(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065173
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20230502BHJP
E06B 1/14 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175829
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸司
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA02
2E239CA04
2E239CA22
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA54
2E239CA63
(57)【要約】
【課題】カシメによる固定が不要であると共に取付部品の損傷を防止できる取付部品の取付構造を備える建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、締結部材78の頭部781の径R2以上の締結部材挿入孔711を有する取付部品71と、取付部品71が取り付けられると共に、取付部品71の第1方向D1及び第2方向D2の移動を規制する移動規制部76,77を有する取付部72と、を備え、取付部品71は、締結部材挿入孔711に挿入される締結部材78により第1方向D1及び第2方向D2とは異なる第3方向D3の移動が規制される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材と、
前記締結部材の頭部の径以上の締結部材挿入孔を有する取付部品と、
前記取付部品が取り付けられると共に、前記取付部品の第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向の移動を規制する移動規制部を有する取付部と、を備え、
前記取付部品は、前記締結部材挿入孔に挿入される前記締結部材により前記第1方向及び前記第2方向とは異なる第3方向の移動が規制される、建具。
【請求項2】
前記移動規制部は、前記取付部品を挟んで互いに対向配置される断面L字状の一対のL字状規制部を含んで構成される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記取付部は、縦材に設けられる、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記取付部品は、加熱発泡材である、請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具への加熱発泡材(取付部品)の取付構造として、加熱発泡材を形材のホルダー部に配置してカシメにより固定する構造や、加熱発泡材を形材にネジにより固定する構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱発泡材を形材のホルダー部に配置してカシメにより固定する構造の場合には、ホルダー部の長手方向の端部付近でなければカシメにより固定できないため、加熱発泡材の取付位置に制限があった。また、加熱発泡材を形材にネジにより固定する構造では、ネジにより加熱発泡材が押さえ付けられて、加熱発泡材の変形や損傷の可能性があった。
【0005】
本開示は、カシメによる固定が不要であると共に取付部品の損傷を防止できる取付部品の取付構造を備える建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、締結部材と、前記締結部材の頭部の径以上の締結部材挿入孔を有する取付部品と、前記取付部品が取り付けられると共に、前記取付部品の第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向の移動を規制する移動規制部を有する取付部と、を備え、前記取付部品は、前記締結部材挿入孔に挿入される前記締結部材により前記第1方向及び前記第2方向とは異なる第3方向の移動が規制される建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の縦辷り出し窓を室内側から見た正面図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図3】
図1のB-B線に沿って切断した断面図である。
【
図4】加熱発泡材取付構造を示す横断面拡大図である。
【
図7】加熱発泡材のネジ挿入孔にネジを挿入するときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態の建具としての縦辷り出し窓1について説明する。以下の説明において、見込方向は、建具の奥行に沿う方向であり、
図1における奥側を室外側X1、手前側を室内側X2と記載する。見込方向に沿う面については、見込面と記載する場合がある。見付方向は、縦辷り出し窓1の窓面の面方向に沿った方向である。見付方向に沿う面については、見付面と記載する場合がある。
【0009】
図1~
図3に示すように、縦辷り出し窓1は、建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内周側に納められる障子3と、網戸4と、オペレータハンドル5と、ロック機構6と、加熱発泡材取付構造7により取り付けられた加熱発泡材71と、を有する。枠体2は、上枠21、下枠22及び一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。
【0010】
図2及び
図3に示すように、上枠21、下枠22及び縦枠23,24は、それぞれ、金属枠211,221,231,241と、樹脂カバー212,222,232,242と、を有する。
【0011】
金属枠211,221,231,241は、建物躯体の開口部における室外側X1の見込面を覆うように設けられている。樹脂カバー212,222,232,242は、金属枠211,221,231,241の室内側X2において金属枠211,221,231,241の内周に設けられている。樹脂カバー212,222,232,242の内周側には、障子3の室内側X2に配置される網戸4の周縁が取り付けられている。
【0012】
障子3は、枠体2の内周側に開閉可能に配置される。障子3は、上框31、下框32、及び左右の縦框33,34を矩形に枠組みした框体の内側に、1枚又は複数枚のガラス板から構成されるガラスパネル35が納められることによって構成される。
【0013】
オペレータハンドル5は、枠体2の下枠22に設けられる。オペレータハンドル5は、操作アーム51を介して回転力を障子3に伝達することで、障子3を開閉操作可能である。
【0014】
障子3の上下には、
図1及び
図2に示すように、障子3の開閉動作を支持する一対のステー36が設けられる。一方のステー36は、上框31と上枠21とに架け渡され、他方のステー36は、下框32と下枠22とに架け渡される。
【0015】
ロック機構6は、
図1及び
図3に示すように、枠体2の縦枠23に設けられる。ロック機構6は、
図3に示すように、室内外方向に延びるロック板61が、縦框33に取り付けられたロックピン62に対して係止することによって、障子3の開閉動作を規制する。
【0016】
加熱発泡材71は、
図4~
図6に示すように、加熱発泡材取付構造7により、縦枠23に取り付けられている。加熱発泡材取付構造7は、加熱発泡材71(取付部品)と、取付ホルダー72(取付部)と、ネジ78(締結部材)と、を有する。
【0017】
以下の加熱発泡材取付構造7の説明において、取付ホルダー72の室外側規制部76及び室内側規制部77が並ぶ室内外方向を室内外方向D1(第1方向)とする。ネジ78が貫通する加熱発泡材71の厚さ方向を厚さ方向D2(第2方向)とする。加熱発泡材71の厚さ方向D2は、室内外方向D1に直交(交差)する。取付ホルダー72の室外側規制部76及び室内側規制部77が延びる縦枠23の上下方向を上下方向D3(第3方向)とする。上下方向D3は、室内外方向D1及び加熱発泡材71の厚さ方向D2に直交(交差)する。
【0018】
加熱発泡材71は、
図4~
図6に示すように、板状に形成され、枠体2の縦枠23に設けられた取付ホルダー72に取り付けられる。加熱発泡材71は、ネジ78の頭部781の径R2以上の径R1を有するネジ挿入孔711(締結部材挿入孔)を有する。ネジ挿入孔711は、加熱発泡材71の厚さ方向D2に貫通している。
【0019】
取付ホルダー72は、縦枠23の一部により構成され上下方向D3に延びる基板部73と、基板部73の内周側の見込面731に設けられる移動規制部としての室外側規制部76及び室内側規制部77と、を備える。基板部73の内周側の見込面731は、縦枠23の見込面23aの一部を構成する。
【0020】
基板部73の見込面731には、ネジ固定孔732が形成される。このネジ固定孔732には、加熱発泡材71のネジ挿入孔711に挿入されたネジ78が締結される。
【0021】
室外側規制部76及び室内側規制部77は、取付ホルダー72に配置された加熱発泡材71の室内外方向D1(第1方向)及び加熱発泡材71の厚さ方向D2(第2方向)の移動を規制する。室外側規制部76及び室内側規制部77は、加熱発泡材71を挟んで室内外方向D1の両側に互いに対向配置されている。
【0022】
室外側規制部76は、室外側X1に配置される。室外側規制部76は、断面L字状のL字状規制部761と、室外側突出片762と、先端突起763と、を有する。
【0023】
L字状規制部761は、基板部73の内周側の見込面731から立ち上がる室外側移動規制部761a(第1方向移動規制部)と、室外側移動規制部761aの先端から室内側規制部77側に突出する厚さ方向移動規制部761b(第2方向移動規制部)と、を有する。室外側突出片762は、室外側移動規制部761aの突出方向の先端の手前から室外側X1に突出する。先端突起763は、L字状規制部761の厚さ方向移動規制部761bの先端から加熱発泡材71側に突出する。
【0024】
室内側規制部77は、室内側X2に配置される。室内側規制部77は、断面L字状のL字状規制部771と、先端突起773と、を有する。
【0025】
L字状規制部771は、基板部73の内周側の見込面731から立ち上がる室内側移動規制部771a(第1方向移動規制部)と、室内側移動規制部771aの先端から室外側規制部76側に突出する厚さ方向移動規制部771b(第2方向移動規制部)と、を有する。先端突起773は、L字状規制部761の厚さ方向移動規制部771bの先端から加熱発泡材71側に突出する。
【0026】
室外側移動規制部761a及び室内側移動規制部771aは、加熱発泡材71を挟んで室内外方向の両側に互いに対向配置される。これにより、室外側移動規制部761a及び室内側移動規制部771aは、加熱発泡材71の室内外方向D1(第1方向)の移動を規制する。
【0027】
厚さ方向移動規制部761b,771bは、加熱発泡材71の室内外方向D1の両端部を、基板部73との間に挟むように配置される。これにより、厚さ方向移動規制部761b,771bは、加熱発泡材71の厚さ方向D2(第2方向)の移動を規制する。
【0028】
ネジ78は、取付ホルダー72に配置された加熱発泡材71のネジ挿入孔711に挿入されて、基板部73のネジ固定孔732に締結される。ネジ78の頭部781が加熱発泡材71のネジ挿入孔711の内側に配置されることで、ネジ78の頭部781が加熱発泡材71のネジ挿入孔711に引っ掛かるようになるため、加熱発泡材71の上下方向D3(第3方向)への移動が規制される。なお、
図5では、ネジ78の頭部781がネジ挿入孔711に引っ掛かっていない状態を示している。
【0029】
以上のように構成される加熱発泡材取付構造7において、加熱発泡材71を取付ホルダー72に取り付ける手順について説明する。
【0030】
まず、
図7に示すように、加熱発泡材71を取付ホルダー72に配置する。この状態において、加熱発泡材71は、室外側規制部76及び室内側規制部77のL字状規制部761,771により、室内外方向D1(第1方向)及び加熱発泡材71の厚さ方向D2(第2方向)の移動が規制される。
【0031】
次いで、ネジ78を加熱発泡材71のネジ挿入孔711に挿入して、基板部73のネジ固定孔732に締結する。これにより、ネジ78の頭部781は、加熱発泡材71のネジ挿入孔711の内側に配置される。
【0032】
従って、ネジ78の頭部781が加熱発泡材71のネジ挿入孔711に引っ掛かるようになるため、加熱発泡材71の上下方向D3(第3方向)への移動が規制される。即ち、加熱発泡材71は、室外側規制部76及び室内側規制部77により、室内外方向D1(第1方向)及び加熱発泡材71の厚さ方向D2(第2方向)の移動が規制されると共に、ネジ78の頭部781により、上下方向D3(第3方向)への移動が規制される。
【0033】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の縦辷り出し窓1は、ネジ78と、ネジ78の頭部781の径R2以上のネジ挿入孔711を有する加熱発泡材71と、加熱発泡材71が取り付けられると共に、室内外方向D1及び加熱発泡材71の厚さ方向D2の加熱発泡材71の移動を規制する室外側規制部76及び室内側規制部77を有する取付ホルダー72と、を備え、加熱発泡材71は、ネジ挿入孔711に挿入されるネジ78により室内外方向D1及び加熱発泡材71の厚さ方向D2とは異なる上下方向D3の移動が規制される。
【0034】
これにより、室外側規制部76及び室内側規制部77によって室内外方向D1及び加熱発泡材71の厚さ方向D2の加熱発泡材71の移動が規制されると共にネジ78によって上下方向D3の加熱発泡材71の移動が規制されるため、従来のような加熱発泡材71のカシメによる固定が不要である。そのため、煩雑なカシメ加工を回避できると共に、加熱発泡材71の取付位置の制限もない。また、加熱発泡材71をネジにより押さえ付けることがないため、加熱発泡材71の変形や損傷を防止できる。
【0035】
また、加熱発泡材71のネジ挿入孔711は、ネジ78の頭部781の径R2以上である。そのため、加熱発泡材71を取り付ける際に、ネジ78を頭部781の径R2以上のネジ挿入孔711に挿入すればよいため、ネジ78の位置決めを精度よく行わなくてよい。これにより、生産効率を向上できる。また、加熱発泡材71にネジ78の頭部781の径R2以上のネジ挿入孔711が形成されているため、取付ホルダー72に加熱発泡材71を配置しても、ネジ固定孔732が露出し目視で確認できるため、締結作業がしやすい。
【0036】
また、本実施形態においては、室外側規制部76及び室内側規制部77は、加熱発泡材71を挟んで対向配置される断面L字状のL字状規制部761,771を含んで構成される。これにより、簡易な構成で、加熱発泡材71の室内外方向D1及び厚さ方向D2の移動をより確実に規制できる。
【0037】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0038】
前記実施形態においては、建具を、縦辷り出し窓に適用した例について説明したが、これに限定されない。建具は、縦辷り出し窓に限らず、横辷り出し窓であってもよく、横方向にスライド可能な障子を有する引戸、回転軸を中心に回転して開閉する開き戸、障子が枠に固定されたFIX窓など、あらゆる建具に適用可能である。
【0039】
前記実施形態においては、加熱発泡材71を枠体2の縦枠23に設けたが、これに限定されない。例えば、加熱発泡材71を枠体の横枠(上枠、下枠)に設けてもよいし、加熱発泡材を障子の縦框又は横框(上框、下框)に設けてもよい。
【0040】
前記実施形態においては、取付部品を加熱発泡材71により構成したが、これに限定されない。例えば、取付部品を、部品を取り付けるために使用される裏板部材により構成してもよい。
【0041】
前記実施形態においては、締結部材をネジ78により構成したが、これに限定されない。例えば、締結部材をリベットにより構成してもよい。
【0042】
前記実施形態においては、ネジ78の頭部781により加熱発泡材71の移動を規制したが、これに限定されない。ネジ78を途中までしかねじ込まずに、ネジ78の軸部により加熱発泡材71の移動を規制してもよい。
【0043】
前記実施形態においては、加熱発泡材71のネジ挿入孔711(締結部材挿入孔)を真円形状に形成したが、これに限定されない。加熱発泡材71のネジ挿入孔711(締結部材挿入孔)を、例えば、多角形状に形成してもよいし、楕円形状に形成してもよい。
【0044】
前記実施形態において使用したネジ78(締結部材)は、加熱発泡材71(取付部品)を取付ホルダー72(取付部)に取り付けるために新しく用意してもよいし、他の部材を固定するために使用しているネジと共用してもよい。
【0045】
前記実施形態の取付ホルダー72(取付部)は、加熱発泡材71(取付部品)を配置するために新しく設けてもよいし、他の部材用の取付部を利用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 建具、23 縦枠(縦材)、71 加熱発泡材(取付部品)、72 取付ホルダー(取付部)、76 室外側規制部(移動規制部)、77 室内側規制部(移動規制部)、78 ネジ(締結部材)、711 ネジ挿入孔(締結部材挿入孔)、761,771 L字状規制部、781 頭部、D1 室内外方向(第1方向)、D2 加熱発泡材の厚さ方向(第2方向)、R2 締結部材の頭部の径