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特開2023-65194人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の制御システム、燃料供給装置、および、燃料供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065194
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の制御システム、燃料供給装置、および、燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/50 20100101AFI20230502BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20230502BHJP
   B62J 45/20 20200101ALI20230502BHJP
   B62M 6/55 20100101ALI20230502BHJP
   B62M 6/80 20100101ALI20230502BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20230502BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20230502BHJP
   B62J 43/28 20200101ALI20230502BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230502BHJP
【FI】
B62M6/50
F02M37/00 341Z
B62J45/20
B62M6/55
B62M6/80
B62M6/90
B62J43/13
B62J43/28
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175857
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AB29
5H127BA02
5H127BA21
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE04
5H127FF20
(57)【要約】
【課題】燃料電池に関する情報を外部に出力できる人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の制御システム、燃料供給装置、および、燃料供給システムを提供する。
【解決手段】制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、燃料貯蔵部および発電部を有する燃料電池を含み、前記制御装置は、外部装置と通信可能に構成される第1通信部と、前記第1通信部を制御する第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記燃料電池に関する第1情報を前記外部装置に送信するように前記第1通信部を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車は、燃料貯蔵部および発電部を有する燃料電池を含み、
前記制御装置は、外部装置と通信可能に構成される第1通信部と、前記第1通信部を制御する第1制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記燃料電池に関する第1情報を前記外部装置に送信するように前記第1通信部を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第1通信部が前記外部装置とは異なる電子デバイスと通信するように前記第1通信部を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記第1通信部が前記第1情報を前記電子デバイスに送信するように前記第1通信部を制御する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、前記モータを制御するように構成される第2制御部と、前記第2制御部と接続される第2通信部と、をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1制御部および前記第2制御部が一体として構成され、
前記第1通信部および前記第2通信部が一体として構成される、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1制御部および前記第2制御部がそれぞれ独立して構成され、
前記第1通信部および前記第2通信部がそれぞれ独立して構成される、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1情報は、前記燃料貯蔵部の圧力、前記燃料貯蔵部内の燃料の質量、前記燃料貯蔵部の定格値、前記燃料貯蔵部の保守情報、および、前記発電部の発電情報の少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記燃料電池は、蓄電部を含み、
前記第1情報は、前記燃料貯蔵部の圧力、前記燃料貯蔵部内の燃料の質量、前記燃料貯蔵部の定格値、前記燃料貯蔵部の保守情報、前記発電部の発電情報、および、前記蓄電部の蓄電量の少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記燃料の質量は、前記燃料貯蔵部の重量変化に基づいて算出される、請求項7または8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記外部装置は、前記燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
人力駆動車用の制御システムであって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置と、電子デバイスと、を備え、
前記電子デバイスは、前記第1通信部から送信される前記第1情報を処理する情報処理アプリケーションを動作させる演算部と、表示部と、を備え、
前記情報処理アプリケーションは、前記第1情報に基づいてグラフィックデータを形成し、前記グラフィックデータを前記表示部に表示させる、制御システム。
【請求項12】
前記電子デバイスは、サイクルコンピュータ、および、スマートフォンの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の制御システム。
【請求項13】
人力駆動車に含まれる燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置であって、
前記燃料電池は、燃料貯蔵部および発電部を含み、
前記燃料供給装置は、第1供給制御を実行するように構成される第3制御部を備え、
前記第3制御部は、前記第1供給制御において、前記燃料電池に関する第1情報に基づき、前記燃料貯蔵部に燃料を供給するように前記燃料供給装置の燃料供給部を制御する、燃料供給装置。
【請求項14】
前記第3制御部は、前記第1情報を、前記人力駆動車に設けられる人力駆動車用の制御装置から取得するように構成される、請求項13に記載の燃料供給装置。
【請求項15】
前記第3制御部は、前記第1供給制御に加えて、第2供給制御を実行するように構成され、前記第2供給制御において、燃料供給通路の圧力に基づき、前記燃料貯蔵部に燃料を供給するように前記燃料供給部を制御し、
前記燃料供給通路は、前記燃料供給装置と前記燃料貯蔵部との間に構成される通路である、請求項13に記載の燃料供給装置。
【請求項16】
前記第3制御部は、人力駆動車用の制御装置と通信できるか否かを判定するように構成される判定部を含む、請求項15に記載の燃料供給装置。
【請求項17】
前記第3制御部は、前記判定部の判定結果に基づいて所定処理を実行するように構成される処理部を備え、
前記処理部は、
前記人力駆動車用の前記制御装置と通信できない場合、前記燃料供給通路の前記圧力を検出するように構成され、
前記人力駆動車用の前記制御装置と通信できる場合、前記第1情報を前記人力駆動車用の前記制御装置から取得するように構成される、請求項16に記載の燃料供給装置。
【請求項18】
前記判定部は、前記燃料供給装置から前記人力駆動車用の前記制御装置に送信される送信信号に対する前記制御装置の応答の有無に基づいて、前記燃料供給装置と前記人力駆動車用の前記制御装置とが通信できるか否かを判定するように構成される、請求項16または17に記載の燃料供給装置。
【請求項19】
前記判定部は、前記燃料供給装置と前記人力駆動車用の前記制御装置との接続によって前記人力駆動車用の前記制御装置に設けられるダミー回路部の所定部分の電位を検出することによって、前記人力駆動車用の前記制御装置と通信できないと判定する、請求項16または17に記載の燃料供給装置。
【請求項20】
前記ダミー回路部は、前記燃料供給装置に接続可能であり、前記燃料供給装置との接続によって前記所定部分の電位を前記燃料供給装置に検出させるように構成される、請求項19に記載の燃料供給装置。
【請求項21】
前記第1情報は、前記燃料貯蔵部の圧力、前記燃料貯蔵部内の燃料の質量、前記燃料貯蔵部の定格値、および、前記燃料貯蔵部の保守情報の少なくとも1つを含む、請求項13から20のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項22】
請求項13から21のいずれか一項に記載の燃料供給装置を含む、燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の制御システム、燃料供給装置、および、燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示される人力駆動車は、燃料貯蔵部を有する燃料電池を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-119180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料電池を備える人力駆動車に設けられる制御装置について改善の余地がある。本開示の目的の1つは、燃料電池に関する情報を外部に出力できる人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の制御システム、燃料供給装置、および、燃料供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、燃料貯蔵部および発電部を有する燃料電池を含み、前記制御装置は、外部装置と通信可能に構成される第1通信部と、前記第1通信部を制御する第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記燃料電池に関する第1情報を前記外部装置に送信するように前記第1通信部を制御する。
第1側面の制御装置によれば、燃料電池に関する第1情報を外部装置に送信できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記外部装置とは異なる電子デバイスと通信するように前記第1通信部を制御する。
第2側面の制御装置によれば、電子デバイスに情報を提供できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記第1情報を前記電子デバイスに送信するように前記第1通信部を制御する。
第3側面の制御装置によれば、電子デバイスに第1情報を提供できる。
【0008】
前記第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、前記モータを制御するように構成される第2制御部と、前記第2制御部と接続される第2通信部と、をさらに備える。
第4側面の制御装置によれば、燃料電池およびモータを備える人力駆動車用の制御装置において、第1情報を外部装置に送信できる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記第1制御部および前記第2制御部が一体として構成され、前記第1通信部および前記第2通信部が一体として構成される。
第5側面の制御装置によれば、制御装置を小さくできる。
【0010】
前記第4側面に従う第6側面の制御装置において、前記第1制御部および前記第2制御部がそれぞれ独立して構成され、前記第1通信部および前記第2通信部がそれぞれ独立して構成される。
第6側面の制御装置によれば、第2制御部から独立して、第1制御部を動作させることができる。
【0011】
前記第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記第1情報は、前記燃料貯蔵部の圧力、前記燃料貯蔵部内の燃料の質量、前記燃料貯蔵部の定格値、前記燃料貯蔵部の保守情報、および、前記発電部の発電情報の少なくとも1つを含む。
第7側面の制御装置によれば、燃料貯蔵部内の燃料の質量、燃料貯蔵部の定格値、燃料貯蔵部の保守情報、および、発電部の発電情報の少なくとも1つを外部装置に送信できる。
【0012】
前記第1から第6側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記燃料電池は、蓄電部を含み、前記第1情報は、前記燃料貯蔵部の圧力、前記燃料貯蔵部内の燃料の質量、前記燃料貯蔵部の定格値、前記燃料貯蔵部の保守情報、前記発電部の発電情報、および、前記蓄電部の蓄電量の少なくとも1つを含む。
第8側面の制御装置によれば、燃料貯蔵部の圧力、燃料貯蔵部内の燃料の質量、燃料貯蔵部の定格値、燃料貯蔵部の保守情報、発電部の発電情報、および、蓄電部の蓄電量の少なくとも1つを外部装置に送信できる。
【0013】
前記第7または第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記燃料の質量は、前記燃料貯蔵部の重量変化に基づいて算出される。
第9側面の制御装置によれば、燃料の使用量から燃料貯蔵部内の燃料の質量を算出する場合に比べて、算出時における燃料貯蔵部内の燃料の質量を簡単に算出できる。
【0014】
前記第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記外部装置は、前記燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置を含む。
第10側面の制御装置によれば、第1情報を燃料貯蔵部に送信できる。
【0015】
本開示の第11側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、前記第1から第10側面のいずれか1つに従う制御装置と、電子デバイスと、を備え、前記電子デバイスは、前記第1通信部から送信される前記第1情報を処理する情報処理アプリケーションを動作させる演算部と、表示部と、を備え、前記情報処理アプリケーションは、前記第1情報に基づいてグラフィックデータを形成し、前記グラフィックデータを前記表示部に表示させる。
第11側面の制御システムによれば、電子デバイスの表示部に第1情報をグラフィックに表示できる。
【0016】
前記11側面に従う第12側面の制御システムにおいて、前記電子デバイスは、サイクルコンピュータ、および、スマートフォンの少なくとも1つを含む。
第12側面の制御システムによれば、サイクルコンピュータ、および、スマートフォンの少なくとも1つにおいて第1情報をグラフィックに表示できる。
【0017】
本開示の第13側面に従う燃料供給装置は、人力駆動車に含まれる燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置であって、前記燃料電池は、燃料貯蔵部および発電部を含み、前記燃料供給装置は、第1供給制御を実行するように構成される第3制御部を備え、前記第3制御部は、前記第1供給制御において、前記燃料電池に関する第1情報に基づき、前記燃料貯蔵部に燃料を供給するように前記燃料供給装置の燃料供給部を制御する。
第13側面の燃料供給装置によれば、人力駆動車に含まれる燃料電池に関する第1情報に基づいて燃料貯蔵部に燃料を供給するため、人力駆動車の燃料電池に好適に燃料供給できる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面の燃料供給装置において、前記第3制御部は、前記第1情報を、前記人力駆動車に設けられる人力駆動車用の制御装置から取得するように構成される。
第14側面の燃料供給装置によれば、第1情報を人力駆動車用の制御装置から取得するため、手操作に基づく入力によって第1情報を取得する場合に比べて、簡単に第1情報を取得できる。
【0019】
前記第13側面に従う第15側面の燃料供給装置において、前記第3制御部は、前記第1供給制御に加えて、第2供給制御を実行するように構成され、前記第2供給制御において、燃料供給通路の圧力に基づき、前記燃料貯蔵部に燃料を供給するように前記燃料供給部を制御し、前記燃料供給通路は、前記燃料供給装置と前記燃料貯蔵部との間に構成される通路である。
第15側面の燃料供給装置によれば、燃料供給通路の圧力に基づき人力駆動車の燃料電池に好適に燃料供給できる。
【0020】
前記第15側面に従う第16側面の燃料供給装置において、前記第3制御部は、人力駆動車用の制御装置と通信できるか否かを判定するように構成される判定部を含む。
第16側面の燃料供給装置によれば、人力駆動車用の制御装置と通信できるか否かを判定できる。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面の燃料供給装置において、前記第3制御部は、前記判定部の判定結果に基づいて所定処理を実行するように構成される処理部を備え、前記処理部は、前記人力駆動車用の前記制御装置と通信できない場合、前記燃料供給通路の前記圧力を検出するように構成され、前記人力駆動車用の前記制御装置と通信できる場合、前記第1情報を前記人力駆動車用の前記制御装置から取得するように構成される。
第17側面の燃料供給装置によれば、人力駆動車用の制御装置と通信できない場合、および、通信できる場合それぞれに適した方法によって、燃料供給に関する情報を取得できる。
【0022】
前記第16または第17側面に従う第18側面の燃料供給装置において、前記判定部は、前記燃料供給装置から前記人力駆動車用の前記制御装置に送信される送信信号に対する前記制御装置の応答の有無に基づいて、前記燃料供給装置と前記人力駆動車用の前記制御装置とが通信できるか否かを判定するように構成される。
第18側面の燃料供給装置によれば、通信の機能を使うことによって、人力駆動車用の制御装置と通信できるか否かを判定できる。
【0023】
前記第16または第17側面に従う第19側面の燃料供給装置において、前記判定部は、前記燃料供給装置と前記人力駆動車用の前記制御装置との接続によって前記人力駆動車用の前記制御装置に設けられるダミー回路部の所定部分の電位を検出することによって、前記人力駆動車用の前記制御装置と通信できないと判定する。
第19側面の燃料供給装置によれば、燃料供給装置と人力駆動車用の制御装置との接続によって、人力駆動車用の制御装置と通信できるか否かを判定できる。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の燃料供給装置において、前記ダミー回路部は、前記燃料供給装置に接続可能であり、前記燃料供給装置との接続によって前記所定部分の電位を前記燃料供給装置に検出させるように構成される。
第20側面の燃料供給装置によれば、人力駆動車用の制御装置と通信できるか否かを確実に判定できる。
【0025】
前記第13から第20側面のいずれか1つに従う第21側面の燃料供給装置において、前記第1情報は、前記燃料貯蔵部の圧力、前記燃料貯蔵部内の燃料の質量、前記燃料貯蔵部の定格値、および、前記燃料貯蔵部の保守情報の少なくとも1つを含む。
第21側面の燃料供給装置によれば、燃料貯蔵部の圧力、燃料貯蔵部内の燃料の質量、燃料貯蔵部の定格値、および、燃料貯蔵部の保守情報の少なくとも1つに基づいて燃料貯蔵部に燃料を供給するため、人力駆動車の燃料電池に好適に燃料供給できる。
【0026】
本開示の第22側面に従う燃料供給システムは、前記第13から第21側面のいずれか1つに従う燃料供給装置を含む。
第22側面の燃料供給システムによれば、人力駆動車の燃料電池に好適に燃料供給できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示の人力駆動車用の制御装置、人力駆動車用の制御システム、燃料供給装置、および、燃料供給システムによれば、燃料電池に関する情報を外部に出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
図2】制御システムおよび制御装置のブロック図である。
図3】収容部の模式図である。
図4】第2実施形態の燃料供給システムの模式図である。
図5】人力駆動車の燃料充填部の模式図である。
図6】燃料供給装置のブロック図である。
図7】燃料供給装置のノズルの模式図である。
図8】燃料供給装置と人力駆動車用の制御装置の第1通信部とが接続されたときの、判定部の回路図である。
図9】燃料供給装置部と人力駆動車用の制御装置のダミー回路部とが接続されたときの、判定部およびダミー回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
図1および図2を参照して、人力駆動車用の制御装置60および人力駆動車用の制御システム50について説明する。制御システム50は、人力駆動車10に設けられる。
【0030】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、ハンドバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(e-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、各実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車として説明する。
【0031】
図1に示されるように、人力駆動車10は、人力駆動力が入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪14と、車体16と、を、さらに備える。少なくとも1つの車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能な入力回転軸12Aと、入力回転軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム12Bとを含む。本実施形態において、入力回転軸12Aは、クランク軸である。各クランクアーム12Bには、一対のペダル20がそれぞれ連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12と後輪14Aとは、駆動機構22によって連結される。
【0032】
駆動機構22は、入力回転軸12Aに連結される第1回転体24を含む。入力回転軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0033】
第2回転体26は、後輪14Aに連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体26が後転した場合に、第2回転体26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。人力駆動車10は、変速機を含んでいてもよい。変速機は、外装変速機および内装変速機の少なくとも1つを含む。外装変速機は、例えば、ディレーラ、第1回転体24、および、第2回転体26を含む。ディレーラは、フロントディレーラおよびリアディレーラの少なくとも1つを含む。第1回転体24は、複数のスプロケットを含んでいてもよい。第2回転体26は、複数のスプロケットを含んでいてもよい。内装変速機は、例えば、後輪14Aのハブに設けられてもよく、入力回転軸12Aから第1回転体24までの動力伝達経路に設けられてもよい。
【0034】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられる。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結される。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。
【0035】
人力駆動車10は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ40と、モータ40を制御するように構成される第2制御部66と、第2制御部66と接続される第2通信部68と、をさらに備える。
【0036】
モータ40は、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ40は、ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力の動力伝達経路、および、前輪14Bの少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力の動力伝達経路には、後輪14Aも含まれる。本実施形態では、モータ40は、人力駆動車10のフレーム18に設けられ、第1回転体24に回転力を伝達するように構成される。
【0037】
モータ40は、ハウジング42Aに設けられる。ハウジング42Aは、フレーム18に設けられる。ハウジング42Aは、例えばフレーム18に着脱可能に取り付けられる。モータ40およびモータ40が設けられるハウジング42Aを含んで、ドライブユニット42が構成される。本実施形態では、モータ40と入力回転軸12Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、人力駆動車10が前進する方向に入力回転軸12Aが回転する場合にクランク12の回転力のモータ40への伝達を抑制する第3ワンウェイクラッチが設けられる。後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つにモータ40が設けられる場合、モータ40は、ハブに設けられて、ハブと共にハブモータを構成してもよい。
【0038】
図2に示されるように、第2制御部66は、予め定める制御プログラムを実行する第2演算部66Aを含む。制御プログラムは、第1プログラムおよび第2プログラムを含む。第1プログラムは、人力駆動車10の運転に関係する運転情報に基づいてモータ40が動作するように駆動回路70を動作させるように構成される。運転情報は、人力駆動力、人力駆動車10の車速、人力駆動車10の加速度、および、蓄電部86の残量の少なくとも1つを含む。第2プログラムは、第2制御部66と蓄電部86との間で通信が成立するように第2通信部68を動作させるように構成される。また、第2プログラムは、第2制御部66と電子デバイス92との間で通信が成立するように第2通信部68を動作させるように構成される。
【0039】
第2制御部66に含まれる第2演算部66Aは、例えばCPUまたはMPUを含む。第2制御部66に含まれる第2演算部66Aは、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。第2制御部66は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、第2制御部66は、第2記憶部66Bをさらに含む。第2記憶部66Bには、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。第2記憶部66Bは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0040】
第2制御部66は、モータ40の駆動回路70をさらに備えてもよい。一例では、第2制御部66は、ドライブユニット42のハウジング42Aに設けられる。駆動回路70は、第2制御部66の回路基板に設けられてもよい。駆動回路70は、インバータ回路を含む。駆動回路70は、蓄電部86からモータ40に供給される電力を制御する。駆動回路70は、第2制御部66からの制御信号に応じてモータ40を駆動させる。
【0041】
第2通信部68は、第2制御部66と蓄電部86とが通信するように構成される。第2制御部66は第2通信部68を通じてネットワークNを介して蓄電部86に接続される。ネットワークNとしては、例えば、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver / Transmitter)が挙げられる。また、第2通信部68は、第2制御部66と電子デバイス92とが通信するように構成されてもよい。第2制御部66は第2通信部68を介して有線または無線によって電子デバイス92に接続されてもよい。電子デバイス92は、サイクルコンピュータ、および、スマートフォンの少なくとも1つを含む。例えば、第2制御部66は、有線によってサイクルコンピュータに接続される。第2制御部66は、無線によってスマートフォンに接続される。無線通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、および、RFID(Radio Frequency Identification)の少なくとも1つを含む。
【0042】
人力駆動車10は、蓄電部86をさらに含む。蓄電部86は、制御装置60に電力を供給するように構成される。蓄電部86はネットワークNを介して第2制御部66と通信可能に構成される。
【0043】
人力駆動車10は、燃料電池80を含む。燃料電池80は、燃料貯蔵部82および発電部84を有する。燃料電池80は、蓄電部86を含んでもよい。燃料貯蔵部82は、発電用の燃料を貯蔵する。燃料貯蔵部82は、フレーム18に取り付けられる。燃料貯蔵部82は、樹脂または金属によって構成される。燃料貯蔵部82は、炭素繊維強化プラスチックによって強化されてもよい。燃料の例として、水素等が挙げられる。発電部84は、燃料と酸素または空気とを反応させることによって発電する。発電部84によって形成される電力は、モータ40および蓄電部86の少なくとも1つに供給される。
【0044】
例えば、発電部84は、スタックを備える。スタックは、複数のセルが積層されることによって構成される。複数のセルは、互いに電気的に直列接続される。例えば、各セルは、シート状の膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode Gas-diffusion Assembly)と、膜電極ガス拡散層接合体の周縁部に接合される樹脂プレートと、導電性を有する板状の一対のセパレータと、を備える。セパレータは、膜電極ガス拡散層接合体および樹脂プレートを厚さ方向に挟む。スタックの種類および材料は、適宜変更できる。スタックの形状、数、および、セルの積層方向は、発電部84の外形に応じて適宜変更できる。
【0045】
発電部84は、スタックに酸素を含む空気を供給するコンプレッサを備えてもよい。燃料貯蔵部82から供給される水素と、コンプレッサから供給される酸素とがスタック内において化学反応することによって、電気エネルギが生成される。コンプレッサは、発電部84から生成される電気エネルギによって駆動するように構成されてもよい。例えば、発電部84は、コンプレッサがスタックよりも人力駆動車10の前方に設けられるように構成される。燃料貯蔵部82からスタックまでの燃料の供給経路には、水素の供給量を調整する電磁弁が設けられてもよい。発電部84は、スタックを冷却する冷却部を備えてもよい。例えば、冷却部は、冷媒または水を循環させる流路を備える。発電部84には、スタックの排気を排出する排出経路が設けられてもよい。例えば、スタックは、DC/DCコンバータを介して蓄電部86と電気的に接続される。DC/DCコンバータは、発電部84に設けられてもよく、蓄電部86に設けられてもよい。スタックによって発電された直流電力は、DC/DCコンバータによって所定の電圧まで降圧された後、蓄電部86に供給される。
【0046】
図2を参照して、制御システム50、および、制御装置60を説明する。
制御システム50は、人力駆動車用の制御システムである。制御システム50は、制御装置60と、電子デバイス92と、を備える。
【0047】
制御装置60は、人力駆動車用の制御装置60である。制御装置60は、外部装置100と通信可能に構成される第1通信部64と、第1通信部64を制御する第1制御部62と、を備える。
【0048】
第1通信部64は、第1制御部62と外部装置100とが通信するように構成される。第1制御部62と外部装置100とは、直接に無線または有線によって接続される。無線通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、および、RFIDの少なくとも1つを含む。第1制御部62と外部装置100とは、ネットワークNとは別の外部ネットワークを介して互いに接続されてもよい。外部ネットワークは、インターネット、および、ローカルエリアネットワークを含む。
【0049】
第1制御部62は、燃料電池80に関する第1情報を外部装置100に送信するように第1通信部64を制御する。外部装置100は、燃料電池80に燃料を供給する燃料供給装置102を含む。
【0050】
第1情報は、燃料貯蔵部82の圧力、燃料貯蔵部82内の燃料の質量、燃料貯蔵部82の定格値、燃料貯蔵部82の保守情報、および、発電部84の発電情報の少なくとも1つを含む。燃料貯蔵部82の定格値は、燃料貯蔵部82の容量および空状態の燃料貯蔵部82の質量を含む。燃料貯蔵部82の保守情報は、燃料貯蔵部82の充填可能期限の情報を含む。発電部84の発電情報は、発電部84における発電量を含む。
【0051】
第1情報は、燃料貯蔵部82の圧力、燃料貯蔵部82内の燃料の質量、燃料貯蔵部82の定格値、燃料貯蔵部82の保守情報、発電部84の発電情報、および、蓄電部86の蓄電量の少なくとも1つを含でもよい。
【0052】
第1制御部62は、第1通信部64が外部装置100とは異なる電子デバイス92と通信するように第1通信部64を制御してもよい。一例では、第1制御部62は、第1通信部64が第1情報を電子デバイス92に送信するように第1通信部64を制御する。例えば、電子デバイス92は、サイクルコンピュータ、および、スマートフォンの少なくとも1つを含む。
【0053】
第1制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する第1演算部62Aを含む。制御プログラムは、第1情報を電子デバイス92に送信するように第1通信部64を動作させるように、構成される。第1制御部62に含まれる第1演算部62Aは、例えばCPUまたはMPUを含む。第1制御部62に含まれる第1演算部62Aは、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。第1制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、第1制御部62は、第1記憶部62Bをさらに含む。第1記憶部62Bには、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。第1記憶部62Bは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0054】
電子デバイス92は、第1通信部64から送信される第1情報を処理する情報処理アプリケーションを動作させる演算部92Aと、表示部92Bと、を備える。情報処理アプリケーションは、第1情報に基づいてグラフィックデータを形成し、グラフィックデータを表示部92Bに表示させる。表示部92Bは、液晶表示パネル、および、有機ELパネルの少なくとも1つを含む。
【0055】
例えば、電子デバイス92は、制御システム50の第1制御部62から第1情報を受けることによって次のように動作する。電子デバイス92は、人力駆動車10の燃料貯蔵部82の圧力を表示する。電子デバイス92は、人力駆動車10の燃料貯蔵部82の圧力が正常か否かを判定して、判定結果を表示してもよい。電子デバイス92は、人力駆動車10の燃料貯蔵部82内の燃料の質量を表示する。電子デバイス92は、人力駆動車10の燃料貯蔵部82内の燃料の質量と空状態の燃料貯蔵部82の質量とに基づいて、燃料の残量を満充電に対する比率を残量として表示してもよい。電子デバイス92は、燃料貯蔵部82の定格値、燃料貯蔵部82の保守情報、および、発電部84による発電量を表示する。
【0056】
演算部92Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算部92Aは、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。演算部92Aは、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0057】
電子デバイス92は、記憶部92Cをさらに含んでいてもよい。記憶部92Cには、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。例えば、記憶部92Cには、情報処理アプリケーションが記憶される。記憶部92Cには、第1情報が記憶される。記憶部92Cには、第1情報に基づいて形成されたグラフィックデータが記憶される。記憶部92Cは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0058】
制御装置60は、気圧センサ74を含んでもよい。気圧センサ74は、燃料貯蔵部82の本体部82Aと充填口96Aとを接続する内部通路90の圧力を測定する。気圧センサ74は、第1制御部62の指令に基づいて測定した圧力を圧力データとして出力する。例えば、第1制御部62は、燃料貯蔵部82と燃料供給装置102とが接続されるとき、気圧センサ74に内部通路90の圧力を測定するように指令し、気圧センサ74から内部通路90の圧力を取得する。燃料貯蔵部82と燃料供給装置102とが接続されるときの内部通路90の圧力は、実質的に、燃料貯蔵部82の圧力と見做すことができる。第1制御部62は、燃料供給装置102から燃料貯蔵部82に燃料が連続的に供給される期間にわたって、周期的に、気圧センサ74から圧力データを取得する。圧力データは、第1記憶部62Bに記憶される。
【0059】
制御装置60は、燃料貯蔵部82の重量を測定する重量測定部88を含んでもよい。重量測定部88は、少なくとも1つのロードセル88Aおよび演算部88Bを有する。燃料貯蔵部82は、少なくとも1つのロードセル88Aによって支持される。一例では、燃料貯蔵部82は、燃料貯蔵部82の下端部が上下に移動可能であり、かつ、燃料貯蔵部82の上端部はフレーム18から外れないように、フレーム18に取り付けられる。燃料貯蔵部82の下端部はロードセル88Aによって支持される。燃料貯蔵部82の重さはロードセル88Aに加わる。ロードセル88Aは、燃料貯蔵部82の重さを測定する。燃料貯蔵部82の重さは、燃料貯蔵部82自体の質量と燃料の質量との合計に関係する。重量測定部88は、周期的に、燃料貯蔵部82の重量を測定してもよい。重量測定部88は、人力駆動車10の走行停止時に、燃料貯蔵部82の重量を測定してもよい。
【0060】
一例では、図3に示されるように、燃料貯蔵部82は、燃料貯蔵部82の重量に基づいて上下に変位するように、収容部51に収容される。収容部51は、人力駆動車10のフレーム18に設けられる。収容部51は、燃料貯蔵部82が斜めに配置されるように構成される。収容部51の上端部には、燃料貯蔵部82の上端面の中心部82Xに係合するガイド52が設けられる。ガイド52は、係合部53を有する。係合部53は、燃料貯蔵部82の上端面の中心部82Xに係合する。係合部53は、燃料貯蔵部82の中心部82Xを中心として燃料貯蔵部82を回転可能に保持する。このようにして、燃料貯蔵部82は、燃料貯蔵部82の下部が燃料貯蔵部82の重量に基づいて上下方向に変位するように収容部51に収容される。収容部51の底部には、重量測定部88が設けられる。燃料貯蔵部82の底部は、燃料貯蔵部82が収容部51に収容された状態において、重量測定部88に接触する。重量測定部88には、燃料貯蔵部82の重量に基づく力が加わる。さらに、収容部51には、脱落防止用与圧装置55が設けられてもよい。脱落防止用与圧装置55は、燃料貯蔵部82が収容部51に収容された収容状態において、燃料貯蔵部82の上に配置される。脱落防止用与圧装置55は、燃料貯蔵部82の収容状態において、燃料貯蔵部82が所定収容位置から上昇するときに、燃料貯蔵部82を所定収容位置に戻すように圧力を加える。例えば、脱落防止用与圧装置55は、弾性部材によって構成される。脱落防止用与圧装置55は、ショックアブソーバによって構成されてもよい。
【0061】
燃料の質量は、燃料貯蔵部82の重量変化に基づいて算出される。例えば、第1演算部62Aは、空状態の燃料貯蔵部82の重量と、重量測定部88によって測定された燃料貯蔵部82の重量との差分を算出する。第1演算部62Aは、その差分を所定の換算式に代入することによって、燃料の質量を算出する。
【0062】
第1制御部62および第2制御部66は、それぞれ独立して構成される。具体的には、第1制御部62は、第2制御部66が設けられる基板と異なる基板に設けられる。人力駆動車10において第1制御部62は、第2制御部66と異なる場所に設けられる。第1通信部64および第2通信部68は、それぞれ独立して構成される。具体的には、第1通信部64は、第2通信部68が設けられる基板と異なる基板に設けられる。人力駆動車10において第1通信部64は、第2通信部68と異なる場所に設けられる。
【0063】
<第2実施形態>
図4から図9を参照して、燃料供給装置102および燃料供給システム104について説明する。第2実施形態に示される人力駆動車10に関して第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
図4に示されるように、燃料供給システム104は、燃料供給装置102を含む。燃料供給装置102は、人力駆動車10の制御装置60と通信するように構成される。人力駆動車10は、燃料電池80を含む。燃料電池80は、燃料貯蔵部82および発電部84を有する。燃料貯蔵部82は、燃料充填部96を有する。
【0065】
図5に示されるように、燃料充填部96は、燃料が通る充填口96Aと、第1接続端子96Bと第2接続端子96Cとを備える。充填口96Aは、燃料供給装置102のノズル124の供給口124Aに嵌合するように構成される。
【0066】
人力駆動車10は、第1タイプの制御装置60A、および、第2タイプの制御装置60Bのいずれかを備える。第1タイプの制御装置60Aは、通信手段を有する。第2タイプの制御装置60Bは、通信手段を有しない。
【0067】
図8には、第1タイプの制御装置60Aが部分的に示される。第1タイプの制御装置60Aは、第1制御部62と、第1通信部64と、を備える。第1制御部62の構成の一例は、第1実施形態の第1制御部62の構成と同じである。第1通信部64の構成の一例は、第1実施形態の第1通信部64の構成と同じである。第1タイプの制御装置60Aは、信号を第1接続端子96Bおよび第2接続端子96Cを介して出力する。
【0068】
図8に示されるように、第1タイプの制御装置60Aでは、第1接続端子96Bおよび第2接続端子96Cは、第1通信部64に接続される。第1通信部64は、基準電圧Vaに設定される配線とグランドとに接続される。第1通信部64は、信号を第1接続端子96Bを介して燃料供給装置102に送信するように構成される。第2接続端子96Cは、グランドに接続される。
【0069】
図9には、第2タイプの制御装置60Bが部分的に示される。第2タイプの制御装置60Bは、第1制御部62を備える。第2タイプの制御装置60Bは、ダミー回路部94を備える。第2タイプの制御装置60Bの第1制御部62は、第1タイプの制御装置60Aの第1制御部62と同じである。第2タイプの制御装置60Bは、第1通信部64に相当するような通信部を有しない。
【0070】
ダミー回路部94は、燃料供給装置102に接続可能に構成される。ダミー回路部94と燃料供給装置102とは、有線によって接続される。ダミー回路部94は、燃料供給装置102との接続によって所定部分の電位を燃料供給装置102に検出させるように構成される。例えば、ダミー回路部94は、燃料供給装置102との接続によって、第1接続端子96Bの電位および第2接続端子96Cの電位を燃料供給装置102に検出させるように構成される。
【0071】
図9に示されるように、第2タイプの制御装置60Bでは、第1接続端子96Bおよび第2接続端子96Cは、ダミー回路部94に接続される。ダミー回路部94は、第1接続端子96Bおよび第2接続端子96Cをグランドに接続するように構成される。
【0072】
図6を参照して、燃料供給装置102を説明する。燃料供給装置102は、人力駆動車10に含まれる燃料電池80に燃料を供給する。燃料電池80は、燃料貯蔵部82および発電部84を含む。
【0073】
燃料供給装置102は、第1供給制御を実行するように構成される第3制御部110を備える。第3制御部110は、燃料供給装置102の制御部である。燃料供給装置102は、第3通信部112をさらに備える。第3通信部112は、人力駆動車10の制御装置60の第1通信部64と通信可能に構成される。
【0074】
燃料供給装置102は、さらに、燃料供給を制御する燃料供給部120と、配管122と、配管122の先端に設けられるノズル124と、を備える。燃料供給部120は、第3制御部110の指令によって燃料の供給を調整する。
【0075】
燃料供給装置102は、気圧センサ126をさらに備える。気圧センサ126は、燃料供給通路118に設けられる。燃料供給通路118は、燃料供給装置102と燃料貯蔵部82との間に構成される通路である。具体的には、燃料供給通路118は、燃料タンク128の出口からノズル124までの間の通路である。
【0076】
図7に示されるように、ノズル124は、燃料が吐出する供給口124Aと、第3接続端子124Bと、第4接続端子124Cと、備える。第3接続端子124Bは、人力駆動車10の燃料貯蔵部82の燃料充填部96の第1接続端子96Bに接続されるように構成される。第4接続端子124Cは、人力駆動車10の燃料貯蔵部82の燃料充填部96の第2接続端子96Cに接続されるように構成される。
【0077】
第3制御部110は、第1供給制御において、燃料電池80に関する第1情報に基づき、燃料貯蔵部82に燃料を供給するように燃料供給装置102の燃料供給部120を制御する。
【0078】
第3制御部110は、人力駆動車10の制御装置60と通信するように第3通信部112を制御する。第3制御部110は、第1情報を、人力駆動車10に設けられる人力駆動車用の制御装置60から取得するように構成される。第1情報は、燃料貯蔵部82の圧力、燃料貯蔵部82内の燃料の質量、燃料貯蔵部82の定格値、および、燃料貯蔵部82の保守情報の少なくとも1つを含む。
【0079】
例えば、第3制御部110は、人力駆動車用の制御装置60から第1情報を受けることによって次のように動作する。
第3制御部110は、人力駆動車10の燃料貯蔵部82の圧力に基づいて、燃料貯蔵部82に供給する燃料の量を調整する。第3制御部110は、人力駆動車10の燃料貯蔵部82内の燃料の質量に基づいて、燃料貯蔵部82に供給する燃料の量を調整する。第3制御部110は、燃料貯蔵部82の容量に基づいて、燃料貯蔵部82に供給する燃料の量を制限する。第3制御部110は、燃料貯蔵部82の充填可能期限に基づいて、燃料貯蔵部82への燃料供給の可否を判定する。
【0080】
第3制御部110は、予め定める制御プログラムを実行する第3演算部114を含む。制御プログラムは、第1情報を受信するように第3通信部112を動作させるように構成される。第3制御部110に含まれる第3演算部114は、例えばCPUまたはMPUを含む。第3制御部110に含まれる第3演算部114は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。第3制御部110は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、第3制御部110は、第3記憶部116をさらに含む。第3記憶部116には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。第3記憶部116は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0081】
第3制御部110は、第2情報を、第3通信部112を介して人力駆動車10に設けられる人力駆動車用の制御装置60に送信するように構成されてもよい。第2情報は、燃料の供給量、および、燃料供給通路118の圧力の少なくとも1つを含む。
【0082】
第3制御部110は、第1供給制御に加えて、第2供給制御を実行するように構成されてもよい。第3制御部110は、第2供給制御において、燃料供給通路118の圧力に基づき、燃料貯蔵部82に燃料を供給するように燃料供給部120を制御する。
【0083】
第3制御部110は、人力駆動車用の制御装置60と通信できるか否かを判定するように構成される判定部130を含む。判定部130は、燃料供給装置102と人力駆動車用の制御装置60との接続によって人力駆動車用の制御装置60に設けられるダミー回路部94の所定部分の電位を検出することによって、人力駆動車用の制御装置60と通信できないと判定する。
【0084】
図8および図9を参照して、判定部130およびその周辺の回路構造の一例を説明する。図8は、燃料供給装置102と人力駆動車用の第1タイプの制御装置60Aとが接続されているときの、両装置102,60Aの接続関係を示す回路図である。具体的には、図8は、燃料供給装置102の判定部130と人力駆動車用の制御装置60Aの第1通信部64とが接続された状態の回路図を示す。図9は、燃料供給装置102と人力駆動車用の第2タイプの制御装置60Bとが接続されているときの、両装置102,60の接続関係を示す回路図である。具体的には、図9は、燃料供給装置102の判定部130と人力駆動車用の制御装置60Bのダミー回路部94とが接続された状態の回路図を示す。
【0085】
第3接続端子124Bは、処理部134に接続される。第3接続端子124Bは、抵抗130Aを介して基準電圧Vaに接続される。第4接続端子124Cは、処理部134に接続される。
【0086】
判定部130は、第3接続端子124Bおよび第4接続端子124Cの信号を受けるように構成される。判定部130は、第3接続端子124Bから受ける信号と第4接続端子124Cから受ける信号との差分の大きさに基づいて、第3接続端子124Bから所定の信号を受けているか否かを判定するように構成される。
【0087】
一例では、判定部130は、コンパレータによって構成される。第3接続端子124Bは、判定部130の第1入力部132Aに接続される。第4接続端子124Cは、参照電位を形成する参照電位形成部130Bを介して判定部130の第2入力部132Bに接続される。
【0088】
図9の場合、第3接続端子124Bおよび第4接続端子124Cがともにグランドの電位である。この場合、判定部130は、第3接続端子124Bから受ける信号と第4接続端子124Cから受ける信号との差分として、参照電位を検出する。判定部130は、第3接続端子124Bから信号が流れていないことを示す第1所定信号を出力部132Cから出力する。第1所定信号は、人力駆動車10の制御装置60と通信できないことを示す信号である。
【0089】
図8の場合、第3接続端子124Bに信号が流れる。この場合、判定部130は、第3接続端子124Bから受ける信号と第4接続端子124Cから受ける信号との差分が参照電位よりも小さいことを検出する。判定部130は、第3接続端子124Bから通信に関する信号が流れていることを示す第2所定信号を出力部132Cから出力する。第2所定信号は、人力駆動車10の制御装置60と通信できることを示す信号である。
【0090】
判定部130は、燃料供給装置102に第1タイプの制御装置60Aが接続される場合、第1タイプの制御装置60Aと通信できると判定する。判定部130は、燃料供給装置102に第2タイプの制御装置60Bが接続される場合、第2タイプの制御装置60Bと通信できないと判定する。
【0091】
第3制御部110は、判定部130の判定結果に基づいて所定処理を実行するように構成される処理部134を備える。処理部134は、判定部130から、人力駆動車10の制御装置60と通信できるか否かの信号として、第1所定信号および第2所定信号を受ける。処理部134は、人力駆動車用の制御装置60と通信できない場合、燃料供給通路118の圧力を検出するように構成される。例えば、処理部134は、人力駆動車用の制御装置60と通信できない場合、気圧センサ126に指令することによって燃料供給通路118に圧力を検出させる。処理部134は、人力駆動車用の制御装置60と通信できる場合、第1情報を人力駆動車用の制御装置60から取得するように構成される。例えば、処理部134は、人力駆動車用の制御装置60と通信できる場合、第3通信部112に指令し、第3通信部112と人力駆動車用の制御装置60の第1通信部64とを通信させることによって、第1情報を制御装置60から取得する。
【0092】
第3制御部110は、人力駆動車10の制御装置60から第1情報が取得できない場合、燃料供給通路118の圧力を取得し、燃料供給通路118の圧力に基づいて燃料の供給を制御する。第3制御部110は、人力駆動車10の制御装置60から第1情報が取得できる場合、第1情報に基づいて燃料の供給を制御する。
【0093】
<変形例>
第1実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御システムは、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
・第2実施形態に関する説明は、本開示に従う燃料供給装置および燃料供給システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の燃料供給装置および燃料供給システムは、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
・第1実施形態において、制御装置60は、第2制御部66を備えなくてもよい。
・第1実施形態において、第1制御部62および第2制御部66が一体として構成されてもよい。具体的には、第1制御部62は、第2制御部66が設けられる基板と同じ基板に設けられる。人力駆動車10において第1制御部62は、第2制御部66と同じ場所に設けられる。第1通信部64および第2通信部68が一体として構成されてもよい。具体的には、第1通信部64は、第2通信部68が設けられる基板と同じ基板に設けられる。人力駆動車10において第1通信部64は、第2通信部68と同じ場所に設けられる。
【0096】
・第2実施形態において、燃料供給装置102と人力駆動車10の制御装置60とが通信できるか否かを判定する判定部130の構成として、コンパレータを挙げているが、判定部130の構成はこれに限定されない。例えば、判定部130は、燃料供給装置102から人力駆動車用の制御装置60に送信される送信信号に対する制御装置60の応答の有無に基づいて、燃料供給装置102と人力駆動車用の制御装置60とが通信できるか否かを判定するように構成されてもよい。
【0097】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0098】
10…人力駆動車、40…モータ、50…制御システム、60,60A,60B…制御装置、62…第1制御部、64…第1通信部、66…第2制御部、68…第2通信部、80…燃料電池、82…燃料貯蔵部、84…発電部、86…蓄電部、92…電子デバイス、92A…演算部、92B…表示部、94…ダミー回路部、100…外部装置、102…燃料供給装置、104…燃料供給システム、110…第3制御部、118…燃料供給通路、120…燃料供給部、130…判定部、134…処理部。
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