IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社内田洋行の特許一覧 ▶ 株式会社稲葉製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065079
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】組立式ブース及びブース組立キット
(51)【国際特許分類】
   A47B 17/04 20060101AFI20230502BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20230502BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A47B17/04
A47B17/00 A
A47B96/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175667
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(71)【出願人】
【識別番号】000140007
【氏名又は名称】株式会社稲葉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 治宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼澤 彩香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理
(72)【発明者】
【氏名】今村 圭佑
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053SA01
3B053SA05
(57)【要約】
【課題】形態の自由度の高い組立式ブースを提供する。
【解決手段】卓上に作業空間を画定する組立式ブースは、作業空間を画定する隔壁を構成するための複数の独立したパネルと、複数の独立したパネルを着脱可能に連結する連結手段と、を備え、隔壁の構成に用いる複数の独立したパネルの組合せを変更可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上に作業空間を画定する組立式ブースであって、
前記作業空間を画定する隔壁を構成するための複数の独立したパネルと、前記複数の独立したパネルを着脱可能に連結する連結手段と、を備え、
前記隔壁の構成に用いる前記複数の独立したパネルの組合せを変更可能である、
組立式ブース。
【請求項2】
前記複数の独立したパネルは、前記作業空間の奥行を規定する隔壁である奥壁を構成するためのフロントパネルと、前記作業空間の幅を規定する隔壁である一対の側壁を構成するための一対のサイドパネルと、前記作業空間の高さを規定する隔壁である天壁を構成するためのルーフパネルと、を含み、
前記組立式ブースは、前記フロントパネルと前記一対のサイドパネルとの中から選択される何れか2枚のパネルと、前記ルーフパネルと、によって組立可能である、
請求項1に記載の組立式ブース。
【請求項3】
相対的に幅広な前記ルーフパネルと相対的に幅狭な前記ルーフパネルとを選択的に組付可能である、
請求項2に記載の組立式ブース。
【請求項4】
前記連結手段は、前記パネルの縁に形成された溝と、連結されるパネル同士の前記溝に差し込み可能な連結片と、を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の組立式ブース。
【請求項5】
前記溝は、前記パネルの全周に亘って形成されている、
請求項4に記載の組立式ブース。
【請求項6】
卓上に作業空間を画定するブースを組立てるためのブース組立用キットであって、
前記作業空間を画定する隔壁を構成するための複数の独立したパネルと、前記複数の独立したパネルを着脱可能に連結する連結手段と、を備え、
前記隔壁の構成に用いる前記複数の独立したパネルの組合せを変更可能である、
ブース組立用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式ブース、及びブースを組み立てるためのブース組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デスクに設置され、周囲の音や視野を遮ることで個室感を生み出し、作業に集中可能な空間を使用者に提供することを目的とした、組立式ブースが知られている(例えば、特許文献1)。近年、テレワークの普及や感染症予防に対する意識の高まりから、オンライン会議等での防音や飛沫防止の観点から、デスク設置型のブースの需要が高まっている。また、天板の高さ位置を可変とした天板昇降式デスクでは、天板の位置を高くすることで使用者が起立して作業することが可能となるが、起立しながらの作業を周囲から目立たせたくないという理由や天板上のモニタやパソコン等の落下防止等の観点でもデスク設置型ブースの需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3228452号公報
【特許文献2】実用新案登録第3232712号公報
【特許文献3】実用新案登録第3231162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、組立式ブースを設置する目的は様々であり、使用目的に応じて求められる形態も異なってくる。本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、形態の自由度の高い組立式ブースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を採用した。即ち、本発明は、卓上に作業空間を画定する組立式ブースであって、前記作業空間を画定する隔壁を構成するための複数の独立したパネルと、前記複数の独立したパネルを着脱可能に連結する連結手段と、を備え、前記隔壁の構成に用いる前記複数の独立したパネルの組合せを変更可能である、組立式ブースである。
【0006】
本発明によると、使用目的に応じてパネルを組み換えることにより、組立式ブースの形態を変更することができる。
【0007】
また、本発明において、前記複数の独立したパネルは、前記作業空間の奥行を規定する隔壁である奥壁を構成するためのフロントパネルと、前記作業空間の幅を規定する隔壁である一対の側壁を構成するための一対のサイドパネルと、前記作業空間の高さを規定する隔壁である天壁を構成するためのルーフパネルと、を含み、前記組立式ブースは、前記フロントパネルと前記一対のサイドパネルとの中から選択される何れか2枚のパネルと、前記ルーフパネルと、によって組立可能であってもよい。
【0008】
また、本発明に係る組立式ブースは、相対的に幅広な前記ルーフパネルと相対的に幅狭な前記ルーフパネルとを選択的に組付可能であってもよい。
【0009】
また、本発明において、前記連結手段は、前記パネルの縁に形成された溝と、連結されるパネル同士の前記溝に差し込み可能な連結片と、を含んでもよい。
【0010】
また、本発明において、前記溝は、前記パネルの全周に亘って形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明は、卓上に作業空間を画定するブースを組立てるためのブース組立用キットであってよい。即ち、本発明に係るブース組立キットは、前記作業空間を画定する隔壁を構成するための複数の独立したパネルと、前記複数の独立したパネルを着脱可能に連結する連結手段と、を備え、前記隔壁の構成に用いる前記複数の独立したパネルの組合せを変更可能である。
【0012】
本発明によれば、形態の自由度の高い組立式ブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るブース付きデスクの全体斜視図(1)である。
図2】実施形態に係るブース付きデスクの分解図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】実施形態に係るデスク本体の正面図である。
図5】実施形態に係るデスク本体の右側面図である。
図6】実施形態に係るデスク本体の左側面図である。
図7】フロントパネルの平面図である。
図8】右側のサイドパネルの平面図である。
図9】左側のサイドパネルの平面図である。
図10】ルーフパネルの平面図である。
図11図7(A)のB-B断面図である。
図12】実施形態に係る連結片の斜視図である。
図13】パネル同士の連結状態を説明するための断面図である。
図14】実施形態に係るブース付きデスクの全体斜視(2)である。
図15】実施形態に係るブース付きデスクの全体斜視(3)である。
図16】実施形態に係るブース付きデスクの全体斜視(4)である。
図17】実施形態に係るブース付きデスクの全体斜視(5)である。
図18】実施形態に係る溝の利用例1を説明するための図である。
図19】実施形態に係る溝の利用例2を説明するための図である。
図20】実施形態に係る溝の利用例3を説明するための図である。
図21】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの斜視図である。
図22】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの参考斜視図である。
図23】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの正面図である。
図24】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの背面図である。
図25】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの右側面図である。
図26】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの左側面図である。
図27】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの平面図である。
図28】第3形態の組立式ブースが設置されたデスクの底面図である。
図29図23のA-A断面図である。
図30】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの斜視図である。
図31】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの参考斜視図である。
図32】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの正面図である。
図33】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの背面図である。
図34】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの右側面図である。
図35】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの左側面図である。
図36】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの平面図である。
図37】第5形態の組立式ブースが設置されたデスクの底面図である。
図38図32のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。本発明に係る組立式ブースは、デスクやテーブルに設置されることで、卓上に作業空間を画定するものである。以下に説明する実施形態は、本発明に係る組立式ブースを、天板の高さ位置を変更可能な電動昇降デスク(昇降式デスク)に適用したものであるが、本発明に係る組立式ブースは、昇降式デスクに限らず、種々のデスクやテーブルに適用可能である。
【0015】
[全体構成]
図1は、実施形態に係るブース付きデスク100の全体斜視図、図2は、実施形態に係るブース付きデスク100の分解図である。図3は、図1のA-A断面図である。図1では、符号20で示す組立式ブースが後述の第1形態にある場合が図示されている。図1等の矢印は、ブース付きデスク100における、前後方向(奥行き方向)、左右方向(幅方向)、上下方向(高さ方向)を示す。なお、ブース付きデスク100の前後方向は、使用者が着席する側が後側(手前側)であり、その反対側が前側(奥側)である。図1等に示すように、ブース付きデスク100は、デスク本体10と、デスク本体10に設置された組立式ブース20と、を備える。
【0016】
[デスク本体]
図2に示すように、デスク本体10は、天板1と、左右に配置されて天板1を下方から支持する一対の脚体2,2と、を備える。天板1は、上面視において略矩形状を有する平板である。天板1の前端縁(前側の端縁)及び後端縁(後側の端縁)は、左右方向に延びており、右端縁(右側の端縁)及び左端縁(左側の端縁)は前後方向に延びている。脚体2は、床面に配置される脚支持部21と、脚支持部21から上方に延びて天板1に連結される脚本体22と、を有する。脚本体22は、上下方向に伸縮可能に構成されている。ここで、図3の符号11は、天板1の上面を示し、符号12は、天板1の下面を示す。また、天板1よりも下方の空間(つまり、下面12よりも下方の空間)を下肢空間S2とする。デスク本体10は、例えば、天板1の上面11上にPCや書類等が載置され、下肢空間S2に着座した使用者の下肢が収容されるようにして、用いられる。
【0017】
また、デスク本体10は、天板1の高さ位置を電動で変更可能な、所謂昇降式デスクである。デスク本体10は、制御ユニット(不図示)と操作部(不図示)とを備え、制御ユニットは、操作部に対する使用者の操作に応じて脚本体22を伸縮させることで、天板1を昇降させる。これにより、天板1の高さ位置を変更可能となっている。使用者は、例えば、天板1の位置が比較的低い状態(通常の状態)においては椅子に着座した姿勢で作業し、天板1の位置が比較的高い状態においては起立した姿勢で作業することができる。
【0018】
図4は、デスク本体10の正面図、図5は、デスク本体10の右側面図、図6は、デスク本体10の左側面図である。図4~6に示すように、デスク本体10は、天板1の下面12に取り付けられた、フロントパネル用取付具3F、サイドパネル用取付具3R、及びサイドパネル用取付具3Lを、更に備える。図4に示すように、フロントパネル用取付具3Fは、天板1の下面12における前端縁付近に、左右に間隔を空けて2つ取り付けられている。フロントパネル用取付具3Fは、天板1よりも下方に位置すると共にデスク本体10の前方に面する取付面3Faを有する。取付面3Faは、デスク本体10の前面の一部を構成する。図5に示すように、サイドパネル用取付具3Rは、天板1の下面12における右端縁付近に前後に間隔を空けて2つ取り付けられている。サイドパネル用取付具3Rは、天板1よりも下方に位置すると共にデスク本体10の右側に面する取付面3Raを
有する。取付面3Raは、デスク本体10の右側面の一部を構成する。図6に示すように、サイドパネル用取付具3Lは、天板1の下面12における左端縁付近に前後に間隔を空けて2つ取り付けられている。サイドパネル用取付具3Lは、天板1よりも下方に位置すると共にデスク本体10の左側に面する取付面3Laを有する。取付面3Laは、デスク本体10の左側面の一部を構成する。
【0019】
[組立式ブース]
図1に示すように、組立式ブース20は、天板1を取り囲むようにデスク本体10に設置されることで、使用者が作業するための空間である作業空間S1を机上(天板1の上方)に画定する、仕切り部材である。組立式ブース20は、例えば、使用者の飛沫防止やWEB会議等での防音・収音を目的としてデスク本体10に設置(装着)される。作業空間S1は、デスク本体10の天板1と組立式ブース20とによって囲まれた、天板1の上方の空間であり、デスク本体10に着席した使用者が作業空間S1で作業できるように、少なくとも後面が開放されている。図2に示すように、組立式ブース20は、複数の独立したパネルP1を含んで構成されている。後述するように、組立式ブース20はパネルP1を組み替えることで形態を変更可能となっている。図1に示すように後面が開放されたボックス状の形態を、第1形態と称する。図1に示すように、第1形態の組立式ブース20は、天板1との間に作業空間S1を画定するための隔壁(仕切り)として、奥壁4と、一対の側壁5R,5Lと、天壁6と、を備えるように形成されている。奥壁4は、奥行き方向に直交するように立設されることで作業空間S1の奥行を規定する隔壁である。奥壁4は、デスク本体10の前面に設けられている。一対の側壁5R,5Lは、幅方向に直交するように互いに間隔を空けて立設されることで作業空間S1の幅を規定する隔壁である。側壁5Rは、デスク本体10の右側面に設けられており、側壁5Lは、デスク本体10の左側面に設けられている。天壁6は、高さ方向に直交するように天板1と間隔を空けて設けられることで作業空間S1の高さを規定する隔壁である。天壁6は、奥壁4及び一対の側壁5R,5Lの上に設けられている。デスク本体10の天板1と、組立式ブース20の奥壁4と、一対の側壁5R,5Lと、天壁6とによって、略直方体状の作業空間S1が画定されている。
【0020】
図2に示すように、組立式ブース20は、作業空間S1を画定する隔壁を構成するための複数の独立したブースパネルP1(以下、パネルP1)と、複数の独立したパネルP1を着脱可能に連結する連結手段7と、を備える。複数のパネルP1は、奥壁4を構成するためのフロントパネルP11と、一対の側壁5R,5Lを構成するための一対のサイドパネルP12,P13と、天壁6を構成するためのルーフパネルP14と、を含む。サイドパネルP12は、側壁5Rを構成し、サイドパネルP13は、側壁5Lを構成する。フロントパネルP11、一対のサイドパネルP12,P13、及びルーフパネルP14は、不透明の吸音材で形成されている。但し、パネルP1の材質はこれに限定されない。フロントパネルP11、一対のサイドパネルP12,P13、及びルーフパネルP14が連結手段7によって連結されることで、奥壁4、一対の側壁5R,5L、及び天壁6を備えた第1形態の組立式ブース20となる。ここで、複数の独立したパネルP1と連結手段7とを含む構成は、本発明に係る「ブース組立用キット」に相当する。ブース組立用キットは、組立式ブース20を組み立てるための部材一式である。ブース組立用キットには、組立式ブース20が組み立てられた状態だけでなく、組立式ブース20が組み立てられる前の部品群の状態、つまり、複数のパネルP1が連結されていない状態も含まれる。
【0021】
以下、複数のパネルP1の共通する構成について説明する場合には、単に「パネルP1」と称して説明する。また、パネルP1の両面のうち、組立式ブース20がデスク本体10に設置された状態(設置状態)において作業空間S1を画定する面をパネルP1の「内面」とし、その反対側の面をパネルP1の「外面」とする。
【0022】
図7は、フロントパネルP11の平面図である。図7(A)は、内面側を図示し、図7(B)は、外面側を図示している。また、図8は、右側のサイドパネルP12の平面図である。図8(A)は、内面側を図示し、図8(B)は、外面側を図示している。図9は、左側のサイドパネルP13の平面図である。図9(A)は、内面側を図示し、図9(B)は、外面側を図示している。図10は、ルーフパネルP14の平面図である。図10(A)は、内面側を図示し、図10(B)は、外面側を図示している。図11は、図7(A)のB-B断面図である。
【0023】
図6図10に示すように、パネルP1の周縁には、溝8が形成されている。溝8は、パネルP1の周縁に沿うように延びており、パネルP1の全周に亘って形成されている。また、図6図10に示すように、フロントパネルP11、サイドパネルP12、及びサイドパネルP13の内面P1aには、複数の取付孔H1が形成されている。取付孔H1は、パネルP1のデスク本体10への取り付けに用いるネジ孔である。また、フロントパネルP11、サイドパネルP12、サイドパネルP13、及びルーフパネルP14の内面P1aには、複数の取付孔H2が形成されている。取付孔H2は、2枚のパネルP1,P1同士の連結に用いる孔であり、ネジ孔ではない。図10に示すように、取付孔H2は、溝8に繋がっている。なお、パネルP1の外面P1bには、取付孔H1や取付孔H2は形成されていない。
【0024】
図2に示すように、第1形態の組立式ブース20では、連結手段7によって、ルーフパネルP14とフロントパネルP11とが連結され、ルーフパネルP14とサイドパネルP12とが連結され、ルーフパネルP14とサイドパネルP13とが連結されている。連結手段7は、溝8と連結片9とを含む。連結片9は、連結されるパネルP1,P1同士の夫々の溝8に差し込まれる部材である。図12は、連結片9の斜視図である。図12に示すように、連結片9は、互いに異なる方向に延びる第1差込部91と第2差込部92とによって略L字状に形成されている。第1差込部91と第2差込部92には、夫々、連結孔H3が形成されている。連結孔H3は、ネジ孔として形成されている。図13は、パネルP1,P1同士の連結状態を説明するための断面図である。図13に示すように、連結されるパネルP1,P1の一方の溝8に第1差込部91が差し込まれ、他方の溝8に第2差込部92が差し込まれる。そして、パネルP1の内面P1a側から取付孔H2を貫通したボルトB1が溝8内の連結孔H3に挿入・螺合することで、2枚のパネルP1,P1同士が着脱可能に連結される。なお、第1差込部91と第2差込部92とが成す角の角度は、連結されるパネルP1,P1同士が成す角の角度に応じて設定される。
【0025】
[ブースの組立]
以下、組立式ブース20を組み立ててデスク本体10に設置する手順について説明する。ここでは、図2を参照しながら、第1形態の組立式ブース20を組み立てる場合について説明する。組立式ブース20の組み立てでは、先ず、フロントパネルP11、サイドパネルP12、及びサイドパネルP13をデスク本体10に取り付ける。より詳細には、フロントパネル用取付具3Fの取付面3FaにフロントパネルP11を取り付け、サイドパネル用取付具3Rの取付面3RaにサイドパネルP12を取り付け、サイドパネル用取付具3Lの取付面3LaにサイドパネルP13を取り付ける。取付面3Fa,3Ra,3Laに対するパネルP1の取付には、ボルト等の締結部材を用いる。但し、本発明はこれに限定されない。次に、連結手段7によって、ルーフパネルP14の前端縁とフロントパネルP11の上端縁とを連結し、ルーフパネルP14の右端縁とサイドパネルP12の上端縁とを連結し、ルーフパネルP14の左端縁とサイドパネルP13の上端縁とを連結する。これにより、図1に示すように、第1形態の組立式ブース20が組み立てられ、デスク本体10に設置される。
【0026】
図1図3に示すように、組立式ブース20では、フロントパネルP11、サイドパネ
ルP12、及びサイドパネルP13は、デスク本体10に取り付けられた状態で、天板1よりも下方に延びている。そのため、下肢空間S2の一部は、フロントパネルP11、サイドパネルP12、又はサイドパネルP13における天板1よりも下方に延びた部分によって覆われた状態となる。これにより、下肢空間S2の一部を隠すことができる。
【0027】
[ブースの形態]
図14図17は、実施形態に係るブース付きデスク100の全体斜視である。図14では、組立式ブース20が第2形態の場合が図示され、図15では、組立式ブース20が第3形態の場合が図示され、図16では、組立式ブース20が第4形態の場合が図示され、図17では、組立式ブース20が第5形態の場合が図示されている。上述のように、組立式ブース20は、パネルP1を着脱することで、作業空間S1を画定する隔壁を構成するパネルP1の組合せを変更可能である。そして、図1図14図17に示すように、実施形態に係る組立式ブース20は、パネルP1の組合せを変更することで、パネルP1の組合せに応じた形態となることができる。以下、組立式ブース20の各形態について説明する。
【0028】
図1に示す第1形態では、フロントパネルP11、サイドパネルP12、サイドパネルP13、及びルーフパネルP14によって、奥壁4、一対の側壁5R,5L、及び天壁6を構成している。これにより、第1形態の組立式ブース20は、後面が開放されたボックス状の作業空間S1を形成している。第1形態の組立式ブース20は、デスク本体10の前方、左右、及び上方の三方向を取り囲むため、他の形態と比較して、防音性、光の遮蔽性、飛沫遮蔽性に優れている。
【0029】
図14に示す第2形態は、フロントパネルP11を用いない点で、第1形態と相違する。つまり、第2形態では、サイドパネルP12、サイドパネルP13、及びルーフパネルP14によって、一対の側壁5R,5L及び天壁6を構成し、奥壁4を構成しない。第2形態では、一対のサイドパネルP12,P13によってルーフパネルP14を支持している。これにより、第2形態の組立式ブース20は、後面及び前面が開放された作業空間S1を形成している。第2形態の組立式ブース20は、作業空間S1の前面を開放することで、使用者に開放感を与えることができる。
【0030】
図15に示す第3形態は、ルーフパネルP14を用いない点で、第1形態と相違する。つまり、第3形態では、フロントパネルP11、サイドパネルP12、及びサイドパネルP13によって、奥壁4及び一対の側壁5R,5Lを構成し、天壁6を構成しない。これにより、第3形態の組立式ブース20は、後面及び天面(上面)が開放された作業空間S1を形成している。第3形態の組立式ブース20は、作業空間S1の天面を開放することで、使用者に開放感を与えると共に、開放された天面を通じて作業空間S1の外部から作業空間S1内へ光(例えば、室内の照明光や太陽光)を取り込むことができる。これにより、天板1の上で作業する使用者の手元を明るくすることができる。
【0031】
図16に示す第4形態は、ルーフパネルP14に代えて透明または半透明なルーフパネルP15を用いる点で、第1形態と相違する。ルーフパネルP15を形成する透明材料は特に限定されないが、樹脂材料やガラスを例示できる。第4形態では、フロントパネルP11、サイドパネルP12、サイドパネルP13、及びルーフパネルP15によって、奥壁4、一対の側壁5R,5L、及び天壁6を構成する。第4形態の組立式ブース20は、デスク本体10の前方、左右、及び上方の三方向を取り囲むため、防音性や飛沫遮蔽性に優れている。一方で、天壁6を構成するルーフパネルP15が光を透過可能であるため、天壁6を通じて作業空間S1の外部から作業空間S1内へ光を取り込むことができる。これにより、天板1の上で作業する使用者の手元を明るくすることができる。
【0032】
図17に示す第5形態は、サイドパネルP13を用いない点と、ルーフパネルP14に代えてルーフパネルP14よりも幅の狭いルーフパネルP16を用いる点で、第1形態と相違する。ルーフパネルP16の幅は、第1形態で用いるルーフパネルP14の幅の略半分となっている。つまり、第5形態では、フロントパネルP11、サイドパネルP12、及びルーフパネルP16によって、奥壁4、側壁5R、及び天壁6を構成し、側壁5Lを構成しない。第5形態では、フロントパネルP11とサイドパネルP12とによってルーフパネルP16を支持している。これにより、第5形態の組立式ブース20は、後面、左側面、及び天面の一部が開放された作業空間S1を形成している。第5形態の組立式ブース20は、作業空間S1の左側面と天面の一部とを開放することで、使用者に開放感を与えることができる。また、天面の開放された部分を通じて作業空間S1の外部から作業空間S1内へ光を取り込むことができる。一方で、天壁6によって部分的に天面を覆い、光を部分的に遮蔽することで、天板1に載置されたデジタイザ等の電子機器のディスプレイに光が反射すること(グレア)を防止できる。なお、第5形態は、サイドパネルP12を用いずに、フロントパネルP11とサイドパネルP13とによってルーフパネルP16を支持する構成としてもよい。
【0033】
[作用・効果]
以上のように、実施形態に係る組立式ブース20及びブース組立用キットは、作業空間S1を画定する隔壁を構成するための複数の独立したパネルP1と、複数の独立したパネルP1を着脱可能に連結する連結手段7と、を備えており、隔壁の構成に用いるパネルP1の組合せを変更可能となっている。そのため、使用目的に応じてパネルP1を組み換えることにより、組立式ブース20の形態が可変である。従って、組立式ブース20及びブース組立用キットによると、組立式ブースにおける形態の自由度を高めることができる。
【0034】
また、実施形態に係る組立式ブース20は、上述の第2形態や第5形態のように、フロントパネルP11と一対のサイドパネルP12,P13との中から選択される何れか2枚のパネルP1と、ルーフパネルP14と、によって組立可能である。つまり、フロントパネルP11と一対のサイドパネルP12,P13とのうち何れか2枚のパネルP1によって、ルーフパネルP14を支持可能となっている。フロントパネルP11と一対のサイドパネルP12,P13のうち、何れか1枚を使用しない形態にすることで、作業空間S1の前面、右側面、及び左側面のうちの何れかを開放面とすることができる。これにより、使用者に開放感を与えることができる。また、ブース付きデスク100の設置場所の状況に応じて組み付けるパネルP1の数を減らすことができるため、経済的にも優れている。例えば、デスク100を部屋の壁を前にして設置する場合にはフロントパネルP11を外したり、壁を横にして設置する場合にはサイドパネルP12又はサイドパネルP13を外したりすることができる。
【0035】
また、実施形態に係る組立式ブース20は、上述の第1形態や第5形態のように、相対的に幅広なルーフパネルP14と相対的に幅狭なルーフパネルP16とを選択的に組付可能となっている。相対的に幅広なルーフパネルP14で天壁6を構成することで、より多くの光を遮ると共に防音性を高めることができ、相対的に幅狭なルーフパネルP16で天壁6を構成することで、より多くの光を作業空間S1内に取り込むことができる。
【0036】
また、実施形態に係る連結手段7は、パネルP1の縁に形成された溝8と、連結されるパネルP1,P1同士の溝8に差し込み可能な連結片9と、を含んでいる。これにより、複数のパネルP1を着脱可能に連結することができる。なお、実施形態に係る連結手段7は、連結片9に形成された連結孔H3にボルトB1を螺合させる構成となっているが、本発明に係る連結手段は、これに限定されない。例えば、連結手段は、ボルト等の締結部材を用いずに、連結片と溝との嵌合によってパネル同士を連結してもよい。
【0037】
ここで、溝8は、パネルP1の連結以外にも利用することができる。図18は、実施形態に係る溝8の利用例1を説明するための図である。図18では、第1形態における組立式ブース20の天壁6(ルーフパネルP14)の断面が図示されている。実施形態に係る組立式ブース20は、溝8を利用して、様々なオプションパーツを取り付けることができる。例えば、図18に示すように、ルーフパネルP14の溝8に吊下用部材30を取り付けることで、天壁6に吊下対象物200を吊り下げることができる。吊下用部材30は、溝8に係合する係合部301と、吊下対象物200を保持する保持部302と、を有する。吊下対象物200は特に限定されないが、例えば、照明器具、収納ラック、ハンガー等が挙げられる。
【0038】
更に、実施形態に係る溝8は、パネルP1の全周に亘って形成されている。これによると、上述したオプションパーツを取り付け可能な箇所を増やすことができる。図19は、実施形態に係る溝8の利用例2を説明するための図である。実施形態では、パネルP1の全周に亘って溝8が形成されているため、例えば、図19に示すように、サイドパネルP12の後端縁の溝8を利用して、拡張パネルP17を組み付けることができる。拡張パネルP17の全周にも溝8が形成されており、サイドパネルP12の溝8と拡張パネルP17の溝8に連結片9(不図示)が差し込まれることで、サイドパネルP12と拡張パネルP17とが連結されている。これにより、側壁5Rを拡張することができる。同様に溝8を利用することで、奥壁4や側壁5L、天壁6も拡張することができる。
【0039】
また、図20は、実施形態に係る溝8の利用例3を説明するための図である。図20では、パネルP1の断面が図示されている。実施形態では、パネルP1の全周に亘って溝8が形成されているため、図20に示すように、化粧用クロスC1,C2を溝8の溝縁に引っ掛けるようにしてパネルP1に取り付けることができる。このとき、パネルP1の内面P1a側の化粧用クロスC1と外面P1b側の化粧用クロスC2とで、色彩や模様を異ならせてもよい。
【0040】
なお、実施形態に係る組立式ブース20では、パネルP1の全周に亘って溝8が形成されているが、本発明はこれに限定されず、溝8はパネルP1の周縁の一部(他のパネルP1と連結される部分)にのみ形成されていてもよい。また、組立式ブース20が採り得る形態は、上述の第1形態~第5形態に限定されない。組立式ブース20は、隔壁を構成するパネルP1の組合せに応じて、様々な形態を採用することができる。
【0041】
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で説明した構成は、目的を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。
【0042】
<意匠に関する説明>
本明細書は、以下に示すようなブース付きデスクについての意匠も開示する。本願は意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。意匠に係る物品は、使用者の飛沫防止や、WEB会議等での防音・収音を目的としたブースパネルを装着することができる電動昇降デスクである。「参考斜視図」に示すように、デスクの高さを調整することが可能である。なお、図21図38においては、部分意匠として把握され得る部分である組立式ブース20を実線により、他の部分を破線により、それぞれ表している。
【0043】
図21図29は、第3形態の組立式ブースが設置されたデスクを示す図である。具体的には、図21は斜視図、図22はデスク(天板)の位置を高くした状態を示す参考斜視図、図23は正面図、図24は背面図、図25は右側面図、図26は左側面図、図27は平面図、図28は底面図、図29図23のA-A断面図である。
【0044】
図30図38は、第5形態の組立式ブースが設置されたデスクを示す図である。具体的には、図30は斜視図、図31はデスク(天板)の位置を高くした状態を示す参考斜視図、図32は正面図、図33は背面図、図34は右側面図、図35は左側面図、図36は平面図、図37は底面図、図38図32におけるA-A断面図である。
【符号の説明】
【0045】
4・・・・・・奥壁
5R,5L・・側壁
6・・・・・・天壁
7・・・・・・連結手段
8・・・・・・溝
9・・・・・・連結片
10・・・・・デスク本体
20・・・・・組立式ブース
100・・・・ブース付きデスク
P1・・・・・パネル
P11・・・・フロントパネル
P12・・・・サイドパネル
P13・・・・サイドパネル
P14,P15,P16・・・・ルーフパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38