(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065118
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】テレメータ、監視制御システムおよび監視制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230502BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20230502BHJP
G06Q 50/32 20120101ALI20230502BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G05B23/02 301V
G06Q50/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175740
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孟
(72)【発明者】
【氏名】三島 岳秋
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA30
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB04
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF15
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH29
5L049AA20
5L049CC46
(57)【要約】
【課題】
この発明は、通信異常によるデータの欠損を生じさせない信頼性の高い監視制御システムを提供することである。
【解決手段】
テレメータにおける親局と子局の間は通信回線を経由して接続される。親局に集約されたデータはPLCを介して監視制御装置に送信され、監視制御装置においてデータの記録が行われる。監視制御装置は、この記録したデータに基づいて監視制御を実施する。親局は、通信異常が発生したか否かおよび通信異常が解消されたか否かを判断する機能を備えており、通信異常が解消されたと判断した場合、子局に対し通信異常期間中のデータの送信要求を行い、子局から通信異常期間中のデータを取得する。そして、親局は、取得した通信異常期間中のデータを監視制御装置に送信する。監視制御装置は、通信異常期間中のデータを記録して、通信異常期間中のデータの欠損をなくす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集されたデータを記録する子局と、前記子局が記録した前記データを受信し記録する親局とを備えたテレメータであって、
前記子局は前記データを前記親局に送信し、
前記親局は、受信した前記データを記録し、所定時間内に前記子局からの前記データが受信されない場合に通信異常発生と判断し、その後前記子局から前記データの送信が開始されたことにより通信異常解消と判断し、前記通信異常解消と判断した場合には前記子局に対し通信異常発生時から通信異常解消時までの通信異常期間中の前記データの送信要求を行い、前記子局から前記通信異常期間中の前記データを受信し、前記通信異常期間中の前記データを記録するテレメータ。
【請求項2】
請求項1に記載されたテレメータにおいて、
前記親局は、監視制御を行う監視制御装置に前記データを送信することを特徴とするテレメータ。
【請求項3】
請求項1に記載されたテレメータであって、
前記子局は、データ管理のための第1管理番号を生成し、前記第1管理番号とともに前記データを前記親局に送信し、
前記親局は、前記第1管理番号に基づき親局側の管理番号である第2管理番号を生成し、前記第2管理番号とともに前記子局からの前記データを記録すること特徴とするテレメータ。
【請求項4】
請求項3に記載されたテレメータであって、
前記第1管理番号はヘルシーチェックを行うための第1ヘルシーカウント値であり、前記親局は前記第1ヘルシーカウント値が前記所定時間内に更新されないことにより前記通信異常発生を判断することを特徴とするテレメータ。
【請求項5】
収集されたデータを記録する子局と、通信回線を介して前記子局が記録した前記データを受信し記録する親局とを有するテレメータと、前記親局が記録した前記データを受信し記録するとともに前記記録したデータに基づいて監視制御を行う監視制御装置とからなる監視制御システムであって、
前記子局は前記データを前記親局に送信し、
前記親局は、受信した前記データを記録するとともに、前記データを前記監視制御装置に送信し、所定時間内に前記子局から前記データが送信されない場合に通信異常発生と判断し、その後前記子局からの前記データの受信が開始されたことにより通信異常解消と判断し、前記通信異常解消と判断した場合、前記子局に対し通信異常発生時から通信異常解消時までの通信異常期間中の前記データの送信要求を行い、前記子局から前記通信異常期間中の前記データを受信し、前記通信異常期間中の前記データを記録するとともに前記監視制御装置に送信し、
前記監視制御装置は、送信された前記通信異常期間中の前記データを記録する、監視制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載された監視制御システムにおいて、
前記子局は、データ管理のための第1管理番号を生成し、前記第1管理番号とともに前記データを前記親局に送信し、前記親局は、前記第1管理番号に基づき親局側の管理番号である第2管理番号を生成し、前記第2管理番号とともに前記子局からの前記データを記録すること特徴とする監視制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載された監視制御システムにおいて、
前記第1管理番号はヘルシーチェックを行うための第1ヘルシーカウント値であり、前記親局は前記第1ヘルシーカウント値が所定時間更新されないことにより前記通信異常発生を判断することを特徴とする監視制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載された監視制御システムにおいて、
前記親局は、前記第2管理番号として第2ヘルシーカウント値を用い、前記データとともに前記第2ヘルシーカウント値を前記監視制御装置に送信し、前記監視制御装置は、送信された前記第2ヘルシーカウント値により前記通信異常発生を確認することを特徴とする監視制御システム。
【請求項9】
請求項5に記載された監視制御システムにおいて、
前記親局が送信する前記データを受信し前記監視制御装置に送信する中継機能を有するPLCを設けたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項10】
請求項5に記載された監視制御システムにおいて、
前記監視制御装置の少なくとも一部の機能を外部のサーバに持たせたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項11】
請求項5に記載された監視制御システムにおいて、前記監視制御装置は上位の計算機であることを特徴とする監視制御システム。
【請求項12】
測定されたデータを記録する子局および前記子局が記録した前記データを受信して記録する親局からなるテレメータを備え、前記親局が記録した前記データを受信して記録するとともに、前記記録した前記データに基づいて監視制御を行う監視制御方法であって、
前記子局は前記データを前記親局に送信し、前記親局は、所定時間内に前記子局から前記データが送信されない場合に通信異常発生と判断し、その後前記子局から前記データの受信が開始されたことにより通信異常解消と判断し、前記親局は、前記通信異常解消と判断した場合、前記子局に対し前記通信異常発生の時点から前記通信異常解消の時点までの通信異常期間中の前記データの送信要求を行い、前記子局から前記通信異常期間中の前記データを受信して前記通信異常期間中の前記データを記録する監視制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載された監視制御方法において、
前記子局にてデータ管理のための第1管理番号を生成し、前記第1管理番号とともに前記データを前記親局に送信し、前記親局では、前記第1管理番号に基づき親局側の管理番号である第2管理番号を生成し、前記第2管理番号とともに前記子局からの前記データを記録すること特徴とする監視制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載された監視制御方法において、
前記第1管理番号はヘルシーチェックを行うための第1ヘルシーカウント値であり、前記親局は前記第1ヘルシーカウント値が所定時間更新されないことにより前記通信異常発生を判断することを特徴とする監視制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載された監視制御方法において、
前記親局では、前記第2管理番号として第2ヘルシーカウント値を用い、前記データとともに前記第2ヘルシーカウント値を記録することを特徴とする監視制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレメータ、監視制御システムおよび監視制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、現場に設置した通信端末に監視対象のデータを取り込んで、通信により遠隔地に設置した監視制御装置にそのデータ(監視対象の状態データ)を転送して表示し、状況に対応して現場の機器に対して指令を送り遠隔操作する監視制御システムが知られている。例えば、上下水道の給水、配水設備、河川の水位監視や産業用の生産設備などにおいて監視制御システムが使用されている。このような技術は、例えば、特開2016-1414号公報(特許文献1)に開示されている。また、現地に設置されているセンサが検出したデータを自動的に収集し、そのデータを監視制御装置に送信するための遠隔データ収集装置は、「テレメータ」としてよく知られている。
【0003】
このような監視制御システムやテレメータでは、通信回線としてアナログ専用回線やブロードバンド回線が利用されている。
【0004】
上水道の配水方式では、例えば、高台に設置したタンクに水道水を貯め、重力による自然流下により需要地域に配水する方式が知られている。水道水を作る浄水場は、処理設備の建築が容易な平地に設けられることが多いため、タンクと浄水場とは遠隔地であることが多い。
【0005】
そのため、ポンプを用いて浄水場からタンクへ送水する必要がある。このようなポンプの制御は、テレメータから送信されたタンクの水位データを監視制御装置に取り込み、監視制御装置が水位データの状態変化を監視し、タンクの水位が規定値を越えたらポンプを停止する指令を遠隔地にあるポンプ場のポンプ制御装置に指示してポンプを停止し、また規定値を下回ったらポンプを稼動させるなどの制御を行っている。
【0006】
近年では、テレメータはPLC(Programable Logic Controller)に通信回線への接続に対応した伝送モジュールを増設した形式のものが多く用いられている。テレメータのインターフェイス(IF)として接点信号による入出力を用いる場合が多いこと、テレメータからポンプの制御回路へ信号を出力する前にシーケンス処理を行ってから出力することが多い。このため、これらの処理を得意とするPLCをベースにすることは製品開発および実際の運用面においてメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、監視制御システムは、データを収集して記録する子局と、通信回線を介して子局から送信されるデータを受信する親局とを含んで構成されるテレメータと、テレメータの親局から送信されるデータを受信し、そのデータを記録し、当該データやそのデータを加工した情報を表示するとともに、状況に応じて現地に設置された操作機器に対し、操作信号(制御信号)を送信する監視制御装置とを備えている。
【0009】
このような監視制御システムにおいて、子局と親局との間で何らかの通信異常が発生した場合、通信異常期間中において、親局は子局からのデータを受信することができない。その結果、監視制御装置は、親局からのデータの送信がなくなり、通信異常期間中のデータを入手することができなくなる。つまり、監視制御装置の記録データに欠損が発生することになる。通信異常は、例えば、通信回線における断線、短絡、接触不良、雷サージの発生などにより生じる他、子局側の通信機器に何らかの異常が発生した場合にも生じる。監視制御システムにおいて、このようなデータ欠損が生じると、監視制御装置は現地の状態を十分に把握することができなくなり、適切な監視制御が困難となる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、テレメータの子局と親局の間で通信異常が発生した場合、通信異常期間中のデータを通信復旧時に子局から親局に送信可能とすることにより、データ欠損をなくすことが可能なテレメータ、監視制御システムおよび監視制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、その一例を挙げると、収集されたデータを記録する子局と、前記子局が記録した前記データを受信し記録する親局とを備えたテレメータであって、前記子局は前記データを前記親局に送信し、前記親局は、受信した前記データを記録し、所定時間内に前記子局からの前記データが受信されない場合に通信異常発生と判断し、その後前記子局から前記データの送信が開始されたことにより通信異常解消と判断し、前記通信異常解消と判断した場合には前記子局に対し通信異常発生時から通信異常解消時までの通信異常期間中の前記データの送信要求を行い、前記子局から前記通信異常期間中の前記データを受信し、前記通信異常期間中の前記データを記録するテレメータである。
【0012】
また、本発明の他の例を挙げると、収集されたデータを記録する子局と、通信回線を介して前記子局が記録した前記データを受信し記録する親局とを有するテレメータと、前記親局が記録した前記データを受信し記録するとともに前記記録したデータに基づいて監視制御を行う監視制御装置とからなる監視制御システムであって、前記子局は前記データを前記親局に送信し、前記親局は、受信した前記データを記録するとともに、前記データを前記監視制御装置に送信し、所定時間内に前記子局から前記データが送信されない場合に通信異常発生と判断し、その後前記子局からの前記データの受信が開始されたことにより通信異常解消と判断し、前記通信異常解消と判断した場合、前記子局に対し通信異常発生時から通信異常解消時までの通信異常期間中の前記データの送信要求を行い、前記子局から前記通信異常期間中の前記データを受信し、前記通信異常期間中の前記データを記録するとともに前記監視制御装置に送信し、前記監視制御装置は、送信された前記通信異常期間中の前記データを記録する、監視制御システムである。
【0013】
本発明のさらに他の例を挙げると、測定されたデータを記録する子局および前記子局が記録した前記データを受信して記録する親局からなるテレメータを備え、前記親局が記録した前記データを受信して記録するとともに、前記記録した前記データに基づいて監視制御を行う監視制御方法であって、前記子局は前記データを前記親局に送信し、前記親局は、所定時間内に前記子局から前記データが送信されない場合に通信異常発生と判断し、その後前記子局から前記データの受信が開始されたことにより通信異常解消と判断し、前記親局は、前記通信異常解消と判断した場合、前記子局に対し前記通信異常発生の時点から前記通信異常解消の時点までの通信異常期間中の前記データの送信要求を行い、前記子局から前記通信異常期間中の前記データを受信して前記通信異常期間中の前記データを記録する監視制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信異常が発生した場合でも、通信異常解消時に通信異常期間中のデータを子局から親局に送信することを可能とするので、データの欠損の問題を解決したテレメータ、監視制御システムおよび監視制御方法を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例における監視制御システムの構成図である。
【
図2】通信が正常時の処理動作を説明するための図である。
【
図3】通信異常発生時の処理動作を説明するための図である。
【
図4】通信復旧時の処理動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例における監視制御システムの構成図である。
図2~
図4は、
図1に示す実施例の処理動作を説明するための図である。
【0017】
ここで、本発明は、以下に説明する実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の技術思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その構成を変更しうることは当業者であれば容易に理解される。
【0018】
また、以下に説明する実施例の構成において、同一機器又は同様の機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明を省略することがある。
【0019】
また、本明細書における「第1」、「第2」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は分脈ごとに用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない場合がある。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0020】
また、図面に示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。それ故、本発明は、図面に開示された構成機器の位置、大きさ、形状、範囲などに限定されるものではない。
【0021】
また、本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
【0022】
以下、
図1~
図4を用いて本発明の一つの実施例を説明する。
図1における監視制御システムは、テレメータを構成する子局101、102、10N、および親局200を含む。子局と親局との間のデータ送受信には、ブロードバンド回線などの通信回線300が利用される。通信回線300は、相互の通信が可能であればどのようなものでもよく、例えば光回線のような有線回線や無線回線を利用することができる。また、通信回線300は、専用回線でも公衆回線でも構わない。また、監視制御システムは、テレメータの他に、テレメータの親局200から送信されるデータを受信し、該データを記録(記憶)し、記録したデータに基づいて監視制御を行う監視制御装置500を含む。
【0023】
ここで、監視制御とは、テレメータから受信したデータを記憶部に記録(記憶)すること、記録したデータあるいはそのデータの加工、編集、保存などのデータ処理を行い、監視に必要な情報を表示装置に表示して監視を行なうこと、これらの情報に基づいて、遠隔地にある操作機器を操作する制御を行うための制御信号(操作信号)を演算すること、などである。
【0024】
この実施例においては、テレメータの親局200と、監視制御装置500との間には、中継機能を有するPLC400を設け、親局200から送信されるデータを受信し、そのデータを監視制御装置500に送信するように構成している。しかし、本発明では、親局200と監視制御装置500との間の接続は、PLC400を介さないで直接的に接続しても良い。特に、監視制御装置500と親局200との間の距離が短い場合などでは、例えばLAN(Local Area Network)などにより、直接通信可能(データの送受信可能)に接続すれば構成が簡略化できる。
【0025】
また、テレメータの子局は、この実施例では複数台有する構成としているが、1台であっても実現することができる。なお、
図1では、各子局の構成は同一とし、子局101についてのみ代表的に詳細な構成を記載し、説明を簡略化するため、他の子局(102,10N)についての詳細な構成の記載を省略している。また、各子局に入力されるセンサ(図示せず)からのデータDは、原則として子局毎に異なるものとする。なお、子局の構成は、必ずしも各子局について同一の構成にする必要はないが、各子局の構成を同一構成にすることにより、システムの構築が容易になる。また、システムの保守・点検作業や、修理が容易になるなどの点でも好ましい。
【0026】
さらに、この実施例(
図1)において、親局200は、機能において子局との違いはあるが、ハードウェアとしての構成は子局の構成と実質的に同一の構成としている。そのため、子局の構成について説明した内容は、親局の該当する構成について説明したものとして省略する場合がある。
【0027】
次に、子局の構成および動作について説明する。まず、この実施例における各子局の構成及び機能(動作)は同様である。そのため、ここでは、子局101の構成及び動作についてのみ説明し、他の子局(102,10N)についての説明を省略する。なお、この実施例における各子局は、親局に対し、予め決められた順序に従い順次データを送信するように構成している。
【0028】
子局101は、内部の記憶部122に記憶している動作プログラムに従いCPUなどの演算処理装置121が一連の処理動作を実行するコンピュータ(計算機)の機能を有する。なお、この実施例では、子局101にPLCを採用している。子局101には、CPUモジュール110、伝送モジュール120、IFモジュール130が取り付けられる。CPUモジュール110は、図示しない記憶部、演算処理部を有しており、それ自体でソフトウェア(記憶しているプログラム)を実行する計算機の機能を有している。例えば、CPUモジュール110は、ラダープログラムなどの伝送内容に応じて作成されるテレメータソフトS1を実行する。
【0029】
また、伝送モジュール120も、それ自体でソフトウェア(記憶しているプログラム)を実行できるコンピュータ機能を有している。そのため、伝送モジュール120は、ソフトウェアを実行するマイクロコンピュータ等の演算処理部121、プログラムを記憶するROMや入力されるデータなどを保存するフラッシュメモリなどの記憶部122、CPUモジュール110と通信(データ伝送)するためのIF123、通信回線300に接続するためのイーサネット(Ethernet)などの規格に基づくポート124を有する。伝送モジュール120では、入力されるデータを記録(記憶)するとともに、親局200に対し通信回線300を介してデータを自動的に送信すること、及び親局200からのデータ送信要求にしたがって、記録しているデータを親局200に送信すること、などの演算処理を実行する。こ演算処理は、記憶部122に記録したプログラムに従い演算処理回路121が実行する。
【0030】
CPUモジュール110は、テレメータソフトS1の処理により、IFモジュール130への信号の入出力と、伝送モジュール120へのデータの送受信を行う。
【0031】
伝送モジュール120は、演算処理部121で実行されるソフトウェア(プログラム)により、CPUモジュール110から受信したデータの通信電文への変換、通信回線300から受信した通信電文のPLC用データへの変換を行う。
【0032】
また、この実施例における伝送モジュール120は、第1管理番号を生成し、この第1管理番号とデータとを対応付けて記憶部122に記憶する。なお、以下の説明において、データとこの管理番号とを含む情報を「データ情報」と称することがある。伝送モジュール120は、データを親局に送信する際に、データとともに第1管理番号(データ情報)を親局200に送信する。この場合、後述するように、第1管理番号は、親局側で通信状態を診断する(ヘルシーチェックを行う)際に利用可能なヘルシーカウンタの値(以下、第1ヘルシーカウント値C1と称する。)を用いる。
【0033】
次に、親局200の構成および動作について説明する。親局200は、CPUモジュール210、伝送モジュール220、IFモジュール230で構成される。伝送モジュール220は、それ自体でソフトウェア(記憶しているプログラム)を実行できるコンピュータである。伝送モジュール220は、ソフトウェアを実行するマイコン等の演算処理部221、プログラムを記憶するROMや入力されるデータなどを保存するフラッシュメモリなどの記憶部222、CPUモジュール210と通信するためのIF223を有する。
【0034】
この伝送モジュール220のハード的な構成は、子局101の伝送モジュール120と同様の構成である。伝送モジュール220は、子局101からポート124を介して送信されるデータおよび第1ヘルシーカウント値C1を受信し、第1ヘルシーカウント値C1に基づいて親局側の管理番号である第2ヘルシーカウント値C2を生成し、この第2ヘルシーカウント値C2とともに受信したデータを記憶部222に記録(記憶)する。さらに、伝送モジュール220は、データDおよび第2ヘルシーカウント値C2をCPUモジュール210へ受け渡すための変換を行い、IF223を介してCPUモジュール210に送信する。伝送モジュール220におけるこのような演算処理は、演算処理部221が記憶部222に記憶したプログラムにより実行する。
【0035】
この実施例において、CPUモジュール210は、受け取ったデータDおよび第2ヘルシーカウント値C2(データ情報)を、IFモジュール230を介してPLC400に送信する。
【0036】
PLC400は、親局200のIFモジュール230と接続され、またこのPLC400は監視制御装置500に接続される。すなわち、親局200から送信されるデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)は、いったんPLC400に入力され、PLC400を経由して監視制御装置500に送信される。
【0037】
監視制御装置500は、PLC400経由で親局200から送信されたデータ情報、すなわちデータDおよび第2ヘルシーカウント値C2を受信し、IF510経由で記憶部530に保存する。
【0038】
なお、ここで、監視制御装置500は、計算機としての機能を有している。そのため、システム上位に計算機が設けられている場合には、
図1に示すように監視制御装置500を独立して設ける代わりに、その上位の計算機を使用しても良い。その場合、システム全体の構成を簡略化することができ、コスト面での優位性もある。
【0039】
また、監視制御装置500は、監視制御の機能の一部または全体について、クラウドサービス等の外部のサーバを利用しても実現できる。すなわち、例えば、テレメータの親局200から送信される監視用のデータ情報を外部のサーバに記憶させ、監視側の端末機器(パーソナルコンピュータや、スマートフォン、など)において、外部のサーバに記憶されたデータ情報をインターネット等を介して入手し、そのデータ情報に基づいて端末機器により監視制御を実行する構成としても良い。また、サーバ側でデータの記録だけでなく監視制御の機能を担うようにし、端末機器はその監視制御結果を入手可能にする構成でも構わない。このようなクラウドサービスを利用することにより、監視制御システム全体の設備投資の費用を削減することが可能になる。
【0040】
次に、
図2を参照して、通信異常が発生していない場合(正常時)の動作処理内容について説明する。なお、
図1と
図2のシステム構成は同じである。
【0041】
子局101のCPUモジュール110は、センサ等(図示せず)により収集したデータDを入力し伝送モジュール120に送信する。伝送モジュール120は、CPUモジュール110から受信したデータDに対して、ヘルシーカウンタの値(第1ヘルシーカウント値C1)を作成(生成)し、データDおよびこの第1ヘルシーカウント値C1(データ情報)をポート124から通信回線300を経由して親局200に送信する。
【0042】
親局200(具体的には、伝送モジュール220)では、子局101から送信されたデータ情報(データDおよび第1ヘルシーカウント値C1)を、ポート224を介して伝送モジュール220に受信する。伝送モジュール220は、子局101からのデータ情報を受信すると、第1ヘルシーカウント値C1に基づき親局における管理番号である第2ヘルシーカウント値C2を生成する。伝送モジュール220は、データDと第2ヘルシーカウント値C2とをセットにしたデータ情報を記憶部222に記録(記憶)する。また、第1ヘルシーカウント値C1も記録する。
【0043】
続いて、親局200の伝送モジュール220の演算処理部221は、記憶部222に記録されたデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)についてCPUモジュール210へ受け渡すための変換を行う。そして、このデータ情報を、IF223を介してCPUモジュール210に送信する。
【0044】
また、伝送モジュール220(演算処理部221)は、所定時間内にデータ情報が受信されていることを条件に通信状態は正常であると判断する。この実施例では、受信した第1ヘルシーカウント値C1が所定時間内に更新されていることを確認し、通信異常が発生していないこと(正常であること)を確認する。なお、第1ヘルシーカウント値C1が所定時間内に更新されない場合は、通信異常と判断するが、通信異常時の動作処理については後述する。
【0045】
CPUモジュール210は、データ情報(受信データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)を、IFモジュール230を経由してPLC400へ送信する。
【0046】
PLC400は、受信したこのデータ情報を、監視制御装置500のIF510に送信する。
【0047】
監視制御装置500(演算処理部520)は、IF510経由で取得したデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)を、記憶部530に記録(記憶)する。
【0048】
また、監視制御装置500(演算処理部520)は、受信したデータ情報における第2ヘルシーカウント値C2が所定時間内に更新されているか否かを判断(確認)し、更新が継続的に行われていることにより通信が正常に行われていることを確認する。これにより、監視制御装置500においても、通信状態が正常であることを監視することができる。
【0049】
このようにして、通信が正常に行われている場合には、子局101から親局200に送信されたデータ情報(データDおよびヘルシーカウント値C2)が、PLC400を介して監視制御装置500に記録される。監視制御装置500では、この記録されたデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)に基づいて、監視制御を実行する。
【0050】
次に、
図3を参照して、子局と親局との間の通信異常時(例えば、通信回線300が切断した場合など)における動作処理について説明する。
【0051】
通信異常が発生したか否かは、親局200(伝送モジュール220)において、継続して受信・記録されているデータ情報が所定時間内に受信できなくなることにより通信異常を判断することができる。この実施例では、第1ヘルシーカウント値C1が所定時間内に更新されたかどうかで判断する。すなわち、所定時間内に第1ヘルシーカウント値C1が更新されないことをもって、通信異常と判断する。通信異常が発生したと判断した時点(通信異常発生時)における第1ヘルシーカウント値C1および第2ヘルシーカウント値C2を、通信異常発生時点を示す情報として記憶部222に記憶する。
【0052】
一方、子局101(より具体的には、伝送モジュール120)は、通信異常か否かにかかわらず、データDおよび第1ヘルシーカウント値D1を含むデータ情報を記憶部122に記憶する動作を継続する。さらに、記憶部122に記録したデータ情報を親局200に対して送信する動作を継続する。つまり、通信正常時と同様の動作を継続する。このような通信異常の有無に関係なくデータを記録していることにより、後に通信状態が復旧した場合に、親局に対し通信異常期間中のデータを送信することが可能となる。
【0053】
親局200(具体的には、伝送モジュール220)は、子局101から受信した第1ヘルシーカウンタC1が更新されないことを確認することにより、通信異常と判断し、通信異常開始時として、その時点のヘルシーカウンタC1とヘルシーカウンタC2の値を記憶部222に記録する。また、その時のデータおよび第2ヘルシーカウント値C2をCPUモジュール210へ受け渡す。
【0054】
CPUモジュール210は、その時のデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)を、IFモジュール230を経由してPLC400へ送信する。つまり、通信異常発生時のデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)を送信する。
【0055】
PLC400は、このデータ情報を、監視制御装置500へ送信する。
【0056】
監視制御装置500は、IF510経由で取得したデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)を記憶部530に記録する。そして、記録した第2ヘルシーカウント値C2の状態をチェックし、第2ヘルシーカウント値C2が所定時間内に更新されない場合に通信異常と判断することができる。すなわち、通信異常発生時には、親局200から送信されていたデータ情報が途切れるので、そのデータ情報に含まれる第2ヘルシーカウント値C2の状態を監視すれば通信異常の発生の判断ができる。監視制御装置500は、第2ヘルシーカウント値C2が所定時間内に更新されない場合、その時の第2ヘルシーカウント値C2を通信異常発生時の情報として記憶部530に記録する。
【0057】
このように、通信異常発生時には、親局200および監視制御装置500は「通信異常発生」を判断することができる。
【0058】
次に、
図4を参照して、通信異常状態が解消した状態(通信異常解消時)における処理動作について説明する。
【0059】
ここで、上述したように、子局101の伝送モジュール120は、通信状態の変化に関係なく、正常時と同様に通信異常発生時から通信異常解消時までの通信異常期間中もデータ情報(データDおよび第1ヘルシーカウント値C1)の記憶部への記録動作、およびそのデータ情報を親局200に送信するデータ送信動作を継続している。
【0060】
親局200(伝送モジュール220)は、通信異常が解消すれば子局101からデータDおよび第1ヘルシーカウント値を再び受信できるので、そのデータ情報(データおよび第1ヘルシーカウント値C1)の受信を確認し、通信異常が解消したこと、すなわち、通信復旧を判断することができる。伝送モジュール220は、再受信開始時に子局101から受信した第1ヘルシーカウント値C1を、通信異常解消時を示す情報として、記憶部222に記録する。
【0061】
親局200(伝送モジュール220)は、子局101からデータ情報を再び受信開始したことにより通信異常解消を判断すると、子局101(伝送モジュール120)に対し、通信異常開始時から通信異常解消時点までの通信異常期間中のデータ情報(データDおよび第1ヘルシーカウント値C1)の送信要求Rを出す。この送信要求Rには、通信異常発生時における第1ヘルシーカウント値C1と、通信異常解消時における第1ヘルシーカウント値C1とを含める。
【0062】
子局101(伝送モジュール120)は、この送信要求Rに含めた通信異常発生時における第1ヘルシーカウント値C1と、通信異常解消時点における第1ヘルシーカウント値C1に基づいて、通信異常期間中のデータ情報の範囲(通信異常期間中に記録されたデータ情報)を把握することができる。子局101は、記憶部122に記録していたデータの中から通信異常期間中のデータ情報を抽出して親局200に送信する。
【0063】
親局200の伝送モジュール220は、子局101から通信異常期間中のデータ情報(データDおよび第1ヘルシーカウント値C1)を受信すると、第1ヘルシーカウント値C1に対応する第2ヘルシーカウント値C2を生成し、通信異常期間中のデータ情報(データDおよびこの第2ヘルシーカウント値C2)を記憶部222に記録する。また、伝送モジュール220は、通信異常期間中のデータ情報をCPUモジュール210に送信する。
【0064】
また、伝送モジュール220は、子局から送信される最新のデータ情報に基づいて記録された最新のデータ情報も(データDおよび第2ヘルシーカウント値D2)も、CPUモジュール210へ受け渡す。その後は、通信正常時における動作が実行されることになる。すなわち、伝送モジュール220は、次々と受信する子局からのデータ情報に基づいて、最新のデータ情報をCPUモジュール210へ受け渡す。なお、伝送モジュール220は、CPUモジュール210にデータ情報を受け渡す際に必要な情報変換を行う。
【0065】
親局200(CPUモジュール210)は、通信異常期間中のデータ情報(データDおよび第2ヘルシーカウント値C2)とともに、最新のデータ情報を、IFモジュール230を経由してPLC400へ送信する。
【0066】
PLC400は、親局200から受信した通信異常期間中のデータ情報および最新のデータ情報を、監視制御装置500へ送信する。
【0067】
監視制御装置500は、IF510経由で取得したこれらのデータ情報(通信異常期間中のデータ情報および最新のデータ情報)を、記憶部530に記録する。すなわち、通信異常期間中のデータ情報(通信異常期間中のデータおよび第2ヘルシーカウント値)は、記憶部530の通信異常発生時に記録した情報に続けて記録し、最新の情報は通信異常期間中の情報の後に続けて記録する。なお、それ以降は、正常時の場合において説明したように、親局側から次々に送信されてくるデータ情報を記憶部530に順次記録する。
【0068】
これにより、テレメータの親局200および監視制御装置500は、通信異常期間中のデータ情報(データDおよび第ヘルシーカウント値C2)を内部の記憶部に記録することができる。したがって、通信異常が発生した場合でも、通信異常解消時に、その通信異常期間中のデータ情報を入手し記録することができるので、データ欠損がない状態で監視制御を行うことが可能になる。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、テレメータの親局と子局との間で何らかの通信異常が発生した場合でも、通信異常解消時に通信異常期間中のデータ情報を子局から親局に送信することが可能になるので、データの欠損を生じさせない信頼性の高い監視制御を実現することができる。
【0070】
また、本発明の実施例では、データとともに管理番号を生成してデータ情報を記録しており、データの管理が容易になる。さらに、この管理番号として、ヘルシーチェックを実行可能なヘルシーカウント値を採用することにより、親局200における通信異常の判断を容易に行うことができる。また、この管理データを監視制御装置500にも送信することにより、監視制御装置においても、通信異常を管理することが可能になる。
【符号の説明】
【0071】
101、102、10N…子局、110…CPUモジュール、120…伝送モジュール、121…演算処理部、122…記憶部、123…IF、124…ポート、130…IFモジュール、200…親局、210CPUモジュール、220…伝送モジュール、221…演算処理部、222…記憶部、223…IF、224…ポート、230…IFモジュール、300…通信回線、400…PLC、500…監視制御装置、510…IF,520…演算処理部、530…記憶部