(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006526
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】荷降し装置、荷降しプログラム、及び荷降し方法
(51)【国際特許分類】
B65G 59/04 20060101AFI20230111BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B65G59/04
B25J15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109168
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 武
(72)【発明者】
【氏名】青柳 利明
【テーマコード(参考)】
3C707
3F030
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS02
3C707FS01
3C707FT13
3C707FU03
3C707NS02
3C707NS19
3F030AA04
3F030AB04
3F030BB01
3F030BC01
3F030BC02
(57)【要約】
【課題】、荷降しの作業効率を向上できる荷降し装置、荷降しプログラム、及び荷降し方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る荷降し装置の制御装置は、回動装置を制御して支持部を初期位置に維持した状態において、保持装置を制御して荷物を保持させ、第1移動装置を制御して前記荷物を所定高さまで上昇させた後に、前記回動装置を制御して前記支持部を回動位置に維持した状態において、前記第1移動装置を制御して前記荷物の下端が前記荷物の載置面に接した状態で前記荷物を移動させるよう制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の上面を吸着する上面吸着部、及び前記荷物の側面を吸着する側面吸着部を備える保持装置と、
前記保持装置を上下方向に交差する一軸回りに回動可能に支持する支持部と、
前記支持部に接続され、前記支持部を移動する第1移動装置と、
前記支持部を、前記一軸回りに、前記上面吸着部が略水平となる初期位置から前記上面吸着部が前記初期位置より下方に移動した回動位置で維持する回動装置と、
前記回動装置を制御して前記支持部を前記初期位置に維持した状態において、前記保持装置を制御して前記荷物を保持させ、前記第1移動装置を制御して前記荷物を所定高さまで上昇させた後に、前記回動装置を制御して前記支持部を前記回動位置に維持した状態において、前記第1移動装置を制御して前記荷物の下端が前記荷物の載置面に接した状態で前記荷物を移動させるよう制御する、制御装置と、
を備える荷降し装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1移動装置を制御して、前記支持部及び前記荷物を、前記上下方向に交差する方向に沿って上昇させる、請求項1に記載の荷降し装置。
【請求項3】
前記交差する方向は、上方へ向かうにつれて、前記側面吸着部から前記荷物側へ向かう方向である、請求項2に記載に荷降し装置。
【請求項4】
前記支持部に設けられ、前記側面吸着部を、前記側面に近接する方向及び前記側面から離間する方向に移動する第2移動装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記荷物が、前記側面吸着部が周囲に干渉しない高さである前記所定高さに到達すると、前記第2移動装置を制御して前記側面吸着部を前記側面まで移動させ、前記保持装置を制御して前記側面吸着部により前記側面を吸着させる、
請求項1に記載の荷降し装置。
【請求項5】
コンピュータに、
回動装置を制御して、荷物の上面を吸着する上面吸着部を備える保持装置を上下方向に交差する一軸回りに回動可能に支持する支持部を、前記上面吸着部が略水平となる初期位置に維持した状態において、前記保持装置を制御して前記荷物を保持させる処理と、
前記支持部に接続され前記支持部を移動する第1移動装置を制御して前記支持部を所定高さまで上昇させた後に、前記回動装置を制御して前記支持部を前記回動位置に維持した状態において、前記第1移動装置を制御して前記荷物の下端が前記荷物の載置面に接した状態で前記荷物を移動させる処理と、
を実行させる荷降しプログラム。
【請求項6】
回動装置を制御して、荷物の上面を吸着する上面吸着部を備える保持装置を上下方向に交差する一軸回りに回動可能に支持する支持部を、前記上面吸着部が略水平となる初期位置に維持した状態において、前記保持装置を制御して前記荷物を保持させ、
前記支持部に接続され前記支持部を移動する第1移動装置を制御して前記支持部を所定高さまで上昇させた後に、前記回動装置を制御して前記支持部を前記回動位置に維持した状態において、前記第1移動装置を制御して前記荷物の下端が前記荷物の載置面に接した状態で前記荷物を移動させる、
荷降し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷降し装置、プログラム、及び荷降し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば物流倉庫で用いられ、パレット等の載置部に積載された荷物を荷降しする荷降し装置が知られている。荷降し装置は、保持部で荷物を保持し、保持した荷物を、コンベア等の荷降し先に荷降しする構成が知られている。この種の荷降し装置は、荷物の上面、及び荷物の側面を吸着することで荷物を保持する保持部を備える構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、荷降しの作業効率を向上できる荷降し装置、荷降しプログラム、及び荷降し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る荷降し装置は、保持装置と、支持部と、第1移動装置と、回動装置と、制御装置と、を備える。前記保持装置は、荷物の上面を吸着する上面吸着部、及び前記荷物の側面を吸着する側面吸着部を備える。前記支持部は、前記保持装置を上下方向に交差する一軸回りに回動可能に支持する。前記第1移動装置は、前記支持部に接続され、前記支持部を移動する。前記回動装置は、前記支持部を、前記一軸回りに、前記上面吸着部が略水平となる初期位置から前記上面吸着部が前記初期位置より下方に移動した回動位置で維持する。前記制御装置は、前記回動装置を制御して前記支持部を前記初期位置に維持した状態において、前記保持装置を制御して前記荷物を保持させ、前記第1移動装置を制御して前記荷物を所定高さまで上昇させた後に、前記回動装置を制御して前記支持部を前記回動位置に維持した状態において、前記第1移動装置を制御して前記荷物の下端が前記荷物の載置面に接した状態で前記荷物を移動させるよう制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る荷降し装置の構成を示す斜視図。
【
図2】同荷降し装置の保持装置及び支持部を示す側面図。
【
図4】同荷降し装置の動作の一例を示すフローチャート。
【
図5】同荷降し装置の動作の一例を示すフローチャート。
【
図6】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図7】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図8】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図9】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図10】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図11】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図12】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【
図13】同荷降し装置の動作の一例を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態に係る荷降し装置10について、
図1乃至
図13を用いて説明する。
【0008】
図1は、荷降し装置10の構成を示す斜視図である。
図2は、荷降し装置10の保持装置70及び支持部80を示す側面図である。
図3は、荷降し装置10の構成を示すブロック図である。
図4及び
図5は、荷降し装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図6乃至
図13は、荷降し装置10の動作の一例を説明する概略図である。
【0009】
図1乃至
図3に示すように、荷降し装置10は、例えば、フレーム20と、中間コンベア30と、昇降装置40と、第1センサ50と、第2センサ60と、保持装置70と、支持部80と、第1移動装置90と、第2移動装置110と、回動装置120と、第3センサ140と、制御装置130と、を備える。
【0010】
荷降し装置10は、例えば、物流倉庫で用いられ、パレット等の載置部1に積載された複数の荷物2からなる荷物群3から荷物2を保持装置70により保持し、第1移動装置90により荷降し先の一例である中間コンベア30に荷降し、中間コンベア30及び昇降装置40により、搬出先の一例であるメインコンベア4に搬出する。
【0011】
荷降し装置10は、例えば、載置部1及びメインコンベア4の間に配置される。本実施形態において、重力方向を下方向として上下方向Zを規定し、上下方向Zに直交し、荷降し装置10から載置部1へ向かう方向を前方向として前後方向Xを規定し、上下方向Z及び前後方向Xの双方に直交する方向を幅方向Yとして規定する。
【0012】
図2に示すように、荷物2は、例えば、直方体状に構成され、上面6、側面7、下面8を有する。側面7は、前面5a及び後面5bを含む。荷物群3において、複数の荷物2は、例えば、前面5a及び後面5bが、前後方向に直交する姿勢で配置される。上下方向Zに並ぶ2つの荷物2の間には、荷崩れを防止するため、糊剤等の防滑防止剤5が設けられている。防滑防止剤5は、例えば、荷物2の上面6の前後方向Xに離間して2箇所に少なくとも設けられている。上下方向に並ぶ2つの荷物2は、防滑防止剤5により固着される。
図1に示すように、メインコンベア4は、荷降し装置10により荷降しされた荷物2を、荷降し装置10の二次側の搬送先に搬送可能に構成される。
【0013】
フレーム20は、中間コンベア30、昇降装置40、第1センサ50、第2センサ60、保持装置70、支持部80、第1移動装置90、第2移動装置110、及び回動装置120を支持する。
【0014】
フレーム20は、例えば、フレーム本体21と、廂部22と、を備える。
フレーム本体21は、中間コンベア30、昇降装置40、第2センサ60、保持装置70、支持部80、第1移動装置90、第2移動装置110、及び回動装置120を支持する。フレーム本体21は、載置部1に面する第1開口23と、メインコンベア4に面する第2開口24と、を有する。第1開口23及び第2開口24は、前後方向Xに荷物2を通過可能に構成される。
【0015】
フレーム本体21は、例えば、複数例えば4本の柱部25と、複数の梁部26と、を備える。
複数の柱部25は、例えば、幅方向Yに隣接する2本の柱部25、並びに、上端及び下端に設けられる2本の梁部26により第1開口23を構成し、第1開口23を構成する2本の柱部25より後方で幅方向Yに隣接する2本の柱部25、並びに、上端及び下端に設けられる2本の梁部26により第2開口24を構成する。
【0016】
廂部22は、フレーム本体21の上端部の前端部に設けられている。廂部22は、フレーム本体21から前方に突出している。廂部22は、例えば、載置部1と上下方向で並ぶ位置に配置される。
【0017】
中間コンベア30は、フレーム本体21内に収容される。中間コンベア30は、第1開口23からフレーム本体21に搬入された荷物2を、第2開口24を通してメインコンベア4に搬出可能に構成される。
【0018】
中間コンベア30は、例えばベルトコンベアである。中間コンベア30は、例えば、ベルト31と、第1駆動部32と、第1伝達機構33と、を備える。なお、中間コンベア30は、ローラーコンベアであってもよい。
【0019】
ベルト31は、例えば無端ベルトである。ベルト31の前端は、第1開口23の近傍に配置される。ベルト31の後端は、第2開口24の近傍に配置される。ベルト31の後端及びメインコンベア4間の隙間は、中間コンベア30により搬送された荷物2が、ベルト31及びメインコンベア4の間から下方に落下することを規制する隙間に設定される。
【0020】
第1駆動部32は、ベルト31を駆動する駆動力を生じさせる。第1駆動部32は、例えばモータである。
第1伝達機構33は、第1駆動部32が生じる駆動力を受けてベルト31を回転する。また、第1伝達機構33は、ベルト31を、その上面34が例えば上下方向Zに直交する平面とする姿勢で、回転可能に支持する。第1伝達機構33は、例えば、ベルト31の前端部及び後端部のそれぞれに設けられ、ベルト31を回転可能に支持する一対のプーリと、後端部のプーリ及び第1駆動部32の主軸を連結して後端部のプーリを第1駆動部32と一体に回転される軸部と、を備える。
【0021】
このように構成される中間コンベア30は、第1駆動部32が駆動されることでベルト31が回転され、ベルト31に載置された荷物2をメインコンベア4に搬出する。
【0022】
昇降装置40は、中間コンベア30をフレーム本体21内で昇降可能に構成される。昇降装置40は、例えばフレーム本体21に設けられる。昇降装置40は、例えば、第2駆動部41と、第2伝達機構42と、を備える。
【0023】
第2駆動部41は、中間コンベア30を昇降させる駆動力を生じさせる。第2駆動部41は、例えばモータである。第2駆動部41は、例えば、フレーム本体21の上端部に設置される。
【0024】
第2伝達機構42は、第2駆動部41が生じさせる駆動力を、中間コンベア30に伝達して中間コンベア30を昇降する。第2伝達機構42は、例えば、シャフト43と、複数のワイヤ44と、を備える。
【0025】
シャフト43は、第2駆動部41により回転される。シャフト43は、例えば、第2駆動部41の主軸に、直接的または間接的に固定される。シャフト43は、フレーム本体21の上端に、水平方向に平行な姿勢、例えば幅方向Yに平行な姿勢で設置される。
【0026】
複数のワイヤ44は、それぞれの一端がシャフト43に固定され、それぞれの他端が中間コンベア30に固定される。
【0027】
このように構成される昇降装置40は、第2駆動部41が駆動されることでシャフト43が回転して複数のワイヤ44がシャフト43に巻き取られ、または繰り出されることで、中間コンベア30を昇降する。
【0028】
第1センサ50は、荷物群3における、荷物2の位置情報を含む荷物2に関する情報を検出する。第1センサ50は、検出結果を制御装置130に送信する。第1センサ50は、例えばステレオカメラである。第1センサ50は、異なる2点から撮像したときの視差に基づいて第1センサ50と荷物2との距離を計測する。また、第1センサ50は、荷物2の位置情報に加えて、荷物2に関する情報の一例として荷物2の大きさ及び形状を検出する。第1センサ50は、例えばフレーム20、具体例として廂部22に設置される。第1センサ50は、上下方向で載置部1に並ぶに位置に配置される
第2センサ60は、保持装置70に保持されて中間コンベア30に移動される荷物2の移動軌跡上で荷物2の下面8の高さを計測する。第2センサ60は、検出結果を制御装置130に送信する。第2センサ60は、例えば、載置部1及び中間コンベア30の間の、中間コンベア30よりも下方に設置される。第2センサ60は、例えば、フレーム本体21の下端の前端に設置される。
【0029】
第2センサ60は、例えばレーザーレンジファインダ(LRF)である。第2センサ60は、例えば、上方に向かって、載置部1及び中間コンベア30間を移動される荷物2の下面8に、赤外線レーザー光、可視光線、紫外光線、X線などのレーザー光を照射し、下面8で反射されたレーザー光を受光する。そして、照射から反射光の受光までの時間に基づいて、荷物2の下面8の高さを検出する。
【0030】
保持装置70は、上面吸着部71と、側面吸着部72と、を備える。保持装置70は、上面吸着部71で荷物2の上面6を吸着し、側面吸着部72で荷物2の側面7を吸着することで、荷物2を保持する。保持装置70は、上面吸着部71及び側面吸着部72による吸着を解除することで、荷物2の保持を解除する。
【0031】
図3に示すように、保持装置70は、本実施形態においては、ポンプを含む負圧発生装置77を備え、この負圧発生装置77を駆動することで、上面吸着部71及び側面吸着部72が、荷物2を吸着する。
【0032】
図2に示すように、上面吸着部71は、例えば、第1本体73と、1つまたは複数の第1吸着パッド74と、を備える。
第1本体73は、負圧発生装置77に接続される。第1本体73は、支持部80に支持される。第1本体73は、例えば、上下方向Zに直交する平面に形成される下面73aを有する。第1本体73は、例えば、直方体状に形成される。
【0033】
第1吸着パッド74は、第1本体73に、例えば複数設けられる。複数の第1吸着パッド74は、例えば下面73aに設けられる。複数の第1吸着パッド74は、下端が開口端74aとなる筒状、例えば円錐台形状の筒状に形成される。複数の第1吸着パッド74は、第1本体73を介して負圧発生装置77に接続される。複数の第1吸着パッド74の複数の開口端74aは、例えば、上下方向に直交する同一平面に配置される。
【0034】
側面吸着部72は、例えば、第2本体75と、1つまたは複数の第2吸着パッド76と、を備える。
第2本体75は、負圧発生装置77に接続される。第2本体75は、支持部80に支持される。第2本体75は、例えば、前後方向Xに直交する平面に形成される前面75aを有する。第2本体75は、例えば、直方体状に形成される。
【0035】
第2吸着パッド76は、第2本体75の前面75aに、例えば複数設けられる。第2吸着パッド76は、前端が開口端76aとなる筒状、例えば円錐台形状の筒状に形成される。複数の第2吸着パッド76は、第2本体75を介して負圧発生装置77に接続される。複数の第2吸着パッド76の複数の開口端76aは、例えば、前後方向Xに直交する同一平面に配置される。
【0036】
負圧発生装置77は、複数の第1吸着パッド74内、及び複数の第2吸着パッド76内に負圧を生じさせ、かつ、この負圧を解除可能に構成される。負圧発生装置77は、例えば、ポンプ、ポンプ及び上面吸着部71を接続する第1管、ポンプ及び側面吸着部72を接続する第2管、並びに、第1管及び第2管のそれぞれに設けられ、第1管及び第2管及び大気を接続するバルブと、を備える。なお、ポンプは、上面吸着部71及び側面吸着部72で共通して用いられてもよく、または、上面吸着部71及び側面吸着部72のそれぞれに対して1つずつ設けられてもよい。
【0037】
このように構成された保持装置70は、負圧発生装置77が生じる負圧によって、上面吸着部71及び側面吸着部72が真空吸着により荷物2を保持する。そして、バルブが開くことで第1吸着パッド74及び第2吸着パッド76内の負圧が解除されると、換言すると真空破壊が起こると、上面吸着部71及び側面吸着部72は、荷物2を解放する。
【0038】
支持部80は、保持装置70を、上面吸着部71が荷物2の上面6を吸着し、側面吸着部72が荷物2の後面5bを吸着できる姿勢で、第1移動装置90に支持する。
【0039】
また、支持部80は、保持装置70を、第1移動装置90に、上下方向Zに直交する一軸周りに回動可能に支持する。本実施形態においては、支持部80は、保持装置70を、幅方向Yに平行な一軸周りに、初期位置A1及び回動位置A2の間で回動可能に支持する。
【0040】
初期位置A1は、上面吸着部71が、載置部1に載置された荷物2の上面を吸着可能であり、かつ、側面吸着部72が荷物2の後面5bを吸着可能な位置である。初期位置A1は、上面吸着部71の上面6と当接する面が、略水平となる位置である。
【0041】
ここで、略水平とは、水平、及び、水平に対して若干の傾斜を有することを含む。例えば、荷降し装置1の支持部80や保持装置70等の各構成の組付け精度によっては、上面吸着部71の上面6と当接する面が水平となる姿勢にしようとしたところ、若干傾く場合がある。水平に対して若干の傾斜を有するとは、上面吸着部71の上面6と当接する面が水平になるよう後述する回動装置120を制御した場合において、上面吸着部71の上面6と当接する面が水平に対して若干傾斜する誤差を含めるものである。本実施形態では、初期位置A1は、例えば、上面吸着部71の複数の第1吸着パッド74の開口端74aが水平となり、複数の第2吸着パッド76の開口端76aが前後方向Xに直交する位置である。
回動位置A2は、初期位置A1に対して側面吸着部72が上方に配置される位置である。
【0042】
支持部80は、例えば、支持部本体81と、連結部82と、を備える。
支持部本体81には、上面吸着部71及び側面吸着部72が設けられる。支持部本体81は、例えば、第1部分83と、第2部分84と、を備える。
【0043】
第1部分83には、上面吸着部71が設けられる。第1部分83は、前後方向Xに長い形状に形成される。第1部分83の例えば前端部には、上面吸着部71が設けられる。
【0044】
第2部分84には、例えば第2移動装置110を介して、側面吸着部72が設けられる。第2部分84は、例えば、第1部分83の後端部に設けられ、下方に長い形状に形成される。
【0045】
連結部82は、支持部本体81を、幅方向Yに平行な一軸周りに回動可能に、第1移動装置90に連結する。連結部82は、例えば、ブラケット85と、回動軸86と、を備える。
【0046】
ブラケット85は、例えば、第1移動装置90に固定される。回動軸86は、例えば、第1部分83の後端部を、ブラケット85に、回動可能に連結する。回動軸86は、幅方向Yに平行に形成される。
【0047】
図1に示すように、第1移動装置90は、支持部80に接続され、支持部80を移動する。そして、第1移動装置90は、支持部80を介して保持装置70を、載置部1及び中間コンベア30の間で移動する。すなわち、第1移動装置90は、支持部80を、荷物2を保持する保持位置、及び荷物2の荷降し先の間で、移動する。
【0048】
第1移動装置90は、例えば、フレーム本体21に支持される。第1移動装置90は、例えば、水平移動装置91と、昇降装置92と、を備える。
【0049】
水平移動装置91は、支持部80を水平方向に移動する。水平移動装置91は、例えば、基部93と、可動部95と、アーム94と、を備える。
【0050】
基部93は、フレーム本体21内の中間コンベア30の上方で、上下方向Zに移動可能に形成される。基部93は、例えば平板状に形成される。
【0051】
可動部95は、基部93に設けられる。可動部95は、アーム94を、基部93に対して前後方向X及び幅方向Yに移動する。可動部95は、
図3に示すように、例えば、前後方向アクチュエータ95aと、幅方向アクチュエータ95bと、を備える。前後方向アクチュエータ95aは、アーム94を前後方向Xに移動する。幅方向アクチュエータ95bは、アーム94を幅方向Yに移動する。
【0052】
アーム94は、前後方向Xに延びる形状に形成される。アーム94は、可動部95に支持される。アーム94の前端部に、ブラケット85が固定される。
【0053】
昇降装置92は、水平移動装置91を上下方向Zに移動する。昇降装置92は、例えば、シャフト96と、上下方向アクチュエータ97と、複数のワイヤ98と、を備える。
【0054】
シャフト96は、例えば、幅方向Yに平行な姿勢でフレーム本体21の上端部に回転可能に支持される。
上下方向アクチュエータ97は、例えばフレーム本体21の上端部に固定され、シャフト96を回転させる。
複数のワイヤ98は、その一端がシャフト96に固定され、他端が水平移動装置91の基部93に固定される。
【0055】
図2に示すように、第2移動装置110は、支持部80に設けられ、側面吸着部72を、荷物2の側面、本実施形態においては後面5bに近づく方向及び離れる方向に移動する。第2移動装置110は、側面吸着部72を、前後方向Xに移動する。第2移動装置110は、例えば、基部111と、移動部112と、第3駆動部113と、を備える。
【0056】
基部111は、例えば、支持部本体81の第2部分84に固定される。
移動部112は、例えば、基部111に、前後方向Xに移動可能に支持される。
第3駆動部113は、例えば、基部111に固定される。第3駆動部113は、移動部112を、前後方向Xに移動する。
【0057】
回動装置120は、支持部80を、初期位置A1及び回動位置A2の間で回動する。また、回動装置120は、保持装置70が荷物2を保持した状態で、支持部80を初期位置A1に維持する。また、回動装置120は、保持装置70が荷物2を保持した状態で、支持部80を回動位置A2に維持する。回動装置120は、例えば、保持装置70が荷物2を保持した状態で、支持部80を初期位置A1及び回動位置A1の間の任意の位置に維持可能に構成されてもよい。
【0058】
回動装置120は、例えば、アーム121と、回動アクチュエータ122と、を備える。
【0059】
アーム121は、例えば水平移動装置91のアーム94に設けられ、アーム94の上方において、前後方向Xに延びる形状に形成される。アーム121の前端は、支持部本体81の第1部分83の前端と上下方向で対向する位置に配置される。
【0060】
回動アクチュエータ122は、アーム121の前端部、及び第1部分83の前端部を連結し、上下方向に伸縮することで、支持部80を回動軸86回りに回動する。回動アクチュエータ122は、例えばエアシリンダである。
【0061】
回動アクチュエータ122は、
図2及び
図3に示すように、例えば、シリンダ123と、ピストン124と、ポンプ125と、回路126と、を備える。回動アクチュエータ122は、ポンプ125及びシリンダ123が、回路126により接続され、ポンプ125に供給されるエアにより、シリンダ123に対してピストン124が上下方向Zに移動する。
【0062】
ポンプ125は、回路126を介して、シリンダ123にエアを供給する。
回路126は、ポンプ125及びシリンダ123を接続する。例えば、回路126は、流路及び1または2以上のリリーフバルブを備える。回路126は、リリーフバルブが制御されることで、シリンダ123に、初期位置A1に維持する圧力、または、回動位置A2に維持する圧力を供給する。
【0063】
このような回動装置120により、シリンダ123に対するピストン124の突出量の調整されることで、支持部80の回動軸86の回りの回動量が制御される。
【0064】
なお、上述の回動アクチュエータ122は、回路126が制御されることで、シリンダ123に供給される圧力が、初期位置A1に維持する圧力、または、回動位置A2に維持する圧力に切り替えられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、回動アクチュエータ122は、回路126を備えず、ポンプ125が、初期位置A1に維持する圧力、及び回動位置A2に維持する圧力を、シリンダ123に供給可能に構成されてもよい。または、ポンプ125及び回路126は、油圧回路を構成してもよい。または、回動装置120は、回動アクチュエータ122としてモータを備え、モータが生じる駆動力により、保持装置70が荷物2を保持した状態の支持部80を初期位置A1に維持し、または、保持装置70が荷物2を保持した状態の支持部80を回動位置A2に維持する構成であってもよい。
【0065】
第3センサ140は、保持位置で上面吸着部71によって保持対象の荷物2の上面6を吸着した状態で、当該荷物2の後方に、側面吸着部72を荷物2の後面5bに移動できるスペースがあるか否かを判定する為の情報を検出する。
【0066】
ここで、上面吸着部71が上面6を吸着した状態は、本実施形態では、複数の第1吸着パッド74が負圧により上下方向Zで縮む。複数の第1吸着パッド74の開口端74aが荷物2の上面6に当接した状態であって、まだ複数の第1吸着パッド74により上面6が吸着されてない状態では、複数の第1吸着パッド74はその軸方向に縮まない。
【0067】
この為、例えば
図11に示すように、保持位置で複数の第1吸着パッド74の開口端74aが荷物2の上面6に当接した状態で複数の第1吸着パッド74が上面6を吸着していない状態では、複数の第1吸着パッド74が縮む前の状態であるので、側面吸着部72を荷物2の後方に配置することが可能である場合がある。しかしながら、この状態で負圧発生装置77により複数の第1吸着パッド74内が負圧となることで複数の第1吸着パッド74が軸方向に縮むと、側面吸着部72が下方の荷物2または載置部1に干渉する虞がある。
【0068】
第3センサ140は、このように、複数の第1吸着パッド74の開口端74aが荷物2の上面6に当接した状態であって複数の第1吸着パッド74が上面6を吸着していない状態で、側面吸着部72の下方の荷物2または載置部1までの距離を検出する。本実施形態においては、第3センサ140は、下斜め前方の荷物2または載置部1までの距離を検出する。第3センサ140は、検出結果を制御装置130に送信する。第3センサ140は、例えば、側面吸着部72の下端部、具体例として第2本体75の下端部に設置される。第3センサ140は、例えば、レーザーレンジファインダである。第3センサ140は、下斜め前方にレーザーを照射する。
【0069】
制御装置130は、荷降し装置10の各部の動作を制御する。なお、制御装置130は、メインコンベア4を制御してもよい。なお、メインコンベア4は、他の制御装置により制御されてもよい。制御装置130は、例えば、フレーム20に設けられる。
【0070】
制御装置130は、保持装置70、第1移動装置90、第2移動装置110、回動装置120を制御する。制御装置130は、第1センサ50の検出結果に基づいて、載置部1の荷物2の位置、形状、大きさを検出する。制御装置130は、第2センサ60の検出結果に基づいて、載置部1から中間コンベア30に荷降しされる荷物2の下面の高さを検出する。制御装置130は、第3センサ140の検出結果に基づいて、保持位置にて上面吸着部71で荷物2の上面6を吸着した状態で、当該荷物2の後方に側面吸着部72を配置するスペースがあるか否かを判定する。
【0071】
また、制御装置130は、回動装置120を制御して支持部80を初期位置A1に維持した状態において、保持装置70を制御して荷物2を保持させ、第1移動装置90を制御して荷物2を所定高さまで上昇させた後に、回動装置120を制御して支持部80を回動位置A2に維持した状態において、第1移動装置90を制御して荷物2の下端が荷物2の載置面に接した状態で荷物2を移動させるよう制御する。
【0072】
制御装置130は、荷降し装置10を制御するためのコンピュータを構成する。制御装置130は、例えば、通信インターフェース131と、プロセッサ132と、メモリ133と、ストレージ134とを有している。これらは、バスライン135を介して通信される。
【0073】
通信インターフェース131は、外部機器との通信に用いるインターフェースである。通信インターフェース131は、制御装置130が荷降し装置10の各部と通信するための通信規格などに対応した端子及び回路を備える。
【0074】
通信インターフェース131は、中間コンベア30、第1センサ50、第2センサ60、保持装置70、第1移動装置90、第2移動装置110、回動装置120、及び第3センサ140と有線又は無線で接続され、通信する。制御装置130は、中間コンベア30、第1センサ50、第2センサ60、保持装置70、第1移動装置90、第2移動装置110、回動装置120、及び第3センサ140を制御する。
プロセッサ132は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。メモリ133は、読み出し専用のデータメモリであるROM(Read Only Memory)又はデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ134は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの大容量ストレージであってよい。メモリ133又はストレージ134は、荷降し装置10の各機器の制御プログラムや各種データを記憶している。制御プログラムは、載置部1に載置された荷物2の荷降しに関するプログラムを含む。プロセッサ132は、メモリ133又はストレージ134に記憶されているプログラム等に基づいて種々の処理を行う。つまり、プロセッサ132は、ソフトウェア機能部として各種プログラムを実行する。CPUに代わって、ハードウェア機能部としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などが用いられてもよい。
【0075】
次に、荷降し装置10の動作の一例を、
図4乃至
図11を用いて説明する。荷降し装置10の制御装置130は、プロセッサ132がメモリ133に記憶された荷物2の荷降しに関するプログラムを実行することで、載置部1に載置された荷物2を荷降しする。
【0076】
図4に示すように、制御装置130は、支持部80の傾げ量を「小」に設定する(ステップST1)。ここで、傾げ量を「小」に設定することは、ポンプ125及び回路126を制御することでシリンダ123に対するピストン124の突出量を制御して、支持部80を初期位置A1に維持することである。
【0077】
次に、制御装置130は、第1センサ50の検出結果に基づいて荷降しする荷物2の位置を検出し、第1移動装置90を制御して、上面吸着部71を荷降し対象となる荷物2に移動する(ステップST2)。ここで、上面吸着部71を荷物2に移動するとは、上面吸着部71を、荷物2の上面6を吸着する位置に移動することである。
【0078】
次に、制御装置130は、保持装置70を制御して、上面吸着部71で上面6を吸着する上面把持を実行する(ステップST3)。
【0079】
次に、制御装置130は、第3センサ140の検出結果に基づいて、上面吸着部71で上面6を吸着した状態で、側面吸着部72による後面5bの吸着を阻害する他の荷物2や載置部1を検知したか否かを判定する(ステップST4)。
【0080】
制御装置130は、具体的には、第3センサ140の検出結果に基づいて、上面吸着部71が上面6を吸着した状態で側面吸着部72から他の荷物2または載置部1までの距離が、側面吸着部72による荷物2の後面5bの吸着を阻害する距離ではないと判定すると(ステップST4のNO)、第2移動装置110を制御して、
図6に示すように、側面吸着部72を荷物2に移動する(ステップST5)。ここで、側面吸着部72を荷物2に移動するとは、側面吸着部72の第2吸着パッド76の開口端76aが荷物2の後面5bに当接し、側面吸着部72により荷物2を吸着できる位置に移動することである。
【0081】
次に、制御装置130は、
図6に示すように、保持装置70を制御して、側面吸着部72で荷物2の後面を吸着することで側面把持を実行する(ステップST6)。
【0082】
次に、制御装置130は、タイマーをセットする(ステップST7)。ここで、タイマーをセットするとは、荷物2を保持した保持位置から、所定高さとなる持ち上げ目標位置まで移動するに要すると想定される時間の計測を開始することである。
【0083】
ここで、持ち上げ目標位置は、支持部80を回動位置A2に回動すると、荷物2の前端が、当該荷物2の載置面に当接する位置である。支持部80が回動位置A2にある状態において、荷物2の前端は荷物2の下端となる。載置面は、本実施形態では、下方の荷物2の上面、または載置部1の上面である。また、持ち上げ目標位置は、側面吸着部72が、側面吸着部72の下方の他の荷物2、または載置部1に干渉しない高さ位置である。
【0084】
持ち上げ目標位置は、例えば、荷物2の前後方向の長さに応じて設定される。制御装置130は、第1センサ50の検出結果に基づいて、荷物2の前後方向の長さを検出し、荷物2の前後方向の長さ、及び初期位置A1から回動位置A2までの回動角度に基づいて、持ち上げ目標位置を設定する。
【0085】
また、持ち上げ目標位置は、予めメモリ133に入力された荷物2の前後方向Xの長さに基づいて設定されてもよい。または、持ち上げ目標位置は、予め設定された所定高さであってもよい。
【0086】
次に、制御装置130は、第1移動装置90を制御して、保持位置からの荷物2の持ち上げを開始する(ステップST8)。制御装置130は、
図7に示すように、第1移動装置90を、荷物2を上方に移動しつつ、側面吸着部72に対する荷物2側に移動する。換言すると、制御装置130は、荷物2を、上方に移動しながら前方に移動することで、荷物2を持ち上げる。
【0087】
このように、支持部80が初期位置A1に維持された状態で、上方に移動しつつ前方に移動されることで、保持装置70に保持された荷物2及び下方の荷物2を固定する防滑防止剤5には、剥離方向の力に加えて、せん断方向の力が作用する。これら力により、保持装置70により保持された荷物2及び下方の荷物2の間に設けられた防滑防止剤5が、荷物2から剥がれることで、上下2つの荷物2の固定が解除される。
【0088】
次に、制御装置130は、
図8に示すように、荷物2が持ち上げ目標位置に到達すると(ステップST9)、第1移動装置90を制御して、荷物2の持ち上げを停止する(ステップST10)。また、制御装置130は、ステップST7で設定したタイマーが発火するまで、第1移動装置90の駆動を停止し、荷物2を持ち上げ目標位置に維持する(ステップST11)。タイマーが発火するとは、荷物2を持ち上げ目標位置まで持ち上げる為に要すると想定された時間が経過したことを示す。
【0089】
制御装置130は、タイマーが発火すると、
図5及び
図9に示すように、支持部80の傾げ量を「大」に設定する(ステップST12)。ここで、傾げ量を「大」に設定するとは、ポンプ125及び回路126を制御することでシリンダ123に対するピストン124の突出量を制御して、支持部80を回動位置A2に維持することである。支持部80が回動位置A2に回動されることで、保持装置70で保持された荷物2の前端が、荷物2の載置面である、下方の荷物2の上面、または、載置部1の上面に当接する。
【0090】
制御装置130は、支持部80の傾げ量を「大」に設定すると、次に、
図10に示すように、第1移動装置90及び昇降装置40を制御して、荷物2の引き込みを開始する(ステップST13)。ここで、荷物2を引き込むとは、第2センサ60の検出結果に基づいて保持装置70で保持された荷物2の下端の高さ位置を検出し、昇降装置40を制御して中間コンベア30の上面の位置を、保持装置70で保持された荷物2の下端の高さ位置に合わせ、第1移動装置90を制御して荷物2をフレーム本体21の第1開口23を通してフレーム本体21内に引き込み、中間コンベア30上に載置することである。ここで、支持部80が回動位置A2に維持されることで、荷物2は、その前端が、下方の荷物2の上面6、または、載置部1の上面に当接した状態で、移動される。
【0091】
次に、制御装置130は、荷物2が引き込み目標位置に到達すると(ステップST14)、保持装置70を制御して、荷物2をリリースする(ステップST15)。荷物2が引き込み目標位置に到達するとは、荷物2を中間コンベア30上の、中間コンベア30から落下することがない位置に到達することである。荷物2をリリースするとは、ポンプ125及び回路126を制御して、複数の第1吸着パッド74内、及び、複数の第2吸着パッド76内に真空破壊を生じさせ、複数の第1吸着パッド74による上面6の吸着を解除し、複数の第2吸着パッド76による後面5bの吸着を解除することである。
【0092】
次に、制御装置130は、荷物2をリリースすると、支持部80の傾げ量を「小」に設定する(ステップST16)。
【0093】
このようにして、1つの荷物2の荷降しが完了する。
【0094】
また、制御装置130は、ステップST4で、第3センサ140の検出結果に基づいて荷物2を検出すると、すなわち、側面吸着部72が下方等周囲の荷物2または載置部1に干渉する虞があることを検出すると(ステップST4のYES)、側面吸着部72による荷物2の吸着の前に、荷物2を持ち上げ目標位置まで上昇させ、その後、側面吸着部72による荷物2の吸着を行う。制御装置130は、例えばステップST8乃至ステップST11と同様に、上面吸着部71で上面6が吸着された荷物2を持ち上げ目標位置まで上昇した後、ステップST5乃至ステップST6と同様に、側面吸着部72により荷物2を吸着する。制御装置130は、具体的には、ステップST17乃至ステップST23の制御を行う。
【0095】
ステップST17は、ステップST7に相当する。ステップST18は、ステップST8に相当する。ステップST19は、ステップST9に相当する。ステップST20は、ステップST10に相当する。ステップST21は、ステップST11に相当する。ステップST22は、ステップST5に相当する。ステップST23は、ステップST6に相当する。
【0096】
制御装置130は、
図11に示すように、第3センサ140の検出結果に基づいて荷物2を検出すると(ステップST4のYES)、タイマーをセットする(ステップST17)。
【0097】
次に、制御装置130は、
図12に示すように、第1移動装置90を制御して支持部80及び荷物2の持ち上げを開始し(ステップST18)、持ち上げ目標位置まで上昇すると(ステップST19)、第1移動装置90を制御して、荷物2の持ち上げを停止する(ステップST20)
制御装置130は、第1移動装置90の駆動を停止した後、タイマーが発火すると(ステップST21)、
図13に示すように、第2移動装置110を制御して、側面吸着部72を荷物2の後面5bまで移動する(ステップST22)。
【0098】
次に、制御装置130は、保持装置70を制御して、側面吸着部72により荷物2の後面5bを吸着する(ステップST23)。
【0099】
制御装置130は、側面吸着部72により後面5bを吸着すると、ステップST12に進む。このようにして、載置部1に載置された荷物2を側面吸着部72が吸着できない場合は、上面吸着部71により上面6を吸着した後、荷物2を、側面吸着部72が下方の荷物2または載置部1に干渉しない位置まで上昇した後、側面吸着部72により荷物2を吸着する。
【0100】
このように構成された荷降し装置10では、保持位置で荷物2を保持装置70で保持すると、支持部80が回動装置120により初期位置A1に維持された状態で、荷物2を持ち上げ目標位置まで荷物を上昇する。
【0101】
この為、荷物2を上昇させる際に、保持装置70の回動軸86回りの位置が変化しないので、荷物2が防滑防止剤5により下方の荷物2に固定されている場合であっても、上下方向に並ぶ2つの荷物2の防滑防止剤5による固定を、荷物2を持ち上げる動作で効率よく解除できる。
【0102】
すなわち、荷物2を持ち上げるときに、防滑防止剤5が抵抗となるが、支持部80が初期位置A1に維持されることで、防滑防止剤5による固定を解除しようとする力が、逃げることが防止されるので、荷物2を持ち上げる動作で、防滑防止剤5による固定を効率よく解除できる。
【0103】
さらに、荷物2が持ち上げ目標位置まで上昇されると、支持部80が回動装置120により回動位置A2に回動される。この為、保持装置70に保持された荷物2が傾き、当該荷物2の下面の、引込方向で後方となる一端が、下方の荷物2または載置部1に当接される。このように、移動中の荷物2が、下方の荷物2または載置部1により支持されることで、荷物2の姿勢が安定する。結果、第1移動装置90による荷物2の引き込みのスピードを高速化できる。
【0104】
このように、荷物2を、防滑防止剤5による固定を効率よく解除でき、さらに、荷物2の引き込みのスピードを高速化できるので、荷降し作業の効率を向上できる。
【0105】
さらに、持ち上げ目標位置まで荷物2を上昇させる際に、荷物2を、上昇させつつ、側面吸着部72に対する荷物2側へ移動させる。すなわち、荷物2を上下方向に対して傾斜する方向に沿って、上昇させる。この為、防滑防止剤5に、剥離方向の力に加えてせん断方向の力が加わるので、防滑防止剤5による荷物2の固定を効率よく解除できる。
【0106】
さらに、荷物2を、上方に移動しつつ、側面吸着部72から荷物2へ向かう方向に移動することで、荷物2を、側面吸着部72で押圧することが可能となる。荷物2を側面吸着部72で押圧することで、荷物2を上昇させる際に、側面吸着部72が荷物2から剥がれることを防止できる。
【0107】
さらに、上面吸着部71により荷物2を吸着した状態で、側面吸着部72が下方の荷物2または載置部1と干渉するおそれがある場合は、上面吸着部71により荷物2を吸着して保持した後、荷物2を持ち上げ目標位置まで上昇させ、その後、側面吸着部72により荷物2の後面を吸着させる。このように、側面吸着部72及び下方の荷物2が干渉するおそれがある場合であっても、側面吸着部72により荷物2を保持できるので、荷物2を安定して保持することが可能となる。また、持ち上げ目標位置まで荷物2を持ち上げた後に側面吸着部72により荷物2を吸着することで、側面吸着部72を使用することが可能となる。
【0108】
このように、本実施形態によれば、保持位置で荷物2を保持した保持装置70を、初期位置A1に維持したまま持ち上げ目標位置まで上昇し、その後、保持装置70を回動位置A2に回動しその位置に維持する。この為、防滑防止剤5による上下2つの荷物2の固定を効率よく解除でき、さらに、荷物2を引きこむときに、荷物2の下面の引き込み方向で後端が下方の荷物2または載置部1に当接することで荷物2が安定するので、荷物2の引き込み速度を高速化できる。この為、荷降し動作の効率を向上できる。
【0109】
なお、荷降し装置10は、上述の例に限定されない。例えば、上述の例では、回動装置120は、回動アクチュエータ122により、支持部80を初期位置A1及び回動位置A2に回動し、初期位置A1または回動位置A2に維持する構成が一例として説明されたがこれに限定されない。他の例では、回動装置120は、複数のばねを備え、これら複数のばねを切り替えることで、支持部80を初期位置A1または回動位置A2に回動し、初期位置A1または回動位置A2に維持する構成であってもよい。
【0110】
また、上述の例では、回動装置120は、支持部80を、初期位置A1または回動位置A2の間で回動し、それぞれの位置に維持する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、回動装置120は、初期位置A1及び回動位置A2の間の任意の位置に支持部80を維持可能に構成されてもよい。
【0111】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、保持位置で荷物2を保持した保持装置70を、初期位置A1に維持したまま持ち上げ目標位置まで上昇し、その後、保持装置70を回動位置A2に回動しその位置に維持する。この為、防滑防止剤5による上下2つの荷物2の固定を効率よく解除でき、さらに、荷物2を引きこむときに、荷物2の下面の引き込み方向で後端が下方の荷物2または載置部1に当接することで荷物2が安定するので、荷物2の引き込み速度を高速化できる。この為、荷降し動作の効率を向上できる。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
2…荷物、5…防滑防止剤、5b…後面、6…上面、10…荷降し装置、30…中間コンベア、40…昇降装置、70…保持装置、71…上面吸着部、72…側面吸着部、74…第1吸着パッド、76…第2吸着パッド、77…負圧発生装置、80…支持部、81…支持部本体、82…連結部、83…第1部分、84…第2部分、85…ブラケット、86…回動軸、90…第1移動装置、91…水平移動装置、92…昇降装置、93…基部、94…アーム、95…可動部、95a…前後方向アクチュエータ、95b…幅方向アクチュエータ、96…シャフト、97…上下方向アクチュエータ、98…ワイヤ、110…第2移動装置、111…基部、112…移動部、113…第3駆動部、120…回動装置、121…アーム、122…回動アクチュエータ、123…シリンダ、124…ピストン、125…ポンプ、126…回路、130…制御装置、131…通信インターフェース、132…プロセッサ、133…メモリ、134…ストレージ、135…バスライン、140…第3センサ、A1…初期位置、A2…回動位置。