(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000652
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221222BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A41D13/11 B
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101600
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】森浦 理
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】マスク本体部の端部と着用者の肌との間の隙間を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】マスク1は、マスク本体部10と左耳掛部201と右耳掛部202とを有する。左耳掛部201および右耳掛部202は、基部22と耳掛本体部23とを有する。基部22は、上下方向に延びる帯状であり、マスク本体部10に接合されている。耳掛本体部23は、両端部が基部22の両端部と接合されている。基部22は、接合ゾーン25を有する。接合ゾーン25は、接合ゾーン25の上端に位置する上端接合ゾーン31と、接合ゾーン25の下端に位置する下端接合ゾーン33とを有する。左耳掛部201における上端接合ゾーン31の右端部35aは、上側に向かうほど左側に寄っている。左耳掛部201における下端接合ゾーン33の右端部35bは、下側に向かうほど左側に寄っている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクであって、
左右方向および左右方向に直交する上下方向に広がりを有し、前記左右方向に延びる複数のプリーツを有するマスク本体部と、
前記マスク本体部の左端部に取り付けられている左耳掛部と、
前記マスク本体部の右端部に取り付けられている右耳掛部と、
を備え、
前記左耳掛部および前記右耳掛部は、
前記上下方向に延びており、前記マスク本体部に接合されている帯状の基部と、
両端部が前記基部の両端部とそれぞれ接合されている耳掛本体部と、
をそれぞれ有し、
前記基部は、前記マスク本体に接合される接合ゾーンを有し、
前記接合ゾーンは、前記接合ゾーンの上端に位置する上端接合ゾーンと、前記接合ゾーンの下端に位置する下端接合ゾーンと、を有し、
前記左耳掛部における前記上端接合ゾーンの右端部は、上側に向かうほど左側に寄っており、
前記左耳掛部における前記下端接合ゾーンの右端部は、下側に向かうほど左側に寄っている、マスク。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクであって、
前記右耳掛部における前記上端接合ゾーンの左端部は、上側に向かうほど右側に寄っており、
前記右耳掛部における前記下端接合ゾーンの左端部は、下側に向かうほど右側に寄っている、マスク。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマスクであって、
前記基部が、前記マスク本体部の外側の面に接合されている、マスク。
【請求項4】
請求項3に記載のマスクであって、
前記基部は、前記マスク本体部よりも前記上下方向に長い、マスク。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマスクであって、
前記マスク本体部が、前記基部と前記耳掛本体部の間に配置されている、マスク。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマスクであって、
前記左耳掛部において、前記接合ゾーンは、
前記上下方向に延びる第1列接合領域と、
前記上下方向に延びており、前記第1列接合領域よりも右側に位置する第2列接合領域と、
を有し、
前記第1列接合領域の上端は、前記第2列接合領域の上端よりも上側に位置する、マスク。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマスクであって、
前記左耳掛部において、前記上下方向に対して前記上端接合ゾーンの右端部がなす鋭角の第1角度が、前記上下方向に対して前記下端接合ゾーンの右端部がなす鋭角の第2角度とは異なる、マスク。
【請求項8】
請求項7に記載のマスクであって、
前記第1角度が、前記第2角度よりも大きい、マスク。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のマスクであって、
前記第1角度が30°以上40°以下である、マスク。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のマスクであって、
前記第2角度が25°以上35°以下である、マスク。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のマスクであって、
前記耳掛本体部は、
帯状のシート部材と、
前記シート部材に接合されており、互いに平行に配置されている複数本の糸ゴムと、
を有する、マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の口や鼻を覆うマスクが知られている。例えば、特許文献1に記載されているマスクは、着用者の口や鼻を覆うマスク本体部と、着用者の左右の耳に掛けられる一対の耳掛部(ゴム紐)と備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマスクの場合、着用された際に、マスク本体部における、左耳掛部に接合された部分および右耳掛部に接合された部分が、左方向および右方向にそれぞれ引っ張られることにより、マスク本体部が着用者側に押さえつけられる。しかしながら、左耳掛部および右耳掛部がマスク本体部を上方向および下方向に引く力が比較的弱いため、マスク本体部と着用者の肌との間の隙間を低減することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、マスク本体部の端部と着用者の肌との間の隙間を低減することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、マスクであって、左右方向および左右方向に直交する上下方向に広がりを有し、前記左右方向に延びる複数のプリーツを有するマスク本体部と、前記マスク本体部の左端部に取り付けられている左耳掛部と、前記マスク本体部の右端部に取り付けられている右耳掛部と、を備え、前記左耳掛部および前記右耳掛部は、前記上下方向に延びており、前記マスク本体部に接合されている帯状の基部と、両端部が前記基部の両端部とそれぞれ接合されている耳掛本体部と、をそれぞれ有し、前記基部は、前記マスク本体に接合される接合ゾーンを有し、前記接合ゾーンは、前記接合ゾーンの上端に位置する上端接合ゾーンと、前記接合ゾーンの下端に位置する下端接合ゾーンと、を有し、前記左耳掛部における前記上端接合ゾーンの右端部は、上側に向かうほど左側に寄っており、前記左耳掛部における前記下端接合ゾーンの右端部は、下側に向かうほど左側に寄っている。
【0007】
第2態様は、第1態様のマスクであって、前記右耳掛部における前記上端接合ゾーンの左端部は、上側に向かうほど右側に寄っており、前記右耳掛部における前記下端接合ゾーンの左端部は、下側に向かうほど右側に寄っている。
【0008】
第3態様は、第1態様または第2態様のマスクであって、前記基部が、前記マスク本体部の外側の面に接合されている。
【0009】
第4態様は、第3態様のマスクであって、前記基部は、前記マスク本体部よりも前記上下方向に長い。
【0010】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つのマスクであって、前記マスク本体部が、前記基部と前記耳掛本体部の間に配置されている。
【0011】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つのマスクであって、前記左耳掛部において、前記接合ゾーンは、前記上下方向に延びる第1列接合領域と、前記上下方向に延びており、前記第1列接合領域よりも右側に位置する第2列接合領域と、を有し、前記第1列接合領域の上端は、前記第2列接合領域の上端よりも上側に位置する。
【0012】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つのマスクであって、前記左耳掛部において、前記上下方向に対して前記上端接合ゾーンの右端部がなす鋭角の第1角度が、前記上下方向に対して前記下端接合ゾーンの右端部がなす鋭角の第2角度とは異なる。
【0013】
第8態様は、第7態様のマスクであって、前記第1角度が、前記第2角度よりも大きい。
【0014】
第9態様は、第7態様または第8態様のマスクであって、前記第1角度が30°以上40°以下である。
【0015】
第10態様は、第7態様から第9態様のいずれか1つのマスクであって、前記第2角度が25°以上35°以下である。
【0016】
第11態様は、第1態様から第10態様のいずれか1つのマスクであって、前記耳掛本体部は、帯状のシート部材と、前記シート部材に接合されており、互いに平行に配置されている複数本の糸ゴムとを有する。
【発明の効果】
【0017】
第1態様から第11態様のマスクによると、左耳掛部における上端接合ゾーンおよび下端接合ゾーンに角度を付けることによって、マスク着用時に、マスク本体部における上端接合ゾーンに接合された部分および下端接合ゾーンに接合された部分を、上方および下方へそれぞれ引くことができる。これにより、マスク着用時に、マスク本体部の左端部を上方向および下方向に引っ張ることができるため、マスク本体部の左端部と着用者の肌との間の隙間を低減できる。
【0018】
第2態様のマスクによると、マスク本体部の右端部と着用者の肌との間の隙間を低減できる。
【0019】
第3態様のマスクによると、マスク着用時に、基部の上端部および下端部の接合されていない部分が、耳掛本体部に引っ張られて折り返される。これにより、帯状の基部の上端部および下端部が、マスク本体部を着用者の肌に押し当てる。したがって、マスク本体部の端部と着用者の肌との間の隙間を低減できる。
【0020】
第8態様のマスクによると、左耳掛部を着用者の耳に掛けた際に、マスク本体部の左端部を上下にバランス良く引っ張ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】
図1に示すマスク1の左耳掛部201を拡大して示す正面図である。
【
図5】
図1に示すマスク1の着用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0023】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係るマスク1の正面図である。
図2は、
図1に示すマスク1の裏面図である。
図3は、
図1に示すマスク1の概略断面図である。
図4は、
図1に示すマスク1の左耳掛部201を拡大して示す正面図である。
図5は、
図1に示すマスク1の着用例を示す図である。
【0024】
図1~
図5には、「左右方向」または「上下方向」を図示している。これらの方向は、マスク1を着用する着用者9の側から見た左右方向および上下方向に対応している。左右方向は、マスク本体部10の長手方向(幅方向)に対応している。また、上下方向は、マスク本体部10の長手方向に直交する方向(縦方向)に対応している。
図1はマスク1の外側(着用者9とは反対側)を示しており、
図2は、マスク1の内側(着用者側)を示している。このため、
図1および
図2間において、「左」および「右」の向きは逆転している。
【0025】
図1および
図2に示すように、上下方向と平行な直線であって、マスク本体部10の左右方向(幅方向)の中心を通る中心線CL1を想定する。そして、当該中心線CL1に近づく方向を「左右方向内方」とし、当該中心線CL1から離れる方向を「左右方向外方」とする。
【0026】
マスク1は、例えば、1回または複数回使用して廃棄される使い捨てマスクである。マスク1は、花粉対策、風邪などのウイルス対策、口腔内または鼻腔内の保湿などの用途で使用可能である。
【0027】
図1~
図3に示すように、マスク1は、マスク本体部10を備える。マスク1が着用者9に着用された場合(マスク着用時)に、マスク本体部10は、着用者9の口や鼻を覆うように設計されている(
図5参照)。
図1および
図2に示すように、マスク本体部10は、上下方向および左右方向に広がりを有している。
【0028】
マスク本体部10は、1枚以上のシートを互いに重ね合わせて構成されるシート部材11で形成されている。
図3に示すように、シート部材11は、内層シート111と、外層シート112と、中間シート113とを有する。内層シート111は、着用者側に配置されている。外層シート112は、着用者側とは反対側の非着用者側(外側)に配置されている。中間シート113は、内層シート111と外層シート112との間に配置されている。
【0029】
内層シート111および外層シート112は、例えば、熱融着性繊維を含み、通気性を有する不織布シートである。なお、内層シート111、外層シート112は、織布であってもよい。中間シート113は、フィルタ機能などの機能性を有していてもよい。
【0030】
図3に示すように、内層シート111は、マスク本体部10の上端および下端において、外側に折り返され、外層シート112上に重ねられている。内層シート111の折り返された部分は、外層シート112と接合されている。
【0031】
図1に示すように、マスク本体部10は、左右に直線状に延びる保形ワイヤー13を有する。保形ワイヤー13は、着用者9の鼻の表面に沿うように変形されることによって、マスク本体部10を鼻表面に沿った形状に保持する。保形ワイヤー13は、内層シート111と外層シート112との間に配置される。
【0032】
図1~
図3に示すように、マスク本体部10は、左右方向に延びる3つのプリーツ13a,13b,13cを有する。プリーツ13a,13b,13cは、上側から下側にかけて順に間隔をあけて配置されている。プリーツ13a,13b,13cは、シート部材11が、左右方向に延びる一対の折り目131,131で上方向および下方向にそれぞれ折り返されることにより形成されている。
【0033】
図3に示すように、マスク本体部10は、3つの重複部分15a,15b,15cと、2つの非重複部分17a,17bとを有する。重複部分15a,15b,15cは、プリーツ13a,13b,13cにそれぞれ対応する部分である。すなわち、重複部分15a,15b,15cは、シート部材11が一対の折り目131,131にて上方向および下方向に折り返されることによって形成されている。重複部分15a,15b,15cは、マスク本体部10の厚さ方向にシート部材11が2重以上(ここでは、3重)に重なった部分である。3つの重複部分15a,15b,15cは、上下方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0034】
図3に示すように、非重複部分17aは上下に隣接する一対の重複部分15a,15bの間に、非重複部分17bは上下に隣接する一対の重複部分15b,15cの間に、それぞれ配置されている。非重複部分17a,17bは、厚さ方向にシート部材11が重ねられていない部分(すなわち、シート部材11が1重の部分)である。
【0035】
なお、マスク本体部10は、重複部分を2つのみ有しており、かつ、その2つの重複部分の間に非重複部分を1つのみ有していてもよい。また、マスク本体部10は、4つ以上の重複部分を有していてもよい。また、マスク本体部10は、3つ以上の非重複部分を有していてもよい。
【0036】
図1および
図2に示すように、マスク1は、左耳掛部201および右耳掛部202(一対の耳掛部)を有する。左耳掛部201はマスク本体部10の左端部に、右耳掛部202はマスク本体部10の右端部に、それぞれ取り付けられている。マスク着用時には、左耳掛部201は着用者9の左耳に、右耳掛部202は着用者9の右耳に、それぞれ掛けられる(
図5参照)。左耳掛部201および右耳掛部202は、基部22と、耳掛本体部23とをそれぞれ有する。
【0037】
なお、右耳掛部202は、左耳掛部201を左右反転させた構成を有している。このため、以下の説明では、左耳掛部201の構成について主に説明し、右耳掛部202の詳細な説明を省略する場合がある。
【0038】
図1または
図4に示すように、基部22は、上下方向に延びる帯状である。
図1に示すように、左耳掛部201の基部22は、マスク本体部10の外側面10Sに接合されている。すなわち、基部22は、マスク本体部10の外層シート112に接合されている。基部22は、例えば、熱融着性を有する繊維で構成された不織布である。
【0039】
耳掛本体部23は、帯状の耳掛シート部231と、2本の糸ゴム233とを有する。耳掛シート部231は、熱融着性を有する繊維で構成される。2本の糸ゴム233は、耳掛シート部231の長手方向に直交する幅方向に間隔をあけて配置されており、耳掛シート部231の長手方向に沿って、互いに平行に配置されている。糸ゴム233は、耳掛シート部231の長手方向において、複数の箇所で耳掛シート部231に接合されている。なお、耳掛本体部23は、糸ゴム233を1本のみ有していてもよい。また、耳掛本体部23は、3本以上の糸ゴム233を有していてもよい。
【0040】
図1および
図2に示すように、マスク1が使用されていない状態(糸ゴム233が自然長である状態。以下、この状態を「非使用状態」とも称する)では、耳掛本体部23は、マスク本体部10よりも上下方向に長い。なお、非使用状態のマスク1において、耳掛本体部23をマスク本体部10よりも上下方向に短くしてもよい。
【0041】
耳掛シート部231は、長手方向に伸縮可能に構成されている。耳掛シート部231に伸縮性を持たせるため、耳掛シート部231を、例えば、長手方向に沿って山折りと谷折りとが交互に繰り返された蛇腹状としてもよい。また、耳掛シート部231を、メッシュ状としてもよい。耳掛シート部231が伸縮性を備えていることにより、各糸ゴム233の伸縮に、耳掛シート部231を追従させることができる。
【0042】
また、耳掛シート部231において、糸ゴム233が設けられることは必須ではなく省略されていてもよい。例えば、耳掛本体部23が、耳掛シート部231のみで構成されていてもよい。また、耳掛本体部23が耳掛シート部231を有していることは必須ではない。例えば、耳掛本体部23が、糸ゴム233のみで構成されていてもよい。
【0043】
図2に示すように、非使用状態では、耳掛本体部23は、上下方向と平行に配置されている。
図1~
図3に示す例では、左耳掛部201の基部22は、マスク本体部10よりも上下方向に長い。また、耳掛本体部23の上下方向の長さは、基部22と同じである。また、
図3に示すように、非使用状態のマスク1では、マスク本体部10は、左耳掛部201の基部22と左耳掛部201の耳掛本体部23との間に配置される。
【0044】
図2および
図3に示すように、耳掛本体部23の両端部は、複数のエンド固定エリア24で基部22の両端部とそれぞれ接合されている。このため、基部22及び耳掛本体部23は、環状を形成している。複数のエンド固定エリア24はそれぞれドット状であり、左右方向に間隔をあけて配置されている。エンド固定エリア24は、例えば熱融解によって基部22と耳掛シート部231とが互いに接着した部分である。なお、エンド固定エリア24は、接合面に塗布されたホットメルト接着剤を含んでいてもよい。
【0045】
図1または
図4に示すように、基部22は、接合ゾーン25を有する。接合ゾーン25は、マスク本体部10に対して接合されている基部22の部分である。
図1または
図4に示すように、基部22の接合ゾーン25は、接合領域26a,26b,26cと、非接合領域27a,27bとを含む。基部22の接合領域26a,26b,26cは、マスク本体部10に接合されている領域であって、基部22の非接合領域27a,27bは、マスク本体部10に接合されていない領域である。このように、基部22の接合ゾーン25は、接合されている部分(接合領域26a,26b,26c)と、接合されていない部分(非接合領域27a,27b)を含んでいる。接合ゾーン25の上端(本例では接合領域26a)と、下端(本例では接合領域26c)とは、接合されている
【0046】
図1及び
図4に示すように、接合領域26a,26b,26cは、上下方向に間隔をあけて配置されている。接合領域26bは接合領域26aの下側に、接合領域26cは接合領域26bの下側に、それぞれ配置されている。基部22の接合領域26a,26b,26cは、接合部である複数のドット固定エリア28を有している。
【0047】
ドット固定エリア28は、例えば、基部22がマスク本体部10に対して熱溶着された区域であって、熱融解によって基部22とマスク本体部10の外層シート112とが互いに接着している部分である。なお、ドット固定エリア28は、各部材の接合面に塗布された接着剤(例えば、ホットメルト)を含んでいてもよい。
【0048】
ドット固定エリア28は、マスク本体部10に固定されている基部22の区域である。複数のドット固定エリア28は、上下方向に所定の間隔H1(
図4参照)をあけて配置されている。すなわち、基部22の接合領域26a,26b,26cは、複数のドット固定エリア28において、間欠的にマスク本体部10に接合されている。接合領域26a,26b,26c間において、ドット固定エリア28の間隔H1は、一致していてもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
本実施形態では、基部22における接合領域26a,26b,26cは、ドット固定エリア28以外の部分は、マスク本体部10に固定されていない部分である。このように、基部22の接合領域26a,26b,26cは、マスク本体部10に対して固定されていない部分(固着されていない部分)をそれぞれ含んでいてもよい。
【0050】
接合領域26a,26b,26cは、マスク本体部10の厚さ方向において重複部分15a,15b,15cとそれぞれ重なっている。このため、基部22の接合領域26a,26b,26cは、複数のドット固定エリア28を介して、重複部分15a,15b,15cにそれぞれ接合されている。
【0051】
マスク本体部10の内層シート111および外層シート112は、ドット固定エリア28において互いに接合されている。すなわち、内層シート111および外層シート112はマスク本体部10の重複部分15a,15b,15cにおいて、複数のドット固定エリア28において接合されている。
【0052】
図1に示すように、非接合領域27aは一対の接合領域26a,26b間に、非接合領域27bは一対の接合領域26b,26c間に、それぞれ配置されている。非接合領域27aは、接合領域26aの下端のドット固定エリア28と、接合領域26bの上端のドット固定エリア28との間に介在する領域である。また、非接合領域27bは、接合領域26bの下端のドット固定エリア28と接合領域26cの上端のドット固定エリア28との間に介在する領域である。
【0053】
図4に示すように、非接合領域27a,27bの上下方向の長さH2は、ドット固定エリア28間の間隔H1よりも大きい。なお、上下方向における、非接合領域27aの長さH2と非接合領域27bの長さH2とは、互いに一致していてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0054】
非接合領域27a,27bは、マスク本体部10の厚さ方向において、マスク本体部10の非重複部分17a,17bとそれぞれ重なっている。
図4に示すように、マスク本体部10の2つの非重複部分17a,17bには、ドット固定エリア28が配置されていない。
【0055】
基部22の接合ゾーン25は、上端接合ゾーン31を有する。上端接合ゾーン31は、接合ゾーン25の上端に位置し、より詳細には、上端接合ゾーン31は、接合領域26aにおける上端に位置する。また、基部22の接合ゾーン25は、下端接合ゾーン33を有する。下端接合ゾーン33は、接合ゾーン25の下端に位置し、より詳細には、下端接合ゾーン33は、接合領域26cの下端に位置する。
【0056】
図1及び
図4に示すように、左耳掛部201において、上端接合ゾーン31の右端部35a(左右方向内側の端部)は、上側に向かうほど左側(左右方向外側)に寄るように配置されている。本例では、上端接合ゾーン31の右端部35aは、上側に向かって左側に一定の傾きで傾斜している。より詳細には、上端接合ゾーン31の右端部35aは、上下方向に並ぶ複数のドット固定エリア28の右端部で構成されている。そして、各ドット固定エリア28の右端部を結ぶ直線が、上側に向かって左側に一定の傾きで傾斜している。
【0057】
図1及び
図4に示すように、左耳掛部201において、下端接合ゾーン33の右端部35b(左右方向内側の端部)は、下側に向かうほど左側(左右方向外側)に寄るように配置されている。本例では、下端接合ゾーン33の右端部35bは、下側に向かって左側に一定の傾きで傾斜している。より詳細には、下端接合ゾーン33の右端部35bは、上下方向に並ぶ複数のドット固定エリア28の右端部で構成されている。そして、各ドット固定エリア28の右端部を結ぶ直線が、下側に向かって左側に一定の傾きで傾斜している。
【0058】
上端接合ゾーン31および下端接合ゾーン33は、第1列接合領域41と、第1列接合領域41よりも左右方向内側に位置する第2列接合領域42とを有する。第1列接合領域41および第2列接合領域42は、列になって上下に並ぶ複数のドット固定エリア28を有している。
【0059】
図4に示すように、左耳掛部201の上端接合ゾーン31において、第1列接合領域41の上端のドット固定エリア28は、第2列接合領域42の上端のドット固定エリア28よりも、上側に位置する。上端接合ゾーン31において、このようにドット固定エリア28を配列することによって、各ドット固定エリア28の右端(左右方向内側の端部)を、上側に向かって右側(左右方向外側)に寄るように配置できる。
【0060】
図1に示すように、右耳掛部202の構成は、左右反転した左耳掛部201の構成と略同じである。すなわち、上端接合ゾーン31の左端部36a(左右方向内側の端部)は、上側に向かうほど右側(左右方向外側)に寄るように配置されている。また、本例では、上端接合ゾーン31の左端部36aは、上側に向かって右側に一定の傾きで傾斜している。また、右耳掛部202の下端接合ゾーン33の左端部36b(左右方向内側の端部)は、下側に向かうほど右側(左右方向外側)に寄るように配置されている。本例では、下端接合ゾーン33の左端部36bは、下側に向かって右側に一定の傾きで傾斜している。
【0061】
マスク1では、左耳掛部201における上端接合ゾーン31の右端部35aが、上側に向かうほど左側に寄るように配置されている。これにより、マスク着用時には、
図1および
図5に示すように、左耳掛部201の基部22が、上端接合ゾーン31の右端部35aにおいて折り返され、マスク本体部10に対して左上方向に延びるように配置される。このため、マスク本体部10における上端接合ゾーン31に接合された左端部が、上方へ引っ張られる。
【0062】
また、左耳掛部201の下端接合ゾーン33の右端部35bが、下側へ向かうほど左側に寄るように配置されている。これにより、マスク着用時には、
図1および
図5に示すように、左耳掛部201の基部22が、下端接合ゾーン33の右端部35bにおいて折り返され、マスク本体部10に対して左下方向に延びるように配置される。このため、マスク本体部10における下端接合ゾーン33に接合された部分が、下方へ引っ張られる。
【0063】
このように、マスク着用時には、マスク本体部10の左端部が、左耳掛部201によって、上方向および下方向に引っ張られる。このため、マスク本体部10の左端部と着用者9の肌との間の隙間を低減できる。したがって、マスク1のフィット性を向上できる。
【0064】
また、右耳掛部202についても、上端接合ゾーン31の左端部36aが上側へ向かうほど右側に寄って配置されており、下端接合ゾーン33の左端部36bが下側へ向かうほど右側に寄って配置されている。これにより、マスク着用時には、マスク本体部10の右端部が、右耳掛部202によって上方向および下方向に引っ張られる。このため、マスク本体部10の右端部と着用者9の肌との間の隙間を低減できる。したがって、マスク1のフィット性を向上できる。
【0065】
マスク1では、マスク本体部10の左端部に左耳掛部201の基部22が、マスク本体部10の右端部に右耳掛部202の基部22が、それぞれ接合されている。これにより、マスク本体部10の両端部の剛性(変形し難さ)をそれぞれ高めることができる。このため、マスク着用時において、マスク本体部10の両端部が着用者9の肌から大きく浮き上がることを抑制できる。したがって、マスク1のフィット性を向上できる。
【0066】
左耳掛部201および右耳掛部202の各基部22がマスク本体部10の外側面10Sに接合されている。このため、マスク着用時には、各基部22が外側に折り返され(
図1または
図4参照)、そして、各基部22がマスク本体部10の両端部を着用者9の肌に押しつける(
図5参照)。これにより、マスク1のフィット性を向上できる。また、各基部22が帯状であるため、帯状面でマスク本体部10の両端部を着用者9の肌に押しつけることができる。したがって、線状の面でマスク本体部10を押圧する場合よりも、マスク1のフィット性を向上できる。
【0067】
また、仮に、左耳掛部201および右耳掛部202の各基部22がマスク本体部10の内側面11Sに取り付けられている場合、各基部22がマスク本体部10と着用者9の肌との間に介在することとなる。すると、基部22が変形した場合に、マスク本体部10と着用者9の肌との間に大きな隙間が形成されるおそれがある。これに対して、本実施形態では、各基部22がマスク本体部10の外側面10Sに配置されている。このため、基部22の変形によってマスク本体部10と着用者9の肌との間に大きな隙間が形成されることを抑制できる。ただし、各基部22は、マスク本体部10の内側に接合されていてもよい。
【0068】
図4に示すように、左耳掛部201において、上下方向に延びる直線に対して上端接合ゾーン31の右端部35aに沿った直線がなす鋭角の第1角度αは、例えば35°である。なお、第1角度αは、好ましくは30°以上、より好ましくは32°以上、より好ましくは34°以上である。また、第1角度αは、40°以下、より好ましくは38°以下、より好ましくは36°以下である。
【0069】
第1角度αが30°よりも小さい場合、マスク着用時において基部22の上端部の左右方向外側への曲がりが小さ過ぎるため、マスク1のフィット性の向上が困難となる。また、第1角度αが40°よりも大きい場合、マスク着用時において基部22の上端部の左右方向外側への曲がりが大き過ぎるため、マスク1のフィット性の向上が困難となる。
【0070】
図4に示すように、左耳掛部201において、上下方向に延びる直線に対して、下端接合ゾーン33の右端部35bに沿った直線がなす鋭角の第2角度βは、例えば、30°である。なお、第2角度βは、好ましくは25°以上、より好ましくは27°以上、より好ましくは29°以上である。また、第2角度βは、好ましくは35°以下、より好ましくは33°以下、より好ましくは31°以下である。
【0071】
第2角度βが25°よりも小さい場合、マスク着用時において基部22の下端部の左右方向外側への曲がりが小さ過ぎるため、マスク1のフィット性の向上が困難となる。また、第2角度βが35°よりも大きい場合、マスク着用時において基部22の下端部の左右方向外側への曲がりが大き過ぎるため、マスク1のフィット性の向上が困難となる。
【0072】
第1角度αは、好ましくは第2角度βとは異なる角度である。また、第1角度αは、好ましくは第2角度βよりも大きい。このように、第1角度αを第2角度βよりも大きくすることによって、左耳掛部201を着用者9の左耳に掛けた際に、マスク本体部10の左端部を、上方向および下方向にバランス良く引っ張ることができる。
【0073】
マスク着用時に、左耳掛部201および右耳掛部202がマスク本体部10を左右に引っぱることによって、マスク本体部10の両端部において、上下方向に圧縮する変形力が発生し得る。本実施形態では、左耳掛部201および右耳掛部202の各基部22が、マスク本体部10の非重複部分17a,17bに接合されていない。このため、基部22が非重複部分17a,17bに接合されている場合と比べて、非重複部分17a,17bを柔軟にすることができる。したがって、マスク着用時に上記変形力が発生したとしても、非重複部分17a,17bが、プリーツ(皺)を形成することなどによって、上記変形力を吸収および分散させることができる。これにより、マスク本体部10と着用者9の肌との間の隙間を低減できる。したがって、マスク1のフィット性を向上できる。
【0074】
また、マスク本体部10の非重複部分17a,17bは、ドット固定エリア28が設けられていない。このため、非重複部分17a,17bにドット固定エリア28が設けられる場合と比べて、非重複部分17a、17bを柔軟にすることができる。したがって、マスク着用時に、上記変形力が発生したとしても、非重複部分17a,17bによって当該変形力を吸収および分散させることができる。
【0075】
特に、非重複部分17a,17bは、重複部分15a,15b,15cに比べて、厚みが薄いため、容易に変形しやすい。このため、マスク着用時に上記変形力が発生したとしても、非重複部分17a,17bによって当該変形力を吸収および分散させることができる。
【0076】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 マスク
9 着用者
10 マスク本体部
10S 外側面
11 シート部材
13a プリーツ
15a,15b,15c 重複部分
17a,17b 非重複部分
22 基部
23 耳掛本体部
25 接合ゾーン
26a,26b,26c 接合領域
27a,27b 非接合領域
28 ドット固定エリア
31 上端接合ゾーン
33 下端接合ゾーン
35a,35b 右端部
36a,36b 左端部
41 第1列接合領域
42 第2列接合領域
111 内層シート
112 外層シート
113 中間シート
131 折り目
201 左耳掛部
202 右耳掛部
231 耳掛シート部
233 糸ゴム