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特開2023-65074配線室の施工方法、及び配線室ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065074
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】配線室の施工方法、及び配線室ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
E04H1/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175657
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 清至
(72)【発明者】
【氏名】大浦 洋治
(57)【要約】
【課題】配線室を構築するための電気工事を早期に開始することができる配線室の施工方法、及び配線室ユニットを提供する。
【解決手段】建築物内に配線室を施工する方法において、前記配線室内の空間の大きさに相当する大きさを有する箱型フレームを、前記配線室の壁が構築される前に、前記配線室が構築されるべき位置に設置し、前記箱型フレームの内側に、電力供給又は通信を中継する中継装置を設置する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内に配線室を施工する方法において、
前記配線室内の空間の大きさに相当する大きさを有する箱型フレームを、前記配線室の壁が構築される前に、前記配線室が構築されるべき位置に設置し、
前記箱型フレームの内側に、電力供給又は通信を中継する中継装置を設置する
ことを特徴とする配線室の施工方法。
【請求項2】
前記箱型フレームの外側に、前記建築物内の壁を構築する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線室の施工方法。
【請求項3】
前記中継装置は、電力供給又は通信の中継を行う回路に接続された引出し線を有し、
前記建築物内に配置されるケーブルを前記引出し線に接続する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の配線室の施工方法。
【請求項4】
前記建築物の構造物に対して前記箱型フレームを固定し、
前記箱型フレームに対して前記中継装置を固定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の配線室の施工方法。
【請求項5】
複数の矩形フレームを予め作成しておき、
前記複数の矩形フレームを組み合わせることにより、前記箱型フレームを構築する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の配線室の施工方法。
【請求項6】
予め組み立ててある前記箱型フレームを、前記建築物内に搬入する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の配線室の施工方法。
【請求項7】
前記箱型フレームは、複数の直線状フレームを含んでおり、
並行した二本の直線状フレームの間を繋ぐように、直線状の追加フレームを、前記箱型フレームに取り付ける
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の配線室の施工方法。
【請求項8】
前記追加フレームに前記中継装置又は他の機器を取り付ける
ことを特徴とする請求項7に記載の配線室の施工方法。
【請求項9】
前記箱型フレームの内側に、
前記建築物内に配置されるケーブルと、
前記ケーブルを沿わせて配置するための長尺のケーブル支持部材とを設置する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の配線室の施工方法。
【請求項10】
建築物の配線室内の空間の大きさに相当する大きさを有しており、前記配線室が構築されるべき位置に設置される箱型フレームと、
前記箱型フレームの内側に設置されており、電力供給又は通信を中継する中継装置と
を備えることを特徴とする配線室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内にある配線室の施工方法、及び配線室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数階を有する建築物には、電力線及び信号線等のケーブルを複数の階に亘って縦方向に通すための空間、所謂EPS(Electric Pipe Shaft )が設けられている。また、建築物の各階には、EPSを通ったケーブルが繋がる配線室が設けられている。例えば、配線室は、当該階においてEPSとして用いられる空間を含む。配線室はEPS室又は電気室とも呼ばれる。配線室には、分電盤又は端子盤等の電力供給又は通信を中継する中継装置が設けられている。EPSを通ったケーブルとフロアの各部に繋がるケーブルとは、中継装置を介して接続されている。配線室を介して、フロアの各部に電力が供給され、通信が行われる。特許文献1には、配線室が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-137645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線室は以下の順序で構築される。第一の工程で、建築工事によって、建築物の各階の柱、梁、床及び外壁が構築される。第二の工程で、建築工事によって、各階の壁及び天井等が構築される。このときに、配線室用の壁も構築され、配線室用の空間が確保される。第三の工程で、電気工事によって、配線室用の空間に分電盤等の中継装置、照明等の各種の機器、及びケーブルが設置され、配線室が構築される。例えば、配線室内では、壁に対して中継装置が固定される。しかし、配線室は小さい部屋であるので、配線室用の壁を構築する建築工事は後回しになり、予定より遅延する傾向がある。このため、建築工事(第一の工程と第二の工程)が完了した後に行われる電気工事(第三の工程)の開始が遅くなり、電気工事を短期間で行うことが要求され、労務費の増大、残業時間の増加、及び施工品質の低下の原因になっている。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、配線室を構築するための電気工事を早期に開始することができる配線室の施工方法、及び配線室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配線室の施工方法は、建築物内に配線室を施工する方法において、前記配線室内の空間の大きさに相当する大きさを有する箱型フレームを、前記配線室の壁が構築される前に、前記配線室が構築されるべき位置に設置し、前記箱型フレームの内側に、電力供給又は通信を中継する中継装置を設置することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る配線室ユニットは、建築物の配線室内の空間の大きさに相当する大きさを有しており、前記配線室が構築されるべき位置に設置される箱型フレームと、前記箱型フレームの内側に設置されており、電力供給又は通信を中継する中継装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態においては、建築物内に配線室の壁が構築される前に、配線室が構築されるべき位置に箱型フレームを設置し、箱型フレームの内側に、分電盤等の中継装置を設置する。配線室の壁は、後から箱型フレームの外側に構築され得る。建築物内に壁が構築される前に、配線室を構築するための電気工事を開始することが可能となり、電気工事を早期に開始することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、配線室を構築するための電気工事を早期に開始することが可能となる。このため、電気工事を実施できる期間を長く確保することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】複数階を有する建築物の模式的断面図である。
図2】建築物の内部に壁が設けられる前の建築物の床を示す模式図である。
図3】箱型フレームの例を示す模式的斜視図である。
図4】矩形フレームの例を示す模式図である。
図5】箱型フレームと、箱型フレームの内側に設置された設備との例を示す模式的斜視図である。
図6】箱型フレームと、箱型フレームの内側に設置された設備との例を示す模式的斜視図である。
図7】一次側ケーブル及び二次側ケーブルが接続された中継装置を示す模式図である。
図8】追加フレームを取り付けた矩形フレームの例を示す模式図である。
図9】壁が設けられた配線室の例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、複数階を有する建築物1の模式的断面図である。建築物1には、電力線又は通信線等の一次側ケーブル12を縦方向に通すための空間であるEPS11が設けられている。各階の床13には、一次側ケーブル12を縦方向に通すための貫通孔14が形成されている。各階における貫通孔14は、鉛直方向から見てほぼ同じ位置に設けられており、複数の貫通孔14が縦に並んでいる。縦に並んだ複数の貫通孔14は、EPS11に含まれている。
【0012】
建築物1の各階には、配線室2が設けられている。配線室2は、各階においてEPS11として用いられる空間を含んでいる。配線室2はEPS室又は電気室とも呼ばれる。配線室2内には、分電盤又は端子盤等の電力供給又は通信を中継する中継装置21が設置されている。中継装置21は、電力供給及び通信を中継してもよい。EPS11を通って配置された一次側ケーブル12は、中継装置21に接続されている。なお、配線室2は、EPS11とは異なる位置にあってもよい。
【0013】
中継装置21には、各階に配置された二次側ケーブル22が接続されている。中継装置21は、電力供給又は通信を中継する。即ち、中継装置21は、一次側ケーブル12を通じて供給された電力を、二次側ケーブル22に接続された各種の機器へ供給する。また、中継装置21は、二次側ケーブル22に接続された機器による一次側ケーブル12を通じた通信を中継する。中継装置21は、複数の二次側ケーブル22に接続された複数の機器の間の通信を中継してもよい。
【0014】
本実施形態に係る配線室2の施工方法では、建築物1に配線室2用の壁が構築される前に、配線室2を構築するための電気工事を開始する。図2は、建築物1の内部に壁が設けられる前の建築物1の床13を示す模式図である。床13の上にはまだ壁が設けられていない。また、床13には、一次側ケーブル12を通すための貫通孔14が形成されている。建築物1を設計する際に、構築されるべき配線室2の位置は定められている。即ち、配線室2の位置は、予め定められている。図2には、構築されるべき配線室2の位置15を破線で示している。図2に示した例では、配線室2の位置15は、貫通孔14が設けられている位置を含んだある程度の大きさの領域である。配線室2がEPS11とは異なる位置に構築される形態では、配線室2の位置15は、貫通孔14が設けられている位置とは異なる位置にある。
【0015】
本実施形態に係る配線室2の施工方法では、まず、構築されるべき配線室2の位置15に、箱型フレーム3を設置する。図3は、箱型フレーム3の例を示す模式的斜視図である。図3には、構築されるべき配線室2の位置15に箱型フレーム3を設置した例を示している。箱型フレーム3は、複数の直線状フレームを組み合わせて箱状に構成されている。箱型フレーム3は、配線室内の空間の大きさに相当する大きさを有する。また、箱型フレーム3の大きさは、構築されるべき配線室2の位置15に収まる大きさとなっている。箱型フレーム3の内側は、物を設置することが可能であり、また、人が作業をすることができる空間になっている。
【0016】
箱型フレーム3は、複数の矩形フレーム31を組み合わせることにより、構築される。図4は、矩形フレーム31の例を示す模式図である。矩形フレーム31は、直線形状を有する直線状フレーム32から構成されている。例えば、直線状フレーム32は、金属製、樹脂製又は木製等である。矩形フレーム31は、複数の直線状フレーム32を矩形に組み合わせることにより、作成される。複数の直線状フレーム32は、互いに接合されている。例えば、複数の直線状フレーム32は、ボルト、連結金具又は接着剤等を用いて互いに接合される。直線状フレーム32が金属製である場合は、複数の直線状フレーム32は、溶接によって互いに接合されてもよい。
【0017】
複数の矩形フレーム31は、配線室2を構築するための電気工事が開始される前に、予め作成されている。電気工事の際に、複数の矩形フレーム31が建築物1内に搬入され、構築されるべき配線室2の位置15において、複数の矩形フレーム31が箱状に組み合わされる。複数の矩形フレーム31以外に、直線状フレーム32を用いて、箱型フレーム3が組み立てられる。複数の矩形フレーム31及び直線状フレーム32は、互いに接合される。例えば、複数の矩形フレーム31及び直線状フレーム32は、ボルト、連結金具又は接着剤等を用いて互いに接合される。矩形フレーム31及び直線状フレーム32が金属製である場合は、溶接によって接合がなされてもよい。箱型フレーム3は、複数の矩形フレーム31及び直線状フレーム32以外の部材を更に用いて組み立てられてもよい。
【0018】
箱型フレーム3を組み立てる際に、複数の矩形フレーム31を組み合わせるので、直線状フレーム32を組み合わせて箱型フレーム3を組み立てることに比べて、箱型フレーム3を組み立てるための作業が簡便になる。配線室2を構築するための電気工事が開始された後に矩形フレーム31を作成する必要は無く、予め作成されている矩形フレーム31を用いればよいので、工事現場で箱型フレーム3を組み立てるために必要な時間は短い。このため、配線室2を構築するために必要な時間が短縮される。
【0019】
箱型フレーム3は、床13に対して固定される。例えば、床13に予め埋め込まれているアンカーボルトを利用して、箱型フレーム3は床13に固定される。箱型フレーム3は、床13以外の建築物1の構造物に対して固定されてもよい。例えば、箱型フレーム3は、建築物1の壁、柱、又は梁に対して固定されてもよい。
【0020】
配線室2の施工方法では、次に、箱型フレーム3の内側に、配線室2に必要な設備を設置する。図5及び図6は、箱型フレーム3と、箱型フレーム3の内側に設置された設備との例を示す模式的斜視図である。図5には、一次側ケーブル12及び二次側ケーブル22を省略した図を示す。箱型フレーム3の内側には、中継装置21が設置される。中継装置21は、例えば、分電盤又は端子盤である。図6には、中継装置21に一次側ケーブル12及び二次側ケーブル22が接続された状態を示す。図5及び図6には、二台の中継装置21が設置された例を示す。箱型フレーム3の内側には、中継装置21が一台のみ設置されてもよく、三台以上の中継装置21が設置されてもよい。
【0021】
分電盤は、電力線である一次側ケーブル12が接続され、また、建築物1内の複数の箇所に繋がった電力線である二次側ケーブル22が接続される。分電盤内には、一次側ケーブル12と夫々の二次側ケーブル22との間の接続、遮断及び切り替え等を行い、電力供給を中継するための回路が設けられている。分電盤は、一次側ケーブル12と何れかの二次側ケーブル22とを接続し、電力の供給を中継する。分電盤内の回路を介して、一次側ケーブル12から二次側ケーブル22へ電流が流れ、建築物1内の各箇所へ電力が供給される。
【0022】
端子盤は、通信線である一次側ケーブル12が接続され、また、建築物1内の複数の箇所に繋がった通信線である二次側ケーブル22が接続される。端子盤内には、一次側ケーブル12と夫々の二次側ケーブル22との間の接続を行い、通信を中継するための回路が設けられている。また、端子盤内には、通信線である複数の二次側ケーブル22の間の接続を行うための回路が設けられていてもよい。端子盤は、一次側ケーブル12と何れかの二次側ケーブル22とを接続し、又は複数の二次側ケーブル22同士を接続し、ウェブデータ、機器の制御信号、又はオーディオ信号等の各種のデータ又は信号を送受信するための通信を中継する。
【0023】
中継装置21は、箱型フレーム3の内側に設置され、箱型フレーム3に対して固定される。例えば、中継装置21は、ボルト、連結金具又は接着剤等を用いて、箱型フレーム3に含まれるいずれかの直線状フレーム32に固定される。中継装置21を箱型フレーム3に対して固定することにより、壁に対して中継装置が固定されていた従来の配線室と同様に、中継装置21を固定することができる。
【0024】
また、配線室2の施工方法では、箱型フレーム3の内側に、ケーブル支持部材23を設置する。ケーブル支持部材23は、複数の一次側ケーブル12を沿わせて固定するための設備である。ケーブル支持部材23は、例えば金属製であり、長尺のはしご状に構成されたケーブルラックである。ケーブル支持部材23は、長尺方向が上下方向になるように、配置される。ケーブル支持部材23の上下方向の長さは、図5及び図6に示すように、箱型フレーム3の上下方向の長さよりも長くてもよい。ケーブル支持部材23は、貫通孔14を通り、複数の階に亘って設置されてもよく、各階に個別に設置されてもよい。各階に個別に設置される場合、ケーブル支持部材23は、貫通孔14の近傍に設置される。ケーブル支持部材23は、箱型フレーム3に対して固定される。例えば、ケーブル支持部材23は、ボルト又は連結金具を用いて、箱型フレーム3に含まれるいずれかの直線状フレーム32に固定される。
【0025】
EPS11を通って配置された複数の一次側ケーブル12は、貫通孔14を通り、箱型フレーム3の内側を通る。複数の一次側ケーブル12は、まとめられ、ケーブル支持部材23に沿わせて、箱型フレーム3の内側に配置される。複数の一次側ケーブル12は、一又は複数の束に束ねられた状態で配置されてもよい。複数の一次側ケーブル12は、ケーブル支持部材23に沿った状態で、ケーブル支持部材23に固定されてもよい。例えば、一次側ケーブル12は結索バンドによりケーブル支持部材23に固定される。
【0026】
複数の一次側ケーブル12の一部は、中継装置21に接続される。例えば、電力線である一次側ケーブル12が分電盤である中継装置21に接続され、通信線である一次側ケーブル12が端子盤である中継装置21に接続される。一次側ケーブル12が接続されない中継装置21があってもよい。複数の一次側ケーブル12の一部は、他の階へ延長する。複数の一次側ケーブル12がケーブル支持部材23に沿った状態で設置されることにより、複数の一次側ケーブル12が配線室2内に乱雑に配置されることなく、整理された状態で配置される。
【0027】
図7は、一次側ケーブル12及び二次側ケーブル22が接続された中継装置21を示す模式図である。中継装置21は、電力供給又は通信の中継を行う回路を含んだ装置本体211を備えている。また、中継装置21は、装置本体211に含まれる回路に接続された一次側引出し線212及び二次側引出し線213を備えている。一次側引出し線212及び二次側引出し線213は、電気工事が開始される前に予め中継装置21内に設けられている。一次側引出し線212は、一次側ケーブル12が接続されるためのケーブルであり、二次側引出し線213は、二次側ケーブル22が接続されるためのケーブルである。一次側引出し線212には、一次側ケーブル12が接続されるためのコネクタ等の接続部品が連結されており、接続部品を介して一次側引出し線212に一次側ケーブル12が接続される。同様に、二次側引出し線213は、二次側ケーブル22が接続される接続部品が連結されており、接続部品を介して二次側引出し線213に二次側ケーブル22が接続される。一次側引出し線212に一次側ケーブル12を接続し、二次側引出し線213に二次側ケーブル22を接続することによって、中継装置21に一次側ケーブル12及び二次側ケーブル22が接続される。設置された中継装置21内の回路に直接に一次側ケーブル12及び二次側ケーブル22を接続することに比べて、中継装置21に一次側ケーブル12及び二次側ケーブル22を接続する作業が簡便になる。このため、配線室2を構築するために必要な時間が短縮される。
【0028】
箱型フレーム3の内側には、複数のケーブル支持部材23が配置されてもよい。長尺方向を上下方向以外の方向にしたケーブル支持部材23が配置されてもよい。例えば、長尺方向を上下方向に交差する横方向にしたケーブル支持部材23が配置されてもよい。配線室2がEPS11とは異なる位置に構築される形態では、貫通孔14を通った複数の一次側ケーブル12は、配線室2の位置15まで延伸され、箱型フレーム3の内側で中継装置21に接続される。
【0029】
箱型フレーム3には、追加フレーム33を取り付けることが可能である。追加フレーム33は、いずれかの矩形フレーム31に取り付けられる。図8は、追加フレーム33を取り付けた矩形フレーム31の例を示す模式図である。追加フレーム33は、直線状のフレームであり、上下方向に沿って配置される。例えば、追加フレーム33は、金属製、樹脂製又は木製等である。追加フレーム33は、矩形フレーム31に含まれる並行した二本の直線状フレーム32の間を繋ぐように、矩形フレーム31に取り付けられる。追加フレーム33は、二本の直線状フレーム32に固定される。例えば、追加フレーム33は、ボルト、連結金具又は接着剤等を用いて、直線状フレーム32に固定される。
【0030】
追加フレーム33は、二本の直線状フレーム32に沿ったいずれの位置にも固定されることが可能である。即ち、追加フレーム33は、必要に応じて移動させることが可能である。追加フレーム33は、隣接して横方向に並行した二本の直線状フレーム32の間であれば、何れの二本の直線状フレーム32の間にも取り付けることが可能である。また、追加フレーム33は、何れの矩形フレーム31に取り付けることも可能である。即ち、追加フレーム33は、箱型フレーム3の任意の位置に取り付けられ得る。箱型フレーム3には、複数の追加フレーム33が取り付けられてもよい。なお、追加フレーム33は、横方向に沿って配置されてもよい。この形態では、追加フレーム33は、隣接して上下方向に並行した二本の直線状フレーム32の間に取り付けられる。
【0031】
箱型フレーム3の内側には、中継装置21以外の機器24が設置されてもよい。例えば、機器24は、照明、スイッチ、コンセント、電力線が内部に配置された配管、遮断器、リレー、電力量計、変圧器、予備電源、又は制御装置等である。中継装置21及び機器24の間は、電力線又は通信線で接続されてもよい。機器24は、箱型フレーム3に固定される。例えば、機器24は、ボルト、連結金具又は接着剤等を用いて、箱型フレーム3に含まれるいずれかの直線状フレーム32に固定される。直線状フレーム32に予め固定されている機器24があってもよい。
【0032】
中継装置21又は機器24は、追加フレーム33に固定されてもよい。中継装置21又は機器24が設置される位置によっては、中継装置21又は機器24を固定するための直線状フレーム32が存在しないことがある。例えば、何れの直線状フレーム32からも離れた位置に中継装置21又は機器24が設置された場合は、中継装置21又は機器24を固定するための直線状フレーム32が存在しない。追加フレーム33は、箱型フレーム3の任意の位置に取り付けられ得るので、中継装置21又は機器24を固定するための直線状フレーム32が存在しない場合でも、中継装置21又は機器24の近傍に追加フレーム33を配置することができる。中継装置21又は機器24の近傍に配置された追加フレーム33に対して、中継装置21又は機器24を固定することができる。例えば、中継装置21又は機器24は、ボルト、連結金具又は接着剤等を用いて、追加フレーム33に固定される。
【0033】
中継装置21又は機器24の近傍に追加フレーム33を配置し、中継装置21又は機器24を追加フレーム33に固定することによって、中継装置21又は機器24を任意の位置に設置することができる。このため、中継装置21又は機器24を箱型フレーム3の内側の適切な位置に設置することができる。また、箱型フレーム3の内側に、可及的に多くの中継装置21又は機器24を設置することが可能となる。
【0034】
図6に示すように、箱型フレーム3と、箱型フレーム3の内側に設置された設備とをまとめて、配線室ユニット20とする。配線室ユニット20が完成した段階で、配線室2の機能は実現可能な状態となる。
【0035】
建築物1の内部の壁は、箱型フレーム3の外側に構築される。図9は、壁が設けられた配線室2の例を示す模式的斜視図である。床13の上に壁16が建てられている。壁16の一部は配線室2の壁になっており、配線室ユニット20は壁16に覆われている。壁16の一部分にはドア25が設けられている。ドア25は、箱型フレーム3の内側に通じている。箱型フレーム3の内側は、配線室2の内部である。即ち、ドア25を通って人が配線室2へ出入りすることができる。
【0036】
箱型フレーム3の外側に壁16を構築することにより、配線室2の壁を構築し、配線室2を完成させることができる。壁16を構築する作業は、箱型フレーム3の内側に設備を設置する作業とは無関係に行うことができる。壁16を構築する作業は、配線室ユニット20が完成した後に行われてもよく、箱型フレーム3の内側に設備を設置する作業と並行して行われてもよい。
【0037】
以上詳述した如く、本実施形態においては、配線室2の壁が構築される前に、構築されるべき配線室2の位置15に箱型フレーム3が設置され、箱型フレーム3の内側に、中継装置21等の配線室2に必要な設備が設置される。このため、建築物1内に壁が構築される前に、配線室2を構築するための電気工事を開始することが可能となり、電気工事を早期に開始することが可能となる。このため、電気工事を実施できる期間を従来よりも長く確保することが可能となる。電気工事のための作業を時間的に分散させて、作業量の平準化を図ることができる。これにより、労務費の増大、残業時間の増加、及び施工品質の低下を防止することが可能となる。
【0038】
本実施形態においては、箱型フレーム3が建築物1の構造物に固定される形態を示したが、箱型フレーム3は固定されない形態であってもよい。また、中継装置21は、箱型フレーム3に対して固定されない形態であってもよい。本実施形態においては、箱型フレーム3の外側に壁16が構築される形態を示したが、壁16が構築されずに配線室ユニット20がそのまま配線室2として使用されてもよい。配線室ユニット20は、建築物1の床13とは別の、配線室2の床を含んでいてもよい。配線室2の床は、配線室2の内部に収まる大きさを有し、床13に載置され、配線室2の床の上に箱型フレーム3が設置される。例えば、配線室2の床が床13に固定され、配線室2の床に箱型フレーム3が固定される。
【0039】
本実施形態においては、工事現場で矩形フレーム31から箱型フレーム3を組み立てる形態を示したが、箱型フレーム3は工事現場で直線状フレーム32から組み立てられてもよい。この形態では、箱型フレーム3は矩形フレーム31を含んでおらず、複数の直線状フレーム32を含んでおり、追加フレーム33はいずれかの二本の直線状フレーム32に取り付けられ得る。或は、箱型フレーム3は建築物1の外部で組み立てられ、予め組み立てられた箱型フレーム3が建築物1内へ搬入されてもよい。搬入された箱型フレーム3は、配線室2の位置15に設置され、固定される。予め組み立ててある箱型フレーム3を建築物1内へ搬入することにより、箱型フレーム3を建築物1内で組み立てる作業が不要となり、配線室2を構築するために必要な時間が短縮される。
【0040】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 建築物
11 EPS
12 一次側ケーブル
13 床
14 貫通孔
15 配線室の位置
16 壁
2 配線室
20 配線室ユニット
21 中継装置
212 一次側引出し線
213 二次側引出し線
22 二次側ケーブル
23 ケーブル支持部材
24 機器
3 箱型フレーム
31 矩形フレーム
32 直線状フレーム
33 追加フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9