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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064950
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20230502BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20230502BHJP
   H01R 13/41 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R12/71
H01R13/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175425
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】辻本 将輝
【テーマコード(参考)】
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E087EE03
5E087EE14
5E087GG06
5E087MM02
5E087PP01
5E087RR04
5E087RR25
5E223AA01
5E223AB06
5E223AB43
5E223AC23
5E223AC25
5E223BA07
5E223BA10
5E223BB01
5E223CB08
5E223CB22
5E223CB31
5E223CD01
5E223CD22
5E223DB11
5E223DB22
5E223EA02
5E223EA32
(57)【要約】
【課題】小型化を維持しながら、プレス加工が容易なコンタクトを有する電気コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ベローズ形のコンタクト1とハウジング3を備える。コンタクト1は、箱部11、接点ばね片111、及び固定部13を有する。箱部11は、天板11t、一対の側面板11a・11a、及び、一対の底板11b・11bで四角枠状に構成している。接点ばね片111は、天板から突出し、反転した湾曲面に、相手側端子と接触できる接点11sを形成している。固定部13は、接点ばね片111と反対側に配置され、ハウジング3に固定される。ハウジング3は、少なくとも箱部11を収容する収容室3rと、接点ばね片111を外部に突出できる窓3wを有する。コンタクト1は、直角曲げ以外の折り曲げ箇所が少なく、プレス加工が容易である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の金属板を折り曲げ成形した一つ以上のベローズ形のコンタクトと、
前記コンタクトを内部に実装した直方体状のハウジングと、を備え、
前記コンタクトは、
平坦な天板、この天板の両端部から屈曲した一対の側面板、及び、前記天板と対向した状態でこれらの側面板から屈曲すると共に、所定の間隙を設けて板厚面を対向配置した一対の帯状の底板で構成した四角枠状の箱部と、
前記天板から一部が一方の方向に突出し、一対の前記底板に向かって下り傾斜した後に反転した湾曲面に、相手側端子と接触できる接点を形成した接点ばね片と、
前記接点ばね片が突出した方向と反対側の他方の方向に配置され、前記ハウジングに固定される固定部と、を有し、
前記ハウジングは、
少なくとも前記箱部を収容する収容室と、
前記収容室に連通し、前記接点ばね片を外部に突出できる窓と、を有している、電気コネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトの固定部は、プリント基板の一方の面にハンダ接合されるリード片を有している、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトは、一対の前記底板の先端部から幅方向に屈曲し、対向配置した一対の後続側面板、一対の前記底板と対向配置し、一対の前記後続側面板の先端部同士を連結した後続天板、及び、前記天板と反対側に延びた帯状片で構成した四角枠状の後続箱部を更に有し、
前記固定部は、前記帯状片の先端部から連続して前記底板に向かって延び、前記ハウジングに圧入可能な一対の第1圧入片を有している、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
一対の前記底板は、前記ハウジングに圧入可能な第2圧入片を先端部側に有している、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。特に、携帯用電話機などの携帯用電子機器に内蔵されるバッテリー(充電池)と電気接続する電気コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリー用の電気コネクタは、バッテリーを電源として作動する携帯用電話機などの電子機器とバッテリーとを電気接続している。一般に、バッテリー用の電気コネクタは、電子機器に内蔵されたプリント基板に実装可能な小型の電気コネクタ(プリント基板用コネクタ)となっている。
【0003】
このようなバッテリー用の電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)は、絶縁性のハウジングと、このハウジングに収容される複数のコンタクトとで構成されている。このコンタクトは、通常、導電性の金属板を極細の帯板に打ち抜き加工した後に、均一なばね特性が得られるように、この帯板を折り曲げ加工した、いわゆるベローズコンタクトとなっている。
【0004】
携帯用電子機器及びこの携帯用電子機器に内蔵されるバッテリーは、小型化、薄型化が進行している。このような事情から、ベローズコンタクトも小型化している。このような電気コネクタの更なる小型化に対応して、ばね長の長いコンタクトを用いながら、コンタクトのばね部同士を接触させない電気コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-174477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15は、従来技術による電気コネクタの縦断面図であり。ばね部が弾性変形していない状態図である。図16は、従来技術による電気コネクタに備わるコンタクトの斜視であり、図16(A)は、ばね部が弾性変形していない状態図、図16(B)は、ばね部が弾性変形した状態図である。
【0007】
なお、本願の図15は、特許文献1の図2に相当している。又、本願の図16は、特許文献1の図5に相当している。
【0008】
図15を参照すると、従来技術による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、一つ以上のベローズ形のコンタクト91と直方体状のハウジング92を備えている。コンタクト91は、帯状の金属板を折り曲げ成形している。ハウジング92は、コンタクトを内部に実装している。
【0009】
図15を参照すると、コネクタ9は、プリント基板9pの一方の面に実装している。コネクタ9は、コンタクト91を介して、バッテリーBtとプリント基板9pを電気的に接続できる。複数のコンタクト91は、ハウジング92の長手方向に沿って、並列配置されている。ハウジング92は、幅方向(Y方向)に貫通し、コンタクト91を収容した収容室92rを有している。
【0010】
図15又は図16を参照すると、コンタクト91は、平坦な基部911とコンタクト91が延在する方向に伸縮自在なばね部912を有している。基部911は、収容室92rの奥部に固定されている。ばね部912は、基部911の先端部の一部が一方の方向に延び、波状に振幅するように形成している。ばね部912は、伸縮方向に蛇行した、いわゆるスネークスプリングを構成している。
【0011】
又、図15又は図16を参照すると、コンタクト91は、接点ばね片913と一対の鉤部914・914を有している。接点ばね片913は、ばね部912の先端部から上り傾斜した後に反転した湾曲面に、バッテリーBtの端面に設けた電極端子Et(相手側端子)と接触できる接点91sを形成している。そして、接点ばね片913は、ハウジング92の窓92wから突出している(図15参照)。
【0012】
図15又は図16を参照すると、一対の鉤部914・914は、所定の間隔を設けて、接点ばね片913と対向配置されている。一対の鉤部914・914は、ハウジング92の窓92w側に設けた突出壁92tに係止している(図15参照)。これにより、接点ばね片913は、所定のプリロードを負荷している。
【0013】
図16を参照すると、接点ばね片913は、ばね部912を受入可能な矩形の切り欠き部91cを先端部に切り欠いている。図16を参照して、バッテリーBtを接点91sに向かって移動すると、接点ばね片913は後退するが、ばね部912も後退し、切り欠き部91cにばね部912が受け入れられることで、接点ばね片913とばね部912の短絡を回避できる。
【0014】
図15又は図16(A)を参照すると、スネークスプリングで構成したコンタクト91は、直角曲げ以外の折り曲げ箇所がP1からP4に至るまで多く、コンタクト91の寸法位置精度を保証することが容易でないという問題があった。又、スネークスプリングで構成したコンタクト91は、バッテリーBtの電極端子Etとの接触圧が比較的強くないという問題があった。
【0015】
電気コネクタの小型化を維持しながら、プレス加工が容易なコンタクトを有する電気コネクタ、及び、バッテリーBtの電極端子Etとの接触圧を強化して、バッテリーBtとの瞬断を抑制するコンタクトを有する電気コネクタが求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0016】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、寸法位置精度を保証できプレス加工が容易であり、かつ、相手側端子との接触圧を強化したコンタクトを有する電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、金属板を折り曲げ成形したコンタクトを箱形に形成することで、相手側端子と接触できる接点ばね片からハウジングに固定される固定部に至るまでの、直角曲げ以外の折り曲げ箇所を減少できると考え、これにより、上記課題を解決した新たな電気コネクタを完成するに至った。
【0018】
(1)本発明による電気コネクタは、帯状の金属板を折り曲げ成形した一つ以上のベローズ形のコンタクトと、前記コンタクトを内部に実装した直方体状のハウジングと、を備え、前記コンタクトは、平坦な天板、この天板の両端部から屈曲した一対の側面板、及び、前記天板と対向した状態でこれらの側面板から屈曲すると共に、所定の間隙を設けて板厚面を対向配置した一対の帯状の底板で構成した四角枠状の箱部と、前記天板から一部が一方の方向に突出し、一対の前記底板に向かって下り傾斜した後に反転した湾曲面に、相手側端子と接触できる接点を形成した接点ばね片と、前記接点ばね片が突出した方向と反対側の他方の方向に配置され、前記ハウジングに固定される固定部と、を有し、前記ハウジングは、少なくとも前記箱部を収容する収容室と、前記収容室に連通し、前記接点ばね片を外部に突出できる窓と、を有している。
【0019】
(2)前記コンタクトの固定部は、プリント基板の一方の面にハンダ接合されるリード片を有していることが好ましい。
【0020】
(3)前記コンタクトは、一対の前記底板の先端部から幅方向に屈曲し、対向配置した一対の後続側面板、一対の前記底板と対向配置し、一対の前記後続側面板の先端部同士を連結した後続天板、及び、前記天板と反対側に延びた帯状片で構成した四角枠状の後続箱部を更に有し、前記固定部は、前記帯状片の先端部から連続して前記底板に向かって延び、前記ハウジングに圧入可能な一対の第1圧入片を有していてもよい。
【0021】
(4)一対の前記底板は、前記ハウジングに圧入可能な第2圧入片を先端部側に有していてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、寸法位置精度を保証できプレス加工が容易であり、かつ、相手側端子との接触圧を強化したコンタクトを有する電気コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図3】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、図3(A)は、電気コネクタの部分構成を示す正面図、図3(B)は、図3(A)のX―X矢視図である。
図4】第1実施形態による電気コネクタに備わるハウジングの構成を示す図であり、図4(A)は、ハウジングの正面図、図4(B)は、ハウジングの背面図である。
図5】第1実施形態による電気コネクタに備わるコンタクトの構成を示す斜視図であり、図5(A)は、コンタクトを平面側から観た状態図、図5(B)は、コンタクトを下面側から観た状態図である。
図6】第1実施形態による電気コネクタに備わるコンタクトの構成を示す右側面図であり、図6(A)は、コンタクトが弾性変形する前の状態図、図6(B)は、コンタクトが弾性変形した状態図である。
図7】第1実施形態による電気コネクタに備わるコンタクトの展開図である。
図8】本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
図9】第2実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図10】第2実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、図10(A)は、電気コネクタの部分構成を示す正面図、図10(B)は、図10(A)のX―X矢視図である。
図11】第2実施形態による電気コネクタに備わるハウジングの構成を示す図であり、図10(A)は、ハウジングの正面図、図10(B)は、ハウジングの背面図、図10(C)は、ハウジングの平面図である。
図12】第2実施形態による電気コネクタに備わるコンタクトの構成を示す斜視図であり、図12(A)は、コンタクトを平面側から観た状態図、図12(B)は、コンタクトを下面側から観た状態図である。
図13】第2実施形態による電気コネクタに備わるコンタクトの構成を示す右側面図であり、図13(A)は、コンタクトが弾性変形する前の状態図、図13(B)は、コンタクトが弾性変形した状態図である。
図14】第2実施形態による電気コネクタに備わるコンタクトの展開図である。
図15】従来技術による電気コネクタの縦断面図であり、ばね部が弾性変形していない状態図である。
図16】従来技術による電気コネクタに備わるコンタクトの斜視であり、図16(A)は、ばね部が弾性変形していない状態図、図16(B)は、ばね部が弾性変形した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1実施形態]
(電気コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0025】
(全体構成)
図1から図3を参照すると、本発明の第1実施形態による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、携帯用電話機に内蔵したバッテリーBt(図15参照)と電気的に接続できる。コネクタ10は、一対のベローズ形のコンタクト1・1と直方体状のハウジング3を備えている。
【0026】
図2又は図3及び図5を参照すると、コンタクト1は、帯状の金属板を折り曲げ成形している。ハウジング3は、コンタクト1を内部に実装している(図3(B)参照)。ハウジング3は、コンタクト1を収容する収容室3rに有している(図3(B)参照)。又、ハウジング3は、収容室3rに連通し、接点ばね片111を外部に突出できる窓3wを有している(図4(B)参照)。
【0027】
図1又は図2を参照すると、コンタクト1は、相手側端子の電源端子に接続する電源コンタクトであり、ハウジング3の両端部に配置されている。一対のコンタクト1・1の間には、相手側端子の信号端子に接続する複数の信号コンタクト1sを並列配置している。信号コンタクト1sは、電源用のコンタクト1と構造が同じであるが、後述する接点ばね片を狭幅に構成している。
【0028】
図1又は図2を参照すると、コネクタ10は、プリント基板1pに実装されている。図2を参照すると、プリント基板1pは、矩形のスロットStを端部に切り欠いている。図3(B)を参照すると、コネクタ10は、底部側からスロットStに導入されている。後述する分流端子5に設けたリード片5rをプリント基板1pに設けたパッドにハンダ接合すること、及び、コンタクト1のリード片13rをパッドにハンダ接合することで、コネクタ10をプリント基板1pに低背に実装できる。
【0029】
図1から図3を参照すると、コネクタ10は、一対の分流端子5・5と一対の補強タブ1t・1tを更に備えている。分流端子5は、導電性を有する金属板からなり、金属板をC形に折り曲げ成形している。分流端子5は、コンタクト1を外側から囲うと共に、ハウジング3の内部に配置されている。分流端子5は、天板5tの内壁がコンタクト1の天板11tに接触するように配置されている。又、分流端子5は、プリント基板1pの一方の面にハンダ接合可能なリード片5rを有している(図2参照)。分流端子5がコンタクト1に接触することで、コンタクト1に流れる電流を分流できる。
【0030】
図1又は図2を参照すると、補強タブ1tは、クランク状に形成している。補強タブ1tの基端部は、ハウジング3の側面に圧入している。補強タブ1tの先端部は、プリント基板1pに圧入されている。これにより、コネクタ10をプリント基板1pに確実に固定できる。
【0031】
(コンタクトの構成)
コンタクト1は、導電性を有する金属板からなり、打ち抜き加工した展開板(図7参照)を折り曲げ成形することで、所望の形状のコンタクトを得ることできる。コンタクト1は、銅合金などの導電性を有する金属板が好ましいが、銅合金に限定されない。
【0032】
図3(B)又は図5及び図6を参照すると、コンタクト1は、四角枠状の箱部11、接点ばね片111、及び、固定部13を有している。箱部11は、平坦な天板11t、一対の側面板11a・11a、及び、一対の帯状の底板11b・11bで構成している。
【0033】
図5又は図6を参照すると、一対の側面板11a・11aは、天板11tの幅方向の両端部から略直角に屈曲している。一対の底板11b・11bは、天板11tと対向した状態でこれらの側面板11a・11aから略直角に屈曲している。又、一対の底板11b・11bは、所定の間隙を設けて板厚面を対向配置している(図5(B)参照)。
【0034】
図3又は図5及び図6を参照すると、接点ばね片111は、天板11tから一部が一方の方向に帯状に突出している。接点ばね片111は、一対の底板11b・11bに向かって下り傾斜した後に反転した湾曲面に、電極端子Et(相手側端子)と接触できる接点11sを形成している。
【0035】
図5又は図6を参照すると、固定部13は、接点ばね片111が突出した方向と反対側の他方の方向に配置されている。そして、固定部13は、ハウジング3の底面からハウジング3に固定される。
【0036】
図3又は図5及び図6を参照すると、コンタクト1は、四角枠状の後続箱部12を更に有している。後続箱部12は、対向配置した一対の後続側面板12a・12a、平坦な後続天板12t、及び、帯状片121で構成している。
【0037】
図5又は図6を参照すると、一対の後続側面板12a・12aは、一対の底板11b・11bの先端部から幅方向に略直角に屈曲している。後続天板12tは、一対の底板11b・11bと対向配置している。後続天板12tは、一対の後続側面板12a・12aの先端部同士を連結している。帯状片121は、天板11tと反対側に帯状に延びている。
【0038】
図3又は図5及び図6を参照すると、固定部13は、一対の第1圧入片13p・13pを有している。一対の第1圧入片13p・13pは、帯状片121の先端部から連続して底板11bに向かって延びている。そして、一対の第1圧入片13p・13pは、二股に分岐している。一対の第1圧入片13p・13pは、ハウジング3の底面からハウジング3に圧入できる。又、固定部13は、帯状片121の途中から略直角に屈曲し、プリント基板1pの一方の面にハンダ接合されるリード片13rを有している(図3参照)。
【0039】
コンタクト1は、図7で示したような展開板を折り曲げ加工して得ることができる。折り曲げ加工後のコンタクト1は、帯状のコンタクトキャリアCcと連結している。コンタクトキャリアCcが延びる方向にコンタクト1を連設でき、ノッチ1nを切断することで、バラ状のコンタクト1を得ることができる(図2参照)。
【0040】
(電気コネクタの作用)
次に、コンタクト1の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。図3(B)を参照して、電極端子Etを先頭にしてバッテリーBt(図15参照)を接点11sに向かって移動すると(矢印Fの方向)、コンタクト1は、図6(A)に示した状態から図6(B)に示した状態に弾性変形する。接点11sは、一対の第1圧入片13p・13pに向かって後退する。
【0041】
図6(A)に示した状態から図6(B)に示した状態に弾性変形する過程では、箱部11及び後続箱部12は、弾性変形することが容易でなく、図6(B)に示すように、接点ばね片111、一対の底板11b・11b、及び帯状片121が弾性変形する。
【0042】
図6を参照すると、実施形態によるコンタクト1は、奥行方向にD1からD2に変位するが、奥行方向の変位に比べて、高さ方向にH1からH2に変位する高さ方向の変位量が少ない。一方、接点ばね片111は、高さ方向には撓み易く、接点11sが電極端子Etと摺動するワイピング効果を十分に得ることができる。実施形態によるコンタクト1は、小型のコンタクトでありながら、十分なワイピング量を確保できる。
【0043】
図5を参照すると、実施形態によるコンタクト1は、接点11sから固定部13に至る連続箇所の途中を箱形に構成することで、直角曲げ以外の折り曲げ箇所をM1・M2の2個所に少なくしている。これにより、コンタクトの寸法位置精度を保証することが容易なった。又、接点11sから固定部13に至る連続箇所の途中を箱形に構成することで、小型でありながら、バッテリーBtの電極端子Etとの接触圧を強くすることも可能になった。
【0044】
[第2実施形態]
(電気コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0045】
(全体構成)
図8から図10を参照すると、本発明の第2実施形態によるコネクタ20は、携帯用電話機に内蔵したバッテリーBt(図15参照)と電気的に接続できる。コネクタ20は、一対のベローズ形のコンタクト2・2と直方体状のハウジング4を備えている。
【0046】
図9又は図10及び図12を参照すると、コンタクト2は、帯状の金属板を折り曲げ成形している。ハウジング4は、コンタクト2を内部に実装している(図10(B)参照)。ハウジング4は、コンタクト2を収容する収容室4rに有している(図10(B)参照)。ハウジング4は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。
【0047】
図8又は図9を参照すると、コンタクト1は、相手側端子の電源端子に接続する電源コンタクトであり、ハウジング4の両端部に配置されている。一対のコンタクト2・2の間には、相手側端子の信号端子に接続する複数の信号コンタクト2sを並列配置している。信号コンタクト2sは、電源用のコンタクト2と構造が同じであるが、後述する接点ばね片を狭幅に構成している。
【0048】
図8又は図9を参照すると、コネクタ20は、プリント基板2pに実装されている。図9を参照すると、プリント基板2pは、矩形のスロットStを端部に切り欠いている。図10(B)を参照すると、コネクタ20は、底部側からスロットStに導入されている。後述する分流端子6に設けたリード片6rをプリント基板2pに設けたパッドにハンダ接合すること、及び、コンタクト2のリード片23rをパッドにハンダ接合することで、コネクタ20をプリント基板2pに低背に実装できる。
【0049】
図8から図10を参照すると、コネクタ20は、一対の分流端子6・6と一対の補強タブ1t・1tを更に備えている。分流端子6は、導電性を有する金属板からなり、金属板を箱形に折り曲げ成形している。分流端子6は、コンタクト2を外側から囲うと共に、ハウジング4の内部に配置されている。分流端子6は、片持ち状のばね片6sの頂き部がコンタクト2の天板21tに内壁側から接触するように配置されている(図10(B)参照)。又、分流端子5は、プリント基板2pの一方の面にハンダ接合可能なリード片6rを有している(図9参照)。分流端子6がコンタクト2に接触することで、コンタクト2に流れる電流を分流できる。
【0050】
図8又は図9を参照すると、補強タブ1tは、クランク状に形成している。補強タブ1tの基端部は、ハウジング4の側面に圧入している。補強タブ1tの先端部は、プリント基板2pに圧入されている。これにより、コネクタ20をプリント基板2pに確実に固定できる。
【0051】
(コンタクトの構成)
コンタクト2は、導電性を有する金属板からなり、打ち抜き加工した展開板(図14参照)を折り曲げ成形することで、所望の形状のコンタクトを得ることできる。コンタクト2は、銅合金などの導電性を有する金属板が好ましいが、銅合金に限定されない。
【0052】
図10(B)又は図12及び図13を参照すると、コンタクト2は、四角枠状の箱部21、接点ばね片211、及び、固定部23を有している。箱部21は、平坦な天板21t、一対の側面板21a・21a、及び、一対の帯状の底板21b・21bで構成している。
【0053】
図12又は図13を参照すると、一対の側面板21a・21aは、天板21tの幅方向の両端部から略直角に屈曲している。一対の底板21b・21bは、天板21tと対向した状態でこれらの側面板21a・21aから略直角に屈曲している。又、一対の底板21b・21bは、所定の間隙を設けて板厚面を対向配置している(図12(B)参照)。
【0054】
図10又は図12及び図13を参照すると、接点ばね片211は、天板21tから一部が一方の方向に帯状に突出している。接点ばね片211は、一対の底板21b・21bに向かって下り傾斜した後に反転した湾曲面に、電極端子Et(相手側端子)と接触できる接点21sを形成している。
【0055】
図12又は図13を参照すると、固定部23は、接点ばね片211が突出した方向と反対側の他方の方向に配置されている。そして、固定部23は、ハウジング4の窓4w側からハウジング4に固定される(図11(A)参照)。
【0056】
図12又は図13を参照すると、固定部23は、一対の第2圧入片23p・23pを有している。一対の第2圧入片23p・23pは、一対の底板21b・21bから立ち上がった段差を経て、接点ばね片211と反対方向に延びた一対の底板21b・21bの先端部側に形成している(図12(B)参照)。一対の第2圧入片23p・23pは、ハウジング4の窓4w側からハウジング4に圧入できる。
【0057】
図10又は図12及び図13を参照すると、固定部23は、一対のリード片23r・23rを有している。リード片23rは、圧入片23pの先端部から立ち上がった段差を経て、接点ばね片211と反対方向に延びた一対の帯状片に形成している(図12参照)。一対のリード片23r・23rは、プリント基板2pの一方の面にハンダ接合できる。
【0058】
コンタクト2は、図14で示したような展開板を折り曲げ加工して得ることができる。折り曲げ加工後のコンタクト2は、帯状のコンタクトキャリアCcと連結している。コンタクトキャリアCcが延びる方向にコンタクト2を連設でき、ノッチ2nを切断することで、バラ状のコンタクト2を得ることができる(図9参照)。
【0059】
(電気コネクタの作用)
次に、コンタクト2の動作を説明しながら、コネクタ20の作用及び効果を説明する。10(B)を参照して、電極端子Etを先頭にしてバッテリーBt(図15参照)を接点21sに向かって移動すると(矢印Fの方向)、コンタクト2は、図13(A)に示した状態から図13(B)に示した状態に弾性変形する。接点21sは、一対の第2圧入片23p・23pに向かって後退する。
【0060】
図13(A)に示した状態から図13(B)に示した状態に弾性変形する過程では、箱部21は、弾性変形することが容易でなく、図13(B)に示すように、接点ばね片211及び、一対の底板21b・21bに連続する帯状片が弾性変形する。
【0061】
図13を参照すると、実施形態によるコンタクト2は、奥行方向にD3からD4に変位するが、奥行方向の変位に比べて、高さ方向にH3からH4に変位する高さ方向の変位量が少ない。一方、接点ばね片211は、高さ方向には撓み易く、接点211sが電極端子Etと摺動するワイピング効果を十分に得ることができる。実施形態によるコンタクト2は、小型のコンタクトでありながら、十分なワイピング量を確保できる。
【0062】
図12を参照すると、実施形態によるコンタクト2は、接点21sから固定部23に至る連続箇所の途中を箱形に構成することで、直角曲げ以外の折り曲げ箇所をM3の1個所に少なくしている。これにより、コンタクトの寸法位置精度を保証することが容易になった。又、接点21sから固定部23に至る連続箇所の途中を箱形に構成することで、小型でありながら、バッテリーBtの電極端子Etとの接触圧を強くすることも可能になった。
【0063】
図10又は図12及び図13を参照すると、実施形態によるコンタクト2は、箱状部を前部の1か所にすることで、第1実子形態と比べて、コンタクトの奥行きを減少できるという特別な効果がある。又、これにより、ハウジングの奥行きを減少できるという効果がある(図8参照)。
【符号の説明】
【0064】
1 コンタクト
3 ハウジング
3r 収容室
3w 窓
10 コネクタ(電気コネクタ)
11 箱部
11t 天板
11s 接点
11a・11a 一対の側面板
11b・11b 一対の底板
13 固定部
111 接点ばね片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16