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  • 特開-半導体基板 図1A
  • 特開-半導体基板 図1B
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  • 特開-半導体基板 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065284
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】半導体基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20230502BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L29/80 H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204503
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】110139931
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】劉 學興
【テーマコード(参考)】
5F102
5F152
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F152LL04
5F152LL08
5F152LL10
5F152LM09
5F152LN10
5F152MM05
5F152MM18
5F152NN03
5F152NN05
5F152NN09
5F152NN13
5F152NN15
5F152NN29
5F152NP09
5F152NP12
5F152NP13
5F152NP14
5F152NP23
(57)【要約】
【課題】半導体基板およびトランジスタを提供する。
【解決手段】半導体基板は、基材と、絶縁層と、半導体層と、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層と、核形成層とを含む。絶縁層は、基材上に配置される。半導体層は、絶縁層上に配置される。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層は、半導体層上に配置されており、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層のバンドギャップは、2.5eVよりも高い。核形成層は、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層上に配置され、核形成層は、アルミニウム含有層を含む。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板であって、
基材と、
前記基材上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層上に配置された半導体層と、
前記半導体層上に配置されたワイドバンドギャップ拡散バッファ層であって、前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層のエネルギーギャップは、2.5eVよりも高い、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層と、
前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層上に配置された核形成層であって、前記核形成層は、アルミニウム含有層を備える、核形成層と、
を備える、半導体基板。
【請求項2】
前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層は、窒化ケイ素層、酸化ケイ素層、酸化亜鉛層、酸化アルミニウム層、酸化ガリウム層またはこれらの組み合わせを備える、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項3】
前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層の前記エネルギーギャップは、3.2eV~9.1eVである、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項4】
前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層の抵抗値は、1×10Ω・cm~1×1014Ω・cmである、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項5】
前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層の厚さは、30nm~120nmである、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項6】
前記ワイドバンドギャップ拡散バッファ層は、アモルファス層である、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項7】
前記基材の熱伝導率は、1.4W/cm・Kより大きい、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項8】
前記基材の材料は、ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、サファイアまたはそれらの組み合わせを備える、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項9】
前記半導体層は、ケイ素層、炭化ケイ素層、またはそれらの組み合わせを備える、請求項1に記載の半導体基板。
【請求項10】
前記アルミニウム含有層は、窒化アルミニウム層を備える、請求項1に記載の半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスに関し、特に、半導体基板および半導体基板を含むトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)半導体デバイスは現在、パワーデバイスの低いオン抵抗、高いスイッチング周波数、高い破壊電圧、および高温動作を可能にするため、ハイパワーデバイスとして人気のある選択肢である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高温プロセスにおいて半導体層上にアルミニウム含有核形成層を形成するとき、核形成層内に含有されるアルミニウムは、下層、すなわち半導体層に拡散し得る。半導体層の上面へのアルミニウムの拡散は、P型ドープ導電層を形成し得る。そのため、形成された半導体デバイスの動作の間、半導体層でのリーク電流が発生し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態は、基材と、絶縁層と、半導体層と、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層と、核形成層と、を含む半導体基板を提供する。絶縁層は、基材上に配置される。半導体層は、絶縁層上に配置される。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層は、半導体層上に配置され、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層のバンドギャップは、2.5eVよりも高い。核形成層は、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層上に配置され、核形成層は、アルミニウム含有層を含む。
【0005】
本開示の一実施形態は、半導体基板と、チャネル層と、バリア層と、ゲートと、ソースと、ドレインとを含むトランジスタを提供する。半導体基板は、基材と、絶縁層と、半導体層と、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層と、核形成層とを含む。絶縁層は、基材上に配置される。半導体層は、絶縁層上に配置される。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層は、半導体層上に配置されており、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層のバンドギャップは、2.5eVよりも高い。核形成層は、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層上に配置され、核形成層は、アルミニウム含有層を含む。チャネル層は、核形成層上に配置される。バリア層は、チャネル層上に配置される。ゲートは、バリア層上に配置される。ソースおよびドレインは、バリア層上に配置され、それぞれゲートの反対側に位置する。
【発明の効果】
【0006】
上記に基づいて、本開示では、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層が半導体層と核形成層との間に配置されるため、高温処理の間に核形成層内に含有されるアルミニウムがワイドバンドギャップ拡散バッファ層に拡散し得る。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層の厚さがアルミニウムの拡散の深さよりも大きいかそれに近いとき、核形成層内に含有されるアルミニウムが半導体層へ拡散するのを防止することができ、それにより、半導体デバイスの動作中のリーク電流を回避することができる。
【0007】
前述の内容をより理解しやすくするために、いくつかの実施形態を、図面を伴って以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の一実施形態の半導体基板の製造プロセスの概略断面図である。
図1B】本開示の一実施形態の半導体基板の製造プロセスの概略断面図である。
図2】本開示の一実施形態の半導体基板におけるアルミニウム濃度とアルミニウムの拡散深さとの関係を示す図である。
図3】本開示の一実施形態のトランジスタの概略断面図である。
図4】本開示の一実施形態の発光ダイオード(LED)の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記において、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明するが、実施形態は、本開示の範囲を限定することを意図してはいない。また、図面はただ説明目的のためのものであり、元の寸法に合わせて描かれているわけではない。また、理解を容易にするために、以下の説明において同じ要素は同じ参照番号で示される。
【0010】
本文中で言及されている「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、すべてオープンエンドの用語であり、すなわち「それらを含むが、それらに限定されない」という意味である。
【0011】
デバイスの説明に「第1の」や「第2の」などの用語を使用するとき、これは、これらのデバイスを互いに区別するためにのみ使用され、これらのデバイスの順序または重要性を制限するものではない。それゆえ、いくつかの場合においては、第1のデバイスは、第2のデバイスとも呼ばれ得、第2のデバイスは、第1のデバイスとも呼ばれ得る。これは本開示の範囲を逸脱するものではない。
【0012】
加えて、本文中の「ある値から別の値まで」で表される範囲は、範囲内のすべての数値を1つずつ明細書に記載することを避けるための要約表現方法である。したがって、特定の数値範囲の記録は、その数値範囲内の任意の数値を対象とするとともに、その数値範囲内の任意の数値で定義されるより小さな数値範囲も対象とする。
【0013】
図1Aおよび図1Bは、本開示の一実施形態の半導体基板製造プロセスを示す概略断面図である。図1Aを参照すると、複合基材100が準備される。本実施形態では、複合基材100は、基材100aと、絶縁層100bと、半導体層100cとを含む。基材100aの材料は、例えば、ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素(SiC)、サファイアまたはこれらの組み合わせである。絶縁層100bは、基材100a上に配置される。絶縁層100bは、例えば、酸化ケイ素層であるが、本開示はこれに限定されない。絶縁層100bの厚さは、例えば、100nm~200nmである。半導体層100cは、絶縁層100b上に配置される。半導体層100cは、例えば、ケイ素層、炭化ケイ素層、またはこれらの組み合わせである。半導体層100cの厚さは、例えば、30nm~3μm、好ましくは70nm~200nmである。すなわち、本実施形態では、複合基材100は、既知のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)複合基材または高抵抗で特に高周波デバイスに適したQST複合基材であり得る。本実施形態では、基材100aは、1.4W/cm・Kより大きい熱伝導率を有し得る。その結果、複合基材100は、支持基材として使用されることに加えて、放熱基材としても使用され得る。
【0014】
次に、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102が複合基材100の半導体層100c上に形成される。本実施形態においては、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102のエネルギーギャップは、2.5eVよりも高く、好ましくは3.2eV~9.1eV、より好ましくは4.5eV~5.5eVである。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102は、例えば、窒化ケイ素層、酸化ケイ素層、酸化亜鉛層、酸化アルミニウム層、酸化ガリウム層、またはこれらの組み合わせである。本実施形態において、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102は、アモルファス窒化ケイ素層などのアモルファス層であり得る。本実施形態では、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の厚さは、30nm~120nmであり、好ましくは35nm~100nmであり、より好ましくは40nm~90nmである。本実施形態において、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の形成方法は、例えば、PECVD(プラズマ励起化学気相成長)プロセス、電子銃蒸着プロセス、またはスパッタリング堆積プロセスである。加えて、本実施形態では、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102は、1×10Ω・cm~1×1014Ω・cmの抵抗値を有し得る。
【0015】
図1Bを参照すると、核形成層104がワイドバンドギャップ拡散バッファ層102上に形成され、本実施形態の半導体基板10を作製する。本実施形態では、核形成層104は、窒化アルミニウム層などのアルミニウム含有層であるが、本開示はこれに限定されない。
【0016】
一般的には、高温プロセスにおいて核形成層104が形成されると、核形成層104内に含有されるアルミニウムは、下層に拡散し得る。半導体層100cへのアルミニウムの拡散は、P型ドープ導電層を形成し得る。また、本実施形態では、複合基材100の半導体層100cと核形成層104との間にワイドバンドギャップ拡散バッファ層102が形成されているため、高温プロセスにおいて、核形成層104内に含有されるアルミニウムは、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102に拡散し得る。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の厚さがアルミニウムの拡散の深さに近いとき、核形成層104内に含有されるアルミニウムが半導体層100cに拡散してP型ドープ導電層を形成するのを防止し、それによって、形成された半導体デバイスの動作中に複合基材100にリーク電流が流れることを回避することができる。また、本実施形態では、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の厚さは、アルミニウムの拡散の深さよりも大きいため、核形成層104内に含有されるアルミニウムが半導体層100cに拡散するのを確実に防止することができる。加えて、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102のエネルギーギャップが2.5eVよりも高いため、アルミニウムがワイドバンドギャップ拡散バッファ層102に拡散しても、P型ドープ導電層が形成されないようにすることができる。
【0017】
加えて、本実施形態では、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の材料は、アモルファスであり得る。単結晶材料と比較して、アモルファスのワイドバンドギャップ拡散バッファ層102は、核形成層104内に含有されるアルミニウムの半導体層100cへの拡散速度を効果的に低下させることができ、また、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102へのアルミニウムの拡散の深さをも低下させることができる。一般的には、アルミニウムの拡散の深さは、50nm~100nmである。ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102は、アルミニウムの拡散の速度および深さを低減することができ、こうして、アルミニウムの拡散の深さを40nm~90nmに低減することができる。場合によっては、半導体層100cにアルミニウムが拡散することを防ぐために、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の厚さは、40nm~90nmとなるように設計することができる。
【0018】
本実施形態では、核形成層104の形成の間またはその後の高温プロセスにおいて、核形成層104内に含有されるアルミニウムは、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102に拡散することができ、こうして拡散層104aが形成される。図1Bに示すように、本実施形態では、核形成層104内に含有されるアルミニウムがワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の上部にのみ拡散し、その結果、拡散層104aがワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の上面に隣接して形成されているが、本開示はこれに限定されない。他の実施形態では、核形成層104内に含有されるアルミニウムは、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102全体に拡散することができ、すなわち、拡散層104aの厚さは、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の厚さと実質的に等しい場合があり得る。
【0019】
図2は、本開示の実施形態の半導体基板におけるアルミニウム濃度とアルミニウムの拡散の深さとの関係を示す図である。図2を参照すると、例えばAlGaN層などのバッファ層200は、半導体基板10の核形成層104上に形成され、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102および核形成層104は、半導体層100c上に順次配置される。高温プロセスにおいて、核形成層104内に含有されるアルミニウムは、上方に向かってバッファ層200に拡散し、下方に向かってワイドバンドギャップ拡散バッファ層102に拡散する。核形成層104内に含有されるアルミニウムがワイドバンドギャップ拡散バッファ層102に拡散した後、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102におけるアルミニウム濃度は、勾配のある分布を有し得る。換言すると、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102において、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の上面に隣接する部分に比較的多量のアルミニウムが蓄積され、拡散深さが増大するにつれてアルミニウム濃度が大きく低下するため、結果、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102の核形成層104に隣接する部分のアルミニウム濃度は、核形成層104から離れた部分のアルミニウム濃度よりも高い場合があり得る。加えて、ワイドバンドギャップ拡散バッファ層102は、核形成層104内に含有されるアルミニウムの半導体層100cへの拡散を減少させることができる、または回避することもできるため、核形成層104内に含有されるアルミニウムがワイドバンドギャップ拡散バッファ層102を透過して半導体層100cに拡散したときでさえも、半導体層100cは、比較的少量のアルミニウムのみを含有する。このとき、半導体層100c中のアルミニウムの含有量は、例えば、1017atom/cm未満、あるいは、0に近い値となる。このようにして、半導体基板10をトランジスタ、LEDまたは他の電子デバイスの基板として用いたとき、動作中のトランジスタまたはLEDのリーク電流および電気信号の損失を効果的に低減または回避することができる。
【0020】
以下では、半導体基板10を例に挙げて、本開示の半導体基板を含むトランジスタについて説明する。
【0021】
図3は、本開示の一実施形態のトランジスタを示す概略断面図である。図3を参照すると、トランジスタ20の製造プロセスの間に、バッファ層200は、半導体基板10の核形成層104上に形成することができる。バッファ層200は、例えば、AlGaN層であるが、本開示はこれに限定されない。複合基材100とその上に成長したGaN層との間には格子定数に違いがあるため、応力が生じ得、複合基材100上のエピタキシャル層の品質に影響を与え得る。バッファ層200は、複合基材100とチャネル層202との間に追加され、複合基材100とその上に続いて形成されるチャネル層202などのエピタキシャル層との間の応力の均衡をとる。本実施形態では、バッファ層200の厚さは、例えば、100nm~2.3μmである。他の実施形態では、バッファ層200を省略することができ、チャネル層202は、核形成層104に直接接触し得る。
【0022】
その後、チャネル層202、バリア層204が順に形成される。チャネル層202は、例えば、GaN層である。チャネル層202の厚さは、例えば、20nm~100nmである。バリア層204は、例えば、AlGaN層、AlInN層、AlN層、AlGaInN層、またはこれらの組み合わせである。バリア層204の厚さは、例えば、5nm~50nmである。チャネル層202は、チャネル層202とバリア層204との界面の下方に位置する2次元電子ガス(two-dimensional electron gas、2DEG)202aを有する。その後、ゲート206、ソース208sおよびドレイン208dがバリア層204上に形成され、ゲート206は、ソース208sとドレイン208dとの間に位置する。ゲート206の材料は、例えば、Ni、Mo、W、TiNまたはこれらの組み合わせである。ソース208sおよびドレイン208dの材料は、例えば、Al、Ti、Auまたはこれらの合金であり、III-V族化合物とオーミック接触を形成可能な他の材料とすることができる。
【0023】
トランジスタ20においては、半導体基板10が基板として用いられているため、トランジスタ20の動作の間に、リーク電流を効果的に低減または回避することができ、電気信号の損失を低減または回避することができる。
【0024】
特に、本実施形態では、トランジスタ20は、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor、HEMT)の一例であるが、本開示のトランジスタの構造は、HEMTに限定されない。他の実施形態では、トランジスタは、その基板として本開示の半導体基板が用いられる限り、様々な既知の構造を有し得る。
【0025】
加えて、本開示の半導体基板をLEDの基板として用いるとき、様々なLED構造は、本開示の半導体基板上に形成され得るが、これに限定されない。例えば、図4に示すように、LED30は、半導体基板10と、バッファ層200と、第1の導電型のGaN層300と、発光層302と、第2の導電型のGaN層304と、第1の電極306と、第2の電極308とを含む。発光層302は、第1の導電型のGaN層300と第2の導電型のGaN層304との間に配置される。第1の電極306は、第1の導電型のGaN層300上に配置される。第2の電極308は、第2の導電型のGaN層304上に配置される。第1の導電型のGaN層300、発光層302、第2の導電型のGaN層304、第1の電極306および第2の電極308の材料は、当業者には既知であるため、ここではこれ以上の説明はしない。
【0026】
本開示の範囲または精神から逸脱することなく、開示された実施形態に様々な修正および変形を加え得ることは、当業者には明らかであろう。前述の観点から、本開示は、以下の請求項およびその均等物の範囲内に収まることを条件として、修正および変形を含むことを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本開示の半導体基板は、HEMTまたはLEDなどのトランジスタに適用され得る。
【符号の説明】
【0028】
10 半導体基板
20 トランジスタ
30 LED
100 複合基材
100a 基材
100b 絶縁層
100c 半導体層
102 ワイドバンドギャップ拡散バッファ層
104 核形成層
104a 拡散層
200 バッファ層
202 チャネル層
204 バリア層
206 ゲート
208s ソース
208d ドレイン
300 第1の導電型のGaN層
302 発光層
304 第2の導電型のGaN層
306 第1の電極
308 第2の電極
図1A
図1B
図2
図3
図4
【外国語明細書】