(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065158
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】ティーバッグ包装食品、及び食品の調理方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20230502BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20230502BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20230502BHJP
A23L 7/109 20160101ALI20230502BHJP
【FI】
A23L5/00 G
A23L7/10 A
A23L7/10 H
A23L5/10 F
A23L7/109 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175805
(22)【出願日】2021-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】716002725
【氏名又は名称】日本紙工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智紀
【テーマコード(参考)】
4B023
4B035
4B046
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LG03
4B023LG05
4B023LP08
4B023LP17
4B023LP20
4B035LC16
4B035LE11
4B035LG33
4B035LG34
4B035LP06
4B046LA01
4B046LC20
4B046LP41
4B046LP71
4B046LP80
(57)【要約】
【課題】
本発明は、フィルター体を活用した食品の調理技術を提供することを課題とする。
【解決手段】
湿式加熱調理用食品と、
収容部を有するフィルター体と、を備え、
前記湿式加熱調理用食品が、前記収容部に内包されてなる、フィルター包装食品。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式加熱調理用食品と、
収容部を有するフィルター体と、を備え、
前記湿式加熱調理用食品が、前記収容部に内包されてなる、フィルター包装食品。
【請求項2】
前記フィルター体の素材が、生分解性繊維である、請求項1に記載のフィルター包装食品。
【請求項3】
前記フィルター体が、前記収容部を開放するための切取部を有する、請求項1又は2に記載のフィルター包装食品。
【請求項4】
前記湿式加熱調理用食品が、湿式加熱調理の前後で固形状の食品である、請求項1~3の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項5】
前記湿式加熱調理用食品が、湿式加熱調理により膨張する食品である、請求項1~4の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項6】
前記収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積よりも大きい、請求項5に記載のフィルター包装食品。
【請求項7】
前記収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の体積の5倍以上である、請求項4~6
の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項8】
前記収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上である、請求項4~7の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項9】
前記湿式加熱調理用食品が、でんぷん性食品である、請求項1~8の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項10】
前記湿式加熱調理用食品が、穀類及び/又は穀類加工品である、請求項1~9の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項11】
前記湿式加熱調理用食品が、精米、玄米、大麦、及び/又は麺類である、請求項1~10の何れか一項に記載のフィルター包装食品。
【請求項12】
食品をフィルター体に包装したフィルター包装食品を、湿式加熱調理する、
食品の調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式加熱調理可能なフィルター体に包装された食品、及び食品の調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿式加熱調理とは、ゆでる、煮る、蒸す、炊飯等の、水を媒体として食品に熱を伝える操作をいう。水を媒体としているため、その加熱温度の最大値は原則100℃である。
【0003】
湿式加熱調理は、古来から現代に至るまで重宝されてきた調理法の一つであり、その対象となる食品は多岐に渡る。
例えば、特許文献1には、特定のたんぱく質の含有量が低減された湿式加熱調理小麦加工食品が記載されている。
また、特許文献2には、魚肉すり身、大豆たん白及び具材を混合成型した生地を、湿式加熱し、次に焼成することを特徴とする魚肉加工品の製造法が記載されている。
さらに、特許文献3には、小麦フスマの湿式加熱処理物を用いて肉製品の臭み低減技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-103611号公報
【特許文献2】特開2002-153243号公報
【特許文献3】特開2018-050568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、湿式加熱調理に供される食品は、通常、鍋や炊飯釜等の調理容器に直接投入され、加熱に供される。この場合、食品が調理容器に付着し、調理容器から剥がそうとしても綺麗に取り除くことができず、調理容器に食品が残ってしまうという問題が生じることがあった。また、食品が付着した調理容器は、洗浄に手間がかかるという問題があった。
さらに、湿式加熱調理に供される食品が精米である場合、炊飯の度に米の量を正確に測り取る手間があった。また、黒豆のような膨潤性食品の場合には、乾燥状態の黒豆から煮た後の黒豆の量、体積を把握することができず、予想外に多く煮過ぎてしまうことがあった。
【0006】
したがって、本発明は、簡便に湿式加熱調理に供することができる包装食品を提供することを課題とする。
【0007】
前記課題を解決する本発明は、
湿式加熱調理用食品と、
収容部を有するフィルター体と、を備え、
前記湿式加熱調理用食品が、前記収容部に内包されてなる、フィルター包装食品である。
本発明のフィルター包装食品は、フィルター体に内包されている食品を、フィルター体から取り出すことなく、そのまま湿式加熱調理に供することができる。
本発明のフィルター包装食品は、内包された湿式加熱調理用食品の調理容器への付着を防止することができる。
また、予め所定量の湿式加熱調理用食品を内包することができるため、計り取る手間が無く、予想外に多量の食品を調理してしまうことを防ぐことができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記フィルター体の素材が、生分解性繊維である。
フィルター体の素材を生分解性繊維とすることで、消費者は、安心して内包された食品を喫食することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記フィルター体が、前記収容部を開放するための切取部を有する。
切取部を有することで、湿式加熱調理後に容易に内包された食品を取り出すことができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記湿式加熱調理用食品が、湿式加熱調理の前後で固形状の食品である。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記湿式加熱調理用食品が、湿式加熱調理により膨張する食品である。
本発明の好ましい形態では、前記収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積よりも大きい。
湿式加熱調理用食品が、湿式加熱調理により膨張する食品の場合、膨張により、フィルター体が破れて食品が流出する恐れがある。本発明は、フィルター体の収容部の容積が、湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積よりも大きいよう設計することで、フィルター体から食品の流出することを防ぐことができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の体積の5倍以上である。
本発明の好ましい形態では、前記収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上である。
収容部の容積をこのように設計することで、湿式加熱調理中、又は湿式加熱調理後のフィルター体の破損を防ぐことができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記湿式加熱調理用食品がでんぷん性食品である。
本発明の好ましい形態では、前記湿式加熱調理用食品が、穀類及び/又は穀類加工品である。
本発明の好ましい形態では、前記湿式加熱調理用食品が、精米、玄米、大麦、及び/又は麺類である。
でんぷん性食品は、調理の過程で調理容器に付着しやすく、そのまま放置すると固化して洗浄に手間がかかる。
本発明のフィルター包装食品は、フィルター体に包装された状態で湿式加熱調理することができるため、調理容器への付着を防止することができる。
【0014】
また、前記課題を解決する本発明は、食品をフィルター体に包装したフィルター包装食品を、湿式加熱調理する、食品の調理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフィルター包装食品は、フィルター体から食品を取り出すことなく、そのまま湿式加熱調理に供することができる。フィルター包装食品は、任意の量の食品を含むことで、分量する必要がなく、簡便に食品を調理することができる。
また、食品が調理容器に付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】フィルター体に湿式加熱調理用食品を投入する様子を表す図面である。
【
図2】湿式加熱調理用食品を内包したフィルター体(フィルター包装食品)の図面である。
【
図3】フィルター包装食品を用いた湿式加熱調理の様子を表す図面である。
【
図4】切取部を有するフィルター包装食品の図面である。
【
図5】湿式加熱調理前後のフィルター包装食品を示す図面代用写真である。
【
図6】湿式加熱調理前後のフィルター包装食品を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るフィルター包装食品について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に本実施形態で使用されるフィルター体20及び湿式加熱調理用食品30を示す。また、
図2に、本実施形態に係るフィルター包装食品10を示す。
【0018】
フィルター体20は、湿式加熱調理用食品30を内包可能な収容部21を有する。
フィルター体20は、内包される湿式加熱調理用食品を外部に放出せず、かつ外部から水を通過可能に構成されている。
本実施形態において、フィルター体20の素材はポリ乳酸(生分解性繊維)である。
【0019】
フィルター体20の平面形状は、四角形である。そして、収容部21の容積は、湿式加熱食品30の体積に対して5倍以上、又は湿式加熱食品30の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上になるよう設計されている。
収容部21の容積は、大須賀弘著「食品包装用フィルム(日報出版発行)」に記載の数式、すなわち、以下の式(1)に基づいて算出した。
また、炊飯前の精米の体積は、1合(150g)で180mLであることが知られている。
【0020】
V=(0.33×S×b)―(0.11×a3)・・・式(1)
V:容積(cm3)
S:袋体の片面の表面積(cm2)
a:短径の長さ(cm)
b;長径の長さ(cm)
(b≧a)
【0021】
収容部21の容積を、湿式加熱食品30の体積に対して5倍以上、又は湿式加熱食品30の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上に設定することで、湿式加熱調理中、又は調理後に、フィルター体20が破けるのを防ぐことができる。
なお、湿式加熱調理食品30の湿式加熱調理後の体積は、従来知られている体積膨張率から計算すればよい。例えば、精米は炊飯後に体積が1.2倍になることが知られている。また、黒豆は、煮た後の体積が2.2倍になることが知られている。
また、湿式加熱調理食品30の湿式加熱調理後の体積は、実際に湿式加熱調理を行って湿式加熱調理後の体積を確認し、その結果に基づいてフィルター体20の容積を設計してもよい。
【0022】
本実施形態に係る湿式加熱調理用食品30は、精米である。
【0023】
ここで、湿式加熱調理とは、水を媒体として食品に熱を伝える調理法を意味し、茹でる、煮る、蒸す、及び炊く等の調理を意味する。
本願明細書において、湿式加熱調理には、茶葉から茶を抽出する操作及び出汁原料から出汁を抽出する操作等の対象物から抽出物を抽出することを主目的とする操作、並びに、乾燥出汁を水に溶解させる操作等の対象物を水に溶解させることを主目的とする操作を含まない。
【0024】
湿式加熱調理用食品30は、フィルター体20の開口部から収容部21に投入され、開口部は、常法によりシールされる。すなわち、収容部21は、シール部22により密閉される(
図2)。フィルター包装食品10の収容部には、所定量の湿式加熱調理用食品が内包されており、例えば半合、1合、及び2合等の精米を含む。
【0025】
次に、
図3を用いてフィルター包装食品10の使用例を説明する。
フィルター包装食品10は、収容部21に内包された湿式加熱調理用食品30を取り出すことなく、包装された状態で湿式加熱調理に供することができる。
具体的には、鍋Pにフィルター包装食品10を投入し、湿式加熱調理用食品30の種類、及びその量に応じた所定量の水Wを投入し、所定時間の湿式加熱調理を行う。
【0026】
本実施形態においては、湿式加熱調理後、精米は水を吸って膨潤し体積が増大するが、収容部21の容積を上述した範囲に設定することで、フィルター体20が破けることなく、米飯を炊き上げることができる。
湿式加熱調理後、フィルター包装食品を、皿や茶碗に載せ、フィルター体20を破くことで、湿式加熱調理用食品30を喫食することができる。
【0027】
本実施形態のフィルター包装食品10は、内包された湿式加熱調理用食品を取り出すことなく湿式加熱調理に供することができるため、計量の手間を省いて調理することができる。
また、調理中に湿式加熱調理用食品が終始フィルター体20に内包されているため、食品の鍋等の調理容器への付着を防止することができる。すなわち、調理容器の洗浄が簡便になるという利点を有する。
【0028】
次いで、
図4に、別の実施形態に係るフィルター包装食品10bを示す。
フィルター包装食品10bは、収容部21を開放するための切取部23を備える。具体的には、前記収容部21を構成するフィルター体の周縁部に、切取部23を備える。
切取部23は、切取部23から近端に係るフィルター体20の一部分と、切取部23から遠端に係るフィルター20の一部分とを完全に切り離すことができるよう構成されている。
なお、切取部23は、収容部21から湿式加熱調理食品を取り出すために、収容部21を開放するように構成されていればよく、完全に切り離すことができるよう構成されている必要はない。
本実施形態に係るフィルター包装食品10bは、切取部23を備えることにより、湿式加熱調理後に湿式加熱調理食品30を容易に取り出すことができる。
【0029】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るフィルター包装食品について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
本発明で使用する湿式加熱調理用食品は、精米に限定されず、湿式加熱調理に供される食品であればよい。湿式加熱調理用食品は、湿式加熱調理の前後で固形状の食品であることが好ましい。すなわち、加熱より液化、又は溶解しない食品であることが好ましい。
また、湿式加熱調理用食品は、好ましくは湿式加熱調理後も有形である。
【0031】
湿式加熱調理用食品は、湿式加熱調理により膨張する食品であることが好ましく、湿式加熱調理により膨潤する食品であることがより好ましい。
このような食品としては、玄米、精米、大麦、小麦、アワ、キビ、ヒエ、及びトウモロコシ等のイネ科の食品、生麺、乾麺、ロングパスタ、ショートパスタ等の麺類等の小麦加工食品、大豆、黒豆、えんどう豆、及び小豆等のマメ科の食品等が例示できる。
また、このような食品としては、でんぷん性食品であることが好ましい。
でんぷん性食品は、湿式加熱調理により糊化して、調理容器に付着することがある。調理容器に付着したまま放置すると、でんぷん性食品は固化し、調理容器の洗浄が手間であるという問題があった。
本発明のフィルター包装食品によれば、でんぷん性食品はフィルター体に内包されているため、でんぷん性食品が直接調理容器に付着することがなく、調理容器の洗浄の手間が軽減される。
【0032】
本発明における食品としては、粉末食品を含まないことが好ましい。このような食品は、そのままで、あるいは湿式加熱により水に溶解、分散し、フィルターから浸出するため、本発明の目的の一つに合致しない。
粉末食品としては、粒径が1mm以下のものが例示できる。
粉末食品としては、具体的には小麦粉、米粉等が例示できる。
【0033】
湿式加熱調理用食品は、好ましくは長径が1mm超であり、より好ましくは1.3mm以上であり、さらに好ましくは1.5mm以上であり、特に好ましくは1.8mm以上である。
また、湿式加熱調理用食品は、フィルター体の目開きよりも大きい長径を有することが好ましい。言い換えれば、フィルター体の目開きは、湿式加熱調理用食品の長径よりも小さいことが好ましい。
【0034】
収容部に内包される湿式加熱調理用食品は、2種以上であってもよい。例えば、米と大麦の両方を含んでも良い。
【0035】
本発明に使用するフィルター体の素材は、生分解性繊維に限定されず、一般的にフィルターとして用いることができる素材であればよい。例えば、紙、不織布、ナイロン紗、ポリエステル紗等を用いてよいが、フィルター体の素材としては生分解性繊維が好ましい。
生分解性繊維としては、天然資源由来の生分解性繊維、石油資源由来の生分解性繊維の何れも用いることができる。
天然資源由来の生分解性繊維としては、ポリ乳酸、微生物産生ポリエステル等が例示できる。
石油資源由来の生分解性繊維としては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、芳香族導入ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等が例示できる。
【0036】
本発明に使用するフィルターは、天然資源由来の生分解性繊維を素材とするものが好ましい。
このようなフィルターを用いることで、消費者は安心して内包された食品を喫食することができる。
【0037】
また、本発明のフィルター包装食品は、湿式加熱調理を行うことを前提としているため、融点が100℃超の素材からなるフィルターを用いることが好ましい。このようなフィルターの素材としては、ポリ乳酸が例示できる。
【0038】
フィルターの形状は、平面形状が四角形の袋型に限定されず、四角錐型であってもよい。
【0039】
収容部の容積は、湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積よりも大きいことが好ましい。
収容部の容積は、上記式(1)を用いて算出される容積が、湿式加熱調理食品の5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることがさらに好ましく、6.5倍以上であることがさらに好ましく、7倍以上であることがさらに好ましく、7.3倍以上であることが特に好ましい。
また、収容部の容積は、湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、5.5倍以上であることがさらに好ましく、6倍以上であることがさらに好ましく、6.2倍以上であることが特に好ましい。
収容部の容積を上記範囲に設計することで、湿式加熱調理によりフィルター体が破けることを防ぐことができる。上記容積の範囲は、湿式加熱調理食品が湿式加熱調理により膨潤する食品であるとき、特に好ましい。
【0040】
湿式加熱調理は、上述の通り水を媒体とする加熱調理法であるが、水には、調味料との添加物が含まれていてもよい。
調味料としては、塩、砂糖、味噌、醤油、みりん、酒、及び酢等が例示できる。
本発明の食品の調理方法は、例えば調味液にフィルター包装食品を投入し、加熱してもよい。
【0041】
本発明の食品の調理方法は、水にフィルター包装食品を投入してもよく、沸騰した水にフィルター包装食品を投入してもよい。
【0042】
本発明の食品の調理方法は、水の使用量は特に限定されない。例えば、精米を炊飯する場合には、米の量に対して適切な量な水を添加して炊飯すればよい。また、水の量を増やして、精米からおかゆに調理してもよい。
【実施例0043】
(試験例1)
生分解性繊維(ポリ乳酸)を用いて、収容部を有する平面形状が長方形のフィルター体を作製した。収容部に、それぞれ精米を37.5g、50g、及び75g投入し、収容部の開放口をシールし、フィルター包装食品を作製した。フィルター体の収容部の径は何れも縦9.8cm、横13cmとした。なお、収容部の縦の径(短辺の径)はシール部から遠端までの長さである。精米の体積、及びフィルター体の容積、フィルター体の容積と精米の体積の比率を表1にまとめた。フィルター体の容積は、上記式(1)を用いて算出した。炊飯後の米飯の体積は、炊飯後の米飯の体積増加率(膨潤率)は、一般的に炊飯前の精米の1.2倍であることに基づき算出した。
【0044】
【0045】
このフィルター包装食品を鍋に入れ、次いで、それぞれの米の重量に対して適切な量の水を入れ、鍋に蓋をして所定時間加熱を行った。
加熱後、フィルター包装食品を鍋から取り出し、フィルター体の破れの有無を確認した。
結果を
図5に示す。
【0046】
図5に示す通り、例1については、湿式加熱調理後にフィルター体が破けてしまったのに対し、例2及び例3はフィルター体が破けずに、米飯が収容部に内包された状態であった。
以上の結果から、フィルター体の容積が、湿式加熱調理用食品の体積の少なくとも5倍以上であるか、フィルター体の容積が、湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上であれば、フィルター体が破れずに、湿式加熱調理を行うことができることがわかった。
【0047】
(試験例2)
分解性繊維(ポリ乳酸)を用いて、それぞれ大きさが異なる収容部を有する平面形状が長方形のフィルター体を作製した。これらのフィルター体に、精米を50g入れ、試験例1と同一の方法により加熱を行った。
精米の体積、及びフィルター体の容積、フィルター体の容積と精米の体積の比率を表2にまとめた。なお、比較のため、試験例1の例2を表2に掲載する。結果を
図6に示す。
【0048】
【0049】
図6に示す通り、例4,及び例5は、湿式加熱調理後にフィルター体が破れてしまった。
試験例1及び試験例2の結果から、例1については、湿式加熱調理後にフィルター体が破けてしまったのに対し、例2及び例3はフィルター体が破けずに、米飯が収容部に内包された状態であった。
以上の結果から、フィルター体の容積が、湿式加熱調理用食品の体積の少なくとも5倍以上であるか、フィルター体の容積が、湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積の4.5倍以上であれば、フィルター体が破れずに、湿式加熱調理を行うことができることがわかった。
なお、例1,例4,及び例5は、フィルター体が破れたものの、米飯がフィルター体の収容部の外部に流出してはいなかった。
したがって、収容部の容積が、前記湿式加熱調理用食品の湿式加熱調理後の体積よりも大きければ、内包された湿式加熱調理用食品の外への流失は抑制することができると考えられる。