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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065164
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】光学的情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230502BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 372
G06F3/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175815
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】神戸 和美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 滉
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020DD02
5B020FF16
(57)【要約】
【課題】押圧センサを利用する場合でも操作面に対する短押し操作及び長押し操作を正確に判定可能な構成を提供する。
【解決手段】操作面34に触っていない状態で押圧センサ45aから出力される電圧を基準電圧Voとするとき、押圧センサ45aの出力電圧Vが、第1閾値Vth1を超える場合に押圧操作開始と判定し、押圧操作開始との判定後の押圧センサ45aの出力電圧Vが、第2閾値Vth2未満になる場合か基準電圧Voとの差が第3閾値Vth3以下となる状態が所定時間T1継続する場合に押圧操作終了と判定する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置であって、
読取口が設けられる筐体と、
前記読取口を介して前記情報コードを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記情報コードを解読する解読部と、
使用者が触る操作面の変形量に応じた電圧が出力される押圧センサを有する操作部と、
前記操作面への押圧操作に応じた処理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記操作面に触っていない状態で前記押圧センサから出力される電圧を基準電圧とするとき、前記押圧センサの出力値が、第1閾値を超える場合に押圧操作開始と判定し、前記押圧操作開始との判定後の前記押圧センサの出力値が、第2閾値未満になる場合か前記基準電圧との差が第3閾値以下となる状態が所定時間継続する場合に押圧操作終了と判定し、
前記第3閾値は、前記操作面に触ったままの状態にて前記押圧センサから出力される電圧と前記基準電圧との差に対して大きくなる時間帯と小さくなる時間帯とが交互に生じるように設定されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記第3閾値との比較対象となる前記押圧センサの出力値の増幅率は、前記第2閾値との比較対象となる前記押圧センサの出力値の増幅率よりも高く設定されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記押圧操作開始と判定される前の前記押圧センサの出力値が第4閾値を超えて増加した後に前記第1閾値を超えることなく減少する電圧変化のピークとなる出力値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部と、
前記ピーク電圧値検出部により前記ピーク電圧値が検出されると、当該ピーク電圧値に近づけるように前記第1閾値を小さく設定する閾値設定部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記押圧操作開始と判定されてから前記押圧操作終了と判定されるまでの時間に応じて、前記操作面への押圧操作に応じた処理を切り替えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記制御部によって制御されることで外部機器との無線通信処理を行う無線通信部を備え、
前記制御部は、無線通信処理中に前記押圧操作開始と判定されてから前記押圧操作終了と判定されるまでの時間が一定時間以上になると、前記無線通信処理を終了することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記押圧操作開始と判定されることで撮像を開始させるように前記撮像部を制御し、前記押圧操作終了と判定されることで撮像を終了させるように前記撮像部を制御することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード等の光学的情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ウイルス感染への懸念が高まり、医療業界だけでなく、幅広い分野で情報機器のアルコール消毒が行われている。バーコードリーダなどの光学的情報読取装置の操作スイッチにおいても、従来品のトリガスイッチのような凹凸がなく、拭きやすい、シームレス且つフラットな形状が求められている。このため、タクトスイッチのような接点式のON/OFFするスイッチを無くし、ケースに設けられる操作面の変位を検知してON/OFFするセンサ、具体的には、圧電素子を用いた押圧センサを用いることができる。
【0003】
圧電素子は変位量に応じて電荷が発生し、発生した電荷は電極を通じて負荷に流れ込み、電圧として取出すことができる。しかし、電荷は変位の変化量に応じて発生し、変位量が変化していない状態では電荷は発生せず、変位した状態が保持されると、新たに電荷は発生しないため、電圧は基準電圧に収束してしまう。このことから、圧電素子を用いた押圧センサは、変位に応じたON/OFFの検知は容易にできるが、物理スイッチや静電センサのように、変位を保持している状態、すなわち、長押し操作した状態を検知するのが困難である。
【0004】
このため、下記特許文献1に開示される押圧センサでは、押圧操作を受け付けたと判定した時点から所定時間の経過後に、押圧操作を終了したか否かを判定するための閾値が、上記所定時間の経過前より小さく設定される。これにより、跳ね返りに起因する誤検知等を抑制するように、長押し操作した状態を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再表2019/069786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される構成では、圧電素子の種類ごとに閾値等の設定パラメータを見直す必要があるだけでなく、圧電素子への押圧をゆっくり緩和した場合(ゆっくり指を離した場合)や、長押し操作中に押圧を強くした場合に対応できない可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、押圧センサを利用する場合でも操作面に対する短押し操作及び長押し操作を正確に判定可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
情報コード(C)を光学的に読み取る光学的情報読取装置(10)であって、
読取口(21)が設けられる筐体(11)と、
前記読取口を介して前記情報コードを撮像する撮像部(43)と、
前記撮像部により撮像された前記情報コードを解読する解読部(41)と、
使用者が触る操作面(34)の変形量に応じた電圧が出力される押圧センサ(45a)を有する操作部(45)と、
前記操作面への押圧操作に応じた処理を行う制御部(41)と、
を備え、
前記制御部は、前記操作面に触っていない状態で前記押圧センサから出力される電圧を基準電圧(Vo)とするとき、前記押圧センサの出力値(V)が、第1閾値(Vth1)を超える場合に押圧操作開始と判定し、前記押圧操作開始との判定後の前記押圧センサの出力値が、第2閾値(Vth2)未満になる場合か前記基準電圧との差が第3閾値(Vth3)以下となる状態が所定時間(T1)継続する場合に押圧操作終了と判定し、
前記第3閾値は、前記操作面に触ったままの状態にて前記押圧センサから出力される電圧と前記基準電圧との差に対して大きくなる時間帯と小さくなる時間帯とが交互に生じるように設定されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、使用者が触る操作面の変形量に応じた電圧が出力される押圧センサを有する操作部が設けられる。そして、操作面への押圧操作に応じた処理を行う制御部は、操作面に触っていない状態で押圧センサから出力される電圧を基準電圧とするとき、押圧センサの出力値が、第1閾値を超える場合に押圧操作開始と判定し、押圧操作開始との判定後の押圧センサの出力値が、第2閾値未満になる場合か基準電圧との差が第3閾値以下となる状態が所定時間継続する場合に押圧操作終了と判定する。上記第3閾値は、操作面に触ったままの状態にて押圧センサから出力される電圧と基準電圧との差に対して大きくなる時間帯と小さくなる時間帯とが交互に生じるように設定される。
【0010】
これにより、操作面に触った指をすぐに離す短押し操作や操作面に触った状態を一定時間保持する長押し操作がなされる場合には、押圧操作開始との判定後の押圧センサの出力値が第2閾値未満になることで、押圧操作終了と判定される。一方、ゆっくり指を離すようにして長押し操作を解除したために、押圧センサの出力値が第2閾値未満にならない場合でも、長押し操作解除後には押圧センサの出力値が基準電圧に収束するので、基準電圧との差が第3閾値以下となる状態が所定時間継続することで、押圧操作終了と判定される。また、長押し操作中では、押圧センサの出力値が微小な電圧レベルの振動となることから、押圧センサの出力値と基準電圧との差が断続的に第3閾値を超えるため、押圧操作終了と誤判定されることもない。したがって、押圧センサを利用する場合でも操作面に対する短押し操作及び長押し操作を正確に判定することができる。
【0011】
請求項2の発明では、第3閾値との比較対象となる押圧センサの出力値の増幅率は、第2閾値との比較対象となる押圧センサの出力値の増幅率よりも高く設定される。
【0012】
第2閾値と比較すべき押圧センサの出力値は、押圧解除時にすぐに指を離すことで得られるために、比較的大きな値となる一方で、第3閾値と比較すべき押圧センサの出力値は微小な電圧レベルの振動となるために、比較的小さな値となる。このため、第3閾値との比較対象となる押圧センサの出力値の増幅率を第2閾値との比較対象となる押圧センサの出力値の増幅率よりも高く設定することで、第3閾値を利用した判定に関して微小信号をより拾い易くなるので、その判定精度を高めることができる。
【0013】
請求項3の発明では、押圧操作開始と判定される前の押圧センサの出力値が第4閾値を超えて増加した後に第1閾値を超えることなく減少する電圧変化のピークとなる出力値がピーク電圧値としてピーク電圧値検出部により検出されると、当該ピーク電圧値に近づけるように第1閾値が閾値設定部により小さく設定される。
【0014】
誤反応を抑制するために第1閾値を比較的大きく設定すると、押圧操作時に押圧センサに対して作用する応力(押圧)が比較的小さくなりやすい使用者では、押圧センサの出力値が第1閾値を超えないために、押圧操作開始と判定されない場合がある。このため、ピーク電圧値が検出される場合、すなわち、押圧が弱いために押圧操作開始と判定されない場合には、自動的に第1閾値が小さく設定されるので、押圧が弱い使用者であっても確実に押圧操作することができる。
【0015】
請求項4の発明では、制御部は、押圧操作開始と判定されてから押圧操作終了と判定されるまでの時間に応じて、操作面への押圧操作に応じた処理を切り替える。これにより、例えば、短押し操作時には撮像処理及び解読処理を行い、長押し操作時にはデータ送信処理を行うなど、短押し操作と長押し操作とでその押圧操作に応じた処理を切り替えることができる。
【0016】
請求項5の発明のように、無線通信処理中に押圧操作開始と判定されてから押圧操作終了と判定されるまでの時間が一定時間以上になると、無線通信処理を終了するようにしてもよい。
【0017】
請求項6の発明では、制御部は、押圧操作開始と判定されることで撮像を開始させるように撮像部を制御し、押圧操作終了と判定されることで撮像を終了させるように撮像部を制御する。これにより、短押し操作及び長押し操作のいずれにて押圧操作される場合でも、撮像部による撮像処理を実行できるだけでなく、押圧操作時間を長くするほど撮像時間も長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置を示す斜視図である。
図2図1の光学的情報読取装置の正面図である。
図3図1の光学的情報読取装置の側面図である。
図4図1の光学的情報読取装置の底面図である。
図5】光学的情報読取装置の電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
図6】押圧センサの配置構成を説明する一部拡大断面図である。
図7図7(A)は、押圧操作がなされていない操作面の状態を説明する説明図であり、図7(B)は、押圧操作がなされた操作面の状態を説明する説明図である。
図8】操作面の変形例を説明する説明図である。
図9図9(A)は、短押し操作時での出力電圧の変化を説明する説明図であり、図9(B)は、長押し操作解除時に普通に指を離した場合の出力電圧の変化を説明する説明図であり、図9(C)は、長押し操作解除時にゆっくり指を離した場合の出力電圧の変化を説明する説明図である。
図10】第1実施形態において第3閾値と長押し操作解除時にゆっくり指を離した場合の出力電圧の変化との関係を説明する説明図である。
図11】第1実施形態において制御部にてなされる押圧操作検知処理の流れを例示するフローチャートである。
図12】第1実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を概略的に示すブロック図である。
図13】第2実施形態において自動で変更される第1閾値と出力電圧の変化との関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、情報コード(例えば、バーコードやQRコード(登録商標))などの光学的情報を光学的に読み取る携帯型の読取装置として構成されている。
【0020】
図1図4に示すように、光学的情報読取装置10の外郭を構成する筐体11は、読取口21が形成される上ケース20と使用者によって把持される把持部31が形成される下ケース30とを組み付けることで、各種電子部品を収容する収容空間を形成するように構成される。上ケース20には、読取口21を情報コードに向けやすくするために、読取口21が向く方向(以下、前方又は前方向ともいう)にガイド22が延出するように設けられている。このガイド22の上面は、上ケース20と下ケース30との組み合わせ面に対して略平行になっている。
【0021】
下ケース30は、ガイド22などの上ケース20の下方に組み付けられる組付部32と、下ケース30の組付部32よりも下方部位を構成する把持部31とが一体となるように形成されている。把持部31は、拭き取り消毒を容易に実施できるようにするため、外面に溝等がないように形成され、組付部32との連結部分も滑らかに湾曲するように形成されている。
【0022】
把持部31には、ガイド22の下方となる位置であって、把持部31を把持した状態の指で触れることが可能な位置にて、前方に向けて滑らかに突出するように操作台座33が設けられる。この操作台座33は、前方に位置する平坦状の面が、情報コードを読み取る読取処理を開始する際に押圧操作されることで歪む操作面34として機能するように構成されている。具体的には、操作台座33は、操作面34を歪みやすくするため、操作面34を構成する部位の下ケース30の厚さ(肉厚)tが他の部位を構成する下ケース30の厚さよりも薄くなるように形成される。例えば、他の部位を構成する下ケース30の厚さが1.5~2mm程度に形成される場合には、操作面34を構成する部位の下ケース30の厚さt(図7(A)参照)は、0.7~1.5mm程度に形成される。
【0023】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について、図面を参照して説明する。
図5に示すように、光学的情報読取装置10は、CPU等からなる制御部41、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部42、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部43、撮像部43の撮像視野に向けて照明光を照射する照明部44、操作部45、LED等からなる発光部46、使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ47、ビープ音やアラーム音などのブザー音を放音可能なブザー48、クレードル等の載置台や管理サーバ等の上位端末などの外部機器と無線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部49、などを備えている。これらの各種電子部品の少なくとも一部は、筐体11の上ケース20及び下ケース30によって構成される収容空間に収容されている。例えば、撮像部43が読取口21を介した前方を撮像範囲とし、照明部44が読取口21を介して撮像視野に向けて照明光を照射するように、撮像部43及び照明部44が上ケース20に収容されている。
【0024】
操作部45は、使用者が触る操作面34の変形量に応じた電圧が出力される圧電素子を用いたセンサとして押圧センサ45aを有するように構成されている。押圧センサ45aは、図6に示すように、操作面34に対して把持部31の内面側となる位置にて、支持板35によって支持(挟持)された状態で配置されおり、操作面34の変形量に応じた電圧を制御部41に出力するように構成されている。
【0025】
具体的には、例えば、図7(A)に示すように、使用者が操作面34を触っていない場合には、押圧センサ45aから一定の電圧(以下、基準電圧Voともいう)が制御部41に出力される。そして、図7(B)に示すように、使用者が操作面34を押圧力Fにて押圧する場合には、その押圧力Fによって生じる変形量に応じた電圧が制御部41に出力される。なお、図8に例示するように、中央部34bが外周部34cに対して外方に突出するように形成される操作面34aを操作面34に代えて採用してもよい。なお、図7及び図8では、便宜上、押圧センサ45aを除き、把持部31の内面側に収容される部品の図示を省略している。
【0026】
制御部41は、操作部45の押圧センサ45aから入力される電圧に応じて操作面34への押圧操作が検知される場合に、その押圧操作に応じた処理を行う。具体的には、例えば、本実施形態では、制御部41は、押圧操作が検知されると、撮像部43によって撮像された情報コードC(図5参照)の撮像画像を利用した読取処理を開始し、この読取処理にて情報コードCに記録されたデータを所定の解読方法で解読する解読部として機能する。このような読取処理にて取得された読取結果等は、制御部41によって通信部49が制御されることでなされる無線通信処理中に、所定のタイミングにて通信部49を介して外部機器に無線送信される。なお、通信部49は、制御部41によって制御されることで外部機器との無線通信処理を行う「無線通信部」の一例に相当し得る。
【0027】
次に、操作部45の押圧センサ45aから出力される電圧に応じて押圧操作を検知するために制御部41にてなされる押圧操作検知処理について、図面を参照して詳述する。
押圧操作をするために使用者の指が操作面34に触れると、その押圧に応じて操作面34が変形するために押圧センサ45aからの出力値(以下、出力電圧Vともいう)が基準電圧Voよりも高くなるように変化する。その後、使用者の指が操作面34から離れると、その離す動作によって出力電圧Vが基準電圧Voよりも低くなる。
【0028】
操作面34に触った指をすぐに離す短押し操作や、操作面34に触った状態を一定時間保持する長押し操作のそれぞれで、上述のような電圧変化が生じる。
【0029】
このため、短押し操作時での押圧操作検知処理では、図9(A)に示すように、出力電圧Vが基準電圧Voよりも高く設定される第1閾値Vth1を超える場合に、押圧操作開始と判定し、その判定後に出力電圧Vが基準電圧Voよりも低く設定される第2閾値Vth2未満になる場合に、押圧操作終了と判定することができる。本実施形態では、このように押圧操作終了と判定されることで、上述した読取処理が開始される。
【0030】
同様に、長押し操作時での押圧操作検知処理では、図9(B)に示すように、出力電圧Vが第1閾値Vth1を超える場合に、押圧操作開始と判定することができる。その判定後、操作面34に触った状態が継続される間では、出力電圧Vは第2閾値Vth2未満にならずに振動し、操作面34から指が離れたために出力電圧Vが第2閾値Vth2未満になることで、押圧操作終了と判定することができる。
【0031】
その一方で、長押し操作している指を操作面34からゆっくり離した場合には、図9(B)の場合と異なり、図9(C)に示すように、出力電圧Vが第2閾値Vth2未満にならないために、押圧操作終了と判定されない場合がある。このような場合には、押圧操作開始と判定されているにもかかわらず、押圧操作終了と判定されないために、読取処理が開始されないという問題がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、操作面34に触っていない状態で押圧センサ45aから出力される電圧である基準電圧Voを基準に、操作面34に触ったままの状態にて押圧センサ45aから出力される出力電圧Vと基準電圧Voとの差に対して大きくなる時間帯と小さくなる時間帯とが交互に生じるように設定される第3閾値Vth3を用意する。具体的には、図10に示すように、操作面34に触ったままの状態にて押圧センサ45aから出力される出力電圧Vの出力波形における振幅の平均値よりも小さくなるように設定される第3閾値Vth3を用意する。そして、押圧操作開始と判定された後に、出力電圧Vと基準電圧Voとの差が第3閾値Vth3以下となる状態が所定時間T1継続する場合に押圧操作終了と判定する。
【0033】
以下、本実施形態において制御部41にてなされる押圧操作検知処理について、図11に示すフローチャートを参照して詳述する。
制御部41にて押圧操作検知処理が開始されると、押圧センサ45aから出力される出力電圧Vが取得されて(図11のS101)、ステップS103の判定処理にて、出力電圧Vが第1閾値Vth1を超えているか否かについて判定される。ここで、使用者が指で操作面34を押圧しているために出力電圧Vが第1閾値Vth1を超えると、ステップS103にてYesと判定されて、押圧操作開始と判定される(S105)。
【0034】
押圧操作開始と判定された後、ステップS107に示す電圧値取得処理がなされて、引き続き押圧センサ45aから出力される出力電圧Vが取得される。続いて、ステップS109の判定処理にて、出力電圧Vが第2閾値Vth2未満であるか否かについて判定される。ここで、使用者が操作面34から指を離していないために出力電圧Vが第2閾値Vth2未満にならない場合には(S109でNo)、ステップS111の判定処理にて、出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が第3閾値Vth3以下であるか否かについて判定され、出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が第3閾値Vth3以下でない場合には(S111でNo)、上記ステップS107からの処理が繰り返される。
【0035】
このような繰り返し処理中に、使用者が操作面34から指を離したことで出力電圧Vが第2閾値Vth2未満になると(S109でYes)、押圧操作終了と判定されて(S117)、本押圧操作検知処理が終了する。
【0036】
また、上記繰り返し処理中に、操作面34に触ったままの状態であることから、出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が第3閾値Vth3以下になると(S111でYes)、ステップS113に示す計時処理がなされる。この処理では、出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が継続して第3閾値Vth3以下となっている時間Tを計時するための処理がなされる。そして、この計時された時間Tが所定時間T1未満である場合(出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が第3閾値Vth3以下となっている状態が上記所定時間T1継続していない場合)には(S115でNo)、上記ステップS107からの処理が繰り返され、再び出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が第3閾値Vth3以下でなくなると、次の計時処理では、時間Tの計時がクリアされた後に改めて0から開始される(S113)。
【0037】
その後、ステップS113にて計時される時間Tが所定時間T1以上になると(出力電圧Vと基準電圧Voとの差の絶対値が第3閾値Vth3以下となっている状態が上記所定時間T1継続すると)、使用者がゆっくり指を離すようにして長押し操作を解除したとして、押圧操作終了と判定されて(S117)、本押圧操作検知処理が終了する。
【0038】
すなわち、本実施形態において制御部41にてなされる押圧操作検知処理では、操作面34に触っていない状態で押圧センサ45aから出力される電圧を基準電圧Voとするとき、押圧センサ45aの出力電圧Vが、第1閾値Vth1を超える場合に押圧操作開始と判定し、押圧操作開始との判定後の押圧センサ45aの出力電圧Vが、第2閾値Vth2未満になる場合か基準電圧Voとの差が第3閾値Vth3以下となる状態が所定時間T1継続する場合に押圧操作終了と判定する。
【0039】
これにより、操作面34に触った指をすぐに離す短押し操作や操作面34に触った状態を一定時間保持する長押し操作がなされる場合には、押圧操作開始との判定後の押圧センサ45aの出力電圧Vが第2閾値Vth2未満になることで、押圧操作終了と判定される。一方、ゆっくり指を離すようにして長押し操作を解除したために、押圧センサ45aの出力電圧Vが第2閾値Vth2未満にならない場合でも、長押し操作解除後には押圧センサ45aの出力電圧Vが基準電圧Voに収束するので、基準電圧Voとの差が第3閾値Vth3以下となる状態が所定時間継続することで、押圧操作終了と判定される。また、長押し操作中では、押圧センサ45aの出力電圧Vが微小な電圧レベルの振動となることから、押圧センサ45aの出力電圧Vと基準電圧Voとの差が断続的に第3閾値Vth3を超えるため、押圧操作終了と誤判定されることもない。したがって、押圧センサ45aを利用する場合でも操作面34に対する短押し操作及び長押し操作を正確に判定することができる。
【0040】
なお、本実施形態の変形例として、第3閾値Vth3との比較対象となる押圧センサ45aの出力電圧Vの増幅率は、第2閾値Vth2との比較対象となる押圧センサ45aの出力電圧Vの増幅率よりも高く設定されてもよい。その際、第2閾値Vth2との比較対象となる押圧センサ45aの出力電圧Vを、増幅しなくてもよいし、第3閾値Vth3の場合よりも低くなるように増幅してもよい。
【0041】
具体的には、図12に例示するように、第2閾値Vth2と押圧センサ45aの出力電圧Vとの比較結果を利用して押圧操作終了を判定する第1判定部41aと第3閾値Vth3と押圧センサ45aの出力電圧Vとの比較結果を利用して押圧操作終了を判定する第2判定部41bとを制御部41に設ける。そして、押圧センサ45aの出力電圧Vを増幅して第2判定部41bに入力するための増幅部41cを設ける。
【0042】
第2閾値Vth2と比較すべき押圧センサ45aの出力電圧Vは、押圧解除時にすぐに指を離すことで得られるために、比較的大きな値となる一方で、第3閾値Vth3と比較すべき押圧センサ45aの出力電圧Vは微小な電圧レベルの振動となるために、比較的小さな値となる。このため、第3閾値Vth3との比較対象となる押圧センサ45aの出力電圧Vの増幅率を第2閾値Vth2との比較対象となる押圧センサ45aの出力電圧Vの増幅率よりも高く設定することで、第3閾値Vth3を利用した判定に関して微小信号をより拾い易くなるので、例えば、比較的小さな押圧力で押圧操作しても長押しと判定でき、その判定精度を高めることができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、使用者に応じて第1閾値Vth1を自動で変更する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
誤反応を抑制するために第1閾値Vth1を比較的大きく設定すると、押圧操作時に押圧センサ45aに対して作用する応力(押圧)が比較的小さくなりやすい使用者では、押圧センサ45aの出力電圧Vが第1閾値Vth1を超えないために、押圧操作開始と判定されない場合がある。この問題は、長押し操作だけでなく、短押し操作でも生じるものである。
【0045】
そこで、本実施形態では、第1閾値Vth1に対して十分に小さく、かつ、操作面34にかるく触れるだけで押圧センサ45aの出力電圧Vが確実に超えるように設定される第4閾値Vth4を用意する。そして、制御部41にてなされる押圧操作検知処理では、押圧操作開始と判定される前の押圧センサ45aの出力電圧Vが第4閾値Vth4を超えて増加した後に第1閾値Vth1を超えることなく減少する電圧変化のピークとなる出力電圧Vがピーク電圧値Vpとして検出される。そして、このように検出されたピーク電圧値Vpに近づけるように第1閾値Vth1が小さく設定される。
【0046】
具体的には、例えば、図13に例示するように、押圧操作開始と判定される前の押圧センサ45aの出力電圧Vが、第4閾値Vth4を超えて増加した後に第1閾値Vth1を超えない状態が所定時間T2継続した場合に、その間での出力電圧Vのピーク値がピーク電圧値Vpとして検出される。そして、このように検出されたピーク電圧値Vpよりも所定値だけ小さくなるように第1閾値Vth1が小さく設定される(図13の符号Vth1a参照)。
【0047】
これにより、ピーク電圧値Vpが検出される場合、すなわち、押圧が弱いために押圧操作開始と判定されない場合には、自動的に第1閾値Vth1が小さく設定されるので、押圧が弱い使用者であっても確実に押圧操作することができる。
【0048】
なお、ピーク電圧値Vpが検出されると、このピーク電圧値Vpよりも所定値だけ小さくなるように第1閾値Vth1が小さく設定されることに限らず、ピーク電圧値Vpに一致するように第1閾値Vth1が小さく設定されてもよい。また、ピーク電圧値Vpと変更前の第1閾値Vth1との差に応じて、例えば両者の中間値となるように第1閾値Vth1が小さく設定されてもよいし、第1閾値Vth1が単に所定値だけ小さくなるように設定されてもよい。なお、ピーク電圧値Vpを検出するための処理を行う制御部41は、「ピーク電圧値検出部」の一例に相当し、ピーク電圧値Vpに近づけるように第1閾値Vth1を小さく設定するための処理を行う制御部41は、「閾値設定部」の一例に相当し得る。
【0049】
本実施形態の変形例として、上述したように使用者に応じて第1閾値Vth1を小さくするように自動で変更することに加えて、使用者に応じて第1閾値Vth1を大きくするように自動で変更してもよい。具体的には、押圧操作開始と判定された際の電圧変化のピークとなる出力電圧Vが第1閾値Vth1を大きく超える場合に、ピークとなる出力電圧Vと変更前の第1閾値Vth1との差に応じて、例えば両者の中間値となるように第1閾値Vth1が大きく設定されてもよいし、第1閾値Vth1が単に所定値だけ大きくなるように設定されてもよい。
【0050】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、押圧操作開始と判定されてから押圧操作終了と判定されるまでの時間に応じて、操作面34への押圧操作に応じた処理を切り替える点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
上述した押圧操作検知処理での押圧操作開始との判定(S105)から押圧操作終了との判定(S117)までの時間(以下、押圧操作時間ともいう)は、操作面34を押圧操作している時間にほぼ等しくなる。このため、押圧操作時間が予め設定された一定時間(例えば、1s)未満となる場合に短押し操作されたと判定し、押圧操作時間が上記一定時間以上となる場合に長押し操作されたと判定することができる。
【0052】
そこで、本実施形態では、上記押圧操作検知処理時に上述のように算出された押圧操作時間に基づいて短押し操作及び長押し操作のいずれの操作状態であるかを判定して、このように判定された操作状態に応じて、制御部41にてなされる処理を切り替える。
【0053】
具体的には、例えば、短押し操作と判定された場合には、撮像処理及び解読処理を行い、長押し操作と判定された場合にはデータ送信処理を行うことができる。
【0054】
また、例えば、押圧操作開始との判定にともなって無線通信処理が開始され、この無線通信処理中に上記押圧操作検知処理にて算出される押圧操作時間(押圧操作開始と判定されてから押圧操作終了と判定されるまでの時間)が一定時間未満であると無線通信処理を継続し、この押圧操作時間が上記一定時間以上になると、無線通信処理を終了するようにしてもよい。すなわち、長押し操作と判定された場合に無線通信処理を終了するようにしてもよい。
【0055】
このように、本実施形態では、短押し操作と長押し操作とでその押圧操作に応じた処理を切り替えることができる。
【0056】
また、制御部41は、上記押圧操作検知処理時に、押圧操作開始と判定されることで(S105)、撮像を開始させるように撮像部43を制御し、押圧操作終了と判定されることで(S117)、撮像を終了させるように撮像部43を制御してもよい。これにより、短押し操作及び長押し操作のいずれにて押圧操作される場合でも、撮像部43による撮像処理を実行できるだけでなく、押圧操作時間を長くするほど撮像時間も長くすることができる。このように押圧操作時間が長くなることで撮像時間が長くなる場合には、撮像された情報コードの解読処理回数が増えるので、情報コードの読取成功率を高めることができる。
【0057】
また、制御部41は、押圧操作終了と判定された際に、発光部46の発光状態やバイブレータ47の振動状態、ブザー48の鳴動状態の少なくともいずれかを制御することで、使用者に対して押圧操作終了と判定された状態であることを報知してもよい。同様に、制御部41は、押圧操作開始と判定された際に、発光部46の発光状態やバイブレータ47の振動状態、ブザー48の鳴動状態の少なくともいずれかを制御することで、使用者に対して押圧操作開始と判定された状態であることを報知してもよい。
【0058】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記押圧操作検知処理にて利用される各閾値Vth1,Vth2,Vth3や、所定時間T1,T2等は、使用者による所定の操作に応じて変更されてもよい。例えば、第1閾値Vth1を所定値だけ増加させる指示情報が記録される情報コードを光学的情報読取装置10に読み取らせることで、その光学的情報読取装置10にて利用される第1閾値Vth1を上記所定値だけ増加させることができる。また、第1閾値Vth1を所定値だけ増加させる指示情報は、光学的情報読取装置10の設定を変更可能な設定ツールを利用して光学的情報読取装置10に送信してもよい。
【0059】
(2)本発明は、読取処理にて取得された読取結果等を通信部49を介して外部機器に無線送信する光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、把持部31と異なる下ケース30の部位、例えば、下ケース30の下端から引き出されるケーブルを介して読取結果等を外部機器に送信する光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【0060】
(3)本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、文字情報等をも含めた光学的情報を撮像することでその光学的情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…光学的情報読取装置
11…筐体
21…読取口
34,34a…操作面
41…制御部(解読部,ピーク電圧値検出部,閾値設定部)
43…撮像部
45…操作部
45a…押圧センサ
49…通信部(無線通信部)
C…情報コード
V…出力電圧
Vo…基準電圧
Vp…ピーク電圧
Vth1…第1閾値
Vth2…第2閾値
Vth3…第3閾値
Vth4…第4閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図12
図13