステップSb10)、処理を終了する。
【0071】
以上説明したように本実施形態の超音波画像診断システム1においては、超音波診断画像処理プローブ装置10に自機の利用状態を検知するセンサ部15を設け、超音波診断画像処理プローブ装置10の無線送受信部16が通信稼働モード下にある状態においてセンサ部15により検知されるセンサ信号値の変化パターンが利用停止条件を満たすと、無線送受信部16を自動的に通信停止モードに移行させることができる。この結果、本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10は、超音波診断画像処理プローブ装置10自体の消費電力を削減して、内蔵バッテリを大容量化することなく内蔵バッテリにより実現可能な診断可能時間を延長して超音波診断画像処理プローブ装置10の利便性を損なうことなく、長い診断可能時間の確保することができる。また、本実施形態の超音波診断画像処理プローブ装置10は、無線送受信部16が通信停止モード下にある状態においてセンサ信号値の変化パターンが利用開始条件を満たすと、操作者の特別な操作を必要とせずに自動的に無線送受信部16を通信稼働モードに移行させつつ、超音波診断画像データを送信可能な状態に復帰させることができるので操作者の利便性をさらに向上させることができる。
【0072】
[5]変形例
[5.1]変形例1
上記実施形態においては超音波画像診断システム1を1台の超音波診断画像処理プローブ装置10と1台の表示装置20により構成し、1:1の運用形態を実現する場合を例に説明を行ったが、1台の表示装置20と複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10により超音波画像診断システム1を構成し、1:Nの運用形態を実現するようにしてもよい。例えば、上記のように形状及び利用周波数帯の異なる複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10を診断対象部位に応じて切り替えつつ1台の表示装置20により運用するケースがこれに該当する。
【0073】
この場合においても、各超音波診断画像処理プローブ装置10の構成及び超音波画像診断システム1の動作は、基本的に上記実施形態と同様となるが、複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10によって超音波画像診断システム1を構成し、1台の表示装置20にて運用する場合には、いずれかの超音波診断画像処理プローブ装置10と通信コネクションを確立し、当該超音波診断画像処理プローブ装置10から超音波診断画像データを取得している状態において、当該超音波診断画像処理プローブ装置10が通信稼働モードから通信停止モードに移行して通信コネクションが解放されてしまうと、超音波診断画像の表示が停止してしまう。このため、継続して超音波診断画像の表示させる場合には、通信稼働モードに再復帰した当該超音波診断画像処理プローブ装置10又は通信稼働モード下にある他の超音波診断画像処理プローブ装置10との間において通信コネクションを再度確立し、当該超音波診断画像処理プローブ装置10から超音波診断画像データを取得することが必要となる。なお、この際の動作は、基本的に
図4と同様である。
【0074】
但し、超音波画像診断システム1を複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10により構成した場合には、超音波画像診断システム1を構成する複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10が同時に通信停止モードから通信稼働モードに移行するケースが発生し得る。このような場合に、本変形例の超音波画像診断システム1において実行される処理は、上記実施形態における動作(
図4)とは異なったものになるので、以下、本変形例の超音波画像診断システム1において複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10が同時に通信停止モードから通信稼働モードに移行した場合の動作について
図6を用いて説明する。なお、
図6は、本変形例の超音波画像診断システム1において複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10が同時に通信停止モードから通信稼働モードに移行した場合における超音波画像診断システム1の動作を示すシーケンス図である。また、本動作に先立ち、表示装置20においては表示アプリが実行中の状態になっているものとする。さらに、表示装置20の図示せぬメモリには、予め自機にて運用する各超音波診断画像処理プローブ装置10に対応するESSIDと暗号化及び復号用の鍵のデータが格納済であるものとする。
【0075】
まず、超音波画像診断システム1を構成する複数の超音波診断画像処理プローブ装置10の内、「ESSID=ABC」にて特定される超音波診断画像処理プローブ装置10-A(以下「超音波診断画像処理プローブ装置A」ともいう。)及び「ESSID=XYZ」にて特定される超音波診断画像処理プローブ装置10-B(以下「超音波診断画像処理プローブ装置B」ともいう。)の2台にてセンサ信号値の変化パターンがタイミングt1において同時に利用開始条件を満たすと、2台の超音波診断画像処理プローブ装置A及びBが同時に通信停止モードから通信稼働モードに復帰して(ステップSc1)、通信稼働モードに復帰した2台の超音波診断画像処理プローブ装置A及びBは、同時に表示装置20から送信されるprobe request(ステップSc2)の受信を待機する状態となる。
【0076】
この状態において、表示装置20は、例えば、前回接続していた超音波診断画像処理プローブ装置10に対する通信コネクションの確立を試みるため、前回接続していた超音波診断画像処理プローブ装置10のESSID(例えば、ESSID=ABC)を格納したprobe requestをシステム内の全ての超音波診断画像処理プローブ装置10に対して同報送信する(ステップSc2)。なお、前回接続していた超音波診断画像処理プローブ装置10のESSIDは、表示装置20の図示せぬメモリ上に暗号化及び復号用の鍵とともに格納しておく構成とすれば良い。
【0077】
この結果、表示装置20によって送信されたprobe requestは、超音波診断画像処理プローブ装置A及びBを含む通信範囲内に存在し、かつ、通信稼働モード下にある全ての超音波診断画像処理プローブ装置10によって受信されることになる。このとき、超音波診断画像処理プローブ装置Bは、probe requestに含まれるESSID(ABC)と自機のESSID(すなわち、XYZ)が不一致となるため、probe requestに対して応答することなく、通信稼働モードを維持し、後にセンサ信号値の変化パターンが利用停止条件を満たした時点で通信停止モードに移行して省電力状態となる。なお、「ABC」以外のESSIDを有する他の超音波診断画像処理プローブ装置10に関しても超音波診断画像処理プローブ装置Bと同様の処理が実行されることとなる。
【0078】
一方、超音波診断画像処理プローブ装置Aは、probe requestに含まれるESSID(ABC)と同一のESSIDを有しているため、表示装置20からprobe requestを受信すると(ステップSc2)、表示装置20に対してprobe responseを返信した後(ステップSc3)、表示装置20とAuthenticationシーケンス(ステップSc4)を実行するため、表示装置20にAuthentication requestを送信して(ステップSc41)、表示装置20からの応答を待機する。
【0079】
このようにして、Authentication requestを受信すると、表示装置20は、Ackを返信した後(ステップSc42)、Authentication responseを超音波診断画像処理プローブ装置Aに送信し(ステップSc43)、超音波診断画像処理プローブ装置AからのAck受信(ステップSc44)を待機してAckを受信した時点でAuthenticationシーケンス(ステップSc4)が完了する。
【0080】
また、超音波診断画像処理プローブ装置Aは、Authenticationシーケンスの完了後、Associationシーケンス(Sc5)を実行するため、表示装置20に対してAssociation requestを送信して(ステップSc51)、表示装置20からの応答を待機する。
【0081】
一方、表示装置20は、Association requestを受信すると(ステップSc51)、超音波診断画像処理プローブ装置Aに対して、Ackを返信した後(ステップSc52)、Association responseを送信し(ステップSc53)、超音波診断画像処理プローブ装置AからのAck受信を待機して、Ackを受信した時点で(ステップSc54)、Associationシーケンス(ステップSc5)を終了する。
【0082】
以上の処理の後、暗号化及び復号用の鍵のデータに関するやりとりを行い、超音波画像診断システム1を構成する複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10の内、前回接続していた超音波診断画像処理プローブ装置Aとの間の通信コネクションが再確立されると、超音波診断画像処理プローブ装置Aから表示装置20に対して順次、超音波診断画像データがパケットに格納された状態で送信され(ステップSc6)、表示装置20は、パケットを受信する度、超音波診断画像処理プローブ装置AにAckを返信し(ステップSc7)、表示処理(ステップSc8)を実行する。この結果、表示装置20においては、超音波診断画像処理プローブ装置Aにおいて撮影された超音波診断画像が表示されることとなるが、この際の動作に関しては、上記ステップSa10~12と同様である。そして、超音波診断画像処理プローブ装置Aにおいて上記ケースa及びbのいずれかのケースが発生するまでステップSc6~8の処理が繰り返され、いずれかのケースが発生すると超音波画像診断システム1における処理が終了する。なお、
図6においては、前回接続していた超音波診断画像処理プローブ装置10(すなわち、超音波診断画像処理プローブ装置A)との間に通信コネクションを再確立して当該超音波診断画像処理プローブ装置10にて撮影及び生成された超音波診断画像データを表示装置20にて表示する場合の処理例を示したが、表示装置20において診断部位に応じて操作者が選択した他の超音波診断画像処理プローブ装置10との間に通信コネクションを新たに確立する構成とすることも可能である。この場合には、利用可能な超音波診断画像処理プローブ装置10の一覧(すなわち、超音波画像診断システム1を構成する超音波診断画像処理プローブ装置10の一覧)を表示装置20において表示させ、操作者が選択した1の超音波診断画像処理プローブ装置10に対応するESSIDを含むprobe requestをステップSc2において表示装置20が送信するようにする。例えば、操作者によって超音波診断画像処理プローブ装置Bが選択された場合に表示装置20は、ステップSc2においてESSIDとして「XYZ」を含むprobe requestを送信し、超音波診断画像処理プローブ装置Bとの間において新たに通信コネクションを確立し(ステップSc3~5)、超音波診断画像処理プローブ装置Bにて生成された超音波診断画像データを取得しつつ、表示装置20において超音波診断画像を表示させるようにすれば良い(ステップSc6~8)。そして、当該超音波診断画像処理プローブ装置10(例えば、超音波診断画像処理プローブ装置B)にて上記ケースa及びbのいずれかが発生した場合に処理を終了する。なお、このとき操作者が、通信停止モード下にある超音波診断画像処理プローブ装置10(
図6に示す例の場合には、既に通信稼働モードに復帰している超音波診断画像処理プローブ装置A及びB以外の超音波診断画像処理プローブ装置10)を選択するケースも想定される。この場合、表示装置20がprobe requestを送信した後(ステップSc2)、所定時間以上、表示装置20がprobe response(ステップSc3)を受信しない状態が継続することとなる。この場合における対処方法としては、(方法1)予め設定した時間の経過後、通信タイムアウトが発生したものとして、例えば、「利用する超音波診断画像処理プローブ装置を10秒間動かして下さい。」等の文字列を表示するとともに音声ガイダンスを流し、当該超音波診断画像処理プローブ装置10を通信稼働モードに復帰させるよう操作者に促して、その後所定時間経過後(例えば、30秒~1分後)に当該超音波診断画像処理プローブ装置10のESSIDを含むprobe requestを再送信する方法と(方法2)他の超音波診断画像処理プローブ装置10を選択するよう指示を表示する方法のいずれかを採用することができる。いずれの方法を採用した場合であっても、操作者の選択した1の超音波診断画像処理プローブ装置10と表示装置20の間において通信コネクションを確立し、当該超音波診断画像処理プローブ装置10にて生成された超音波診断画像データを取得しつつ表示することが可能となる。
【0083】
以上説明したように本変形例によれば、複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10と1台の表示装置20によって超音波画像診断システム1を構成し、1台の表示装置20により複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10を運用する場合であっても、適切に各超音波診断画像処理プローブ装置10と通信コネクションを確立し、当該超音波診断画像処理プローブ装置10によって生成された超音波診断画像データに基づく表示を実現できるとともに、当該超音波診断画像処理プローブ装置10が超音波診断画像データの表示中に通信停止モードに移行した場合であっても、通信稼働モードに再復帰した当該超音波診断画像処理プローブ装置10又は通信稼働モード下にある他の超音波診断画像処理プローブ装置10との間に新たに通信コネクションを確立して、超音波診断画像を表示装置20において表示させることが可能となる。この結果、本変形例によれば、診断対象部位に応じて形状や利用周波数帯の異なる複数台の超音波診断画像処理プローブ装置10を1台の表示装置20にて使い分ける等、コストを大きく増大させることなく、様々な部位の超音波画像診断を実現できるとともに、システム構成時の自由度を格段に向上させ、ユーザフレンドリーなシステム構築を実現できる。また、各超音波診断画像処理プローブ装置10は利用状態に応じてモードの切り替えがなされるので、利便性を損なうことなく長い診断可能時間を確保することができる。なお、本変形例の構成において前回接続していた超音波診断画像処理プローブ装置10から利用する超音波診断画像処理プローブ装置10を切り替えたいという場合には、当該超音波診断画像処理プローブ装置10の電源を落とせば(利用を止めれば)、表示装置20が自動的に通信稼働モード下にある他の超音波診断画像処理プローブ装置10と自動的に通信コネクションを確立する構成を採用することもできる。この場合、表示装置20がメモリ内に記録済みのESSIDを順番に切り替えながら、当該ESSIDを含むprobe requestを複数回送信して、総当たり的に通信稼働モード下にある超音波診断画像処理プローブ装置10を検索し、当該超音波診断画像処理プローブ装置10と通信コネクションを確立するようにすればよい。
【0084】
[4.2]変形例2
上記実施形態においては、センサ部15として、傾斜センサ、加速度センサ、スイッチ、圧力センサ及びこれらの組み合わせを用いて超音波診断画像処理プローブ装置10の利用状態を推定し、利用開始及び利用停止を判定する構成を採用したが、センサ部15として用いるセンサの種別は、温度センサなど他のセンサを用いる構成とすることも可能である。また、上記実施形態においては、利用開始条件及び利用停止条件の一例を提示したが、各条件の具体的な内容に関しては任意であり、要は利用するセンサの機能に応じて超音波診断画像処理プローブ装置10の利用停止及び開始を適切に推定可能な条件であれば、いかなる条件を設定してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…超音波画像診断システム、10、10-A、10-B…超音波診断画像処理プローブ装置、11…振動子アレイ、111…送受信面、112…超音波振動子、12…超音波駆動部、13…超音波受信部、14…制御部、141…信号処理部、142…画像処理部、143…無線制御部、15…センサ部、16…無線送受信部、17…操作部、18…メモリ