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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064970
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】散布用電子地図作成方法及び散布方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20230502BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230502BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20230502BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G06Q50/02
G09B29/00 Z
G06T11/60 300
A01M7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175461
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】521471176
【氏名又は名称】和田 弘希
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】和田 弘希
【テーマコード(参考)】
2B121
2C032
5B050
5L049
【Fターム(参考)】
2B121CB37
2B121EA26
2C032HC09
2C032HC27
2C032HD01
2C032HD16
2C032HD21
5B050BA06
5B050BA17
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】専用の装置等が不要で比較的簡単に導入することができる散布用電子地図作成方法を提供する。
【解決手段】無人航空機によって散布物を散布する1以上の散布対象圃場11を電子地図10に入力する圃場入力ステップと、電子地図を入力用画像データ20として出力する画像出力ステップと、入力用画像データに重ねられた入力用レイヤー21に、3箇所以上の目印22a,22b,22c、圃場番号23、無人航空機の飛行方向24、操縦者の移動経路25、散布物補給箇所27、燃料補給箇所28、注意箇所29を入力する詳細情報入力ステップと、入力用レイヤーを目印をもとにジオリファレンスして詳細情報地図データ40として出力する詳細情報地図データ出力ステップと、詳細情報地図データを電子地図に取り込んで、詳細情報地図レイヤー41として重ねることで散布用電子地図1を作成する地図作成ステップと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置が表示可能な電子地図に表示される複数の圃場の中から、無人航空機によって散布物を散布する1以上の散布対象圃場を前記電子地図に入力する圃場入力ステップと、
前記散布対象圃場が入力された前記電子地図を入力用画像データとして出力する画像出力ステップと、
前記入力用画像データに重ねられた入力用レイヤーに、詳細情報として3箇所以上の目印、前記散布対象圃場の散布順序を示す圃場番号、前記散布対象圃場内における無人航空機の飛行方向、前記無人航空機の操縦者の移動経路、前記無人航空機に前記散布物を補給する散布物補給箇所、及び必要に応じて前記無人航空機に燃料を補給する燃料補給箇所、散布作業において注意するべき注意箇所を入力する詳細情報入力ステップと、
前記詳細情報入力ステップを経た前記入力用レイヤーを、前記目印をもとにジオリファレンスして詳細情報地図データとして出力する詳細情報地図データ出力ステップと、
前記詳細情報地図データを前記電子地図に取り込んで、詳細情報地図レイヤーとして重ねることで前記散布対象圃場及び前記詳細情報が表示される散布用電子地図を作成する地図作成ステップと、
を備えることを特徴とする散布用電子地図作成方法。
【請求項2】
前記飛行方向が1本の直線で示されている請求項1に記載の散布用電子地図作成方法。
【請求項3】
前記詳細情報入力ステップにおいて、前記飛行方向の端部のうち前記操縦者とは反対側に位置する助手の移動経路も入力する請求項1又は2に記載の散布用電子地図作成方法。
【請求項4】
前記圃場入力ステップにおいて前記散布対象圃場の各々の散布面積を算出し、
前記散布物補給箇所と前記燃料補給箇所が、算出された前記散布面積を積算することで決定される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の散布用電子地図作成方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の散布用電子地図作成方法によって作成された散布用電子地図を用いる散布方法であって、
無人航空機を操縦する操縦者、前記操縦者を補助する助手、前記無人航空機に散布物又は燃料を運搬する補給係の3名が個別に前記散布用電子地図を用い、
前記操縦者は、自らの現在位置を確認しながら、前記圃場番号と前記飛行方向に基づいて前記無人航空機を飛行させながら前記無人航空機で前記散布物を前記散布対象圃場に散布しつつ、前記操縦者の移動経路に基づいて自らが移動し、次の前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所に前記無人航空機を着陸させ、
前記助手は、自らの現在位置を確認しながら、前記飛行方向の端部のうち前記操縦者とは反対側の端部が目視できるところに位置して、前記操縦者に前記無人航空機のターンのタイミング、及び必要に応じて前記注意箇所や注意すべき注意情報を伝えつつ、前記操縦者からの前記圃場番号の指示に従って移動し、
前記補給係は、自らの現在位置を確認しながら、前記無人航空機より先回りして前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所で待機することを特徴とする散布方法。
【請求項6】
無人航空機を操縦する操縦者、前記操縦者を補助する助手、前記無人航空機に散布物又は燃料を用意する補給係の3名が、現在位置に加え詳細情報として、散布物を散布する散布対象圃場、前記散布対象圃場の散布順序を示す圃場番号、前記散布対象圃場内における前記無人航空機の飛行方向、前記無人航空機の操縦者の移動経路、前記無人航空機に前記散布物を補給する散布物補給箇所、及び必要に応じて前記無人航空機に燃料を補給する燃料補給箇所、散布作業において注意するべき注意箇所が示される散布用電子地図を個別に用い、
前記操縦者は、自らの現在位置を確認しながら、前記圃場番号と前記飛行方向に基づいて前記無人航空機を飛行させながら前記無人航空機で前記散布物を前記散布対象圃場に散布しつつ、前記操縦者の移動経路に基づいて自らが移動し、次の前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所に前記無人航空機を着陸させ、
前記助手は、前記飛行方向の端部のうち前記操縦者とは反対側の端部が目視できるところに位置して前記操縦者に前記無人航空機のターン、及び必要に応じて前記注意箇所や注意情報を伝えつつ、前記操縦者からの前記圃場番号の指示に従って移動し、
前記補給係は、前記無人航空機より先回りして前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所で待機することを特徴とする散布方法。
【請求項7】
前記散布用電子地図に助手の移動経路が示され、前記助手は前記助手の移動経路に沿って移動する請求項6に記載の散布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機によって圃場に農薬や肥料等を散布するときに用いる散布用電子地図を作成する方法、及び作成した散布用電子地図を用いる散布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、散布装置への農業用資材の散布作業データ付与作業の効率化を目的として、特開2017-224224号公報に、空撮された圃場の画像データを加工して散布作業用のマップデータを作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-224224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、マップデータを作成するにあたり専用の装置又はソフトウエアが必要になり、比較的規模の大きな農場又は企業でないと導入が難しいという課題があった。また、特許文献1には、操縦者、助手、補給係の3者が連携して作業することについての記載はない。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、専用の装置等が不要で比較的簡単に導入することができる散布用電子地図作成方法及び散布方法を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、操縦者、助手、補給係の3者が連携して効率よく作業することができる散布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の散布用電子地図作成方法は、
現在位置が表示可能な電子地図に表示される複数の圃場の中から、無人航空機によって散布物を散布する1以上の散布対象圃場を前記電子地図に入力する圃場入力ステップと、
前記散布対象圃場が入力された前記電子地図を入力用画像データとして出力する画像出力ステップと、
前記入力用画像データに重ねられた入力用レイヤーに、詳細情報として3箇所以上の目印、前記散布対象圃場の散布順序を示す圃場番号、前記散布対象圃場内における無人航空機の飛行方向、前記無人航空機の操縦者の移動経路、前記無人航空機に前記散布物を補給する散布物補給箇所、及び必要に応じて前記無人航空機に燃料を補給する燃料補給箇所、散布作業において注意するべき注意箇所を入力する詳細情報入力ステップと、
前記詳細情報入力ステップを経た前記入力用レイヤーを、前記目印をもとにジオリファレンスして詳細情報地図データとして出力する詳細情報地図データ出力ステップと、
前記詳細情報地図データを前記電子地図に取り込んで、詳細情報地図レイヤーとして重ねることで前記散布対象圃場及び前記詳細情報が表示される散布用電子地図を作成する地図作成ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の散布用電子地図作成方法によれば、詳細情報入力ステップにおいて、画像データに重ねられた入力用レイヤーに各種の詳細情報を入力している。この入力用レイヤーは画像データであるため、汎用的なソフトウエアで詳細情報の入力が可能である。また、詳細情報地図データは位置情報が付与された地図データであり、電子地図に取り込むことで電子地図に容易に重ねて表示させることができる。これらにより、専用の装置やソフトウエアが不要となる。また、作成される散布用電子地図には圃場番号、操縦者の移動経路、散布物補給箇所等の詳細情報が表示されており、この詳細情報を参照することで作業者が効率よく作業することができる。
【0008】
本発明の散布用電子地図作成方法の好ましい例は、
前記飛行方向が1本の直線で示されている。
【0009】
本発明の散布用電子地図作成方法の好ましい例によれば、飛行方向が1本の直線で示されているため、操縦者、助手ともに散布用電子地図を直観的に見ることができ、散布作業におけるミスを減らすことができる。
【0010】
本発明の散布用電子地図作成方法の好ましい例は、
前記詳細情報入力ステップにおいて、前記飛行方向の端部のうち前記操縦者とは反対側に位置する助手の移動経路も入力する。
【0011】
本発明の散布用電子地図作成方法の好ましい例によれば、助手の移動経路も記載されているため、助手が不慣れな場合であっても問題なく散布作業をすることができる。
【0012】
本発明の散布用電子地図作成方法の好ましい例は、
前記圃場入力ステップにおいて前記散布対象圃場の各々の散布面積を算出し、
前記散布物補給箇所と前記燃料補給箇所が、算出された前記散布面積を積算することで決定される。
【0013】
本発明の散布用電子地図作成方法の好ましい例によれば、積算された散布面積によって散布物と燃料の残量がある程度分かるため、散布物補給箇所と燃料補給箇所を比較的正確に決めることができる。
【0014】
本発明の散布方法は、
上記発明の散布用電子地図作成方法によって作成された散布用電子地図を用いる散布方法であって、
無人航空機を操縦する操縦者、前記操縦者を補助する助手、前記無人航空機に散布物又は燃料を運搬する補給係の3名が個別に前記散布用電子地図を用い、
前記操縦者は、自らの現在位置を確認しながら、前記圃場番号と前記飛行方向に基づいて前記無人航空機を飛行させながら前記無人航空機で前記散布物を前記散布対象圃場に散布しつつ、前記操縦者の移動経路に基づいて自らが移動し、次の前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所に前記無人航空機を着陸させ、
前記助手は、自らの現在位置を確認しながら、前記飛行方向の端部のうち前記操縦者とは反対側の端部が目視できるところに位置して、前記操縦者に前記無人航空機のターンのタイミング、及び必要に応じて前記注意箇所や注意すべき注意情報を伝えつつ、前記操縦者からの前記圃場番号の指示に従って移動し、
前記補給係は、自らの現在位置を確認しながら、前記無人航空機より先回りして前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所で待機することを特徴とする。
【0015】
本発明の散布方法は、
無人航空機を操縦する操縦者、前記操縦者を補助する助手、前記無人航空機に散布物又は燃料を用意する補給係の3名が、現在位置に加え詳細情報として、散布物を散布する散布対象圃場、前記散布対象圃場の散布順序を示す圃場番号、前記散布対象圃場内における前記無人航空機の飛行方向、前記無人航空機の操縦者の移動経路、前記無人航空機に前記散布物を補給する散布物補給箇所、及び必要に応じて前記無人航空機に燃料を補給する燃料補給箇所、散布作業において注意するべき注意箇所が示される散布用電子地図を個別に用い、
前記操縦者は、自らの現在位置を確認しながら、前記圃場番号と前記飛行方向に基づいて前記無人航空機を飛行させながら前記無人航空機で前記散布物を前記散布対象圃場に散布しつつ、前記操縦者の移動経路に基づいて自らが移動し、次の前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所に前記無人航空機を着陸させ、
前記助手は、前記飛行方向の端部のうち前記操縦者とは反対側の端部が目視できるところに位置して前記操縦者に前記無人航空機のターン、及び必要に応じて前記注意箇所や注意情報を伝えつつ、前記操縦者からの前記圃場番号の指示に従って移動し、
前記補給係は、前記無人航空機より先回りして前記散布物補給箇所又は前記燃料補給箇所で待機することを特徴とする。
【0016】
本発明の散布方法の好ましい例は、
前記散布用電子地図に助手の移動経路が示され、前記助手は前記助手の移動経路に沿って移動する。
【0017】
これらの本発明の散布方法によれば、詳細情報をもとに操縦者、助手、補給係の3者が連携を取りやすくなり、散布場所の間違い等のミスが起こりにくく、かつ効率よく散布作業をすることができる。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明の散布用電子地図作成方法及び散布方法によれば、専用の装置等が不要で比較的簡単に導入することができ、さらに操縦者、助手、補給係の3者が連携して効率よく作業することができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の散布用電子地図作成方法の一実施形態で用いる電子地図の例である。
図2】圃場入力ステップを説明する図である。
図3】詳細情報入力ステップを説明する図である。
図4】詳細情報地図データ出力ステップを説明する図である。
図5】地図作成ステップを説明する図である。
図6】散布用電子地図作成方法を説明するフロー図である。
図7】本発明の一実施形態に係る散布方法において操縦者の動きを説明するフロー図である。
図8】本発明の一実施形態に係る散布方法において助手及び補給係の動きを説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の散布用電子地図作成方法及び散布方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは先に散布用電子地図作成方法を説明し、後で散布方法を説明する。
【0021】
本実施形態の散布用電子地図作成方法は、図6に示すように、圃場入力ステップS1020と、画像出力ステップS1030と、詳細情報入力ステップS1040と、詳細情報地図データ出力ステップS1050と、地図作成ステップS1060と、を備える。また、これらのステップの前後には、スマートフォン、タブレット、PC(パーソナルコンピュータ)等の端末機器(図示せず)に電子地図の表示S1010、及び散布用電子地図の表示S1070をすることが加えられる。
【0022】
電子地図の表示S1010は、図1に示すように、端末機器の画面に複数の圃場12が示された電子地図10を表示させることで実現される。このとき、表示させる地図として衛星画像を用いた電子地図10も使用することができる。この電子地図10としては、一般的に入手可能なものが採用できるが、任意の範囲を選択して描画するとともに選択した範囲の面積を自動的に算出可能な電子地図10、及び端末機器の現在位置が表示される電子地図10が好ましい。本実施形態では、この電子地図10として例えばApp Annie社のMeasure Map Proを採用している。
【0023】
次に、圃場入力ステップS1020として図2に示すように、端末機器の画面に表示された電子地図10に示された複数の圃場12から、今回の散布作業において無人航空機(図示せず)によって散布物を散布する1以上の散布対象圃場11を選択して入力する。この入力作業として、例えば散布対象圃場11の隅をタップして、そのタップした点同士を結んだ多角形の内側を選択する方法が採用される。ここでは、選択した複数の散布対象圃場11を網掛であらわしている。このとき、それぞれの散布対象圃場11の面積も同時に算出される。なお、上記の無人航空機としては、例えば無線で遠隔操作されるヘリコプターやマルチコプター等が採用される。また、散布物としては農薬、肥料等が採用される。
【0024】
次に、画像出力ステップS1030として、図2に示す散布対象圃場11が入力された電子地図10を、例えばGIF形式やPNG形式等の画像データで、入力用画像データ20として出力する。この作業は、例えば、端末機器の画面に表示される電子地図10をスクリーンキャプチャすることで、入力用画像データ20を出力することができる。上述のとおり、この入力用画像データ20は画像データ形式であるが、見た目は図2に示す電子地図10と同じである。
【0025】
次に、図3に示すように、詳細情報入力ステップS1040を行なう。ここでは先ず、入力用画像データ20を画像編集用ソフトウエア等に取り込んで、その上に画像編集用ソフトウエアの機能を用いて入力用レイヤー21を重ねる。次に、入力用画像データ20を参照しながら入力用レイヤー21に、各種の詳細情報を入力していく。なお、本図では入力用画像データ20と入力用レイヤー21を一体的にあらわしている。この詳細情報を入力する作業は、一般的に入手できる描画用ソフトウエア又は画像編集用ソフトウエアを用いることができる。また、詳細情報としては、目印22a,22b,22c、圃場番号23、無人航空機の飛行方向24、操縦者の移動経路25、助手の移動経路26、散布物補給箇所27、燃料補給箇所28、及び注意箇所29等がある。
【0026】
目印22a,22b,22cは、3箇所以上に設けて、後工程でジオリファレンスを行なうときに用いられるものである。ここでは、工場32a,32b,32cの屋根の角にそれぞれの目印22a,22b,22cを付している。
【0027】
圃場番号23は、散布対象圃場11の散布順序を示すものである。ここでは、複数の散布対象圃場11を大きく第1グループG1と第2グループG2に分けて、さらにこれらのグループG1,G2毎に散布順序を定め、丸囲み数字で圃場番号23を表わしている。この散布順序の定め方は、無人航空機の飛行及び無人航空機を操縦する操縦者の移動が速やかに行なわれる順序で決められる。
【0028】
無人航空機の飛行方向24は、散布対象圃場11内において主に無人航空機が飛行する方向である。本実施形態では、この飛行方向24は1本の線であらわされ、無人航空機はこの線と平行に飛行しつつ、必要に応じて散布対象圃場11の端部でターンをして往復する。
【0029】
操縦者の移動経路25は、無人航空機を操縦する操縦者が散布作業の進捗に伴って次の散布対象圃場11に移動するための経路である。この操縦者の移動経路25は、なるべく隣接する散布対象圃場11同士を最短距離で結びつつ、散布対象圃場11及び飛行方向24の端部が操縦者から目視できるように設定される。また、操縦者の移動経路25の始点30aは白丸で表わされ、終点31aは黒丸で表わされる。なお、これらの白丸及び黒丸は、グループG1,G2毎にまとめられた散布対象圃場11における、無人航空機の発着場所としても用いることができる。
【0030】
助手の移動経路26は、飛行方向24の端部のうち操縦者とは反対側に位置する助手が移動するための経路である。これは、操縦者からは散布対象圃場11の反対側の端部は見えにくいため、助手によって無人航空機のターンの指示や通行車両等の注意情報を操縦者に伝達する必要があるためである。助手の移動経路26は、助手が迷わずに散布対象圃場11の反対側の端部が目視できる最適な位置に移動するための経路である。また、助手の移動経路26の始点30b及び終点31bの表示は、操縦者の移動経路25の始点30a及び終点31aを見ればわかるため必須ではないが、本実施形態では矢印によって表わしている。もっとも、矢印に代えて操縦者の移動経路25同様に白丸と黒丸で表わしてもよい。また本実施形態では、上記の操縦者の移動経路25は実線で、助手の移動経路26は破線で表わしている。
【0031】
散布物補給箇所27は、無人航空機に肥料や農薬等の散布物を補給する場所である。この散布物補給箇所27は、圃場入力ステップS1020で算出されたそれぞれの散布対象圃場11の面積である散布面積を、圃場番号23の順に積算していき、無人航空機に積載された散布物の残量が少なくなる場所に設定される。燃料補給箇所28は、無人航空機に燃料を補給する場所である。この燃料補給箇所28も上記の散布物補給箇所27同様に散布面積を積算して、燃料残りが少なくなる場所に設定される。
【0032】
注意箇所29は、散布作業において注意するべき箇所において、その注意すべき内容を記載したものである。この注意箇所29としては、例えば住宅、駐車場、交通量の多い道路、養殖場等の散布物が飛散してはいけない場所、あるいは無人航空機が接触する恐れのある電線等がある。なお、燃料補給箇所28、及び注意箇所29は必須の項目ではなく、必要に応じて入力することになる。
【0033】
次に、詳細情報地図データ出力ステップS1050として図4に示すように、上記の詳細情報入力ステップS1040で詳細情報を入力した入力用レイヤー21を画像データとして取り出す。次に、入力用レイヤー21を、目印22a,22b,22cをもとにジオリファレンスして詳細情報地図データ40として出力する。具体的な手順は、先ず、ジオリファレンスに対応するソフトウエアを開く。次に、当該ソフトウエアで図1ないし図3に対応する地図及び入力用レイヤー21を表示させる。次に、図4に示す入力用レイヤー21(画像データ)のうち、3箇所以上に設けられた目印22a,22b,22cのそれぞれに、目印22a,22b,22cの元となった工場32a,32b,32c等の目標(図1ないし図3参照)の位置情報を付与する。そして、入力用レイヤー21を、画像データからmmp形式、kml形式、又はmbtiles形式等の地図用データに変換して、詳細情報地図データ40として出力する。本実施形態では、この作業に例えば、株式会社MIERUNEのMapTilerというソフトウエアを用いている。
【0034】
次に、地図作成ステップS1060として、図5(A)に示す詳細情報地図データ40を、図5(B)に示す散布対象圃場11が入力された電子地図10図2に示すものと同じもの)に読み込むとともに、詳細情報地図レイヤー41として重ね合わせる。すると、電子地図10が自動的に、目印22a,22b,22cに付せられた位置情報をもとに目印22a,22b,22cと工場32a,32b,32cとの位置を合せて図5(C)に示す散布用電子地図1を作成し表示する。なお、図5(C)では、詳細情報地図レイヤー41と電子地図10とを一体的に表わしている。また、作成した散布用電子地図1は、端末機器に表示させることで自らの現在位置も知ることができる。
【0035】
なお、上記の散布用電子地図作成方法において、詳細情報入力ステップS1040は、電子地図10に文字や線等の入力機能があれば、その一部又は全部を入力用画像データ20ではなく、電子地図10に直接入力することも可能である。係る場合は、画像出力ステップS1030、詳細情報地図データ出力ステップS1050、地図作成ステップS1060が不要となる。また、散布用電子地図作成方法の作業の一部又は全部を、散布対象圃場11周辺を実際に下見しながら行なうことも可能である。
【0036】
次に、上述した散布用電子地図作成方法で作成した散布用電子地図1を用いる散布方法の実施形態について、図3図7、及び図8を参照して説明する。なお、正確には散布用電子地図1図5(C)に示すものであるが、見た目は図3と同じであることから、ここでは図3を参照する。
【0037】
前提として、本実施形態の散布方法には操縦者、助手、補給係の少なくとも3名が係わるが、この3名それぞれが、自らの現在位置が表示される散布用電子地図1が動作する端末機器、及び互いが通話できる無線機(図示せず)を携帯する。そして3名は、散布用電子地図1に表示される操縦者の移動経路25の始点30a近傍に集合する。ここでは、散布対象圃場11が第1グループG1と第2グループG2に分けられているため、先ずは第1グループG1の始点30aに3名が集合する。なお、操縦者が携帯する端末機器は、無人航空機を遠隔操作させるためのコントローラにブラケット等(いずれも図示せず)を用いて固定され、操縦者は端末機器の画面を見ながら無人航空機を操縦することができる。
【0038】
次に、無人航空機を操縦する操縦者の動きを、図3及び図7を参照して説明する。先ず、操縦者は、始点30a近傍に散布物補給箇所27があるため、無人航空機に補給係から受け取った散布物を無人航空機に補給する、又は補給係が無人航空機に散布物を補給する(以下、単に「補給する」と称することがある。燃料補給箇所28においても同様。)。次に、操縦者は無人航空機を離陸させる(S2010)。そして、未散布の散布対象圃場11のうち、最も圃場番号23の若い散布対象圃場11を選択する(S2020)。ここでは、第1グループG1の散布対象圃場11を散布しており、この中でも丸囲み数字の1で表わす散布対象圃場11を選択する(以下、丸囲み数字であらわす圃場番号23を「1番、2番、3番・・」と称することがある。)。
【0039】
次に、操縦者は、無人航空機を飛行方向24に沿って飛行させ、散布物を散布する(S2030)。この飛行方向24に沿ってとは、飛行方向24に平行に飛行させるという意味であり、必要に応じて散布対象圃場11の中を複数回往復する。次に、当該散布対象圃場11の全てを散布したか否かを判断する(S2040)。ここでは、1番の散布対象圃場11の全てを散布したかどうかが判断される。まだ散布し終えてないときは、無人航空機を飛行方向24に添って往復させて散布を続ける(S2030)。散布が終わったときは次のステップに進む。
【0040】
次は、散布物補給箇所27又は燃料補給箇所28があるか否かが判断される(S2050)。ここでは散布物補給箇所27又は燃料補給箇所28がないため、次のステップS2060に進む。次のステップでは、全ての散布対象圃場11を散布したか否かが判断される(S2060)。ここでは、第1グループG1の散布対象圃場11の2番以下がまだ残っているため、ステップS2020に戻る。ステップS2020では、未散布の散布対象圃場11のうち、最も圃場番号23の若い散布対象圃場11を選択するため、圃場番号23が2番の散布対象圃場11を選択する。そして、操縦者は、操縦者の移動経路25に沿って移動して、ステップS2020~S2060を繰り返す。
【0041】
上記ステップを繰り返して、圃場番号23が5番の散布対象圃場11の散布を終えたとき、当該場所に散布物補給箇所27及び燃料補給箇所28がある。このため、ステップS2050の判断でyesの方向に進み、無人航空機を着陸させ、散布物及び燃料を補給する(S2070)。次に、全ての散布対象圃場11を散布したか否かが判断される。ここでは第1グループG1において、まだ圃場番号23が6番以降の散布対象圃場11が残っているため、ステップS2010に進み、無人航空機を離陸させる。そして、上記ステップを繰り返して圃場番号23が11番の散布対象圃場11までの散布を終える。次に、ステップS2060において、全ての散布対象圃場11を散布したかの判断がなされ、グループG1の全ての散布対象圃場11の散布を終えているため、無人航空機を着陸させて作業は終了する(S2090、S2100)。次に、同様の作業を第2グループG2の散布対象圃場11で行なえばよい。
【0042】
このように、操縦者は、コントローラに端末機器を取付けて、さらにその端末機器に散布用電子地図1を表示させることで、リアルタイムに散布対象圃場11、飛行方向24、注意箇所29等の情報を得ることができる。このため、必要な情報を視線の移動を最小限にして確認しつつ散布作業を行なうことができ、散布作業に集中することができる。これにより、安全かつ高効率の散布作業が可能となる。
【0043】
次に、助手の作業を、図3及び図8(A)を参照して説明する。上記の操縦者と助手との関係を要約すると、散布対象圃場11の端部のうち飛行方向24の一端の側を操縦者自らが監視して、飛行方向24の他端の側を助手が監視するのである。詳しく説明すると、助手は、無人航空機の飛行のタイミングに合わせて、現在の散布対象圃場11に移動する(S3010)。このとき、散布用電子地図1及び散布用電子地図1に表示される自らの現在位置を見ながら移動すれば良い。次に、無人航空機の飛行方向24の端部のうち、操縦者と反対側が目視できる位置に移動する(S3020)。具体的には、圃場番号23が1番の散布対象圃場11近傍にある助手の移動経路26の始点30b近傍に移動する。そして、飛行方向24に沿って飛行する無人航空機のターンのタイミングを、無線機を通じて操縦者に指示する(S3030)。このターンのタイミングは、一般的には無人航空機が散布対象圃場11の端部にさしかかるときである。
【0044】
また助手は注意点として、図3において吹き出しで表わされる注意箇所29に関する情報、及び近隣を通行する車両や人等の注意情報を適宜操縦者に伝える。そして、当該散布対象圃場11の散布が終わったら、操縦者の指示に従い次の圃場番号23が付された散布対象圃場11に移動する(S3040)。このとき、助手の移動経路26に添って移動することが好ましい。これを第1グループG1の散布対象圃場11の散布が全て終えるまで繰り返し、次に第2グループG2の散布対象圃場11でも同様の作業を繰り返す。
【0045】
このように、助手は、操縦者と同じ散布用電子地図1を見ており、自らの現在位置も表示されるので、操縦者に的確な指示を出すことができる。また、現在及び次の散布対象圃場11を速やかに把握することができるため、無人航空機のターンの指示や注意箇所29の伝達等に集中することができる。これにより、安全かつ高効率の散布作業をすることができる。
【0046】
次に、補給係の作業を図3及び図8(B)を参照して説明する。補給係は、散布物及び必要に応じて燃料を積載した車両を運転する。そして、散布物補給箇所27又は燃料補給箇所28のうち、未散布の散布対象圃場11かつ圃場番号23が最も若い散布対象圃場11に移動する(S4010)。図3においては、圃場番号23が1番の散布対象圃場11に散布物補給箇所27があるため、当該箇所に移動して待機する。そして、無人航空機が当該箇所に着陸すると、無人航空機に散布物を補給する(S4020)。その後、次の散布物補給箇所27又は燃料補給箇所28に先回りして移動する(S4030)。ここでは、圃場番号23が5番の散布対象圃場11に移動して、無人航空機の到着を待つ。これを第1グループG1の散布対象圃場11の散布が終えるまで繰り返し、第2グループG2の散布対象圃場11でも同様の作業を繰り返す。なお、補給係も無線機を携帯しているため、操縦者と助手との会話で現在どの圃場番号23の散布対象圃場11を作業しているのかを把握することができる。また、散布用電子地図1が表示される端末機器も持っているため、自らの現在位置も把握することができる。
【0047】
このように、補給係は、操縦者と同じ散布用電子地図1を見ることで、散布物補給箇所27又は燃料補給箇所28を知ることができ、補給の段取りをしておくことができる。また、圃場番号23、操縦者の移動経路25等も共有しているため、前もっての行動が可能となり、安全かつ高効率の散布作業が可能となる。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態の散布用電子地図作成方法によれば、専用のシステムが不要であり、航空写真等を撮影する作業も不要である。また、入力用画像データ20は実際の電子地図10から取得しているため、空撮された画像のように遠近感による歪みがない。さらに、ジオリファレンス作業において、画像データ(入力用レイヤー21)に設けられた目印22a,22b,22cに位置情報を付与して、地図データ(詳細情報地図データ40)として出力している。これらにより、その後に当該地図データを電子地図10で読み込むだけで詳細情報と実際の電子地図10とが正確に重なる。このため、詳細情報の目印22a,22b,22cと電子地図10に表示された目印22a,22b,22cの元となる目標(工場32a,32b,32c)とのずれを、手作業で修正して重ねる作業も不要になる。また、詳細情報は画像データに書き込まれるため、汎用の画像編集用ソフトウエア等を用いて手軽かつ詳細に書き込み作業をすることができる。これらにより、汎用のPCやタブレット、又はスマートフォン等の端末機器を用いて、手軽かつ正確に散布用電子地図1を作成することができる。
【0049】
また、散布用電子地図1には、助手の移動経路26も記載されており、助手が迷わずに移動することが可能となる。
【0050】
また、散布物補給箇所27及び燃料補給箇所28を散布面積によって略正確に記載することができる。これにより、無人航空機に対する散布物と燃料の補給を最適なタイミングで行なうことができ、散布作業を効率よく行なうことができる。
【0051】
さらに、本実施形態の散布方法によれば、操縦者、助手、及び補給係がそれぞれに自らの現在位置を表示可能な散布用電子地図1を表示させた端末機器を持って作業をしている。これにより、各々が自分が移動する経路、立ち位置、及びするべきこと等を直観的に知ることができ、効率よく作業することができる。例えば、従来であれば操縦者が散布対象圃場11を間違える、助手が目視しなければいけない散布対象圃場11を見失って本来の位置につくことが遅れる、補給係が散布物補給箇所27又は燃料補給箇所28を知らないため操縦者の後を付いていく、又は全く関係のない場所で待機して補給の準備が遅れるといったことが発生していた。さらに、従来は飛行方向24の指示や次の散布対象圃場11への案内など、無人航空機による散布作業以外の伝達及び思考が必要となり、散布作業に集中しづらくなることで安全面からも課題があった。一方、本実施形態の散布方法を採用することで上記の問題を解決でき、操縦者、助手、及び補給係が連携して安全かつ速やかに作業を行なうことができる。
【0052】
なお、上述した散布用電子地図作成方法及び散布方法は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・散布用電子地図、
10・・電子地図、11・・散布対象圃場,12・・圃場、
20・・入力用画像データ、21・・入力用レイヤー、22a,22b,22c・・目印、23・・圃場番号、24・・飛行方向、25・・操縦者の移動経路、26・・助手の移動経路、27・・散布物補給箇所、28・・燃料補給箇所、29・・注意箇所、30a,30b・・始点、31a,31b・・終点、32a,32b,32c・・工場(目標)、G1・・第1グループ、G2・・第2グループ、
40・・詳細情報地図データ、41・・詳細情報地図レイヤー、
図1
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図8