(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065185
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】歪みゲージ、検査システム、検査方法、検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 21/32 20060101AFI20230502BHJP
G01B 11/16 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G01B21/32
G01B11/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175845
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000142067
【氏名又は名称】株式会社共和電業
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 芳巳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】施村 偉
【テーマコード(参考)】
2F065
2F069
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA65
2F065BB02
2F065CC14
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF51
2F065FF67
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065QQ03
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065QQ38
2F065QQ41
2F069AA01
2F069DD19
2F069GG06
2F069GG07
2F069NN25
(57)【要約】
【課題】計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測できる歪みゲージ、検査システム、検査方法、および、検査プログラムを提供する。
【解決手段】歪みゲージは、ゲージベースと、前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲージベースと、
前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、
前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備える
歪みゲージ。
【請求項2】
前記画像変位計測用パターンは、デジタル画像相関法に用いられる不規則模様、または、サンプリングモアレ法に用いられる規則格子である
請求項1に記載の歪みゲージ。
【請求項3】
前記画像変位計測用パターンは、前記デジタル画像相関法に用いられる不規則模様であり、
前記ゲージベースは、前記画像変位計測用パターンを撮影する撮像装置の設定条件に関する情報を表示する情報提供部を有する
請求項2に記載の歪みゲージ。
【請求項4】
前記情報提供部は、2次元コードまたは1次元コードを含む
請求項3に記載の歪みゲージ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の歪みゲージと、
前記歪みゲージの検出結果に基づいて、前記計測対象物の歪みまたは変位量を算出する検査ユニットと、備える検査システムであって、
前記歪みゲージは、
ゲージベースと、
前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、
前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備え、
前記検査ユニットは、
撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、基準計測領域における第1歪み値または第1変位量を算出する算出部を備え、
前記算出部は、前記検出部によって検出される前記基準計測領域の第2歪み値または第2変位量に基づいて、前記第1歪み値または前記第1変位量を補正するための補正係数を算出する
検査システム。
【請求項6】
前記算出部は、
前記撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、前記基準計測領域以外の複数の計測領域の歪み値または変位量を算出し、
算出した前記複数の計測領域の前記歪み値または前記変位量を前記補正係数に基づいて補正することによって、歪み分布値または変位量分布を算出する
請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
歪みゲージを用いて計測対象物の歪みまたは変位量を計測する検査方法であって、
前記歪みゲージは、
ゲージベースと、
前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、
前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備え、
撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、基準計測領域における第1歪み値または第1変位量を算出するステップと、
前記検出部によって検出される前記基準計測領域の第2歪み値または第2変位量に基づいて、前記第1歪み値または前記第1変位量を補正するための補正係数を算出するステップと、を含む
検査方法。
【請求項8】
歪みゲージを用いて計測対象物の歪みまたは変位量を計測する検査プログラムであって、
前記歪みゲージは、
ゲージベースと、
前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、
前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備え、
撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、基準計測領域における第1歪み値または第1変位量を算出するステップと、
前記検出部によって検出される前記基準計測領域の第2歪み値または第2変位量に基づいて、前記第1歪み値または前記第1変位量を補正するための補正係数を算出するステップと、をコンピュータに実行させる
検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪みゲージ、検査システム、検査方法、および、検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁および鉄塔等の計測対象物の点検作業では、例えば、デジタル画像相関法またはサンプリングモアレ法によって、計測対象物の歪みまたは変位量が計測される。特許文献1は、デジタル画像相関法によって計測対象物の歪みを計測する検査システムを開示している。特許文献2は、サンプリングモアレ法によって計測対象物の変位量を計測する検査システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-128617号公報
【特許文献2】特開2020-112392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタル画像相関法およびサンプリングモアレ法等の画像計測法を用いて計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測することが望まれている。
【0005】
本発明は、計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測できる歪みゲージ、検査システム、検査方法、および、検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る歪みゲージは、ゲージベースと、前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備える。
【0007】
第1観点に係る歪みゲージによれば、デジタル画像相関法またはサンプリングモアレ法等に用いられる画像変位計測用パターンの変位に基づいて算出される歪み値または変位量を歪みゲージの検出結果に基づいて算出される歪み値または変位量に基づいて補正できる。このため、計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測できる。
【0008】
本発明の第2観点に係る歪みゲージは、第1観点に係る歪みゲージであって、前記画像変位計測用パターンは、デジタル画像相関法に用いられる不規則模様、または、サンプリングモアレ法に用いられる規則格子である。
【0009】
第2観点に係る歪みゲージによれば、デジタル画像相関法またはサンプリングモアレ法を用いて計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測できる。
【0010】
本発明の第3観点に係る歪みゲージは、第2観点に係る歪みゲージであって、前記画像変位計測用パターンは、前記デジタル画像相関法に用いられる不規則模様であり、前記ゲージベースは、前記画像変位計測用パターンを撮影する撮像装置の設定条件に関する情報を表示する情報提供部を有する。
【0011】
第3観点に係る歪みゲージによれば、画像変位計測用パターンの特徴と撮像装置の設定条件とが紐付けられるため、デジタル画像相関法を用いて計測対象物の歪みまたは変位量を容易に計測できる。
【0012】
本発明の第4観点に係る歪みゲージは、第3観点に係る歪みゲージであって、前記情報提供部は、2次元コードまたは1次元コードを含む。
【0013】
第4観点に係る歪みゲージによれば、撮像装置の設定条件に関する情報を容易に取得できる。
【0014】
本発明の第5観点に係る検査システムは、第1観点~第4観点のいずれか1つに係る歪みゲージと、前記歪みゲージの検出結果に基づいて、前記計測対象物の歪みまたは変位量を算出する検査ユニットと、備える検査システムであって、前記歪みゲージは、ゲージベースと、前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備え、前記検査ユニットは、撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、基準計測領域における第1歪み値または第1変位量を算出する算出部を備え、前記算出部は、前記検出部によって検出される前記基準計測領域の第2歪み値または第2変位量に基づいて、前記第1歪み値または前記第1変位量を補正するための補正係数を算出する。
【0015】
第5観点に係る検査システムによれば、補正係数を用いて基準計測領域以外の計測領域の歪み値または変位量を精度よく計測できる。
【0016】
本発明の第6観点に係る検査システムは、第5観点に係る検査システムであって、前記算出部は、前記撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、前記基準計測領域以外の複数の計測領域の歪み値または変位量を算出し、算出した前記複数の計測領域の前記歪み値または前記変位量を前記補正係数に基づいて補正することによって、歪み分布値または変位量分布を算出する。
【0017】
第6観点に係る検査システムによれば、歪み分布値または変位量分布を精度よく算出できる。
【0018】
本発明の第7観点に係る検査方法は、歪みゲージを用いて計測対象物の歪みまたは変位量を計測する検査方法であって、前記歪みゲージは、ゲージベースと、前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備え、撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、基準計測領域における第1歪み値または第1変位量を算出するステップと、前記検出部によって検出される前記基準計測領域の第2歪み値または第2変位量に基づいて、前記第1歪み値または前記第1変位量を補正するための補正係数を算出するステップと、を含む。
【0019】
第7観点に係る検査方法によれば、補正係数を用いて基準計測領域以外の計測領域の歪み値または変位量を精度よく計測できる。
【0020】
本発明の第8観点に係る検査プログラムは、歪みゲージを用いて計測対象物の歪みまたは変位量を計測する検査プログラムであって、前記歪みゲージは、ゲージベースと、前記ゲージベースに取り付けられ、計測対象物の歪みを電気信号として検出する検出部と、前記ゲージベースに設けられる画像変位計測用パターンと、を備え、撮像装置によって撮影された前記画像変位計測用パターンの画像に基づいて、基準計測領域における第1歪み値または第1変位量を算出するステップと、前記検出部によって検出される前記基準計測領域の第2歪み値または第2変位量に基づいて、前記第1歪み値または前記第1変位量を補正するための補正係数を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0021】
上記検査プログラムによれば、補正係数を用いて基準計測領域以外の計測領域の歪み値または変位量を精度よく計測できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に関する歪みゲージ、検査システム、検査方法、検査プログラムによれば、計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】検査処理の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る検査システムについて説明する。
【0025】
<1.検査システムの全体構成>
図1は、検査システム10の概略構成図である。検査システム10は、計測対象物の歪みまたは変位量を精度よく計測できるように構成される。計測対象物は、例えば、鍛造プレス機の上型、射出成型機の可動型、または、インフラ構造物である。インフラ構造物は、例えば、高架道路、橋梁、鉄橋、または、トンネルである。検査システム10は、歪みゲージ20と、歪み計測器30と、検査ユニット40と、撮像装置50と、を備える。
【0026】
<2.検査システムのハード構成>
<2―1.歪みゲージの構成>
図2は、歪みゲージ20の正面図である。歪みゲージ20は、ゲージベース21と、検出部22と、画像変位計測用パターン23と、情報提供部24と、を有する。
【0027】
ゲージベース21は、公知の歪みゲージのゲージベースを用いることができる。ゲージベース21は、表面21Aおよび裏面21Bを有する。ゲージベース21は、例えば、裏面21Bに接着剤が塗布され、接着剤を介して計測対象物に接合される。ゲージベース21は、例えば、樹脂材料によって構成される。
【0028】
検出部22は、公知の歪みゲージの検出部を用いることが出きる。本実施形態では、検出部22は、格子上の抵抗線またはフォトエッチング加工した抵抗箔、および、引出し線等を有する。検出部22は、計測対象物の歪みを電気信号として出力する。検出部22は、ゲージベース21の表面21Aに取り付けられる。
【0029】
画像変位計測用パターン23は、デジタル画像相関法およびサンプリングモアレ法等の画像計測法に用いられるパターンである。本実施形態では、画像変位計測用パターン23は、デジタル画像相関法に用いられる不規則模様である。画像変位計測用パターン23は、サンプリングモアレ法に用いられる規則格子であってもよい。画像変位計測用パターン23は、ゲージベース21の表面21Aの概ね全体に形成される。
【0030】
情報提供部24は、画像変位計測用パターン23を撮影する撮像装置50(
図1参照)の設定条件に関する情報を表示する。本実施形態では、画像変位計測用パターン23は、不規則模様であるため、歪みゲージ20毎に画像変位計測用パターン23の模様が異なる。使用する歪みゲージ20毎に撮像装置50の設定条件を変更する場合、作業が煩雑である。本実施形態では、ゲージベース21に予め撮像装置50の設定条件に関する情報を表示しているため、撮像装置50の設定条件を容易に設定できる。撮像装置50の設定条件に関する情報は、例えば、撮像装置50と歪みゲージ20との距離、および、レンズの校正に関する情報を含む。情報提供部24の具体的な構成は、任意に選択可能である。本実施形態では、情報提供部24は、2次元コードである。情報提供部24は1次元コードであってもよい。情報提供部24は、例えば、ゲージベース21の表面21Aのうちの画像変位計測用パターン23が形成されていない部分に形成される。
【0031】
<2―2.歪み計測器の構成>
図1に示される歪み計測器30は、歪みゲージ20の検出部22の引き出し線と接続される。歪み計測器30は、検出部22(
図2参照)の検出結果に基づいて、歪み値を算出する。歪み計測器30は、算出した歪み値を検査ユニット40に送信する。
【0032】
<2-3.検査ユニットの構成>
図1に示される検査ユニット40は、歪みゲージ20の検出結果に基づいて、計測対象物の歪みまたは変位量を算出する。検査ユニット40は、本体41、入力装置42、および、出力装置43を有する。本体41は、記憶装置41Aおよび制御装置41Bを有する。記憶装置41Aおよび制御装置41Bは、バス44を介して通信できるように接続される。記憶装置41Aは、例えば、ハードディスクまたはソリッドステートドライブである。記憶装置41Aは、計測対象物の歪みまたは変位量の算出に関する1または複数のプログラム(以下では、「検査プログラム41P」という)を記憶する。
【0033】
制御装置41Bは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、後述する機能を実行する。制御装置41Bは、入力装置42からの要求に応じて記憶装置41Aに記憶されている検査プログラム41Pを実行する。制御装置41Bが検査プログラム41Pを実行することによって、検査ユニット40には、後述する1または複数の機能ブロックが構築される。
【0034】
入力装置42は、例えばキーボードであり、本体41と接続される。出力装置43は、例えば、液晶ディスプレイであり、本体41から出力された信号を受信できるように、本体41と接続される。なお、本体41、入力装置42、および、出力装置43は、ノート型パーソナルコンピュータのように、一体的に構成されてもよい。
【0035】
<2-3.撮像装置の構成>
撮像装置50は、画像変位計測用パターン23(
図2参照)を撮影できるように構成される。本実施形態では、撮像装置50は、カメラである。撮像装置50は、一定時間毎に画像変位計測用パターン23を撮影する。本実施形態では、撮像装置50は、検査ユニット40と無線通信または有線通信できるように接続される。撮像装置50が撮影した一定時間毎の画像変位計測用パターン23の画像は、検査ユニット40に送信され、例えば、記憶装置41Aに記憶される。
【0036】
<3.検査システムのソフト構成>
制御装置41Bが記憶装置41Aに記憶されている検査プログラム41Pを実行することによって構成される機能ブロックは、例えば、算出部41Xを含む。検査ユニット40に算出部41X等の機能ブロックが構築されることによって、計測対象物の歪みまたは変位量を算出する検査処理が実行される。
【0037】
<4.検査処理>
図3を参照して、検査処理の処理手順の一例について説明する。算出部41Xは、例えば、計測対象物に歪みゲージ20が貼り付けられ、撮像装置50によって画像変位計測用パターン23の撮影が開始されたことに基づいて、検査処理を開示する。
【0038】
ステップS11では、算出部41Xは、画像変位計測用パターン23の画像に基づいて、画素位置の移動を検出する。
【0039】
ステップS12では、算出部41Xは、各画素の移動量に基づいて、基準計測領域の画素群の変位量を算出する。なお、基準計測領域は、画像変位計測用パターンのうちの歪みゲージ20によって計測対象物の歪みを検出できる領域である。
【0040】
ステップS13では、算出部41Xは、ステップS12で算出した基準計測領域の画素群の変位量に基づいて、基準計測領域の歪み値(以下では、「第1歪み値XA」という)を算出する。
【0041】
ステップS14では、算出部41Xは、検出部22によって検出される基準計測領域の歪み値(以下では、「第2歪み値XB」という)に基づいて、第1歪み値XAを補正するための補正係数αを算出する。補正係数αは、以下の式(1)によって算出される。
補正係数α=第2歪み値XB/第1歪み値XA・・・(1)
【0042】
ステップS15では、算出部41Xは、画像変位計測用パターン23の画像に基づいて、画像変位計測用パターン23のうちの基準計測領域以外の複数の領域の画素群の変位量を算出する。
【0043】
ステップS16では、算出部41Xは、ステップS15で算出した変位量に基づいて、基準計測領域以外の複数の領域の歪み値(以下では、「第3歪み値XC」という)をそれぞれ算出する。
【0044】
ステップS17では、算出部41Xは、第3歪み値XCと補正係数αとを乗算することによって、第3歪み値XCを補正する。ステップS17が完了することによって、複数の計測領域における第3歪み値XCが計測できるため、歪み分布値を算出できる。
【0045】
<5.本実施形態の効果>
以上のように構成された検査システム10によれば、次の効果を得ることができる。
【0046】
<5-1>
補正係数αを用いて第3歪み値XCが補正されるため、第3歪み値XCを精度よく計測できる。
【0047】
<5-2>
一般的には、デジタル画像相関法に用いられる不規則模様は、スプレーによって計測対象物に吹き付けられることによって塗布される。不規則模様を計測対象物に塗布する作業は、画素数に対する不規則模様の数の制限等、様々な制約があるため、煩雑である。本実施形態の検査システム10によれば、画像変位計測用パターン23が予めゲージベース21に塗布されているため、作業者は、歪みゲージ20を計測対象物に貼り付けるだけでよい。このため、計測対象物の歪みの計測を容易に実施できる。
【0048】
<5-3>
歪みゲージ20は、情報提供部24を有するため、画像変位計測用パターン23の特徴と撮像装置50の設定条件とが紐付けられる。このため、撮像装置50の設定条件を容易に設定できる。
【0049】
<5-4>
1つの歪みゲージ20で画像変位計測用パターン23が形成されている領域の歪み値を精度よく算出できるため、検査システム10の構成を簡素化できる。
【0050】
<6.変形例>
上記実施形態は本発明に関する歪みゲージ、検査システム、検査方法、および、検査プログラムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する歪みゲージ、検査システム、検査方法、および、検査プログラムは、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0051】
上記実施形態では、算出部41Xは、基準計測領域以外の計測領域の歪み値、換言すれば、第3歪み値XCを算出したが、基準計測領域以外の計測領域の変位量を算出してもよい。
【0052】
例えば、算出部41Xは、検査処理のステップS12において、基準計測領域の第1変位量ΔXAを算出する。次に、算出部41Xは、検査処理のステップS14において、検出部22によって検出される基準計測領域の第2変位量ΔXBに基づいて、第1変位量ΔXAを補正するための補正係数βを算出する。補正係数βは、以下の式(2)によって算出される。
補正係数β=第2変位量ΔXB/第1変位量ΔXA・・・(2)
【0053】
次に、算出部41Xは、検査処理のステップS15において、画像変位計測用パターン23の画像に基づいて、画像変位計測用パターン23のうちの基準計測領域以外の複数の領域の画素群の第3変位量ΔXCをそれぞれ算出する。次に、算出部41Xは、検査処理のステップS17において、第3変位量ΔXCと補正係数βとを乗算することによって、第3変位量ΔXCを補正する。ステップS17が完了することによって、複数の計測領域における第3変位量ΔXCが計測できるため、変位量分布を算出できる。
【符号の説明】
【0054】
10 :検査システム
20 :歪みゲージ
21 :ゲージベース
22 :検出部
23 :画像変位計測用パターン
24 :情報提供部
41P:検査プログラム
41X:算出部
50 :撮像装置