(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065238
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】便鉢内撮像装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175928
(22)【出願日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】臼井 萌絵
(72)【発明者】
【氏名】國木 靖博
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038KA01
2D038ZA00
2D038ZA03
(57)【要約】
【課題】安定的に便器に取り付けることができる便鉢内撮像装置を提供すること。
【解決手段】便鉢内撮像装置100は、固定部130と、撮像部110と、アーム部150とを備える。固定部130は、便鉢21の周縁部22における後端部である周縁後端部22aにおいて、便座取付部52と周縁後端部22aとの間に挟まれた状態で固定される。撮像部110は、便鉢21の内方を撮像するための撮像素子121を有する。アーム部150は、固定部130と撮像部110とを接続する。アーム部150は、固定部130が便鉢21の周縁後端部22aに固定された状態において、便鉢21の周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に撮像部110を位置させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座を有する便器における便鉢の内方を撮像する便鉢内撮像装置であって、
前記便鉢の周縁部における後端部である周縁後端部において、前記便座の取付部と前記周縁後端部との間に挟まれた状態で固定される固定部と、
前記便鉢の内方を撮像するための撮像素子を有する撮像部と、
前記固定部と前記撮像部とを接続するアーム部であって、前記固定部が前記便鉢の前記周縁後端部に固定された状態において、前記便鉢の前記周縁部における横方向の内側面に対向する位置に前記撮像部を位置させるアーム部と、
を備える便鉢内撮像装置。
【請求項2】
さらに、前記アーム部に対し、前記撮像部を着脱自在に接続する着脱機構を有する、
請求項1記載の便鉢内撮像装置。
【請求項3】
前記着脱機構は、
前記アーム部から前記撮像部に向けて突出するように前記アーム部に設けられた突出部であって、前記突出部の突出方向に直交する方向に凹んだ凹部を有する突出部と、
前記撮像部に設けられた、前記突出部が挿入される挿入部と、を有し
前記挿入部は、前記突出方向に直交する方向に移動することで、前記挿入部に挿入された前記突出部の前記凹部に対する挿抜が可能な係合部を有する、
請求項2記載の便鉢内撮像装置。
【請求項4】
前記着脱機構は、
前記撮像部から前記アーム部に向けて突出するように前記撮像部に設けられた突出部であって、前記突出部の突出方向に直交する方向に凹んだ凹部を有する突出部と、
前記アーム部に設けられた、前記突出部が挿入される挿入部と、を有し
前記挿入部は、前記突出方向に直交する方向に移動することで、前記挿入部に挿入された前記突出部の前記凹部に対する挿抜が可能な係合部を有する、
請求項2記載の便鉢内撮像装置。
【請求項5】
前記固定部には、前記周縁後端部における前記固定部の位置を調整するための位置調整機構が設けられている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の便鉢内撮像装置。
【請求項6】
前記固定部は、
前記アーム部が接続され、かつ、平面視で長方形状の開口部を有する固定本体部と、
前記平面視において前記開口部の内方に配置された、前記固定部を前記周縁後端部に固定する軸体を上下方向に貫通させる軸孔が形成された軸孔板と、
前記軸孔板を下方から支持し、かつ、前記開口部を前記横方向に横断して配置された支持体と、を有し
前記位置調整機構は、
前記開口部の4つの辺の内の前記横方向で対向する2つの辺それぞれに沿って設けられた、前後方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第一係合部を含み、
前記支持体は、前記横方向の両端部のそれぞれに設けられた、前記第一係合部と係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第一被係合部を有する、
請求項5記載の便鉢内撮像装置。
【請求項7】
前記位置調整機構はさらに、前記支持体に設けられた第二係合部であって、前記横方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第二係合部を含み、
前記軸孔板は、前記第二係合部と係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第二被係合部を有する、
請求項6記載の便鉢内撮像装置。
【請求項8】
前記固定部は、
前記アーム部が接続され、かつ、平面視で長方形状の開口部を有する固定本体部と、
前記平面視において前記開口部の内方に配置された、前記固定部を前記周縁後端部に固定する軸体を上下方向に貫通させる軸孔が形成された軸孔板と、
前記軸孔板を下方から支持し、かつ、前記開口部を前後方向に横断して配置された支持体と、を有し
前記位置調整機構は、
前記開口部の4つの辺の内の前記前後方向で対向する2つの辺それぞれに沿って設けられた、前記横方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第一係合部を含み、
前記支持体は、前記前後方向の両端部のそれぞれに設けられた、前記第一係合部と係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第一被係合部を有する、
請求項5記載の便鉢内撮像装置。
【請求項9】
前記位置調整機構はさらに、前記支持体に設けられた第二係合部であって、前記前後方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第二係合部を含み、
前記軸孔板は、前記第二係合部と係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第二被係合部を有する、
請求項8記載の便鉢内撮像装置。
【請求項10】
前記アーム部は、前記固定部が前記便鉢の前記周縁後端部に固定された状態において、前記便鉢の前記周縁部に沿うように湾曲した湾曲形状を有する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の便鉢内撮像装置。
【請求項11】
前記撮像部はさらに、人の存在、音、またはガスを検出するセンサを有する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の便鉢内撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器に取り付けられて便鉢の内方を撮像する便鉢内撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、便器に取り付けられるカメラ部を有する排尿支援装置が開示されている。この排尿支援装置の装置本体は、便器に着脱自在に取り付け可能な逆U字形状を有しており、便器のボウル部(便鉢)の内側に配置される部分に、カメラ部および照明部が収容されている。この排尿支援装置によれば、患者が着座した便器の内部空間で、照明部より光を照射しながら局部の状況をカメラ部によって撮影することができる。当該患者はモニタ画面で状況を視認しながら、楽な姿勢で局部の自己観察の他、自己導尿などの局部における排尿・排泄行為を単独で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排尿支援装置では、カメラ部を有する装置本体は、便器に対し、便鉢のリム部(周縁部)を挟むように取り付けられる。さらに、装置本体の取り付け位置は、周縁部における左右いずれかの部分である。そのため、例えば、上げた状態の便座を下げた際の振動及び衝撃、または、使用者が便座に着座した際の振動及び衝撃によって、周縁部の延在方向に装置本体がずれる可能性がある。つまり、便座の回動等に伴う振動及び衝撃に起因してカメラ部の位置または姿勢がずれる可能性がある。カメラ部の位置または姿勢がずれた場合、撮像すべき対象物を適切に撮像できない可能性が生じる。さらに、例えば介護施設等において、排泄の回数及び排泄物の種類等を観察するために便鉢の内方を撮像する場合、排泄する使用者に、撮像装置の位置または姿勢を正す作業をさせることは現実的ではなく、かつ、困難である。
【0005】
本開示は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、便鉢の内方を撮像する便鉢内撮像装置であって、安定的に便器に取り付けることができる便鉢内撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る便鉢内撮像装置は、便座を有する便器における便鉢の内方を撮像する便鉢内撮像装置であって、前記便鉢の周縁部における後端部である周縁後端部において、前記便座の取付部と前記周縁後端部との間に挟まれた状態で固定される固定部と、前記便鉢の内方を撮像するための撮像素子を有する撮像部と、前記固定部と前記撮像部とを接続するアーム部であって、前記固定部が前記便鉢の前記周縁後端部に固定された状態において、前記便鉢の前記周縁部における横方向の内側面に対向する位置に前記撮像部を位置させるアーム部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る便鉢内撮像装置によれば、安定的に便器に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る便鉢内撮像装置が取り付けられた状態の便器装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る便器に取り付けられた状態の便鉢内撮像装置の構成を示す平面図である。
【
図4】実施の形態に係る便鉢内撮像装置の外観を示す斜視図である。
【
図5A】実施の形態に係る便鉢内撮像装置の分解斜視図である。
【
図5B】実施の形態に係る軸孔板及び支持体を斜め下方から見た場合の外観を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る便鉢内撮像装置が備える撮像部の外観を示す斜視図である。
【
図7A】実施の形態に係る着脱機構の構成及び動作を示す第1の図である。
【
図7B】実施の形態に係る着脱機構の構成及び動作を示す第2の図である。
【
図7C】実施の形態に係る着脱機構の構成及び動作を示す第3の図である。
【
図8】実施の形態に係る撮像部の位置調整の第1の例を示す平面図である。
【
図9】実施の形態に係る撮像部の位置調整の第2の例を示す平面図である。
【
図10】2つの便座取付孔の間隔が広い便器に実施の形態に係る便鉢内撮像装置を取り付けた状態を示す平面図である。
【
図11】実施の形態の変形例1に係る着脱機構の構成を示す平面図である。
【
図12】実施の形態の変形例2に係る位置調整機構の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態(その変形例も含む)に係る便鉢内撮像装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0010】
以下の説明及び図面中において、便座に使用者が着座した場合の使用者の正面の方向を、「前方」とし、その反対方向を「後方」とする。さらに、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸で規定される直交座標系において、前後方向をY軸方向と一致させ、前後方向に直交する上下方向をZ軸方向と一致させ、前後方向及び上下方向と直交する横方向をX軸方向と一致させて各種の説明を行う。
【0011】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、単に、「X軸方向」という場合は、X軸に平行な双方向またはいずれか一方の方向を意味する。Y軸及びZ軸に関する用語についても同様である。
【0012】
さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0013】
(実施の形態)
[1.便鉢内撮像装置及び便器装置の全般的な説明]
まず、
図1~
図3を用いて、実施の形態に係る便鉢内撮像装置100及び便器装置10の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る便鉢内撮像装置100が取り付けられた状態の便器装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す便器装置10の分解斜視図である。
図3は、実施の形態に係る便器20に取り付けられた状態の便鉢内撮像装置100の構成を示す平面図である。
図3では、便座50(便座取付部52を含む)の図示は省略されており、便鉢内撮像装置100の固定に利用される軸体55のおおよその配置範囲が円形の点線で表されている。さらに、
図3では、便鉢内撮像装置100が備える撮像素子121のおおよその配置範囲が楕円の点線で表されている。
図3に関するこれらの補足事項は、後述する
図8~
図10についても適用される。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る便器装置10は、便器20と、便座50とを備える。便器20は、排泄物及び洗浄水を受ける便鉢21を有する。便座50は、便座50を便器20に取り付けるための便座取付部52を有する。本実施の形態では、便座取付部52は、便座50に着座した使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置を内蔵した箱体である。衛生洗浄装置は、図示しない洗浄ノズル及び洗浄ノズルの出退を駆動する駆動部等を有している。便座取付部52は2本の軸体55によって便鉢21の周縁部22の後端部(周縁後端部22a)に固定されている。軸体55は、外周にネジ山が形成された軸部と軸部の端部に配置された、軸部よりも外径が大きい頭部とを有するボルトである。具体的には、周縁後端部22aには横方向(X軸方向)に離間して配置された2つの便座取付孔23が設けられており、2つの便座取付孔23それぞれを貫通する軸体55に、図示しないナットが螺合して締め付けられることで、便座取付部52が便器20に固定される。便座50は、横方向に平行な回動軸A(
図1参照)を中心に回動するように便座取付部52に軸支されている。なお、「横方向」は「左右方向」と言い換えることもできる。また、便座取付部52は、便座50を便器20に取り付けるための構成を備えていればよく、衛生洗浄装置等の機能部を備えることは必須ではない。
【0015】
このように構成された便器装置10に対し、本実施の形態に係る便鉢内撮像装置100は、
図2及び
図3に示す態様で取り付けられている。具体的には、便鉢内撮像装置100は固定部130を備えており、固定部130は、周縁後端部22aにおいて、便座50の取付部(便座取付部52)と、周縁後端部22aとの間に挟まれた状態で固定されている。撮像素子121を有する撮像部110は、アーム部150によって固定部130と接続されている。撮像部110は、アーム部150によって固定部130に接続されていることで、固定部130が周縁後端部22aに固定された状態において、便鉢21の周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に配置される。アーム部150は、本実施の形態では、便鉢21の周縁部22に沿うように湾曲した形状を有している。このように、撮像部110を、周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に配置することで、例えば、衛生洗浄装置からの洗浄水及び使用者の排泄物が、撮像部110に付着する可能性が低減される。
【0016】
なお、「周縁部22における横方向の内側面22b」は、例えば、次のように規定される。周縁部22の内側面の全体(全周)のうちの、平面視における前後方向(
図3におけるX軸方向)とのなす角θ(0°≦θ≦90°)が45°以下の部分が、横方向の内側面22bである。または、便鉢21の開口の前後方向の幅をWとした場合、幅Wの前後方向の中央位置を中心とする、幅Wの8割の長さの範囲の左右に位置する部分を、横方向の内側面22bと規定することもできる。さらに、撮像部110の位置の基準としては、例えば撮像素子121の位置が採用される。この場合、撮像部110の全体のうちの少なくとも撮像素子121が内側面22bに対向する位置に配置されていれば、「撮像部110が撮像素子121が内側面22bに対向する位置に配置されている」と説明される。
【0017】
また、撮像部110は、周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に配置された状態において、内側面22bと接触していてもよく、内側面22bとは離間していてもよい。つまり、撮像部110は、例えば
図3に示すように、内側面22bに接触して配置される。しかし、後述する位置調整機構140によって、撮像部110の位置を中央寄りにずらすことは可能である。この場合、撮像部110は、内側面22bから離間して配置される。言い換えると、撮像部110は、内側面22bに当接していることは必須ではなく、平面視における便鉢21の周縁部22の内側に位置すればよい。撮像部110は、例えば、排泄の邪魔にならない程度に、内側面22bから横方向に離れた位置(便鉢21の中央寄りの位置)に配置されてもよい。
【0018】
本実施の形態では、撮像素子121が撮像すべき対象物は排泄物であり、そのため、撮像素子121は、斜め下方を向く姿勢で撮像部110に備えられている。便鉢内撮像装置100は、撮像部110をアーム部150に対して着脱自在に接続するための着脱機構160を有している。撮像部110及び着脱機構160の詳細については
図4~
図7Cを用いて後述する。
【0019】
本実施の形態において、便鉢内撮像装置100の固定部130は、便座取付部52を便器20の周縁後端部22aに固定する2本の軸体55によって、便座取付部52と周縁後端部22aとに挟まれた状態で固定される。固定部130は、軸体55が貫通する軸孔132aを有する軸孔板132を有しており、軸孔板132は、固定部130の本体である固定本体部131に対する位置の変更が可能である。つまり、固定部130には、軸孔板132を含む複数の要素からなる位置調整機構140が設けられており、固定部130の、便器20に対する相対的な位置の変更が可能である。これにより、固定部130とアーム部150で接続された撮像部110の、便器20に対する相対的な位置の変更が可能である。
【0020】
[2.便鉢内撮像装置についての詳細な説明]
次に、
図4~
図10を用いて、本実施の形態に係る便鉢内撮像装置100の詳細な説明を行う。
【0021】
図4は、実施の形態に係る便鉢内撮像装置100の外観を示す斜視図である。
図5Aは、実施の形態に係る便鉢内撮像装置100の分解斜視図である。
図5Bは、実施の形態に係る軸孔板132及び支持体135を斜め下方から見た場合の外観を示す斜視図である。
図6は、実施の形態に係る便鉢内撮像装置100が備える撮像部110の外観を示す斜視図である。
図7A~
図7Cは、実施の形態に係る着脱機構160の構成及び動作を示す第1~第3の図である。
図6及び
図7A~
図7Cでは、説明の便宜上、撮像部110の長手方向及び撮像部110が有する突出部161の突出方向がX軸方向に平行となる姿勢で、撮像部110を図示している。さらに、
図7A~
図7Cでは、着脱機構160の構成及び動作を分かりやすく示すために、アーム部150の、撮像部110が取り付けられる端部におけるXY平面に平行な断面が簡易的に図示されている。
図8及び
図9は、実施の形態に係る撮像部110の位置調整の第1の例及び第2の例を示す平面図である。
図10は、2つの便座取付孔23の間隔が広い便器20aに実施の形態に係る便鉢内撮像装置100を取り付けた状態を示す平面図である。
【0022】
図4及び
図5Aに示すように、本実施の形態に係る便鉢内撮像装置100において、撮像素子121を有する撮像部110は、着脱機構160によって、アーム部150に着脱自在に接続されている。本実施の形態では、着脱機構160は、撮像部110に設けられた突出部161と、アーム部150の端部に設けられた挿入部162とを含む。突出部161が、挿入部162に挿入されかつ係合することで、撮像部110がアーム部150に取り付けられる。
【0023】
本実施の形態において、撮像部110は、
図6に示すように、外殻を形成するハウジング111と、ハウジング111に固定された撮像素子121、人感センサ120、照明部122、マイク125、及びガスセンサ126とを有している。突出部161は、ハウジング111の一部として撮像部110に備えられている。人感センサ120は人の存在を検出するセンサの一例であり、マイク125は音を検出するセンサの一例であり、ガスセンサ126は、ガスを検出するセンサの一例である。照明部122は、例えばLED(Light Emitting Diode)を光源として有しており、
図6に示すように、撮像部110の長手方向の両端部のそれぞれに配置されている。なお、
図6において、撮像素子を特定する符号“121”は、撮像部110において外部に露出するレンズ部に付されており、撮像素子121の実体は、ハウジング111の内部に収容されている。このことは、照明部122、マイク125、及びガスセンサ126についても同様である。例えば、ガスセンサを特定する符号“126”は、硫化水素等のガスをハウジング111の内部に取り入れる網目部分に付されており、ガスを検出するセンサ素子はハウジング111の内部に収容されている。
【0024】
図7A~
図7Cに示すように、突出部161は、突出方向(X軸マイナス方向)に直交する方向(本実施の形態ではY軸方向)に凹んだ凹部161aを有している。突出部161が挿入される挿入部162は、突出部161の突出方向に直交する方向に移動可能な係合部165を有している。係合部165は、挿入部162に挿入された突出部161の凹部161aに対して挿抜可能なサイズ及び形状に形成されている。係合部165は、本実施の形態では付勢部材166によって支持されている。本実施の形態では、コイルバネが付勢部材166として採用されている。係合部165がY軸プラス方向に押された場合、付勢部材166によるY軸マイナス方向(押し戻す方向)の付勢力が係合部165に作用するよう構成されている。
【0025】
このように構成された着脱機構160において、
図7A及び
図7Bに示すように、突出部161が、挿入部162の内方に挿入された場合、突出部161の先端のテーパ面が係合部165をY軸プラス方向に押しながら進行する。その後、
図7Cに示すように、突出部161の挿入部162への挿入が完了した状態では、係合部165に対向する位置に突出部161の凹部161aが存在する。その結果、付勢部材166による付勢力によって係合部165が凹部161aに挿入される。これにより、突出部161は、挿入部162に係合した状態となり挿入部162からの抜き出しが禁止される。この状態において、係合部165に連結された解除ボタン169がY軸プラス方向に押されると、係合部165が突出部161の凹部161aから抜き出される。その結果、
図7B及び
図7Aに示すように、突出部161を挿入部162から抜き出すことができる。つまり、撮像部110がアーム部150から取り外される。このような、着脱機構160の動作によって、撮像部110の、アーム部150に対する着脱が行われる。
【0026】
本実施の形態では、着脱機構160はさらに、アーム部150に取り付けられた状態の撮像部110の安定性を向上させるために、突起163と、突起163が挿入される挿入穴163aとを有している。具体的には、突起163は撮像部110に設けられ、挿入穴163aは、アーム部150に設けられている。この構成によれば、突出部161が挿入部162に挿入されかつ係合した状態では、突起163も挿入穴163aに挿入される。これにより、撮像部110とアーム部150とは、YZ平面において並ぶ2箇所で機械的に接続され、その結果、撮像部110のぐらつき等が抑制される。
【0027】
上記のように構成された便鉢内撮像装置100が便器20に固定された場合、
図6に示すように人感センサ120は、斜め上向きの姿勢で配置される。これにより、人感センサ120は、便座50に着座した使用者を検出することができる。一方、撮像素子121、照明部122、マイク125、及びガスセンサ126は、斜め下向きの姿勢で配置されている。これにより、検出(撮像を含む、以下同じ)の対象である排泄物の画像、排泄音、及び排泄物が発するガス(硫化水素等)を、より確実に検出することができる。
【0028】
ハウジング111の内部には、図示しない制御回路が配置されており、制御回路による制御の下で、撮像素子121等が動作する。例えば、人感センサ120が便座50に着座した使用者を検出した場合、その検出をトリガとして、一対の照明部122が点灯し、かつ、撮像素子121による撮像が開始される。その後、人感センサ120が、使用者を検出しなくなることで、一対の照明部122が消灯し、かつ、撮像素子121による撮像が停止する。マイク125及びガスセンサ126も同様に、人感センサ120による使用者の検出をトリガとして動作を開始し、人感センサ120による使用者の非検出をトリガとして動作を停止する。撮像部110による検出結果(排泄物の画像等)は、撮像部110と無線または有線で接続された上位コンピュータ(図示せず)に送信される。例えば、上位コンピュータと撮像部110とは、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したケーブルで接続されている。これにより、撮像部110と上位コンピュータとの情報のやり取り、及び、上位コンピュータから撮像部110への動作のための電力供給を、当該ケーブル経由で行うことができる。
【0029】
なお、上記の撮像部110の動作は一例である。例えば、人感センサ120が使用者を検出し、かつ、マイク125が排泄音を検出したことをトリガとして、撮像素子121の撮像が開始してもよい。また、撮像素子121が撮像することで得られる画像は、動画であってもよく、1枚若しくは複数枚の静止画であってもよい。
【0030】
このような、排泄状況(排泄の回数、排泄の時刻、及び、排泄物の種類または状態など)を検出する機能を有する便鉢内撮像装置100は、例えば、介護施設の個室内に設けられた便器20に取り付けられる。これにより、当該個室で生活する要介護者の排泄状況を、遠隔でかつ自動で監視及び確認することができる。これにより、その要介護者に適した、治療または予防のための投薬等の処置を、効率よくまたはより確実に行うことができる。
【0031】
本実施の形態に係る便鉢内撮像装置100では、撮像部110の便器20(便鉢21)における相対位置の調整が可能である。つまり、例えば、互いに異なるサイズまたは形状の複数の便器のそれぞれに便鉢内撮像装置100を取り付けた場合、それぞれの便器において、撮像部110を、便鉢の周縁部における横方向の内側面に沿うように配置することができる。
【0032】
具体的には、便鉢内撮像装置100は、
図4~
図5Bに示すように位置調整機構140を有している。本実施の形態では固定部130に位置調整機構140が設けられている。位置調整機構140は、軸孔132aが形成された軸孔板132、軸孔板132を支持する支持体135、及び、第一係合部133を有する。第一係合部133は、前後方向の複数の位置のそれぞれで軸孔板132の移動を規制する。支持体135は、第二係合部136を有しており、第二係合部136は、横方向の複数の位置のそれぞれで軸孔板132の移動を規制する。本実施の形態では、固定部130において、横方向に2つの位置調整機構140が並んで配置されており、その並び方向の外側に、例えばゴムで形成された緩衝部材139が配置されている。
【0033】
位置調整機構140を構成するこれら要素のうち、第一係合部133は、固定部130の本体部分である固定本体部131に形成されている。より詳細には、平板状の固定本体部131は、厚み方向(Z軸方向)に貫通する、平面視で長方形状の開口部131aを有している。開口部131aにおける横方向の両端に第一係合部133が設けられており、かつ、開口部131aの内方に、支持体135等の、位置調整機構140を構成する他の要素が配置されている。本実施の形態では、第一係合部133は、前後方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された、前後方向に長尺状の凹凸部によって実現されている。一対の第一係合部133は、支持体135の長手方向(横方向)の両端部を下方から支持する。支持体135は、長手方向の両端部に、第一係合部133に係合する少なくとも1つの凹または凸を含む第一被係合部137を有している。支持体135の第一被係合部137は、第一係合部133の延在方向(前後方向)の複数の位置のそれぞれで、第一係合部133と係合可能である。これにより、支持体135の前後方向の移動は、前後方向の複数の位置のそれぞれにおいて規制される。つまり、支持体135に支持されている軸孔板132の前後方向の移動も、前後方向の複数の位置のそれぞれにおいて規制される。
【0034】
本実施の形態では、第二係合部136は、横方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された横方向に長尺状の凹凸部によって実現されている。第二係合部136によって下方から支持される軸孔板132は、第二係合部136に係合する少なくとも1つの凹または凸を含む第二被係合部132bを有している。軸孔板132の第二被係合部132bは、第二係合部136の延在方向(横方向)の複数の位置のそれぞれで、第二係合部136と係合可能である。これにより、軸孔板132の前後方向の移動は、横方向の複数の位置のそれぞれにおいて規制される。
【0035】
このように、本実施の形態に係る位置調整機構140は、軸孔板132を、前後方向及び左右方向に移動可能に保持し、かつ、複数の位置において移動を規制することができる。すなわち、軸孔板132の固定本体部131に対する相対的な位置を、前後方向及び横方向のそれぞれにおいて変更することができる。軸孔板132は、軸体55(
図2参照)を貫通させる軸孔132aを有しており、平面視において、便器20の便座取付孔23と軸孔132aとが重なる位置で固定される。この状態において、軸孔板132は、上述のように、固定本体部131に対する前後方向及び左右方向の位置の変更が可能である。従って、便器20に対する位置が固定された軸孔板132に対して、固定本体部131は、前後方向及び左右方向の位置の変更が可能である。固定本体部131にはアーム部150を介して撮像部110が接続されているため、固定本体部131の位置変更に伴って撮像部110の便鉢21に対する相対的な位置も変更される。すなわち、撮像部110の位置調整が可能である。
【0036】
具体的には、便鉢内撮像装置100を便器20に取り付ける場合、便器20に便座50を取り付ける前に、便器20の便鉢21の周縁部22上に便鉢内撮像装置100を配置する。より詳細には、便鉢内撮像装置100が有する固定部130を、便器20の周縁後端部22a上に配置する。その後、支持体135に支持された軸孔板132を、軸孔132aが便座取付孔23に重なる位置に配置する。この時、
図3に示す固定本体部131の位置を初期位置とした場合、例えば
図8に示すように、固定本体部131を初期位置から少し前方に移動させた位置に配置する。その後、便座取付部52の一部を貫通して配置された軸体55を、軸孔132a及び便座取付孔23に挿通させてナットに螺合させ、ナットを締め付ける。この軸孔板132に関する一連の作業を、2つの軸孔板132のそれぞれについて行う。これにより、便器20に、便座取付部52ともに固定部130が固定される。その結果、撮像部110は、
図3に示す位置よりも少し前方に位置することになる(
図8参照)。また、この状態では、固定部130は、便器20の周縁後端部22aと便座取付部52とに挟まれた状態である。従って、軸孔板132と支持体135(第二係合部136)との係合状態、及び、支持体135と固定本体部131(第一係合部133)との係合状態を解くことはできない。つまり、固定本体部131は、周縁後端部22aと便座取付部52とに挟まれること、及び、位置調整機構140によって移動が規制されることにより位置が固定される。その結果、アーム部150を介して固定本体部131と接続された撮像部110の位置は安定的に維持される。
【0037】
なお、2本の軸体55のそれぞれに螺合させたナットを締めつけていない状態であれば、便座取付部52を少し浮かせた状態にすることで、支持体135と第一係合部133との係合及び軸孔板132と支持体135との係合状態を解くことができる。そのため、固定本体部131の位置変更、つまり、撮像部110の位置調整は可能である。つまり、便座50を便器20に取り付ける前だけでなく、便座50を便器20に取り付けた後においても、撮像部110の位置調整は可能である。例えば、撮像部110の配置位置として、
図8に示す配置位置よりも便鉢21の内方寄り(Y軸マイナス方向)の位置の方が好ましい場合を想定する。この場合、2本の軸体55に螺合するナットを緩めて便座取付部52を少し浮かせた状態にして、軸孔板132と支持体135(第二係合部136)との係合状態を解きながら、固定本体部131を右にずらすことができる。その後、少し浮かせていた便座取付部52を降ろして、緩めていた2つのナットを締め付ける。これにより、固定本体部131の移動が規制され、その結果、撮像部110の位置は、
図9に示す位置に安定的に維持される。
【0038】
また、本実施の形態では、軸体55が挿し通される2つの軸孔板132は、互いに独立して位置変更が可能である。従って、2つの便座取付孔23の互いの相対的な位置が、便器20とは異なる便器に対しても、便鉢内撮像装置100を取り付けることができる。例えば、2つの便座取付孔23の間隔が、
図2に示す間隔よりも広い便器20aに、便鉢内撮像装置100を配置する場合を想定する。この場合、
図10に示すように、2つの軸孔板132のそれぞれを、互いに離れる方向にずらして、便座取付部52を便器20aに固定する。これにより、便器20aに便鉢内撮像装置100を取り付けることができ、かつ、便器20aにおける撮像部110の位置(
図10参照)を、便器20に便鉢内撮像装置100を取り付けた場合の撮像部110の位置(
図3参照)とほぼ同じにすることができる。
【0039】
なお、
図8~
図10に示す、撮像部110の、便鉢21に対する相対位置のそれぞれは一例であり、位置調整機構140における軸孔板132の可動範囲に応じた範囲内で、撮像部110の便鉢21に対する相対位置は変更され得る。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係る便鉢内撮像装置100は、便座50を有する便器20における便鉢21の内方を撮像する装置である。便鉢内撮像装置100は、固定部130と、撮像部110と、アーム部150とを備える。固定部130は、便鉢21の周縁部22における後端部である周縁後端部22aにおいて、便座取付部52と周縁後端部22aとの間に挟まれた状態で固定される。撮像部110は、便鉢21の内方を撮像するための撮像素子121を有する。アーム部150は、固定部130と撮像部110とを接続する。アーム部150は、固定部130が便鉢21の周縁後端部22aに固定された状態において、便鉢21の周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に撮像部110を位置させる。
【0041】
この構成によれば、便鉢内撮像装置100の固定部130を、便座取付部52と便鉢21の周縁後端部22aとの間に挟んで固定することができる。これにより、様々なサイズまたは形状の便器に対して固定部130を強固に固定することができる。その結果、アーム部150を介して固定部130に接続された撮像部110の位置の安定性が向上する。従って、便鉢21内の排泄物を確実にまたは精度よく撮像素子121で撮像することができる。さらに、撮像部110は、便鉢21の周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に配置される。そのため、例えば、衛生洗浄装置が放出する洗浄水、及び、使用者の排泄物等が撮像部110に付着し難い。従って、洗浄水等の異物が撮像素子121の撮像の妨げとなる可能性が低減される。また、撮像部110に高度な防水性を持たせる必要はなく、かつ、撮像部110の清掃等のメンテナンスが容易化される。さらに、洗浄水を放出する洗浄ノズルと撮像部110との干渉の問題も生じ難いため、衛生洗浄装置の有無によらず、撮像部110を適切な位置に安定的に配置することができる。このように、本態様に係る便鉢内撮像装置100によれば、安定的に便器20に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る便鉢内撮像装置100は、さらに、アーム部150に対し、撮像部110を着脱自在に接続する着脱機構160を有する。
【0043】
この構成によれば、便器20の周縁後端部22aと便座取付部52とに挟まれて強固に固定された固定部130を、便器20から取り外すことなく、撮像部110のみを便鉢内撮像装置100から取り外すことができる。従って、撮像部110の清掃、修理、または交換等のメンテナンスが容易である。
【0044】
また、本実施の形態において、着脱機構160は、アーム部150から撮像部110に向けて突出するようにアーム部150に設けられた突出部161と、撮像部110に設けられた、突出部161が挿入される挿入部162と、を有する。突出部161は、突出部161の突出方向に直交する方向に凹んだ凹部161aを有する。挿入部162は、当該突出方向に直交する方向に移動することで、挿入部162に挿入された突出部161の凹部161aに対する挿抜が可能な係合部165を有する。
【0045】
この構成によれば、例えば
図7A~
図7Cに示すように、係合部165は、突出部161の凹部161aに挿入された状態と、突出部161の凹部161aから抜き出された状態との切り替えが可能である。つまり、係合部165の移動によって、突出部161を挿入部162から抜き出せないロック状態、及び、突出部161を挿入部162から抜き出せるアンロック状態の一方から他方に切り替えられる。従って、アーム部150に対して撮像部110を着脱自在に接続する着脱機構160が、簡易な構成で実現される。
【0046】
本実施の形態では、例えばコイルバネである付勢部材166による付勢力(弾性力)を係合部165に与えることで、係合部165が、突出部161の凹部161aから簡単には抜け出せないように構成されている。なお、係合部165を凹部161aに向けて付勢する外力は、コイルバネ等の弾性部材による弾性力でなくてもよい。例えば、磁力または重力を利用して、係合部165を凹部161aの内方に向けて付勢する構造が採用されてもよい。また、本実施の形態では、突出部161は撮像部110に配置され、挿入部162はアーム部150に配置されているが、突出部161及び挿入部162の配置位置は逆でもよい。つまり、突出部161がアーム部150に配置され、挿入部162が撮像部110に配置されてもよい。この構成については、変形例1として後述する。
【0047】
また、本実施の形態において、固定部130には、周縁後端部22aにおける固定部130の位置を調整するための位置調整機構140が設けられている。
【0048】
この構成によれば、固定部130の、便器20における固定位置の変更が可能であり、従って、アーム部150を介して固定部130に接続された撮像部110の位置も変更可能である。これにより、互いにサイズまたは形状が異なる複数種類の便器のそれぞれに対して、当該便器に適した位置に便鉢内撮像装置100を取り付けることが可能である。また、取付対象の1つの便器に便鉢内撮像装置100を取り付ける場合に、当該便器を使用する使用者の体形等に応じて、撮像部110の位置を調整することができる。
【0049】
具体的には、固定部130は、アーム部150が接続された固定本体部131と、固定部130を周縁後端部22aに固定する軸体55を上下方向に貫通させる軸孔132aが形成された軸孔板132と、支持体135とを有する。固定本体部131は、平面視で長方形状の開口部131aを有する。軸孔板132は、平面視において開口部131aの内方に配置されている。支持体135は、軸孔板132を下方から支持し、かつ、開口部131aを横方向に横断して配置されている。位置調整機構140は、開口部131aの4つの辺の内の横方向で対向する2つの辺それぞれに沿って設けられた、前後方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第一係合部133を含む。支持体135は、横方向の両端部のそれぞれに設けられた、第一係合部133と係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第一被係合部137を有する。
【0050】
この構成によれば、軸孔板132は、支持体135とともに、固定本体部131に対する前後方向の相対位置の変更が可能である。従って、少なくとも便器20の前後方向における固定部130の位置調整が可能である。これにより、前後方向における撮像部110の位置の自由度が向上する。このことは、一般的に前後方向のサイズが横方向のサイズよりも大きい便鉢21内における、排泄物のより確実な撮像という観点から有利である。
【0051】
より具体的には、位置調整機構140はさらに、支持体135に設けられた第二係合部136であって、横方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第二係合部136を含む。軸孔板132は、第二係合部136と係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第二被係合部132bを有する。
【0052】
この構成によれば、軸孔板132は、支持体135に対する横方向の相対位置の変更が可能である。従って、本実施の形態では、固定部130はさらに、便器20の横方向における位置調整が可能である。これにより、例えば、便鉢21の横方向のサイズの大小にかかわらず、撮像部110を、排泄物の撮像により適した位置に配置することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、第一係合部133と支持体135とは、一方の凸と他方の凹との係合によって支持体135の移動を規制している。これら凸及び凹は、例えば棒状の突起(凸)と有底または無底の穴(凹)とによって実現されてもよい。また、これら凸及び凹は視認可能な程度のサイズ(例えば
図5A及び
図5B参照)に形成されてもよく、視認不可能な程度に微細なサイズに形成されてもよい。例えば、第一係合部133と支持体135とが、荒らされた表面同士で接触することで、支持体135の第一係合部133に対する移動が規制されてもよい。つまり、第一係合部133は、支持体135との接触部分に生じる摩擦力によって、支持体135の移動を規制してもよい。これらの支持体135と第一係合部133との構造上の関係の補足事項については、支持体135と軸孔板132との構造上の関係にも適用される。
【0054】
便鉢内撮像装置100が有するアーム部150は、固定部130と撮像部110とを機械的に接続することができればよく、その形状に特に限定はない。しかし、本実施の形態では、アーム部150の形状として湾曲形状が採用されている。具体的には、アーム部150は、固定部130が便鉢21の周縁後端部22aに固定された状態において、便鉢21の周縁部22に沿うように湾曲した湾曲形状を有する。これにより、例えば、アーム部150が、便座50から大きくはみ出す可能性、または、アーム部150が排泄の邪魔になる可能性が低減する。
【0055】
また、本実施の形態では、撮像部110はさらに、人の存在、音、またはガスを検出するセンサを有する。つまり、撮像部110は、便鉢21の内方を撮像する機能に加え、排泄物に関する各種の情報を検出する機能を有している。これにより、撮像素子121から得られる画像のみよりも、より詳細にまたはより精度よく排泄状況(排泄の回数、排泄の時刻、及び、排泄物の種類または状態など)を検出することができる。より具体的には、本実施の形態に係る撮像部110は、
図6に示すように、人感センサ120、ガスセンサ126、及びマイク125を備えている。これにより例えば、人が便座50に着座したか否か、または/及び、便鉢21内に排泄物が排泄されたか否かに基づいて、撮像素子121の撮像の開始及び停止の制御ができる。つまり、排泄物の撮像がより効率よく実行される。
【0056】
以上、実施の形態に係る便鉢内撮像装置100について説明したが、便鉢内撮像装置100が備える着脱機構160及び位置調整機構140の構成は、上記実施の形態で説明された構成に限定されない。そこで、以下に、着脱機構160及び位置調整機構140についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0057】
[3-1.変形例1]
図11は、実施の形態の変形例1に係る着脱機構260の構成を示す平面図である。
図11では、説明の便宜上、撮像部110の長手方向及びアーム部150が有する突出部261の突出方向がX軸方向に平行となる姿勢で、撮像部110を図示している。さらに、
図11では、着脱機構260の構成を分かりやすく示すために、撮像部110aの、アーム部150との取り付け部分については、XY平面に平行な断面が簡易的に図示されている。
【0058】
図11に示す、変形例1に係る便鉢内撮像装置100aは、撮像部110aと、アーム部150aと、撮像部110aをアーム部150aに対して着脱自在に接続するための着脱機構260とを有している。アーム部150aは、
図11に図示しない固定部130(例えば
図4参照)から延設された部材であり、便鉢21の周縁部22における横方向の内側面22bに対向する位置に撮像部110aを位置させることができる。
【0059】
本変形例に係る着脱機構260では、突出部261は、挿入部262に挿入されることで、挿入部262から抜き出せない状態となり、解除ボタン269が押されることで、挿入部262から抜き出し可能な状態となる。つまり、着脱機構260によれば、撮像部110aを、アーム部150aに対して着脱自在に取り付けることができる。この機能は、実施の形態に係る着脱機構160と共通する。本変形例では、突出部261がアーム部150aに配置され、挿入部262が撮像部110aに配置されており、この点で、実施の形態に係る着脱機構160とは異なる。
【0060】
具体的には、本変形例に係る着脱機構260は、撮像部110aからアーム部150aに向けて突出するように撮像部110aに設けられた突出部261と、アーム部150aに設けられた、突出部261が挿入される挿入部262とを有する。突出部261は、突出部261の突出方向に直交する方向に凹んだ凹部261aを有する。挿入部262は、当該突出方向に直交する方向に移動することで、挿入部262に挿入された突出部261の凹部261aに対する挿抜が可能な係合部265を有する。
【0061】
この構成によれば、係合部265は、突出部261の凹部261aに挿入された状態と、突出部261の凹部261aから抜き出された状態との切り替えが可能である。つまり、係合部265の移動によって、突出部261を挿入部262から抜き出せないロック状態、及び、突出部261を挿入部262から抜き出せるアンロック状態の一方から他方に切り替えられる。従って、アーム部150aに対して撮像部110aを着脱自在に接続する着脱機構260が、簡易な構成で実現される。
【0062】
なお、本変形例では、係合部265が凹部261aから簡単には抜け出せないように係合部265に付勢力を与える付勢部材266としてコイルバネが採用されている。しかし、磁力または重力を利用して、係合部265を凹部261aの内方に向けて付勢する構造が採用されてもよいことは、上記実施の形態と同じである。
【0063】
また、本変形例に係る着脱機構260はさらに、アーム部150aに取り付けられた状態の撮像部110aの安定性を向上させるために、突起263と、突起263が挿入される挿入穴263aとを有している。具体的には、突起263はアーム部150aに設けられ、挿入穴263aは、撮像部110aに設けられている。この構成によれば、突出部261が挿入部262に挿入されかつ係合した状態では、突起263も挿入穴263aに挿入される。これにより、撮像部110aとアーム部150aとは、YZ平面において並ぶ2箇所で機械的に接続され、その結果、撮像部110aのぐらつき等が抑制される。
【0064】
[3-2.変形例2]
図12は、実施の形態の変形例2に係る位置調整機構140aの構成を示す平面図である。なお、本変形例に係る第一被係合部137aの形状は、
図12では表されていないが、第一被係合部137aは、実施の形態に係る第一被係合部137(
図5B参照)と同じく、少なくとも1つの凹または凸を有している。また、アーム部150の先端部には、
図12に図示しない撮像部110が取り付けられている。
【0065】
本変形例に係る便鉢内撮像装置100bは、周縁後端部22a(
図3参照)における固定部130の位置を調整するための位置調整機構140aを、固定部130に備えている。本変形例に係る位置調整機構140aにおいて、軸孔板132は下方から支持体135aに支持されており、支持体135aは、第一係合部133aの延在方向の複数の位置で第一係合部133aと係合可能である。これらの構成は、実施の形態に係る位置調整機構140と共通する。本変形例では、支持体135aが、固定本体部131に設けられた長方形状の開口部131bを前後方向(
図12におけるY軸方向)に横断して配置されており、この点で上記実施の形態に係る位置調整機構140とは異なる。
【0066】
具体的には、本変形例において、固定部130は、アーム部150が接続された固定本体部131と、固定部130を周縁後端部22aに固定する軸体55を上下方向に貫通させる軸孔132aが形成された軸孔板132と、支持体135aとを有する。固定本体部131は、平面視で長方形状の開口部131bを有する。軸孔板132は、平面視において開口部131bの内方に配置されている。支持体135aは、軸孔板132を下方から支持し、かつ、開口部131bを前後方向に横断して配置されている。位置調整機構140aは、開口部131bの4つの辺の内の前後方向で対向する2つの辺それぞれに沿って設けられた、横方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第一係合部133aを含む。支持体135aは、前後方向の両端部のそれぞれに設けられた、第一係合部133aと係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第一被係合部137aを有する。
【0067】
この構成によれば、軸孔板132は、支持体135aとともに、固定本体部131に対する横方向の相対位置の変更が可能である。従って、少なくとも便器20の横方向における固定部130の位置調整が可能である。これにより、横方向における撮像部110の位置の自由度が向上する。これにより、例えば、便鉢21の横方向のサイズの大小にかかわらず、撮像部110を、排泄物の撮像により適した位置に配置することができる。
【0068】
より具体的には、位置調整機構140aはさらに、支持体135aに設けられた第二係合部136aであって、前後方向に複数の凹凸が並ぶことで形成された第二係合部136aを含む。軸孔板132は、第二係合部136aと係合可能な少なくとも1つの凹または凸を含む第二被係合部132b(
図5B参照)を有する。
【0069】
この構成によれば、軸孔板132は、支持体135に対する前後方向の相対位置の変更が可能である。従って、本実施の形態では、固定部130はさらに、便器20の前後方向における位置調整が可能である。これにより、前後方向における撮像部110の位置の自由度が向上する。このことは、一般的に前後方向のサイズが横方向のサイズよりも大きい便鉢21内における、排泄物のより確実な撮像という観点から有利である。
【0070】
[4.他の変形例]
以上、本開示に係る便鉢内撮像装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本開示は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したもの、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も本開示の範囲内に含まれる。
【0071】
例えば、便鉢内撮像装置100の固定部130には、2つの位置調整機構140が設けられているが、固定部130に設けられる位置調整機構140の数は2には限定されない。例えば、便座取付孔23(
図2参照)が平面視で多角形等の非円形の孔であり、かつ、軸体55の軸方向に直交する断面が非円形であることで、軸体55の軸周りの回転が不可能な場合を想定する。この場合、1つの軸体55によって、便座取付部52を周縁後端部22aに固定することも可能である。便座取付部52の固定に用いられる軸体55の数が1である場合、固定部130に設けられる位置調整機構140の数も1であってもよい。また、便座取付部52の固定に用いられる軸体55の数が3以上である場合、固定部130に、当該3以上の数の位置調整機構140が設けられてもよい。さらに、便鉢内撮像装置100において、位置調整機構140は必須の構成要素ではない。便鉢内撮像装置100が位置調整機構140を有しない場合であっても、固定部130が、便座取付部52と便鉢21の周縁後端部22aとの間に挟まれて固定されることで、撮像部110の位置の安定性の向上効果を得ることができる。
【0072】
また、例えば、撮像部110は、少なくとも撮像素子121を有していればよく、人感センサ120、ガスセンサ126、及びマイク125を有しなくてもよい。また、撮像素子121が、比較的に暗い環境での撮像が可能な場合、撮像部110は照明部122を有しなくてもよい。
【0073】
また、撮像素子121が排泄物を撮像することは必須ではない。例えば、撮像素子121は、常時撮像を継続してもよく、人感センサ120による人の存在の検出をトリガとして撮像を開始してもよい。つまり、撮像素子121から得られる画像に排泄物が含まれていなくてもよい。例えば人の存在が検出され、かつ、その時に撮像された画像に排泄物が含まれていない場合、その人は、排泄の意図があったにもかかわらず排泄ができなかった(または排泄しなかった)ことを、排泄状況として検出することができる。
【0074】
また、本実施の形態において、撮像部110は、画像等の検出結果の送信先である上位コンピュータから電力供給を受けるとしたが、撮像部110は、動作のための電力供給源としてのバッテリーを内蔵してもよい。さらに、撮像部110は、上位コンピュータ等の外部機器に画像等の検出結果を送信するための無線通信機能を有してもよい。つまり、便鉢内撮像装置100を、完全にワイヤレス化することも可能である。これにより、通信または電力供給のためのケーブルが、便鉢内撮像装置100の取り付けまたは使用の際の邪魔になることがない。
【0075】
また、着脱機構160が有する、撮像部110をアーム部150に着脱可能に取り付けるための構造(着脱構造)に特に限定はない。例えば、着脱構造として、スナップフィットが採用されてもよく、磁石の磁力を利用した構造が採用されてもよい。また、撮像部110及びアーム部150の一方に設けられた雄ネジ部を、他方に設けられた雌ネジ部に螺合させる構造が着脱構造として採用されてもよい。さらに、撮像部110がアーム部150に対して着脱自在であることは必須ではない。撮像部110は、アーム部150に固定されていてもよい。つまり、便鉢内撮像装置100は、着脱機構160を備えなくてもよく、これにより、便鉢内撮像装置100の構造をより簡素にすることができる。
【0076】
その他、上記実施の形態及びその変形例に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態、及び、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態及びその変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示は、便器に取り付けて便鉢の内方を撮像する便鉢内撮像装置として有用である。従って、介護施設等において、対象者の排泄物を撮像するための装置として利用できる。
【符号の説明】
【0078】
10 便器装置
20、20a 便器
21 便鉢
22 周縁部
22a 周縁後端部
22b 内側面
23 便座取付孔
50 便座
52 便座取付部
55 軸体
100、100a、100b 便鉢内撮像装置
110、110a 撮像部
111 ハウジング
120 人感センサ
121 撮像素子
122 照明部
125 マイク
126 ガスセンサ
130 固定部
131 固定本体部
131a、131b 開口部
132 軸孔板
132a 軸孔
132b 第二被係合部
133、133a 第一係合部
135、135a 支持体
136、136a 第二係合部
137、137a 第一被係合部
139 緩衝部材
140、140a 位置調整機構
150、150a アーム部
160、260 着脱機構
161、261 突出部
161a、261a 凹部
162、262 挿入部
163、263 突起
163a、263a 挿入穴
165、265 係合部
166、266 付勢部材
169、269 解除ボタン