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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065105
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】実機管理装置、及び実機管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230502BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230502BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230502BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230502BHJP
   G01R 31/3835 20190101ALI20230502BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J13/00 301A
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
G01R31/3835
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175719
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 友鷹
【テーマコード(参考)】
2G216
5G064
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA03
2G216CB27
2G216CC04
2G216CD02
5G064AA01
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503EA05
5G503GD04
5H030AA08
5H030AS08
5H030BB10
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の作業機械400、500を遠隔操作する場合においても、個々の待機作業機械400、500の蓄電残量を知ることができ、蓄電装置440、540の蓄電量を適切に管理することができる。
【解決手段】蓄電装置440、540及び蓄電装置440、540の蓄電残量に関する蓄電情報を送信可能な通信装置421、521をそれぞれ備え、遠隔操作される複数の作業機械400、500を管理する実機管理装置300であって、実機管理装置300は、複数の作業機械400、500のうち、遠隔操作により作動をしていない待機状態である待機作業機械400、500のそれぞれの通信装置421、521から送信される蓄電情報に基づいて、蓄電装置440、540の蓄電残量に関する報知を待機作業機械400、500ごとにあらかじめ決められた蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた蓄電閾値になったと推定される時に蓄電情報を報知装置221、225に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置、及び前記蓄電装置の蓄電残量に関する蓄電情報を送信可能な通信装置をそれぞれ備え、遠隔操作される複数の作業機械を管理する実機管理装置であって、
前記実機管理装置は、前記複数の作業機械のうち、遠隔操作により作動をしていない待機状態である待機作業機械のそれぞれの前記通信装置から送信される前記蓄電情報に基づいて、前記蓄電装置の蓄電残量に関する報知を前記待機作業機械ごとにあらかじめ決められた蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた蓄電閾値になったと推定される時に前記蓄電情報を報知装置に送信する、実機管理装置。
【請求項2】
前記実機管理装置は、遠隔操作している前記複数の作業機械のうち、少なくとも前記待機作業機械を含む2台以上の前記作業機械のそれぞれの前記蓄電情報を同時に前記報知装置に出力可能である、請求項1に記載の実機管理装置。
【請求項3】
前記実機管理装置が出力する前記蓄電情報は図形を有するアイコンを含み、前記蓄電閾値以下になった前記作業機械の前記蓄電情報を示す前記アイコンは、少なくとも前記アイコンの一部について、アイコン表示の時間的変化を伴って表示される、請求項1又は2に記載の実機管理装置。
【請求項4】
前記実機管理装置は、前記複数の作業機械のうち、遠隔操作により作動をしていない待機状態である前記待機作業機械のそれぞれの前記通信装置から送信される前記蓄電情報に基づいて、前記蓄電装置の蓄電残量に関する報知を前記待機作業機械ごとにあらかじめ決められた蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた前記蓄電閾値になったと推定される時に前記蓄電情報を報知装置に送信され、
前記蓄電情報は、それぞれの前記待機作業機械の前記蓄電装置の蓄電残量が前記作業機械ごとにあらかじめ決められている蓄電閾値以下になった時に送信し、
前記実機管理装置は前記蓄電情報を受信したことにより、前記蓄電情報を前記報知装置に送信する、請求項1~3の何れか一項に記載の実機管理装置。
【請求項5】
前記実機管理装置は、前記複数の作業機械のうち、遠隔操作により作動をしていない待機状態である前記待機作業機械のそれぞれの前記通信装置から送信される前記蓄電情報に基づいて、前記蓄電装置の蓄電残量に関する報知を前記待機作業機械ごとにあらかじめ決められた前記蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた前記蓄電閾値になったと推定される時に前記蓄電情報を前記報知装置に送信し、
前記蓄電情報は、前記待機作業機械がそれぞれ前記待機状態に移行した時に送信され、
前記待機状態中の前記待機作業機械では、前記蓄電装置の電力は前記実機管理装置との送受信を行う前記通信装置にのみ通電される、請求項1~3の何れか一項に記載の実機管理装置。
【請求項6】
前記実機管理装置は、受信した前記蓄電情報と、前記蓄電情報を送信した前記待機作業機械の電力消費特性に基づいて、前記待機作業機械の前記蓄電装置の蓄電残量が作業機械ごとに決められている前記蓄電閾値まで低下する時間を推定する推定手段を有し、
前記実機管理装置は、前記推定手段により推定された時間が経過した時に、前記蓄電情報を前記報知装置に送信する、請求項5に記載の実機管理装置。
【請求項7】
前記実機管理装置は、前記作業機械を遠隔操作している操作者が行う充電開始の操作に応じて充電開始指令を送信し、前記待機作業機械が有する駆動源を作動させて前記待機作業機械の前記蓄電装置を充電する、請求項1~6の何れか一項に記載の実機管理装置。
【請求項8】
前記実機管理装置は、前記待機作業機械の前記駆動源を所定時間作動後、充電終了指令を送信して前記駆動源を停止し、充電終了情報を前記報知装置に送信する、請求項7に記載の実機管理装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載された前記実機管理装置、及び少なくとも前記報知装置、及び前記複数の作業機械の何れか1つを備える、実機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作される複数の作業機械を管理する実機管理装置を備える実機管理装置、及び実機管理システムに関し、特に、待機中の作業機械の蓄電装置の蓄電残量を適切に管理可能な実機管理装置、及び実機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔により作業機械を操作する遠隔操作装置に関する発明がなされている。このような遠隔操作装置では、操作者は作業機械から離れた場所において、作業機械から送信される周囲の映像等を見ながら作業機械を遠隔操作する。作業機械からは、作業機械の周囲の映像以外にも作業機械に関わる情報、例えば搭載されているエンジンの作動状況に関する情報、等が遠隔操作装置に送信される。操作者は、これらの情報を認識しながら、作業機械を操作する。また、作業機械には蓄電装置が搭載されている。蓄電装置は、各種電子機器類の他、エンジンをかける際のスタータモータ、及びエンジン制御装置に電力を供給するため、蓄電装置の蓄電残量も一定以上に保つ必要がある。特許文献1には、建設作業用の作業機械の蓄電残量を管理する管理装置が開示されている。
【0003】
また、複数の作業機械を遠隔操作する場合、操縦する作業機械を切り替えながら作業を進め、一方の作業機械を遠隔操作して作業している間、他方の作業機械を待機させる。待機中の作業機械は、作業指令を受信した場合、すぐ作業を開始できるように制御機器類を含む電子機器類は通電状態としたまま待機状態とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-111808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子機器類に通電した状態が続くと、徐々に電力が消費されて蓄電装置の蓄電残量が低下し、必要とされる所定レベルより低下する可能性がある。特に、複数の作業機械を遠隔操作していると、作業中の作業機械の操縦に気を取られ、待機中の作業機械の蓄電残量の低下に気が付かないこともある。そのような状態を続けると、知らない間に蓄電残量が所定レベルより低下してエンジンがかからなくなり、充電作業が必要となることが起こり得るという問題があった。特許文献1では、蓄電残量の管理に関する発明が開示されているが、複数の作業機械を遠隔操作する場合については開示されておらず、複数の作業機械を遠隔操作している時に、待機作業機械の蓄電装置の蓄電量低下が起きたことを把握できないという課題が依然存在していた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明によれば複数の作業機械を遠隔操作する場合においても、個々の待機作業機械の蓄電残量を知ることができ、蓄電装置の蓄電量を適切に管理することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実機管理装置は、蓄電装置、及び蓄電装置の蓄電残量に関する蓄電情報を送信可能な通信装置をそれぞれ備え、遠隔操作される複数の作業機械を管理する実機管理装置であって、実機管理装置は、複数の作業機械のうち、遠隔操作により作動をしていない待機状態である待機作業機械のそれぞれの通信装置から送信される蓄電情報に基づいて、蓄電装置の蓄電残量に関する報知を待機作業機械ごとにあらかじめ決められた蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた蓄電閾値になったと推定される時に蓄電情報を報知装置に送信することを特徴とする。
【0008】
本発明の実機管理装置は、待機作業機械ごとにあらかじめ決められた蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた蓄電閾値になったと推定される時に蓄電装置の蓄電残量に関する報知を行うので、複数の作業機械を遠隔操作する場合においても、個々の待機作業機械の蓄電残量の低下を知ることができ、蓄電装置の蓄電残量を適切に管理することができる。
【0009】
本発明の実機管理装置は、遠隔操作している複数の作業機械のうち、少なくとも待機作業機械を含む2台以上の作業機械のそれぞれの蓄電情報を同時に報知装置に出力可能であることが好ましい。
【0010】
本発明の実機管理装置は、少なくとも待機作業機械を含む2台以上の作業機械のそれぞれの蓄電情報を同時に報知装置に出力可能であるため、複数の作業機械を遠隔操作する場合においても、個々の待機作業機械の蓄電残量を確実に知ることができる。したがって、蓄電装置の蓄電残量を適切に管理することができる。
【0011】
本発明の実機管理装置において、実機管理装置が出力する蓄電情報は図形を有するアイコンを含み、蓄電閾値以下になった作業機械の蓄電情報を示すアイコンは、少なくともアイコンの一部について、アイコン表示の時間的変化を伴って表示されることが好ましい。
【0012】
本発明の実機管理装置は、蓄電情報を示すアイコンが時間的変化を伴って表示されるので、操作者が作業機械の周囲画像を見ながら操縦中であっても、操作者が充電量低下を報知するアイコンに容易に気づくことができる。したがって、待機作業機械の蓄電残量を容易に知ることができ、蓄電装置の蓄電残量を適切に管理することができる。
【0013】
また、本発明の実機管理装置において、蓄電情報は、それぞれの待機作業機械の蓄電装置の蓄電残量が作業機械ごとにあらかじめ決められている蓄電閾値以下になった時に送信され、実機管理装置は蓄電情報を受信次第、蓄電情報を報知装置に送信することが好ましい。
【0014】
本発明の実機管理装置では、それぞれの待機作業機械の蓄電装置の蓄電残量が、作業機械ごとに決められている蓄電閾値以下になった時に送信され、報知される。したがって、それぞれの待機作業機械ごとに蓄電残量が蓄電閾値に低下した時点で蓄電残量の低下を知ることができる。
【0015】
また、本発明の実機管理装置では、送信される蓄電情報は、待機作業機械が待機状態に移行した時に送信され、待機作業機械が待機状態中は、蓄電装置からの電力は実機管理装置との送受信を行う通信装置のみ通電されることが好ましい。
【0016】
本発明の実機管理システムでは、待機状態中の待機作業機械では、蓄電装置からの電力は実機管理装置との送受信を行う通信装置のみ通電されるので、待機中の電力消費を最小限に抑えることができる。したがって、蓄電装置の蓄電量を適切に管理することができる。
【0017】
また、本発明の実機管理装置では、受信した蓄電情報と、蓄電情報を送信した待機作業機械の電力消費特性に基づいて、待機作業機械の蓄電装置の蓄電残量が作業機械ごとに決められている蓄電閾値まで低下する時間を推定する推定手段を有し、実機管理装置は、推定手段により推定された時間が経過した時に報知装置に前記蓄電情報を送信することが好ましい。
【0018】
本発明の実機管理装置は、待機作業機械の蓄電装置の蓄電残量が作業機械ごとに決められている蓄電閾値まで低下する時間を推定する推定手段を有しているので、消費電力を抑えるために蓄電装置からの電力が実機管理装置との送受信を行う通信装置のみ通電される状態においても、それぞれの待機作業機械ごとに蓄電残量が蓄電閾値に低下した時点で蓄電残量の低下を知ることができる。
【0019】
また、本発明の実機管理装置では、作業機械を遠隔操作している操作者が行う充電開始の操作により充電開始指令を送信し、待機作業機械が有する駆動源を作動させて待機作業機械の前記蓄電装置を充電することが好ましい。
【0020】
本発明の実機管理システムでは、操作者の操作により充電することができるので、蓄電装置の蓄電量を適切に管理することができる。
【0021】
また、本発明の実機管理装置では、待機作業機械の駆動源を所定時間作動後、充電終了指令を送信して駆動源を停止し、充電終了情報を報知装置に送信することが好ましい。
【0022】
本発明の実機管理装置は、駆動源を所定時間作動後に停止するとともに、充電終了情報を報知装置に送信することができるので、操作者に蓄電装置の充電が完了したことを知らせることができる。したがって、蓄電装置の蓄電量を適切に管理することができる。
【0023】
また、本発明の実機管理システムは、実機管理装置、並びに報知装置、及び複数の作業機械の少なくとも一方を備えていることが好ましい。
【0024】
本発明の実機管理システムは、実機管理装置、並びに報知装置、及び複数の作業機械の少なくとも一方を備えているので、それぞれを適切に制御して、蓄電装置の蓄電量を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態の実機管理システムを示す概要図。
図2図1の遠隔操作装置を示す概要図。
図3図1の実機管理システムでの遠隔操作のフローを示すフロー図である。
図4図1の実機管理システムにおいて、待機中の作業機械の第1実施形態、及び第2実施形態に係る蓄電残量の管理工程を示すフロー図。
図5図1の実機管理システムにおいて、待機中の作業機械の第3実施形態に係る蓄電残量の管理工程を示すフロー図。
図6図1の実機管理システムにおいて、待機中の作業機械の第4実施形態に係る蓄電残量の管理工程を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
[実機管理システム100の構成]
図1を参照して、実機管理システム100を説明する。実機管理システム100は、遠隔操作装置200、実機管理装置300、及び遠隔操作装置200を通じて遠隔操作可能な1つ以上の作業機械400、500を備えている。遠隔操作を行う作業機械400、500は、2台でもよく、また3台以上でもよい。また、作業機械400はある程度の待機状態の時間があれば、個々の作業機械にも本発明を適用可能である。遠隔操作装置200、及び作業機械400、500のうち何れか一方のみが、実機管理システム100の構成要素であってもよい。
【0027】
遠隔操作装置200、実機管理装置300、及び作業機械400、500は、ネットワーク110により、相互にネットワーク通信可能に構成されている。遠隔操作装置200、及び実機管理装置300の相互通信を行うネットワークと、実機管理装置300、及び作業機械400、500の相互通信を行うネットワークとは、同一システムでもよく、異なるシステムであってもよい。また、ネットワーク110は実機管理システム100に特有のシステムとして含まれていてもよいし、既存のネットワークシステムを利用してもよい。
【0028】
[実機管理装置300の構成]
実機管理装置300は、データベース310と、第1支援処理要素320と、第2支援処理要素330と、を備えている。実機管理装置300は、実機管理システムを支援する支援サーバから構成されていてよい。データベース310は、作業機械400、500の蓄電情報、撮像画像データ、等を記憶保持する。データベース310は、実機管理装置300とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。各支援処理要素320、330は、演算処理装置、例えばシングルコアプロセッサ、又はマルチコアプロセッサ、もしくはこれを構成するプロセッサコアにより構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがって演算処理を実行する。
【0029】
[遠隔操作装置200の構成]
遠隔操作装置200は、それぞれ図示しない遠隔制御装置230、遠隔入力インターフェース210、及び遠隔出力インターフェース220を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置、例えばシングルコアプロセッサ、又はマルチコアプロセッサ、もしくはこれを構成するプロセッサコアにより構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがって演算処理を実行する。
【0030】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、遠隔画像出力装置221と、遠隔音響出力装置225と、遠隔無線通信機器229と、を備えている。
【0031】
図2を参照して、遠隔操作機構211を説明する。遠隔操作機構211は、走行用操作装置、旋回用操作装置、ブーム用操作装置、アーム用操作装置、及びバケット用操作装置を含んでいる。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械400、500の下部走行体を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械400、500の旋回機構を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。
【0032】
ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械400、500のブームシリンダを動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械400、500のアームシリンダを動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械400、500のバケットシリンダを動かすために操作される。
【0033】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、図2に示されているように、オペレータが着座するシート251の周囲に配置されている。シート251は、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態である。又は、シート251は、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータが着座できる任意の形態であってもよい。
【0034】
シート251の前方には、下部走行体の左右のクローラにそれぞれ対応した左右一対の走行レバー212が左右横並びに配置されている。走行レバー212は、1つの操作レバーにより複数の操作レバーを兼ねるように構成されていてもよい。また、シート251の左右には、作業機械400、500の上部旋回体の旋回用操作装置、ブーム用操作装置、アーム用操作装置、及びバケット用操作装置として機能する操作レバー213、213がそれぞれ配置されている。
【0035】
遠隔画像出力装置221は、例えば図2に示されているように、シート251の前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央遠隔画像出力装置222、左側遠隔画像出力装置223および右側遠隔画像出力装置224を有している。中央遠隔画像出力装置222、左側遠隔画像出力装置223および右側遠隔画像出力装置224のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じである。又は、中央遠隔画像出力装置222が他より大きく、左側遠隔画像出力装置223および右側遠隔画像出力装置224は中央遠隔画像出力装置222より小さくてもよい。
【0036】
図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置222の画面および左側遠隔画像出力装置223の画面が傾斜角度θ1(例えば、120°≦θ1≦150°)をなすように、左側遠隔画像出力装置223の右縁が、中央遠隔画像出力装置222の左縁に隣接している。図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置222の画面および右側遠隔画像出力装置224の画面が傾斜角度θ2(例えば、120°≦θ2≦150°)をなすように、右側遠隔画像出力装置224の左縁が、中央遠隔画像出力装置222の右縁に隣接している。傾斜角度θ1およびθ2は同じである。又は、傾斜角度θ1およびθ2は相違していてもよい。
【0037】
中央遠隔画像出力装置222、左側遠隔画像出力装置223および右側遠隔画像出力装置224のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央遠隔画像出力装置222、左側遠隔画像出力装置223および右側遠隔画像出力装置224のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央遠隔画像出力装置222が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0038】
遠隔音響出力装置225は、1つまたは複数のスピーカーにより構成され、例えば図2に示されているように、シート251の後方、左アームレスト後部および右アームレスト後部のそれぞれに配置された中央音響出力装置226、左側音響出力装置227および右側音響出力装置228により構成されている。中央音響出力装置226、左側音響出力装置227および右側音響出力装置228のそれぞれ同じ装置である。又は、中央音響出力装置226、左側音響出力装置227および右側音響出力装置228は、それぞれ異なる大きさ、又は特性の音響出力装置であってもよい。
【0039】
[作業機械400、500の構成]
作業機械400、500は、施工現場で遠隔操作により操作される作業機械400、500である。作業内容、作業の規模、等により、作業機械400、500の種類、大きさ、使用する台数が適宜選択される。図1では、2台の作業機械400、500を使用する場合が図示されている。2台の作業機械400、500は、1人のオペレータにより作業の進捗に合わせて交互に遠隔操作される。一方の作業機械400、500が作業状態である間、他方の作業機械400、500は待機状態とされる。作業機械400、500は、3台以上であってもよく、1台の作業機械400が作業状態である間、他の作業機械は待機状態とされる。作業機械400、500は、図示しない内燃機関、内燃機関と電動機のハイブリッド機構、等により駆動される。
【0040】
作業機械400、500は、例えば建設機械であるクローラショベルである。図1に示されているように、クローラショベルは、クローラ式の下部走行体と、下部走行体に旋回機構を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体と、を備えている。上部旋回体の前方左側部には、運転室であるキャブが設けられている。上部旋回体の前方中央部には、作業アタッチメントが設けられている。作業機械400、500は、実機入力インターフェース410、510、実機出力インターフェース420、520、作業アタッチメント430、530、蓄電装置440、540、充電装置450、550、安全装置460、560、警報装置470、570、及びそれらを制御する実機制御装置480、580を備えている。遠隔操作される作業機械が3台以上ある場合、各々の作業機械に上記装置が備えられている。なお、作業機械400、500に配置されている上記各装置の形状および配置についての図示は省略する。
【0041】
実機入力インターフェース410、510は、実機操作機構411、511、実機撮像装置414、514、及び実機周辺監視装置415、515を備えている。実機操作機構411、511は、キャブの内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と類似して配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作機構211の操作に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブに設けられている。実機撮像装置414、514は、例えばキャブの内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作業アタッチメント430、530の少なくとも一部を含む周囲環境を撮像する。フロントウィンドウおよびサイドウィンドウの窓枠のうち一部または全部が撮影範囲外であり映らなくてもよい。実機周辺監視装置415、515は、実機撮像装置414、514では撮像範囲外の実空間領域(例えば、キャブの右側領域、左側領域および/もしくは後方領域および/または死角領域)における対象物体(例えば、作業員、他の作業機械および/または車両など)の存在を検知するための測距センサ等により構成されている。
【0042】
実機出力インターフェース420、520は、通信装置である実機無線通信機器421、521を備えている。実機無線通信機器421、521はネットワーク110を介して、遠隔操作装置200、及び実機管理装置300とつながっており、実機操作信号を受信するとともに、撮像した周囲環境の映像、蓄電装置440、540の蓄電情報、等を送信する。
【0043】
作業アタッチメント430、530は、上部旋回体に起伏可能に装着されているブーム、ブームの先端に回動可能に連結されているアーム、及びアームの先端に回動可能に連結されているバケットを備えている。作業アタッチメント430、530には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ、アームシリンダおよびバケットシリンダが装着されている。
【0044】
ブームシリンダは、作動油の供給を受けることにより伸縮してブームを起伏方向に回動させるように当該ブームと上部旋回体との間に接続されている。アームシリンダは、作動油の供給を受けることにより伸縮してアームをブームに対して水平軸回りに回動させるように当該アームと当該ブームとの間に接続されている。バケットシリンダは、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケットをアームに対して水平軸回りに回動させるように当該バケットと当該アームとの間に接続されている。
【0045】
蓄電装置440、540は、作業機械400、500に必要な電力を供給する装置である。遠隔操作管理下にある作業機械400、500が作業の最中ではなく待機状態の時には、蓄電装置440、540から実機無線通信機器421、521、実機制御装置480、580、等へ電力が供給される。蓄電装置440、540は、例えばバッテリである。
【0046】
充電装置450、550は、蓄電装置440、540の蓄電残量が所定値以下になった時に、蓄電装置440、540を充電する装置である。充電装置450、550は、例えば、作業機械400、500が備える内燃機関により駆動される発電機である。
【0047】
安全装置460、560は、作業機械400、500が有する走行レバーを含む操作レバーの少なくとも1つ以上を操作不能にロックする装置である。作業機械400、500に搭乗者なく遠隔操作で充電が開始される場合に、充電開始に先立って作動し、操作レバーを作業機械400、500の非走行位置、又は作業アタッチメント430、530の非作動位置にロックする。操作レバーを上記位置にロックすることにより、作業機械400、500の内燃機関が作動した時に、急に作業機械400、500又は作業アタッチメント430、530が動き出すことを防止することができる。
【0048】
警報装置470、570は、作業機械400、500が遠隔操作の管理下で充電開始される時に、充電開始に先立って作動し、周囲に充電開始を伝達する装置である。遠隔操作で充電を開始する際に、無人の作業機械400、500の内燃機関が指令信号により動き出した時に、周囲にいた人が驚くこと、慌てて作業機械400、500を停止させようと乗り込もうとすることなどを防ぐための装置である。
【0049】
実機制御装置480、580は、作業機械400、500に備えられた上記各装置を制御する装置である。実機制御装置480、580は、蓄電装置440、540の蓄電量を検出する蓄電量取得装置481、581を有している。蓄電量取得装置481、581は、所定の条件時に各々の作業機械400、500の蓄電装置440、540の蓄電量を検出し、実機無線通信機器421、521を介して蓄電情報を送信する。
【0050】
[複数の作業機械400、500を遠隔操作するフロー]
図3図4とを参照して、第1実施形態における複数の作業機械400、500を遠隔操作するフローを説明する。第1実施形態では、待機中の作業機械400の蓄電残量を報知する工程を含む。オペレータは報知された情報をもとに、作業機械400の蓄電残量が所定値に低下するまでに、オペレータが作業対象を作業機械400に切り替えて、作業しながら充電する。図3は、複数の作業機械400、500のうち、1台目の作業機械400を遠隔操作するフローを示したフロー図である。図4は、図3に示された1台目の作業機械400に替えて2台目の作業機械500で遠隔操作を開始し、待機状態にした1台目の作業機械400の蓄電装置440の蓄電残量を管理する工程を示したフロー図である。
【0051】
なお、図3図6のフロー図において「C201」、「C301」、「C401」等のブロックは、データの送信および/または受信、並びに、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0052】
遠隔操作を開始する作業機械400のメインスイッチをオンにして待機状態に設定する(STEP100)。
図3には示されていないが、遠隔操作の開始前に必ず行う作業である。遠隔操作を行う作業機械400に備えられているメインスイッチを手動でオンにし、遠隔操作可能な待機状態にする。待機状態とは、作業機械400において、作業機械400を駆動する内燃機関が始動されておらず、かつ実機無線通信機器421、及び蓄電量取得装置481を有する実機制御装置480に通電されていて遠隔操作装置200からの指令を受信できる状態である。待機状態の作業機械400に遠隔操作装置200から起動指令を送信することで、作業機械400の内燃機関を始動させて作業を開始することができる。
【0053】
なお、複数の作業機械400、500を遠隔操作する場合、両方の作業機械400、500のメインスイッチを同時にオンして待機状態にすることも可能である。一方、1台目に使用する作業機械400の作業開始の時点では1台目のみ待機状態にし、2台目の作業機械500のメインスイッチのオンは、2台目の作業機械500が作業を開始する直前の時点でもよい。このようにすることで、2台目の作業機械500の蓄電装置540の節電に寄与することができる。なお、メインスイッチをオンにする作業は、遠隔地に位置する遠隔操作装置200を操作するオペレータではなく、作業機械400、500の位置する作業現場に作業員を赴かせることで実施されてもよい。
【0054】
オペレータの操作により遠隔操作装置200は、遠隔無線通信機器229を通じて、実機管理装置300に対して起動指令を送信する(STEP201)。起動指令は、実機管理装置300により受信される(C301)。これに応じて、起動指令は実機管理装置300から作業機械400に送信されて受信される(C401)。
【0055】
起動指令の受信後、作業機械400の内燃機関が始動されると、作業機械400の実機制御装置480が車両状態について自己診断を開始する(STEP401)。作業機械400は、その結果を含む第1情報、並びに実機撮像装置414、及び実機周辺監視装置415の撮像画像を取得し、実機管理装置300に送信する。第1情報、及び上記撮像画像は、実機管理装置300により受信される(C302)。これに応じて、第1情報、及び上記撮像画像は遠隔操作装置200に送信されて受信される(C201)。自己診断とは、内燃機関の始動確認、内燃機関の油圧チェック、燃料残量チェック、実機操作機構411等の電子装置類の起動時作動チェック、蓄電装置440の蓄電状態チェック、など内燃機関の起動直後に行われる作業開始時の所定のチェックである。第1情報とは、自己診断の各種項目である。第1情報、及び上記撮像画像は、作業機械400の起動直後に送信されるとともに、それ以降も継続して送信される。
【0056】
遠隔操作装置200は、受信した第1情報、及び上記撮像画像を、遠隔画像出力装置221、及び/又は遠隔音響出力装置225により報知する(STEP203)。オペレータは、その情報により作業機械400の異常の有無、及び詳細情報、例えば蓄電装置440の蓄電残量等を確認する。
【0057】
作業機械400が異常なく起動されると、オペレータの操作により遠隔操作装置200は、実機管理装置300に対して作業指令を送信する(STEP205)。作業指令は実機管理装置300により受信される(C303)。これに応じて、作業指令は作業機械400に送信されて受信される(C402)。
【0058】
作業機械400は作業指令を受信すると、第2情報を実機管理装置300に送信する(STEP403)。第2情報は、作業指令を受信した場合に作業機械400から送信される受信確認信号である。また、作業機械400の実機操作機構411に駆動量検出装置が装着されている場合は、駆動量の検出値、又は実機操作機構411が実際に駆動されたという駆動確認信号を第2情報に含めることができる。送信された第2情報は実機管理装置300により受信される(C304)。これに応じて、第2情報は実機管理装置300から遠隔操作装置200に送信されて受信される(C202)。
【0059】
遠隔操作装置200に受信された第2情報は、遠隔画像出力装置221、及び/又は遠隔音響出力装置225により報知されて、オペレータにより確認される(STEP206)。
【0060】
送信された作業指令の作業を作業機械400が行った後、続けて作業を行う場合、オペレータは次の作業指令を送信する(STEP207)。予定された作業が終了するまで、上記のSTEP205からSTEP207までの各工程が繰り返される。
【0061】
作業機械400での予定された一区切りの作業が終了した場合、又は何らかの理由で作業機械400の作業を中断して待機状態にする場合、オペレータの操作により遠隔操作装置200は、実機管理装置300に対して待機指令を送信する(STEP209)。待機指令は実機管理装置300により受信される(C305)。これに応じて、待機指令は実機管理装置300から作業機械400に送信されて受信される(C403)。それにより、作業機械400は待機状態となる。
【0062】
図4を参照して、次に、作業機械400から作業機械500への遠隔操作装置200による遠隔操作の作業対象の切り替えと、切り替え後の、待機状態の作業機械400の蓄電装置440の蓄電残量管理工程1を説明する。蓄電残量管理工程1は、蓄電装置440の蓄電残量を作業機械400から実機管理装置300に常時送信する工程である。作業機械500への切り替えのため、上記STEP100と同様に、使用を開始する作業機械500のメインスイッチは予め待機状態にされる。その後、STEP211において遠隔操作装置200は、起動指令を実機管理装置300に送信する。起動指令は実機管理装置300により受信される(C306)。これに応じて、起動指令は実機管理装置300から作業機械500に送信されて受信される(C501)。上記操作により、作業機械500が起動され、作業機械500は作業可能な状態となる。なお、これ以降、作業機械400、500を切り替えて作業する場合は、遠隔操作により、作業中の作業機械400、500を待機状態にし、待機中の作業機械400、500を起動する操作を繰り返して、選択した作業機械400、500により作業を行う。
【0063】
待機指令を受信した作業機械400は、内燃機関を停止して蓄電装置440の蓄電情報を取得し、取得した蓄電情報を実機管理装置300に送信する(STEP421)。これに応じて、蓄電情報を実機管理装置300が受信する(C307)。
【0064】
待機指令により待機状態にされた作業機械400は、内燃機関が停止した状態である。また、実機無線通信機器421、及び蓄電量取得装置481を有する実機制御装置480は常時通電されており、遠隔操作装置200からの指令を受信可能である。通電されている蓄電量取得装置481は、蓄電装置440の蓄電量を常時検出している。蓄電装置440の蓄電量は、蓄電装置440の接続端子間の電圧値である。また、蓄電情報は蓄電装置440の接続端子間の電圧に応じた値である。
【0065】
実機管理装置300は、取得した蓄電情報により、蓄電情報を取得した時点から蓄電量が減少して蓄電閾値に到達するまでの時間である蓄電閾値到達時間Tを演算する。ここで、蓄電閾値は作業機械400の内燃機関を始動可能な蓄電量の限界値である限界蓄電閾値に余裕値を加算した値である。そして、蓄電装置440の蓄電量が蓄電閾値にまだ到達していない状態か、すなわち蓄電閾値到達時間Tが0より大きいかを判断する(STEP321)。実機管理装置300は、作業機械400ごとの蓄電閾値、及び待機状態時の時間当たりの消費電力値を記憶しており、取得した蓄電情報と、これらにより蓄電閾値到達時間Tを演算する。蓄電装置440ごとの蓄電閾値に到達するまでの蓄電閾値到達時間Tは、気温、蓄電装置440の累積使用時間、等の影響因子により変動する。そのため、備えられている検出器によりそれら影響因子の状態を検出、又は実機管理装置300に記憶された当該作業機械400の蓄電装置440の累積使用時間を演算し、実機管理装置300に記憶された影響因子と蓄電閾値到達時間Tとの対応テーブルに基づいて蓄電閾値到達時間Tを補正して補正後の蓄電閾値到達時間Tを決定してもよい。
【0066】
STEP321にて蓄電閾値到達時間Tを演算した結果、蓄電閾値にまだ到達していない場合、すなわち蓄電閾値到達時間Tが0より大きい場合、実機管理装置300は、演算した蓄電閾値到達時間Tを遠隔操作装置200に送信する(STEP323)。これに応じて、遠隔操作装置200は送信された蓄電閾値到達時間Tを受信する(C203)。
【0067】
遠隔操作装置200は受信した蓄電閾値到達時間Tに関する情報をオペレータに報知する(STEP221)。報知装置は、遠隔操作装置200の遠隔画像出力装置221、及び遠隔音響出力装置225を含み、それらの少なくとも何れか一方により、オペレータに報知する。遠隔画像出力装置221は、受信した蓄電閾値到達時間Tに応じて、蓄電装置440が蓄電閾値に到達するまでの時間、及び蓄電装置440が蓄電閾値に到達する時刻の少なくとも何れか一方を遠隔画像出力装置221の画面に表示する。また、遠隔画像出力装置221は、上記時間及び上記時刻の少なくとも何れか一方に対応する音声、又は音響メッセージを発生する。
【0068】
実機管理装置300は、遠隔操作している複数の作業機械400、500のうち、少なくとも待機作業機械を含む2台以上の作業機械400、500のそれぞれの蓄電情報を同時に報知装置、すなわち遠隔画像出力装置221、及び/又は遠隔音響出力装置225に出力可能である。また、3台以上の遠隔操作中の作業機械があった場合にも、同様にそれぞれの蓄電情報を同時に出力可能である。蓄電情報は、遠隔画像出力装置221では、1つ以上の数字、図形、及びそれらの組み合わせで表示される。また、遠隔音響出力装置225では、蓄電情報に対応付けられた、音声及び/又は音声以外の音響で出力される。遠隔画像出力装置221、及び/又は遠隔音響出力装置225からの報知は、遠隔操作装置200が遠隔操作している全ての作業機械400、500についての機種名、管理番号、名称、等の作業機械400、500の固有情報、それらの作業機械400、500の作業中、待機中、充電中、等のそれぞれの状態、の1つ以上について報知可能である。
【0069】
また、実機管理装置300が遠隔画像出力装置221に出力する蓄電情報は、図形を有するアイコンを含み、蓄電閾値以下になった作業機械400、500の蓄電情報を示すアイコンは、少なくともアイコンの一部について、アイコン表示の時間的変化を伴って表示されてもよい。アイコンは、例えば三角形、四角形、等の多角形、長丸楕円を含む円、直線、一定面積領域内の一部を含む領域の模様表示、及びそれらの組み合わせで形成されることを含む。それらの少なくとも一部または少なくとも複数の部分が時間的変化、例えば、点滅、形状の変化、色の変化をしてもよい。それらの変化は、蓄電残量が蓄電閾値に到達したか、又は到達していないかの2状態のそれぞれの状態において、互いの他方の状態に対して変化をするように構成されていてもよい。または、蓄電残量の連続的変化にともなって、連続的に変化するようにしてもよい。蓄電情報の報知をアイコン表示、又は音響報知にすると、数字よりわかりやすく、作業をしながら報知されたことを認識しやすい。
【0070】
また、報知装置は、遠隔操作装置200の他に、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末が含まれる。実機管理装置300は、遠隔操作装置200に加えて、又は遠隔操作装置200の代わりに、携帯端末に蓄電閾値到達時間Tを送信して、携帯端末の所有者に報知することができる。
【0071】
STEP323の後、遠隔操作装置200は作業機械400に蓄電情報取得指令を送信する(STEP327)。これに応じて、作業機械400は蓄電情報取得指令を受信する(C404)。蓄電情報取得指令を受信した作業機械400は、上記STEP421に戻り、蓄電装置440の蓄電情報を取得し、取得した蓄電情報を実機管理装置300に送信する。実機管理装置300は新たな蓄電情報を取得し、上記STEP321、323、及び221により、オペレータに蓄電情報の報知が繰り返される。待機中の作業機械400の蓄電情報が常時取得できるため、正確な蓄電情報をオペレータに報知することができる。
【0072】
蓄電装置440の蓄電残量が蓄電閾値に到達している場合は、実機管理装置300は蓄電閾値に到達していることを遠隔操作装置200に送信する(STEP329)。これに応じて、蓄電閾値に到達していることを遠隔操作装置200が受信する(C204)。
【0073】
遠隔操作装置200は、蓄電装置440の蓄電残量が蓄電閾値に到達していることを報知装置によりオペレータに報知する(STEP223)。
【0074】
STEP223で蓄電残量について報知された後、オペレータの操作により遠隔操作装置200は作業機械500に対する待機指令を実機管理装置300に送信し(STEP217)、実機管理装置300にて受信される(C308)。これに応じて、実機管理装置300から待機指令が送信され、作業機械500が待機指令を受信する(C502)。これにより、作業中の作業機械500は待機状態とされる。
【0075】
オペレータの操作により遠隔操作装置200は作業機械400を起動するための起動指令を実機管理装置300に送信し(STEP219)、実機管理装置300にて受信される(C309)。これに応じて、実機管理装置300から起動指令が送信され、作業機械400が起動指令を受信する(C405)ことで、作業機械400が内燃機関を始動する(STEP219)。作業機械400の内燃機関を始動することで充電装置450が作動し、蓄電装置440の充電が開始される。上記のように、作業中の作業機械500を待機状態にし、蓄電装置440の蓄電残量が蓄電閾値に到達している作業機械400を起動して充電することにより、作業機械400の蓄電装置440の蓄電残量を常に蓄電閾値以上に維持するよう管理することができる。
【0076】
なお、蓄電装置の蓄電残量に関する報知する時期は、待機作業機械ごとにあらかじめ決められた蓄電閾値になった時、又はあらかじめ決められた蓄電閾値になったと推定される時である。または、それらの時に対して、所定の時間範囲内である間に行ってもよい。蓄電閾値になる前、又は蓄電閾値になると推定される時よりも所定時間前の時点で報知するようにしてもよい。例えば、蓄電閾値になる前、又は蓄電閾値になると推定される時よりも5分前、10分前、15分前、等に、事前に報知してもよい。そうすることで、オペレータが急な作業変更を強いられることを防ぐことができる。
なお、作業機械500への遠隔操作装置200による遠隔操作の作業対象の切り替えが不要である場合には、待機指令の送信(STEP217)と起動指令の送信(STEP219)は行われない。この場合、作業機械400は蓄電装置440の蓄電量が減少して限界蓄電閾値に達した時点で蓄電情報を実機管理装置300経由で遠隔操作装置200に送信し、遠隔操作装置200の報知装置により蓄電装置440の蓄電残量が限界蓄電閾値に到達していることを報知させてもよい。また、作業機械400は蓄電装置440の蓄電量が減少して限界蓄電閾値に達した時点で実機制御装置480への通電を停止し、蓄電装置440の蓄電量の低下を抑止するようにしてもよい。
【0077】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の蓄電残量管理工程2を説明する。第1実施形態では、実機無線通信機器421、及び蓄電量取得装置481を有する実機制御装置480は常時通電されており、蓄電量取得装置481は、蓄電装置440の蓄電量を検出し、実機管理装置300に対して常に蓄電情報を送信する。それに対し、第2実施形態では、常時通電されているのは実機無線通信機器421のみであり、蓄電量取得装置481を有する実機制御装置480は断続的に通電される点のみが第1実施形態に対し異なる。
【0078】
第2実施形態の蓄電残量管理工程2では、実機管理装置300の作業機械400への蓄電情報取得指令の送信は、断続的に行われる(STEP327)。定期的に、例えば30分毎、1時間毎、2時間毎、3時間毎等、任意の時間間隔で、実機管理装置300は蓄電情報取得指令を送信する。作業機械400が蓄電情報取得指令を受信すると、実機無線通信機器421は蓄電量取得装置481に通電する。蓄電量取得装置481は、通電の都度、蓄電装置440の蓄電量を検出し、STEP421と同様に実機管理装置300に対して蓄電情報を送信する。これ以降、上記工程が繰り返される。このような構成により、蓄電量取得装置481に常時通電されている場合に比べて、電力消費が抑制されることで、蓄電装置440の待機時間を長くすることができる。なお、蓄電装置440の蓄電情報を定期的に取得する方法の代案として、実機無線通信機器421、又は実機制御装置480にタイマー回路等を備えるようにして、実機管理装置300からの定期的指令ではなく、作業機械400から定期的に蓄電装置440の蓄電情報が繰り返し送信されるように構成されていてもよい。
【0079】
<第3実施形態>
図5を参照して、第3実施形態の蓄電残量管理工程3を説明する。第1実施形態の蓄電残量管理工程1では、実機無線通信機器421、及び蓄電量取得装置481を有する実機制御装置480は常時通電されており、蓄電量取得装置481は、蓄電装置440の蓄電量を検出し、実機管理装置300に対して常に蓄電情報を送信する。それに対し、第3実施形態では常時通電されているのは遠隔操作指令を受信する実機無線通信機器421のみである。第3実施形態の蓄電量管理工程3は、この点で第1実施形態の蓄電量管理工程1に対して異なる。蓄電量取得装置481は、待機状態になる時点で蓄電装置440の蓄電量を検出し、実機管理装置300に対して蓄電情報を送信すると蓄電量取得装置481の通電は切断される。それ以降は、実機管理装置300が待機状態になる時点で受信した蓄電情報に基づき、蓄電閾値到達時間Tを遠隔操作装置200に定期的に報知する。
【0080】
図5において、第1実施形態、及び第2実施形態と同様に、STEP321、及びSTEP323の各工程が実施される。蓄電閾値到達時間Tが演算され、遠隔操作装置200に送信され、オペレータに報知された後、この工程が繰り返し行われる。
【0081】
実機管理装置300は、遠隔操作装置200に蓄電閾値到達時間Tを送信後、所定時間の経過を待つ(STEP325)。
【0082】
実機管理装置300は、前回演算時からの時間経過により蓄電閾値到達時間Tを再計算する(STEP321)。
【0083】
これ以降は、STEP323、221、325の各工程により、蓄電装置440の蓄電残量が蓄電閾値に到達するまで繰り返される。また、蓄電装置440の蓄電残量が蓄電閾値に到達した後は、STEP329に移行し、第1実施形態と同様に、STEP223、217、219の各工程が実施される。第3実施形態の蓄電残量管理工程3では、常時通電されているのは遠隔操作指令を受信する実機無線通信機器421のみであるため、第1実施形態、及び第2実施形態より電力消費が抑制され、蓄電装置440の待機時間を長くすることができる。
【0084】
<第4実施形態>
図6を参照して、第4実施形態を説明する。第1実施形態において、蓄電装置440の蓄電残量が蓄電閾値に到達している場合は、オペレータは待機中の作業機械400に起動指令を送信して、待機中の作業機械400を起動して内燃機関を始動させ、作業機械400の蓄電装置440の充電を行う。第4実施形態では、作業中の作業機械500は作業を継続し、待機中の作業機械400は待機状態のまま内燃機関を始動し、アイドリングさせながら充電を行う。すなわち、第1実施形態では、作業機械500での作業を中断して蓄電閾値に到達した作業機械400を起動することで蓄電装置440を充電したが、第4実施形態では作業機械500での作業を中断せずに待機中の作業機械400の内燃機関を始動させ、アイドリングさせながら充電することが第1実施形態に対して異なる。
【0085】
第4実施形態において、第1実施形態における実機管理装置300が遠隔操作装置200に蓄電残量が蓄電閾値に到達していることを報知する(図4のSTEP329)までの工程は、第1実施形態と同様であり省略している。第4実施形態は、この報知の際、遠隔操作装置200は待機中の作業機械400を起動し、内燃機関を始動して充電を行うことを遠隔画像出力装置221に表示してオペレータに報知する。遠隔画像出力装置221には、例えば「ショベルAのバッテリ容量が低下しています。遠隔充電を開始します。」と表示するものである。
【0086】
図6において、実機管理装置300は、第1実施形態において蓄電残量が蓄電閾値に到達した(図4のSTEP329)ことを判定した作業機械400に、充電開始条件確認指令を送信する(STEP331)。これに応じて、作業機械400が充電開始条件確認指令を受信する(C405)。充電開始条件とは、無人の作業機械400を遠隔操作で充電を開始するにあたり、充電を開始できる条件がそろっているかの確認条件である。充電開始条件とは、例えば、待機中の作業機械400の操作レバーをロックする安全装置が正常に作動しているか、及び施工現場における現場管理者所有の非常停止ユニットにより非常停止操作が無い状態かである。操作レバーをロックする安全装置は、作業機械400が充電開始条件確認指令を受信すると作動して、操作レバーをロックする。安全装置が正常に作動したことは、検出装置により検出可能である。また、現場管理者所有の非常停止ユニットによる非常停止操作の有無は、実機無線通信機器421により検出可能である。
【0087】
作業機械400は充電開始条件の状況を確認後、実機管理装置300に充電開始要件の確認結果を送信する(STEP431)。これに応じて、実機管理装置300は充電開始要件の確認結果を受信する(C309)。
【0088】
実機管理装置300は充電開始条件がそろっているか判断する。充電開始条件が1つでもそろっていない場合は、実機管理装置300は遠隔操作装置200に対して充電開始が実施されないことを送信する(STEP333)。これに応じて、遠隔操作装置200は充電開始が実施されないことを受信する(C205)。
【0089】
遠隔操作装置200は、充電開始が実施されないことをオペレータに報知する(STEP231)。
【0090】
充電開始条件がそろっている場合は、実機管理装置300は作業機械400に対して充電開始指令を送信する(STEP335)。これに応じて、作業機械400は充電開始指令を受信する(C406)。また、実機管理装置300は、遠隔操作装置200にも充電開始指令を送信する(STEP335)。これに応じて、遠隔操作装置200は充電開始指令を受信する(C206)。
【0091】
遠隔操作装置200は、充電が開始されたことを遠隔画像出力装置221に表示して報知する(STEP233)。遠隔画像出力装置221には、例えば「ショベルAの遠隔充電が開始されました。」と表示される。この時に、上記報知内容と合わせて、作業機械400ごとにあらかじめ決められている充電運転予定時間も合わせて報知する。
【0092】
充電開始指令を受信した作業機械400は、警報装置470を作動させる(STEP433)。その後、内燃機関を始動しアイドリングしながら蓄電装置440を充電する。警報装置470は、作業機械400の周囲に、作業機械400の内燃機関を始動して充電を開始することを光学的及び/又は音響的に知らせる装置である。警報装置470は、例えば、回転灯、ランプ、等の点灯装置、又は点滅装置である。又は、警報装置470は、例えば、クラクション、サイレン、等の音響装置である。
【0093】
警報装置470が作動してから、作業機械400の内燃機関が始動されて充電装置450が機能し、蓄電装置440の充電が開始される(STEP435)。
【0094】
所定時間充電を行った後、作業機械400はアイドリング運転を停止して充電を終了する(STEP437)。
【0095】
作業機械400は充電の終了を実機管理装置300に送信する(STEP439)。これに応じて、実機管理装置300は充電の終了を受信する(C310)。また、充電の終了は遠隔操作装置200にも送信され、遠隔操作装置200は受信する(C207)。
【0096】
遠隔操作装置200は、充電が終了したことを遠隔画像出力装置221に表示してオペレータに報知する(STEP235)。
【0097】
第4実施形態によれば、待機中の作業機械400の蓄電装置440を充電することができるため、作業機械400の蓄電状態により中断されることなく、作業中の作業機械500の作業を継続することができる。また、蓄電閾値に到達する以前の時点においても、あらかじめ充電しておく等、必要に応じて待機中の作業機械400の蓄電装置440を充電することができる。
【0098】
なお、第4実施形態として、充電の開始が報知された後、自動的に開始される構成を説明したが、オペレータの手動操作により、充電が開始されるように構成してもよい。例えば、実機管理装置300が充電開始要件の確認結果を受信(C309)した結果、充電開始条件がそろっている場合に、遠隔画像出力装置221に、例えば「ショベルAのバッテリ容量が低下しています。遠隔充電を開始しますか?」と表示し、オペレータの手動操作を促すようにする。当該表示の後に、手動操作による充電の開始指示がある場合に実機管理装置300は作業機械400に対して充電開始指令を送信する(STEP335)ようにする。開始指示は、例えば、遠隔画像出力装置221等の表示画面に表示される選択項目に対するタップ等の操作や複数の操作レバーのいずれかに設けられたボタン操作により行われる。このようにすることで、作業機械400を使用する予定がない場合に不必要に作業機械400の内燃機関が始動されることを防止できる。手動操作による充電の開始は、作業機械400が待機状態である限りは蓄電装置440の蓄電量に関わらず何れの時点でも可能である。また、充電は、何れの時点でも手動で終了させるようにしてもよい。
【0099】
本発明によれば、複数の作業機械を遠隔操作する場合においても、個々の待機作業機械の蓄電残量を知ることができ、蓄電装置の蓄電量を適切に管理することができる。
【符号の説明】
【0100】
100 実機管理システム、200 遠隔操作装置、221 遠隔画像出力装置(報知装置)、225 遠隔音響出力装置(報知装置)、300 実機管理装置、 400,500 作業機械、421 実機無線通信機器(通信装置)、440 蓄電装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6