(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065098
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/534 20060101AFI20230502BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61F13/534 210
A61F13/534 100
A61F13/535 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175704
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 基成
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA08
3B200BB05
3B200BB17
3B200DB05
3B200DB14
3B200DB19
(57)【要約】
【課題】繰り返し体液吸収でき、体液漏れがなく、着用感の良好な吸収性物品の提供。
【解決手段】液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート30と、これらの間の吸収体20とを備え、吸収体20は、高吸収性ポリマー12と吸収性繊維とを含んで、着用者の下腹部に主に当接する前側部Aと、着用者の臀部に主に当接する後側部Cと、着用者の股間部に主に当接する股部Bとに区分され、吸収体20の股部Bを包む吸収性シート24を有し、吸収性シート24は、複数の起毛繊維11xを立設した起毛面11aを有する基体不織布11と、複数の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を固着担持しかつ吸収体の外表面に対面する固着担持層とを備え、体液吸収量が相対的に少ない前側部A及び後側部Cにおける吸収体坪量が、体液吸収量が相対的に高い股部における吸収体坪量よりも低く、股部Bは前側部A及び後側部Cよりも幅狭である、吸収性物品50。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、高吸収性ポリマーと吸収性繊維とを含んで、着用者の下腹部に主に当接する前側部と、着用者の臀部に主に当接する後側部と、これらの間に介在して、着用者の股間部に主に当接する股部と、に区分され、
前記吸収体の前記股部を包む吸収性シートを更に有し、前記吸収性シートは、複数の起毛繊維を立設した起毛面を有する基体不織布と、複数の前記起毛繊維間に前記高吸収性ポリマーを固着担持した固着担持層と、を備え、前記固着担持層が前記吸収体の外表面に対面し、
体液吸収量が相対的に少ない前記前側部及び前記後側部における前記吸収体坪量が、体液吸収量が相対的に高い前記股部における前記吸収体坪量よりも低く、
前記股部は前記前側部及び前記後側部よりも幅狭である、吸収性物品。
【請求項2】
前記股部における高吸収性ポリマーの坪量は、前記吸収体の前記股部中の前記高吸収性ポリマーの坪量と、前記吸収性シートの前記固着担持層中の前記高吸収性ポリマーの坪量との合計である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体の前記股部を包む前記吸収性シートの幅方向両端は、前記トップシートと前記吸収体との間で離隔して対向し、前記吸収体内部の体液拡散性を向上させるスリット状空間を形成する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体は、非肌側面から肌側面に向かって凹み、かつ長手方向に間隔を空けて幅方向に延び、前記着用者の身体表面に沿って前記吸収体を変形させる複数のスリットを有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体の前記前側部及び前記後側部の高吸収性ポリマーの坪量がそれぞれ50g/m2以上200g/m2以下であり、前記吸収体の前記股部の高吸収性ポリマーの坪量が50g/m2以上400g/m2以下であり、前記吸収性シートの前記固着担持層中の前記高吸収性ポリマーの坪量が200g/m2以上1200g/m2以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
製品長さが630mm以上670mm以下である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収体は、長さが400mm以上500mm以下、前記前側部の幅が200mm以上250mm以下、前記後側部の幅が280mm以上320mm以下、前記股部の幅が50mm以上70mm以下、及び前記股部の長さが100mm以上150mmである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、例えば、着用者の肌側に位置する液透過性のトップシートと、着用者の非肌側に位置する液不透過性のバックシートと、これらの間に配置され、体液吸収成分としてフラッフパルプ等の吸収性繊維や高吸収性ポリマーを含むフラッフ吸収体と、を備え、トップシートを透過してきた尿等の体液をフラッフ吸収体で吸収及び保持するように構成されている。吸収性物品には、例えば、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、尿吸収パッド、生理用ナプキン等のパッド製品や、パンツタイプ紙おむつ、テープ止めタイプ紙おむつ等の紙おむつ製品等、用途に応じて様々な形態が存在し、成人及び乳幼児を問わず広く汎用されている。
【0003】
従来の吸収性物品では、例えば、排尿量が多い人の尿漏れを防ぐために、吸収体の長さを伸ばすか又は吸収体の幅を広げて体液吸収成分の含有量を多くしたワイドパッド製品(以下単に「ワイドパッド」ともいう)を用いて対応している。しかしながら、ワイドパッドは、漏れ防止という安心感を与える一方で、体液吸収成分量が多いが故に着用者の股間部がごわついたり、吸収体の幅が着用者の股幅よりも広いが故に窮屈感を感じたりする等の着用快適性に劣るという課題がある。
【0004】
また、介護施設や病院等ではパンツ型おむつ内にワイドパッドを入れて使用するケースもあるが、従来の高吸収量のワイドパッドでは吸収体の長さが長いため、パンツ型おむつの腹囲からはみ出してしまい、着用感及び美観を損ねるという課題もある。
他方、体液吸収成分量は変えず、吸収体長さや幅を狭めた場合、股下の窮屈感は緩和されるが、横漏れがより一層生じやすくなるという懸念点がある。
【0005】
特許文献1には、吸収体が着用者の肌側に位置する肌側吸収体と着用者の非肌側に位置する非肌側吸収体との積層体として構成され、肌側吸収体が2枚の親水性不織布の間に高吸収性ポリマーを固着担持させた高吸収性シート(以下単に「吸収性シート」ともいう)であり、非肌側吸収体が吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体(以下単に「フラッフ吸収体」ともいう)である吸収性物品が提案されている(請求項1、請求項4)。特許文献1によれば、吸収体の強度低下及び吸収体の厚みの増加を防止しつつ、体液吸収量を高めると記載されている。
【0006】
特許文献2には、前方吸収体、中間吸収体及び後方吸収体がこの順に長手方向に直列に配置され、中間吸収体はフラッフ吸収体であり、前方吸収体及び後方吸収体は吸収性シートであり、前方吸収体の後端部と中間吸収体の前端部とが隣接するか又は重なり合い、中間吸収体の後端部と後方吸収体の前端部とが隣接するか又は重なり合う、吸収性物品が開示されている。特許文献2によれば、吸収性物品を薄型に保持しつつ、体液の漏れが防止されると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-164633号公報
【特許文献2】特開2020-049178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び特許文献2は、吸収性物品におけるフラッフ吸収体と吸収性シートとの併用を開示している。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品は、前記併用で体液吸収量が増加するものの、吸収性シートが着用者の肌側に位置することから、体液を吸収する前は高吸収性シート中の高吸収性ポリマーのざらつき感を感じやすく、体液を吸収した後は体液を吸収して膨潤した高吸収性ポリマーの圧迫感を感じやすく、着用感の点で十分満足できるものではない。
【0010】
特許文献2に記載の吸収性物品は、前記併用により体液吸収量が増加するものの、高吸収性シートが着用者の肌に当接する領域があることから、高吸収性ポリマーの前述のざらざら感及び圧迫感を感じやすくなっており、着用感の点で十分満足できるものではない。また、フラッフ吸収体と吸収性シートとは、体液の吸収速度及び吸収量が異なるため、一度に大量の体液が排出されたときに、フラッフ吸収体と吸収性シートとの境界領域において、体液の横漏れが生じやすくなる傾向がある。
【0011】
本発明の目的は、体液を繰り返し吸収でき、体液漏れが防止され、着用感の良好な吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含有するフラッフ吸収体(以下、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含有する吸収体を単に「フラッフ吸収体」ともいう)を、前側部、股部及び後側部に区分し、体液吸収にあまり関与しない前側部及び後側部では吸収体坪量を股部よりも低くし、さらに股部を従来とは構造の異なる吸収性シートで包むことにより、目的に叶う吸収性物品、例えば、着用者の股間部に主に当接する股部を厚くしかつ幅を狭くしても、漏れを防止しつつ着用感が良好になる吸収体を含み、体液吸収性に優れ、複数回の体液吸収が可能な吸収性物品が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の吸収性物品を提供する。
【0013】
(1)液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、高吸収性ポリマーと吸収性繊維とを含んで、着用者の下腹部に主に当接する前側部と、着用者の臀部に主に当接する後側部と、これらの間に介在して、着用者の股間部に主に当接する股部と、に区分され、
前記吸収体の前記股部を包む吸収性シートを更に有し、前記吸収性シートは、複数の起毛繊維を立設した起毛面を有する基体不織布と、複数の前記起毛繊維間に前記高吸収性ポリマーを固着担持した固着担持層と、を備え、前記固着担持層が前記吸収体の外表面に対面し、
体液吸収量が相対的に少ない前記前側部及び前記後側部における前記吸収体坪量が、体液吸収量が相対的に高い前記股部における前記吸収体坪量よりも低く、
前記股部は前記前側部及び前記後側部よりも幅狭である、吸収性物品。
(2)前記股部における高吸収性ポリマーの坪量は、前記吸収体の前記股部中の前記高吸収性ポリマーの坪量と、前記吸収性シートの前記固着担持層中の前記高吸収性ポリマーの坪量との合計である、上記(1)の吸収性物品。
(3)前記吸収体の前記股部を包む前記吸収性シートの幅方向両端は、前記トップシートと前記吸収体との間で離隔して対向し、前記吸収体内部の体液拡散性を向上させるスリット状空間を形成する、上記(1)又は(2)の吸収性物品。
(4)前記吸収体は、非肌側面から肌側面に向かって凹み、かつ長手方向に間隔を空けて幅方向に延び、前記着用者の身体表面に沿って前記吸収体を変形させる複数のスリットを有する、上記(1)乃至(3)のいずれかの吸収性物品。
(5)前記吸収体の前記前側部及び前記後側部の高吸収性ポリマーの坪量がそれぞれ50g/m2以上200g/m2以下であり、前記吸収体の前記股部の高吸収性ポリマーの坪量が50g/m2以上400g/m2以下であり、前記吸収性シートの前記固着担持層中の前記高吸収性ポリマーの坪量が200g/m2以上1200g/m2以下である、上記(1)乃至(4)のいずれかの吸収性物品。
(6)製品長さが630mm以上670mm以下である、上記(1)乃至(5)のいずれかの吸収性物品。
(7)前記吸収体は、長さが400mm以上500mm以下、前記前側部の幅が200mm以上250mm以下、前記後側部の幅が280mm以上320mm以下、前記股部の幅が50mm以上70mm以下、及び前記股部の長さが100mm以上150mmである、上記(1)乃至(6)のいずれかの吸収性物品。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、体液を繰り返し吸収でき、体液漏れが防止され、着用感の良好な吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示すX-X切断線における模式断面図である。
【
図3】吸収性シートの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る吸収性物品の作製工程の一部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、吸収性物品50の着用とは、体液吸収の前後を問わず、着用者の身体に装着した状態をいう。吸収性物品50の、長手方向とは、吸収性物品50を着用したときに着用者の股間部を介して前後に亘る、図中Yで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して略直交する、図中Xで示す方向であり、厚み方向とは各構成部材を積層する、図中Zで示す方向である。吸収性物品50及びその各構成部材の肌側面とは着用者の肌に当接する表面又は該肌を臨む表面であり、非肌側面とは着用者の衣類に当接する表面又は衣類を臨む表面である。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0017】
<吸収性物品>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の吸収性物品50について説明する。
図1乃至
図2、吸収性物品50を示す。
図3は、吸収性シート24を示す。
図4は、吸収性物品50の作製工程における吸収性物品50の前駆体50Aを示す。各図は、吸収性物品50及び各構成部材の形状や、寸法の大小関係等を規定するものではない。本実施形態の吸収性物品50は、成人用のパンツタイプ紙おむつであるが、乳幼児用及び成人用の種々の吸収性物品としても使用でき、例えば、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、尿吸収パッド、生理用ナプキン等のパッド製品が挙げられる。また、パンツ型紙おむつ等の紙おむつ製品と併用してもよい。より具体的には、本実施形態の吸収性物品50は、例えば、前側部A(腹側)及び後側部C(臀部)は薄く、股部分は厚くて幅が狭く、着用感に優れ、横漏れが防止されたワイドパッドとして好適に使用できる。吸収性物品の長さ(長手方向寸法)は、例えば、630mm以上670mm以下の範囲である。この長さを採用することで、複数回の吸収能力を持ち、着用感に優れ、パンツ型紙おむつ等と併用しても、パンツ型おむつの腹囲からはみ出すことが防止される。
【0018】
吸収性物品50は、着用者の股間部を前後から覆う前後方向に略帯状の形状を有し、
図1及び
図2に示すように、液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート30と、これらの間に配置された吸収体20とを備える。吸収体20は、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体21を有し、着用者の下腹部に主に当接する前側部Aと、着用者の臀部に主に当接する後側部Cと、これらの間に介在して、着用者の股間部に主に当接する股部Bとに区分され、前側部A及び後側部Cは、体液吸収量が相対的に少なく、体液吸収にあまり関与しない領域であり、股部Bは体液吸収量が相対的に多く、体液吸収に主に関与する領域である。そこで、フラッフ吸収体21において、前側部A及び後側部Cにおける吸収体坪量を、股部Bにおける吸収体坪量よりも低くすることで、吸収性物品50を着用するときに、前側部A及び後側部Cをパンツ等の下着と重ね合わせても、全体としての厚みが薄くスッキリする。また、股部Bの幅を前側部A及び後側部Cの幅よりも狭くすることで、着用者の股間部の窮屈さを解消できる。さらに、本実施形態では、フラッフ吸収体21の股部Bの全体を包む吸収性シート24を有し、フラッフ吸収体21と吸収性シート24とで吸収体20を構成している。吸収性シート24は、複数の起毛繊維11xを立設した起毛面11aを有する基体不織布11と、複数の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を固着担持した固着担持層と、を備え、固着担持層がフラッフ吸収体21の股部Bの領域の外表面に対面している。この構成により、股部Bの幅を前側部A及び後側部Cの幅よりも著しく狭くしても、体液の横漏れが顕著に防止される。
【0019】
本実施形態によれば、吸収性物品50及びフラッフ吸収体21を、それぞれ、着用者の下腹部に主に当接する前側部Aと、着用者の臀部に主に当接する後側部Cと、これらの間に介在して、着用者の股間部に主に当接する股部Bとに区分した上で、
第1に、体液吸収にはあまり関与しないフラッフ吸収体21の前側部A及び後側部Cの坪量を、フラッフ吸収体21の股部Bの坪量よりも低くすることで、吸収性物品50をパンツ等の下着と重ねて着用したときでも薄く、スッキリした着用感が得られ、
第2に、フラッフ吸収体21の股部Bの幅を、前側部A及び後側部Cの各幅よりも、例えば50mm以上70mm以下と極めて狭くすることで、着用者の股間部の窮屈感を低減し、
第3に、フラッフ吸収体21の股部Bの全体を、複数の起毛繊維11xを立設した起毛面11aを有する基体不織布11と、複数の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を固着担持した固着担持層と有する吸収性シート24で包むことで、体液を繰り返し吸収可能な体液拡散能力及び体液吸収能力を確保するとともに、股部Bの幅を極端に狭くしても横漏れが生じるのを防ぐことができる。
【0020】
吸収性物品50は、
図1及び
図2に示すように、液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート30と、トップシート10及びバックシート30の間に配置される吸収体20と、漏れ防止を目的に設けられた立体ギャザー40と、を含む。なお、本実施形態の吸収性物品50は、トップシート10、吸収体20、及びバックシート30を基本構成単位とするものであり、必要に応じて、前述のような立体ギャザー40の配設、トップシート10と吸収体20との間への液透過性のトランスファシート(不図示)や液透過性のセカンドシート(不図示)の配設等の、公知の様々な改変を施すことができる。以下、吸収性物品50の構成部材について、トップシート10、吸収体20、バックシート30、及び立体ギャザー40の順で更に詳しく説明する。
【0021】
<トップシート>
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状基材である。トップシート10は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
【0022】
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート10は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート10の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2)以上40g/m2以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体20に誘導するために必要とされる、吸収体20の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0023】
<吸収体>
吸収体20は、例えば、トップシート10とバックシート30との間に配置され、トップシート10を透過してきた体液を吸収及び保持する。本実施形態の吸収体20は、前側部Aから股部Bを経て後側部Cまで長手方向に延びるフラッフ吸収体21と、フラッフ吸収体21の股部Bの全体を幅方向から包む吸収性シート24と、を含む。
【0024】
(フラッフ吸収体)
フラッフ吸収体21は、体液吸収成分として、吸収性繊維、高吸吸性ポリマー(以下「SAP」ともいう)等を含有する。本明細書では、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含有する吸収体を、フラッフ吸収体といい、符号「21」により示す。フラッフ吸収体21は、体液吸収量が相対的に少なく、体液吸収にあまり関与しない前側部A及び後側部Cの吸収体坪量が、体液吸収量が相対的に高く、体液吸収に主に関与する股部Bの吸収体坪量よりも低く、股部Bは前側部A及び後側部Cよりも幅狭である。ここで、吸収体坪量とは、フラッフ吸収体21を主に構成する吸収性繊維及び高吸収性ポリマー12の合計坪量である。なお、股部Bにおける高吸収性ポリマーの坪量は、フラッフ吸収体21の股部Bの高吸収性ポリマーの坪量と、後述する吸収性シートの固着担持層の高吸収性ポリマーの坪量との合計である。
【0025】
フラッフ吸収体21の長さ(長手方向寸法)は例えば400mm以上500mmの範囲であり、前側部Aの幅(幅方向寸法)は200mm以上250mm以下の範囲、後側部Cの幅(幅方向寸法)は例えば280mm以上320mm以下の範囲であり、また股部Bの幅(幅方向寸法)は50mm以上70mm以下の範囲であり、股部Bの長さ(長手方向寸法)は例えば100mm以上150mm以下である。フラッフ吸収体21の各寸法を前述の範囲とすることで、着用者の股間部が窮屈になることや、横漏れの発生等を防止しつつ、吸収速度、吸収量等の吸収性能を高め、複数回(例えば4回以上)の体液吸収を実行し得る吸収体20とすることができる。フラッフ吸収体21の平面視形状は砂時計型であるが、股部Bの幅方向寸法が前述の範囲内であれば特に限定されず、例えば、Iの字型、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
【0026】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。フラッフ吸収体21に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m2以上800g/m2以下の範囲又は325g/m2以上615g/m2以下の範囲である。100g/m2より小さい場合、体液を吸収する量が少なくなる傾向があり、800g/m2よりも大きい場合、フラッフ吸収体21の製造時に安定的に製造することが難しくなる傾向がある。また、前側部A及び後側部Cの吸収性繊維の坪量を、股部Bの吸収性繊維の坪量よりも少なくしてもよい。
【0027】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー12としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0028】
高吸収性ポリマー12は、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマー12の使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、フラッフ吸収体21が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマー12の中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。
【0029】
フラッフ吸収体21中の高吸収性ポリマー12の坪量は、例えば、50g/m2以上400g/m2以下の範囲である。SAP12の坪量を前述の数値範囲内とすることで、フラッフ吸収体21中でのゲルブロッキングを防止し、かつ、フラッフ吸収体21に体液を複数回吸収させることができる。50g/m2より少ないと体液吸収量が減少する傾向があり、400g/m2よりも多いと、フラッフ吸収体21の製造時に安定的な操業性が低下する傾向がある。フラッフ吸収体の前側部A及び後側部Cの高吸収性ポリマーの坪量は例えば50g/m2以上200g/m2以下の範囲であり、フラッフ吸収体21の股部Bの高吸収性ポリマーの坪量は50g/m2以上400g/m2以下の範囲である。フラッフ吸収体21において、フラッフ吸収体21全体の重量に対する、高吸収性ポリマー12の重量の比率である、(高吸収性ポリマー12の重量/フラッフ吸収体21全体の重量)×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲、又は15重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0030】
フラッフ吸収体21における、吸収性繊維及びSAP12の形態としては、例えば、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して所定の形状に成形したもの、吸収性繊維とSAP粒子とを積層した積層マット等があげられる。所定の形状としては、例えば、板状、砂時計状、ひょうたん状等があげられる。なお、本実施形態のフラップ吸収体21は、前側部Aから股部Bを経て後側部Cに至るように一体化されているが、これに限定されず、前側部A、股部B、及び後側部Cに分割されていてもよい。
【0031】
(吸収性シート)
吸収性シート24は、
図2に示すように、一方の表面が複数の起毛繊維11xが立設された起毛面11aであり、他方の面が非起毛面11bである基体不織布11と、基体不織布11の起毛面11aの複数の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を固着担持した固着担持層と、を含む。高吸収性ポリマー12は、例えば、ホットメルト接着剤により起毛繊維11x間に固着担持される。高吸収性ポリマー12としては、フラッフ吸収体21で用いられるものと同じものを特に限定なく使用できる。吸収性シート24における高吸収性ポリマー12の坪量は、例えば、200g/m
2以上1200g/m
2以下の範囲である。吸収性シート24をフラッフ吸収体21の股部Bを包むことで、体液吸収量が増加し、体液拡散性が向上するので、体液を複数回吸収しても、横漏れ等の体液漏れを防止できる。
【0032】
本実施形態の吸収性シート24は、起毛面11aの起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12が固着担持された体液吸収層がフラッフ吸収体21の外表面と対面し、かつ高吸収性ポリマー12の幅方向両端がフラッフ吸収体21とトップシート10との間で幅方向に離隔して対向し、スリット状空間22を形成するように、フラッフ吸収体21を包む。吸収性シート24によるフラッフ吸収体21の包み方は、C折りとも呼ばれる。
【0033】
吸収性シート24によるフラッフ吸収体21のC折りは、より具体的には、吸収性シート24の起毛面11a(体液吸収層)の幅方向中央部付近にフラッフ吸収体21の非肌側面が下になるように載置し、必要に応じて体液吸収層表面とフラッフ吸収体21の非肌側面とを例えばホットメルト接着剤で接着する第1工程と、吸収性シート24の幅方向両側をフラッフ吸収体21に向けて折り返してフラッフ吸収体21幅方向の両側面を覆う第2工程と、吸収性シート24の幅方向両端をフラッフ吸収体21の肌側面の幅方向両端部を覆うように折り返す第3工程と、をこの順で実施することにより行なわれ、フラッフ吸収体21とトップシート10との間にスリット状空間22を有する本実施形態の吸収体20が得られる。
【0034】
フラッフ吸収体21を吸収性シート24で包むことで、フラッフ吸収体21が体液を吸収しつつ、フラッフ吸収体21の幅方向に位置する吸収性シート24の体液吸収層により横漏れが防止され、複数回、例えば4回又はそれ以上の体液吸収が可能になる。また、吸収性シート24の起毛繊維11xがクッション性を示すので、吸収性物品50全体としてのフィット性、着用感も向上する。なお、本実施形態に限定されず、例えば、トップシート10とフラッフ吸収体21との間で、吸収性シート24の幅方向両端部が重なり合うように構成してもよい。重なり合う部分はホットメルト接着剤等で接着してもよい。
【0035】
(基体不織布)
基体不織布11は、例えば、
図3に示すものが挙げられる。基体不織布11には、親水性不織布が用いられる。基体不織布11の厚さは特に限定されないが、着用感及び吸収性能のバランスの観点から、0.3mm以上11.0mm以下の範囲、0.5mm以上5.0mm以下の範囲又は0.5mm以上2.0mm以下の範囲である。基体不織布11を構成する繊維の太さは例えば1.6dtex以上14dtex以下の範囲、1.8dtex以上9.0dtex以下の範囲又は2.0dtex以上6.0dtex以下の範囲である。また、基体不織布11の坪量は、例えば20g/m
2以上200g/m
2以下の範囲である。このような親水性不織布の中でも、エアスルー不織布が好ましい。
【0036】
起毛面11aに立設された複数の起毛繊維11xは、基体不織布11の表面に毛羽立ち加工等の起毛加工を施すことにより、形成される。基体不織布11の複数の起毛繊維11xにより、不織布本来の嵩高さに加えて、吸収性シート24に適度な厚さとやわらかさが付与され、良好なクッション性が発生し、着用時のフィット性や着用感が向上する。また、基体不織布11を起毛させると、起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を分散させて固着担持させることができる。基体不織布11の片側表面11aを起毛させる方法としては、回転ノコ刃、ニードルパンチ等を用いる方法が挙げられ、インラインでの生産性やコストの観点から回転ノコ刃を用いる方法が好ましい。
【0037】
基体不織布11における起毛の程度は特に限定されず、目視で起毛を確認できればよいが、例えば、起毛の程度としての起毛率が5%以上90%以下の範囲、又は8%以上80%以下の範囲である。起毛率とは、起毛加工による基体不織布11の厚さの増加率を意味する。起毛前の基体不織布11の厚さをT1、起毛後の基体不織布11の厚さをT2としたとき、起毛率(%)=[(T2―T1)/T1]×100である。厚さT1、T2は、ハイトゲージ((株)ミツトヨ製)を用いて無荷重下で測定される。また、基体不織布11の非起毛面11bでも、繊維を起毛させてもよい。
【0038】
高吸収性ポリマー12を基体不織布11の起毛面11aに立設された複数の起毛繊維11x間に固着担持するには、例えば、ホットメルト接着剤が用いられる。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。ホットメルト接着剤の含有量は、高吸収性ポリマーの吸収性及び装着時の肌触りを損なわない観点から、例えば10g/m2以下の範囲である。
【0039】
(スリット状空間)
スリット状空間22は、
図2に示すように、トップシート10とフラッフ吸収体21との間で、吸収性シート24の幅方向両端が離隔して対向する空間領域であり、長手方向に延びている。スリット状空間22は、例えば、吸収体20内における体液拡散性を向上させる。スリット状空間22は、吸収体20の長手方向一端から長手方向他端まで延びていてもよいが、吸収体20全体としての機械的強度及び体液保持能力等の観点から、長手方向寸法は例えば100mm以上150mmの範囲であり、幅方向寸法は5mm以上20mm以下の範囲、又は7mm以上15mm以下の範囲である。長手方向寸法及び幅方向寸法を前述の範囲とすることで、例えば、吸収体20の機械的強度及び体液保持能力を高水準に維持した状態で、体液拡散性を向上させることができる。なお、スリット状空間22の幅方向寸法が5mm未満では、体液拡散性の向上が不十分になる傾向があり、20mmを超えると、吸収性シート24の幅方向寸法が短くなって股部B全体としての高吸収性ポリマー12の量が減少し、また、吸収体20の機械的強度が低下し、漏れにつながる傾向がある。
【0040】
(非肌側面のスリット)
本実施形態のフラッフ吸収体21は、
図2に示すように、その非肌側面に2つのスリット(溝部)23を有している。スリット23は、フラッフ吸収体21の非肌側面から肌側面に向けて凹んだ位置に底部を有する溝部(溝状の凹部)である。2つのスリット23は、フラッフ吸収体21の非肌側面の長手方向両端部付近に、長手方向に間隔を空けて幅方向に延びるように設けられている。2つのスリット23を設けることで、吸収性物品50を着用したときに、フラッフ吸収体21が着用者の肌面に沿って変形し易くなり、吸収性物品50全体としてのフィット性及び着用感が向上する。なお、本実施形態のフラッフ吸収体21では2つのスリット23を設けているが、フラッフ吸収体21の機械的強度が低下しない範囲で、2本以上のスリット23を設けてもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、2つのスリット23の形成位置は、それぞれ、フラッフ吸収体21の長手方向一端又は他端から長手方向内側に向かって130mm以上200mm以下の範囲の位置である。フラッフ吸収体21の平面視形状が砂時計型である場合は、長手方向中央付近から長手方向の一方及び他方の幅方向寸法が広がり始める領域に2つのスリット23が設けられることになる。スリット23の非肌側面における開口部の幅方向寸法は例えば3mm以上8mm以下の範囲、スリット23の深さは2mm以上5mm以下の範囲である。なお、スリット23の深さとは、スリット23の開口面からスリット23の最深地点に下した垂線の長さである。スリット23の非肌面における開口部の幅方向寸法が3mm未満及び/又はスリット23の深さが2mm未満では、スリット23による吸収性物品50の変形効果が不十分になる傾向がある。また、スリット23の開口部の幅方向寸法が8mmを超えるか及び/又はスリット23の深さが5mmを超えると、フラッフ吸収体21の吸収成分含有量が減少したり、フラッフ吸収体21の機械的強度が低下したりして、体液の漏れにつながる傾向がある。
【0042】
<キャリアシート>
本実施形態では、吸収性シート24で包まれる前又は後のフラッフ吸収体21や、吸収体20全体をキャリアシート(不図示)で包んでもよい。吸収性シート24で包まれる前又は後のフラッフ吸収体21や、吸収体20全体をキャリアシートで包む場合、例えば、前述のC折りが利用される。キャリアシートとしては、この分野で常用される親水性シートをいずれも使用でき、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布、ティシュペーパー、吸収紙等が挙げられる。親水性不織布の中でも、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布がより好ましく、エアスルー不織布、パルプ含有不織布、スパンボンド不織布等がさらに好ましい。また、キャリアシートの厚さは例えば0.10mm以上0.25mm以下の範囲、坪量は例えば5g/m2以上40g/m2以下の範囲である。
【0043】
<バックシート>
バックシート30は、吸収体20が保持する体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた通気性又は非通気性の基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0044】
バックシート30の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲、又は15g/m2以上40g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく実施できる。
【0045】
<立体ギャザー>
立体ギャザー40は、例えば、吸収性物品50の着用者が排泄した体液の横漏れを防止するために、
図1に示すように、吸収体20の股部Bの幅方向両端付近で吸収体20の長手方向に沿ってトップシート10の肌側面に固定される。また、立体ギャザー40を、吸収体20(又はフラッフ吸収体21)の全長にわたって配置してもよい。立体ギャザー40は、例えば、弾性伸縮部材40aと、撥水性及び/又は防水性のシート部材40bと、を含む。
【0046】
弾性伸縮部材40aは、シート部材40bの自由端(他端)付近に長さ方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材40bの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする。シート部材40bは、本実施形態では幅方向一端(固定端)がバックシート30の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート10の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端である。シート部材40bの固定端(幅方向一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート30の非肌側面、内部に吸収体20を収納したトップシート10とバックシート30との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側面又は非肌側面の幅方向両端付近、トップシート10の肌側面の幅方向両端付近等が挙げられる。
【0047】
シート部材40bは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。第1シート部材用不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材40bの目付は、例えば、13g/m2以上20g/m2以下の範囲である。弾性伸縮部材40aとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0048】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品50は、公知の製造方法により製造でき、例えば、
図4に示すように、所定の平面視形状のバックシートの肌側面における股部Bの上に、吸収性シート24の固着担持層が肌側を向いて股部Bに交差するように載せ、さらにフラッフ吸収体21をバックシート30の長手方向に沿うように載せて吸収性物品50の前駆体50A作製し、さらにトップシート10を載せる、いわゆる吸収体20をトップシート10とバックシート30との間に配置する工程と、トップシート10とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、バックシート30及びトップシート10の所定位置に立体ギャザー40を設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。そして、吸収性物品50を所定の折り線に沿って折り畳んで包装体に個別包装することで、製品が得られる。なお、フラッフ吸収体21の股部Bに吸収性シート24をC折りして吸収体20を作製し、この吸収体20をトップシート10とバックシート30との間に配置してもよい。また、吸収性物品50には、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を必要に応じて設けることができる。
【0049】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
10 トップシート
11 基体不織布
11a 起毛面
11b 非起毛面
11x 起毛繊維
12 高吸収性ポリマー
20 吸収体
21 フラッフ吸収体
22 スリット状空間
23 スリット
24 高吸収性シート
30 バックシート
40 立体ギャザー
40a 弾性伸縮部材
40b シート部材
50 吸収性物品
50A 吸収性物品の前駆体