IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日機装株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-圧着装置 図1
  • 特開-圧着装置 図2
  • 特開-圧着装置 図3
  • 特開-圧着装置 図4
  • 特開-圧着装置 図5
  • 特開-圧着装置 図6
  • 特開-圧着装置 図7
  • 特開-圧着装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065205
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】圧着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175871
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井手迫 聡
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
(72)【発明者】
【氏名】澤田 智世
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044PP15
5F044PP16
(57)【要約】
【課題】被加工物を圧着する際に真空引きにより生じる、弾性体の突発的な変形を防止することができる圧着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送板と、搬送板と当接する側壁部、及び、側壁部の上端を覆う天壁部及び押圧部を備え、搬送板のワーク載置面に対して相対移動可能であって、搬送板に当接して真空チャンバを形成する本体金型と、真空チャンバ内に位置するように本体金型の天壁部に取り付けられた金属枠体、及び、金属枠体に取り囲まれた弾性体を備える弾性体金型と、弾性体金型の金属枠体の天壁部と接触する面に形成され、金属枠体の内縁部及び外縁部を連続的に接続する溝と、を備え、溝は、真空チャンバの形成時に、本体金型の押圧部と弾性体金型の弾性体との隙間に残存するガスを真空チャンバ内へ排出し、本体金型は、天壁部及び押圧部を弾性体金型とともに複数のワークに向けて移動させ、弾性体を複数のワークに接触させる、圧着装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを圧着する圧着装置であって、
前記複数のワークを重ねて載置して移動可能な搬送板と、
前記搬送板と当接する側壁部、及び、前記側壁部の上端を覆う天壁部及び押圧部を備え、前記搬送板のワーク載置面に対して相対移動可能であって、前記搬送板に当接して真空チャンバを形成する本体金型と、
前記真空チャンバ内に位置するように前記本体金型の前記天壁部に取り付けられた金属枠体、及び、前記金属枠体に取り囲まれた弾性体を備える弾性体金型と、
前記弾性体金型の前記金属枠体の前記天壁部と接触する面に形成され、前記金属枠体の内縁部及び外縁部を連続的に接続する溝と、
を備え、
前記溝は、前記真空チャンバの形成時に、前記本体金型の前記押圧部と前記弾性体金型の前記弾性体との隙間に残存するガスを前記真空チャンバ内へ排出し、
前記本体金型は、前記天壁部及び前記押圧部を前記弾性体金型とともに前記複数のワークに向けて移動させ、前記弾性体を前記複数のワークに接触させる、圧着装置。
【請求項2】
前記弾性体金型は矩形形状を有し、前記溝は、前記弾性体金型の外縁角部及び互いに隣接する前記外縁角部同士の中間部分から離間して設けられる、請求項1に記載の圧着装置。
【請求項3】
前記弾性体金型は前記本体金型と係合手段により取り外し可能に係合されており、前記本体金型から係合解除することにより取り外し可能である、請求項1又は請求項2に記載の圧着装置。
【請求項4】
前記係合手段は螺合手段である、請求項3に記載の圧着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を加圧型で加圧する圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加工物(ワーク)を真空雰囲気内において加圧型で加圧して圧着する圧着装置が知られている。このような圧着装置において、被加工物に対して均一に圧力を加えることができるように、加圧型は弾性体で構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特に、図2参照)には、弾性体である柔軟層を有する加圧型であって、被加工物を挟持し加圧する加圧装置が記載されている。この加圧装置は、加圧により圧着を行う加圧装置において、被加工物が凹凸形状を持つものであっても、圧力分布を均一にすることができるものであり、流動性柔軟層48と多孔質柔軟層50の2層からなる柔軟体46を含む介在パッド38を介して、基板10およびこれに載置された回路素子16を加圧する。それにより、流動性柔軟層48が、被加工物の凹部にも回り、全体に均一な圧力をかけることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-296746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、上型32と柔軟体46の間に空気が挟み込まれると、上型32、下型30、サイド型34で囲まれた空間を減圧する際に、挟み込まれた空気が陽圧雰囲気となり柔軟体46が突発変形する。この状態で上型32を下降させていくと、柔軟体46の膨張した凸部分が被加工物の中心部に接触する。さらに柔軟体46を下降していくと柔軟体46の接触領域は被加工物の中心から放射状に広がる。その放射状に広がっていく力によって被加工物を構成する回路素子16に位置ズレが生じる。この時、被加工物に生じたズレは加圧工程の最後まで、そのままの状態であるため、精密な圧着工程を行うことができなくなるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、被加工物を圧着する際に真空引きにより生じる、弾性体の突発的な変形を防止することができる圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る一実施形態の複数のワークを圧着する圧着装置は、前記複数のワークを重ねて載置して移動可能な搬送板と、前記搬送板と当接する側壁部、及び、前記側壁部の上端を覆う天壁部及び押圧部を備え、前記搬送板のワーク載置面に対して相対移動可能であって、前記搬送板に当接して真空チャンバを形成する本体金型と、前記真空チャンバ内に位置するように前記本体金型の前記天壁部に取り付けられた金属枠体、及び、前記金属枠体に取り囲まれた弾性体を備える弾性体金型と、前記弾性体金型の前記金属枠体の前記天壁部と接触する面に形成され、前記金属枠体の内縁部及び外縁部を連続的に接続する溝と、を備え、前記溝は、前記真空チャンバの形成時に、前記本体金型の前記押圧部と前記弾性体金型の前記弾性体との隙間に残存するガスを前記真空チャンバ内へ排出し、前記本体金型は、前記天壁部及び前記押圧部を前記弾性体金型とともに前記複数のワークに向けて移動させ、前記弾性体を前記複数のワークに接触させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被加工物を圧着する際に真空引により生じる、弾性体の突発的な変形を防止することができる圧着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る圧着装置を示す側断面図であり、(a)圧着装置の側面断面図、(b)図1(a)のIbで囲まれた部分の拡大側面断面図を表す。
図2】本発明の実施形態に係る圧着装置の弾性体金型を示す概略図であり、(a)図2(b)のIIa線方向への弾性体金型の側面断面図、(b)弾性体金型の概略斜視図を表す。
図3】本発明の実施形態に係る圧着装置の弾性体金型を示す概略平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る圧着装置の金属枠体に設けられる溝の概略断面図であり、(a)~(c)は、様々な溝断面形状をそれぞれ表す。
図5】ワークの圧着工程における真空下の圧着動作を説明する断面模式図であり、(a)搬送板の移動、(b)本体金型及び弾性体金型の移動、(c)チャンバの形成と隙間からのガスの排出、をそれぞれ表す。
図6】ワークの圧着工程における真空下の圧着動作を説明する断面模式図であり、(a)チャンバ内が真空となった状態での弾性体による圧着工程、(b)弾性体による圧着工程後の弾性体金型の上昇、(c)真空チャンバ内の大気解放状態、をそれぞれ表す。
図7】ワークの圧着工程における真空下の圧着動作を説明する断面模式図であり、(a)本体金型及び弾性体金型の上昇、(b)搬送板の移動、をそれぞれ表す。
図8】本発明の実施形態に係る圧着装置の弾性体金型が本体金型に着脱可能に係合されている様子を示す概略図であり、(a)図8(c)のVIIIa,b線方向への本体金型及び弾性体金型とそれらを螺合するボルトの側面断面図、(b)図8(c)のVIIIa,b線方向への弾性体金型が本体金型にボルトにより螺合された状態を示す側面断面図、(c)弾性体金型が本体金型にボルトにより螺合されている状態での下方から視た場合の弾性体金型の概略平面図、をそれぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を具体的に実現した形態を例示するものである。よって、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって、以下に説明される実施形態の構成は適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<圧着装置について>
図1は、本発明の実施形態に係る圧着装置100を示す概略図であり、図1(a)は、圧着装置100の側面断面図であり、図1(b)は、図1(a)においてIbに囲まれた領域の拡大図である。図1(a)に示されるように、圧着装置100は、例えば電子回路等の基板及び基板上に配置された回路素子からなるワークWを真空雰囲気内で均一に加圧して圧着するものである。この圧着装置100は、本体金型10と、弾性体金型11と、ワークWが載置される搬送板12と、真空ポンプ14と、を備える。ここで、本体金型10は、押圧部15と、天壁部16と、側壁部17と、から構成される。また、弾性体金型11は、一対の介在パッド18,19及び柔軟層20からなる弾性体21と、弾性体21及び弾性体21を取り囲む金属枠体22と、から構成される。
【0012】
詳細は後述するが、本実施形態の圧着装置100は、ワークWを圧着する際に、真空チャンバCを真空引きする。当該真空引きの際、弾性体21が隙間23内のガスの陽圧雰囲気により突発変形しないように、真空ポンプ14により真空チャンバC内が真空引きされるのに伴って、金属枠体22の上面に設けられた溝22aを介して、隙間23内のガスが真空引きされ、結果、ワークWのずれが防止される。
【0013】
圧着装置100では、図示しない昇降装置によって、搬送板12に対して本体金型10及び弾性体金型11が下降し又は上昇する。これにより、本体金型10の側壁部17が搬送板12に密着し真空チャンバCが形成された後に、本体金型10及び弾性体金型11が搬送板12のワークWに対して下降して弾性体21によりワークWを圧着し(図6(a)参照)、また、圧着後にワークWに対して上昇する(図5(c)参照)。
【0014】
<搬送板について>
搬送板12には、ワークWを載置するための載置面12aに、複数のワークWが重ねて載置される。搬送板12は、圧着工程を開始する際に、複数のワークWを載置した状態で本体金型10の直下に移動する。また、弾性体21により複数のワークWを圧着する際には、本体金型10の側壁部17が搬送板12に対して密着し、搬送板12及び本体金型10によって囲まれた真空チャンバCが形成される。そして、圧着工程が終了した後には、圧着された複数のワークWを次の工程へと移動させるものである。
【0015】
<弾性体金型について>
図2は、弾性体金型11の概略図であり、図2(a)は、弾性体金型11の図2(b)におけるIIa線方向への概略側断面図であり、図2(b)は、弾性体金型11の概略斜視図である。図2(a)及び(b)に示されるように、弾性体金型11の金属枠体22には、本体金型10の天壁部16と接する面に溝22aが設けられている。また、図2(b)に示されるように、弾性体21は金属枠体22に取り囲まれている。そして、金属枠体22が本体金型10の天壁部16に取り付けられることで、弾性体金型11が本体金型10に係合される。なお、図2(b)においては、溝22aが2本設けられているがこれに限定されるわけではなく、以下で説明するように、4本以上設けられても良い。
【0016】
<金属枠体に設けられた溝について>
図3は、弾性体金型11の金属枠体22に設けられる溝22aの位置を示す平面概略図である。溝22aは、本体金型10の天壁部16と接する金属枠体22上面に設けられている。また、溝22aは、押圧部15と弾性体21との隙間23と真空チャンバC内を流体連通させており、金属枠体22の内縁部及び外縁部を連続的に接続し、隙間23内に残存しているガスを排出するための経路である。この溝22aが設けられることによって、真空チャンバC内を真空引きすると同時に、隙間23に残存した空気、窒素又はアルゴン等のガスが負圧によって隙間23から真空チャンバC内へと排出され、隙間23内を真空引きすることができる。これにより、真空チャンバC内を真空引きした時に、隙間23に残存するガスによって隙間23内が陽圧雰囲気となることが防止され、当該陽圧雰囲気によって引き起こされる弾性体21の突発的な変形を防止することができる。
【0017】
なお、図3においては、溝22aが4本設けられているがこれに限定されるわけではなく、5本以上設けられても良い。ただし、溝22aの設けられる位置は、図3において、鎖線で囲まれた範囲、つまり、矩形形状の弾性体金型11の外縁角部、及び、互いに隣接する前記外縁角部同士の中間部分から離間した位置である。このような位置に溝22aを設けることで、圧着工程において弾性体金型11の破断を招く応力集中が生じやすい位置を避けることができる。
【0018】
図4は、溝22aの様々な断面形状の例を示す概略断面図である。図4(a)は、断面形状がV字型である溝24を示し、図4(b)は、断面形状が矩形である溝25を示し、図4(c)は、断面形状が半円形である溝26を示す。溝24~26がこれらの断面形状を有することで、真空チャンバC内を真空引きすると同時に、隙間23に残存したガスが負圧によって隙間23から真空チャンバC内へと排出され易くなり、隙間23内の真空引きを容易にすることができる。
【0019】
<本体金型について>
本体金型10は、押圧部15と、天壁部16と、側壁部17とからなる。天壁部16に弾性体金型11の金属枠体22が取り付けられている。本体金型10は、図示しない昇降装置によって、搬送板12のワークW載置面12aに対して上昇下降することができ、また、側壁部17が搬送板12に密着した状態では、押圧部15と天壁部16が搬送板12のワークW載置面12aに対して上昇下降することができる。
【0020】
<押圧部について>
押圧部15は、本体金型10を構成する各部の内、本体金型10の中央部に位置し、弾性体金型11の弾性体21との隙間23を形成している。押圧部15は、弾性体金型11の弾性体21と対向して設けられており、金属枠体22が取り付けられている天壁部16とともに弾性体金型11を下降させ、圧力を加えることで、弾性体21によるワークWへの加圧を可能にしている。
【0021】
<ワークの圧着工程について>
図5~7は、搬送板12がワークWを本体金型10の直下へ搬送し、ワークWが圧着された後に搬送板12がワークWを再度搬送するまでの各圧着工程を示す断面模式図である。
【0022】
図5は、搬送板12が移動してから、真空チャンバCが形成されるまでの工程を示す断面模式図である。図5(a)に示されるように、矢印A1の方向にワークWを載置した搬送板12が移動してワークWが本体金型10の直下、特に弾性体21の直下に位置するように停止する。次に、図5(b)に示されるように、本体金型10と弾性体金型11が搬送板12へ矢印A2の方向に移動する。そして、本体金型10の側壁部17が搬送板12に密着し、本体金型10と搬送板12とで真空チャンバCが形成され、図5(c)に示されるように、真空ポンプ14が真空チャンバC内を真空引きし始めると、矢印に示されるように溝22aを介して、隙間23内のガスが排出される。
【0023】
図6は、真空チャンバCの内部空間27が真空引きされ、弾性体21がワークWを圧着する工程を示す断面模式図である。図6(a)に示されるように、真空ポンプ14が真空チャンバCの内部空間27のガスを真空引きし、真空チャンバCの内部空間27は真空雰囲気となる。これにより、弾性体21とワークWの間にガスが挟み込まれ、ワークWを弾性体21が均一に加圧できなくなることを防ぐことができる。また、この時、すでに隙間23は溝22aを介して内部のガスが真空引きされていることから、弾性体21が隙間23内のガスによる陽圧雰囲気により、突発変形を生じることが防止される。次に、本体金型10の内、押圧部15と天壁部16が搬送板12に対して矢印A4の方向へと下降し、それと共に弾性体金型11が下降して弾性体21がワークWを圧着する。そして図6(b)に示されるように、押圧部15と天壁部16並びに弾性体金型11が搬送板12に対して矢印A5の方向へと上昇する。その後、図6(c)に示されるように、真空状態となっていた真空チャンバCが大気解放される。
【0024】
図7は、真空チャンバC内が大気解放された後に、搬送板12が圧着されたワークWを移動させる工程を示す断面模式図である。図7(a)に示されるように、本体金型10と弾性体金型11が搬送板12に対して矢印A6の方向へと上昇する。そして、図7(b)に示されるように、ワークWが載置された搬送板12が圧着後のワークWを矢印A7の方向、すなわち次の工程へと移動させる。なお、ワークWの搬送方向は矢印A7の方向に限定されることなく、例えば、図5(a)の矢印A1の逆方向に戻るように搬送してもよい。
【0025】
本実施形態の圧着装置100においては、ワークWを圧着するために真空チャンバCを真空引きする際に、溝22aを介して、隙間23内のガスを真空引きする。これにより、弾性体21が隙間23内のガスの陽圧雰囲気により突発変形することが抑制され、ワークWのずれを防止することができる。
【0026】
<本体金型から着脱可能な弾性体金型について>
図1図7までは、金属枠体22と本体金型10の天壁部16との係合手段は具体的に説明してこなかったが、本実施例では、金属枠体22と本体金型10の天壁部16とが係合手段により取り外し可能に係合されており、その係合手段は、ボルト101による螺合である。また、本実施例においては、金属枠体22と本体金型10の天壁部16の螺合は、ボルト101によって行われているが、これに限定されるわけではなく、例えばネジ等、その他の係合手段であっても良い。
【0027】
図8は、弾性体金型が本体金型と着脱可能に係合された、本発明の圧着装置100を示す図である。図8(a)に示されるように、本実施形態は、前述の圧着装置100と同様の構成を有す。その一方で、金属枠体22と本体金型10の天壁部16との係合が、複数のボルト101によって行われる。なお、本図は、図8(c)におけるVIIIa,b線方向への断面図であるが、説明のためボルトが螺合解除された状態を示している。また、金属枠体22と天壁部16にはボルト穴102が設けられており、ボルト101をねじ込むことで、金属枠体22が天壁部16を介して本体金型10に締結される。
【0028】
図8(b)に示されるように、金属枠体22と本体金型10の天壁部16が、ボルト101により螺合され、また、螺合解除される。なお、本図は、図8(c)におけるVIIIa,b線方向への断面図であるが、説明のためボルト101を鎖線で示している。
【0029】
図8(c)に示されるように、各ボルト101は、溝22aを避けつつ、圧着工程中に高い圧力が加わった場合にも外れないよう弾性体金型11が本体金型10に螺合する。各ボルト101は、平面視で矩形形状の弾性体金型11の四角に2本ずつ、合計で8本用いられている。ただし、これに限定されるわけではなく、他の位置に3本ずつ以上を用いても良い。
【0030】
本発明の圧着装置100は、弾性体金型11が本体金型10と着脱可能に係合できることから、繰り返しの圧着工程の実施により弾性体21が劣化してきた場合に、弾性体21を弾性体金型11ごと新たなものへと交換することができる。また、溝が設けられていない弾性体金型を有する従来の装置に、溝22aが設けられた弾性体金型11を装着することもできる。これにより、従来の装置においても、本実施形態の圧着装置100と同様の効果を得ることができる。そして、係合手段が螺合手段である場合には、弾性体金型11の本体金型10からの着脱が、より容易に行える。
【0031】
(発明の実施態様)
本発明の第1の実施の態様は、複数のワークを圧着する圧着装置であって、複数のワークを重ねて載置して移動可能な搬送板と、搬送板と当接する側壁部、及び、側壁部の上端を覆う天壁部及び押圧部を備え、搬送板のワーク載置面に対して相対移動可能であって、搬送板に当接して真空チャンバを形成する本体金型と、真空チャンバ内に位置するように本体金型の天壁部に取り付けられた金属枠体、及び、金属枠体に取り囲まれた弾性体を備える弾性体金型と、弾性体金型の金属枠体の天壁部と接触する面に形成され、金属枠体の内縁部及び外縁部を連続的に接続する溝と、を備え、溝は、真空チャンバの形成時に、本体金型の押圧部と弾性体金型の弾性体との隙間に残存するガスを真空チャンバ内へ排出し、本体金型は、天壁部及び押圧部を弾性体金型とともに複数のワークに向けて移動させ、弾性体を複数のワークに接触させる、圧着装置である。
【0032】
このように、ワークWを圧着するために真空チャンバCを真空引きする際に、溝22aを介して、隙間23を真空引きする。これにより、弾性体21が隙間23内のガスの陽圧雰囲気により突発変形することが抑制され、ワークWのずれを防止することができるという効果を奏する。
【0033】
本発明の第2の実施の態様は、第1の実施の態様において、弾性体金型は矩形形状を有し、溝は、弾性体金型の外縁角部及び互いに隣接する外縁角部同士の中間部分から離間して設けられる。
【0034】
このように、弾性体金型11は矩形形状を有しており、溝22aは、弾性体金型11の外縁角部及び互いに隣接する外縁角部同士の中間部分から離間して設けられる。それにより、弾性体金型11の応力集中が生じやすい箇所を回避して、圧着工程中の弾性体金型11の破断を防止することができるという効果を奏する。
【0035】
本発明の第3の実施の態様は、第1の実施の態様又は第2の実施の態様において、弾性体金型は本体金型と係合手段により取り外し可能に係合されており、本体金型から係合解除することにより取り外し可能である。
【0036】
このように、弾性体金型11は本体金型10と係合手段により取り外し可能に係合されており、本体金型10から係合解除することにより取り外し可能である。これにより、繰り返しの圧着工程の実施により弾性体21が劣化してきた場合に、弾性体21を弾性体金型11ごと新たなものへと交換することができるという効果を奏する。
【0037】
さらには、溝が設けられていない弾性体金型を有する従来の装置に、溝22aが設けられた弾性体金型11を装着することもできる。これにより、従来の装置においても、弾性体が隙間内のガスの陽圧雰囲気により突発変形することが抑制され、ワークのずれを防止することができるという効果を奏する。
【0038】
本発明の第4の実施の態様は、第3の実施の態様において、係合手段は螺合手段である。
【0039】
このように、弾性体金型11は本体金型10と螺合手段により取り外し可能に螺合されており、本体金型10から螺合解除することにより取り外し可能である。これにより、弾性体金型11の本体金型10からの着脱が、より容易に行えるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0040】
100 圧着装置
10 本体金型
11 弾性体金型
12 搬送板
12a 載置面
14 真空ポンプ
15 押圧部
16 天壁部
17 側壁部
18 介在パッド
19 介在パッド
20 柔軟層
21 弾性体
22 金属枠体
22a 溝
23 隙間
27 内部空間
101 ボルト
102 ボルト穴

W ワーク
C 真空チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8