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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064942
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
B65D47/08 120
B65D47/08 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175414
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】島田 知
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA32
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB03
3E084DB05
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA04
3E084EC03
3E084FA03
3E084FC09
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084GB08
3E084GB17
3E084KA12
3E084KB01
3E084LA03
3E084LA07
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】上蓋6を閉位置に旋回せしめて係止片56を被係止片40に弾性的に係止させる際に、係止片56が座屈することが防止される、新規の合成樹脂製容器蓋及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】係止片56が、破断可能橋絡部70よりも下方において径方向外側に延出して且つ上蓋6が閉位置に旋回せしめられる際に上方から押圧可能なフランジ部74を備えるように構成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体、及びヒンジ手段を介して該蓋本体に接続され、該蓋本体の上面を覆う閉位置と該蓋本体の上面を露呈させる開位置との間を旋回自在に該蓋本体に接続された上蓋を具備し、
該蓋本体は閉塞壁及び該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁を、該上蓋は天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を夫々含み、
該スカート壁には破断可能橋絡部を介して下方に延びる係止片が配設されていると共に該装着壁には被係止片が配設されており、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると該係止片が該被係止片に弾性的に係止せしめられ、該上蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離される合成樹脂製容器蓋において、
該係止片は、該破断可能橋絡部よりも下方において径方向外側に延出して且つ該上蓋が該閉位置に旋回せしめられる際に上方から押圧可能なフランジ部を備えている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該フランジ部の径方向外側端は該スカート壁の外周面よりも径方向外側に位置する、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該スカート壁の外周面には径方向外側に突出する突出部が設けられており、該破断可能橋絡部は該突出部の下面に設けられている、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
該上蓋が該閉位置に旋回せしめられて且つ該破断可能橋絡部が破断される前の状態にあっては、該破断可能橋絡部は上下方向において該スカート壁の下端位置と同高又はこれよりも僅かに下方に位置する、請求項3に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項5】
該係止片の下端部には径方向外側に延出する係止上面を備えた突部が、該被係止片には該装着壁の外周面から径方向外側に離隔して該外周面に沿って周方向に延在する帯状主部が夫々設けられ、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると、該係止片の該突部が該被係止片の該主部と該装着壁との間を通過し、該上蓋が該閉位置から該開位置に向かって旋回せしめられると、該突部の該係止上面が該被係止片の該主部の下面に係止せしめられる、請求項1乃至4のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項6】
該突部は該係止上面の径方向外側端から下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面を備えている、請求項5に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項7】
該突部の周方向幅は下方に向かって漸次低減する、請求項5又は6に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項8】
該破断可能橋絡部が破断せしめられた後にあっては、該係止片の該フランジ部の下面は該被係止片の該主部の上面に係止せしめられる、請求項5乃至7のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項9】
該係止片及び該被係止片は夫々、平面視において、該ヒンジ手段の周方向中央角度位置を通過する直径に対して垂直な直径方向の両側に設けられている、請求項1乃至8のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項10】
該閉塞壁には無端薄肉破断可能ラインによって除去領域が規定され、該除去領域の上面には、上方に延出する連結柱が配設されており、該連結柱の上端には引張リングが連結されている、請求項1乃至9のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋を製造する方法において、
該上蓋を該閉位置に旋回せしめる際に、該天面壁と共に該係止片の該フランジ部を下方に向かって押圧する、製造方法。
【請求項12】
請求項11において請求項3を引用する合成樹脂製容器蓋を製造する方法にあっては、該上蓋を該閉位置に旋回せしめる際に、該突出部の上端面をも下方に向かって押圧する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋本体、及びヒンジ手段を介して蓋本体に接続され、蓋本体を覆う閉位置と蓋本体を露呈させる開位置との間を旋回自在に蓋本体に接続された上蓋を具備する容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋本体、及びヒンジ手段を介して蓋本体に接続され、蓋本体を覆う閉位置と蓋本体を露呈させる開位置との間を旋回自在に蓋本体に接続された上蓋を具備する容器蓋の一例として、下記特許文献1には、該蓋本体は閉塞壁及び該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁を含み、該閉塞壁には無端薄肉破断可能ラインが形成されており、該上蓋は天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を含み、該スカート壁には破断可能橋絡部を介して下方に延びる係止片が配設されていると共に該装着壁には被係止片が配設されており、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると該係止片が該被係止片に弾性的に係止せしめられ、該上蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離される合成樹脂製容器蓋が示されている。
【0003】
特許文献1に示された合成樹脂製容器蓋にあっては、上蓋が閉位置から開位置に向かって旋回せしめられる際に破断可能橋絡部が破断されることで、蓋本体に対して上蓋が開封されたことが明示されるため、所謂タンパーエビデント特性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4916234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示された合成樹脂製容器蓋は蓋本体に対して上蓋が開位置にある状態で成形機により成形されるため、成形された容器蓋は成形機から取り出された後に蓋本体に対して上蓋が閉位置に強制的に旋回せしめられる。上蓋が閉位置に旋回せしめられる最終工程において、上蓋は折り曲げ機によって下方に押圧され、係止片は被係止片を弾性的に乗り越えてこれに係止せしめられる。係止片が被係止片を乗り越える際には抵抗が作用する。ここで、上記特許文献1に示された合成樹脂製容器蓋にあっては、係止片はスカート壁の下端から下方に延びて全体がスカート壁の外周面よりも径方向内側に変位せしめられていることから、天面壁のみが折り曲げ機によって下方に押圧される。そのため、上記特許文献1に示された合成樹脂製容器蓋にあっては、天面壁に付与された押圧力が係止片に集中して、係止片が破断可能橋絡部を基端として座屈してしまうことがある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上蓋を閉位置に旋回せしめて係止片を被係止片に弾性的に係止させる際に、係止片が座屈することが防止される、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討の結果、係止片が、破断可能橋絡部よりも下方において径方向外側に延出して且つ上蓋が閉位置に旋回せしめられる際に上方から押圧可能なフランジ部を備えることによって、上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記主たる技術的課題を解決する合成樹脂製容器蓋として、蓋本体、及びヒンジ手段を介して該蓋本体に接続され、該蓋本体の上面を覆う閉位置と該蓋本体の上面を露呈させる開位置との間を旋回自在に該蓋本体に接続された上蓋を具備し、
該蓋本体は閉塞壁及び該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁を、該上蓋は天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を夫々含み、
該スカート壁には破断可能橋絡部を介して下方に延びる係止片が配設されていると共に該装着壁には被係止片が配設されており、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると該係止片が該被係止片に弾性的に係止せしめられ、該上蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離される合成樹脂製容器蓋において、
該係止片は、該破断可能橋絡部よりも下方において径方向外側に延出して且つ該上蓋が該閉位置に旋回せしめられる際に上方から押圧可能なフランジ部を備えている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0009】
好ましくは、該フランジ部の径方向外側端は該スカート壁の外周面よりも径方向外側に位置する。該スカート壁の外周面には径方向外側に突出する突出部が設けられており、該破断可能橋絡部は該突出部の下面に設けられているのがよい。この場合には、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられて且つ該破断可能橋絡部が破断される前の状態にあっては、該破断可能橋絡部は上下方向において該スカート壁の下端位置と同高又はこれよりも僅かに下方に位置するのがよい。好適には、該係止片の下端部には径方向外側に延出する係止上面を備えた突部が、該被係止片には該装着壁の外周面から径方向外側に離隔して該外周面に沿って周方向に延在する帯状主部が夫々設けられ、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると、該係止片の該突部が該被係止片の該主部と該装着壁との間を通過し、該上蓋が該閉位置から該開位置に向かって旋回せしめられると、該突部の該係止上面が該被係止片の該主部の下面に係止せしめられる。この場合には、該突部は該係止上面の径方向外側端から下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面を備えているのがよく、また、該突部の周方向幅は下方に向かって漸次低減するのが好ましく、該破断可能橋絡部が破断せしめられた後にあっては、該係止片の該フランジ部の下面は該被係止片の該主部の上面に係止せしめられるのが好適である。該係止片及び該被係止片は夫々、平面視において、該ヒンジ手段の周方向中央角度位置を通過する直径に対して垂直な直径方向の両側に設けられているのが好ましい。好適には、該閉塞壁には無端薄肉破断可能ラインによって除去領域が規定され、該除去領域の上面には、上方に延出する連結柱が配設されており、該連結柱の上端には引張リングが連結されている。
【0010】
本発明の第二の局面によれば、上記主たる技術的課題を解決する合成樹脂製容器蓋の製造方法として、該上蓋を該閉位置に旋回せしめる際に、該天面壁と共に該係止片の該フランジ部を下方に向かって押圧する、製造方法が提供される。
【0011】
本発明の第二の局面による製造方法において、該スカート壁の外周面には径方向外側に突出する突出部が設けられており、該破断可能橋絡部は該突出部の下面に接続されている場合には、該上蓋を該閉位置に旋回せしめる際に、該突出部の上端面をも下方に向かって押圧するのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の合成樹脂製容器蓋にあっては、係止片が破断可能橋絡部よりも下方において径方向外側に延出するフランジ部を備えており、上蓋を閉位置に旋回せしめて係止片を被係止片に弾性的に係止させる際には、天面壁と共に、係止片が備えるフランジ部をも下方に押圧することができるため、これにより係止片の姿勢が保持されて、係止片は座屈することなく被係止片に弾性的に係止せしめられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋における、上蓋が開位置にある状態の平面図。
図2図1に示す状態の底面図。
図3図1に示す状態の正面図。
図4図1に示す状態のA-A線断面図。
図5図1に示す状態の左側面図において、上蓋を省略して示す図。
図6図1に示す状態の右側面図において、蓋本体を省略して示す図。
図7-1】図1に示す合成樹脂製容器蓋を閉位置に旋回せしめる工程を示す図。
図7-2】図1に示す合成樹脂製容器蓋を閉位置に旋回せしめる工程を示す図。
図7-3】図1に示す合成樹脂製容器蓋を閉位置に旋回せしめる工程を示す図。
図8図1に示す合成樹脂製容器蓋における、上蓋が閉位置にある状態の正面図。
図9図8に示す状態の左側面図。
図10図8に示す状態から上蓋が蓋本体に対して旋回せしめられて開位置にある状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。ここで、本明細書における上下方向は、特段の指定がない限り、上蓋が後述する閉位置にある状態を基準とする。従って、上蓋が後述する開位置にある状態にあっては、上下方向は反転する。
【0015】
図1乃至図6を参照して説明すると、全体を番号2で示す合成樹脂製容器蓋は、蓋本体4及び上蓋6を具備しており、蓋本体4と上蓋6とはヒンジ手段8を介して接続されている。
【0016】
主に図1及び図4を参照して説明すると、蓋本体4は平面視において円形の閉塞壁10及びこの閉塞壁10の周縁から垂下する円筒形状の装着壁12を含んでいる。図4に示すとおり、閉塞壁10は下方に凹んだすり鉢状の中央部14とこの中央部14を囲繞する略円環形状の外周部16とに区画される。中央部14は閉塞壁10の軸線方向中心に対してヒンジ手段8とは直径方向の反対側に幾分変位して位置する。閉塞壁10の中央部14には無端薄肉破断可能ライン18によって除去領域20が規定されている。無端薄肉破断可能ライン18は閉塞壁10の厚さを局部的に低減せしめることによって形成される所謂スコアから構成される。除去領域20の上面には、上方に延出する連結柱22が配設されており、連結柱22の上端には引張リング24が連結されている。中央部14と外周部16との境界部分には閉塞壁10の上面から上方に延びる円筒形状の注出案内壁26が形成されている。注出案内壁26の延出端部つまり上端部は径方向外側に湾曲せしめられたリップ形状となっている。外周部16の上面、さらに詳しくは閉塞壁10の上面の外周縁部には、上方に向かって径方向外側に延びる円筒形状の係合壁28が設けられており、係合壁28の外周面の上端部には径方向外側に突出する係合突条30が形成されている。外周部16の下面には、下方に垂下する円筒形状のシール壁32が形成されている。
【0017】
装着壁12の内周面下端部には係止手段34が配設されている。図示の実施形態においては、図2に示すとおり、係止手段34は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個(図示の実施形態においては6個)の弧状突条から構成されている。所望ならば、係止手段を周方向に連続して延びる環状突条から構成することもできる。図1及び図4と共に図5も参照することによって理解されるとおり、装着壁12においてヒンジ手段8とは直径方向反対側に位置する所要角度領域には、装着壁12の上部において円弧状に延びる切欠36が形成されており、かかる切欠36の下方における装着壁12の外周面には円弧状に延びる浅い凹部38が形成されている。装着壁12の外周面の所要部位には更に被係止片40も配設されている。被係止片40については後述する。図1に示すとおり、装着壁12には更に、上面が開放された有底環状溝42及び軸線方向スリット44を含む公知の分別機構が設けられており(図3及び図4も参照されたい)、容器蓋2が後述する容器の口頸部に装着されて使用された後に所要操作をすることで容器蓋2を口頸部から分離して廃棄することが可能となる。かような分別機構の詳細については、例えば本願に先立って本願の出願人によって出願されて既に特許された特許第6326472号公報を参照されたい。
【0018】
主に図1および図4を参照して説明を続けると、上蓋6は円形の天面壁46及びこの天面壁46の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁48を含んでおり、スカート壁48の外周面下端部が蓋本体4の装着壁12の外周面上端部にヒンジ手段8を介して連結されていて、上蓋6は蓋本体4の閉塞壁10の上面を覆う閉位置と蓋本体4の閉塞壁10の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回自在である。天面壁46の下面には下方に垂下する内側円筒壁50及び外側円筒壁52も形成されており、内側円筒壁50及び外側円筒壁52の間には2条の環状浅溝54が形成されている。図3に示すとおり、スカート壁48の外周面下端部の所要部位には係止片56が配設されている。係止片56については被係止片40と共に後述する。図1及び図4と共に図6も参照することによって理解されるとおり、スカート壁48の外周面下端部におけるヒンジ手段8とは直径方向の反対側の部位には、径方向外側に突出する鍔部58が配設されており、上蓋6を旋回開閉動する際に鍔部58に指を掛けることができる。スカート壁48の下面における直径方向に見て上記ヒンジ手段8とは反対側の部位には、下方に突出する薄肉弧状突出片60が形成されている。スカート壁48の内周面下端には環状被係合突条62が配設され、そしてまたスカート壁48の内周面には上記環状被係合突条62よりも上方に位置する環状当接突条64も配設されている。
【0019】
続いて、主に図1図3図5及び図6を参照して蓋本体4に配設された被係止片40及び上蓋6に配設された係止片56について説明する。図示の実施形態においては、係止片56及び被係止片40は夫々、平面視(つまり図1)において、ヒンジ手段8の周方向中央角度位置を通過する直径に対して垂直な直径方向の両側に1つずつ設けられている。図1図3及び図5を参照することによって理解されるとおり、被係止片40は装着壁12の外周面から径方向外側に離隔して装着壁12の外周面に沿って周方向に実質上水平に延在する帯状主部66と、帯状主部66の周方向両端において帯状主部66の内周面と装着壁12の外周面とを接続する一対の接続部68とを有し、側面視つまり図3において下方を向いたコの字形状となっている。例えば図7-1に示すとおり、帯状主部66の内周面上端部は下方に向かって径方向内側に傾斜する環状のテーパー面となっている。一方、図1図3及び図6を参照することによって理解されるとおり、係止片56は、破断可能橋絡部70を介してスカート壁48に配設され、スカート壁48の下端を超えて下方に延出している。図示の実施形態においては、スカート壁48の外周面には径方向外側に突出する突出部72が設けられており、破断可能橋絡部70は突出部72の下面に設けられている。ここで、本発明にあっては、係止片56は破断可能橋絡部70よりも下方において径方向外側に延出するフランジ部74を備えていることが重要である。図3及び図6に示すとおり、図示の実施形態においては、フランジ部74は破断可能橋絡部70の直下において径方向外側に実質上水平に延出しており、フランジ部74の径方向外側端は突出部72の外周面よりも径方向外側に(従ってスカート壁48の外周面よりも径方向外側に)位置している。係止片56の下端部には径方向外側に突出する突部76が形成されている。突部76は径方向外側に向かって実質上水平に延出する係止上面78と、係止上面78の径方向外側端から下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面80とを備えており、突部76の周方向幅は下方に向かって漸次低減している。突部76の係止上面78とフランジ部74の下面とは上下方向に所要の間隔をおいて位置する。
【0020】
上述した容器蓋2は、上蓋6が蓋本体4に対して開位置にある状態で成形機によって成形され、成形された容器蓋2は成形機から取り出された後に蓋本体4に対して上蓋6が閉位置に強制的に旋回せしめられる。上蓋6が閉位置に旋回せしめられる最終工程にあっては、上蓋6は折り曲げ機によって下方に押圧され、係止片56は被係止片40を弾性的に乗り越えてこれに係止せしめられる。図7-1乃至図7-3には全体を番号82で示す折り曲げ機によって上蓋6を下方に押圧する工程が示されている。折り曲げ機82は容器蓋2の蓋本体4を下方から支持する支持部84と容器蓋2の上蓋6を下方に押圧する押圧部86とを含んでいる。押圧部86は更に、中央の押圧主部88とこの押圧主部88の直径方向両側に配置された押圧補助部90とを有しており、押圧主部88及び押圧補助部90は一体となって上下方向に移動可能である。図7-1に示すとおり、押圧主部88の下面88aは平坦であってこれは天面壁46の上面を下方に押圧する。一方、押圧補助部90の下面は上下方向位置の異なる2つの平坦面を有しており、径方向内側に位置して比較的上方に位置する内側下面90aがスカート壁48に設けられた突出部72の上面を、径方向外側に位置して比較的下方に位置する外側下面90bが係止片56に設けられたフランジ部74の上面を夫々同時に下方に押圧する。
【0021】
図7-1には、上蓋6に設けられた係止片56の下端が蓋本体4に設けられた被係止片40よりも上方に離隔した状態が示されている。図7-1に示す状態から押圧部86が降下すると、これにより容器蓋2の上蓋6が蓋本体4に対して旋回閉動せしめられ、図7-2に示すとおり、上蓋6に設けられた係止片56が蓋本体4に設けられた被係止片40に当接する。図示の実施形態においては、被係止片40が有する帯状主部66の内周面上端部は下方に向かって径方向内側に傾斜する環状のテーパー面となっていると共に、係止片56の下端部に形成された突部76は下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面80を備えていることから、係止片56の下端部に形成された突部76は被係止片40の帯状主部66の内周面と装着壁12の外周面との間に円滑に案内される。図7-2に示す状態から押圧部86が更に降下すると、係止片56にあっては破断可能橋絡部70を基端として全体が径方向内側に、被係止片40にあってはその帯状主部66が径方向外側に夫々変位し、突部76が帯状主部66を弾性的に乗り越え、かくして図7-3に示すとおり、係止片56が被係止片40に弾性的に係止せしめられる(図8も参照されたい)。係止片56が被係止片40に係止せしめられた状態にあっては、係止片56のフランジ部74の下面と被係止片40の帯状主部66の上面との間には上下方向に幾分かの間隔が存在する。係止片56が被係止片40に係止せしめられた状態にあっては更に、破断可能橋絡部70は上下方向においてスカート壁48の下端位置と同高又はこれよりも僅かに下方に位置するのがよい。
【0022】
ここで、本発明の合成樹脂製容器蓋にあっては、係止片56は破断可能橋絡部70よりも下方において径方向外側に延出するフランジ部74を備えており、上蓋6を閉位置に旋回せしめて係止片56を被係止片40に係止させるべく係止片56が被係止片40を弾性的に乗り越える際には、所要の抵抗が生じるにも拘らず、天面壁46と共に、係止片56が備えるフランジ部74をも下方に押圧することができるため、これにより係止片56の姿勢が保持されて、係止片56は座屈することなく被係止片40に弾性的に係止せしめられる。
【0023】
上蓋6が閉位置に旋回せしめられると、図7-3に示すとおり、上蓋6の環状被係合突条62が蓋本体4の係合突条30の外周面乃至下面に係合され、上蓋6の環状当接突条64が蓋本体4の係合壁28の上端に当接され、上蓋6の内側円筒壁50の外周面が蓋本体4の注出案内壁26の内周面に密接せしめられると共に、図8及び図9に示すとおり、上蓋6の薄肉弧状突出片60が蓋本体4の切欠36に位置せしめられる。
【0024】
図4には、本発明に従って構成された容器蓋2と共にかかる容器蓋2が適用される容器の口頸部も二点鎖線で図示されている。適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部100は上面が開放された円筒形状であり、その外周面上端部には被係止突条102が形成されている。口頸部100の外周面には、更に、被係止突条102の下方に位置するサポートリング104(このサポートリング104は容器を搬送する際に利用される)も形成されている。図4に示す状態、つまり、上蓋6が開位置にあって且つ係止片56と被係止片40とが係止する前の状態で容器蓋2が容器の口頸部100に装着されることは実際にはあり得ないが、説明の便宜上図4に容器の口頸部100を示している。
【0025】
容器内に内容物を収容した後に口頸部100に容器蓋2を装着して口頸部100を密封する際には、容器蓋2さらに詳しくは蓋本体4に対して上蓋6が閉位置にせしめられた状態の容器蓋2を口頸部100に被嵌して下方に強制し、蓋本体4の装着壁12を弾性的に変形せしめて装着壁12の内周面に形成されている係止手段34を口頸部100の被係止突条102の下方に係止せしめる。
【0026】
容器の内容物を消費する際には、上蓋6の鍔部58の下面に指をかけ、鍔部58にヒンジ手段8を旋回中心とした上向きの力を加える。かかる上向きの力によって上蓋6は閉位置から開位置へ向かう方向へ旋回つまり旋回開動しようとする。然しながら、かかる旋回開動は、上蓋6に設けられた係止片56と蓋本体4に設けられた被係止片40とが係止更に詳しくは係止片56に設けられた突部76の係止上面78と被係止片40に設けられた帯状主部66の下面とが係止する限り規制される。上記上向きの力は係止片56とスカート壁48の突出部72とを接続する破断可能橋絡部70に上下方向の引張力を作用せしめてこれを破断せしめようとすることから、上蓋6の旋回開回動は上記上向きの力によって破断可能橋絡部70が破断せしめられた後に許容される。破断可能橋絡部70が破断せしめられた後にあっては、係止片56は自由落下した後に、図10に示すとおり、フランジ部74の下面が被係止片40の帯状主部66の上面に係止せしめられる。つまり、係止片56は、フランジ部74の下面と被係止片40の帯状主部66の上面との間に存在した上述した幾分かの間隔分だけ自由落下せしめられる。破断可能橋絡部70が破断せしめられたことで、蓋本体に対して上蓋が開封されたことが明示されるため、所謂タンパーエビデント特性が確保される。図示の実施形態においては、破断可能橋絡部70が破断せしめられた後にあっても、係止片56は、フランジ部74の下面が被係止片40の帯状主部66の上面に係止せしめられると共に、突部76の係止上面78が被係止片40の帯状主部66の下面に係止せしめられる故に、係止片56は容器蓋2から分離することはなくこれに継続して保持されるため、係止片56それ自身が廃棄物となることはない。
【0027】
破断可能橋絡部70が破断せしめられた後にあっては、上蓋6が閉位置から開位置へ旋回開動せしめられ、蓋本体4の閉塞壁10の上面が露呈せしめられる。その後に、蓋本体4の引張リング24に指を掛けて上方に強制し、無端薄肉破断可能ライン18を破断して閉塞壁10から除去領域20を除去し、かくして排出開口を生成する。しかる後においては、容器を適宜に傾動することによって、容器の内容物が排出開口を通して排出される。内容物の排出を終了した後においては、上蓋6は閉位置に向かって旋回閉回動せしめられて蓋本体4に再装着される。上蓋6が蓋本体4に再装着された状態にあっては、破断橋絡部70は既に破断されていることからその破断端面が軸方向に離間して位置するため、これにより所謂タンパーエビデント特性が向上する。
【0028】
以上添付した図面を参照して本発明の合成樹脂製容器蓋について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内において種々の変形例が考えられる。例えば、図示の実施形態においては、フランジ部74の径方向外側端はスカート壁48の外周面よりも径方向外側に位置していたが、スカート壁の外周面の所要部位に上下方向に貫通する溝を設けてかかる溝内にフランジ部を設けることで、フランジ部の径方向外側端をスカート壁の外周面よりも径方向内側に位置させることもできる。また、図示の実施形態においては、スカート壁48の外周面には径方向外側に突出する突出部72が設けられており、破断可能橋絡部70は突出部72の下面に設けられていたが、破断可能橋絡部70をスカート壁の下面に設けて突出部72を省略してもよい。この場合、折り曲げ機は突出部の上端面を押すことなくフランジ部のみを下方に向かって押圧することとなる。図示の実施形態においては、係止片56の突部76と被係止片40の帯状主部66とが相互に径方向に弾性的に変位して、係止片56の突部76が被係止片40の帯状主部66を乗り越えることで、係止片56は被係止片40に係止せしめられたが、係止片56に突部76を設けることに替えて、例えばフランジ部74の下面から下方に垂下した後に周方向両側に向かって上方に延びるフック部を配設し、かかるフック部が、被係止片40が備える一対の接続部68の各々の下面と係止するようにすることもできる。更にまた、図示の実施形態においては、引張リング24によって無端薄肉破断可能ライン18を破断せしめて閉塞壁10に排出開口を生成したが、閉塞壁に排出開口を生成する方法は引張リングによらず適宜の方法であってよい。例えば本願に先立って本出願人が出願した特願2021-137189号に示されているとおり、蓋本体の閉塞壁と上蓋の天面壁とを適宜の接続手段によって接続し、上蓋が閉位置から旋回開動すると同時に無端薄肉破断可能ラインが破断されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0029】
2:容器蓋
4:蓋本体
6:上蓋
8:ヒンジ手段
10:閉塞壁
12:装着壁
40:被係止片
46:天面壁
48:スカート壁
56:係止片
70:破断可能橋絡部
74:フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9
図10